捕鯨問題最新情報(6) 2011年4月〜

 

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 2012年 (1〜2月)  ↓

 

・2月23日(木)   毎日新聞インターネットニュースより。

 http://mainichi.jp/area/wakayama/news/20120223ddlk30040421000c.html 

 太地の暴行:シー・シェパード支援者、地裁が無罪判決 関係者に広がる波紋 /和歌山

 ◇被告・晴れやかな表情 漁業者・「暴力行為心配」

 太地町でイルカ搬送作業の関係者への暴行罪に問われた反捕鯨団体「シー・シェパード(SS)」支援者への22日の和歌山地裁の無罪判決は、地元でSSメンバーらと漁業者のトラブルが続く中、関係者に波紋を広げた。【岡村崇、竹田迅岐、岸本桂司、神門稔】

 判決は、イルカ飼育などを監視していたアーウィン・フェルミューレン被告(42)が、警備の男性を押しのけたとする検察側の主張を「男性の供述の信用性に疑問が残る」と退けた。

 公判後、フェルミューレン被告は「無罪だと言ったのに2カ月も勾留された。裁判官は男性はうそをついたと言ってくれた」と晴れやかな表情。傍聴に訪れたSSメンバーは「今回はありがたいことに、世界の注目を浴びることになった」と皮肉を込めた。

 イルカ漁を批判的に描いた映画「ザ・コーヴ」の公開以降、多くの反捕鯨団体関係者が来町している。県警公安課によると、昨年9月の漁開始から1月末までにSSメンバーら計約100人が訪れており、現在も計15人程度が滞在して、漁などの監視を続けているという。

 10年9月にはイルカを入れたいけすの網が切断される事件も発生し、県警は今漁期から警備体制を強化。鯨類追い込み網漁の解禁に備え昨年8月下旬に特別警戒本部を設置し、同町内には臨時交番を開設して警察官10人を常駐させた。

 こうした中、県警は同被告を現行犯逮捕した。しかし、地裁で無罪となり、地元からはショックの声があがる。追い込み漁の地元漁業者で作る「太地いさな組合」の三好雅之副組合長(67)は「この日も漁に出たが、ビデオカメラで間近で撮影され妨害を受けた。判決で彼らの活動が正当化され、暴力行為がやまなくなることが心配」と話す。

 国際捕鯨委員会(IWC)捕鯨全面禁止絶対反対太地町連絡協議会会長で、同町議会議長の三原勝利さん(74)も「非常に残念な結果。直接的な行為だけでなく、反捕鯨の人たちは町にたむろし、迷惑このうえない。毅然とした態度が必要」と訴えた。

 毎日新聞 2012223日 地方版

・2月22日(水)  毎日新聞インターネットニュースより。

 http://mainichi.jp/select/jiken/news/20120222k0000e040210000c.html 

 シー・シェパード:支援被告の暴行に無罪判決 和歌山地裁

 和歌山県太地町のイルカ搬送作業現場付近を警備していた男性への暴行罪に問われた、反捕鯨団体「シー・シェパード(SS)」の支援者でオランダ国籍のアーウィン・フェルミューレン被告(42)の判決公判が22日、和歌山地裁であり、柴山智裁判官は「被害者の供述には疑問の余地があり、合理的な疑いが残る」として無罪(求刑・罰金10万円)を言い渡した。

 フェルミューレン被告は、昨年12月16日に飼育施設へのイルカの搬入作業で付近を警戒していた男性の胸を手のひらで突いたとして起訴された。

 同被告は「触っていない」などと否認。弁護側は公判で、同被告は右手に無線機、左手にカメラを持ち両手がふさがっていたなどと主張していた。

 柴山裁判官は、被害者が左手で押されたとしているのに、カメラを持ちかえるなどしたとは供述していないことから、疑問が残るなどと指摘した。

 シー・シェパードはインターネットのホームページで「活動を妨害するためのもの」などと捜査を批判。公判にもメンバーが傍聴に訪れていた。【岡村崇】

 毎日新聞 2012222日 1250分 (最終更新 222日 1407分)

・2月18日(土)   少し遅れたが、産経新聞インターネットニュースより。

 http://sankei.jp.msn.com/world/news/120128/asi12012812010004-n1.htm 

 【海外事件簿】 「救出費用は日本に」「すしバーなかった」SS支援活動家が放言 捕鯨監視船乗り込み  2012.1.28 12:00

 1月上旬、オーストラリア沖で日本の調査捕鯨船団の監視船に乗り込んだ環境団体「フォレスト・レスキュー」の活動家3人が、釈放された後、豪メディアに放言の限りを尽くしている。数千万円かかったとされる救出費用は「日本政府に請求すべきだ」。一方、日本船の食事に対しては「すしバーのようなものではなかった」と不平をこぼす。そんな彼らを、米国の反捕鯨団体、シー・シェパード(SS)を支援する豪政権の与党、緑の党のボブ・ブラウン党首は「英雄」と褒めたたえている。(佐々木正明)

 「フォレスト」の活動家3人は1月8日、豪南西部バンベリー沖約40キロの洋上で、SSが用意したゴムボートに乗り、監視船・第2昭南丸に乗り込んだ。第2昭南丸は、捕鯨妨害を繰り広げるSS抗議船を追尾して母船に位置を知らせ、捕鯨船との衝突を回避する役割を担っており、活動家たちの乗り込みの動機も、日本側の作戦を阻止するためだった。

 日本政府は艦船侵入容疑での逮捕も検討したが、その場合、重要な役割をこなす第2昭南丸を日本に帰還させなくてはならないため立件を見送り、活動家の釈放を決定。SS抗議船を追って航行中の南極海まで豪税関船に来てもらい、引き渡した。

 危険な行動を起こした活動家らに対し、ギラード豪首相は「無責任だ」「受け入れられない」などと発言し、猛省を促した。南極海から豪州までの救出費用には数十万豪ドル(数千万円)の公費でまかなわれ、豪州国内では「自分たちで責任を負うべきだ」との自己責任論がわき上がった。

 しかし、ギラード政権と連立を組む緑の党のブラウン党首は「彼らは、クジラにとっての英雄だ」と発言。さらに、「すばらしいオーストラリア国民であり、彼らは支援するに値する人たちだ」と全面的に擁護した。

 「フォレスト」のメンバーらは森林保護のための過去の過激な行動で、地元警察が立件化を目指しており、乗り込み活動家の1人でリーダー格のサイモン・ペタフィー被告(44)は帰国直後、すぐに拘束された。豪紙ウエスト・オーストラリアンによれば、ペタフィー被告は、森林関連の事務所に侵入し、酪酸入りのバックを投げ入れて業務を妨害したなどとして、10の容疑と約7700豪ドルの罰金が科せられていた。

 ペタフィー被告はSSが用意した保釈金で拘束が解かれ、後にこれらの事件について、「政治的な動機で立件されたものでどれも軽い罪だ」と語った。3月から始まる公判で出頭が要請されており、刑罰が審理される。

 一方、ペタフィー被告は監視船に乗り込んでから1週間が経って帰宅した後、豪メディアに対して、第2昭南丸での拘束生活や自己責任論への反論など、放言を繰り返している。

 船内では「古い映画を見せられた」「船員に英語を教えた」「いくつかの日本語を学んだ」などいくつかのエピソードを明らかにしながら、概して「静かに丁寧に扱われた」と感想を述べた。

 一方、出された食事については冗談交じりで文句を言い、「こちらでなじみのすしバーで出されるようなものではなかった。私たちが慣れているような料理でもない伝統的な日本食。塩漬けの野菜や魚、そして、米が通常で、何かわからない食べ物も出された」と語った。 乗り込みの動機についても、労働党政権の政権公約である調査捕鯨の中止にむけて、政府が努力を怠っているからだとし、ペタフィー被告は「もし、日本の捕鯨船団を監視するために政府が誓約どおり、南極海に船を送っていればわれわれは行動を起こしていなかった」と主張した。

 豪スカイニュースに出演した際には、「政府の船が南極海を航行していれば、われわれも、鯨を守るために活動しているシー・シェパードも必要ない」として、「責任は労働党とギラード政権にある」と語った。

 さらに、救出費用に多額の公費がまかなわれた点について、「もし送るべき請求書があるのなら、日本政府に送るべきだ」と言い放った。

・2月17日(金)   毎日新聞インターネットニュースより2件。

 http://mainichi.jp/select/world/news/20120217k0000e030124000c.html 

 調査捕鯨: 妨害差し止め、仮処分認めず 米地裁

 米国の反捕鯨団体「シー・シェパード」などを相手に、日本鯨類研究所(東京)が調査捕鯨妨害の差し止めなどを求めた訴訟の初審理が16日、米西部シアトルの連邦地裁であり、担当判事は研究所側が求めた仮処分の申し立てを退けた。

 今年3月まで続く今期の調査捕鯨で、同団体の危険な妨害行為をただちにやめさせる決定を期待していた研究所側にとっては厳しい判断となった。

 この日は仮処分の判断が下されただけで、裁判は続行される。担当判事は決定理由を2〜3週間後に送付する決定書で説明するとした。研究所側は、決定理由を検討して対応を決める方針。 (シアトル共同)   毎日新聞 2012217日 925

 http://mainichi.jp/area/wakayama/news/20120217ddlk30040450000c.html 

 太地の暴行: SS支援者に罰金10万円求刑−−地裁公判 /和歌山

 太地町のイルカ搬送作業現場付近を警備していた男性への暴行罪に問われた、反捕鯨団体「シー・シェパード(SS)」の支援者でオランダ国籍のアーウィン・フェルミューレン被告(42)の論告求刑公判が16日、和歌山地裁(柴山智裁判官)であった。検察側は「住民の生活への平穏を乱していることへの自覚、反省がない」などとして罰金10万円を求刑。弁護側は無罪を主張した。判決は22日。

 起訴状などによると、昨年12月16日午後0時40分ごろ、同町でカメラを持った被告が男性の胸を手のひらで突いたなどとしている。【岡村崇】

 毎日新聞 2012217日 地方版

・2月12日(日)  産経新聞インターネットニュースより2件。

 http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120212/crm12021207260001-n1.htm 

 シー・シェパード、刺激性物質入り弾を調査船に発射    2012.2.12 07:24

 水産庁は11日、米反捕鯨団体「シー・シェパード(SS)」の抗議船「スティーブ・アーウィン号」から降ろされた小型ボート3隻と水上バイク1台が日本時間同日午後2時20分〜5時ごろ、南極海を航行中の調査捕鯨船団「第2勇新丸」に対して、酪酸や塗料入りの瓶数十本と発煙筒を投げたほか、船のスクリューやかじを狙ってロープを投げ入れたと発表した。

 さらにSSメンバーらは、第2勇新丸に向かって、刺激性物質を詰めた数十発の弾を空気銃で発射。日本側にけが人はなかった。

 日本側は放水や音声で警告を行ったが、船体が塗料などで汚れた。スクリューには数本のロープが絡まったものの航行に支障はないという。

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120212/crm12021218090009-n1.htm 

 シー・シェパードがまた妨害行為、発煙筒など投げつける 南極海    2012.2.12 18:08

 水産庁は12日、米反捕鯨団体「シー・シェパード(SS)」の抗議船「スティーブ・アーウィン号」から降ろされた小型ボート2隻が、日本時間同日午前7時20分〜9時50分ごろ、南極海を航行中の調査捕鯨船団「第2勇新丸」のスクリューやかじを狙って、ワイヤや鉄管付きロープを海に投げ入れたと発表した。SSメンバーらはまた、発煙筒5本と酪酸や塗料入り瓶20本以上も投げつけたが、日本側にけが人はなかった。

 日本側は音声や放水などで警告したが、第2勇新丸の船体が酪酸で汚れたほかスクリューにロープが絡まり、速力が低下した。航行は可能という。

 SSによる第2勇新丸への妨害行為は、11日も行われたばかり。 

・1月26日(木)   産経新聞インターネットニュースより。

 http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120126/trl12012619300009-n1.htm 

 シー・シェパード支援者の被告、暴行罪を否認 和歌山地裁初公判    2012.1.26 19:27

 和歌山県太地町でクジラ搬送作業の現場に立ち入ろうと警備の男性の胸を突いたとして暴行罪に問われた米国の反捕鯨団体、シー・シェパード(SS)の支援者で、オランダ国籍のアーウィン・フェルミューレン被告(42)の初公判が26日、和歌山地裁(柴山智裁判官)で開かれた。被告は「誰も押していないし、触っていない」と無罪を主張した。

 検察側は冒頭陳述で、被告がイルカ漁の様子などをカメラに撮影し監視活動を行っていたことを明らかにし、「男性を押しのけるように胸を突いた」と指摘。これに対し弁護側は「通行していただけで、押したりしていない」と反論した。

 起訴状などによると、被告は昨年12月16日、太地町の堤防で、ハナゴンドウクジラの搬送作業を警備中の同町の男性会社員(23)に手で胸を突くなどの暴行を加えたとしている。

・1月22日(日)   産経新聞インターネットニュースより。

 http://sankei.jp.msn.com/world/news/120122/erp12012221440006-n1.htm 

 SSを支える政治家、有名俳優たち 26日から、和歌山で法廷闘争を準備     2012.1.22 21:43

 米国の反捕鯨団体、シー・シェパード(SS)が欧米やオセアニアの政治家、俳優らの支援を受け、日本の捕鯨やイルカ漁への妨害を激化させている。今月26日から和歌山地裁で始まる活動家の暴行事件公判では、こうした支援者からの寄付を元に多額の法廷費用を用意、和歌山県太地町のイルカ漁を非難する国際的なキャンペーンの場にしようと画策している。(佐々木正明、田中俊之)

 今月に入り、SSは南極海調査捕鯨船団への妨害を強化した。8日にはオーストラリアの他団体とともに監視船への乗り込みを決行、21日にはゴムボートから捕鯨船に刺激臭の液体が入った瓶計40本を投げ込んだ。

 妨害活動を担うのが3隻の抗議船だ。うち1隻のボブ・バーカー号は、米国の有名テレビ司会者の名前からつけられた。バーカー氏は環境保護活動にも熱心で、日本の捕鯨産業の壊滅を狙うSSの活動目的に賛同し、2009年に500万ドルを寄付している。

 SS代表のポール・ワトソン容疑者(国際指名手配中)は、米ハリウッド業界との結びつきが深く、俳優のショーン・コネリー氏、ショーン・ペン氏、ピアース・ブロスナン氏らは外部相談役として、SSの広告塔を担っている。ワトソン容疑者は取材に対し「彼らはわれわれの攻撃的非暴力活動に賛同している」と答えた。

  各国の有力政治家もSSを支えている。豪州連立政権の与党、緑の党のボブ・ブラウン党首は、SS抗議船が豪州に帰港すれば港まで出迎える熱の入れようで、監視船に乗り込んだ豪活動家を「英雄だ」と褒めたたえた。反捕鯨国・英国の与党保守党の国会議員、ザック・ゴールドスミス氏もSSの支援者だ。昨年、ロンドンで、SSの資金集めのイベントを催している。

 SSは03年に日本の水産業を標的にして以来、寄付収入が飛躍的に増加。10年には米国内の収入が03年に比べ、26倍の990万ドルに達した。物質的支援も多く、政府関係者によれば、ゴムボートも英国の会社からの寄贈の可能性があるという。豪紙エイジによれば、アウトドアブランド大手「ザ・ノース・フェイス」の共同創設者が今回、SS抗議船の燃料代を寄付した。同社関係者はこの創設者について「当社の経営からは離れており関係ない」とコメントした。

 一方、和歌山県太地町でイルカ漁を妨害するSS幹部のスコット・ウエスト氏は、先月、同町の会社員に暴行を加え起訴されたオランダ人活動家の公判について、SSが弁護団を結成して臨むことを明らかにした。ウエスト氏は「世界中の多くの支援者が裁判のために寄付してくれた。法廷に活動家を送り、裁判を世界に報告する」と述べた。

・1月21日(土)   産経新聞インターネットニュースより。

 http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120121/crm12012115390002-n1.htm 

 シー・シェパードがまた妨害行為 酪酸入り瓶を投げつけ   2012.1.21 15:38

 水産庁は21日、米反捕鯨団体「シー・シェパード」(SS)の抗議船「スティーブ・アーウィン号」から降ろされた小型ボート2隻が、同日午前7〜8時ごろ、南極海を航行中の調査捕鯨船団の船舶「第2勇新丸」に対し、酪酸や塗料入りの瓶をランチャー(発射装置)を使うなどして投げつける妨害活動を行ったと発表した。これにより、第2勇新丸の船体側面などが汚れたが、乗組員にけがはなかった。第2勇新丸側は放水などで警告した。

 SSによる第2勇新丸への妨害活動は、11日と18日にも行われたばかり。

・1月18日(水)   産経新聞インターネットニュースより。

 http://sankei.jp.msn.com/economy/news/120118/biz12011811450006-n1.htm 

 シー・シェパードが妨害活動 調査捕鯨船に塗料入り瓶投げつける 竹ざお、放水で応戦  2012.1.18 11:45

 水産庁は18日、米反捕鯨団体「シー・シェパード」(SS)の抗議船から降ろされた小型ボート2隻が同日午前0時10分〜午前2時ごろ、南極海を航行中の調査捕鯨船「第2勇新丸」に接近し、海中にロープを投げ入れたり、船体に向けて塗料入りの瓶約30本を投げつけたりする妨害行為を行ったと発表した。

 SSメンバーらはさらに、第2勇新丸の船体側面に装着されていたネットなどをナイフで切断したため、乗組員らが小型ボートを竹ざおで押し返したほか、放水や音声で警告した。乗り込みを図ろうとした可能性があるという。

 この妨害行為により、船体に装着されていた乗り込み防止用フロート1個が持ち去られた。また、乗組員2人が塗料を浴びたが、けがはないという。

 一方、SS側は活動家1人に竹ざおが当たり、切り傷を負ったほか、第2勇新丸の乗組員がロープを回収しようとした際に使ったかぎ爪が活動家2人の肩に当たったと発表した。

・1月12日(木)  産経新聞インターネットニュースより。 

 http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120112/crm12011202140002-n1.htm 

 SSまた妨害行為 調査捕鯨船に酪酸や塗料入った瓶投げる    2012.1.12 02:13

 水産庁は11日、米反捕鯨団体「シー・シェパード」(SS)の抗議船「スティーブ・アーウィン号」から降ろされた小型ボート2隻が同日、同庁の監視船「第2昭南丸」に対し、海中にロープを投げ入れるなどの妨害行動を行ったと発表した。同日午後には、調査捕鯨船団の船舶「第2勇新丸」に酪酸や塗料が入った瓶20本以上が投擲(とうてき)され、うち7本が船内に落ちた。日本の乗組員に被害はない。

・1月10日(火)   読売新聞インターネットニュース、および産経新聞インターネットニュースより。

 http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120110-OYT1T00157.htm 

 捕鯨監視船侵入3人、豪に引き渡しへ

 南極海での調査捕鯨に同行している水産庁の監視船「第2昭南丸」に8日、オーストラリア人を名乗る男3人が侵入した問題で、政府は9日、3人を同国政府に引き渡す方針を固めた。

 政府関係者によると、艦船侵入容疑での立件も視野に、同船に同乗していた海上保安官が3人から任意で事情を聞いたが、乗組員への暴行や器物損壊がなかったことを重視したという。

 政府関係者は「逮捕のために監視船を日本に戻すことになれば、妨害行為への対応力が低下する上、騒ぎになればなるほど、反捕鯨団体の資金集めの宣伝に使われてしまう」と話している。一方、オーストラリアの司法長官は9日、3人を豪州人と認めたうえで、日本側に引き渡しを求める姿勢を示している。   (20121100908分 読売新聞)

 http://sankei.jp.msn.com/world/news/120110/asi12011020380005-n1.htm 

 豪首相、乗り込み活動家を非難 SS攻撃姿勢を崩さず   2012.1.10 20:34

 日本の調査捕鯨船団の監視船「第2昭南丸」に乗り込んだオーストラリア人活動家3人を日本政府が立件せずに引き渡しを決めたことについて、ギラード豪首相は10日、「協力に感謝する」と謝意を表明した。活動家の危険行為については「容認できない」と非難。洋上引き渡しのために豪政府の税関船を派遣することも決めた。

