捕鯨問題

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更新情報:

 2014年4月13日: 「捕鯨問題最新情報」 に記事を追加

 

 【お知らせ】

  拙著 『鯨とイルカの文化政治学』(洋泉社、2800円+税)が出版されました。 書店の店頭でごらんください。 

鯨とイルカの文化政治学

 目次は以下のとおり。

 はじめに
 序章 『野生のエルザ』と藤原英司
 第一部 欧米人の鯨=イルカ観
  第1章 小松錬平−ロビン・ギル論争を再読する
  第2章 マッドサイエンティストのイルカ高知能説――ジョン・C・リリー
  第3章 「科学者」は信用できるか――カール・セーガン
  第4章 映画と現実の狭間――ジャック・マイヨール
  第5章 科学かオカルトか――ライアル・ワトソンとホラス・ドッブスに見る英国知識人の鯨=イルカ観
  第6章 大国意識とダブルスタンダードと神秘主義――ジム・ノルマン、ロジャー・ペイン、ジョーン・オーシャンに見る米国人の鯨=イルカ観
 第二部 日本人の鯨=イルカ観
  第7章 ヨーロッパ植民地帝国の価値観を継承する者――藤原英司
  第8章 人生の蹉跌がイルカ主義を呼ぶ――小原田泰久、野崎友璃香、姫川裕里
  第9章 留学・宣教・商売の間で――水口博也
  第10章 反日言説としての反捕鯨(一)――ジャーナリスト原剛の場合
  第11章 反日言説としての反捕鯨(二)――研究者渡邊洋之の場合
  第12章 反日言説としての反捕鯨(三)――エコロジスト星川淳の場合
 結論に代えて
 あとがき
 使用参考文献
 文献案内

 

捕鯨問題最新情報 

 2014年4月13日更新。   このページには2014年1月分以降を掲載。 それ以前は過去ログをごらん下さい。   

    「捕鯨問題最新情報」 の過去ログは以下の通りです。

    (1)1999年12月〜2005年12月 → こちら 

    (2)2006年〜2008年5月 → こちら

    (3)2008年6月〜2010年1月 → こちら

    (4)2010年2月〜6月 → こちら

     (5)2010年7月〜2011年3月 → こちら  

    (6)2011年4月〜2012年2月 → こちら

    (7)2012年3月〜2013年7月 → こちら

    (8)2013年8月〜  → こちら 

 

2014年 ↓

 

NEW!・4月12日(土)  『週刊文春 4月17日号』

 今週発売の 『週刊文春』 に 「「捕鯨裁判」 負けたのは誰の責任か?」 が掲載されました(153155ページ)。

 外務省の見通しの甘さ、日本側証人であるノルウェー・オスロ大学教授の証言内容、外務省内部にも捕鯨に消極的な声があること(欧米の価値観に異を唱えるのは得策ではないという日和見的な意見)、シーシェパードの主張が欧米に広く浸透していること、などなどが要因として挙げられています。

                     *

 産経新聞インターネットニュースより

 http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140412/plc14041209370014-n1.htm 

 捕鯨判決 「深く失望しているが従う」 政府が答弁書 2014.4.12 09:37

 政府は11日の閣議で、南極海で調査捕鯨を実施しないよう命じた国際司法裁判所の判決に関し「残念であり、深く失望しているが、判決に従う」とする答弁書を決定した。今後の具体的な対応については「判決の内容を慎重に精査した上で、真摯に検討していく」とした。新党大地の鈴木貴子衆院議員の質問主意書に答えた。

 

NEW!・4月8日(火)  産経新聞インターネットニュースより。

 http://sankei.jp.msn.com/economy/news/140408/biz14040816280011-n1.htm 

 1〜3月でクジラ251頭を捕獲 南極海の調査捕鯨 2014.4.8 16:27

 水産庁は8日、1月3日〜3月13日に南極海で行った調査捕鯨でクロミンククジラ251頭を捕獲したと発表した。昨年度実績の103頭を上回ったが、反捕鯨団体「シー・シェパード」の妨害で目標の935頭は大きく下回った。ナガスクジラは昨年度に続いて捕獲できなかった。

 国際司法裁判所は3月31日、日本に南極海での調査捕鯨停止を命じる判決を言い渡した。政府は判決を受け入れるとしており、捕獲頭数削減などで2015年度以降の再開を目指している。

 調査捕鯨で捕獲したクジラは通常は販売し、その収入を次回の調査費用に充てている。水産庁は今回捕獲したクジラについて「販売を目指すが、国際司法裁判所の判決を精査しており、扱いは検討中」とした。

 調査期間中、シー・シェパードから4回、調査船への体当たりなどの妨害を受けた。安全対策として、海上保安官が調査船に乗っていた。

 

NEW!・4月7日(月)  産経新聞インターネットニュースより。

 http://sankei.jp.msn.com/life/news/140407/trd14040708250007-n1.htm 

 これからどうなる? 調査捕鯨に中止判決 「科学的研究」 通じず 2014.4.7 08:23

 オランダ・ハーグの国際司法裁判所は3月31日、日本に対し南極海での調査捕鯨を行わないよう命じる判決を言い渡した。反捕鯨の国際世論は根強く、政策転換を迫られる事態となった。(SANKEI EXPRESS)

 Q 調査捕鯨って何

 A 国際捕鯨取締条約で認められている科学的研究のための捕鯨だ。1982年に国際捕鯨委員会(IWC)が商業捕鯨の一時停止を決めた。日本は再開に向けデータを集めるために、南極海と北西太平洋で調査捕鯨を行ってきた。主な対象はミンククジラで、調査で得た鯨肉は国内で販売している。

 Q 裁判では何を争ったの

 A 反捕鯨国のオーストラリアが「科学を装った商業捕鯨で違法だ」と訴えた。日本は「科学的で合法な調査だ」と真っ向から反論した。

 Q 判決内容は

 A 「科学研究目的とはいえない」と断じ、日本が敗訴した。調査目的がほとんど変わらないのに捕獲枠が大幅に増えていることから、厳密に科学的検討に基づくのかどうか疑いがあると指摘した。

 Q オーストラリアはなぜ提訴したの

 A 「クジラは高等生物だ」「絶滅の危機にひんしている」など反捕鯨の世論がある。ただ、提訴した2010年時の政権が、総選挙前に支持率低迷の起死回生策として使ったとの声もある。

Q 捕鯨をめぐる他の国の動きは

 A IWCが1948年に設立された後、米国や英国、オーストラリアなどが反捕鯨に転じた。捕鯨国のうちノルウェーやアイスランドなどは、商業捕鯨の一時停止に対し、異議申し立てや態度留保を押し通し、捕鯨を続けている。IWCでは、捕鯨国と反捕鯨国の勢力が張り合っている状況だ。しかし、日本はあくまで科学的研究を積み重ねて、クジラの資源回復を国際社会にアピールする立場だ。

 Q 判決を受け、日本政府はどう対応するの

 A 水産庁は2日、14年度の南極海での調査捕鯨を断念した。今後再開できたとしても、根強い反捕鯨の国際世論もあり、規模の縮小は避けられない見通しとなった。

 Q クジラが食べられなくなるの

 A 和歌山県太地町などでは、IWCの規制対象外の小型鯨類を沿岸で捕っている。捕鯨国からも輸入しており、すぐに食べられなくなる事態は避けられそうだ。しかし、国内でのクジラの消費量は減少傾向にある。

■裁判官16人 反捕鯨国出身が10人

 南極海での日本の調査捕鯨を停止するよう命じる判決を言い渡した国際司法裁判所の裁判官16人は、多数が反捕鯨国の出身だった。裁判官は国際法に従い独立して判断するのが原則。反捕鯨国フランスの裁判官は判決に反対した。

 日本捕鯨協会や水産庁によると、16人のうち国際捕鯨委員会(IWC)で反捕鯨の国の出身者はオーストラリアを含め10人。日本の小和田恒氏ら4人が捕鯨支持国出身で、残り2人の出身国はIWCに加盟していない。

 判決には12人が賛成し、捕鯨支持国のロシアと中国出身の裁判官も含まれる。反対した4人は、小和田氏とフランス人の裁判官のほか、捕鯨支持国のモロッコ出身の裁判官と、IWCに加盟していないソマリア出身の裁判官だった。

 裁判官は通常15人だが、今回は当事国である日本の小和田氏が含まれるため、オーストラリアが自国の特任裁判官を任命し、16人となった。(共同)

 

NEW!・4月5日(土)  産経新聞インターネットニュースより。

 http://sankei.jp.msn.com/economy/news/140405/biz14040520470011-n1.htm 

 「捕鯨文化の発信強化を」 下関港で船団入港式 2014.4.5 20:43

 南極海での調査捕鯨を終えた船団3隻が帰港した山口県・下関港で5日、下関市や捕鯨関連団体など主催の入港式典が開かれた。約200人の参加者からは、捕鯨文化に関する情報の発信強化を推進するべきだとの声や、南極海での調査捕鯨停止を日本に命じた国際司法裁判所の判決への疑問などが相次いだ。

 中尾友昭市長は判決に関し「残念だが、ひるまずに鯨文化の発信を進め再開に備えたい」と強調。洋上で判決内容を知ったという松岡耕二調査団長は「日本の主張が入っていない一方的なものと感じる」と話した。

 本川一善水産庁長官は式典後、記者団の取材に応じ、例年5月ごろに出港する北西太平洋での調査捕鯨船団について「判決内容を精査した上で検討する」と述べるにとどめた。今回の捕獲頭数などは8日に公表するという。

 

NEW!・4月2日(水)   引き続き、国際司法裁判所の調査捕鯨に関する判決について、毎日新聞および産経新聞のインターネットニュースより、最初は両紙の 「社説」 (産経は 「主張」) から。

 http://mainichi.jp/opinion/news/20140402k0000m070169000c.html 

 社説: 調査捕鯨で敗訴 南極海から撤退決断を  毎日新聞 20140402日 0230

 南極海での日本の調査捕鯨が、商業捕鯨を禁じている国際捕鯨取締条約に違反するとして国際司法裁判所(ICJ)から中止命令を受けた。消費量の激減で商業捕鯨の必要性が低下する中、調査捕鯨は本来の目的を失っていたともいえる。

 一方、「科学調査」の手法が否定された痛手は大きい。科学的な資源管理の信頼性が失われるとマグロなど他の水産資源を持続的に利用していくのも難しくなるからだ。

 条約は科学的研究のための捕鯨を例外的に認めている。しかしICJは「調査捕鯨に名を借りた商業捕鯨だ」という豪州の主張を認め、「科学目的だ」という日本の反論を退けた。科学的に850頭前後必要だとして捕獲枠を確保しながら100頭余りしか捕獲していない点などが合理性に欠けると認定された。

 南極海の調査捕鯨は、国際捕鯨委員会(IWC)が1982年に決定した商業捕鯨の一時停止を解除するのに必要な科学的データを収集するために実施している。しかしIWCは捕鯨国と反捕鯨国の対立で機能不全に陥っており、一時停止解除は極めて困難な状況だ。一方で国内の鯨肉流通は年間約5000トンで最も多かった62年の2%程度にとどまる。

 鯨食は、「日本の食文化」の一つだ。しかし、IWCの管理対象になっていない沿岸捕鯨を中心にした伝統的な鯨食文化と、戦後の食糧難に伴ってたんぱく源として全国的に拡大した鯨食とは分けて考える必要がある。

 商業捕鯨停止による価格高騰で鯨離れに拍車がかかった面もあろうが、食糧難解消で需要がはげ落ちた効果も大きい。守るべきは沿岸捕鯨を中心に、なお残る鯨食文化だ。

 そのために南極海で商業捕鯨を再開する必要はあるのか。国内では沿岸捕鯨の鯨肉のほかアイスランドなどからの輸入品も流通し、南極海の調査捕鯨は全体の2割にとどまる。それでも供給はだぶつき、調査頭数抑制には需給調整の意味もある。

 食文化を守るために南極海で商業捕鯨を再開する必要性は乏しい。そのために年間数十億円の国費を使って調査を続ける意味はないだろう。政府は今回の判決を受け入れるとしながらも撤退の意思を明確にしていないが、もう決断すべきだ。

 今回ICJに日本の主張が受け入れられなかったダメージは大きい。日本の資源管理への不信が、マグロなど国際的に漁獲規制の動きが強まっている他の魚介類に波及するおそれがあるからだ。

 政府は今回の敗訴の原因をしっかり検証した上で、資源管理について国際的な信頼を得るよう体制を立て直す必要がある。

 http://sankei.jp.msn.com/world/news/140402/erp14040203350002-n1.htm 

 【主張】 国際捕鯨裁判 生態把握の手段が消える  2014.4.2 03:35

 明らかに公平さと合理性を欠いた結論だ。

 日本が国際捕鯨取締条約に基づいて南極海で行ってきた調査捕鯨に対し豪州が中止を求めて国際司法裁判所(ICJ)に提訴していた裁判で、日本の活動を条約違反とする判決が下された。

 ICJの判決には上訴の手段がなく、日本政府は従わざるを得ないが、鯨類の生態解明などに貢献してきた調査捕鯨の科学性が十分に理解されなかったことは、極めて遺憾だ。

 日本は世界に向けて、これまで以上に調査捕鯨の意義を明確に説明しなければならない。そうしなければ「科学を装った商業捕鯨」という豪州や反捕鯨団体による不当な誹謗(ひぼう)が定着してしまう。

 日本の敗訴理由のひとつは、調査捕鯨の捕獲目標数と実際の捕獲頭数の開きである。

 南極海での調査捕鯨の主な対象はクロミンククジラで、日本は約800頭の捕獲枠を持っているが、実際の捕獲は昨漁期の場合、約100頭に減っている。

 これは調査計画がずさんであったためではなく、反捕鯨団体の執拗(しつよう)で悪質な妨害があったからである。あえて強硬策を避けた日本の配慮が裏目に出た形だ。判決を機に、鯨を神聖視して感情に訴える反捕鯨団体の活動が、北西太平洋での調査捕鯨に対してもエスカレートすることが危惧される。

 国際捕鯨委員会(IWC)が、各種の鯨の生息数についての科学的データの不足を理由に商業捕鯨を一時凍結したのは1982年のことだ。日本はこれを受け入れ、87年から開始した調査捕鯨でデータの補充に貢献してきた。

 最大種のシロナガスクジラの個体数の伸び悩みは、食性で競合するクロミンククジラの急増に圧迫されて生じていることなども明らかになっている。近年はザトウクジラやナガスクジラの増加傾向がうかがえるものの、正確に推定するには捕獲し、年齢や栄養状態などを調べる研究が欠かせない。

 日本が南極海の調査捕鯨から撤退すれば、主要鯨種の生息数や鯨種間の競合状況など資源管理の基本データが不足していく。日本の鯨食文化にも影が差す。

 世界の人口増加で、遠くない将来、動物性タンパク源として鯨類の本格利用が始まるだろう。そのとき正確な資源情報がなければ、強国による乱獲が起こり得る。継続性のある科学調査が必要だ。

                           

 http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140402/plc14040215490013-n1.htm 

 安倍首相、捕鯨敗訴で政府代表に「厳しい叱責」 2014.4.2 15:47

 安倍晋三首相は2日、南極海での調査捕鯨が条約違反だと認定した国際司法裁判所の判決をめぐり、首相官邸で報告に訪れた鶴岡公二日本政府代表に「非常に残念で深く失望しているが、判決には従う」と述べた。

 鶴岡政府代表は報告後、記者団に「首相から、訴訟指揮にあたった私に対し、日本の主張が法廷において認められなかったことについて厳しい叱責があった」と明かした。

 鶴岡氏は今後の日本政府の対応について明言を避けた。 

 http://sankei.jp.msn.com/economy/news/140402/biz14040215380016-n1.htm 

 水産庁、14年度の南極海捕鯨を事実上断念 2014.4.2 15:36

 水産庁は2日、日本が実施している南極海での調査捕鯨に関し、2014年度の実施が困難だとの見方を明らかにし、事実上断念した。国際司法裁判所(ICJ)が日本の南極海捕鯨の停止を命じる判決を下し、調査計画の見直しが不可避となったため。この日、自民党の捕鯨関連の会合で説明した。

 水産庁によると、日本が加盟する国際捕鯨委員会(IWC)の制度上、計画を変更して14年度に調査捕鯨を実施するための手続きが間に合わない状況だという。 

 http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140402/plc14040217430015-n1.htm 

 調査捕鯨敗訴で自民議連が決起?! 鯨肉入りカレーで気合い 政府対応の甘さに重鎮怒り 2014.4.2 17:42

 南極海での日本の調査捕鯨が国際捕鯨取締条約に違反するとした国際司法裁判所の判決を受け、自民党捕鯨議連(会長・鈴木俊一元環境相)は2日、総会を開き、二階俊博元総務会長ら党重鎮が「政府の対応は甘い」と怒りをぶちまけた。

 二階氏は政府側が「判決に従う」としていることに「こんなことで満足していて解決になるか」と強調。大島理森前副総裁は「対抗手段をとることで開ける道もある」と提訴した豪州への対抗措置を求めた。

 石破茂幹事長は「感情的にならず、調査捕鯨が続けられ、きちんとした立証のもとに商業捕鯨ができることを世界に認識させる努力をしなければならない」と冷静な対応を促したが、出席者は判決に怒り心頭。