 米反捕鯨団体「シー・シェパード」(SS)抗議船の監視を担う第2昭南丸は、豪環境保護団体「フォレスト・レスキュー」の活動家3人を乗せたまま、南極海に向かうSS抗議船を追尾している。

 日本政府は豪政府に税関船を第2昭南丸が移動しやすい海域まで派遣するよう要求。豪政府はこれに応じる方針で、引き渡しまで数日間かかる見込み。ロクソン法相は「救出に数十万豪ドルの税金がかかる」などと述べ、SSと「フォレスト」に対して不快感を表明し、二度と危険行為を行わないよう警告している。

 しかし、「フォレスト」の報道担当者は豪メディアに「今回の乗り込みは価値のある行為だった」と述べ、「必要とすべきことは今後も行う」と宣言した。(佐々木正明)

・1月9日(月)   産経新聞インターネットニュースより。

 http://sankei.jp.msn.com/world/news/120109/asi12010900380000-n1.htm 

 妨害活動を陸から支援 「SSと豪団体は一緒の組織」  2012.1.9 00:35

 第2昭南丸に乗り込んだ活動家3人が所属するオーストラリアの団体「フォレスト・レスキュー」は、シー・シェパード(SS)との密接なつながりが指摘されている。豪メディアによると、「フォレスト」の他のメンバーは森林伐採阻止などの行為で逮捕歴があるといい、環境保護系の過激団体として知られる。

 団体HPには、SS代表のポール・ワトソン容疑者とメンバーが一緒に写っている写真が掲載されている。8日の声明ではSSの活動を支えるとし、乗り込みについて、第2昭南丸の航行を阻むためとの理由も明かしている。

 第2昭南丸は抗議船スティーブ・アーウィン号を追尾して位置を把握、捕鯨船団に近寄らせない役割を担っており、第2昭南丸の航行を阻むことは、SSへの大きな援護となる。

 豪州国内にはSSの公式メンバーでなくとも、陸上から妨害活動に加わる者が少なくない。SSもさまざまな手法で船団へ圧力を加えるよう奨励している。タスマニア島の組織「タズ・パトロール」はネット上で日本の「内部情報」を発表し、船員の実名や船団の位置情報を暴露。捕鯨関係者によれば、豪州船が、日本船団の位置情報をSSに通報し、妨害活動に肩入れした過去もあるという。

 スティーブ号は6日まで給油のため現場海域に近いフリーマントルに寄港。7日夜は「エンジントラブルのため洋上で停泊する」として、第2昭南丸も付近で停泊していたという。

 SSによれば、「フォレスト」の活動家は豪沿岸からゴムボートに乗り、洋上でスティーブ号が搭載するゴムボートと合流、乗り込みを決行したという。

 しかし、捕鯨関係者は「フォレスト」のボートはSSが用意した疑いが濃厚とし、「両団体は一体化した組織と見た方がよい」と指摘。乗り込みの様子も、米国でシリーズ化されているSS宣伝番組で紹介される可能性が強いと見る。

 スティーブ号はすでに、現場海域から移動。第2昭南丸が豪州沖で停泊を余儀なくされている間に、南極海の捕鯨船団へ接近する恐れもある。 (佐々木正明)

・1月8日(日)   産経新聞インターネットニュースより。

 http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120108/crm12010811460004-n1.htm 

 反捕鯨支持者が日本の捕鯨監視船に乗り込む 豪州沖 シー・シェパード 「拘束」 主張、海保は否定  2012.1.8 11:45

 水産庁は8日、豪州南西部バンベリー港から約40キロの沖合で、オーストラリア人を名乗る男3人が日本の調査捕鯨船団の監視船「第2昭南丸」に乗り込んだと発表した。日本の乗組員、船体に被害はないという。

 同庁によると、日本時間8日午前5時40分ごろ、第2昭南丸にゴムボート1隻が急接近。男3人が同船に乗り込んできた。同船内で、男らの事情聴取を行っている。

 米反捕鯨団体「シー・シェパード」(SS)は同日、ホームページ上で、同団体を支持する環境保護団体「フォレスト・レスキュー」所属のオーストラリア人3人が同船に乗り込んだと発表している。シー・シェパード側は「拘束された」と主張しているが、海保は「そうした段階には至っていない」としている。

 同船には妨害活動に備えて複数の海上保安官が乗り込んでいる。

・1月6日(金)   産経新聞インターネットニュースより。

 http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120106/crm12010621090023-n1.htm 

 シー・シェパードが今季2回目の妨害行動 発煙筒など投げ込む   2012.1.6 21:07

 米反捕鯨団体「シー・シェパード」(SS)の妨害船「ボブ・バーカー号」が6日(日本時間)、南極海で活動する日本の調査捕鯨船団の船舶「第三勇新丸」に対し、4日に続き今季2度目となる妨害行動をしたと水産庁が6日発表した。日本の乗組員と船体に被害はなかった。

 同庁によると、6日午前4時10分ごろから同午前9時50分ごろ、ボブ・バーカー号から降下した小型ボート2隻が、第三勇新丸に接近。ブイや鉄管、ワイヤを装着したロープを海中に投入し、スクリューに絡ませようとした。さらに、発煙筒3本を船体外壁に投てきした。

 第三勇新丸は、放水やスピーカーで警告した。

 調査捕鯨船団は昨年12月、日本を出航。妨害により調査中断を余儀なくされた昨季の教訓から、今季は海上保安官を乗船させた監視船を派遣するなどの警備態勢を敷いている。

・1月5日(木)   産経新聞インターネットニュースより。

 http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120105/crm12010516340022-n1.htm 

 シー・シェパードが今季初の妨害行動 けが人なし    2012.1.5 16:34

 水産庁は5日、米反捕鯨団体「シー・シェパード」(SS)の妨害船「ボブ・バーカー号」が、南極海で活動する日本の調査捕鯨船団の船舶「第三勇新丸」に対し、5時間以上に渡り妨害行動をしたと発表した。SSによる妨害行動は今季初。日本の乗組員と船体に被害はなかった。

 同庁によると、4日午後6時ごろから同午後11時半ごろ(日本時間)まで、ボブ・バーカー号から降下した小型ボート2隻が、第三勇新丸の船首を30回以上横切り、ロープやワイヤを海中に投入。スクリューに絡ませようとした。

 第三勇新丸は、放水やスピーカーで警告した。

 調査捕鯨船団は昨年12月6日、日本を出航。妨害により調査中断を余儀なくされた昨季の教訓から、今季は海上保安官を乗船させて監視船を派遣するなどの警備態勢を敷いている。

 SSは今季、抗議船3隻を準備。しかし、調査捕鯨船団を追跡中、ブリジット・バルドー号が大波を受け船体に亀裂が生じるなどしたため、ボブ・バーカー号が1隻で、調査捕鯨船団を追跡していた。

 

2012年  (1月)  ↑

2011年 (4月〜12月)  ↓

 

・12月29日(木)   産経新聞インターネットニュースより。

 http://sankei.jp.msn.com/world/news/111229/asi11122919000001-n1.htm 

 シー・シェパード船1隻が大波で損傷 修理のため豪に帰港へ    2011.12.29 18:59

 反捕鯨団体「シー・シェパード」は29日、日本の調査捕鯨を妨害するため日本側船団を追跡していた抗議船3隻のうち、オーストラリア南西沖を航行中のブリジット・バルドー号が大波の影響で船体に損傷を受けたと発表した。

 船体に入った亀裂が徐々に広がりつつあることから、団体代表のポール・ワトソン容疑者=傷害容疑などで国際手配中=が搭乗するスティーブ・アーウィン号と合流した上で、修理のため、いったんオーストラリア西部の港へ戻る予定。残りのボブ・バーカー号は日本側船団の追跡を続行するという。(共同)

・12月26日(月)    少し遅れましたが、1週間前の産経新聞インターネットニュースより。

 http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/111219/crm11121918550013-n1.htm 

 「シー・シェパード」関係者 暴行容疑で滞在ホテルを家宅捜索     2011.12.19 18:55

 反捕鯨団体「シー・シェパード」の関係者が和歌山県太地町で男性会社員を暴行したとされる事件で、県警が関係先として、団体のメンバーらが滞在する隣町のホテルなど数カ所を暴行容疑で家宅捜索したことが19日、分かった。捜査関係者が明らかにした。

 捜索は18日。県警は団体メンバーらが使っているパソコンや携帯電話などを押収したとみられ、太地町の捕鯨への妨害、監視の実態を調べる。

 暴行事件は16日午後0時40分ごろ発生。立ち入り禁止区域となっていた太地町の堤防道路に無理やり入ろうとした団体関係者でオランダ国籍の男(42)が、制止した男性会社員の胸を手のひらで突いたとして、県警が暴行の疑いで現行犯逮捕した。

・12月25日(日)  産経新聞インターネットニュースより。

 http://sankei.jp.msn.com/life/news/111225/trd11122517260006-n1.htm 

 シー・シェパードが日本船を発見 妨害行為を強行へ   2011.12.25 17:25

 南極海での日本の調査捕鯨を妨害するため、オーストラリアから抗議船を出港させていた反捕鯨団体「シー・シェパード」は25日までに、日本の調査捕鯨船団を南極海の北方で24日に発見したことを明らかにした。今後、激しい妨害行為を強行するとみられる。

 同団体の声明によると、今シーズンは抗議船3隻のうち2隻に無線操縦が可能な小型の無人飛行機を装備。今回、このうちの1機が日本側船団を上空から発見し、所在を把握したとしている。

 シー・シェパードは日本側船団が今月上旬に日本を出港したのを確認した後、オーストラリア各地の港から抗議船を順次出発させ、日本側船団の行方を捜していた。(共同)

・12月20日(火)   産経新聞インターネットニュースより。

 http://sankei.jp.msn.com/world/news/111220/erp11122007330001-n1.htm 

 【日々是世界 国際情勢分析】 煽るSS 復興こじつけ…捕鯨批判報道 2011.12.20 07:30

 南極海の調査捕鯨船団に苛烈な妨害を与えるため、反捕鯨団体シー・シェパード(SS)の抗議船が16日、オーストラリアから出港した。日本側は団体の本拠地、米シアトルの連邦地裁に、妨害を抑止するための訴訟を起こしたが、団体側は「影響はない」として妨害を強行しようとしている。衝突が予想される中、日本の調査捕鯨を批判する報道が海外で相次いでいる。

 10日付の豪紙シドニー・モーニング・ヘラルド(電子版)は「3月の地震は日本の捕鯨ロビーを勢いづかせる奇妙な影響をもたらしている」と報道。捕鯨に批判的な立場を取るアンドリュー・ダービー氏が記し、今年、農水省で行われた「鯨類捕獲調査に関する検討委員会」について言及。「委員会は(SSの妨害によって中断した)調査捕鯨を復活させることを提言するよう求められていた」と論じた。

 記事は、少数派だった意見を紹介する内容で、委員が述べた「賛成派の政治家が牛耳っている。『私たちはSSのような人々には屈しない』という表現が、男のプライドになってしまっている」とする発言も取り上げた。

 東日本大震災からの復興を捕鯨と結びつけて批判する報道も少なくない。政府は第3次補正予算で、捕鯨基地のある宮城県石巻市の復興につなげたいとして調査捕鯨費などに約23億円を計上したが、震災義援金がこの費用に転用されているとの印象をもたらす報道があり、英豪などの日本大使館が各メディアに抗議を申し入れている。

 英紙ガーディアンは7日付で「日本の捕鯨船が津波災害資金を使って非難されている」と報道。これを受け、英国の日本大使館は「誤解を招くような見出し」として同紙に反論文を寄稿、「寄付金は一切、調査捕鯨費に使われていないし、今後も使わない」と強調した。

 SSは、転用が事実誤認にもかかわらず、騒動に便乗して「募金を日本に返してもらおう」というキャンペーンを展開、抗議を呼びかけている。SS代表のポール・ワトソン容疑者(国際手配)は豪州のスカイTVに対して「捕鯨費用が、まさか転用されることなど夢にも思わなかった世界中の人々からの募金であることは、誠に恥知らずなことだ」と語ったという。

 11日付の英字紙ジャパン・タイムズに寄稿した英紙インディペンデントのデヴィッド・マクニール記者はこの騒動についてふれ、国際環境保護団体グリーンピース・ジャパンの佐藤潤一事務局長の指摘を取り上げた。佐藤氏は「事実を曲げて述べることは、環境保護活動家のためにならない。これは反捕鯨運動全体の信用性に関わる」とワトソン容疑者を批判したという。

 一方、13日付の米紙ウォールストリート・ジャーナルは「かつて、SSの行為によってけがを負った日本の捕鯨船員はいない」と指摘した。実際には、SS抗議船から薬品入り瓶などを投擲(とうてき)されてけがを負った船員が数人おり、SSの主張をそのまま受け入れている報道も目立つ。

・12月17日(土)   産経新聞に以下の記事2件が掲載された。

 http://sankei.jp.msn.com/world/news/111216/asi11121619510001-n1.htm 

 「震災復興の募金が調査捕鯨に」 日本大使館に苦情相次ぐ 不正確報道に日本側抗議  2011.12.16 19:50

 「東日本大震災の募金が調査捕鯨に使われている」 とする苦情が、オーストラリアや英国の日本大使館に相次ぎ、大使館側は 「一切、使われていない」 などと対応に追われている。募金が調査捕鯨費に使われているとの印象をもたらす報道があったためで、大使館はこれらの報道をした豪州のメディアなどに抗議した。

 南極海調査捕鯨妨害のため16日、同国から抗議船を出港させた米反捕鯨団体、シー・シェパード(SS)はこうした状況に便乗して、「募金を返してもらおう」と呼びかける新たなキャンペーンを始めた。

 政府は第3次補正予算で、捕鯨基地の宮城県石巻市が被害を受けたことを理由に 「石巻の復興につなげたい」 として調査事業費などに約23億円を計上した。

 この予算計上を批判的に捉えた英豪の主要メディアが今月、「earthquake cash」(地震資金)「Tsunami relief fund」(津波救済資金)から支出されているなどと報道。 この表現で、震災復興のための募金が転用されていると誤解した人々が大使館へ苦情を寄せ始めた。

 このため、豪州の日本大使館は 「調査費に寄付金は一切使用されていない」 と否定するコメントを公式サイトに掲載。 オーストラリア放送協会などに 「事実に反する」 と抗議した。

 英国の日本大使館へも苦情が相次ぎ、担当官が英紙ガーディアンに 「誤解を招く恐れのある見出しの記事」 があったとして、反論文を寄稿。米国の日本大使館も対応に追われた。

 http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/111216/crm11121617100022-n1.htm 

 シー・シェパード支援者のオランダ人を現行犯逮捕 和歌山県警 2011.12.16 17:08

 クジラ搬送作業中の現場に無理に立ち入ろうとし、警備中の男性の胸を突いたとして、和歌山県警新宮署は16日、米の反捕鯨団体、シー・シェパードの支援者で、オランダ国籍のアーウィンマルコピーターアド・フェルミューレン容疑者(42)=和歌山県那智勝浦町のホテルに滞在中=を暴行容疑で現行犯逮捕した。同署によると容疑を否認しているという。

 逮捕容疑は同日午後0時40分ごろ、同県太地町森浦の堤防で、ハナゴンドウクジラの搬送作業の警備にあたっていた同町の男性会社員(23)に、胸を手で突くなどの暴行を加えたとしている。

 同署によると、クジラは太地漁港のいけすから、観光客との触れあいイベントのために近くのホテルが開放しているプールに移送中で、現場近くの堤防は立ち入り禁止となっていた。フェルミューレン容疑者が無理やり侵入しようとしたため、男性が制止したという。男性は近くでパトロールをしていた署員に被害を報告、署員がその場で取り押さえたという。

・12月15日(木)   産経新聞に以下の記事が掲載された。

 http://sankei.jp.msn.com/world/news/111214/asi11121414540002-n1.htm 

 調査捕鯨「安全最優先に」 米豪蘭NZが共同声明  2011.12.14 14:52

 米国やオーストラリアなど4カ国は14日、共同声明を発表し、近く南極海で始まる日本の調査捕鯨と、反捕鯨団体による抗議活動をめぐり、国際的なルールに基づき人命の安全を最優先に考えるよう、双方の当事者に「責任ある行動」を求めた。

 名指しは避けながらも、反捕鯨団体「シー・シェパード」による抗議活動を念頭に置き、人命を危険にさらすような両当事者によるあらゆる行為を非難すると警告した。

 ニュージーランドとオランダを加えた計4カ国は昨年も同様の声明を発表している。 今回も 「“調査”捕鯨を含む商業捕鯨に反対する立場に変わりはない」 とした上で 「日本側船団が(今月6日に)南極海へ向けて出港したことに失望した」 と述べた。(共同)

・12月14日(水)  毎日新聞インターネットニュースより。

 http://mainichi.jp/select/seiji/news/20111214k0000e010140000c.html 

 調査捕鯨: 復興予算で増額 水産庁が23億円

 東日本大震災からの復興に向け11月に成立した第3次補正予算に、南極海での調査捕鯨にかかる事業の経費約23億円が組み込まれていたことが14日、分かった。調査捕鯨の予算はこれまで、年間約5億〜9億円。2011年度は当初の約7億円に今回の約23億円を加えて約30億円と従来の最大6倍になっている。

 予算要求した水産庁は、全国有数の捕鯨基地の宮城県石巻市が大きな被害を受けたことを理由に「調査を安定的に実施し、石巻周辺の復旧・復興につなげる」とするが、被災地への支援といえるのか疑問視する声が出ている。(共同)   

 毎日新聞 20111214日 1000

・12月13日(火)  本日の産経新聞の 「主張」 (他紙の社説にあたる) に以下の文章が掲載された。 またそれ以外に以下の記事2件が掲載された。

 http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/111213/crm11121302490001-n1.htm 

 【主張】 シー・シェパード 国挙げて妨害を阻止せよ   2011.12.13 02:48

 米国の反捕鯨団体、シー・シェパード(SS)を相手取り、日本鯨類研究所など日本の調査捕鯨を担う2団体が、船団への過激な妨害行為を差し止めるよう求めた訴訟を米ワシントン州の連邦地裁に起こした。

 クジラ愛護に名を借りた明らかなテロ行為ともいえるSSの暴力には、反捕鯨国や環境保護団体からも厳しい批判の声が上がっている。高速艇による体当たりや劇薬投げ込みなどは、乗員の生命にもかかわる。提訴は当然である。

 鹿野道彦農水相は今回の提訴について、政府としても注視する姿勢を明らかにしているが、民間任せの対応で済ますことは許されない。国を挙げて支援する姿勢を改めて明確にすべきだ。

 SSの妨害は2005年ごろから始まり、年を追うごとに執拗(しつよう)かつ過激化している。これを英雄視する米TV番組の影響もあって、潤沢な資金が集まるようになり、活動を勢いづかせている。

 船団の位置をいち早く捕捉する最新機器を備え、発光弾や発煙筒を直接、乗組員の身体を狙って投げるなど妨害行為もエスカレートしている。昨シーズンは1カ月近くも予定を切り上げて調査を中止せざるを得なかった。

 提訴の背景として、同じSSの妨害行為の被害者であるマルタのクロマグロ養殖業者が、英国での損害賠償訴訟で全面勝訴したことが大きいという。英国は反捕鯨国だが、判決を受けてSS船の出港差し止め措置も実施している。

 SSが本拠を置き、同じ反捕鯨国である米国での提訴は日本に不利だとの見方もある。一方で、英国の判断を無視はできまいとの読みも聞かれる。国際ルールに基づく適切な司法判断を望むとともに、日本政府はSSの悪質さを広く国際社会に発信すべきだ。

 SSの妨害排除に向けた法的整備も急がれる。ソマリア沖の海賊船対策として一昨年に施行された海賊対処法が、SSを対象外としたことも、無法行為を許す理由の一つになっている。

 外務省を中心に「海賊とは解釈できない」との慎重論があるというが、日本の調査捕鯨は国際条約に基づく合法的活動だ。

 クジラの生息状況を調べる地球規模の大切な意義もあり、今回から水産庁の調査船も同行する。それが無法行為で阻止される状況はやはり異常としかいえない。

                *

 http://sankei.jp.msn.com/world/news/111212/asi11121220140003-n1.htm 

 シー・シェパード捕鯨妨害想定、NZ海軍が艦艇派遣か   2011.12.12 20:13

 12日付のニュージーランド紙プレスは南極海で近く実施される日本の調査捕鯨に反捕鯨団体「シー・シェパード」が激しい妨害活動を行う恐れがあるとして、ニュージーランド海軍の艦艇2隻が南極海へ派遣される可能性があると伝えた。

 ニュージーランド国防省筋の話として報じたが、詳細は不明。両者の衝突で死傷者が出る事態を防ぐため、同国政府が派遣を検討している可能性がある。ニュージーランド政府は10月、日本の調査捕鯨継続を非難する声明を出している。(共同)

 http://sankei.jp.msn.com/economy/news/111212/biz11121219340020-n1.htm 

 シー・シェパードの捕鯨妨害活動、オーストラリアが捜査に着手  2011.12.12 19:33

 オーストラリア(豪州)のラドウィッグ農水林業大臣は12日、鹿野道彦農林水産相と農水省内で会談し、豪州の警察当局が南極海における日本の調査捕鯨の妨害活動の捜査に着手していることを明らかにした。

 鹿野氏は反捕鯨団体「シー・シェパード(SS)」による妨害活動に、「抑止策を豪州政府内でも十分検討し、実行してほしい」と要望した。

 一方、ラドウィッグ氏は豪州が調査捕鯨の廃止を求めていることから、「捕鯨に対して日本と豪州の立場は異なる」と説明。その上で、「法律順守は当然必要であり、すでに警察、海上保安当局が(昨年度の)妨害活動の捜査を開始している」と応じた。

 SSをめぐっては、豪州当局はSSの船の寄港時に立ち入り検査を実施。調査捕鯨を行う「日本鯨類研究所」などがSSと代表のポール・ワトソン容疑者=傷害容疑などで国際指名手配中=を相手取り、妨害の差し止めと捕鯨船団への接近禁止を求める訴訟を米ワシントン州の連邦地裁に起こしている。

 今回の会談では、ラドウィッグ氏から訴訟に関しての言及はなかった。         

・12月9日(金)    産経新聞インターネットニュースより記事2件、および8月の報道1件を遅ればせながら収録。

 http://sankei.jp.msn.com/world/news/111209/amr11120913550006-n1.htm 

 シー・シェパードを提訴 妨害中止求め日鯨研が米連邦地裁に   2011.12.9 13:54  

 日本政府の許可を得て南極海で調査捕鯨を行う日本鯨類研究所(東京都中央区)は9日朝(現地時間8日昼)、反捕鯨団体、シー・シェパード(SS)の妨害を阻止するため、SSの本部がある米ワシントン州の連邦地裁に、妨害の差し止めと船団への接近禁止を求める訴訟を起こしたことを明らかにした。

 鹿野道彦農相は同日、閣議後の記者会見で、差し止め訴訟についてふれ、「(裁判で)どういう判断がなされるか農水省として注視していく。差し止め訴訟を起こしたことで(SSは)妨害行動を起こさないでほしい」と述べた。

 提訴に踏み切った理由について日捕研は、「年を追うごとにエスカレートするSSの妨害活動は船団の安全を脅かしており、看過できない」と述べた。また、同訴訟のほかに仮処分申請も行ったことも明らかにした。早ければ1カ月以内にも裁判所の判断が下されるという。

 日捕研は、捕鯨船団に対する火炎瓶の投擲(とうてき)や捕鯨船への乗り込みなどのこれまでのSSの暴力について、航海の安全を求めた国際条約、海洋航行不法行為防止条約(SUA条約)などに違反すると主張。日鯨研の藤瀬良弘理事長は「彼らは環境テロリストだと感じている。勝訴するよう全力を注ぐ」と述べた。

 SSが裁判所の命令に違反した場合について、担当の弁護士は「法廷侮辱罪により多額の罰金や当事者の拘束もありうる」として、米国の法的拘束力をもたせることがSSの妨害抑止につながるとの認識を示した。

 日鯨研はこれまでのSSの妨害で、鯨の予定捕獲数を確保できず金銭的な損害を受けている。このため今後、SSに対して損害賠償請求についても検討することも明らかにした。

 http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/111209/trl11120913370003-n1.htm 

 シー・シェパード提訴 「本丸」で奇襲作戦   2011.12.9 13:35

米反捕鯨団体、シー・シェパード(SS)を法廷に引きずり出そうと、調査を行う日本鯨類研究所が決めた米連邦地裁への提訴は、日本側が長らく温存してきた切り札の一枚であり、SSがオーストラリアで捕鯨妨害の準備に全神経を注いでいる最中に、手薄になった本丸で行う“奇襲作戦”でもある。(佐々木正明)

 今回、NPO法人としての本拠である米ワシントン州でSSを訴えることには、日本政府の強い意向が働いている。政府はこれまでもSSの暴力を法的手段で縛る手段を模索してきたが、関係国は米国や豪州などの反捕鯨国でしかなく、「アウェー」での審理は、むしろ日本側を劣勢にするとの読みがあった。

 流れを大きく変えたのが今年初め、マルタの水産業者がSSを相手取り英国で起こした損害賠償訴訟だった。業者はクロマグロを囲ったいけす網を切断され、約70万ポンド(約8500万円)の損害を被ったが、第1審判決は全面的にSSの非を認め、7月にSS船が英国に寄港した際にも、供託金没収のための差し止め措置も実施し、反捕鯨国でも「司法判断は別物」との期待を日本側に抱かせた。

 SSの近年の資金力拡大も、待ったなしの状況を生み出した。米有料チャンネル・アニマルプラネットのシリーズ番組「鯨戦争」が海の英雄に描き出すことで、SSには多額の寄付金が転がり込むようになった。

捕鯨妨害を始めた2005年以来、米国内での収入はこの6年で約10倍にも膨らみ、SSは資金を装備増強に投入。攻撃力はアップし、日本の捕鯨船に負傷者が続出、昨季はついに調査中断に追い込まれた。SSが米国で法的な足かせを負えば、妨害の大きな抑止力になると日本側は考えた。

 提訴の時期も綿密に練った。SSは代表のポール・ワトソン容疑者(61)が牛耳る団体であり、代表の意向がすべて反映される。12月には、SSは南極海の捕鯨妨害へ全勢力を集中させ、団体幹部は出撃拠点となる豪州に集結する。日本側が訴訟と併せて行う差し止め仮処分申請は、数週間以内で判断が下される可能性があり、SS側は不意を突かれて、準備不足のまま法廷での対応を迫られる可能性が高い。

 関係者は「アニマルプラネットの道義的責任も問いたい」と話す。日本側は一気に反転攻勢に出て、SSの封じ込めを図ろうとしている。

          *        *

  なお、この件については、産経新聞が8月7日付で以下のような報道を行っていました。 このコーナーでは8月21日付で簡単に情報をお伝えしただけでしたが、以下で8月7日付報道をお伝えします。

 http://sankei.jp.msn.com/world/news/110807/erp11080718000007-n1.htm 

 【海外事件簿】 シー・シェパード抗議船が英国で差し押さえ 日本政府が取るべき打開策のヒント   2011.8.7 18:00

 日本の捕鯨船を襲撃する反捕鯨団体、シー・シェパード(SS)の抗議船スティーブ・アーウィン号が先月15日、寄港先の英シェットランド諸島で、地元の裁判所に差し押さえられた。妨害活動で損害を被ったマルタの水産業者が英国で民事訴訟を起こし勝訴、裁判所がその賠償額に値する資産を担保にするためだった。SSは結局、52万ポンド(6800万円)の供託金を納め、抗議船の差し押さえ措置を解いた。これまで、SSの猛威を抑えきれなかった日本政府にとって、マルタの業者の“一刺し”は、現状を打開するための突破口になるかもしれない。(佐々木正明)

 SSは昨年6月、地中海でクロマグロ漁妨害キャンペーンを実施。抗議船スティーブ号を派遣し、マルタの水産業者「Fish and Fish」(フィッシュ アンド フィッシュ)が所有する巨大いけすの網を切って、中を回遊してクロマグロ約600匹を海洋に逃した。

 SSはフィッシュ社が「クロマグロを密漁している」と言い張り、一方、フィッシュ社は「漁業許可を得た合法的な漁だ」と主張した。しかし、この“事件”は各国の管轄権があいまいな海域で発生し、結局、SSの責任追及の動きは起こらぬまま、推移した。

 しかし、フィッシュ社は着々とSSの責任を問う機会をうかがっていた。日本が南極海の調査捕鯨妨害に手を焼いていた2月、フィッシュ社は、英国で損害賠償請求訴訟を起こした。マルタではなく、英国の裁判所に提訴した大きな理由は、SSがロンドンに支部を持ち、一定の資産を保有していたからだった。

 関係者によると、SSはこの訴訟にまったく対応せず、結果、6月にフィッシュ社が勝訴。裁判所はSSに約70万ポンド(9100万円)の損害賠償金を支払うよう命じた。しかし、SSは判決を不服として控訴した。

 スティーブ号差し押さえはこの最中に起こった。SSは7月から、北大西洋に浮かぶデンマーク領フェロー諸島で、伝統の捕鯨に妨害を加えようと新たなキャンペーンを企てていた。スティーブ号は補給のため、シェットランド諸島に寄港。フィッシュ社はこの動きを察知し、地元の裁判所に船の差し押さえを申請し、これが認められた。

 裁判所は、スティーブ号の資産価値から、差し押さえを解除するための供託金を52万ポンドに設定した。8月上旬、SSは同等の額を納め、措置を解いた。スティーブ号は翌日、出港。フェロー諸島には、すでにもう1隻の抗議船が到着しており、今後、2隻態勢で漁に圧力を加えるとみられる。

 SSをめぐるこの国際的な司法での争いは、日本政府にとってSS問題打開策のヒントがつまっている。これまで、日本政府は、SS抗議船の船籍国であるオーストラリアやオランダに対し、あくまで刑事事件としてSSを厳重に取り締まるよう要請してきた。しかし、両国は日本の調査捕鯨に異議を唱える反捕鯨国であり、日本側の要請に迅速に応えてはこなかった。

 ところが今回の差し押さえ措置は民事訴訟における裁判所の決定だ。一定期間だったが、抗議船の航行を封じ、SSに金銭的な負担も負わせた。関係者によると、SSに対する判事の心証はかなり悪く、今回の迅速な措置もそうした状況が強く反映されたものではないかという。

 また、今回の動きは英国で起こった。SSの英国支部は近年、寄付収入を増額させており、銀行口座にもかなりの資金を蓄えているとみられている。民事訴訟で勝訴すれば、結局は苛烈な妨害にまわされる活動資金を封じることもできる。

 SSの本部は米国にある。年間報告書によれば、一昨年の寄付収入は約1000万ドル(約8億円)。調査捕鯨で、SSの妨害により捕鯨頭数を確保できなかったことで、日本側が被った累積被害額は数億円単位にも上るとされる。

 民事訴訟で勝訴すれば、被害額を回復できる上、SSに経済的な打撃を与えることもできる。海賊行為や、国内のエコテロリズムに厳しい措置を取る米国で、日本側が法廷闘争を試みる検討余地は十分にある。

・12月6日(火)   読売新聞インターネットニュースより。

 http://kyushu.yomiuri.co.jp/news/national/20111206-OYS1T00744.htm 

 調査捕鯨船団が下関出港、水産庁護衛船も同行

 南極海で調査捕鯨を行う日本船団の3隻が6日、山口県下関市の下関漁港を出港した。日本の調査捕鯨を巡っては、反捕鯨団体「シー・シェパード」の妨害行為が激しくなっており、昨季は予定より約1か月早く打ち切った。今回は水産庁が初めて護衛用の船を同行させる。

 下関から出港したのは、捕鯨船「勇新丸」(720トン)と「第2勇新丸」(747トン)、監視船「第2昭南丸」(712トン)。水産庁は「安全対策上のため」として日程や船団の規模、出港地などについて発表していない。例年通りなら母船などと合流し、約4か月間でミンククジラとナガスクジラ計900頭を捕獲する予定だ。

 南極海での調査捕鯨への妨害が始まったのは2005年で、シー・シェパード側は今季も妨害活動を行う方針を表明。日本側は対策として、船団が用意する監視船とは別に、水産庁が新たに護衛用の民間船をチャーターした。船には、放水砲や探照灯、小型艇などを装備し、外洋航行能力のある同庁所属の漁業取締船と同等の能力を持たせているという。  (2011126 読売新聞)

・12月5日(月)   産経新聞インターネットニュースより。

 http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/111205/crm11120511090006-n1.htm 

 調査捕鯨船に海上保安官が同乗 米反捕鯨団体SSの監視船にも   2011.12.5 11:49

 海上保安庁は5日、今年度の南極海での調査捕鯨船に海上保安官を乗船させると発表した。捕鯨船への乗船は今回で3回目だが、事前に公表するのは初めて。水産庁が初めて派遣する監視船にも同乗させる方針で、これまでよりも態勢を強化して警備にあたる。

 海上保安庁によると、反捕鯨団体「シー・シェパード(SS)」の妨害活動が予想されることから、農林水産省などの要請を受け検討。調査捕鯨船団の安全確保の観点から海上保安官の乗船が必要と判断した。巡視船の派遣は効果が限定的として見送った。

 調査捕鯨船への海上保安官の乗船は平成19年度と22年度に実施している。この際は妨害行為に対応したことなどを受けてから乗船を公表していた。同庁幹部は「今回は抑止効果を期待して事前に公表することにした。人数や装備、具体的な任務などは警備上明らかにできない」としている。

 鹿野道彦農水相は10月、例年11月から始まる調査捕鯨について今年度も実施する方針を明らかにしている。水産庁は安全上の問題があるとして、調査の実施状況や期間を明らかにしていない。

・12月2日(金)   産経新聞の連載小説に 「鯨肉竜田揚げ定食」 が登場

 産経新聞には現在、黒木亮の 『法服の帝国』 という小説が連載されている。 戦後日本の裁判所や裁判官の内実に切り込んだ作品で、産経新聞というと保守系というイメージを持つ方も多いだろうが、どうして、頑迷固陋だったり権威主義的だったりした当時の最高裁の姿勢に対して批判的な目で書かれており、なかなか面白く、私は毎日読むのを楽しみにしている。 

 で、本日は連載の131回目だったが、ここで鯨肉の定食が登場した。 この小説は時代的に青年法律家協会所属の裁判官候補者が任官拒否に会うなどした頃を扱っているが、本日の場面は沖縄がアメリカから日本に返還された1972年 (昭和47)、日本武道館でその記念式典が開かれた5月15日、主要登場人物の一人である津崎守が最高裁の隣りにある農林省の地下食堂で 「鯨肉竜田揚げ定食」 を食べているシーンが出てくる。

 この小説は時代考証もなかなかしっかりしており、当時の日本人にとって鯨肉がごく当たり前の食品として流通していたことがさりげなく示されている。 

・11月26日(土)  産経新聞の連載コラム 「都道府県伝統の教え」 に以下の記事が掲載された。

 http://sankei.jp.msn.com/life/news/111126/edc11112607550001-n1.htm 

 佐賀県 小川島鯨骨切唄 島民の誇り刻む  2011.11.26 07:52

 佐賀県唐津市呼子町にある小川島。呼子港から20分、玄界灘に浮かぶ1周4キロの小さな島は昔から捕鯨が盛んな地だ。冬に沖縄周辺で出産を終えた鯨が子供とともに対馬海峡を北上しながら潮を吹くところを海を見張らす丘「鯨見張所」から目を凝らすのだ。

 「ウオー」

 鯨を見つけると、大急ぎで丘から合図が出される。男たちは一斉に捕鯨船に飛び乗り海へ。捕獲された鯨を浜で解体するときに歌い島民の心をひとつにしたのが「小川島鯨骨切唄(くじらほねきりうた)」。勇壮でリズムある歌だ。

 江戸時代から島に伝わり、明治時代には捕鯨会社が設立されるなど隆盛を極めた。島にとって鯨は暮らしの糧であり、男の誇りをかけた格闘相手だった。だが、一方で島民は鯨を供養する「鯨鯢(げいげい)供養塔」なども建立、鯨への感謝を忘れなかった。玄界灘の捕鯨は昭和36年には静かに幕を下ろすが、今でも島では盆や正月、結婚式などの食卓に鯨肉は欠かせない。「小川島鯨骨切唄」は小川島小中学校の児童生徒に語り継がれている。毎月、児童生徒は年に1度の小中学校による合同運動会に向けて習い、披露する。これが島民の息吹や誇り、団結を蘇(よみがえ)らせる場となっているという。

・11月20日(日)  産経新聞インターネットニュースより。

 http://sankei.jp.msn.com/world/news/111120/asi11112012010003-n1.htm 

 日本たたきで個人収入アップのシー・シェパード代表 ここ6年で4千万円    2011.11.20 12:00

 米国の反捕鯨団体、シー・シェパード(SS)代表のポール・ワトソン容疑者(傷害容疑などで国際指名手配中)の2010年の報酬が、前年より2・5万ドル増の12万ドル(約920万円)だったことがわかった。05年に南極海調査捕鯨妨害を開始して以来、ワトソン容疑者が受け取った資金は52万ドル(約4千万円)にもなる。日本への過激な妨害をPRして集めた寄付金で、“私腹肥やし”を行っていた形だ。一方、SSの拠点の1つとなっている英国で、与党保守党の国会議員、ザック・ゴールドスミス氏がSSの資金集めを支援し、英国での後援者となっていたこともわかった。(佐々木 正明)

 SSは米国と英国で、総収入における税金が控除される特別なNPOとして認定され、毎年、当局に対して活動報告書を提出する義務がある。いずれの事実も、産経新聞が入手したSS米国本部と英国支部の活動報告書により判明した。

 1977年に、国際環境保護団体グリーンピースから脱退したワトソン容疑者が設立したSSは、団体のカリスマを信奉するメンバーが集まり、ワトソン容疑者の意向が強く反映される。日本の捕鯨関係者は「SSはワトソン容疑者がいなければ、ただの烏合(うごう)の衆に過ぎない」と分析する。

 メディアを巧みに操るのが得意なワトソン容疑者は、調査船団を妨害する際、米、英、オーストラリアなどの反捕鯨国のメディアに情報を流し、一方的に日本を批判。各メディアも「日本船団がわれわれを殺害しようとしている」などとするワトソン容疑者の言葉をそのまま伝え、一方で、SSも公式サイトなどで「今すぐ寄付を」などと呼びかけて、団体への支持が集まってきた経緯がある。

 特に、SS抗議船にカメラクルーを乗船させ、捕鯨妨害の様子を撮影した米有料チャンネル、アニマルプラネットの番組「Whale Wars(クジラ戦争)」が2008年に始まると、団体の収入はうなぎ上りに増加。2010年には、米国内での総収入は991万ドルと過去最高を記録した。

 報告書によれば、団体が与えたワトソン容疑者の年俸は05年に7万ドル、06−08年は8万ドルで、09年に9・6万ドル、10年に12万ドルとなっている。ワトソン容疑者は反捕鯨国のメディアに頻繁に出演しており、出演料を含めると年間収入はさらに多いとみられる。

 ワトソン容疑者は事あるごとに「われわれの団体は多くのボランティアが活躍している」などとPR。無償の若者たちが危険な活動に手を染める一方で、ワトソン容疑者だけが特別で、日本をダシに使って集めたお金を懐に入れてきたとも言える。SSを脱退した前活動家によれば、「団体にはお金を管理する何人かのメンバーがいて、ボランティアとのトラブルが絶えない」という。

 一方、SS英国支部も年間収入を増やした。昨年は、33・8万ポンド(約4000万円)と前年より26万ポンド増加した。報告書には「後援者が増えた結果だ」と記され、最大の後援者の1人として、チャリティーイベントなどでSSの活動を支えたゴールドスミス氏の名前を挙げている。

 ゴールドスミス氏は環境保護関連の雑誌編集者を務めた経歴を持ち、保守党の政治活動にも参加。昨年5月、ロンドン市内の選挙区から立候補し当選、下院議員となった。公式サイトには「幅広い分野で環境保護問題に関与している世界中の団体のために資金を集めている」と記されている。