 総会で振る舞われた鯨のひき肉を使ったカレーライスをほおばり、気合を入れ、国際捕鯨取締条約からの脱退も辞さない決意で捕鯨政策を推進するよう政府に求める決議を採択した。 

 http://sankei.jp.msn.com/west/west_life/news/140402/wlf14040208380000-n1.htm 

 「太地の捕鯨は問題ない」 和歌山知事、調査捕鯨違反判決は禁止を意味しないと見解 2014.4.2 08:31

 南極海での日本の調査捕鯨が国際捕鯨取締条約に違反するとした国際司法裁判所の判決から一夜明けた1日、和歌山県の仁坂吉伸知事は定例会見で「今回の判決は、太地町で行っている捕鯨に全く関係ない。(太地の捕鯨は)世界的に何の問題もなく、今後も続けていくつもり」との見解を述べた。一方、小型沿岸捕鯨を行っている太地町ではさらに、困惑が広がった。

 仁坂知事は判決内容について「こういう判決を出すこともあり得るんだろうと思った」としたうえで、「調査捕鯨の名のもと、今の状態のまま鯨を捕り続けるのは違反となっただけで、鯨を捕ることを禁止としたわけではない。今回の判決は(国内捕鯨に)なんらマイナスの材料になっていない」と述べた。

 太地町の三軒一高町長はこの日、今後の対応を水産庁などと協議するため東京へ。出発前に三軒町長は「調査捕鯨が全面的に禁止されたものではないと考えている。町としても鯨との関わりをなくすことはあり得ない。国ともしっかり話をしたい」と語った。

 町内には鯨に携わる住民も多く、鯨肉をベーコンなどに加工している塩崎伸一さん(63)は「生活をしていくために鯨は必要。太地は認められた沿岸捕鯨を細々とやっていくしかないのか」と肩を落とした。35年間捕鯨船に乗り、小型沿岸捕鯨を中心に南氷洋でも漁をしていたという川崎学さん(75)は「悔しい思い。真綿で首を絞めるように、沿岸捕鯨や追い込み漁に影響がないか心配」と今後の影響を危惧していた。

 この日、町役場では反捕鯨団体による抗議活動もみられず、混乱はなかった。反捕鯨団体などとのトラブルを避けるため、畠尻湾前に設置していた県警新宮署の臨時交番は、漁期終了とともに3月31日で閉鎖された。 

 http://sankei.jp.msn.com/economy/news/140402/biz14040217110020-n1.htm 

 楽天が鯨肉販売を禁止 イルカも、全店舗に通達  2014.4.2 17:09

 楽天が、運営するインターネット仮想商店街「楽天市場」の出店店舗に、鯨肉やイルカの肉の販売を全面的に禁止する通達を出していたことが2日、関係者への取材で分かった。

 楽天は、日本に南極海での調査捕鯨をやめるよう命じた国際司法裁判所(ICJ)の「判決を踏まえ、社として判断した」と説明している。

 楽天によると、禁止したのは鯨やイルカの部位を用いた製品で、肉だけでなく皮や脂、骨などのほか、これらを使った加工品も含まれる。

 通達は1日に全ての出店店舗にメールで送信。店舗向けのガイドラインに「禁止商材」として加えたことも通知し、4月30日までに該当商品を全ての出店ページから削除するよう求めた。

 楽天市場は、4万店舗以上が出店する国内最大のネットショッピングモール。 

 http://mainichi.jp/shimen/news/20140402ddm001070206000c.html  

 余録: 「オーストラリアも捕鯨船によって文明世界に引き出された…  毎日新聞 20140402日 東京朝刊

 「オーストラリアも捕鯨船によって文明世界に引き出された。……今日のあの偉大な植民地の生みの母は捕鯨船だ。移民のしばしばの飢餓を救ったのは運良くもその岸に入ってきた捕鯨船だった」▲メルビルの小説「白鯨(はくげい)」の一節である。19世紀欧米の捕鯨は鯨油採取が目的で、クジラはバレルを単位とする採油量で識別された。たとえば鯨油40バレルクラスの大きさの雄マッコウクジラは「40バレル・ブル」と呼ばれたのである(森田勝昭(もりたかつあき)著「鯨と捕鯨の文化史」)▲当時のクジラは都会に灯油を供給する泳ぐ油井(ゆせい)として乱獲されたのである。そんな自然収奪型の捕鯨を「生みの母」とする国の人に、なぜささやかな食の楽しみを非難されるのか--と、つい感情的になりそうなのが今日の捕鯨摩擦である。だが裁判では完敗だった▲南極海での日本の調査捕鯨の即時中止を求めてオーストラリアが起こしていた訴訟で、国際司法裁判所(ICJ)は豪州側の主張を全面的に認める判決を下した。日本の調査捕鯨は「科学調査ではない」と断定、事実上の商業捕鯨だと認め、その中止を命じたのである▲調査にしては捕獲枠が多く、殺す以外の選択を探っていない。つまり科学調査は商業捕鯨の隠れみのにすぎないという主張に有効に反論できなかった日本である。こうなると他の漁業資源管理にかかわる日本の科学調査への信頼まで失われはしまいかと懸念がつのる▲どうにも分の悪い今日の世界での捕鯨だが、妙な被害者感情は禁物だろう。ここは反捕鯨国との価値観の違いを冷静にのみ込み、今の国際社会の中の日本の立ち位置にふさわしい対応を探りたい。 

 http://mainichi.jp/area/yamaguchi/news/20140402ddlk35040409000c.html 

 調査捕鯨: 南極海中止判決 「理解得れず本当に残念」 下関市長、定例会見で落胆 /山口 毎日新聞 20140402日 地方版

 南極海での日本の調査捕鯨を巡り、国際司法裁判所が3月31日の判決で中止するよう命じた。クジラとゆかりの深い下関市の中尾友昭市長は1日の定例記者会見で「残念だ。市が目指す調査船団の母港化も不透明になった」と述べ、改めて落胆の意を示した。【平川昌範】

 中尾市長と報道陣との一問一答は次の通り。

 --判決をどう思うか。

 裁判の結果なので厳粛に受け止めなくてはいけないが、私としては日本は正しい調査をしていると思う。動物の命をいただくのは人間の性(さが)というか宿命だ。クジラだけが特別な生き物ではないと思う。地球的な生態系のバランスと食糧自給を考えた中での日本の調査捕鯨であったわけで、世界の人たちに理解していただけなかったのは本当に残念だ。

 --下関の経済への影響は。

 (調査捕鯨母船「日新丸」の下関への入港が)再開したのは去年から。何十年も続いてきたものがなくなる、ということではない。ただ、経済効果がある取り組みへの構想があったので残念だ。業界も誘致協議会を作って足並みをそろえ、荷役業者、冷蔵庫業者、輸送業者などが民間の努力で下関で(鯨肉を)加工し、全国へ発送する仕組みができつつあった。本当に残念というしかない。

 --鯨食文化へ影響を懸念する声もある。

 沿岸捕鯨があるので(鯨肉そのものが)なくなることはないと思う。ただ、南極海の分が減ってしまう危惧はあるし、消費が拡大できるとは思えない。逆に(価格が)高くなり、庶民の口から遠ざかる方が危惧がある。(鯨肉を使った)学校給食もせっかく年12回もやっているのだが。

 --下関を調査捕鯨船団の母港にする市の取り組みに影響は。

 不透明になった。いくらこちらが望んでも国の事業なので国の様子を注視する以外にない。希望はあるがとても残念だ。

 --林芳正農水相は1日の会見で、現在の第2期の調査捕鯨を中止すると述べた。

 これも国の判断だが、私は国が北西太平洋の捕獲調査事業を丸抱えでやり、我が国の食文化をこれからも残すんだ、とやってもらいたい。捕獲、調査、販売すべてを国が一括してやり、捕鯨事業は国が責任を持って継続するというぐらいにやっていただきたい。 〔下関版〕 

 http://mainichi.jp/area/yamaguchi/news/20140402ddlk35040379000c.html 

 調査捕鯨: 南極海中止 「しっかりと国が対応を」 判決受け村岡知事 /山口  毎日新聞 20140402日 地方版

 南極海での調査捕鯨に中止命令が出た国際司法裁判所の判決について、村岡嗣政知事は1日、「鯨は歴史的、産業的に本県にも深い関わりがある。決定は残念だが、これからも食卓に鯨を提供できるようにしたい。国にしっかり対応してほしい」と述べた。

 同日、県庁で記者団の取材に答えた。県内では下関市に捕鯨基地があったことなどから、鯨の食文化が浸透。県は2007年度から学校給食で鯨肉を使った際、補助金を出す制度を実施している。村岡知事は「現時点では(補助制度に)継続的に取り組んでいくことを考えている」と話した。【蓬田正志】 〔山口版〕 

 http://mainichi.jp/area/yamaguchi/news/20140402ddlk35040410000c.html 

 調査捕鯨母船: 日新丸、今月上旬下関へ 2年連続4回目 /山口 毎日新聞 20140402日 地方版

 中尾市長は1日の定例記者会見で、南極海で調査捕鯨にあたっていた調査捕鯨母船「日新丸」が今月上旬にも下関港に入港すると発表した。日時は明らかにしていない。入港は2年連続で、1987年に南極海の調査捕鯨が始まって以来4回目。寄港の誘致をしてきた市は入港式を開いて歓迎する。

 発表によると、日新丸のほか、下関を基地とするキャッチャーボート「勇新丸」「第二勇新丸」の2隻も入港する。調査で捕獲されたクジラの肉が荷揚げされる見通し。

 中尾市長は「(国際司法裁判所の)判決が出て一番がっかりしているのは捕鯨に従事されている皆さんだと思う。(入港式で)関係者の方のご労苦をねぎらいたい」と話した。

 日新丸を母船とする調査船団は昨年12月?今年3月、南極海でクロミンククジラなどの捕獲調査にあたっていた。【平川昌範】 

 http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/140402/trl14040203560000-n1.htm 

 【産経抄】 クジラの恩恵  2014.4.2 03:30

 幕末から明治の国際化に貢献した中浜万次郎は少年時代に漂流し、米国の捕鯨船によって無人島から助けだされる。そこで命がけでマッコウクジラと戦う船員たちの姿を目の当たりにする。19世紀の半ば、米国で捕鯨が最も盛んな時代だった。

 ▼捕鯨といっても食用ではなく、目的は鯨油だった。万次郎の半生を描く津本陽氏の『椿と花水木』によれば、米国に帰った船長は油を売り、2万ドルという当時なら一生を安楽に暮らせる巨富を得た。船員の一人となった万次郎も目もくらむような配当金を手にする。

 ▼米国にとって鯨油がいかに貴重で、捕鯨が重要産業だったかを示している。しかし19世紀後半に自国内で石油が発見されると、米国は急速にクジラへの関心を失う。20世紀に盛んになる南極海での捕鯨にも目を向けないどころか、次第に「反捕鯨」を鮮明にしてくる。

 ▼だが日本は事情が全く違った。捕鯨は古くからの産業だったが、灯油用ばかりでなく肥料用やタンパク源としてもクジラの世話になった。戦後の食糧難の時代はGHQの許可をとり、小笠原近海で捕鯨を行い危機を脱した。給食で食べた記憶を持つ人も多いはずだ。

 ▼その日本の南極海での調査捕鯨に国際司法裁判所が中止を命じた。米国など反捕鯨国出身の裁判官が多数を占めているためだ。鯨肉は南極海以外からも入ってくるから、日本の食卓から全く消えるわけではない。だが本格的捕鯨再開をという望みはかないそうもない。

 ▼世界的にみればもう一度クジラを必要とする時代がきてもおかしくない。米国などかつての捕鯨国にはその歴史を説き理解を求めるべきだ。怖いのは日本人まで、かつてのクジラの恩恵を忘れ、反捕鯨運動の尻馬に乗ってしまうことである。

                         

 http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2014040200204 

 ノルウェーは商業捕鯨継続=前年規模に設定

【オスロAFP=時事】 ノルウェー政府は1日、2014年の商業捕鯨枠について、前年と同じ最大1286頭に設定したと公表した。この前日には、国際司法裁判所(ICJ)が日本に対し、南極海での調査捕鯨を中止するよう求める判決を下したばかり。

 アスパケル漁業相は声明で「今年も捕鯨業界に対し、継続性を保証する捕鯨枠を決定した」と述べた。

 ノルウェーは、国際捕鯨委員会(IWC)が採択した商業捕鯨モラトリアム(一時停止)に反対し、自国は適用外との立場を取っている。商業捕鯨を行っているのは世界でノルウェーとアイスランドのみ。(2014/04/02-10:21

 http://www.cnn.co.jp/world/35046002.html 

 調査捕鯨に中止命令、日本は順守するのか(CNN) 2014.04.02 Wed posted at 14:32 JST

 〔当サイト製作者による若干のコメント。 以下で紹介されているアメリカ人の発言は相当に傲慢で差別的ですが、少なからぬアメリカ人は似たような考え方をしているであろうことを知るという意味で紹介します。 日本人の中には、日本の南極海での捕鯨がいけないのであってアメリカ人は日本の食文化そのものに反対なのではない、というようなことを言う人がいますが、完全に間違いであることが分かるでしょう。〕

(CNN) オランダ・ハーグの国際司法裁判所(ICJ)が、南極海で日本が行っている調査捕鯨は科学的な調査とは認めらないとの判断を示したことについて、米ストーニーブルック大学のブルーオーシャン研究所長カール・サフィナ氏がCNNに意見を寄稿した。日本は欧米の文化を取り入れて来た歴史にならい、古い文化を捨てるべきだとの主張を展開している。

サフィナ氏はICJの判決を歓迎し、「日本の『科学的』捕鯨はたわ言だったとICJが認定した」と解釈。日本が判決に従うと表明していることについても、「日本は歴史的に、国際的な意向の限界点を逸脱してルールを曲げる創造性を発揮してきた。当局も捕鯨業者もまずクジラを殺すことが先決で、理屈は二の次になっているようだ。捕鯨に無意味な変更を加え、漁を続ける言い訳にされとしても不思議はない。あるいは判決は南極海の調査捕鯨のみが対象で、太平洋での捕鯨には当てはまらないと言い出す可能性もある。またはノルウェーやアイスランドのように、単純に捕鯨禁止を無視するかもしれない」と主張する。

捕鯨に反対する理由としてサフィナ氏は、過去60年の間に南半球で約200万頭のクジラが殺されたと述べ、大型クジラのほとんどは頭数が回復していないと指摘。さらに、クジラに苦痛を与えずに殺す方法が存在しないことや、「値段は鶏肉の約10倍もする。クジラの肉がなくなっても餓死する人はいない」ことを挙げた。

同氏によれば、水産庁幹部は2012年に、ミンククジラは刺身にして食べるととても美味で香ばしく、調査捕鯨はミンククジラの肉の安定した供給を確保するために必要だと発言したという。「これは言い換えれば、調査捕鯨の目的は科学調査ではないということだ」とサフィナ氏。

捕鯨は欧米諸国が牛を殺すのと同じだという主張については、「日本の法律では牛に苦痛を与えず即死させることを義務付けている。もしクジラを殺しているようなやり方で牛を殺せば日本の法律に触れる」と論じている。

捕鯨は日本の文化だという主張に対しては、「これはニューイングランドの文化でもある。過去の文化だ。米国のレストランの壁には旧式のもりが飾ってある。それがあるべき場所だ。日本は残忍で役に立たないクジラ殺しに対する奇妙な入れ込みを改めるべき時だ」と力説した。

さらにサフィナ氏は、「日本は野球からジャズ、ビジネススーツ、列車、たばこに至るまで、西洋の影響を取り入れて来た。スズキ(自動車)は古い文化を想起させる『サムライ』という乗用車を製造しているが、そこにしがみつくためのサムライ刀は製造していない。今こそ日本は21世紀に入り、捕鯨を永久に中止すべきだ」と結んでいる。

 

NEW!・4月1日(火)    国際司法裁判所の判決に関する続報。 毎日新聞および産経新聞のインターネットニュースより。

 http://mainichi.jp/journalism/listening/news/20140401org00m040008000c.html 

 南極海の調査捕鯨中止 国際司法裁、日本が敗訴 20140401

 【ハーグ(オランダ)斎藤義彦】 南極海での日本の調査捕鯨が国際捕鯨取締条約に違反するとして、オーストラリアが国際司法裁判所(ハーグ)に差し止めを求めた訴訟で、同裁判所は31日、豪州側の主張を全面的に認め、調査捕鯨は同条約が例外的に認めた科学調査でないうえ、商業捕鯨による捕獲数を1986年からゼロと定めた一時停止(モラトリアム)にも反すると判断した。さらに、今後の南極海の調査捕鯨も許可しないよう命じた。裁判は1審制。日本政府代表の鶴岡公二内閣審議官は「判決を受け入れる」と述べた。これで87年から続いていた南極海での調査捕鯨は中止されることになった。

 ◇研究目的認められず

 日本は94年から北西太平洋でも調査捕鯨を行っている。豪州は、南極海以外でも科学調査にあたらない捕鯨を禁じるよう求めたが、判決は「条約上の義務は明らか」として判断せず、「日本が判決を考慮するよう期待する」と述べた。日本は、今回の判決は基本的には南極海に限定され、北西太平洋の調査捕鯨には影響しないとの立場だった。鶴岡氏は「判決をよく読んで検討する」と述べたが、継続は極めて厳しい状況になっている。

 豪州のキャンベル代表は判決を「歓迎」し、「判決が豪日関係に影響を与えてはならない」と述べた。

 同条約は科学調査が目的の場合、クジラを殺して利用することを認めている。判決は調査捕鯨の計画や実態は目的に合っていないとして「科学調査ではない」と断定。商業捕鯨であることを事実上認めた。

 これにより、調査捕鯨は、商業捕鯨の捕獲数をゼロにするモラトリアム▽商業捕鯨での加工船の利用禁止▽94年に設置された南極海の禁漁区(サンクチュアリ)での捕鯨禁止--のいずれにも違反しているとして豪州の主張を認めた。

 さらに、現行の南極海での調査捕鯨の許可を撤回するとともに、将来も許可を出さないように命じた。

 日本が国際司法裁で訴訟当事国になったのは初めて。判事16人のうち12人が判決の大部分の項目に賛成し、反対は日本などの4人にとどまった。日本は「裁判所に管轄権がない」と主張、訴えを却下するよう求めていたが、主張は全会一致で認められなかった。豪州は「調査捕鯨は科学を装った商業捕鯨」で、同条約違反だとして調査捕鯨中止を命じるよう求め、2010年5月に提訴していた。

 http://mainichi.jp/shimen/news/20140401ddm041040167000c.html 

 調査捕鯨: 国際司法裁、調査中止命令 識者の話  毎日新聞 20140401日 東京朝刊

 ◇議論尽くしたか--秋道智弥(ともや)・総合地球環境学研究所名誉教授(生態人類学)の話

 調査捕鯨での捕獲数は全体の個体数に影響を与えないという議論が国際捕鯨委員会(IWC)で行われており、科学的な議論を尽くした判決だったのか疑問だ。ただ、調査捕鯨の必要性を、その調査結果できちんと示せるよう日本側も再考しなければならない。

 ◇中止するいい潮時--森川純・酪農学園大特任教授(国際関係論)の話

 1987年の調査捕鯨開始以来、日本は1万頭に及ぶクジラを捕っており、もはや「調査」ではない。商業捕鯨だと判断されても仕方がない。南極海まで遠出する遠洋漁業が「伝統文化」と言えるのか。国際的にはクジラを食べる国はほとんどなく中止するいい潮時。時代の流れに耳を傾けた方がいい。 

 http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/140401/trl14040107590001-n1.htm 

 日本捕鯨 「科学」 認めず 南極海敗訴 支持国中露も 「中止」 2014.4.1 07:57

 【ハーグ=宮下日出男】 南極海での調査捕鯨をめぐる国際司法裁判所(ICJ)の31日の判決はオーストラリアの主張をほぼ受け入れた日本の「全面敗訴」といえる結果だった。捕鯨支持国の中国、ロシアもオーストラリアの請求を支持。調査捕鯨の道が完全に断たれたわけではないが、日本の捕鯨政策に大きな影響を与えるのは必至だ。

                   ◇

 裁判の対象は南極海で実施中の調査捕鯨で、北西太平洋では継続可能だ。判決は政府が今後、調査捕鯨の免許を出す場合は判決内容を踏まえるよう求めており、将来の南極海での調査捕鯨が可能であるとの含みも持たせている。

 判決は日本の調査捕鯨に「科学的研究の性格を持つ」と一定の理解を示しているがその計画や実施手段が国際捕鯨取締条約で認められた「範囲を超える」と指摘。特に問題視されたのは鯨を殺す致死性の調査手法だ。

 日本は致死性調査は胃の内容物などの調査に不可欠だと主張したが、判決は日本が別の手段を十分に検討していないとし、オーストラリアの主張を受け入れた。実際の捕獲数が捕獲枠よりも少ないことも「科学的調査目的」との主張に疑問を投げかけられる要因となった。日本は米反捕鯨団体「シー・シェパード」の妨害が原因と訴えたが、判決は立証が不十分とした。

 オーストラリアが提訴した約4年前、調査捕鯨中止を目指す同国は、機能不全に陥った国際捕鯨委員会(IWC)の議論に業を煮やしていた。ICJに提訴された場合、義務的に応じなければならないとする強制管轄権を認めず、竹島問題の付託を拒否している韓国と異なり、日本は強制管轄権を認めているため受けて立たざるを得なかった。

 判事16人のうち反捕鯨国出身は10人。この構成が不利に働いたと予断はできないが、投票ではオーストラリアの請求を支持した判事12人中、反捕鯨国出身はフランスを除く9人だった。

 国際的な法廷の場で下された判決は「客観的判断」として重い。日本の捕鯨を取り巻く環境は厳しさを増すのは間違いない。

 ■調査捕鯨裁判の判事の出身国

 〈反捕鯨国出身(10人)〉米国、英国、ブラジル、フランス、メキシコ、スロバキア、ニュージーランド、イタリア、インド、オーストラリア

 〈捕鯨支持国出身(4人)〉日本、中国、モロッコ、ロシア

 〈その他(2人)〉ウガンダ、ソマリア

 ※「反捕鯨国」「捕鯨支持国」等の区分は日本捕鯨協会資料に基づく 

 http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/140401/trl14040113190004-n1.htm 

 「商業捕鯨の再開」 遠のく 水産庁、ゆらぐ目標 「深く失望している」 2014.4.1 13:15

 日本の調査捕鯨中止を命じた国際司法裁判所の判決を受け日本政府は「判決に従う」との姿勢を示した。南極海で行っている現在の調査捕鯨の継続は困難となり、捕獲頭数などの見直しを迫られる可能性も出てきた。商業捕鯨の再開という目標は、大きくゆらいだともいえる。

 調査捕鯨とは、クジラの生息数や生態などを科学的に調査するため行っている南極海や北西太平洋での捕鯨。日本は国際捕鯨取締条約に基づきミンククジラなど5種を捕獲しているが、反捕鯨団体「シー・シェパード」による妨害行為にさらされている。

 水産庁には、これまでの調査捕鯨では国際社会から一定の理解を得てきたとの思いがあった。しかし、期待を大きく裏切られるような判決に、同庁幹部は「日本側の主張が認められず大変残念であり、深く失望している」とコメントした。ただ、南極海からの調査捕鯨の撤退は明言しなかった。

 同庁幹部は「政府関係機関と一体となり、有力な専門家の協力も得て真(しん)摯(し)に主張してきたが、受け入れられなかった」と述べた。北西太平洋での調査捕鯨は「訴訟の対象になっていない」と強調した。 

 http://sankei.jp.msn.com/economy/news/140401/biz14040111030028-n1.htm 

 「クジラは重要な食糧資源」 林農水相 「基本的な考え変わらない」  2014.4.1 11:02

 林芳正農林水産相は1日の閣議後会見で、オランダ・ハーグの国際司法裁判所が日本による南極海の調査捕鯨を条約違反と認定したことをめぐり、「鯨類というのは重要な食糧資源。科学的な根拠に基づいて持続的に利用していくというわが国の基本的な考え方は変わらない」と述べた。

 判決は、日本が昭和63年から南極海で実施している調査捕鯨のうち、平成17年からの第2期について実施取りやめを命じた。

 林農水相は会見で、「判決に従って2期の調査捕鯨は中止する」と明言。今後の対応は「判決内容を精査して検討する」としたが、「商業捕鯨を持続的にやる枠組みを作っていくためのデータを集めるための調査捕鯨という位置づけだ」と訴えた。

 訴訟はオーストラリアが日本の南極海の調査捕鯨の中止を求めて起こし、反捕鯨国のニュージーランドも第三者として訴訟に参加した。 

 http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/140401/trl14040110560003-n1.htm 

 調査捕鯨敗訴 鯨文化の衰退心配 関係者 「納得できぬ」  2014.4.1 10:54

 「勝訴を信じていたので、大変驚いた」。国際司法裁判所(ICJ)が31日、日本の南極海での調査捕鯨を国際捕鯨取締条約違反と認定、今後実施しないよう命じたことについて、鯨類研究の権威で調査捕鯨を行う「日本鯨類研究所」顧問を務める大隅清治氏(83)はこう語った。今後はこれまで通りの調査捕鯨ができなくなる可能性もあり、捕鯨が行われている各地域からも「日本の鯨文化が衰退する」などと不安の声が相次いだ。

 日本の調査捕鯨は、同条約で認められた科学的研究のための捕鯨であり、大隅氏は「ICJの権威を疑うような判決。厳正であるべき法律と科学が政治によってゆがめられた結果ではないか」と憤る。

 南極海は世界の鯨の宝庫であり、世界の急速な人口増に伴う食糧不足に対応するため、タンパク源としての鯨の重要性が増すとの指摘もある。大隅氏は「そのためにも、経験と技術を持った日本が南極海で調査にあたることは重要」と語った。

 宮城県・金華山の沖合で十数年間、調査捕鯨を続けてきた同県石巻市の牡鹿漁業協同組合の内海純さん(52)は、「心外というか意外というか…。とにかく納得がいかない」と困惑しきった様子で語った。

 漁協は毎年春、捕鯨会社と協力し、50日間かけて60頭を上限に調査捕鯨を続けてきたが、判決を受け、今年は実施できるかどうか見通せなくなった。

 江戸時代から約400年の捕鯨の歴史をもち、「捕鯨の町」として知られる和歌山県太地町でも困惑が広がった。三軒一高(さんげん・かずたか)町長は「非常に厳しい判決」と表情を曇らせた。「太地の捕鯨にも何らかの影響があることは間違いないと思う」と厳しい表情を見せたが、「太地は400年の長きにわたり捕鯨を続けてきた。今後も鯨に関わっていくことに何ら変わりはない」と力を込めた。

 関東で唯一の小型捕鯨が行われている千葉県南房総市和田町の和田漁港。南極海の調査捕鯨とは直接関係はないため、和田町漁協の関係者は「町への直接の影響はないと思う」としながらも、「日本全体の鯨文化が衰退してしまわないか心配だ」。同町の主婦、山上早苗さん(56)は「私たちの家では鯨は当たり前のように食卓に並ぶもの。捕鯨全体がだめということになってしまったら悲しい」と話した。 

 http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/140401/trl14040108020002-n1.htm 

 日本、南極海調査捕鯨、敗訴 勢いづくシー・シェパード  2014.4.1 08:01

 日本の南極海調査捕鯨をめぐっては、知名度の高い過激団体、シー・シェパード(SS)が“日本バッシング”を世界に広め、国際的な世論形成に影響を与えてきた面は否めない。日本と友好関係にあるオーストラリアがICJへの提訴に踏み切った背景には、鯨を「知的動物」と考え、食べることを認めない国民の価値観に加え、SSが火をつけた反捕鯨運動が政治問題化した経緯もあった。

 2013年までの労働党政権で連立与党だった「緑の党」はSSとの連携をPRして支持を拡大。ボブ・ブラウン元党首は、国際指名手配中のSS創始者、ポール・ワトソン容疑者と親密で、同党は政権内で、豪政府にSSを国内法で立件しないよう求めてきた。

 毎年、SSは派手な反捕鯨キャンペーンを展開し、豪州が提訴する10年の段階では、日本政府により強硬な態度を取るよう求める国民世論が高まっていた。

 また、反捕鯨国の米国や英国はSSを特別な非営利団体(NPO)として認めて寄付金などに免税措置を取り、団体を財政面で支援。オランダはSSの抗議船の船籍を認めるなど調査捕鯨への国際的な包囲網が形成された。

 判決を受け、米国に滞在しているとみられるワトソン容疑者は声明を出し、勝利宣言。「日本は海の巨獣の数千もの命を奪っている。鯨をそっとしておいてほしい」と支持者らにメッセージを送った。

 SSはさらに、国際的なルールの枠外にある和歌山県のイルカ漁や各地の伝統的沿岸捕鯨、さらにはマグロ漁も標的にしている。「日本を批判すれば寄付金が増える」(日本政府関係者)からで、今回のICJ判決により勢いづき、活動を活発化させる可能性がある。(佐々木正明) 

 http://mainichi.jp/select/news/20140402k0000m040034000c.html 

 調査捕鯨: 和歌山県知事 「太地町に問題なし、堂々続ける」  毎日新聞 20140401日 1914

 南極海での日本の調査捕鯨を認めなかった国際司法裁判所の判決について、捕鯨が盛んな太地町がある和歌山県の仁坂吉伸知事は1日、「太地町での捕鯨は世界的に何の問題もない。堂々と続けていくつもりだ」と述べた。

 定例記者会見で質問に答えた。太地町漁協組合員は現在、農林水産相や知事の許可を得て、国際捕鯨委員会(IWC)の規制対象外の小型鯨類を対象に、沿岸捕鯨や追い込み網漁などを実施している。

 仁坂知事は判決内容について「今の日本のやり方は、調査の名による捕鯨とは認められないということ。調査捕鯨で得た肉の販売などを禁止したわけではない」と述べた。【中村好見】 

 http://mainichi.jp/area/hokkaido/news/20140401ddr041040007000c.html 

 調査捕鯨: 国際司法裁、中止命令 捕鯨の街、募る不安 北海道・網走、釧路 「沿岸に影響も」

 毎日新聞 20140401日 北海道朝刊

 南極海での調査捕鯨に中止命令が出た31日の国際司法裁判所判決を受け、日本各地の捕鯨基地からは「クジラの食文化が否定された形で無念だ」「影響は南極海以外の捕鯨に及ぶかもしれない」と懸念する声が上がった。日本は南極海以外に北西太平洋で調査捕鯨をしているほか、沿岸では国際捕鯨委員会の管轄外のクジラを対象に小型捕鯨を行っている。判決を機に、これらの捕鯨にも国際的な圧力が高まりかねない。【町田徳丈、山田泰雄、近藤卓資、近藤綾加】

 南極海で調査捕鯨船4隻を運航する「共同船舶」(本社・東京)は幹部らがオランダ・ハーグの国際司法裁判所からのインターネット中継を固唾(かたず)をのんで見守った。判決内容が判明すると、社内では意気消沈した雰囲気が広がったといい、担当者は「現時点では何も話せない。水産庁の発表を受けてどう対応するか表明したい」と言葉少なだった。

 判決の効力が及ばない各地の捕鯨基地からも「影響が出るかもしれない」と不安視する声が上がった。

 調査捕鯨の実施主体「地域捕鯨推進協会」(福岡市)の下道(しもみち)吉一代表理事は、自らも北海道網走市で捕鯨会社「下道水産」を経営し、釧路沖での調査捕鯨や国内各地の小型捕鯨をしている。下道代表は、今回の全面敗訴の報に「あくまでも『現状では認められない』という内容だとも聞いている。現段階では臆測で物を言うべきではない」と慎重な姿勢で、詳細な情報を集めたいとした。

 捕鯨の歴史が長い網走港を抱える網走市の河野宣昭・水産港湾部次長は「事前の報道では『双方痛み分けの可能性』も示唆していただけに、非常に厳しい内容だ」と肩を落とした。

 同市では調査捕鯨した鯨肉の提供を受け、市民への販売や学校給食での利用などを進めてきた。河野次長は「捕鯨禁止は南極海以外にも波及する恐れがある。市の取り組みは継続が難しくなる」と話した。

 釧路市の釧路和商市場でクジラ肉を売っている「木村鮮魚店」は、半数が南極海のクジラだ。同店の小林勝行さん(35)は流通量の減少で価格が高騰することを懸念し、「捕獲頭数を減らしても継続を認めてほしかった。クジラの街として親しまれた食文化が廃れてしまう」と危機感を募らせた。

江戸時代末期の1838年に捕鯨が始まった宮城県石巻市牡鹿半島南端の鮎川港は、東日本大震災の津波で岸壁が損壊し、捕獲した鯨を調べる「鯨体調査所」も骨組みだけになるなど甚大な被害が出た。

 「クジラ文化の拠点」として復興を急ぎ、調査船の出港が昨春再開されたばかりで、捕鯨業者が所属する牡鹿漁業協同組合参事の渡辺玲さん(53)は「捕鯨は一つの文化だが、否定された形で残念だ。中長期的に見て鮎川にも圧力がかかると考えると、嫌な感じがする」と不安を訴えた。

 ◇いきなり「食べるな」と言われても…料理店「死活問題」

 クジラ料理の専門店などからは「死活問題だ」という声が聞かれた。

 「クジラのおかげで商売をし、子供も育ててきた。(国際司法裁判所が)いきなり他人の台所にやって来て『食べるな』と言われても」と憤るのは、千葉県南房総市和田町で約30年間、クジラ料理店を営む櫟原(いちはら)八千代さん(64)。地元で水揚げされる近海のツチクジラは捕獲期間が夏の一時期に限られ、櫟原さんの店で使う多くの生肉は調査捕鯨で得ているためダメージは避けられない。「クジラ食は地域文化を育む核です」と訴える。

 東京都千代田区で約30年続くクジラ料理店の店主、谷光男さん(58)は、調査捕鯨は南極海だけではないため「仕入れ量に大きな影響はないだろう」と言う。しかし「イメージダウンが一番恐ろしい」と心配した。【中島章隆、渡辺諒】 

 http://mainichi.jp/area/news/20140401ddp012040015000c.html 

 調査捕鯨: 中止命令 クジラの町に不安 食文化否定されたのか/経営にかかわる 毎日新聞 20140401日 西部朝刊

 (一部省略)

 山口県長門市とともに近代捕鯨の発祥地と言われる同県下関市。商業捕鯨をしていた1960年代には年間2万トンの水揚げがあり、今もキャッチャーボート2隻の基地で、鯨肉加工業者や鯨肉専門販売店がある。

 中尾友昭市長は報道陣に「大変残念な判決だ。鯨食文化まで否定されたとは思わないが、鯨に対する戦略を見直さざるを得ない状況になるかもしれない」と話した。

 1956年創業の有吉鯨肉店の有吉治洋さん(67)は「鯨肉はかつて大衆食だったが、今や若者で買いに来る人はほとんどいない。そのうえ南極海の鯨が入ってこないとなると経営にもかかわる」と不安げに話した。