 SSについては「すばらしい団体」「英雄的な活動をする」と支持を表明。昨年1月に、SS抗議船アディ・ギル号が日本の第2昭南丸と衝突沈没した際には、声明を出し、「彼らは日本の捕鯨船を怖がらせるスピードを持つアディ・ギル号に代わる船を手に入れたがっている」「支援を必要としている」などと団体への寄付を呼びかけた。

 SSの活動に、物資人員面でも金銭面でも多大な貢献を果たしているオーストラリアでも、与党緑の党のボブ・ブラウン党首がワトソン容疑者との親交ぶりをアピール。事実上の母港のタスマニア島・ホバート港にSS抗議船が寄港する際には、波止場まで出迎えるパフォーマンスを見せ、日本を批判する豪州での急先鋒(せんぽう)となっている。

 SSは、英国でも豪州でも、政治ロビー活動で国会議員に支えられている実態が浮かび上がった。

・11月13日(日)  産経新聞インターネットニュースより記事2件。

 http://sankei.jp.msn.com/world/news/111113/erp11111308070002-n1.htm 

 シー・シェパードが捕鯨船攻撃用ボートを増強 収入は過去最高額に   2011.11.13 08:07

 米国の反捕鯨団体、シー・シェパード(SS)が今期の日本の調査捕鯨を妨害するため、攻撃用ゴムボートを新たに購入するなど装備を補強していたことが分かった。日本への反捕鯨活動をPRして急成長を遂げるSSは昨年、過去最高の収入だったことも判明。ボートには推進力増強の装置が付けられており、1隻1千万円以上かかったとみられる。前回、調査中断を余儀なくされた日本側も対策の見直しを迫られている。

 毎年12月から南極海で実施する日本の調査捕鯨は前回、SSの過激な妨害により中断、捕獲数は172頭と過去最低にとどまった。この影響で、調査費に充てる鯨肉の販売収入が落ち込み、政府は第3次補正予算で約23億円を補填。妨害対策として監視船1隻を船団に加え、調査を継続する方針を示している。

 これに対し、SS側も妨害活動の継続を表明。欧州に展開していた抗議船スティーブ・アーウィン号を現在、妨害活動期間中の拠点となるオーストラリアへ向かわせている。

 関係筋によると、スティーブ号は英国に9月中旬から約1カ月、寄港している間に、船に積んでいたボート2隻を売りに出し、新たに2隻を獲得した。ボートには船外機が付けられ航行速度は時速30ノット超。日本の船団のどの船よりも速い。

 別の抗議船ボブ・バーカー号も今年5月に豪州内で船の改修を行った。船尾にボートの収納施設が整備され、新たにボート1隻が加えられた。

 昨期の5隻から6隻へと増加するボートは、日本の船団につきまとい、酸入りの瓶などを投擲する攻撃艇として使われる。近年、SSは妨害をエスカレートさせており、ボートからの攻撃で船員が負傷したこともある。航海中の危険が増すのは避けられそうにない。

 一方、SSは米国と英国で、税金が控除されるNPOとして認定を受けており、当局に活動実績を報告する義務がある。産経新聞が入手した2010年の報告書によると、米国での収入は991万ドル(約7億7千万円)で前年より10万ドルアップしている。(佐々木正明)

■シー・シェパード 1977年、環境保護団体グリーンピースを脱退したカナダ人、ポール・ワトソン容疑者(傷害容疑などで国際指名手配中)が米国に設立。海洋生物や地球環境の保護を標榜し、捕鯨やマグロ漁などの妨害活動を行う。2003年から日本を本格的に標的にし始め、調査捕鯨を妨害。和歌山県太地町の伝統イルカ漁にも圧力を加える。オランダ船籍2隻とオーストラリア船籍1隻の計3隻の抗議船を保有している。

 http://sankei.jp.msn.com/world/news/111113/erp11111308070003-n1.htm 

 SS抗議船の旗国オランダ SSの暴力「違法とは言えない」  2011.11.13 08:07

日本の調査捕鯨船団に過激な妨害を続ける米国の反捕鯨団体、シー・シェパード(SS)について、抗議船2隻の船籍登録を認めるオランダの政府当局者は、「確固たる証拠がない」として、船の体当たりや火炎瓶の投(とう)擲(てき)などを現時点では違法行為と認定せず、従来通り船籍を認めることを明らかにした。(オランダ・ハーグ 佐々木正明)

 国際法上、公海を航行する船舶は旗国の司法管轄下に置かれる。オランダ政府はSS抗議船スティーブ・アーウィン号とボブ・バーカー号の船籍を認めており、違法行為を取り締まる義務を持つ。

 SSの暴力は、船舶の安全などを定めた海洋航行不法行為防止条約に違反する疑いがあり、日本側はオランダ政府にSSを取り締まるよう要請。オランダ側はしかし、捜査権を行使して船の拿(だ)捕(ほ)や活動家の立件などに踏み切っていない。

 同当局者はこの理由について、「船団の航海日誌や船員名簿などの証拠の提出を当事国・日本に要請しているが、まだ提出されていない」と話した。

 さらに、反捕鯨派が多数を占めるオランダ国民の総意が、SSの取り締まりに影響を及ぼしていることも示唆した。この当局者は「大半の国民は調査捕鯨を違法とみている」と前置きした上で、「捕鯨反対のデモを行う団体を規制すれば、政府の行為は国民感情と合わなくなる」と指摘した。

 今後、SSが抗議船の数を増やすことも予想されるが、当局者は「現行法上、申請があれば、船籍を認めることになる」と明言。政府が違法行為を認定し船籍を剥(はく)奪(だつ)できる新法も、法制化の見通しはついていない。

 SSのもう1隻の抗議船の船籍を認めるオーストラリアも同様の状況にあるといい、両国に拠点を持つSSが国民の反捕鯨感情を背景に、暴力行為をエスカレートさせている実情が浮かび上がった。

・10月7日(金)    大幅に遅れて済みません。 6月の産経新聞インターネットニュースより。

 http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110617/plc11061711420013-n1.htm 

 反捕鯨団体SS取り締まらない豪政府 日本政府「提訴は現時点で検討していない」   2011.6.17 11:41

 政府は17日の閣議で、南極海の調査捕鯨を妨害し、中止させた米国の反捕鯨団体、シー・シェパード(SS)の違法行為に対して実効的な取り締まり措置をとっていないとされるオーストラリア政府を国際司法裁判所(ICJ)に提訴するかどうかについて「現時点で検討していない」とする答弁書を決定した。

 ただ、答弁書では「何が最も効果的な対応策であるか引き続きよく検討し、オーストラリア政府を始め関係国政府に働きかけを行っていく」とも記した。

 SSメンバーが和歌山県太地町でイルカ漁の妨害活動を行ったことには「健全な経済活動のみならず平穏な生活をも脅かすものであり極めて遺憾だ。刑罰法令に触れる行為があると認める場合には法と証拠に基づき厳正に対処していく」と、今後も厳しい姿勢で臨むことを示した。

 自民党の林芳正、鶴保庸介両参院議員の質問主意書に答えた。

・10月6日(木)  毎日新聞、産経新聞および読売新聞インターネットニュースより。

 まず、毎日新聞。

 http://mainichi.jp/select/world/news/20111005k0000e030062000c.html 

 調査捕鯨: 日本の継続方針 NZ外相も強く非難

 ニュージーランドのマカリー外相は5日、南極海での調査捕鯨を継続する方針を表明した日本政府に対し、「ニュージーランドやオーストラリアの国民が示している強い懸念を全く尊重していない」と強く非難する声明を発表した。

 マカリー氏は、日本側が南極海での捕鯨を調査目的としていることを「非常に疑わしい」と指摘。一方、反捕鯨団体「シー・シェパード」が今回も妨害行為を続ける意向を示したことなどから、互いに人命に危害を加える行為は避けるよう警告した。

 オーストラリア政府も既に、日本の調査捕鯨継続方針を非難する声明を公表している。(シドニー共同)  毎日新聞 2011105日 1235

 次に産経新聞。

 http://sankei.jp.msn.com/world/news/111004/asi11100422060004-n1.htm 

 日本の調査捕鯨継続を非難 豪が非難声明   2011.10.4 22:03 [捕鯨]

 日本政府が4日、南極海での調査捕鯨を継続する方針を表明したのを受け、反捕鯨国のオーストラリア政府は同日、「(調査捕鯨の)中止を求める声が国際社会の中で広がっている」などと訴え、日本政府の方針を非難する声明を発表した。

 豪政府は以前から、日本の調査捕鯨は事実上の商業捕鯨に当たり、商業捕鯨の一時停止などを規定した国際捕鯨取締条約に反すると主張。今回の声明でも「あらゆる商業捕鯨の恒久的な中止を目指す」とあらためて強調した。(共同)

 最後に読売新聞。

 http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20111004-OYT1T00991.htm 

 シー・シェパード、今季も日本調査捕鯨を妨害へ

 【ジャカルタ=梁田真樹子】 反捕鯨団体「シー・シェパード」オーストラリア事務所の広報担当者は4日、本紙の取材に対し、南極海での日本の調査捕鯨船団に対する妨害活動を今季も行う方針を改めて表明。

 3隻から成る船団を組み、活動家総勢100人を派遣するなどと説明した。シー・シェパードは昨季も発煙筒を投げつけるなどの激しい妨害活動を行い、日本の船団は安全確保のため予定より1か月早く調査捕鯨活動を打ち切っていた。  (20111041842 読売新聞)

・10月5日(水)   南極海での日本の調査捕鯨続行が決定した。 

 以下、毎日新聞および産経新聞のインターネットニュースより。 まず、毎日新聞。

 http://mainichi.jp/select/biz/news/20111004dde041020054000c.html 

 南極海調査捕鯨: 今年度も継続 水産庁、監視船派遣へ

 農林水産省は4日、例年11月からの南極海での調査捕鯨を今年度も実施すると発表した。南極海の調査捕鯨を巡っては、昨年度、反捕鯨団体「シー・シェパード(SS)」の妨害活動で予定より1カ月早く打ち切っており、継続を懸念する声もあった。

 鹿野道彦農相は4日の閣議後会見で実施の方針を示した上で、乗組員の安全対策について「水産庁の監視船を派遣するほか、関係省庁と詰めていきたい」と述べた。SSによる妨害活動は05年度から続いている。09年度には調査捕鯨船団の監視船に不法侵入したとして、海上保安庁が抗議船の船長を逮捕。昨年度は、信号弾を発射されるなどの妨害活動が相次ぎ、3月末までの予定を約1カ月早く打ち切った。学識経験者らで作る「鯨類捕獲調査に関する検討委員会」が今年7月に取りまとめた中間報告にも、少数意見ながら「国際的批判や費用対効果を考え、縮小・中止を」との指摘が出ていた。 【曽田拓】   毎日新聞 2011年10月4日 東京夕刊

 次に産経新聞。

 http://sankei.jp.msn.com/economy/news/111004/biz11100411390006-n1.htm 

 調査捕鯨、今冬も継続 反捕鯨団体の妨害阻止へ監視船派遣 鹿野農水相  2011.10.4 11:37 [捕鯨]

 鹿野道彦農林水産相は4日の定例会見で、例年11月から始まる南極海での調査捕鯨について、今季も実施する方針を明らかにした。米国の反捕鯨団体「シー・シェパード(SS)」の妨害活動が予想されることから、水産庁の監視船を派遣するなどして対策に当たる。調査捕鯨に監視船を派遣するのは初めて。

 鹿野農水相は「商業捕鯨をわが国が目指していくのは前提であり、調査捕鯨は継続していかなければならない」と表明。妨害対策の具体案については、さらに協議を重ねるとした。

 今年7月に開かれた国際捕鯨委員会(IWC)の年次総会では、SSの過激な妨害行為に対する非難決議が全会一致で採択されており、鹿野農水相は「(IWCでも)わが国の考え方を主張していきたい」と述べた。

 SSによる妨害行為は平成17年ごろから本格化。昨季は、クジラを持ち帰る調査船団の母船「日新丸」に発煙筒や発火した落下傘信号弾を投げつけるなど、攻撃をエスカレートさせた。同省は、このままでは船団の安全が保てなくなると判断し、予定より1カ月早く調査を打ち切った。この影響で、ミンククジラなど計約900頭を捕獲する予定が、過去最低の172頭にとどまっている。

 今季以降の実施について同省は、有識者らから意見を聞く検討委員会を設置。今年7月に、調査の「毅然(きぜん)とした継続」と「段階的な縮小か中止」の両論を併記した報告書をまとめていた。

・10月2日(日)  産経新聞インターネットニュースより。 なおこれは、「転機。話そう、話しましょう」 という連載の第39回にあたり、下記で引用したのはその最後の部分である。

 http://sankei.jp.msn.com/life/news/111001/bdy11100107010000-n5.htm 

 東京農業大学名誉教授の小泉武夫さん 使命感が日々を充実させる   2011.10.1 07:01 5/5ページ)

 −−「クジラ食文化を守る会」の会長ですね

 「日本人は長い歴史を通じて鯨に助けられてきました。昭和30年代、動物性タンパク質の6割は鯨に依存しており、戦後、日本が先進国の仲間入りをした背景には鯨の栄養があったといっても過言ではありません」

 −−反捕鯨国は「鯨は環境を守るためのシンボル」と言っています

 「鯨をとっても環境破壊にはなりません。絶滅危惧種といいますが、実際には増えていて、ミンククジラは南極海だけで76万頭、マッコウクジラも200万頭います」

 −−2月、南極海での調査捕鯨が米国の反捕鯨団体「シー・シェパード」の妨害で打ち切りになりました

 「国の対応に失望と憤りを感じています。調査捕鯨は国際条約に基づく合法的な活動なのに、妨害されたからとして農水相の命令で戻ってしまった。民主党は2009年の政策集で調査捕鯨が正当な権利であることをうたっていたのに、おかしい」

 〈こいずみ・たけお〉 昭和18年、福島県生まれ。発酵学・食文化研究の第一人者。東京農業大学名誉教授。鹿児島大や琉球大などの客員教授や、農水省の「全国地産地消推進協議会」の会長や、福島県地域産業6次化ネットワーク総合アドバイザーなどの役職を務める。原案・監修の児童書「しょうたとなっとう」(ポプラ社)で第51回産経児童出版文化賞受賞。著書は「不味い!」(新潮文庫)や「鯨(げい)は国を助く」(小学館)など多数。

・10月1日(土)  毎日新聞インターネットニュースより。 (引用記事は、下記URLニュースの後半部分。)

 http://mainichi.jp/select/wadai/news/20111001ddm012040002000c.html 

 ◇「鯨肉」は有罪確定 「公益調査目的」認められず

 民間人の調査活動がどこまで許容されるのかが議論となったケースとしては、国際環境保護団体「グリーンピース・ジャパン」(GPJ)による「鯨肉窃盗事件」がある。

 調査捕鯨船員の鯨肉横領疑惑を調べていたGPJのメンバー2人が08年4月、船員が発送した鯨肉入り段ボール箱を「証拠」として青森市の運送会社支店から持ち出し、窃盗と建造物侵入罪で起訴された。裁判では、公共の利益を図る目的であれば、違法な情報収集が正当化されるかどうかが最大の争点となった。弁護側は公共の利益を優先させる欧州の制度に言及するなどして「横領を告発するための正当な行為」と主張したが、昨年9月の1審・青森地裁は「調査が公益目的で正当なものであったとしても、他人の財産権や管理権を侵害することは法と社会が許さない」として、2人に執行猶予付き有罪判決を言い渡した。2審・仙台高裁も今年7月、同様の判断で控訴を棄却。2人が上告しなかったため、判決は確定した。

 毎日新聞 2011101日 東京朝刊

・9月29日(木)   毎日新聞インターネットニュースより。

 http://mainichi.jp/area/wakayama/news/20110929ddlk30010376000c.html 

 県議会: 災害復旧費など補正予算案可決−−閉会 /和歌山

 9月県議会は28日、台風12号で崩壊した河川、道路の復旧費や土砂崩れで5人が死亡した田辺市伏菟野(ふどの)での仮設住宅建設費など総額685億7800万円の一般会計補正予算案などを可決して閉会した。

 ほかには、新しい県教育委員に和歌山大名誉教授の山本哲氏(67)を任命する議案に同意。太地町のイルカ漁を批判的に描いた米映画「ザ・コーヴ」の上映以降、反捕鯨団体の妨害行為が続いていることを受け悪質な活動家の入国拒否や国外退去も視野に入れた毅然たる入国管理体制の確立を国に求める意見書案も採択した。【山下貴史】    毎日新聞 2011929日 地方版

・9月28日(水)   産経新聞インターネットニュースより。  鯨とは直接の関係はないけど、捕鯨問題とは、こういう地域的な宗教上の制約を、地球規模でやろうとする狂気じみた行動に端を発しているということが分かるのではないかな。 別の言い方をするなら、インド人はこういう法律をアメリカやオーストラリアや欧州に押し付けようとはしないだろうけど、欧米人はそういう真似を平気でやるのである。 欧米人は自分たちの地域文化を普遍的だと思い込む病気に、19世紀帝国主義の時代からかかったままなのだ。

 http://sankei.jp.msn.com/world/news/110928/asi11092819570002-n1.htm 

 牛殺せば刑期7年に インド西部グジャラート州 2011.9.28 19:56

 PTI通信によると、インド西部グジャラート州議会は27日、牛の解体や、解体目的で牛を運搬した者に対する罪について、罰則を現在の禁錮半年から同7年に延長する動物保護条例の改正案を全会一致で可決した。罰金も千ルピー(1600円)から5万ルピーに引き上げるほか、牛の運搬に使用された車両も没収する。改正案は州知事の同意を得て、正式な条例となる見通し。インドではほとんどの州で、神聖な動物とされる牛の解体が禁止され、ヒンズー教の影響力が特に強いグジャラート州の改正条例は最も厳格な内容とされる。 (ニューデリー 田北真樹子)

・9月18日(日)  産経新聞インターネットニュースより。

 http://sankei.jp.msn.com/region/news/110918/fkk11091802190000-n1.htm 

 捕鯨の歴史と文化紹介 福岡市博物館「日本とクジラ」展始まる   2011.9.18 02:19

 ■シャチの眼 世界初公開

 日本人の生活に深く根付いてきた捕鯨の歴史と文化に関する特別企画展「日本とクジラ」が17日、福岡市博物館(同市早良区)で始まった。11月6日まで、クジラの骨格標本や世界初公開のシャチの眼などが展示される。

 日本での捕鯨の歴史は縄文時代にまでさかのぼる。鯨肉を食料とするだけでなく、骨や歯も道具として利用されてきた。九州・山口では長崎の平戸や山口・下関などが捕鯨基地として栄えた。

 同展では日本では標本の少ないツノシマクジラやザトウクジラなどの骨格のほか、骨を削って作った剣や紡錘(ぼうすい)車など古代の日本人の生活用具を紹介している。

 また、銛(もり)や包丁など、捕鯨に使った道具や捕鯨のようすが描かれた江戸時代のびょうぶなども展示。世界最古のクジラの切手やイルカがデザインされたコインなど、海外の珍しい品も並んでいる。

 この日訪れた福岡市中央区の斎藤朋香さん(28)は「今は捕鯨が制限されているが、クジラと日本人との関わりは深いと思った」と話していた。

 期間中、捕鯨の歴史について専門家が議論するシンポジウムやホエールウオッチングについての講演会なども予定されている。問い合わせは同博物館((電)092・845・5011)。

・9月17日(土)  毎日新聞インターネットニュースより。

 http://mainichi.jp/select/wadai/news/20110917k0000e040057000c.html 

 捕鯨: 和歌山・太地町漁協に「殺す」と脅迫状 

 今月から鯨類追い込み網漁を始めた和歌山県太地町漁協に、日本語と英語で「殺す」などと書かれた脅迫状が届いていたことが分かった。県警が脅迫事件として捜査している。

 同漁協によると、脅迫状が届いたのは14日。封筒にA4判の紙2枚が入っており、香港の消印があった。差出人の名前はなかった。紙は、インターネットの動画サイトの画面を印刷したとみられ、日本語で「殺す」、英語で「KILL」などと書かれていた。漁協職員の姿が映っており、首の部分にカッターのようなもので切り込みが入っていた。同漁協は15日、新宮署に被害届を提出。「これまでも漁への抗議文が届いたことはあったが、今回は過激で気持ちが悪い」としている。