 商業捕鯨時に捕鯨船船長や砲手を約30年間務めた同市の沖吉(おきよし)明さん(87)は判決に理解を示した。「戦後の食糧難で日本人を餓死から救いたいとの思いで捕鯨の道に進んだ。今とは時代背景が違う」と指摘。「調査と言いながら各国のコンセンサスを得ずに捕獲頭数を増やしてきた日本も反省するべきで、判決は仕方がない。南氷洋を協調性ある海にしないといけない」と話した。

 明治期に近代捕鯨が始まった長崎市。鯨は祭りや食文化など市民生活に密接に関わってきた。明治37(1904)年から鯨肉の加工・販売に携わってきたという長崎市築町、「井上鯨肉店」の井上美知子店長は「取り扱いは南氷洋の鯨がほとんどなので、本当に調査捕鯨ができなくなれば影響は大きく、心配だ。日本政府がどう出るのか見極めたい。なんとか捕鯨が続けられるようにしてほしい」と不安そうに話した。【平川昌範、大場伸也】

 ◇前線基地、影響拡大を懸念

 日本は南極海以外に北西太平洋で調査捕鯨をしているほか、沿岸では国際捕鯨委員会の管轄外のクジラを対象に小型捕鯨を行っている。判決の効力が及ばない各地の捕鯨基地からは「影響が出るかもしれない」と不安視する声が上がった。

 

NEW!・3月31日(月)    国際司法裁判所の調査捕鯨に関する判決のニュース、毎日新聞および産経新聞インターネットニュースより。

 http://mainichi.jp/feature/news/20140401k0000m030046000c.html 

 調査捕鯨訴訟: 日本敗訴 国際司法裁判所、条約違反と認定

 毎日新聞 20140331日 1905分 (最終更新 0331日 1949分)

 反捕鯨国のオーストラリアが、日本による南極海での調査捕鯨は国際捕鯨取締条約に違反するとして中止を求めた訴訟で、オランダ・ハーグの国際司法裁判所は31日、日本の現在の調査捕鯨は条約違反とし、今後実施しないよう命じた。

 同裁判所の裁判は一審制で控訴は認められておらず、日本政府は判決に従う考え。日本が1987年から続けてきた南極海の調査捕鯨は継続が困難になった。

 訴訟の最大の争点は、南極海で実施している日本の調査捕鯨が国際捕鯨取締条約8条で認められた科学的研究のための捕鯨に当たるかどうか。オーストラリアは、「科学を装った商業捕鯨だ」と訴えた。(共同) 

 http://mainichi.jp/select/news/20140401k0000m030115000c.html 

 調査捕鯨中止: 「透明性欠いた」点、受け入れられず

 毎日新聞 20140331日 2146分 (最終更新 0331日 2325分)

 豪州が調査捕鯨差し止めを求めた訴訟で、国際司法裁が31日、日本側全面敗訴の判決を出したことについて、専門家からは「予想外に踏み込んだ判決」との驚きが広がっている。日本の調査捕鯨が「透明性や明確さを欠いた」点が動物保護の世論が強まる国際社会で受け入れられなかったとの見方が出ている。

 判決で日本の全面敗訴が読み上げられると法廷は緊張感に包まれた。鶴岡公二・政府代表は記者団の前で落胆の表情を隠せず「残念であり、深く失望した。しかしながら、日本は国際社会の基礎である国際法秩序や法の支配を重視する国家として判決には従う」と述べた。豪州代表団は日本側が感情的に反発することを警戒、勝利を強調することを控えている。キャンベル代表は笑顔も見せずに「問題解決の場として国際司法裁は適切だった」と記者団に述べた。

 国際司法裁に詳しいアッサー研究所(ハーグ)のリベリンク・上席研究員(国際法)は「予想以上に厳しい判断を下した。科学調査といいながら研究成果が乏しく、なぜ、何のために、いつまでやるのか、透明性、明確性が欠けていたことが敗因」と分析する。

 判決は、科学調査のため例外的に捕鯨を行うことまでは否定せず、日本の調査捕鯨も「科学目的と性格づける調査も含まれている」と指摘した。しかし▽87年から04年までの第1期調査と第2期調査の違いが明確でない▽非殺傷調査を増やす検討をしていない▽目標枠に比べミンククジラの捕獲量が少ない▽ナガスクジラの捕獲量も科学調査には不十分▽期限が切られていない--として「科学調査ではない」と断定した。

 科学調査であることが証明できない結果、商業捕鯨とみなされ、86年からの捕獲一時停止(モラトリアム)に違反するなどと判断されて全面敗訴となった。

 捕鯨に反対する市民団体IFAW(米国)のラメージ捕鯨問題担当局長は「商業捕鯨を存続させるため官僚が立てた複雑な理屈が国際社会では通じなかった」とみる。自然保護団体は日本が北西太平洋で調査捕鯨を続行する場合は抗議する構えを見せている。

 一方、捕鯨を批判する欧米やオセアニアとの外交交渉で捕鯨問題が常に障害となってきた事実は否定できない。日本が調査捕鯨を断念すれば、外交的には評価を受けることになりそうだ。 【ハーグ斎藤義彦】 

 http://mainichi.jp/select/news/20140401k0000m020114000c.html 

 調査捕鯨中止: 政策見直し必至 消費者影響は限定的

 毎日新聞 20140331日 2142分(最終更新 0331日 2217分)

 国際司法裁判所(ICJ)の南極捕鯨裁判の判決が、調査捕鯨の前提である「科学的目的」を否定したことで、南極海での調査捕鯨継続は困難となった。鯨料理を「伝統的な食文化」としている日本政府は、商業捕鯨再開に向けた政策の全面的な見直しを迫られる。一方、鯨肉の国内流通量はピーク時の約2%まで減少しているほか、南極捕鯨で捕獲した鯨肉は国内流通量の2割にとどまっており、消費者への影響は限定的との見方もある。

 国際捕鯨委員会(IWC)が1982年に決定した商業捕鯨の一時停止(モラトリアム)は、クジラの科学的な資源評価を行ったうえで、90年までに一時停止を見直すことになっていた。日本政府は87年から調査捕鯨でデータ収集を重ねてきたが、IWCは捕鯨国と反捕鯨国の対立で機能不全に陥っており、商業捕鯨モラトリアムは見直されないまま継続している。今回の判決を受け、水産庁幹部は「商業捕鯨再開に必要な科学的データの収集ができなくなる」と表情をこわばらせた。

 日本は南極海のほか、北西太平洋でも94年から調査捕鯨を実施している。今回の判決は南極海に限定され、北西太平洋の調査捕鯨の停止は求めていないが、「科学的目的」を否定されたことで、北西太平洋でも捕獲数の削減など大幅な見直しを迫られる可能性が高い。

 判決を受け、外務省や水産庁は商業捕鯨再開に向けた戦略の練り直しを急ぐ。IWC科学委員会が今年5月に行う南極海調査捕鯨の実績評価を踏まえ、調査計画を大幅に見直すことで新たな調査捕鯨を実施できるかどうか模索する。また、過去30年間の調査捕鯨のデータを活用し、IWCで商業捕鯨の再開を主張することも検討するとみられる。

 一方、商業捕鯨停止が長期化するなか、消費者の鯨肉離れも進んでいる。鯨肉は戦後の貴重なたんぱく源で、国内流通量は62年に約23万トンとピークをつけたが、2012年は5000トンに減少。このうち、北西太平洋の調査捕鯨が3割、輸入が2割を占め、南極海の調査捕鯨は992トンと全体の2割に過ぎない。ここ数年は消費の伸び悩みによる鯨肉在庫の増加が問題になったほか、IWCの商業捕鯨モラトリアムを受け入れず、商業捕鯨を行っているアイスランドやノルウェーからの輸入も可能なため、関係者の間では「南極海捕鯨の停止で鯨肉の供給量が不足する可能性は少ない」との見方もある。 【中井正裕】

 http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/140331/waf14033121280016-n1.htm 

 「鯨は昔から食べてきた」「悲しい」 捕鯨の町・和歌山県太地町 調査捕鯨判決で 2014.3.31 21:25

 江戸時代から約400年の捕鯨の歴史をもち、「捕鯨の町」として知られる和歌山県太地町では、敗訴の知らせを聞いた漁協や町関係者らに困惑が広がった。

 敗訴を受けて、町役場では午後7時過ぎから、三軒一高(さんげん・かずたか)町長と町漁協の貝良文参事が、詰め掛けた報道陣の取材に応じた。

 貝参事は「まさか負けるとは思っていなかった」と驚いた様子で、「鯨は昔から食べてきた当たり前の食料。それがこういう形で狭められるのは悲しい」と肩を落とした。

 町内では、小型捕鯨や追い込み漁など約60人が捕鯨を生業としている。貝参事は「自分たちは知事の許可をいただいて正規にやっている。これからも粛々と続けていく」と話した。

 三軒町長も「非常に厳しい判決」と表情を曇らせた。「反捕鯨団体を余計に勇気づける判決だ」と話し、「太地の捕鯨にも、なんらかの影響があることは間違いないと思う」と厳しい表情を見せた。そのうえで、「太地は400年の長きにわたり、捕鯨を続けてきた。今後も、鯨に関わっていくことに何ら変わりはない」と力を込めた。

 http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/140331/waf14033121250015-n1.htm 

 「ほんま悔しい」「日本の食文化守りたい」 鯨料理店「徳家」の大西さん 調査捕鯨判決で 2014.3.31 21:21

 ■国際委の認めた捕鯨なのに…馬鹿にされてる

 「ほんま悔しい。商業捕鯨一時中止が決まった直後と同じ気分です」

 長年、大阪・千日前で鯨料理店「徳家」を営む大西睦子さん(71)は南極海での調査捕鯨中止決定を受け、「国際捕鯨委員会で認められている調査捕鯨が他の場所で否定されたことは、委員会の権限が失われているということ。ばかにされている」と憤る。

 商業捕鯨が禁止されて以来、鯨肉は入手が困難で日本人の鯨肉離れも進む。だが、かつては店頭に安価で並び、庶民の味だった時代もあった。「肉や皮、舌まで余すところなく鯨を食べ尽くすのは日本だけ。大事な日本の食文化を守りたい」と大西さん。

 南極海での調査捕鯨が正当だと認められれば、商業捕鯨再開への一歩に繋がると思っていただけに落胆は大きい。「鯨の肉もますます品薄になり、庶民の口から離れてしまうのが怖い」と話した。

 

NEW!・3月29日(土)   日付が若干前後するが、産経新聞インターネットニュースより。 

 http://sankei.jp.msn.com/west/west_life/news/140329/wlf14032913090010-n1.htm 

 それでも捕鯨守る 和歌山・太地の信念 調査捕鯨 31日判決  2014.3.29 13:46

 南極海での調査捕鯨をめぐり、オーストラリア政府が日本政府に中止を求めた訴訟の判決が31日、オランダ・ハーグの国際司法裁判所(ICJ)で言い渡される。ICJは一審制で控訴は認められておらず、判決には従う義務がある。日本の捕鯨政策への影響は大きく、古式捕鯨発祥の地であり、「捕鯨の町」として知られる和歌山県太地町では「日本に不利な判決の場合、追い込み漁や小型捕鯨にも影響が及ぶのでは」と不安の声が広がっている。

 「調査捕鯨の次は小型捕鯨、そして追い込み漁がターゲットになりかねない」。今回の訴訟で争われている南極海の調査捕鯨と太地町の小型捕鯨は直接関係はないが、判決を控えて町内の緊張感は高まり、三軒(さんげん)一高(かずたか)町長は厳しい表情でそう懸念を示す。

 同町は江戸時代から約400年にわたって捕鯨を続けてきたが、近年は反捕鯨団体「シー・シェパード」のメンバーによる悪質な嫌がらせや漁の監視が続く。1月にキャロライン・ケネディ駐日米大使が追い込み漁を批判した際には太地町漁協に1日100件もの抗議のファクスが殺到した。

 三軒町長は「裁判結果が太地に影響することはないと思う」としながら「捕鯨は日本の文化。国内で一致団結して守っていきたい。そういう意味では重要な判決だ」と語気を強めた。

   ■   ■

 水産庁によると、国内で小型捕鯨を行っているのは太地町や北海道網走市、千葉県南房総市など5カ所。大型捕鯨については1982年に国際捕鯨委員会で商業捕鯨モラトリアム(一時停止)が採択され、87年度漁期を最後に商業捕鯨が停止された。日本政府は再開に向けて南極海や北西太平洋で調査捕鯨を実施している。

 太地町漁協の幹部は「調査捕鯨は決められたルールに基づいて行っており、訴えること自体がおかしいと門前払いされるのが望ましい」と強調。その一方で、「捕鯨業界はとても小さく、(判決次第で)どこか1カ所が崩れてしまうと怖い」と顔を曇らせる。

  同町には追い込み漁を生業とする漁師が24人、泳ぐ鯨類を船から銛(もり)で狙う「突きん棒漁」の組合員が約30人おり、小型捕鯨には9人が携わる。町内の漁協直営スーパーにはクジラやイルカの肉や加工食品が並ぶなど、鯨は今も生活の糧であり、貴重なタンパク源だ。

 「太地では捕鯨が暮らしに根付いている。クジラを取ったら何も残らない」と漁協幹部はつぶやく。

   ■   ■

 敗訴すれば日本の捕鯨政策は大きな転換を迫られる可能性があるだけに、裁判の行方には捕鯨に関わる他の自治体も注目する。

 8月下旬ごろにツチクジラ漁を行っている網走市の担当者は「判決は直接関係はないが、結果によっては今後大なり小なり影響は出てくると思う」と懸念。南房総市農林水産課の担当者も「少なからず影響があるかもしれないが、粛々と(捕鯨を)守っていきたい。問題ない判決が出ると信じている」と話す。

 一方、当事者である水産庁は「日本政府の見解は裁判を通して主張してきた」とし、判決の日を淡々と迎える。

 

・4月1日(火)   *国際司法裁判所の判決に接して当サイト製作者の考えたこと

国際司法裁判所で、日本が南極海で行っている調査捕鯨を差し止めよという判決が出た。きわめて残念な結果と言わなくてはならない。判決の詳細や今後の捕鯨政策については以後のマスコミ報道を待つとして、今回考えたことを2つほど書いておきたい。

まず、今回の訴訟を起こしたオーストラリアという国の問題である。周知のようにオーストラリアは英国の白人が入植し、先住民のアボリジニを殺戮したり追い払ったりすることで国が作られた。長らく白人中心主義、いわゆる白豪主義の伝統があったことを知る人も多いだろう。現在では多民族国家を標榜しており、またかつて先住民を圧迫したことについては公的に謝罪するなどしているが、それでも今に至るまで国家元首には英国国王、つまり現時点ではエリザベス女王をいただいており、英連邦の一国としての自意識が高い。今回の訴訟もそうした背景から見る必要があるのではないか。

捕鯨問題に関するオーストラリアの態度を見れば、それは一目瞭然である。かつて南極海では日本だけでなく英国やノルウェー、ソ連やブラジルなどいくつもの国が捕鯨をしていた。そうした時代、オーストラリアが反捕鯨を唱えていたかというと、そんなことはなくて、宗主国たる英国の捕鯨船に便宜をはかったりしていたのである。いや、それどころかオーストラリア自体が捕鯨国であった。オーストラリアの捕鯨は1970年代の最後まで行われていた。また宗主国の英国は1963年まで捕鯨を行っていた。

反捕鯨の運動が世界的に高まりだしたのは1972年の国連人間環境会議からだが、オーストラリアはその後も数年間は捕鯨をやっていたわけだ。

しかるに、いったん反捕鯨国に転じると、オーストラリアは逆に先兵のごとくに日本を批判するようになった。あたかもそうすることが自国の存在基盤のあかしであるように。

私も最近知ったのだが、オーストラリアにはアンザック・ディ(Anzac Day)という国民の祝日がある。425日であり、ニュージーランドも同じ祝日を祝っている。Anzacとはオーストラリアとニュージーランドの連合軍隊を指す言葉で、なぜ425日が祝日なのかというと、第一次世界大戦のときに両国は連合国側として参戦して軍隊を派遣したが、オスマン・トルコ(オスマン・トルコはドイツ・オーストリーと同じく同盟国側)のガリポリでの戦いをこの日に行ったからということらしい。実はこのガリポリの戦いは、連合国側が敗退して多大の犠牲者を出している。オーストラリアとニュージーランドにとっても本格的な戦いは初めてであり、しかも敗退したというのに、この戦いによって両国の国家意識が高められたという理由で祝日になっているのだ。

私は『鯨とイルカの文化政治学』でも書いたことがあるが、ニュージーランドは人口が少ないにもかかわらず、第一次世界大戦にはかなりの兵士を送り、犠牲者数も多かった。それは、オセアニアにあって半植民地である国が一人前と認めてもらうための方策でもあったのである。

こうしたオーストラリアとニュージーランドの歴史は、現在の両国の過剰に反捕鯨的な政策に通じるものがある。宗主国たる英国の意に添う行動をとり、場合によっては英国以上に先鋭な態度に走ること、それがオセアニアの国家にとっては自己の存在証明に他ならないのではないか。オーストラリアと日本の関係は、第一次大戦時には同じ連合国側であったにもかかわらず良好ではなく、第二次大戦時には敵国同士だったが、日本の敗戦後の連合国の中でもオーストラリアが要求する日本への懲罰はかなり厳しいものがあったとされる。

今は経済や観光でオーストラリアと日本の結びつきも強まっているしという人もいるかも知れないが、帝国主義時代に英国の一部として出発し、捕鯨問題のような文化帝国主義的な問題ではあっさり英国側につくというオーストラリアの姿勢には、今後も注意していく必要があると思う。

次に、国際司法裁判所の問題である。私は、今回の裁判でオーストラリアが国際司法裁判所に提訴するにあたっては或る程度勝算があると見込んでいたからではないかと考えている。新聞を読む限り、国際司法裁判所はIWCの規則内にとどまる形で調査捕鯨の是非を検討しているからである。

捕鯨問題とは、日本人にとっては文化帝国主義や文化差別主義の問題だ。かつては大規模な捕鯨を油をとるためだけに行っていた欧米諸国が、鯨資源量の減少と代替品の存在を理由に捕鯨から撤退し、それからあまり時間をおかずに「捕鯨は何があっても許されない」と言い始める。こんな身勝手な話はない。自分が捕鯨をやらないのは自由だが、それを他国にまで強いてくる。かつてヨーロッパがアジアやアフリカを植民地にした時代は帝国主義時代と言われるが、それが終わった後に来たのは文化帝国主義の時代、つまり物事の価値観は絶対に欧米先進国に合わせろと強要する時代なのである。

そうした大問題を、はたして国際司法裁判所のような場所が裁くことができるであろうか。私は法律というのには形式論理的な部分が必ずあり、人間の争いを公正に裁くのには向かない場合が少なからず存在すると思っている。

いや、文化帝国主義を裁くだけの見識が国際司法裁判所の裁判官にあれば別だ。しかし、そういう期待が持てるのだろうか。

私も詳しいことを知っているわけではないが、国際司法裁判所には国籍の異なる15人の裁判官がいて訴訟を審議するという(今回は日本人裁判官がいるので、公正のために特にオーストラリアの裁判官が追加され総計16名になった)。いちおうアジアやアフリカなど、地域的には偏りがないように配慮されてはいる。しかし、これは裁判官個々人をリサーチしないと確定的なことは言えないが、欧米先進国の人間はすでに40年間反捕鯨的な言説にさらされてきた人間であり、またそれ以外の裁判官も、恐らくはそれぞれの国の裁判所や法律研究のエリートとして育つ途中で欧米先進国に留学している場合が多いと推測される。それでも出身国が捕鯨文化を持っていれば別だが、そうではない場合、捕鯨問題の文化帝国主義性はあまり意識に上らないのではないか。

そしてIWCの規則の内部で議論する限りは、反捕鯨国が数の圧力で決めた様々な制約の中で苦労して行われてきた調査捕鯨に対する見方がどうなるかは分かりやすいことだと思う。IWCの規則自体の正当性を問うなら別だが、上でも書いたように果たして国際司法裁判所がそこまで踏み込んだ判決を下すと期待できるだろうか。

したがって、オーストラリアの挑発に乗って国際司法裁判所でこの問題を争うことを認めてしまった日本の判断そのものに疑問があると言わざるを得ない。せめて国際司法裁判所裁判官のリサーチを行うなど、事前研究をしっかりやってから受けるか受けないかを決めるべきだった。

いずれにせよ、今回の裁判結果からあらためて分かったのは、欧米先進国の文化帝国主義を打ち破ることは容易ではないという事実である。捕鯨問題に限らないが、日本の対外的な宣伝不足のせいもあろうと思う。私に言わせれば、「牛や豚を食べて捕鯨に反対する人は差別主義者です」というようなポスターを各国の日本大使館に貼り、同じ言葉を記したステッカーを外務省職員を初め日本人が服の目立つところにつけるくらいのことはしてもいいのではないか。

捕鯨問題は新たな局面を迎えたが、文化帝国主義は絶対に許してはならない。国際的な差別をなくすためにも、日本人は努力していくべきだと考える。

 【追記 (訂正)】 上記の文章で、日本がオーストラリアの提訴を受けたことに疑問があると記しましたが、日本は国際司法裁判所で訴えられた場合は必ず受けるという条約に署名していることがその後分かりました。 そもそも、そういう署名をしたこと自体に疑問があるわけですが、いずれにせよ、この部分については事実誤認をしておりましたので、訂正いたします。 (4月13日)

 

・3月6日(木)   産経新聞インターネットニュースより。

 http://sankei.jp.msn.com/life/news/140306/trd14030616110016-n1.htm 

 「日本の食文化に理解を」 捕鯨協会の山村和夫会長   2014.3.6 16:09

 「戦後は一番安い肉だったが、今や珍味だ」 と話すのは、日本捕鯨協会の山村和夫会長だ。 最近の鯨肉の流通は年間4千〜5千トン。 海外進出で反対運動に直面した大手スーパーは、日本国内でも鯨肉の取り扱いを中止し、中小の小売店も追随した。

 「昭和の時代を教える一環で給食に鯨が出されることもあるが、子どもの親が鯨を食べたことがない」 と語る。

 「疲労しにくくなる『バレニン』という成分も含まれている」 と山村氏。オーストラリア政府が国際司法裁判所(ICJ)に南極海での日本の調査捕鯨中止を求め係争中だが、「日本の食文化を理解してほしい」 と訴える。(共同)

・3月5日(水)   産経新聞インターネットニュースより。

 http://sankei.jp.msn.com/world/news/140305/erp14030500340005-n1.htm 

 調査捕鯨の是非、31日判決 国際司法裁、政策に影響も   2014.3.5 00:33

 オランダ・ハーグの国際司法裁判所は4日、捕鯨に反対するオーストラリア政府が日本政府に、南極海での調査捕鯨の中止を求めた訴訟の判決を今月31日に言い渡すと発表した。

 国際司法裁判所の裁判は一審制で、控訴は認められていない。日本が外国との紛争をめぐり同裁判所で判決を受けるのは初めて。日本政府は判決に従う姿勢を示しており、内容次第では日本の捕鯨政策は大きな転換を迫られる。

 訴訟の最大の争点は日本が南極海で実施している調査捕鯨が国際捕鯨取締条約で認められた科学的研究のための捕鯨に当たるかどうか。オーストラリアは「科学を装った商業捕鯨だ」 として商業捕鯨のモラトリアム(一時停止)を定めた同条約に違反していると主張。 日本は 「条約に基づき合法的に実施している科学的調査だ」 と反論した。

 オーストラリアは2010年5月に提訴。13年6月から口頭弁論が行われ、同7月に結審した。(共同)

・2月27日(木)   毎日新聞インターネットニュースより。

 http://mainichi.jp/area/wakayama/news/20140227ddlk30070562000c.html 

 再発見! おいしい和歌山: 鯨のコロ 独特の食感、懐かしい味=貝谷郁子 /和歌山  毎日新聞 20140227日 地方版

 この冬は、和歌山も気温が低い日が多く、雪も積もった。寒い冬の食べ物といえば、鍋やおでんが、まっさきに思い浮かぶ。和歌山の家々で、例年より鍋率、おでん率が高い冬だったかもしれない。

 3月に入っても寒い日は、おでん日和。大根、こんにゃく、卵、ちくわやごぼう天、はんぺん、薄揚げの袋……関東は牛スジを入れたりもする。でも何か忘れものがあるような気がしてくる。そうだ! 家族に「和歌山ではコロといって、」と話す。

 子どもの時のおでんには、コロが入っていた。だんだん好きになり、独特の食感がクセになった。コロがないおでんは、味が良く、具がにぎやかに入っていてもどこか物足りないのだ。

 コロは、鯨の皮を揚げたもの。脂分を抜きながら、焦がさないように揚げて仕上げるのは、かなり技術と経験のいる技なのだそうだ。

 「昔から全然変わらないやりかたで作ってますよ。揚げ油は鯨油。180度くらいで30分から40分じっくり揚げたら一度引き上げます。二度揚げするんですよ。いい具合に脂が抜けます」

 そのあと陰干しを3日して完成だそうだ。話してくれたのは、鯨製品を製造する太地町のカネヨシ由谷水産の由谷章さん。鯨ハム、鯨ベーコンをはじめ、鯨の肉や肉加工品専門で、もうすぐ創業50年になる。現在は、県管理のもとに捕鯨された鯨肉を扱っている。コロはそのひとつ。

 太地町は、鯨博物館があり、古式捕鯨発祥の地、鯨の町だ。何千年も前から鯨をとり、利用していた日本で、探鯨台を作りのろしで知らせるなど、組織的な捕鯨が編み出されたのが、太地なのだそうだ。小学生の時、鯨のありとあらゆる部位を、食べ物から、照明等まで余さず大事に利用したことを、授業で習ったのを思い出す。

 「聞き書き和歌山県の食事」(農文協刊)には、このあたりのコロ(地元では“いりかす”)の料理法が出ている。

 「(出来たてを)小さく切って醤油(しょうゆ)をつけて食べてもよく、かき混ぜ(混ぜすし)をつくるときの具にもする。おつけ(汁)にねぶか(葱(ねぎ))とともに入れてもよい」

 実は地元の太地では、おでんにコロを入れないのだそう。

 「ここらでは、ひじきと一緒に煮物にしたり、そのまま刻んでわけぎと一緒にからし味噌で食べたり。そんな使い方が多いですよ」(由谷さん)

 久しぶりのコロ。といってもコロ入りおでんを食べていたのは子どもの時なので、自分でコロを料理するのは実はこれがはじめてだった! ゆっくり一晩かけてもどし、ゆっくり炊いて、懐かしのコロの味を堪能した。 (料理研究家・フードジャーナリスト)

・2月25日(火)   産経新聞インターネットニュースより。 

 http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140225/plc14022511180006-n1.htm 

 「イルカ漁は適切」 政府が答弁書を決定 「わが国の伝統的な漁業」  2014.2.25 11:17

 政府は25日の閣議で、米国のケネディ駐日大使が反対している日本のイルカ漁に関し、「わが国の伝統的な漁業の一つであり、法令に基づき適切に実施されている」 との答弁書を決定した。

 答弁書は 「政府はイルカを含む鯨類は重要な水産資源で、科学的根拠に基づき持続的に利用すべきだ」 と強調。 その上で 「引き続きイルカ漁業に対する国際的理解を得られるように努力していく」 としている。 新党大地の鈴木貴子衆院議員の質問主意書に答えた。

 ケネディ大使は1月18日のツイッターで、和歌山県太地町のイルカの追い込み漁を念頭に 「米政府は反対」 と表明。 「非人道性について深く懸念している」 と投稿していた。

・2月24日(月)   産経新聞インターネットニュースより。  

 http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/140224/crm14022415380016-n1.htm 

 日本の調査捕鯨船を妨害 シー・シェパード、ロープ投げスクリューに絡ませる 2014.2.24 15:37

水産庁は24日、南極海で活動する調査捕鯨船「勇新丸」など2隻が、反捕鯨団体シー・シェパードの船から妨害を受けたと発表した。乗組員らにけがはなく、航行にも影響はないという。

 水産庁によると、南極海で23日午後5時半ごろから24日午前0時ごろ(日本時間)にかけて、シー・シェパードの船から降下された小型ボート2隻が、日本側の船首付近を航行、ロープを投げ入れスクリューに絡ませた。シー・シェパードの船も信号ロケット弾を発射した。日本側は音声や放水で警告したという。

・2月18日(火)   産経新聞インターネットニュースより。 

 http://sankei.jp.msn.com/wired/news/140218/wir14021816590000-n1.htm 

 なぜイルカだけが特別なのか? 日本のイルカ漁をイタリア版 「WIRED」 が擁護  2014.2.18 15:41

 「みんな命を奪っている−−これが、和歌山県の仁坂吉伸知事が語る、毎年世界を憤慨させているイルカ追い込み漁に対する批判への日本からの反論だ。そして、それは正しい」。WIRED.itが世界に問いかける、イルカをめぐる「根本的な問題」。

 愛想のいい哺乳類の群れは、不幸なやり方で有名になってしまった和歌山県太地湾にやって来る。そして脊柱に突き刺された鉤によって流血させられて死ぬこととなる。日本では、イルカは伝統的な食物だ。そして、その漁のシステムも伝統の一部だ。

 和歌山県の仁坂吉伸知事は、糾弾する人(西洋世界全体、もしくは駐日アメリカ大使キャロライン・ケネディや、ジョン・レノンの未亡人のオノ・ヨーコ、さらにはハッシュタグ#tweet4taiji #HelpCoveDolphinsを通して集まったTwitterの住人たち)に対して、なぜイルカを殺すことがダメで、ウシやブタならいいのか?と問うた(それにイルカは絶滅の危機にはない)。

 彼はこう語った。「食文化には違いがあり、さまざまな立場を相互に尊重するのが文明の知恵です。わたしたちはウシやブタの命を奪って生きています。イルカ漁だけが非人道的だと言うべきではありません」。

 イルカ漁で用いられている畜殺技術、つまり鉄の鉤による脊髄の切断は、動物の苦痛を避け最小化しているといわれる。こうしたことは、ニワトリやウシの命がまったく尊重されていない、西洋の畜産業界において見ることはできない。わたしたち西洋人は、わたしたちが日々行っている虐殺を棚に上げて、意見を言うことができるのだろうか? わたしはそうは思わない。理想的な世界においては、誰も肉を食べるべきではなく、自由に生きる権利は動物のみならず植物にも拡大されなければならないにしてもだ。

 イルカは高貴な動物と考えられている。知性をもっていて、人間のよき友人だ。法律によってはイルカを「人」、つまり人類ではない「人」として認め、生存権と自由権を与えるに値すると認めた国もある(参考:インドがイルカを「人」と認めた )。そうした国では、彼らを水族館に押し込めて搾取することはもはやできない(一方、それ以外の場所では一生プールの中でボールを追いかけて暮らすシャチやイルカでいっぱいだ)。

 ともあれ、わたしの疑問は次のものだ。果たして知性が優っていることで、生命はより価値あるものになるのだろうか? もしそうだとすれば、なぜイヌは保護されるのか? 科学はイヌをガチョウよりも知性が低いと判断している。しかし、イヌはほかの動物たちがもたない権利をもっている。ネコもそうだ。

 わたしは世界を旅しているなかで、イヌやネコが殺されるのを目撃したことがある。棒で殴られ、失神し、血を流して吊されていた。その光景に、わたしは胸を痛めた。わたしはずっとイヌやネコを飼ってきたのだ。わたしは田舎で育ち、母親は農業に従事している。イヌやネコ以外にもヤギやニワトリ、カモ、ウシなども飼ってきた。自信をもっていうけれど、彼らが死ぬのを見ることが、胸の痛みにおいて劣っているということは決してない。

 あるいは、ウシは頭が悪く主人になつかないため、尊重するに値しないという考えを誰かがもっているのだろうか。だとしても、これも事実ではない。もしウシを知っていれば、「ウシのような目」という表現(イタリア語できょとんとした無表情の目つきを表す)には何の根拠もないことがわかるだろう。昔ながらのやり方で彼らの世話をしたなら、ウシたちはそれぞれ性格にも違いがあり、あなたがやってくるのを見て喜びもするし、目や、鼻面をぶつけることや尻尾で叩くことで会話をしていることがわかるだろう。

 ウシたちを殺さねばならないとき、ウサギやニワトリ以上に母は動揺することがあった。彼女はウシの一頭一頭の個性をわかっており、彼らの好みや心情も知っていた。しかしだからといって彼女は農業を辞め、スーパーでプラスチックの包装の中のきれいで清潔な細切れ肉を買うことを選びはしなかった。

 根本的な問題はここにある。わたしたちは毎年、太地町で起きていることを映像や写真を通じてたくさん見るけれど、ウシたちの身に起こっていることを見ることほとんどない。そもそも誰も、ウシやブタのためにTVシリーズを制作したりはしない。ハンバーガーはわたしたちの日常に欠かせぬ食べ物であるし、何について怒らなければならないかをわたしたちに教えているのは、今回も、そしていつもアメリカだ。決して中国や日本ではない。

・2月17日(月)   毎日新聞インターネットニュースより。 

 http://mainichi.jp/feature/news/20140217reu00m030008000c.html 

 世界の雑記帳: イルカに「人権」を、ルーマニアで議員が法案提出  20140217日 1636

 [コンスタンツァ(ルーマニア) 14日 ロイター] -ルーマニアの国会議員が、イルカに人間と同じ権利を与えるための法案を同国議会に提出した。向こう数週間、法案をめぐり上院で審議が行われるという。

 イルカに「人権」を与える法案を提出したのは、活動家でもあるレムス・チェルネア議員(39)。法案では、高度に発達した知力や行動パターンなどからイルカを「人間以外の人格」だと認め、人間とイルカは法の下に平等だとしている。

 法案はまた、イルカを殺した際には「殺人」と同じ刑期を受けるとするほか、ライブのエンターテインメントショーでイルカを出演させることを禁じるとしている。

 チェルネア議員によると、和歌山県太地町で行われているイルカ漁を批判的に描いた米映画「ザ・コーヴ」(2009年)の監督から支持を表明する書簡が送られてきたという。

 ただ、ルーマニアは今年、欧州議会選と大統領選が実施されるが、欧州連合(EU)域内で2番目に困窮する同国では汚職や生活水準の向上などが主な争点となり、動物の権利に関する問題が支持を集めるのは難しい状況とみられている。