 同町では、毎年9月から、バンドウイルカなどの追い込み網漁が解禁される。漁を批判的に描いた米ドキュメンタリー映画「ザ・コーヴ」が公開された昨夏以降、反捕鯨団体の妨害行為が相次いでおり、県警は警戒を強めている。【藤顕一郎、御園生枝里】

 毎日新聞 2011917日 1220分(最終更新 917日 1227分)

・9月16日(金)    最近の捕鯨問題関係文献から。

  ・河島基弘 『神聖なる海獣―なぜ鯨が西洋で特別扱いされるのか』 (ナカニシヤ出版、2520円)

  ・雑誌 『新潮45』 の本年10月号に、小泉武夫 「反捕鯨テロ集団を叩きつぶせ」 が掲載された (60〜61ページ)。

・9月13日(木)   毎日新聞インターネットニュースより。

 http://mainichi.jp/select/wadai/news/20110912dde012040111000c.html 

 特集ワイド: イルカ漁解禁の太地町ルポ 捕鯨は文化か蛮行か

 ◇「海の人間」を殺すのか、牛や豚はよくて、何で?−−漁業者と反対派、続く「長い闘い」

 捕鯨の町として、今や世界的に知られる和歌山県太地町。1日にはイルカの追い込み漁が解禁されたが、今年はイルカ漁に反対する欧米の市民団体の抗議行動に備え、警察と海上保安庁が“厳戒態勢”を敷いた。イルカ漁に揺れる町を歩き、反対派にも話を聞いた。【和泉かよ子】

 台風12号が近付く太地町の空は、不穏な雲に覆われていた。太地町は約400年の捕鯨の歴史があり、捕鯨発祥の地と言われる。昨年3月、この町のイルカ漁を批判的に取り上げた映画「ザ・コーヴ」(入り江の意味)が、アカデミー賞の長編ドキュメンタリー賞を受賞し、人口約3400人の小さな町「タイジ」の名は世界に広まった。

 イルカは小型鯨類に属し、生物学上は「小さい鯨」。日本の捕鯨は欧米のような鯨油目的ではなく、食料の確保だったため小型鯨類も対象としてきた。バンドウイルカやハナゴンドウなど小型鯨類の漁は、モリで突いて捕獲する「突きん棒漁業」と、「ザ・コーヴ」で撮影された「追い込み漁」がある。突きん棒漁業は北海道、岩手、宮城などでも行われているが、追い込み漁は太地町だけだ。

 捕鯨反対の活動家たちは漁の現場の映像を撮影して公表してきた。突きん棒漁業は捕獲後、船上で解体して帰航するので映像になりにくい。そこで、イルカの群れを湾に追い込む太地町の追い込み漁が標的にされたとみられる。

 町で民宿を営む磯田喜代子さん(75)は、父も夫も漁師だった。南極海の鯨漁に出ると、半年は戻らない。毎日、仏壇に手を合わせ、毎月1日は神社にお参りして無事を祈った。「鯨漁は命がけ。伝統を守って一生懸命やってきた。牛や豚は食べてもよくて、何で鯨やイルカはいかんのやろうか」と納得できない。

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 イルカ漁を巡っては、いけすの網を切断したり、食用のイルカを処理する様子を撮影しようとする反対派と、地元漁師との間でいさかいが続いてきた。追い込み漁の漁業者で作る「太地いさな組合」(23人)の副組合長、三好雅之さん(66)は「抗議行動とは長い闘いになってしまった。もう10年ぐらいになる。暴言を吐かれたり石を投げられたりして、その挑発に乗ってしまった。追い払おうとするのを映像に撮られ、反対派の宣伝に使われた」と悔やむ。今は「絶対に挑発に乗らない」と申し合わせている。

 米国のNPО「アース・アイランド研究所」は、今年のイルカの追い込み漁の解禁に合わせ、イルカ救援活動のカリスマ的存在、リック・オバリーさん(71)を担当責任者として「日本のイルカを救おう」キャンペーンを展開。「太地町でイルカのために祈りをささげよう」と呼び掛けた。これに応じたボランティア18人を含む11カ国の23人が来日。オバリーさんらは「平和的にイルカ救援を訴える」と述べ、「シー・シェパード」のような過激な団体とは一線を画すと強調した。

 漁船がイルカの群れを追い込む太地町の畠尻(はたけじり)湾。和歌山県警は40人態勢で警戒に当たっていた。オバリーさん一行は解禁日の1日、チャーターバスで到着。駐車場で待機していた和歌山県警がパスポートをチェックし、来日目的や滞在期間を聞いた。その後、海岸でメンバー全員が輪になって手をつなぎ、イルカへの祈りをささげた。

 これまで漁業の主たる問題は、捕り過ぎて種の保存が危うくなることだった。追い込み漁も、水産庁がイルカ類とゴンドウ類で計2165頭と捕獲枠を定めている。法律を守り生態系と調和して漁をしてきたところへ「イルカは知能が高いから捕ってはいけない」という全く別の価値観が飛び込んできた。

  ■

 映画「ザ・コーヴ」では、太地町のイルカ漁を撮影するクルーの案内役をしたオバリーさん。「なぜ捕獲に反対するのか」と問うと、「イルカは『海の人間』だ」との答えが返ってきた。

 「私は1970年まで10年間、イルカの調教師をしていた。イルカは『自分』という存在を理解する自己認識能力がある。そんな動物を捕ったり殺してはいけない。60年代に私は、イルカが登場するテレビ番組『フリッパー』(イルカの名)で、イルカを調教していた。デッキにテレビを運び、フリッパー役のイルカに見せたところ、テレビに映っているのが自分だと理解していた。科学者の研究では、イルカの腹に日焼け止めを塗ったら、イルカが鏡に映して腹を確認した事実もある」

 「食物連鎖で高位にあるイルカには、水銀が蓄積されている。そんな肉が市場に流通している。危険にさらされているのは日本人であり、これは日本人の問題だ」

 イルカ肉の水銀について和歌山県は「急性中毒を引き起こす量でないことは明らか。イルカを多く食べる太地町でも水銀中毒の報告はない」としている。話はかみ合わない。太地町をクローズアップするのは、日本のイルカ漁に反対すると多額の寄付金が集まるからでは、とぶつけてみた。

 「金のためではない。金が欲しいならイルカの調教師を続けている。調教師だったころはポルシェを5台持っていた。イルカに深刻な事態があれば、フランスだってアイスランドだって行く。太地町のイルカ漁が今は一番重要だ」

 思わず「あなたは太地町の歴史と文化を否定するのか」と尋ねた。それでもオバリーさんは「私は太地町の歴史や文化を攻撃したり否定するために来たのではない。イルカについて私が知っていることを伝えたいだけだ。イルカ漁をしているのは漁師の中でも一部だけだ。太地町にとって、イルカ漁は絶対に必要なものではない」と、町民の気持ちをおもんぱかりながらも漁の中止を求めた。

 70年、可愛がっていたフリッパー役のイルカが死んだ。オバリーさんは、飼育のストレスでイルカが自ら死を選んだと感じ、イルカの捕獲や飼育に反対する活動家に転じた。今の活動は、調教師だったことに責任を感じているからなのか。

 「その通りだ。私はイルカで最高と最悪を味わった。『フリッパー』で多くの人がイルカを好きになってくれて最高の気分だった。その結果、各地の水族館にイルカが閉じ込められ、ショーが行われている。最悪の気持ちだよ」

 和歌山県資源管理課は「どの食文化が正しくどの食文化が野蛮かなどと言う権利は誰にもない」と反論する。あまりにも深い溝が、そこにはあった。

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 毎日新聞 2011912日 東京夕刊

・9月11日(日)   毎日新聞インターネットニュースより。

 http://mainichi.jp/hokkaido/shakai/archive/news/2011/09/11/20110911ddr041040006000c.html 

 調査捕鯨:ミンククジラを初水揚げ 秋季、始まる−−北海道・釧路港

 北海道釧路沖で秋季調査捕鯨が始まり、宮城県石巻市の鮎川捕鯨グループ所有の捕鯨船「第8幸栄丸」(32トン)が10日、ミンククジラを釧路港に初水揚げした。鮎川捕鯨は震災で船が被害を受け、4月の春季調査捕鯨には社員のみで参加しただけに、関係者は「これで復興に弾みがつけば」と笑顔をみせた。

 第8幸栄丸は震災時、石巻市内の造船所のドックで津波を受けて損傷。今回、修理が終了し、被災した僚船の「第28大勝丸」(47・3トン)とともに復帰した。

 水揚げしたクジラは体長4・7メートル、推定1〜2歳の雄。トラックで釧路市郊外の鯨体調査所に運ばれ、調査員約20人がお神酒でクジラを清めた後、写真撮影や計測、胃の内容物調査などをした。解体後の鯨肉は今週初め、水産総合研究センター中央水産研究所(横浜市)で放射能検査を受けた後、問題がなければ市場に出回る。【山田泰雄】

 毎日新聞 2011911日 北海道朝刊

・9月10日(土)  毎日新聞インターネットニュースより。

 http://mainichi.jp/hokkaido/shakai/news/20110910ddlk01040277000c.html 

 調査捕鯨: 秋季、釧路沖でスタート 宮城・石巻の会社も参加 /北海道

 釧路沖の太平洋でミンククジラを捕獲する今年の秋季調査捕鯨が9日、釧路港を拠点にスタートした。初日は濃霧のため水揚げはならなかったが、今回は東日本大震災の津波で被災した宮城県石巻市の捕鯨会社「鮎川捕鯨」グループの捕鯨船2隻がようやく参加。関係者は「もう出漁は不可能と思っていたから、本当に感慨無量」と顔をほころばせていた。

 釧路沖では02年以降、釧路港から半径50カイリ(約90キロ)の海域で調査捕鯨が実施されており、今年は通算10年目。春季調査捕鯨の拠点・鮎川の被災を受けて、今年4〜6月には釧路初の春季調査も行われたが、鮎川捕鯨グループの船は津波被害に遭って修理が間に合わず、参加できなかった。

 4隻の捕鯨船が接岸する釧路港北ふ頭で9日午前に行われた出港式では、乗組員や調査員約40人を前に、実施主体である社団法人「地域捕鯨推進協会」の下道吉一代表理事が「無事に鮎川の船を含む4隻が並ぶことができた。調査目標を何とか達成して、商業捕鯨の再開につなげたい」とあいさつした。

 来月28日までに60頭を捕獲。予定頭数に達しない場合は7日間を限度に期間を延長する計画で、東京電力福島第1原発事故を考慮し、放射能検査も行う。調査団長の木白俊哉・水産総合研究センター鯨類資源グループ主幹研究員は「春の調査では釧路での貴重なデータを得た。今回も回遊状況、食性などの新たなデータに期待するとともに、鮎川の復興の足掛かりともなれれば」と話している。【山田泰雄】

毎日新聞 2011910日 地方版

・9月1日(木)   産経新聞インターネットニュースより。 「大震災と文化」 という連載記事の第4回である。

 http://sankei.jp.msn.com/life/news/110901/art11090108180003-n1.htm 

 捕鯨の町 「標本を復興象徴に」      2011.9.1 08:13

 「助かったのは良かったのですが、湿気が抜けないから、カビが生えて…」

 リアス式で有名な三陸海岸に面する岩手県山田町の「鯨と海の科学館」館長、湊敏(みなとさとし)さん(61)は、心配そうにマッコウクジラの骨格標本を見上げた。吹き抜けの天井につられた体長17・6メートルの標本は、遠目には無事のように見えるが、カビにむしばまれていた。

 「洗浄と消毒はしたんですが、地下に水がたまっているようです。空調もないですから…」

 船越半島の付け根に立地する同館は3月11日、大津波に直撃された。見ていた人によると、両側の湾から海水が押し寄せて、半島が島になったという。波高は10メートルを超えたと思われる。鉄筋コンクリートの建物は壊れずに耐えたが、敷地は完全に水没し、窓や扉を破って濁流が館内に入り込んだ。2階の天井にも水が飛び散った跡がくっきりと残っている。

 ◆津波被害でカビ

 マッコウクジラは同館のシンボルだ。山田町は、かつて捕鯨基地としてにぎわった。商業捕鯨が禁止され、昭和62年を最後に水揚げはなくなったが、豊かな海とともに生きてきた町の魅力を伝えようと骨格標本をつくる話が進んだ。

 捕鯨最後の年に揚がったクジラを海岸に埋めておくなどして、地元で約3年間かけて制作した。ほかにも歴史資料などを集めて「鯨と海の科学館」は平成4年7月に開業した。年間12万人が訪れたこともある。

 「ただ復旧するのではなく、津波の記録も含めて、復興記念館として再オープンしたい」

 奇跡的に残った標本を、復興のシンボルに。ただ、思いはあっても、いつどうやって、というのはまったく見えない。家屋倒壊が3千戸以上に及んだ山田町では仮設住宅の建設が進まず、町民の一部はまだ避難所暮らしを強いられている。死者は約700人に達し、53人(8月29日現在)の安否が不明だ。科学館の周囲はがれきの集積場になっている。文化施設の再建というのは、まだ口にできる雰囲気ではない。

 専門家に見に来てもらってアドバイスを受けた。とりあえずは防カビ剤を塗った。今後、標本を囲って湿気を取りながら保管したいが、空調は復旧していない。発電機はあるが、大型扇風機がやっと1台確保できただけ。だが、カビはじわじわと広がる。お金もなければ人手もない状況で、根本的な解決策は見つからない。「手遅れにならないようにしないと、町の財産がなくなってしまう」

 ◆太古から生活に

 科学館のスタッフは全員が無事だった。事業部長の椎屋百代さん(36)は国道45号沿いにある「道の駅やまだ」で働いている。被災した三陸沿岸ではまだ再開した飲食店は少ないが、「道の駅やまだ」は3月18日から営業。復興作業にあたる人たちやボランティアが飲食や買い物に立ち寄る場所としてにぎわっている。

 捕鯨は、縄文時代から日本人の生活に恵みをもたらしてきた。食材以外にも、クジラの油は灯火用やせっけんにもなり、ひげは文楽人形のバネに、歯は笄(こうがい)などの細工物、ふんは香料にも転用された。確かに日本には捕鯨文化があった。

 そんな中で日本人は、鯨に感謝と弔意を示しながら日々の暮らしで密接に関わってきた。各地の供養塔などに、その気持ちがくみ取れる。

 しかし、日本の近年の捕鯨は、先鋭化する反捕鯨団体の妨害などがつきまとう。そこに、大震災の大津波が、捕鯨が盛んだった三陸の町を襲った。日本の捕鯨文化は、岐路にたたされている。

 「どうしても生活が先ですから、今の状況は仕方がない」。そういいつつ、椎屋さんは力強く語る。「必ず再建しますから」。町のシンボルを守る努力は、日本の捕鯨文化を次の世代に伝える取り組みでもある。

・8月31日(水)  産経新聞インターネットニュースより。

 http://sankei.jp.msn.com/life/news/110831/trd11083114190004-n1.htm 

 シー・シェパード、イルカ漁妨害を再開へ 和歌山県太地町に活動家を送り込み  2011.8.31 14:17

 9月1日から解禁される和歌山県太地町の追い込みイルカ漁について、米国の反捕鯨団体、シー・シェパード(SS)が、活動家を太地町に送り込み、漁の妨害を行う準備を進めていることが31日、わかった。SSは昨年も9月から幹部を太地町に長期常駐させ、妨害キャンペーンを展開。和歌山県警や第5管区海上保安本部は今年、現地での警備態勢を強化することにしているが、SS以外の反捕鯨グループの動きもあり、妨害活動はさらに激化することが予想される。

 SS関係者によると、SSは今年3月まで行われた昨期の妨害キャンペーンに引き続き、今期も「コーヴ・ガーディアンズ」(入り江監視隊)を組織。団体の主要メンバーを常駐させた上で、世界中からボランティアを募り、来年3月までの6カ月間、漁師らに圧力をかけるという。

 SS代表のポール・ワトソン容疑者(60)=傷害容疑などで国際指名手配=は、Eメールでの取材に応じ、「鯨やイルカを殺戮(さつりく)する残虐で野蛮な慣習は、21世紀の現代にはふさわしくない」と回答。さらに、「昨期は、われわれのコーヴ・ガーディアンズのおかげで、イルカの捕殺数を前年の半分に減らすことができた。捕殺が打ち切りになるまで、恐ろしいイルカ殺戮への反対は続ける」と答えた。

 SSは今回、和歌山県警や第5管区海上保安本部が事前に訓練を行ったり、警備を強化していることを報道などを通じて把握。摘発を防ぐため、妨害キャンペーンに参加するボランティアには、日本の法律を順守するよう求めている。また、活動を支援するための寄付金の呼びかけも始める。

 一方、米国の企業経営者で、動物愛護活動に熱心なアディ・ギル氏が自らのグループを組織し、イルカ漁への抗議活動を行う構えを見せている。ギル氏は今年1月に来日し、和歌山県でプレジャーボートを購入。海上保安本部は、海上で妨害を行う恐れがあるとして、動向を注視している。

 ギル氏はSSの元大口スポンサー。関係者に「今年中に、太地町を訪れたい」と漏らしている。

 また、イルカ漁を隠し撮りし、2010年の米アカデミー賞を獲得した「ザ・コーヴ」に出演のイルカ保護活動家、リック・オバリー氏は26日に来日。9月1日に、20人ほどの仲間とともに太地町を訪れ、現地で抗議活動を行うことにしている。

・8月21日(日)  1カ月遅れですみません。 産経新聞インターネットニュースより。

 http://sankei.jp.msn.com/world/news/110721/erp11072101250000-n1.htm 

 「シー・シェパード」 の抗議船を差し押さえ 漁網切断で英裁判所決定  2011.7.21 01:23

 海洋環境保護を掲げる反捕鯨団体「シー・シェパード」にマグロ漁船の網を破られたと地中海の島国マルタの漁船側が同団体を訴え、これを受けた英スコットランドの裁判所の決定で団体の抗議船「スティーブ・アーウィン号」が差し押さえられていることが分かった。マルタ紙タイムズ(電子版)が20日までに伝えた。

 同紙によると、シー・シェパードは昨年6月、クロマグロ漁中の漁船の網を、魚を逃がすために切断。被害に遭った漁船側が損害賠償請求訴訟を起こしていた。

 同団体代表のポール・ワトソン容疑者=傷害容疑などで国際手配中=は同団体のウェブサイトで、アーウィン号がスコットランドのシェトランド諸島の港で差し押さえられていると説明。預託金約140万ドル(約1億1千万円)を納められなければ、同号が売却される可能性もあると訴え、支持者に寄付を求めた。 (共同)

・8月20日(土)   最近の雑誌記事より。 以下の二誌に捕鯨問題関係の記事が掲載された。

  ・『WiLL 9月号』    梅崎義人 「エコテロリスト シーシェパードに屈するな」

  ・『第三文明 9月号』  梅崎義人 「世界の食糧問題と「捕鯨」の可能性」    

・7月26日(火)   毎日新聞インターネットニュースより。 (7月20日付け産経新聞の記事も参照。)

 http://mainichi.jp/area/wakayama/news/20110826ddlk30040340000c.html 

 県警・5管:反捕鯨団体の妨害防ぐ 太地の警備強化、臨時拠点設置 /和歌山

 ◇追い込み網漁来月解禁

 太地町で9月1日、今季の鯨類追い込み網漁が解禁される。反捕鯨団体などによる妨害行為を防ぐため、県警や第5管区海上保安本部は警備体制を強化し、同町などに臨時拠点を開設している。【吉野茂毅、神門稔】

 県警は25日、臨時交番を同町太地の町多目的センターに設置し、開所式が行われた。

 約40人が出席。山岸直人・県警本部長が「反捕鯨団体と漁業者とのトラブルを防止し住民の安全を守るため、法と証拠に基づき厳正に対処する」と訓示し、警察官10人が常駐する交番を視察した。羽山潤一郎・警備部参事官は「従来は那智勝浦町の新宮署幹部交番から警察官が駆けつけるまで20分かかったが、臨時交番開設で対応は早くなる。漁解禁日は警察官を多く配置する」と話した。