・2月11日(火)   産経新聞インターネットニュースより。 

 http://sankei.jp.msn.com/world/news/140211/asi14021117000001-n1.htm  

 「日本の謝罪望ましい」捕鯨船EEZ進入でNZ首相  2014.2.11 16:59

 ニュージーランドのキー首相は11日、日本の調査捕鯨船団の船がニュージーランドの排他的経済水域(EEZ)に入ったことに対し、日本側から謝罪があることが「望ましい」との考えを示した。地元記者団に語った。

 キー首相は、調査捕鯨に強く反対するニュージーランド政府の立場から、EEZへの進入を歓迎しないとの意向を事前に日本側へ伝えていた点を強調。日本から謝罪を得たいかとの記者団の問いに「それが望ましい」と答え、事態の推移を見守るとした。

 ニュージーランド政府は10日、調査捕鯨船団の安全確保を担う監視船「第2昭南丸」が先週、反捕鯨団体「シー・シェパード」の妨害船を追跡するうちにEEZに一時進入したとして、現地の日本大使を呼んで「深い失望」を伝達。菅義偉官房長官は同日の記者会見で「(国連海洋法条約上)何ら問題ない」と反論していた。(共同)

・2月10日(月)   産経新聞インターネットニュースより2件。 

 http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140210/plc14021019500008-n1.htm 

 菅長官「国際法上問題ない」 NZ外相の調査捕鯨船批判に  2014.2.10 19:49

 菅義偉官房長官は10日の記者会見で、ニュージーランドのマカリー外相が、日本の調査捕鯨船団の監視船がニュージーランドの排他的経済水域 (EEZ) に入ったとして 「無礼だ」 などと批判する声明を発表したことについて、「国際法上何の問題もない。 安全対策上の措置の一環としてEEZに入域した」 と述べた。

 http://sankei.jp.msn.com/world/news/140210/asi14021011550000-n1.htm 

 排他的水域進入は「極めて無礼だ」 日本の調査捕鯨船にNZ外相 2014.2.10 11:53

 反捕鯨国ニュージーランドのマカリー外相は9日夜、南極海で活動する日本の調査捕鯨船団の船がニュージーランドの排他的経済水域 (EEZ) に入ったとして 「極めて無礼だ」 などと日本側を批判する声明を発表した。

 マカリー氏は、EEZへの進入は法的には問題はないとしながらも、捕鯨に強く反対する立場から 「(進入を)歓迎しない」 との意向を事前に日本側へ伝えていたと指摘。 外務貿易省が在ウェリントンの日本大使館を通じて 「深い失望」 を伝えたことを明かした。 (共同)

・2月9日(日)  本日の産経新聞(紙媒体)記事より。

 アイスランド捕鯨、米が制裁検討

 米内務省は7日までに、日本に鯨肉を輸出しているアイスランドの商業捕鯨が、野生生物の国際取引を規制するワシントン条約の実効性を損ねていると認定した。 オバマ大統領は米国内法に基づき、60日以内にアイスランドへの経済制裁の是非などを含めた対応を判断する。 (ワシントン 共同)

・2月7日(金)  産経新聞インターネットニュースより。

 http://sankei.jp.msn.com/life/news/140207/trd14020715330013-n1.htm 

 ケネディ大使にイルカ漁禁止訴え書簡 2014.2.7 15:32

 AP通信によると、米国の音楽関係者が有名芸能人らの賛同を得て、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)と絡め、日本のイルカ漁をやめさせるようキャロライン・ケネディ駐日米大使に書簡で訴えた。書簡は5日付。ヒップホップ音楽プロデューサーのラッセル・シモンズさんが中心となり、俳優のショーン・ペンさんらが賛同した。書簡は、和歌山県太地町で行われているイルカ漁を日本が禁止しない場合、オバマ大統領がTPPに署名しないようケネディ大使に働き掛けを求める内容だという。(共同)

・2月6日(木)  毎日新聞インターネットニュース、および産経新聞インターネットニュースより。

 http://mainichi.jp/area/yamaguchi/news/20140206ddlk35040356000c.html 

 調査捕鯨: 「支援の会」 設立 水産大OBら、妨害から守るため /山口   毎日新聞 2014年02月06日 地方版

 南極海の調査捕鯨を応援しようと、下関市の水産大学校の卒業生らが「南極海調査捕鯨支援の会」を設立した。会報を発行して、捕鯨や反捕鯨団体シー・シェパードの活動に関する情報を発信するほか、調査捕鯨船団を妨害から守る法整備を政府に働きかけていくという。

 1月25日に下関市生涯学習プラザで設立総会が開かれ、市内外から約40人が出席した。卒業生の一人で会長に就任した織田光晴会長(72)は「人を殺傷するかもしれない行為は断じて許されない。妨害活動を防げるような法整備を国に求めていきたい」と話した。

 下関はかつて捕鯨基地として栄えた。調査捕鯨船の乗組員の中には水産大の卒業生もいることから、卒業生が中心となって2012年冬から会の設立に向け準備を進めてきた。

 南極海での調査捕鯨を巡っては、シー・シェパードが船体に体当たりしたりスクリューにロープを絡ませるなどの妨害活動を繰り返しており、調査捕鯨の昨シーズンの捕獲頭数は1987年の調査開始以来最低となった。今年に入ってからも調査捕鯨に同行している水産庁の監視船が妨害を受けた。 【西嶋正法】 〔下関版〕

 http://sankei.jp.msn.com/sochi2014/news/140205/soc14020521010032-n1.htm 

 イルカの聖火リレー中止 反対意見、世界から4万件  2014.2.5 21:00

 【ソチ=佐々木正明】 冬季五輪の開幕が間近に迫ったソチで、聖火リレーへのイルカの参加が取りやめになる騒ぎがあった。保護を求める声が直前になって急増したことが背景にありそうだ。

 インタファクス通信は4日、聖火がソチ入りする5日にも、イルカがトーチを持ったパフォーマーと一緒に遊泳するとの見通しを伝えた。昨年10月にも、国営ロシア通信が地元当局者の話として同様の内容を報じていた。

 このため、インターネット上では「イルカのパフォーマンスを中止させよう」という反対運動が起きた。署名は全世界から寄せられ、4日の約7千件から5日には4万件を超えるまでに膨れあがった。

 ソチの水族館は5日の取材に、「イルカが参加するという情報は正しくない」と回答。批判が沸き上がったことを考慮し、ソチ市当局が直前になって中止を決めた可能性がある。

 和歌山県太地町の追い込みイルカ漁を批判していた米国の市民団体は昨年12月、「オリンピックの悲劇」との声明を出し、賛同者らに圧力を強めるよう呼びかけていた。

 「知性の高い動物」として、イルカの保護を求める活動は世界各地で展開されている。活動家らは水族館での展示や漁の全面禁止を求めており、反捕鯨などを掲げる団体「シー・シェパード」も和歌山県に活動家を常駐し、漁師らへの妨害活動を続けている。

・2月5日(水)  毎日新聞インターネットニュースより。

 http://mainichi.jp/area/news/20140204ddf041040021000c.html 

 鯨肉: イスラム教徒向けOK 天国の聖なる食材 調査船で加工、日本で認証   毎日新聞 2014年02月04日 大阪夕刊

 大阪茨木モスク(大阪府茨木市)の関係者で作る国際イスラム交流支援協会(IICA)が、調査捕鯨船「日新丸」で船内加工したクジラ肉について、イスラム教の戒律に沿った食べ物と認めるハラール認証をした。クジラはイスラム教で聖なる食べ物だが、今のイスラム教国にクジラ食はほぼない。IICAによると、今回の認証で、日本はおそらく世界唯一のイスラム教徒がクジラを食べられる国になったという。

 国内在住のイスラム教徒は約20万人。さらに、2011年のビザ発給要件緩和で、イスラム教国からの入国者はインドネシアが前年度比63・9%増(12年度)など急増中だ。そこで、みそやおかきなどのハラール認証も相次いでいる。

 IICAは、昨年11月に日新丸のクジラ肉を認証した。日新丸を所有する共同船舶(東京都中央区)の所英樹取締役(59)は「イスラム教徒が安心して食べられる食品が日本に少ないと聞き、認証を受けた」と言う。

 IICAは今後、1キロあたり8000?4300円で国内のイスラム食材店や飲食店に卸す予定だ。

 コーランと並ぶ聖典ハディースは、クジラを人間が天国で最初に食べる聖なる食材とするが、同モスクでも今回初めて食べた人ばかり。刺し身で試食し、「牛肉よりうまい」と好評だったという。

 同モスクのイマーム(聖職者)は「これまでイスラム教徒が食べられる機会はほぼなかったが、今後広く食べられるだろう」。マズンデル無田春・同モスク代表役員(60)は「捕鯨批判は承知しており、資源保護に留意しつつ食べたい」と話していた。【鈴木英生】

・2月3日(月)  産経新聞の紙媒体での記事、およびインターネットニュースから各1件

 捕鯨妨害船、衝突また誘発か

 反捕鯨団体シーシェパード(SS、本部・米ワシントン州)は2日、妨害船「ボブ・パーカー」号が南極海で日本の調査捕鯨船「第2勇新丸」などから「攻撃を受け、衝突した」と発表した。 航行は可能という。 SSの妨害船は2010年にも日本の調査船と衝突、沈没する事故を起こしている。 今回も衝突を誘発し、責任は調査船にあると一方的に訴える立場と見られる。 (シドニー 時事)

 http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140203/plc14020312490011-n1.htm 

 シー・シェパードの妨害 菅長官「断じて許されるべきではない」  2014.2.3 12:47

 菅義偉官房長官は3日午前の記者会見で、南極海に展開する日本の調査捕鯨船が、反捕鯨団体の「シー・シェパード」の船から妨害を受け、船体が損傷したことについて「非常に危険な行為で断じて許されるべきではない。船籍国のオランダに実効ある措置を講じるよう申し入れを行っている」と述べた。

・2月2日(日)  産経新聞インターネットニュースより

 http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/140201/waf14020116300019-n1.htm 

 山クジラでも食しませ 編集委員・河村直哉  2014.2.1 16:30

 「訪れる海豚(いるか)群の立ち込みは、貧しい海沿いの村々の人々を驚喜させる海神の恵みであった」

 印象的な文章なので、なおいくつか引用しよう。

 「海豚が捕れると家々では、それを近隣の村々の親しい人々への贈り物とした。…それは、遠く隔たって日頃疎遠になりがちな親しい人々を結ぶ大切な絆ともなるのであった」

 「(海豚捕りは)貧しい人々の暮らしを守り、村のまとまりや連帯を支える力の土台ともなった。それで、村々では、それぞれに村網を作り、村小屋を建て、村舟を造って大切な海豚捕りに備えたものであった」

 長崎・対馬で行われてきたイルカ漁について書かれた、昭和62年の記録(「対馬の村々の海豚捕り記」)。その段階ではもはや漁は行われず、古老や古記録によるとある。複数の村々が協力する漁の進め方、最初に銛(もり)を入れる際の独特の儀式、祝いの宴のようす、収益の公平な分配など、記録はイルカをめぐるあれこれを描く。素直に伝わってくるのは自然の恵みに感謝する人々の気持ちであり、イルカ漁を介して結びつきを強める村落の姿である。

  日本人とこの生き物の付き合いは長い。組織的な漁があったことをうかがわせる、大量のイルカの骨が出土した縄文遺跡もある。静岡県伊東市の縄文遺跡では、クジラの骨を中心にシカ、イノシシを交えてイルカの骨が規則的に置かれていたというから、なんらかの祭祀(さいし)が行われたのだろう。「古事記」にも「御食(みけ)の魚」、神の食べ物として出てくる。イルカを供養する塚なども残るという。

 いささか冗長になった。ケネディ駐日米大使による日本のイルカ追い込み漁の「非人道性」批判への批判とするには、これくらいでよいかと思う。日本には日本なりの、この生き物との長い付き合いの歴史があり、習俗や文化がある。自然の恵みに感謝し、共に働き食べて共同体の活力とし、また弔ってきた、感性豊かな文化があったことは見逃されてはならない。

 そもそも、漁の「人道性」の線引きなど安易にできるものではあるまい。牛や豚はどうなのかと議論は際限なく泥沼まで続く。食の営みは人間の営みである。それぞれの地のその歴史を受容できなくて、その地を愛することなどできまい。

 おっと本日のオチを忘れるところだった。イルカ漁に反対する人々にイルカを食せとはいわない。生物学的にイルカと同じ分類に属し、日本ではさらに豊かな食文化を持つクジラを食せともいわないでおこう。もったいない。

 イノシシあたりならなじみもあろう。別名、山クジラという。シシ鍋など寒いいまの季節、この上ない美味。日本人は一応、表向きは獣肉を忌むようでいてちゃっかり食べていた。「薬食い」などと称した。体が温まるなどの理由をつけているわけだ。そんな歴史と味を知れば、かたくなな心もほぐれる上等のクスリとなる。

・2月1日(土)  産経新聞インターネットニュースより

 http://sankei.jp.msn.com/entertainments/news/140201/ent14020112010010-n1.htm 

 イルカ漁糾弾映画「ザ・コーヴ」 配給会社社長は「あれもプロパガンダ、反論の映画を作ればいい」  2014.2.1 12:00

  和歌山県太地町のイルカ追い込み漁について、ケネディ駐日米大使が1月18日、短文投稿サイトのツイッターに「米国政府はイルカの追い込み漁に反対します。イルカが殺される追い込み漁の非人道性について深く懸念しています(原文まま)」と書き込んだことが波紋を呼んだ。イルカ漁で思い出すのは、2010年に日本で公開された米ドキュメンタリー映画「ザ・コーヴ」。イルカ漁を批判的に描き、内容の公正さをめぐる抗議行動のため上映を中止する映画館もあった問題作だ。

 「ケネディ発言」で当時の騒動がまた再燃しそうに感じたのと同時に、「この状況について、『ザ・コーヴ』の配給会社アンプラグドの加藤武史代表は今どう思っているのだろう」と興味がわき、自然と足は同社へと向かっていた。

 まずケネディ大使の行為について、加藤さんは「短いツイッターでのつぶやきは誤解を受ける。ケネディ氏は(発言するきっかけになった)何を見たのか、何でおかしいと思うのか、どうしてほしいのかといった背景をたくさん話さないと。書き込んだ後のフォローも欲しい」と説明不足を指摘。「感情論では解決の道はない」と切り捨てた。

  日本公開から4年がたつ。「映画を見て建設的な議論が起こればと思い公開した。その意図が今でも十分に理解されているとは言い難い」という。「『イルカ肉は食材として果たして必要なのか』といったイルカ漁の是非も含めてもっと議論されるべきだが、4年たっても世論は全く変わっていない」と、ちょっと残念そうだ。

 国内にいては分かりづらいが、反捕鯨から来る日本バッシングは思いのほか海外で広がっている。「イルカはパンダのような環境動物で、かわいい動物の筆頭に挙げられる。イルカ漁は外国から見ればパンダを捕って食べるようなもの。イルカは『海のパンダ』と思った方がいい」と加藤さん。「この映画がアカデミー賞(長編ドキュメンタリー映画賞)を取ったのも、それを支える世論が相当あることの裏返し。海外に行けば反捕鯨が主流なことに気付くはずです」

 そうした世論作りに“映像の持つ力”を利用してきたのが反捕鯨団体だ。米では同団体シー・シェパード(SS)が日本の調査捕鯨船に妨害行為を繰り返すドキュメンタリー・シリーズ「ホエール・ウォーズ」が2008年から放映され、高視聴率を上げている。ヒーロー気取りのSSやテロの迫真性が評判を呼び、視聴者を反捕鯨思想へと誘導していると加藤さんは指摘する。

  「ザ・コーヴ」もそういう意味では同じプロパガンダ(宣伝)映画だ。日本公開時に東京・渋谷の上映館で行われたトークショーを取材したが、ゲストの映画監督、松江哲明さんが「この映画は作品の出来より話題作りが目的。日本での騒動は万々歳だったのでは」と語っていたのを思い出す。

 映像の力は決して侮れない。そこで加藤さんはこんな提案をしている。「『ザ・コーヴ』に反論する映画を日本で作ればいい。日本語の反論に聞く耳を持たない外国人でも、映画ならきっと見る。今からでも遅くはない」。さらにこう付け加えた。「公平さを保つためにも、ぜひうちで配給したいですね」

 どなたかこの話に乗りませんか?(WEB編集チーム 伊藤徳裕)

・1月29日(水)  毎日新聞インターネットニュースより。

 http://mainichi.jp/area/ehime/news/20140129ddlk38040568000c.html 

 ほっそん先生・鯨に恋をする:/36 新潟県柏崎市の真蔵院 /愛媛  毎日新聞 2014年01月29日 地方版

 ◇エビスとしての寄り鯨

 宮川神社を後にし、越後八十八カ所の二十一番、真蔵院に向かった。佐渡島を望みながら、高台にある真蔵院への坂道を上がった。見晴らしのよい寺の駐車場に車を止め、潮風を感じながら、どこかにクジラはいないかと、佐渡海峡を眺めた。文献に記された鯨塚はどこにあるのか、あたりを見回しながら境内に入った。

 寺務所の入り口で「こんにちは、おじゃまします」と戸を何度もたたいた。不在のようであった。墓標、石碑が多く建っていた。かなり広い境内を30分ほど徹底的に探したが、それらしきものは見つからなかった。文献には、1956年8月29日に集団漂着した雌雄5頭のコビレゴンドウの「鯨鯢相寄供養塔」が建てられたと書いてある。また、真蔵院にはタコを含む魚族供養の位牌もあるとも書いてあるが、残念ながら確認できなかった。佐渡島と同様に、柏崎を含めてわずか8里の海を挟んだ佐渡対岸地域には、多くの鯨塚・魚族供養塔が建てられている。このことは自然への感謝、神仏への信仰心がこれらの地域において強いことを示唆する。