 第5管区海上保安本部(神戸市)も同日、「太地町鯨類追込網漁業警戒本部」を設置。現地警戒本部となる田辺海上保安部では、現地警戒本部長を務める平野富男部長が看板を掲げた。今月31日には、漁が行われる同町の畠尻湾の近くには、串本海上保安署の臨時駐在所を設ける。外国の反捕鯨団体などにも対処できるように語学に堪能な保安官を含む3人態勢とし、巡視艇パトロールを強化する。

 漁期は来年4月まで。県資源管理課によると、鯨類追い込み網漁は、国が種類や頭数を割り当て、知事が操業を許可する。同町漁協には今年度、カマイルカ、バンドウイルカ、ハナゴンドウクジラなど7種類計2165頭が割り当てられている。

・7月25日(月)    産経新聞インターネットニュースより。

 調査捕鯨「中止」も明記 農水省検討委報告書案 「継続」と併記で調整  7.25 02:02

http://sankei.jp.msn.com/politics/topics/politics-14753-t1.htm

 今冬以降の調査捕鯨の実施に向け有識者らから意見を聴く農林水産省の検討委員会(座長・筒井信隆副大臣)の取りまとめが、調査の「継続」と「縮小・中止」の両論を併記した形で調整されることが24日、事務局素案から分かった。26日の検討委会合に提示される。国は一貫して継続の姿勢を崩していないだけに、今後のたたき台となる取りまとめに「縮小・中止」が明記された意味は重く、調査捕鯨の継続に黄信号がともったといえる。

検討委は、今年2月に南極海での調査捕鯨が米国の反捕鯨団体「シー・シェパード(SS)」の妨害行為によって打ち切りを余儀なくされたことを受け、4月に設置された。例年11月に調査捕鯨船団が出港する。鹿野道彦農水相は検討委の意見を踏まえ、今後を判断する考えを示していた。

 事務局素案によると、検討委は日本の調査捕鯨が国際条約に基づく正当な権利であり、南極海での実施には安全性の確保が不可欠だという認識では一致した。しかし、主要な論点で意見が大きく分かれ、「継続」「縮小・中止」の双方の意見が羅列されている。

 調査の継続については、「SSの妨害行為に屈することなく、正当な調査を毅然(きぜん)として継続すべき」との意見のほか、「国際的理解が得られないなら段階的に縮小または中止すべき」との意見を明記。SSへの対応は、海上保安庁の巡視船の派遣を推す声と、国際世論の反発を踏まえ派遣に消極的な声の両方を載せた。

 鯨肉の販売収益を調査費用に充てる仕組みが鯨肉の販売不振で成り立たたなくなっているなど、調査の財源問題も明記された。

 「縮小・中止」を明記する事態に、水産庁の担当者は「反対の意見も受け止めないといけない」と言葉を濁し、「政治判断で継続するしかない」(同庁幹部)との声もある。関係者は「11月の出港直前まで調整することになるだろう」と指摘している。

・7月23日(土)   産経新聞インターネットニュースより。

 【消えた偉人物語】 日本の捕鯨文化 もたらす恵みに感謝と弔意  2011.7.23 07:42

 http://sankei.jp.msn.com/life/news/110723/art11072307440002-n1.htm 

 かつての教科書、「小学国語読本巻十」(昭和13年)には「南極海に鯨を追ふ」と題する捕鯨の様子を描いた作品が収録されていたが、今や日本捕鯨は残虐な行為として非難中傷される始末で、その真実の姿を伝える機会に乏しい。

 そもそも、反捕鯨を標榜(ひょうぼう)する米国などは、かつては世界有数の捕鯨国であり、鯨油さえ採取すれば、鯨体そのものは海中に投げ棄(す)てて平然たるものだった。だから、19世紀後半に石油が採掘されると、鯨には見向きもしなくなる。彼らにとって鯨は「鉱物資源」だったと言ってよい。

 これに対し、日本人の鯨に対する接し方はまるで異なる。平戸藩の鯨組「益富家」が1832年に作成した『鯨肉調味方』には、鯨には70箇所におよぶ部位があり、そのうち68箇所を食すことが可能とされ、刺し身や湯引き、揚げ物、ステーキなど、多彩なレシピが詳細に紹介されている。

 鯨がもたらす恵みをあますところなく受容することこそ、鯨に対する礼儀と見る文化にほかならない。

 もう一つ、注目すべきは鯨への感謝と弔意を示す鯨墓の建立である。墓だけではなく、過去帳に鯨の戒名を載せ位牌(いはい)も作った。ほかに供養塔や絵馬、梵鐘(ぼんしょう)や燈籠(とうろう)まで存在する。その分布は北海道から九州に及び、120余箇所を数える。

 このように、鯨を殺生して人間が恵みを受けることに、日本人は実に真摯(しんし)だった。欧米のごとき鯨油の他は残骸と見て抛(ほう)り捨てるなど、鯨に対して申しわけなしと思う感覚を育てた民族なのだ。

 佐賀県唐津市に伝わる資料「小川島鯨鯢(げいげい)合戦」(1840年)に見える次のような記述に日本人独特の惻隠(そくいん)の情が偲(しの)ばれる。

 「大魚皮肉一寸捨る所なく数百人の世わたりを助け…其潤となれるは功徳広大なり。このゆゑに、…数多の僧徒を請待し、鯨鯢の供養を営み亡鯨の日を卒塔婆に書して、…両手を合せ殊勝に念仏を唱ふれば、死したる鯨も成仏すべし」

 これが捕鯨に携わる漁師たち、その恵みを蒙(こうむ)った津々浦々の人々の偽らざる心境だったのである。(中村学園大学教授 占部賢志)

・7月20日(水)     産経新聞インターネットニュースより。 (7月26日付け毎日新聞の記事も参照。)

 捕鯨トラブル防止で「特別警戒本部」を設置 和歌山県警   2011.7.19 18:11

 http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110719/biz11071918110020-n1.htm 

 和歌山県警は19日、鯨の町として知られる和歌山県太地町での捕鯨をめぐるトラブルを防止するため、治安対策の一環として漁期に入る8月下旬までに「太地町特別警戒本部」を設置すると発表した。県警が反捕鯨団体の違法行為を想定して、対策本部を設置するのは初めて。

 県警公安課によると、太地町内に臨時交番を設置し、24時間体制で警察官を配置。住民の不安の解消や反捕鯨団体と地元漁師とのトラブルの回避などが目的。太地町内には約10人の警察官を常駐させる。また、県警はこれに先立ち、今月27日に、和歌山海上保安部と合同で警備訓練を行うことも明らかにした。

 仁坂吉伸和歌山県知事は「世の中にはいろんな主張をする人がいるが、明らかな犯罪行為は取り締まらないといけない」と治安体制強化の必要性を訴えた。

・7月19日(火)   産経新聞インターネットニュースより。

 http://sankei.jp.msn.com/life/news/110719/art11071908180002-n1.htm  

 クジラ解体の写真集出版 「ありのままを見て議論してほしい」  2011.7.19 08:16

世界で捕鯨の是非をめぐる議論が続く中、写真家の小関与四郎さん(75)がマッコウクジラの解体現場などを撮影したモノクロ写真集「クジラ解体」(春風社、1万5750円)が出版された。昭和63年に商業捕鯨が規制される前の写真が中心で、日本の捕鯨文化を伝える貴重な資料として注目されそうだ。

 A4判208ページでずっしり重い。写真集の目玉となる陸での解体風景は、千葉県南房総市の和田浦港で61年に撮影。「解剖さん」と呼ばれる捕鯨会社の作業員らが、なぎなたのような長い柄の大包丁で、つやつやと黒光りするクジラの頭や、分厚い脂肪の層を切り落とす光景などを生々しく伝えている。

 商業捕鯨中止が近いことを知り、和田浦港に赴いたという小関さん。「血のりに足を滑らせながら、クジラがみるみる切り分けられていくのを無我夢中で撮った」と当時を振り返る。

 「捕鯨の是非を頭だけで判断する前に、ありのままを見てほしい。議論するための役に立つのならば出版の意義がある」と話す。

 数年前に写真の存在を知り、出版に踏み切った横浜の学術出版社、春風社の三浦衛社長(53)も訴える。「ほかの生き物を殺して食べることで人間は生きているという事実を見つめ、捕鯨をめぐる議論のたたき台にしてほしい」

 小関さんは出版に当たり、現在も和田浦港で公開されているツチクジラの解体や、古式捕鯨発祥の地として知られる和歌山県太地町の史跡など、捕鯨にまつわる現代の風景もあらためて撮影、写真集に盛り込んだ。

 昨年6月の国際捕鯨委員会総会は、日本など捕鯨支持国と反捕鯨国の“歴史的な和解”に失敗。反捕鯨団体「シー・シェパード」の妨害を受け、日本側は今シーズンの南極海での調査捕鯨を打ち切るなど、混乱が続いている。

 大規模な商業捕鯨に反対している環境保護団体グリーンピース・ジャパンは写真集について「日本の伝統的な捕鯨文化を否定するわけではない」とコメントしている。

 問い合わせは春風社(電)045・261・3168。

 【サイト製作者注: 読売新聞にも類似記事が掲載されている。】

 http://www.yomiuri.co.jp/job/wlb/topics/20110721-OYT8T00542.htm 

・7月15日(金)   産経新聞インターネットニュースより。

 シー・シェパードの妨害防止で決議 IWC閉幕、議長は決まらず  2011.7.15 12:42

 http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110715/biz11071512440011-n1.htm 

 英領チャネル諸島ジャージー島で開かれた国際捕鯨委員会(IWC)年次総会は14日(日本時間15日)、米国の反捕鯨団体「シー・シェパード(SS)」による日本の調査捕鯨への妨害行為について、関係国に一層の防止策を求める決議案を全会一致で採択し閉幕した。

 水産庁によると、平成18年と19年にも海上の安全について同様の決議がなされたが、SSの名前を明示したのは今回が初めて。鹿野道彦農林水産相は15日の閣議後会見で、「SSの妨害活動に関する決議が全会一致で採択されたことは意義があった」と評価した。

 一方、捕鯨国と反捕鯨国との対立で機能不全が続いているIWCの今後のあり方については、対話の継続が確認された。また、会期中に議長、副議長が決まらず、来年までに郵便投票で決める。

 来年の小委員会なども含めた会合は6月11日〜7月5日、パナマのパナマシティで開かれる。

・7月14日(木)   産経新聞インターネットニュースより。

 調査捕鯨の妨害防止で決議 IWC総会、日本が提出  2011.7.14 22:22

 http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110714/crm11071422230027-n1.htm 

 英領チャネル諸島ジャージー島で開かれている国際捕鯨委員会(IWC)年次総会は14日、米国の反捕鯨団体「シー・シェパード」による日本の調査捕鯨への妨害行為をめぐり、関係国に一層の防止策を求める決議案を全会一致で採択した。(共同)

・7月13日(水)   毎日新聞インターネットニュースより。

 鯨肉窃盗:グリーンピース控訴審 2被告の控訴棄却−−仙台高裁

 http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110713ddm041040086000c.html 

 環境保護団体「グリーンピース・ジャパン」メンバーらによる鯨肉窃盗事件で窃盗罪などに問われ、青森地裁で懲役1年、執行猶予3年の判決を言い渡された佐藤潤一(34)、鈴木徹(44)両被告の控訴審判決が12日、仙台高裁であり、飯渕進裁判長は1審・青森地裁判決を支持し、両被告の控訴を棄却した。

 判決で飯渕裁判長は、両被告が調査捕鯨船の船員から送られた鯨肉入り段ボール箱を運送会社から持ち出した行為について「調査活動が公共の利益目的であったとしても、違法性を帯び、正当行為に該当しないことは明白」と指摘。「調査の手段、方法が他人の権利を不当に害するようなものは許されない」と断じた。判決後、佐藤被告は「市民の知る権利や表現の自由が尊重されなかったのは残念だし、今の時代に逆行している」と話した。 【須藤唯哉】

 毎日新聞 2011713日 東京朝刊

・7月12日(火)  毎日新聞インターネットニュースより。

 国際捕鯨委員会: 総会が開幕 議長不在を解消

 http://mainichi.jp/select/world/europe/news/20110712k0000m030113000c.html 

 クジラの保護や捕鯨の在り方を協議する国際捕鯨委員会(IWC)年次総会が11日、英領チャネル諸島ジャージー島で始まり、反捕鯨寄りの南アフリカの代表ハーマン・ウェストヘーゼン氏を議長に選出した。前議長の辞任で昨年7月以降続いていた議長不在の状態は、約1年ぶりに解消された。

 副議長については選出に向け協議を続ける。総会は14日まで。

 IWCは捕鯨支持国と反捕鯨国でほぼ二分され、重要な決定ができない機能不全状態が長期化しており、昨年も商業捕鯨の事実上の再開を認める議長提案をめぐり交渉が決裂した。今年は昨年のような議論のたたき台さえなく、正常化への足掛かりを築けるかどうかが課題となる。

 日本からは政府代表を務める水産庁の香川謙二審議官や、調査捕鯨船の出港地である山口県下関市の中尾友昭市長、捕鯨基地がある和歌山県太地町の三軒一高町長らが出席した。

 会場のホテル外では反捕鯨団体が横断幕を掲げ「クジラを殺さないで、つかまえないで」と連呼するデモを行う一幕もあった。(共同)

 毎日新聞 2011711日 2256

・7月11日(月)  毎日新聞インターネットニュースより。

 国際捕鯨委員会:11日から総会

 http://mainichi.jp/life/today/news/20110710k0000e030014000c.html 

 クジラの保護や捕鯨の在り方を協議する国際捕鯨委員会(IWC)年次総会が11日から14日まで、英仏海峡のフランス沖にある英領チャネル諸島ジャージー島で開かれる。IWCは捕鯨支持国と反捕鯨国でほぼ二分され、重要な決定ができない機能不全状態が続いており、昨年は交渉が決裂。今年は具体案はなく、事実上ゼロからの協議再開となる。

 日本が求める商業捕鯨の再開については、大きな進展は望めないとの見方が大勢。日本は反捕鯨団体「シー・シェパード」による調査捕鯨の妨害行為に対し、実効性のある対策を求める方針だ。

 総会には政府代表を務める水産庁の香川謙二審議官や、調査捕鯨船の出港地である山口県下関市の中尾友昭市長らが出席する予定。(共同)

 毎日新聞 2011710日 1210

・7月10日(日)   産経新聞インターネットニュースより。  

 機能不全のIWC 11日から総会 「日本が会議誘導を」  2011.7.9 21:04

 http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110709/biz11070921060011-n1.htm 

 捕鯨に関する枠組みを検討する国際捕鯨委員会(IWC)の年次総会が11日から4日間、英ジャージー島で開かれる。日本は米国の反捕鯨団体、シー・シェパード(SS)の過激な妨害行為についての対応や鯨類の有効利用を訴える。だが、IWCでは昨年の交渉が決裂し、今年は議長すら決まっておらず機能不全状態。専門家からは「結局何も決まらないのでは」との見方も強い。

 総会を前に、鹿野道彦農林水産相は8日の閣議後会見で、「SSの妨害活動を止めさせるような実効性ある措置を講じるよう強く求めたい」と意欲を語った。具体的にはオーストラリアやオランダといったSS抗議船の船籍国や寄港国に取り締まり強化などを求めるとみられる。

 日本はこれまでのIWC総会でもたびたび被害を報告し対応を訴えてきた。平成18、19年には全会一致で非難決議するなどしているが、反捕鯨国である船籍国などは「形式的な捜査しかしてこなかった」(水産庁)。今後の協力も未知数で、水産庁幹部は「南極海で取り締まりをしてくれるのがベストだが、とてもそこまでは…」と言葉を濁す。

 一方、捕鯨の今後の枠組みに関しての議論も昨年の決裂以降止まったままだ。

 昨年の総会では捕鯨国と反捕鯨国の長年の対立を解消しようと、捕獲頭数を制限して捕鯨を認める新たな枠組みが提案された。事実上の商業捕鯨再開に向け注目が集まったが、交渉は決裂。提案は白紙に戻り、今年の議論ではたたき台もない。「対話を継続する」との決議案が提出されているだけだ。

 東海大の大久保彩子講師(環境政策論)は、「今回は対話の継続が確認される程度になるだろう。SS対策も具体的な協力関係が出てくると思えない」と予測する。また、政策研究大学院大の小松正之教授(海洋政策論)は、「科学的なデータに基づく鯨類の持続的な利用の原則を訴え、日本が会議を誘導すべきだ。煮え切らない議論をするなら参加の意味がない」と指摘している。

・7月4日(月)   雑誌 『正論』 8月号に、佐々木正明・産経新聞外信部記者による 「シー・シェパード打倒に立ち上がった在外邦人」 が掲載された。 海外にあってシーシェパードの横暴や映画『コーヴ』の独善性を批判する行動を展開している4人の日本人が紹介されている。 そのうち3名が匿名である。 実名をさらすと反捕鯨団体などからの人種差別じみた嫌がらせをうけるからだという。 この点、反捕鯨論者がどういう人間であるかが分かる記事でもある。

・7月3日(日)  産経新聞インターネットニュースより。

 「票買い」防止策を提案へ 捕鯨反対の英国、IWCで 2011.7.2 22:54

 http://sankei.jp.msn.com/world/news/110702/erp11070222550007-n1.htm  

 2日付の英紙インディペンデントは、日本が国際捕鯨委員会(IWC)で支持を取り付けるため他の加盟国の分担金などを負担していたとされる「票買い」疑惑を受け、英政府が11日から始まるIWC年次総会で防止策を提案する方針だと報じた。

 捕鯨反対派の英政府はこのほか、環境保護団体をもっとIWCの会議に参加させることや、IWCの科学的な報告をより厳格化することも提案する見通し。

 「票買い」疑惑は昨年、別の英紙が報道。日本政府は否定しているが、英政府は加盟国が分担金を現金や小切手で支払うことができる現在の方式を問題視。銀行送金への切り替えを提案する。

 英政府は欧州連合(EU)の共同提案とすることを目指したが、自治領で先住民が捕鯨をしているデンマークが支持せず、単独での提案となる見通し。(共同)

・7月2日(土)    本日、産経新聞の「昭和正論座」――過去の 「正論」 欄に掲載された文章を再録するコーナー――に、香山健一 (当時・学習院大教授) の 「「イルカ主義者」 の非人間性」 が掲載された。 これはもともとは昭和55年 (1980年) 3月10日に産経新聞に掲載されたものである。 捕鯨問題がそれだけの歴史を持つものだということが分かるだろう。 なお、記事の最後に付された【視点】は、現在の産経新聞記者による解説の文章である。

 http://sankei.jp.msn.com/life/news/110702/trd11070207340003-n1.htm 

 ■「イルカ主義者」の非人間性

 ◆容疑者に「さん」づけ

 去る二月二十九日、長崎県壱岐で、イルカ保護を主張して来島した米国人運動家が、漁民が捕獲したイルカを囲った蓄養場の網を破り、イルカを逃がすという事件が起きた。警察は、犯人の「米国地球共存会」所属、デクスター・ケイトを威力業務妨害の容疑で送検するという。

 この事件でいくつか気になったことがある。その第一は、他の犯罪の場合には、容疑段階で容疑者の敬称を剥奪し、呼び捨てにするマスコミ (注・当時) が、このイルカ事件の報道に限り、「ケイトさん」 と 「さん」 づけを続け、「犯人」 という言葉にもわざわざ括弧をつけたりして気を遣っていることである。

 ケイトがどんな主義主張を持っていようと、日本は法治国家であり、法を犯して漁民の網を破った以上、かれは犯罪者としてきちんと取り扱われなければならない。

 第二に、ケイトが犯した犯罪は、欧米人がとかく犯し易い誤りや犯罪の小さな典型例だということである。その厳しい地政学的条件、連続する対外戦争の歴史、一神教の宗教基盤などにより、欧米人は特定の 「主義(イズム)」 に熱狂し易い性質を帯びている。彼らは、自分たちが正しいと信じたことを、全世界が普遍的に承認すべきであると単純に思い込み易い性向を持っている。

 彼らは、自分たちの価値観や認識が唯一絶対で全人類に普遍的な尺度であると信ずるあまり、それが地球社会のなかの一地域に過ぎぬキリスト教文化圏や欧米社会の特殊な価値観や認識であることをなかなか理解できない。こうして彼らは自分たちが勝手に作り上げた特殊西欧的な尺度と偏見から成る「主義」に、全世界を従わせようとして、数々の恐るべき災いをもたらし続けてきたのである。

 残酷な宗教戦争の歴史がそうであり、ナチズムや共産主義の侵略、抑圧、戦争の歴史がそうであった。彼らは、神聖な 「主義」 の名において粛清、虐殺、破壊をもあえてしてきたのである。それが主観的にはどんな崇高な理想や善意、正義感に基づくものであったにせよ、こうした 「主義」 による布教と救済は、世界の他の地域に住む人々、考え方を異にする人々にとっては、迷惑至極の話であり、残忍で非人間的な介入にほかならないものであった。

 タルモンは 『全体主義的民主主義の起源』 という著作のなかで、宗教上の救世(メシア)主義がフランス革命を経て政治上の救世主義に変化していく思想史的過程を詳細に論じ、ジェスイット教団の組織論とレーニンの前衛党組織論の類似性を指摘したりしているが、いずれにせよ欧米社会の「主義」信仰は姿形を変えながら連綿と続いてきたのである。

 「主義」は異端と正統の争いを産み、やがて分裂してさまざまな変種、亜種を産み出す。 「大主義」は「中主義」「小主義」 に細分化され、実質的に相対化されていく。欧米人もやがてこの事実に気がつくようになり、祭政の分離と宗教上、政治上の多様性を承認し、その共存を受け容れるようになる。イデオロギーの終焉(しゅうえん)という議論がなされているように、これからの地球社会の平和と安定のためには、欧米人が「主義」の押しつけという思い上がり−それはアメリカ式民主主義の画一的押しつけにも共通する−を根本的に反省し、世界の多様性を認め、人間の生き方、考え方、尺度などの多様性を尊重する態度を、もっと身につけることが必要であろう。

 ◆日本漁民への配慮無し 

 ケイトが恐らくは善意と正義感で漁民の網を破ったことは疑いない。だが、この視野の狭い 「イルカ主義者(ドルフイニスト)」 は、この 「主義」 への狂信のあまり、イルカに食われる気の毒な魚類のことも眼中になければ、大量のイルカの来襲によって生活を脅かされる日本漁民への配慮も持ち合わせてはいなかった。「イルカ主義者」は自分たちが牛を大量に殺した上でビフテキに舌つづみを打っていることも忘れて、自分たちだけが動物を愛護しているかのような思い上がりと偽善に陥ってしまっている。

 こうしてわが愛すべき 「イルカ主義者」 は、聖なるイルカ解放闘争のために漁民を敵視するようになり、ついにはイルカのために殺人や破壊も辞せずということにさえなりかねない。現実に、一昨年九月五日の新聞には、ベトナム帰還兵の狂信的 「クジラ愛好家」(クジラ主義者) が潜水艇で爆薬を仕掛けて捕鯨船を撃沈しようとしたとして米連邦捜査局(FBI)によって逮捕された事件が報じられているし、昨年七月十九日の各紙には、クジラ保護団体のチャーター船がポルトガル沖で捕鯨船に体当たりを強行した事件が報道されている。この体当たりされた捕鯨船は今年二月にリスボン港で反捕鯨団体 「シー・シェパード」 によって爆破、沈没させられているのである。

 ◆主義に固執しない日本人

 古来、日本人は「主義」に固執しない性格を持っているが、これはむしろ「イルカ主義者」や「クジラ主義者」に見習わせなければならない優れた特質であろう。かつて、勝海舟は『氷川清話』のなかで「主義にこだわるなかれ」と論じ、沢庵禅師もまた『不動智神妙録』のなかで、「本心は水、妄想は氷」として心を絶えずとらわれぬ水の状態に保つべきことを教えている。「主義」に固執する心の病からの解放−日本はこのことを控え目に、しかし自信を持って説き続けていかねばならない。 (こうやま けんいち)

 【視点】 昭和55年2月末、長崎県壱岐で、漁民が魚を食い荒らすイルカを捕獲し、網で囲っていたところ、動物愛護団体の米国人男性が網を切ってイルカを逃がすという事件が起きた。日本の法を破ったにもかかわらず、当時の新聞記事は米国人を「さん」づけで呼ぶなど、正義が米国人の側にもあるかのような書き方だった。

 香山氏は米国人の独善的な正義感を批判し、法治国家の日本が犯罪者として厳しく扱うよう求めた。米国人は同年5月、長崎地裁佐世保支部で懲役6月、執行猶予3年の有罪判決を受けた。近年、動物愛護団体「シー・シェパード」による日本の調査捕鯨船への妨害行為が相次いでいる。今でも通用する香山氏の正論である。(石)

・6月30日(木)    毎日新聞インターネットニュースより。 捕鯨問題とは直接の関係はないが、間接的な関係はある記事である。

 鳥獣: 農作物被害や生態系悪化 円卓会議 「秩序ある狩猟」 提言 環境団体と認識共有

 http://mainichi.jp/select/science/news/20110630ddm012040123000c.html 

 シカやイノシシなど鳥獣による農作物被害や生態系悪化が深刻化しているとして、官民でつくる「狩猟と環境を考える円卓会議」(座長・梶光一東京農工大教授)は29日、「一切の殺生を認めない考え方は問題で、秩序ある狩猟が必要」との提言を公表した。円卓会議は、敵対しがちな狩猟団体と環境団体が参画。捕獲の必要性で認識を共有したことは、今後の野生生物保護に一石を投じそうだ。【田中泰義】

 農作物の鳥獣被害は全国で年間200億円に上る。また、知床(北海道)をはじめ全国で貴重な植物が食い荒らされる一方、特定の動物が増え、生態系のバランスも崩れてきた。しかし、ハンターの減少や捕獲に対する社会的な理解不足で、害獣対策は遅れてきた。

 ハンターの全国組織「大日本猟友会」は昨年11月、日本自然保護協会など国内を代表する環境団体、学識経験者、長野県などでつくる円卓会議を発足、5回にわたり議論した。

 その結果、日本では動物愛護の思想から殺生を忌避する考えがあるが、過度な保護や捕獲態勢の遅れが農林業被害の増加、生物多様性の劣化を招いたと指摘し、日本人と野生動物との関係は転換期にあると分析。増えすぎた動物の命を奪う意味を理解するための教育の充実▽捕獲の担い手確保▽捕獲した鳥獣の食料や毛皮への活用−−などを求めた。さらに、食肉などを市場に流通させることは、捕獲に必要な経費の確保や山村の活性化、食料自給率の向上につながると指摘。提言には、参考図書や食材の入手先も盛り込んだ。

 梶座長は「このままでは自然も人の暮らしも守られない。早急に行動しなければならない」と話す。環境省鳥獣保護業務室は「提言を尊重し、政策を充実させたい」としている。

 毎日新聞 2011630日 東京朝刊

・6月20日(水)   最近の鯨や捕鯨問題関係の出版は以下の通り。

 ・吉岡逸夫 『白人はイルカを食べてもOKで日本人はNGの本当の理由』 (講談社+α新書、838円+税)

 ・石井敦 (編著) 『解体新書 捕鯨論争』 (新評論、3000円+税)

 ・小松正之 『日本の鯨食文化 世界に誇るべき”究極の創意工夫”』 (祥伝社新書、780円+税)

・6月5日(日)   前田有一 「超映画批評」 掲載の 『レイキャヴィク・ホエール・ウォッチング・マサカー』 へのレビュー。

 http://movie.maeda-y.com/movie/01579.htm

 『レイキャヴィク・ホエール・ウォッチング・マサカー』 25点 (100点満点中)

 ≪捕鯨国ニッポンのためにあるようなホラー映画≫

今回の東日本大震災や2月に起きたニュージーランド地震の直前には、沿岸に大量の鯨やイルカが打ち上げられる奇妙な出来事が起きている。野生動物が大地震の前にこうした異常行動をとる例は、これまで何度も報告されてきた。

そしてこのたび、イギリス沿岸部に鯨100頭が座礁した直後、隣のアイスランドのレイキャビク近くで火山が噴火。偶然というには恐ろしすぎる符合に欧州のネチズンたちが大騒ぎしている。

しかし私的には、鯨とレイキャビクを重要キーワードとして持つホラー映画『レイキャヴィク・ホエール・ウォッチング・マサカー』の公開直前にそんな事件が起きたことのほうが驚きである。これはもう間違いなく、地震兵器HAARPを使ったアメリカのシークレットガバメントとシーシェパードの陰謀に間違いない。

……と、オカルト系ファン層の新規開拓を狙った文章をでっちあげたところでストーリー紹介に入る。

ホエールウォッチングで知られるレイキャビクに、今日も6組の観光客がやってきた。ところが不慮の事態でクルーを失った船は、裕福な日本人夫婦とその同行者(裕木奈江)ら客だけを残して漂流するはめに。彼らは通りがかりの船に助けを求めるが、運の悪いことにその船はホエールウォッチングの流行で仕事を失った一家が経営する捕鯨船であった。

アイスランドはかつて捕鯨大国だったが、国際世論の反発で鯨観光に鞍替えし、昔ながらの捕鯨漁民は肩身が狭くなる一方。この映画はそんな社会情勢を強烈に皮肉った内容である。漂流する観光客と洋上で出会うのは、なんと頭のネジがすっ飛んだ凶悪暴力捕鯨一家。救助ロープの代わりに観光客めがけて捕鯨のモリを打ち込むという、常軌を逸した殺戮が繰り広げられる。

シーシェパードの過激行動を冷ややかに見つめる欧米人はたくさんおり、だからエコテロリストを冷笑するような作品は時折見かける。しかし『レイキャヴィク・ホエール・ウォッチング・マサカー』は、捕鯨者を殺人鬼として描くあたりが新鮮だ。日本人がキャスティングされている点も、含みがあって面白い。

考えてみればホエールウォッチングと捕鯨は根本的な対立構造にある。だから両者が殺しあうホラー映画とは、じつに無理のない企画である。ロメロのゾンビ映画の例を挙げるまでもなく、社会問題とホラージャンルは相性がいい。アイスランド(人口30万人)映画界が手掛ける同国史上初のホラー映画としては、まさに正義といえるだろう。

殺戮捕鯨一家以上に過激な反撃をする観光客の姿は、本作が両者をおちょくるブラックジョークであることを物語る。

そんなわけで当初この企画は製作費200億円を目指していたが、ポール・ワトソンから巨額の投資が行われることもなく、結局3億円ちょっとのお金をかけて完成した。200億は言ってみただけ、などと突っ込むのは無粋である。

先述したようにアイルランドは人口30万人であるから、映画界の裾野も狭い。本作も目の付け所はいいが、脚本面などあまりの実力のなさに思わず笑いが出る。荒れ球で結果的にそこそこの成績を残した渡辺久信投手(現西武ライオンズ監督)のように、天然系の唐突な展開がむしろ笑いを生むのに成功している。本来ならば、もっとブラック風味を濃くして、アイロニカルな内容にすればさらに良くなるのだが、この素人っぽさは捨てがたい。

登場人物では裕木奈江が光る。平凡ないち市民のはずだが、なぜかてきぱきと火炎瓶を制作して殺人鬼と正面戦を行うなど、いったいどういう人物設定になっているのかさっぱりわからず笑いを誘う。監督は「硫黄島からの手紙」(2006)などで彼女を見つけたというが、きっと連合赤軍事件の主犯格を演じた「光の雨」(01年)あたりも見ているに違いない。

ほかにも日本人役の日系ブラジル人俳優が、たどたどしい日本語でなんの脈絡もなく韓国人差別発言を行うなど、予期せぬ危険ジョークが散見できるあたりは見どころである。この前半の路線を突っ走ったら、相当なカルト傑作となれただろう。

登場人物にまっとうなキャラクターが存在しない点が特徴的だが、それを作品のテーマに絡ませることが、いまいち出来ていないのも残念。とくにグダグダな後半のスプラッターホラーは、相当改善の余地がある。

とはいえ、珍作好きには外せない一本。チープでへんてこで、見てもなんの教養も得られない映画。そこがいい、という方は勇気をもって映画館へ。

・5月30日(月)  毎日新聞インターネットニュースより。

 http://mainichi.jp/area/yamaguchi/news/20110529ddlk35040279000c.html 

 通くじら祭り: 「古式捕鯨の再現」 中止に−−長門 /山口

 ◇高齢化や「漁に支障」で参加辞退

 毎年7月、長門市通(かよい)で全長13・5メートルの模型の鯨を使い、勇壮に繰り広げられる名物行事「古式捕鯨の再現」が中止される見通しになった。「通くじら祭り」のメーン行事だが、「再現」を担ってきた県漁協通支店青壮年部橘会が高齢化や「漁にも支障が出る」などを理由に参加を辞退したため。【川上敏文】

 通は、江戸時代に毛利藩が捕鯨基地として保護。1908(明治41)年まで通鯨組が活躍した。仙崎湾に入る鯨を多い時で年50頭捕獲した記録も残る。

 湾内の鯨を遠見番がのろしをたいて通鯨組(当時300人)に通報。子どもが村中に「クジラがきたぞー」と広報し、20隻(1隻11人乗り)の船が網で取り囲み、弱らせてもりを打ち込む。こうした古式捕鯨の再現は92年、橘会が鯨墓建立300年記念として始めた。再現では赤ふんどし姿で各10人が4隻に乗り込み、海上に浮かべた模型の鯨に乗るなどして仕留める。

 橘会の河野敏春代表(61)によると、昨年も辞退を申し出ていた。地元の住吉神社の夏祭りも重なっており、前後の準備も含め漁に1週間ほど出られないという。魚価も低迷。更に油代の高騰などもあり、休漁は暮らしに大きく影響する。また、メンバーの高齢化で参加できる漁師も減り、昨年は半数が公募や近隣からの応援組だったという。河野さんは「いろいろ要因が重なっているが、役割は果たしたと思う」と話している。

 一方、実行委の新谷勇会長は「残念で寂しい。何とかできないかとの思いは強い。祭りは和船競漕もあり開くが、模型鯨の活用など内容を検討したい」と話した。

 〔山口版〕  毎日新聞 2011529日 地方版

・5月27日(金)  産経新聞インターネットニュースより。

 http://sankei.jp.msn.com/world/news/110527/amr11052710220005-n1.htm 

 過激抗議船、「ブリジット・バルドー号」に改称 シー・シェパード   2011.5.27 10:19

 米国の反捕鯨団体、シー・シェパード(SS)は26日、日本船団による南極海の調査捕鯨に対して過激な妨害活動を行った抗議船「ゴジラ号」の名称を、フランスの女優の名前をとって「ブリジット・バルドー号」に改めると発表した。

 1950年から60年代にかけて「素直な悪女」など数々の映画に出演し、人気女優となったバルドーさんは熱心な動物愛護活動家としても知られ、毛皮反対運動などを続けてきた。SS代表のポール・ワトソン容疑者=傷害容疑などで国際指名手配中=とは30年以上の親交があり、一緒にカナダのアザラシ漁の抗議活動を行ったこともある。

 バルドーさんは、名前を使わせてもらいたいとのワトソン代表からの申し出を快諾。「私たちは一緒に勝利する」などとコメントを寄せた。

 SSは、真っ黒だった船体を白く塗り替え、船首部分にSSの旗を持ったバルドーさんのイラストを描き、公式ホームページを通じて新デザインをお披露目した。

 ブリジット・バルドー号は、SSの別の抗議船スティーブン・アーウィン号とともに、6月から地中海のクロマグロ漁の密漁監視を行うとしている。(佐々木正明)

・5月25日(水)  毎日新聞インターネットニュースより。

 http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110525k0000m040071000c.html 

 鯨肉窃盗: 控訴審 グリーンピース被告が無罪主張し結審

 環境保護団体「グリーンピース・ジャパン」メンバーらによる鯨肉窃盗事件で窃盗罪などに問われ、青森地裁で懲役1年、執行猶予3年の判決を言い渡された佐藤潤一(34)、鈴木徹(44)両被告の控訴審初公判が24日、仙台高裁(飯渕進裁判長)で開かれ、即日結審した。弁護側は「無罪」を主張しつつ、有罪でも「罰金刑が相当」と求めた。判決は7月12日言い渡される。

 地裁判決などによると、2人は英国人の男と共謀し、08年4月、運送会社の青森支店(青森市)に侵入し、船員が自宅に送った段ボール箱入りの鯨肉約23.1キロ(約5万9000円相当)を盗んだ。弁護側は弁論で、調査捕鯨船員の鯨肉入手を「業務上横領」と強調し、有罪とした地裁判決の不当性を主張した。【高橋宗男】

 毎日新聞 2011524日 2037

・5月24日(火) 毎日新聞インターネットニュースより。

 http://mainichi.jp/hokkaido/news/20110524ddlk01040273000c.html 

 訓練: 反捕鯨団体の妨害行為想定し−−釧路沖 /北海道

 釧路沖で行われているミンククジラの春季調査捕鯨に合わせ、道警釧路方面本部と釧路海上保安部、釧路沖鯨類捕獲調査団は23日、釧路港で反捕鯨団体などの妨害行為を想定した訓練を実施した。各関係機関の合同訓練は全国初という。今春、南極海の調査捕鯨が反捕鯨団体シー・シェパードの妨害で中止に追い込まれているため、緊迫した雰囲気の中で訓練が進んだ。

 調査捕鯨は東日本大震災の影響で、宮城県石巻市から釧路市に拠点が移されている。訓練には計56人が参加した。北ふ頭では捕鯨船「第7勝丸」に不審者役の5人が接近し、横断幕を広げながら「クジラが泣いてるぞ」「撮影して全世界に配信するぞ」とアピール。制止しようとする乗組員や釧路署員らと押し問答になり、スプレーを噴射したり、捕鯨船に乗り込むなどした不審者役を、警察官らが逮捕し、連行した。

 訓練後、同方面本部の倉持謙二本部長は「これまでより釧路の調査捕鯨に対する危険は高まっている」と注意を促し、釧路海保の菅原規之部長も「地域の安全・安心のため、今後も連携したい」と語った。 【山田泰雄】

 毎日新聞 2011524日 地方版

・5月23日(月)  毎日新聞インターネットニュースより。 なお、最後に当サイト製作者からのコメントを付す。

 http://mainichi.jp/select/opinion/souron/news/20110523ddm004070025000c.html 

 ニュース争論: 岐路に立つ調査捕鯨 小泉武夫氏/大久保彩子氏

 日本が87年から続けてきた南極海などでの調査捕鯨が重大な岐路に立たされている。反捕鯨団体の激しい妨害で事実上、実施が困難になっているためだ。一方、東日本大震災で宮城県石巻市の調査捕鯨船が被災したが、調査捕鯨を復興のシンボルにしようという動きも出ている。捕鯨はどうあるべきか。【立会人・小島正美編集委員、写真・西本勝】

 ◆今やめたら、復活は困難−−東京農大名誉教授・小泉武夫氏

 ◆南極海まで行く必要ない−−東海大海洋学部講師・大久保彩子氏

 ◇外交的な負け

 立会人 反捕鯨団体「シー・シェパード」の妨害で2月半ば、南極海で活動していた調査捕鯨船団が3月末までだった予定を切り上げて帰国することになりました。調査捕鯨は来年以降、どうなるのでしょうか。

 小泉 日の丸を掲げた公海上の船が「怖い、怖い」と言って逃げ出したわけですから、外交的に見て、日本の弱い面を世界にさらけ出したことになりましたね。調査捕鯨は国際条約にのっとった科学的な調査です。このままでは来年も同じことの繰り返しですが、日本は正論を貫き通すべきです。

 大久保 船が引き返したのは乗組員の安全確保もあり、妥当な判断でした。南極海での調査捕鯨をやめれば、シー・シェパードは妨害活動の格好の舞台を失いますから、日本側にプラスでしょう。約8億円もの税金(補助金)を費やして捕ってきても、クジラの肉はあまり売れず、在庫は1年分近い四千数百トンもあるなど、調査捕鯨は消費や産業の現状とあまりにもかけ離れています。調査捕鯨はもう終わってもよい時期です。