 柏崎の人々はなぜ鯨塚を建てたのか。柏崎市立博物館館長の箕輪一博氏は次のように指摘する。「2基の鯨塚とも食糧となりうる新鮮なクジラとして、柏崎浜に漂着し、大きな富をもたらしたと考えた。また、クジラへの感謝と尊敬の念やたたりを恐れたことなどから供養し、鯨霊塔として残されたものと推察した。こうしたものはクジラだけでなく、タイ、サケ、、タコエビ、鳥、虫といった供養塔が柏崎に残っていることからも分かる」(箕輪『柏崎に残る鯨の墓』『20周年記念号 柏崎・刈羽 第20号』柏崎・刈羽郷土史研究会、92年)。

 港のまち柏崎は漂着クジラを含めて外来からもたらされる富で栄えたが、どうしたら、外来の富、エビス(恵比寿)を呼び込むことができるか、江戸時代の柏崎の人たちは考えたであろう。その当時、柏崎にとってのエビスは、異界からやってくる寄りクジラとともに、回船業北前船の船乗りたちであった。そういう背景のもと、酒宴のさいの柏崎流のもてなしの宴会歌「柏崎おけさ」が生み出された。歌詞の一節に「越後鯨波玉屋の椿よ 幹は白銀ヤレ葉は黄金」とある。「鯨波」という地名があるが、宿の名前が鯨波玉屋なのか、鯨波にある玉屋なのか不明だが、「鯨」という字が入っているのが興味深い。この宿では新潟の伝統料理「ゆうがおの鯨汁」が売り物だったのだろう。酒宴でのサービスがいき届いていて、船乗りたちに人気があったのだろう。繁盛して、店の象徴としての椿が金を生む木になったということだろう。男を楽しませる遊女もいただろう。歌詞に「沖の漁灯涼しく更けてよ……」の一節もある。柏崎おけさの歌詞に、鯨という字が入っているのは単なる偶然ではないだろう。 <愛媛大農学部教授・細川隆雄>

・1月27日(月)  産経新聞インターネットニュースより。

 http://sankei.jp.msn.com/west/west_life/news/140127/wlf14012707010001-n1.htm 

 ケネディ女史「イルカ漁残酷」に文化理解されぬ「和歌山」の悲しみ…「命を頂いて生かされている」精神理解されず、一方的な批判ばかり  2014.1.27 07:00  [関西の議論]

 「米国政府はイルカの追い込み漁に反対します。イルカが殺される追い込み漁の非人道性について深く懸念しています」。1月18日、キャロライン・ケネディ駐日米大使が短文投稿サイトのツイッターに書き込んだ内容が波紋を広げている。ネットではケネディ駐日米大使の発言に世界中から賛否両論が寄せられ、菅義偉官房長官や和歌山県の仁坂吉伸知事も反論した。イルカの追い込み漁を行っている同県太地町の漁師たちは、困惑するばかりだ。

 ■双眼鏡やカメラで…

 今年1月中旬、まぶしい朝日が降り注ぐなか、Y字型に入り組んだ太地町の畠尻湾に、ドクロのマークが描かれたそろいの黒いジャンパーを着た外国人が約10人、太平洋を望むように立っていた。米反捕鯨団体「シー・シェパード(SS)」のメンバーやその支援者たちだ。

 メンバーらは双眼鏡で湾の方を見たり、カメラの望遠レンズでシャッターを切ったりしている。湾を見下ろせる場所から追い込み漁の様子を撮影し、インターネットで発信して世界にアピールしている。

 その様子を監視するのは、湾の前に設置された臨時交番に常駐する警察官だ。追い込み漁期間中は24時間態勢をとり、さらに海上保安部の船が「もしものとき」のために待機している。 

 この日の漁で捕獲されたイルカは約500頭。入り江ではイルカを選別する仕分け作業が行われ、子供などの小さいイルカは放し、親子と判別できれば親とともに海に帰す。そうして約400頭を逃し、残りは水族館に運ばれたり、食用として処理されたりした。仕分け作業には全国の水族館の関係者らも立ち会っていた。

 ■「法令に基づき適切に実施している」

 ケネディ駐日米大使のツイッター発言があったのは、こうした漁の矢先だった。

 すかさず菅官房長官が20日の記者会見で、「イルカ漁はわが国の伝統的な漁業で、法令に基づき適切に実施されている。米側に日本の立場を説明していく」と言及。翌21日には、仁坂知事が「米国は国として捕鯨に反対している。外交官として反対と言わざるを得ないのだろう」とした上で、「われわれは牛や豚などの命を奪って生きている。食肉処理場には目をつぶって、イルカや鯨を殺しているところだけ残虐というのは論理的ではない」と反論した。

 さらに、「日本人は数少ない資源を大事にしてきたという自負がある。乱獲で資源がなくなるような捕り方はしておらず、自然の恵みに感謝する文化をずっと続けている。そういった全体をよく理解してもらいたい」と強調した。 

 また太地漁協の組合幹部も「昔から続けてきた生業を非難されることは納得がいかない。できれば太地に来て、細々と漁を続けている現状と実際のやり方などを見ていただきたい」と話した。

 ■「400年の歴史」と食文化

 江戸時代から約400年の歴史をもつ国内古式捕鯨の発祥地である太地町は、人口約3400人。「くじらの町」として知られる。

 太地漁協によると、追い込み漁は毎年9月1日に解禁される。組合員約400人のうち、追い込み漁を生業とする「いさな組合」の漁師は24人。泳ぐ鯨類を船から銛で狙う「突きん棒漁」の組合員は約30人で、残りの漁師たちは定置網漁や1本釣り漁などで生計を立てているという。

 太地では古くから「肉といえばクジラ」だった。平地や川のない町にとって貴重な栄養源で、生活の糧でもある。「小さい頃から、すき焼きといえばイルカやクジラ」ともいわれ、店頭にはクジラやイルカの肉や加工食品が並ぶ。クジラ料理は飲食店で食べることが多く、イルカ肉はどちらかというと刺し身やすき焼きとして家庭で食べられているという。

 ■1本の映画で静かな漁村が一変

 平和だった漁村を揺るがすきっかけになったのが、同町のイルカ漁を批判した米映画「ザ・コーヴ(入り江)」だった。漁師たちが入り江に追い込んだイルカの群れを鉄の棒で突き、海面が真っ赤に染まる場面などが映し出された。漁協の組合員を「ジャパニーズマフィア」と称するなど、町内では反発と戸惑いの声が広がった。

 以降、町内には反捕鯨団体に属する外国人らの姿が目立つようになり、伝統漁法の「追い込み漁」が始まるとさらに、重苦しく緊迫した空気に包まれた。

 映画がアカデミー賞の長編ドキュメンタリー賞を受賞すると、町役場には国内外のメディアが殺到した。インタビューの一部を切り取って報道したりするなどし、町関係者からは「真意が伝わらないといったじくじたる思いがあった」との声ももれた。

 漁協関係者らによると、SSが常駐するようになったのも映画公開以降だという。常駐するのは大半が団体の支援者で、常に10〜20人が入り江付近で監視活動をしている。以前は執拗にビデオで撮影したり、漁師に暴言を吐いたりするなどの嫌がらせ行為が多発したが現在、トラブルの発生は聞いていないという。

 ただし、映画は町のイメージを国際的に悪化させ、ネット上の中傷は今も続く。ある町関係者は「以前は漁を妨害するなどの行為が多かったが、今はネットの中傷で世界中から同情を集め、寄付金を募っているようだ」と話した。

 ■慰霊碑でイルカに感謝する漁師たち

 イルカを含む小型鯨類漁に関しては、東日本大震災前には岩手県で盛んだったほか、沖縄県や千葉県でも行われている。太地の追い込み漁は、沖合で捕獲する突きん棒漁と違い、陸地から捕獲現場を見ることができ、「入り江が血で染まるなど残忍さを訴えやすいことから反捕鯨団体のターゲットになったのでは」という声もある。

 太地漁協によれば、伝統ある追い込み漁も時代の流れとともに、処理方法を変えるなど、太地の漁師たちは自主的なやり方を確立し、国の捕獲許可数よりさらに厳しく捕獲数を限定しているという。

 また、漁期が終わる4月には、鯨やイルカの供養を慰霊碑がある高台の公園で行っている。命をいただいて、自分たちは生かされている−。漁師たちは、感謝の気持ちをもって慰霊祭に臨んでいる。

 三軒一高(さんげん・かずたか)町長は「町として追い込み網漁業を守り続けていくという強い思いがある」と力を込めた。捕鯨をめぐるデリケートな問題を抱えながらも、追い込み漁は太地の文化であるとともに、誇りでもある。イルカ類の追い込み漁は2月まで続く。

・1月26日(日)  本日の産経新聞1面コラム 「産経抄」

 http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140126/plc14012603030004-n1.htm 

 【産経抄】 ケネディ大使は日本の伝統を学んで 1月26日

 戦後、日本を占領した米国人の日本文化への理解のなさはひどいものだった。例えば歌舞伎は「仮名手本忠臣蔵」のように仇(あだ)討ちを奨励し、封建的で残虐なものが多いと、やり玉に挙げる。一部の演目はGHQの「検閲」で上演禁止になった。

 ▼当時「娯楽の王様」だったチャンバラ映画も「武士の殺し合いはいけない」と、禁止された。漢字は習得に時間がかかるから、国民の教育程度を引き下げる。ひいては、民主化の妨げになる。そんなムチャな理由で日本語のローマ字化をはかろうとする動きもあった。

 ▼いずれも表面ばかりを見て、何百年も培った「武士の魂」や漢字文化の歴史など全く眼中にはない。自国の正義だけを固く信じるという米国人の一面だったといっていい。そういえば、キャロライン・ケネディ駐日米大使にも、そんな「米国人」が感じられてならない。

 ▼先日、短文投稿サイトのツイッターで唐突に、和歌山県太地町で行われているイルカの追い込み漁を取り上げた。「イルカが殺される非人道性」を深く懸念しているという。「米国政府は追い込み漁に反対」と、日本語と英語の両方で書き込んであった。

 ▼追い込み漁は日本の伝統的漁法のひとつである。個人的にクレームをつけるのは自由だ。だが今、占領地でもない町の漁法に「米国政府」として反対するとなれば、話は別だろう。菅義偉官房長官が早速「法令に基づき適切に行われている」と述べたのも当然である。

 ▼そのケネディ大使は父親の大統領を受け継ぎ日本での人気は高い。安倍晋三首相の靖国神社参拝への「失望」表明を金科玉条として安倍批判に利用するメディアもある。だが大使も今少し日本の伝統を学んでいただかねば、いずれ背を向けられる。

・1月25日(土)  産経新聞インターネットニュースより2件。

 http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140125/plc14012513120014-n1.htm 

 首相 「イルカ漁は古来の文化」 CNNインタビューで理解求める  2014.1.25 13:11

  安倍晋三首相は25日までに米CNNテレビのインタビューに応じ、ケネディ駐日米大使が短文投稿サイトのツイッターに「米政府はイルカの追い込み漁に反対」と書き込んだことに関し「古来続いている漁であり、文化であり慣習として、生活のために獲っていることを理解してほしい」と述べた。

 CNNがホームページでインタビューの一部を公表した。詳しい内容は26日に放映される予定だ。

 首相は、イルカ漁について「それぞれの国や地域の慣習や文化は尊重されるべきだが、同時にさまざまな批判があることも承知している」とした上で、「漁の仕方も相当工夫されていると聞いている。漁獲方法は厳格に管理されている」と説明した。

 http://sankei.jp.msn.com/world/news/140125/chn14012507000001-n1.htm 

 「日本人は残忍」「変態民族を排除せよ」 ケネディ大使のイルカ漁批判に賛同の声続々 2014.1.25 07:00  [中国ネットウオッチ]

 ケネディ駐日米大使が日本のイルカ漁に反対を表明したことに、中国のネット上では快哉(かいさい)を叫ぶ書き込みが相次いでいる。日頃、中国に批判的な米国の矛先が日本に向いたためだが、日本人の「残忍性」を強調する声も多い。中国の食文化は「空を飛ぶものは飛行機以外、足のあるものは机と椅子以外すべて食べる」とも評されるが、イルカ漁を「伝統文化だ」とする日本側の主張に理解を示す意見はほとんど見られない。

 ■米国の批判に歓喜

 ケネディ大使が今月18日に短文投稿サイトのツイッターでイルカの追い込み漁の「非人道性」に懸念を示したことを受け、中国中央テレビ(CCTV)は20日以降、和歌山県太地町で行われたイルカ漁の模様を何度も放映している。重要なのは「米国が批判」という要素のようで、イルカ漁を批判的に描いた米国製作のドキュメンタリー映画「ザ・コーブ」も紹介された。

 中国版ツイッター「微博」などには、「米国が日本をたたき始めた。ワハハ」とケネディ氏の批判を歓迎する書き込みがみられた。安倍晋三首相の靖国神社参拝後の「失望」表明に続く日本批判に、留飲を下げているようだ。

 さらに「日本はもともと不誠実で残忍な民族だ。米帝(米国)はまさか今ごろ気づいたのか。目を覚ませ」と呼びかける投稿もあった。

 ■格好の攻撃材料

 この投稿は、日本では歴史的事実として認められていない「百人斬り」を念頭に、「かつて中国で行われた殺人競争の残忍性は、イルカ漁よりもさらに血なまぐさい」と先の大戦に結びつけて日本人の「残忍性」を強調。このほかにも、イルカ漁と大戦時の「侵略」や「虐殺」を強引に結びつけて日本を批判する論調が散見された。

 また、イルカ漁自体への反感では「日本人は畜生にも劣る」「変態民族を排除せよ」「また地震が起きて壊滅すればいい」など、もはや反日感情を露出させるのに理由は何でも良いのではないかと思わせるほど、日本への悪口雑言が並ぶ。

 菅官房長官が「わが国の伝統的な漁法の一つ」だと反論したことには、「割腹自殺も日本人の伝統だと記憶しているが、日本人がこの伝統を守るのを長いこと見ていないな」と揶揄(やゆ)する書き込みがあった。

 ■冷静な意見も

 冷静な意見では、牛や豚を食用にするのと何が異なるのかという一般論と、中国自身の状況への自省が見られた。

  自省では「中国にも犬肉を食べる伝統がある」「全世界のサメは広東人にヒレを切られ、中国の老人は(ペニスを強壮剤に用いるため)オットセイを宦官にしている」といった中国の伝統文化に対するものや、「大気汚染が深刻なのに(旧正月に)爆竹を鳴らすのも習俗ではないのか。イルカを救う前にわれわれ自身を救うべきだ」という「他国の文化に構うな」式の論理があった。

 これらとは異なる冷静さを見せたのが「良い機会だ。(イルカ漁批判を)どんどん広めて国際的に日本の評判を落とせ。世論戦は重要だ」という書き込み。国営メディアが何度も取り上げるのも、単なる「伝統」や「食文化」の問題と捉えていないことを示しているのかもしれない。(田中靖人)

・1月24日(金)  毎日新聞インターネットニュースより。

 http://mainichi.jp/shimen/news/20140124dde041030057000c.html 

 ケネディ駐日米大使: イルカ漁批判 「追い込み漁、非人道性を懸念」ツイート、論争に火 「文化へ敬意欠く」反論  毎日新聞 2014年01月24日 東京夕刊

 ケネディ駐日米大使が18日に和歌山県で行われているイルカ追い込み漁について「非人道性を懸念している」と短文投稿サイトのツイッターに書き込んだことを巡り、波紋が広がっている。菅義偉官房長官は直ちに反論したが、大使のコメントには「他国の懸念にもっと耳を傾けよとのメッセージが込められている」といった見方も出ている。【大前仁】

 「ケネディ大使は米国内から追い込み漁に反対する何百というツイートを受け取り、自分のツイッターに書き込むことを決めた」。在日米大使館のシェイ報道官は、背景をこう説明する。

 シェイ報道官によると、米政府は2009年には、追い込み漁が「イルカの生息数不足を招く」ことなどを理由にして、漁を「支持しない」立場を取るようになった。

 現場の和歌山県太地町では、例年通り昨年9月から追い込み漁が始まったが、この時期に米国で関心が高まったのは、反捕鯨団体「シー・シェパード」がインターネットを通じ、漁の様子を逐次報告しているためとみられる。

 英語と日本語による大使の書き込みに対し、日本では「(イルカ追い込み漁は)国際捕鯨委員会の管理対象外」(菅官房長官)、「牛や豚や魚の命も奪っているが、それに目をつぶり、鯨やイルカ漁を残虐というのは論理的でない」(和歌山県の仁坂吉伸知事)と反論が相次いだ。

 大使のツイッターにも「日本の文化への敬意を欠いている」といった多くの反対意見が書き込まれた。だが、米大使館は「自分たちの主張だけでなく、他人の意見も聞く目的で、ソーシャルメディアを利用している」と、議論の高まりを歓迎する姿勢を示す。バーンズ元米国務次官も米メディアに「長年(日米の)2国間で相いれなかった。外交とは不一致の点を隠すのではなく、時には公にする必要もある」と、ケネディ大使のツイートを評価した。

 また、テンプル大日本校のクリーブランド准教授(社会学)は「大使は他国からの懸念についてもっと配慮する必要があることを日本に伝えたかったのではないか」との見方を示す。

 一方、当事者の太地町漁協は、追い込み漁が再び注目される事態に困惑。漁協の杉森宮人参与によると、イルカの痛みを軽減し出血を少なくするため、新たな捕殺方法を導入しているという。しかし、今後、漁を巡る議論が活発になっても「米国は実態を十分に認識せず、一方的な情報を流すのではないか」と疑問を呈する。

 太地町のイルカ漁は、隠し撮りをした米映画「ザ・コーヴ」(入り江の意味)が10年の米アカデミー賞の長編ドキュメンタリー賞を受賞し、注目された。ケネディ大使のいとこで弁護士のロバート・ケネディ・ジュニア氏が、シー・シェパードの活動に参加していることが知られている。

・1月22日(水)  産経新聞インターネットニュースより2件。

 http://sankei.jp.msn.com/world/news/140122/amr14012208470000-n1.htm 

 米、イルカ漁に懸念を表明 「大使は政府の見解示した」  2014.1.22 08:44

 米国務省のハーフ副報道官は21日の電話記者会見で、日本でのイルカ漁に関し「生物資源の持続可能性と道義性の両面で懸念している」と表明した。

 商業捕鯨に反対する米政府の立場を重ねて強調。ケネディ駐日米大使が、短文投稿サイトのツイッターでイルカの追い込み漁に反対したことには「米政府の長年の見解を表現したものだ」と述べ、日本政府に直接、懸念を伝えていることも明らかにした。

 イルカなどの小型鯨類を沖合から湾に追い込んで捕獲する追い込み漁は、和歌山県太地町で行われている。

 菅義偉官房長官は20日の記者会見で、大使の投稿に「わが国の伝統的な漁業の一つであり、法令に基づき適切に実施されている」などと反論した。(共同)

 産経新聞の連載企画記事 「島が危ない 第一部 再び対馬を行く 第4回」 に、対馬周辺の漁業不振、そして鯨の増加について書いた部分がある。 漁業不振は気候の変化、資源の減少、燃費の高騰に加えて、鯨の増加による被害もあるとする。 以下、該当箇所のみ引用する。

 http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140122/plc14012210300012-n3.htm 

 ◆鯨被害も増加

 自然は残酷である。追い打ちをかけるようにイルカや鯨による被害も増えてきたという。マグロの養殖を手がける対馬市美津島町今里の吉村元嗣さん(63)によると、7、8年前から極端に増えたらしい。

  「鯨は2年か3年に1回見るかどうかだったが、今は月に何回も見る。イルカは何千頭という群れで来る。年がら年中、どっかにおりますよ。以前は、多いなと思ったら、漁師が太鼓たたいて、追うて処理しよったですよ。それをせんようになってからだんだん多くなってきた。鯨はイワシとかアミとか小魚を食べる。イルカは口に入れば何でも食べる。アワビやサザエ、ナマコも食べとるらしいですよ」

・1月21日(火)  毎日新聞および産経新聞のインターネット記事から計3件

 http://mainichi.jp/select/news/20140121k0000e040198000c.html 

 イルカ漁: 和歌山知事がケネディ大使に反論  毎日新聞 2014年01月21日 11時39分(最終更新 01月21日 15時35分)

 キャロライン・ケネディ駐日米大使が短文投稿サイトのツイッターで、和歌山県太地町で行われているイルカ追い込み漁を批判したことについて、同県の仁坂吉伸知事は21日の定例記者会見で「日本人はずっと鯨やイルカを食べてきた。食文化はみんな違う。資源がなくなる場合は制限しなければならないが、そうでなければ、相手の立場を認めるのが文明の知恵」と述べた。

 大使が追い込み漁を非人道的だとしたことには、「我々は、牛も豚も魚も命を奪って生きている。それに目をつぶって鯨やイルカ漁を残虐というのは論理的でない。日本人、特に県民は数少ない自然の恵みに感謝して乱獲せず、ありとあらゆる部位を利用してきた」と反論した。一方で「米国は国として反捕鯨だから、反対と言わざるを得ないでしょう」とも述べた。【中村好見】

 http://mainichi.jp/shimen/news/20140121ddm005030106000c.html 

 ケネディ駐日米大使: イルカ漁批判 菅官房長官がイルカ漁を擁護   毎日新聞 2014年01月21日 東京朝刊

 菅義偉官房長官は20日の記者会見で、キャロライン・ケネディ駐日米大使が短文投稿サイトのツイッターでイルカ追い込み漁を批判したことに対し「わが国の伝統的な漁業の一つであり、法令に基づき適切に実施されている。国際捕鯨委員会の管理対象外だ」と反論した。そのうえで「米側に日本の立場を説明していきたい」と述べた。

 http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140120/plc14012018460022-n1.htm 

 ケネディ米大使に反論 追い込み漁で菅長官  2014.1.20 18:44

 菅義偉官房長官は20日の記者会見で、キャロライン・ケネディ駐日米大使が短文投稿サイトのツイッターでイルカの追い込み漁に反対を表明したことに関し「わが国の伝統的な漁業の一つであり、法令に基づき適切に実施されている」と反論した。

 同時に、追い込み漁は国際捕鯨委員会(IWC)の規制対象外と指摘した上で「イルカを含む鯨類は重要な資源で、科学的根拠に基づき持続的に利用すべきだ。米側に日本の立場を説明したい」と強調した。

・1月20日(月)  キャロライン・ケネディ駐日アメリカ大使の発言について、産経新聞インターネットニュースおよび週刊文春の記事より。

 http://sankei.jp.msn.com/world/news/140119/amr14011923080004-n1.htm 

 「追い込み漁は非人道的」 ケネディ米大使がツイッターでイルカ漁に反対 2014.1.19 23:06

  キャロライン・ケネディ駐日米大使は18日、短文投稿サイトのツイッターで「米国政府はイルカの追い込み漁に反対」と表明した。イルカなどの小型鯨類を沖合から湾に追い込んで捕獲する追い込み漁は、和歌山県太地町で行われている。

 ケネディ大使は「イルカが殺される追い込み漁の非人道性」を深く懸念していると日本語と英語でそれぞれ投稿した。

 英語版には賛同や感謝が多く表明される一方、日本語版には「漁は住民の生活の一部」「ハンティングも十分非人道的」などと反論が目立った。

 太地町のイルカ漁をめぐっては、隠し撮りした映像で漁を批判的に描いた米映画「ザ・コーヴ」が2010年にアカデミー賞で長編ドキュメンタリー賞を受賞している。(共同)

 『週刊文春』 1月30日号 (1月23日発売) の記事より、「イルカ漁を猛批判 キャロライン・ケネディ大使はご乱心?」

 週刊文春もケネディ大使のイルカ漁に関する発言について、1月30日号 (1月23日発売) で取り上げた (31−32ページ)。 内容的には上記産経新聞の報道と類似しているので、数日早いが、ここで紹介する。

 1月18日にケネディ大使がツィッターで、「米国政府はイルカの追い込み漁に反対します。イルカが殺される追い込み漁の非人道性について深く懸念しています」と見解を表明。 地元の太地町は困惑。 役場には直後から抗議が殺到。 50枚のファックス、70件のメールが来たという。

 ジャーナリスト吉岡逸夫の「大使として派遣された国で、その国の文化を負反するとは前代未聞。 白人国家特有の差別意識がうかがえる」、ケネディ家を長年研究してきた元共同通信ワシントン支局長・桜美林大学名誉教授の仲晃の「主語が米国政府であることが問題。 国務省やホワイトハウスが何も言っていないのに駐日大使が見解を述べるのは権限の逸脱」という意見を紹介している。

 シーシェパードがイルカ漁の様子をネットにアップしているので、それを大使も見たのではないか、ケネディ家は資金力のある環境保護団体が支持基盤になっているのだから、という石澤靖治・学習院女子大学長の見解がそれに続いている。

 さらに、ケネディ大使のいとこで弁護士のロバート・ケネディ・ジュニアはシーシェパードの支援者だという指摘もなされている。

 最後に、今でもデンマークのフェロー諸島ではイルカの追い込み漁が行われていて、ステーキや保存食として利用されていると、大使の無知をさりげなく批判して記事は締めくくられている。

・1月14日(火)  毎日新聞インターネットニュースより。

 http://mainichi.jp/select/news/20140114k0000m040020000c.html 

 ハラソ祭り: 古式捕鯨を再現、クジラ供養と海の安全祈る  毎日新聞 2014年01月13日 19時33分(最終更新 01月13日 19時54分)

 江戸時代、熊野灘で盛んだった古式捕鯨の様子を再現し、クジラ供養と海の安全を祈る伝統の「ハラソ祭り」が13日、三重県尾鷲市梶賀町の梶賀漁港沖で行われた。

 船尾に大漁旗を飾った捕鯨の和船「ハラソ船」上で、おしろいと頬紅で化粧した赤じゅばん姿の男性27人がろをこぎながら、「ハラソー、ハラソー」の勇ましい掛け声を響かせた。そして「羽刺(はざし)」役と呼ばれる男衆が時折、船首に躍り出て、モリを海中に打ち込む仕草を行った。見物客からも「ハラ、ヨーイヨーイ」の声が飛び、祭りを盛り上げた。【七見憲一】

・1月11日(土)  産経新聞インターネットニュースより。

 http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/140110/crm14011018540022-n1.htm 

 シー・シェパードが水産庁の調査捕鯨監視船に今年度初の妨害 南極海  2014.1.10 18:52

 水産庁は10日、南極海で調査捕鯨活動中の同庁監視船が米反捕鯨団体「シー・シェパード」(SS)から妨害行為を受けたと発表した。SSによる妨害は今年度では初めて。

 水産庁によると、10日午前7時15分(日本時間)ごろから約2時間、SS妨害船の活動家が監視船「第二昭南丸」のスクリューに絡ませるため、ワイヤ入りのロープを5回にわたり投入。昭南丸側は放水などで対抗、けが人や船の被害はなかった。

・1月9日(木)  産経新聞の紙媒体での記事、およびインターネットニュースから各1件

 シー・シェパードの調査捕鯨妨害は「宣伝」

 南極海での日本の調査捕鯨をめぐり、反捕鯨の立場を取るニュージーランドの主要紙プレスは8日付の社説で、反捕鯨団体「シー・シェパード」による一連の妨害行為について「(同団体の)宣伝以外の効果は考えにくい」と指摘し、支持しない考えを示した。 (シドニー 共同)

 http://sankei.jp.msn.com/world/news/140109/chn14010920580008-n1.htm 

 捕鯨でも日本批判 中国国営テレビ  2014.1.9 20:58

  中国国営中央テレビは9日、日本の調査捕鯨について「科学的調査を言い訳に捕鯨を続けている」と批判的に報じた。同テレビはここ連日、ニュース番組で日本の調査捕鯨を取り上げ、海外の反捕鯨団体などから抗議を受けていることを伝えている。

 中国の国営メディアは安倍晋三首相の靖国神社参拝以降、日本批判の報道を一段と強化しており、日本が国際社会で孤立していると印象付けるための宣伝の一環とみられる。

 同テレビは、鯨の捕獲時に海が血に染まる映像などを繰り返し放送。「研究のためなら鯨を殺す必要はない」とする研究者の声を紹介した。

 中国はかつて適切な資源管理の観点から、日本など捕鯨国の主張を支持していた時期もあったが、日中関係が悪化した2005年ごろから捕鯨反対の論調が目立つようになった。(共同)

・1月6日(月)  産経新聞インターネットニュースより。

 http://sankei.jp.msn.com/economy/news/140106/biz14010619160015-n1.htm 

 「保護区」で捕鯨発見と非難 シー・シェパード 2014.1.6 19:15

  【シンガポール=吉村英輝】 反捕鯨団体の「シー・シェパード」(SS)は6日、日本による南極海での調査捕鯨の様子を撮影した映像を公開し、捕鯨がクジラの「保護区」で行われていると非難。「これ以上クジラを苦しめないよう、いかなる行動も辞さない」との声明を出し、妨害活動を激化させる姿勢を示した。

 日本の水産庁は「保護区は商業捕鯨に設定されたもので、調査捕鯨は対象外」としている。

 SSは、調査捕鯨船5隻を発見したとして、母船の「日新丸」船上のミンククジラ3頭や血だまりの映像をネット上などに公表した。

 

2014年  ↑

 


 

捕鯨問題概説

 ほんの20年ほど前まで、スーパーの食品売場では鯨カツが当たり前のように売られていた。鯨肉の缶詰もどの店でも見かけた。

 今、鯨カツを売っているスーパーはない。鯨缶は、一部の店には残っているが、どこでも見かけるというものではなくなった。

 みそ汁の具にする鯨の油脂はまだ比較的見かけるが、量のわりには値がかなり張る。

 なぜ、食品としての鯨はこの20年ほどの間にこんなにも稀少になってしまったのだろうか。

 それは南極海などでの捕鯨が、科学調査用のわずかな頭数を除くと禁じられてしまったからだ。(商業捕鯨の禁止)

 では、なぜ商業捕鯨は禁止されたのだろうか。

 鯨の数が減少したから、ではない。

 鯨には様々な種類がある。その中には、確かにシロナガス鯨など、数が減少したために捕獲が禁じられて当然の鯨もある。

 だが、捕獲禁止の直前に日本が獲っていた鯨はミンク鯨という種類で、推定数十万頭が南極海に生息しているのだ。これを一定数捕獲しても、種として絶滅に瀕する恐れは全くない。

 ならばなぜ商業捕鯨は禁止されたのだろうか。

 捕鯨に関する事柄を取り決めるIWC(国際捕鯨委員会)が、科学的事実に基づかずに商業捕鯨を禁止したからである。

 IWCに集まっている国の大多数は、驚くべきことに、「鯨がどれほど沢山いても捕獲すべきでない」と主張しているのだ。

 アメリカやイギリスなどがそうした反捕鯨国の中心的存在なのだが、その主張には全く合理的根拠がない。

 鯨を捕獲していけないなら、ニシンやサバなどの魚はどうなのだろうか? 

 鯨は魚類ではなく哺乳類だから殺してはいけないというなら、同じ哺乳類である豚や牛はどうなのか?

 こんな理屈は小学生でも分かることだ。

 それを糊塗するために、「鯨は頭がいい」「イルカ〔鯨の一種〕は人間と会話ができるのでは」などという言説が流されたことがあったが、これらは全部デタラメである。鯨類が他の哺乳類に比べて特に頭脳明晰だという証拠はない、というのが、現在ほぼ定説になりつつある。

 要するに、捕鯨に反対する合理的根拠はどこにもないのだ。

 にもかかわらず、アメリカやイギリスはその主張を変えようとしない。はっきり言って、頭が悪いのである。もしかしたら、鯨以下かも知れない。

 困ったことに、日本人の中にも、頭の悪い国の振る舞いを見習おうとする、輪をかけて頭の悪い人たちが若干だが存在する。もしかしたら、魚類以下かも知れない。

 以上のようなオカシな事態を改善しようと、私も微力ながら捕鯨問題に取り組んできた。私が出している雑誌『nemo』では第2号からこの問題を継続して扱っている。

 『nemo』第2号以降は在庫があるので、希望者にはお頒けする。このホームページの「nemoとは?」の項目を参照されたい。

 また、新潟大生で、読んでみたいがカネが惜しいという人は、そっと教えてしまうが、新潟大図書館(五十嵐キャンパス)にこの雑誌があるから、そこならタダで読めてしまう。

 新潟大生以外でタダがいいという人にも耳寄りの情報をお教えしよう。『nemo』の捕鯨問題記事は、石田雅明氏制作のWebサイト「Whaling Library」に転載されているから、そこでも読むことができる。石田氏のサイトには、他にも捕鯨問題関係の資料が満載されている。

 また、鯨や捕鯨に関する正確な情報は、日本捕鯨協会のホームページでも提供しているから、一度のぞいてみるといい。この協会は捕鯨問題を正しく理解してもらうために「勇魚(いさな)」という広報誌を発行していて、その第15号には私も寄稿しているが、捕鯨協会のホームページにはこの広報誌の記事も転載されている。

 一つだけ付け加えておくと、捕鯨問題とは、単にある動物が捕獲できるかできないかというだけのことではない。この問題には−−

@大都市中心的な価値観の浸透により第一次産業従事者への差別的思想が生まれつつあるという側面(漁師より獲物の命の方が大切に思えてしまうという倒錯的思考! エコロジーにはこういう差別思想が紛れ込みやすいことに注意)。

A国際社会における欧米中心主義的な政治的文化的秩序の問題。かつては帝国主義によってアジアやアフリカを侵略した勢力が、今度は文化的価値観の次元において侵略行為を推進しようとしているのではないかという重大な疑惑。

などが絡んでいるのだ。

 その意味で捕鯨問題とは、あなた自身の思考力と生き方に関わる問題だと言っても過言ではない。

 なお捕鯨問題に関しては、リンクのページも参照して下さい。

 


【捕鯨問題関連文献(1) − 捕鯨問題そのものを理解するために】 (2010年08月08日更新)

  捕鯨問題そのものの事実関係を正しく把握するために必要な文献を紹介します。

 

【捕鯨問題関連文献(2) − 付随する問題を考えるために】 (2010年07月04日更新)  

  捕鯨問題を考えるには、その周辺領域、すなわち、自然保護とは何か、NGOは正義の味方なのか、生きるために他の生物を殺すということの意味、世界の文化秩序、「国際社会」 とは何か、欧米の思考法は 「普遍的」 なのか、など、様々な問題を一緒に考えていかなくてはなりません。

  ここでは、いわば捕鯨問題の広範な外縁をなす問題を理解するための文献を紹介します。                                                  

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