 小泉 クジラの肉が高いのは政府の補助金が少な過ぎるからです。もっと支援すれば、値段は安くなって、みんなが食べるようになります。ここで調査捕鯨をやめたら、牛肉を売りたくて仕方のない米国や豪州の思うつぼです。

 大久保 なぜ、多額の税金を投入してまで南極海に行くのでしょうか。仮に商業捕鯨が実現したとしても、どの水産企業も南極海までクジラを捕りに行くことはないと思います。どの企業も参入の意思を表明していないのは採算が合わないからです。

 立会人 補助金がなくても南極海へクジラを捕りに行く企業が現れるかどうか、それはクジラの資源いかんにもよりますね。

 小泉 IWC(国際捕鯨委員会)の科学委員会が認めているように、南半球ではクロミンククジラが約76万頭、マッコウクジラは世界で200万頭もいます。増えたクジラは、人間が食べるサンマ、サケなどを大量に食べ、なんと人間の口に入る魚の約4倍もがクジラに奪われている。北海道沿岸ではサンマやタラがクジラに食べられる漁業被害も出ています。持続可能な範囲内でクジラを捕ったところで、どこからも文句が来る筋合いではない。

 ◇不確かなクジラの数

 大久保 クジラの数の推定値は、計算方法によって大きく異なります。不確かな面が強く、クロミンククジラが増えているのか減っているのか、世界の科学者の間で合意はありません。局地的にクジラによる漁業被害があっても、世界全体で漁業資源がクジラのせいで減っているとはいえません。漁業資源の減少の一番の原因は漁業による乱獲でしょう。

 小泉 欧米の人たちは保護のことばかり言いますが、例えば、米国産牛肉と鯨肉の環境比較をすると、牛肉1キロを作るには10キロ以上の飼料が必要です。その飼料を育てるには肥料や農機具などを作るための化石燃料がいります。また、世界中にいる牛はげっぷを出して、温暖化作用のあるメタンを大量に発生させています。クジラは海で自然に育つので、断然クジラを食べるほうがエコです。調査目的ではなく、公海で堂々と捕ればよいのです。

 大久保 畜産業の方が環境汚染の負荷が大きいのは事実でしょう。ただ、畜産業は日本にもありますし、反捕鯨国を説得する材料としては弱いと思います。

 立会人 商業捕鯨は国のやる気で実現するのでしょうか。

 大久保 日本が商業捕鯨を再開するには、IWCで82年に決まった商業捕鯨モラトリアム(一時停止)を解除することが必要です。それには88カ国ある加盟国の4分の3以上の賛成が必要ですが、今は反対、賛成が半々なので、解除は非常に困難です。環境に配慮した厳しい規制を掲げたり、貿易問題などと絡めて、反対国の譲歩を迫る方法もありますが、日本の政府は長い間、効果的な対応を取ってきませんでした。IWCを脱退すべきだ、との声もありますが、国連海洋法条約の規定により、脱退しても自由に捕鯨ができるわけではありません。

 小泉 しかし、ここで捕鯨をやめてしまったら、もう二度と復活することは難しい。いずれ世界的に食糧不足の時代がやってきます。その時にはクジラは貴重なたんぱく源として見直されます。ここで引き下がってしまうと次はマグロ、カツオも捕れなくなる。そして日本の水産業自体が衰退していく。捕鯨は日本の伝統文化です。昔はクジラに戒名までつけて葬ったところもあります。クジラの歯などを活用した工芸文化、多様な料理文化も絶やしてはいけません。3月には不運にも、東日本大震災があり、水産業への打撃だけでなく、今後は食料自給率が低下することも懸念されます。となると、いま一度、日本人はクジラに助けてもらう日がやってきます。宮城県石巻市の漁師さんたちが調査捕鯨を復興のシンボルにしようと頑張っています。みんなで応援しましょう。

 ◇食文化70年代から

 大久保 食文化というと、随分昔からというイメージがあるようですが、捕鯨が食文化という言葉で語られ始めたのは広告キャンペーンの一環として登場した70年代です。私もクジラをたまに食べますし、おいしいとは思います。しかし、沿岸捕鯨で捕れたクジラをたまに食べるぐらいのぜいたくで十分です。日本人の大半は「捕鯨には賛成」とアンケートで答えていますが、そのわりにクジラをほとんど食べていない。郷愁で国の政策を決めるべきではありません。ただ東日本大震災で、沿岸捕鯨の拠点の一つである鮎川(石巻市)が大きな被害を受けたことはとても残念です。産業の復興支援なら、南極海ではなく、沿岸捕鯨を重視する方向へと政策のかじを切るべきでしょう。資源の持続可能性を大前提に、操業を沿岸に限った捕鯨なら国際的にも妥協が成立すると思います。

 小泉 米国民を対象にしたアンケートでは、約7割の人は捕鯨に賛成しています。さらに米国政府は自国の先住民の捕鯨は認めています。外交の駆け引きで日本はもっと強くならないといけない。大久保さん、一度一緒にクジラを食べに行きましょうよ。

 ■聞いて一言

 ◇どちらも「分かる」だけに…

 どちらの言い分も分かるのがつらい。クジラの食文化が大切なことも分かるし、民間企業では採算の合わない南極海での捕鯨に国民の税金まで費やす必要性があるのか、という理屈も分かる。私自身、クジラを食べる機会は数年に1度くらいなので、南極海での捕鯨が中止になっても、それほど苦痛は感じない。ただ、国際的な外交舞台で日本が敗北を喫し、捕鯨中止に追い込まれる姿を見ると愛国的心情もわいてくる。まして日本の調査捕鯨を破綻させることが目的であるシー・シェパードの思惑通りになるのは心中穏やかではない。実に悩ましい。(小島)

 ■人物略歴

 ◇こいずみ・たけお

  43年生まれ。東京農大卒。東京農大教授を経て名誉教授。「クジラ食文化を守る会」会長。専門は発酵学や食文化論。

 ◇おおくぼ・あやこ

  74年生まれ。東大大学院博士課程単位取得退学。在スウェーデン日本大使館専門調査員などを経て東海大講師。専攻は環境政策論や国際関係論。

 毎日新聞 2011523日 東京朝刊

     

 上の討論の大久保氏の見解に、当サイト製作者から若干の批判的なコメントを付ける。 

 まず、IWCでの捕鯨モラトリアム解除には4分の3以上の賛成が必要だとして、「今は反対、賛成が半々なので、解除は非常に困難です。(・・・) 日本の政府は長い間、効果的な対応を取ってきませんでした」 と述べているのは、事実に反する。 かつては反対が圧倒的に多く、賛成は少なかった。 それは世界が欧米を中心とした政治的秩序によって動いている面が大きいからで、日本は努力によってようやく半々にまで票を伸ばしてきたのである。 大久保氏はそうした歴史的な経緯がまったく見えていない。

 また、食文化として語られたのは1970年代からだとしているけれども、言葉として文化が語られなくとも文化は存在するのであり、そんな基本的なことも分からないでこの問題を論じるのは、いかなるものかと思う。

 さらに、シーシェパードはすでに日本国内に入り込んでいる。 南極海以外での調査捕鯨への妨害行為も予想される。 南極海はやめて近海に徹すれば安全、という捉え方は現状を完全に見誤っている。

 以上のような大久保氏の無知不見識ぶりは、穏健な反捕鯨派がいかに物事を正確に捉えていないかの証拠といえるだろう。

・5月16日(月)  毎日新聞インターネットニュースより。

 http://mainichi.jp/seibu/shakai/news/20110516ddg041040012000c.html 

 東日本大震災: クジラ、復興のシンボルに 津波逃れて再展示−−岩手・山田町の科学館

 岩手県山田町の「鯨と海の科学館」に展示されている世界最大級のマッコウクジラの骨格標本(全長17・6メートル)が、津波の難をくぐり抜けた。関係者は復興のシンボルとして活用したい考えだ。

 同館は92年にオープン。かつて捕鯨の町の象徴としてクジラの骨格標本の展示を目玉にしてきたが、津波で土砂やがれきが流れ込み、一部の壁も壊れた。

 天井(高さ15メートル)からつるされていた骨格標本も水につかり、歯が5本取れた。しかし同館を監修する東京海洋大の加藤秀弘教授が点検した結果、洗浄すれば展示し続けられるとわかった。取れた歯もがれきの中から見つかり、湊敏館長は「鯨が復興への元気を与えられれば」と話している。 【写真・文 和田大典】

 毎日新聞 2011516日 西部夕刊

・5月15日(日)    読売新聞インターネットニュースより。

 http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110515-OYT1T00065.htm 

 動画サイトで話題の米国人、太地の捕鯨に理解

インターネットの動画投稿サイト「ユーチューブ」で反捕鯨団体シーシェパード(SS)を批判、〈テキサス親父(おやじ)〉として知られる米国人トニー・マラーノさん(62)が、和歌山県太地町を訪れ、三軒一高町長と面談し、捕鯨に理解を示した。

 役場を訪れたマラーノさんは、三軒町長から捕鯨とともに歩んできた町の歴史を聞き、「町民が生活を守るためにクジラを捕ることに問題はない」と述べた。昼食に初めてクジラ料理を食べたといい、「とてもおいしかった。牛を食べるのも、クジラを食べるのも全く同じ」と話した。

 東日本大震災については「日本には略奪という文字はなかった。他国では考えられないことだ」と日本人の行動を称賛した。

 マラーノさんは大手電話会社を退職後、様々な問題についてユーチューブで意見を発信している。「海に囲まれた日本がなぜ捕鯨をしてはいけないのか」と疑問に思ったのが、SS批判のきっかけという。

 日本でも著書があり、ファンも多く、三軒町長は「町にとってありがたい応援団。これからも太地の情報を発信してもらいたい」と話していた。

 20日まで日本に滞在、東京や大阪で講演するほか、広島の原爆記念館や東京の靖国神社を訪れる。

 (20115150758分 読売新聞)

・5月12日(木)   産経新聞インターネットニュースより。

 http://sankei.jp.msn.com/world/news/110512/asi11051207530000-n1.htm 

 (コラム 40×40) 山田吉彦 SSにとって手ごわい敵   2011.5.12 07:51

 東日本大震災の時、シー・シェパード(SS)の活動家を岩手県の人々が助けたことが報道された。日本人の心の広さを感じたが、SSのポール・ワトソン代表は、「海の怒りにより日本は大地震に見舞われた」と心ない詩を発表した。

 今年4月、SSがパラオ共和国と提携しサメの密漁警戒に当たる協定を結んだ。SSは南極海で日本の調査捕鯨を妨害し派手に勝利宣言をしたが、内実は困惑している。敵役の日本の調査船が帰国したため、米国のテレビ局でSSの活動を紹介する番組「ホエールウオーズ」の撮影が頓挫したようだ。次のターゲットは生きた化石ともいわれるサメだ。サメがヒレを取るためだけに殺されるのを阻止するというのだ。

 パラオは、2009年に同国の排他的経済水域内でサメの捕獲を原則禁止する施策を行っている。海上警備力が脆弱(ぜいじゃく)なパラオのトリビオン大統領は、SSからのアプローチに同調してしまった。しかし、国内に反対意見が多く協定の実施は断念したようだ。それは、米国やオーストラリア、そして日本など支援を受けている国々からの理解が得られないためだという。現在、豪州は、サメの保護政策を決めかねている。サメは稀少(きしょう)な生物であるとともに、毎年数人の命を奪う獰猛(どうもう)な害獣である。そして、魚肉は低カロリー高タンパクな食材として利用されている。先日、中国の福州の水産会社を訪ねた。この会社は太平洋やインド洋でサメを捕獲している。同社の冷凍庫はヒレを取られたサメでいっぱいだった。ヒレは高級食材として国内で流通し、その他の肉は豪州へ輸出するそうだ。

パラオは今、日本からの支援を条件にSSと手を切ることを考えている。折しも海上保安庁や日本財団などが、同国を含む太平洋諸国の海洋警備体制の支援を検討しているところだ。SSにとっても今度の敵は手ごわい。サメの密漁の多くは中国漁船であり、フカヒレの世界的な流通を牛耳る華僑たちとの戦いにもなる。孤立したSSは中国という新たな敵とどのように戦うのだろうか。尻尾を巻いて逃げてしまう気もする。(東海大教授)

・4月30日(土)  産経新聞インターネットニュースより。

 http://sankei.jp.msn.com/world/news/110429/asi11042918010005-n1.htm 

 【海外事件簿】 シー・シェパードが動きを活発化 「日本が捕鯨を始めれば妨害を準備する」   2011.4.29 18:00

 今期の南極海の調査捕鯨を中止させた米国の反捕鯨団体、シー・シェパード(SS)が次なる標的に向けて、動きを活発化させている。代表のポール・ワトソン容疑者(60)=傷害容疑などで国際指名手配=は米国内での資金集めパーティーや講演会に頻繁に出席し、SSをPR。SSは南太平洋の島国、パラオの密漁取り締まりへの参入を目指しているほか、地中海のクロマグロ漁やデンマーク・フェロー諸島のイルカ漁への妨害準備も着々と進めている。

 4月16日、米西海岸ロサンゼルスで開かれた環境保護関連のイベント。ゲストに招待されたワトソン代表は盛大な拍手を浴びて壇上に登場し、基調講演を行った。2月まで行われた調査捕鯨妨害キャンペーンを話のネタにして聴衆を引きつけ、「私たちは、人を決して傷つけない」とするSSの活動方針や自らの理念を語った。

 「私たちが(日本の船団へ)やっていることは、攻撃的な非暴力なんだよ」

 講演終了後、ワトソン代表はTシャツや関連本などを販売するSSのブースに顔を出し、駆けつけたファンとの写真撮影やサインの求めにも応じた。報道陣の取材も受け、「最近の震災をふまえ、日本は景気浮揚のために捕鯨に対してより積極的になると思いませんか?」と質問した記者にはこう返した。

 「震災が、彼らを捕鯨に向かわせるとは思わないね。それは失敗する選択で、利益には結びつけない。でも、もし彼らが捕鯨をするんだったら、われわれは(妨害の)準備をするよ。私は、震災によって彼らが違法な漁業に向かうと考えているんだ」

 毎年、ワトソン代表は捕鯨妨害キャンペーン終了直後の関心が高い時期を狙って、団体本部のある米国へ戻り、各種イベントに頻繁に参加している。会場はSSの支持者らで満員となり、高額の寄付も集まるようだ。そして、同じくこの時期に、米有料チャンネル「アニマル・プラネット」で続いているSSの宣伝番組「鯨戦争」が放映されるにあたって、積極的にTV出演もこなす。

 第4作目となる今年は、6月3日に放送開始が決定した。調査捕鯨キャンペーンの実態を一方的に映し出し、反日色が濃い「鯨戦争」は同チャンネルが歴代2位の高視聴率を誇る人気番組となっているが、今後は、ワトソン代表や他主要メンバーの各メディアへの露出回数もさらに増えていくとみられる。

      ◇

 一方、調査捕鯨妨害キャンペーンに参加した3隻の抗議船はそれぞれ、オーストラリアなどでドック入りして修理を施した後、次なる活動場所への移動を始めている。

 オランダ船籍のスティーブ・アーウィン号、豪州船籍のゴジラ号は欧州海域を目指している。昨年夏にも行われた地中海のクロマグロ漁への妨害活動のためで、ワトソン代表は「船を北アフリカのリビア沖へ派遣させる」と明言した。

 昨年7月には、マルタの漁師が捕獲したクロマグロを囲ったいけす網を、「密漁だ」と一方的に宣言して切り刻み、クロマグロを海洋に逃して、数千万円規模の被害を与えた。

 今年も、ワトソン代表は、「絶滅の危機にあるクロマグロを日本の商社が大量に倉庫に保管している」などと主張し、地中海の漁師の「違法な漁を取り締まる」としている。

 しかし、今年は、英仏などの連合軍がリビア政府軍と交戦しており、地中海で例年通りの漁が行われるかは未知数な状況だ。

 北大西洋に浮かぶデンマーク領のフェロー諸島では、毎年夏、伝統的なゴンドウクジラ漁が行われている。SSは数年前からこの漁への反対姿勢も明確にしており、昨年は、主要メンバー数人を空路で派遣し、漁の実態を写真や動画に収めて、ネットなどを通じて告発する手段をとった。

 しかし、ワトソン代表は今回、フェロー諸島へも抗議船2隻を派遣すると宣言。SSの抗議船とフェロー諸島の漁師との間に、南極海での激しい攻防にも似た状況が生まれかねない危険性が高まっている。

 また、ワトソン代表は3月中旬、南太平洋の親日国パラオを訪問、同国海域を脅かしているサメの密漁対策のために、地元の海保当局とSSの抗議船が共同で取り締まりを行う合意文書に調印した。トリビオン大統領はSSに感謝の意を示し、調印式で、「われわれはシー・シェパードの協力を必要としていた」とさえ言った。

 SSは、一昨年に投入したばかりの3隻目の抗議船ボブ・バーカー号をパラオに展開する用意を進めている。ただ、このSSの“パラオ作戦”の発覚後、日本政府が急遽(きゆうきよ)、使節団を派遣し、SSとの調印を破棄するよう、政権中枢への巻き返しを図っている。

     ◇

 こうして、SSが拡大路線を続けている1つの背景には、事実上、抗議船の母港としている豪州の海保当局がSSへの徹底的な取り締まりを行っていない現状がある。毎年のように、豪連邦警察がSS抗議船が調査捕鯨キャンペーンを終え帰港する度に、船内の強制捜査を行っているが、クルーの逮捕や抗議船の拿捕(だほ)には至っていない。

 ワトソン代表は警察の対応を槍(やり)玉に挙げ、地元メディアにこう言い放ったことがある。

  「世界の大半の海域は無政府状態だ。われわれが罪に問われないのは、相手(日本の捕鯨船団)が罪に問われない理由と同じだ。問題なのは国際法の解釈が曖昧なためで、公海上で法を執行する強制力が不足している」

  「豪政府のすることなんて気にしない。(強制捜査は)税金を使ったみせかけのゲームで何の結果も生まない」

  4月中旬、オーストラリアのギラード首相が来日した。東京・内幸町の日本記者クラブで行われた記者会見で、昨年、国際司法裁判所へ提訴した日本の調査捕鯨停止訴訟を継続することを明言したが、一方で、「SSの船を立件に踏み切るのか」と聞いた記者の質問には、回答をはぐらかした。

  一方で、2隻の船籍を許可しているオランダ政府も、日本側の再三の取り締り要請には応じていない。

  日本側は今後、SSの被害にあっているデンマークやマルタなどとともに連携して、SSの膨張を阻止するための行動を強化する必要がある。

・4月23日(土)   産経新聞インターネットニュースより。

 http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110422/biz11042220270050-n1.htm 

 今冬調査捕鯨に向け検討会    2011.4.22 20:25

 農林水産省は22日、南極海での日本の調査捕鯨が反捕鯨団体「シー・シェパード」の妨害行為によって打ち切りを余儀なくされたことを受け、今冬に出発する来季以降の安定的な調査の実施に向けて有識者らから意見を聴く「鯨類捕獲調査に関する検討委員会」(座長・筒井信隆副大臣)の初会合を開いた。夏ごろをめどに報告書を取りまとめる。

 水産資源学などの専門家や消費者団体幹部らが参加。今後、調査捕鯨の実施主体、日本鯨類研究所の理事長や、国際捕鯨委員会(IWC)、環境保護団体の関係者らを参考人として呼び話を聴く。

 鹿野道彦農相は同日の会見で「予算の概算要求に間に合う時期までに考えを示してほしい」と述べ、来年度予算に検討委員会の議論を反映させる考えを示した。

・4月17日(日)  産経新聞インターネットニュースより。

 http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110417/dst11041701450006-n1.htm 

 調査捕鯨で復興後押し 宮城・鮎川地区の漁業者を北海道へ 水産庁   2011.4.17 01:45

 東日本大震災で大きな被害を受けた「クジラ漁の町」宮城県石巻市の鮎川地区の捕鯨業者を、水産庁が25日から北海道・釧路沖で始まる調査捕鯨に参加させることが16日、同庁関係者への取材で分かった。捕鯨業者の復興を後押しする。

 水産庁によると、日本沿岸での調査捕鯨は、例年4〜6月に鮎川沖で、9〜10月に北海道・釧路沖で実施。クジラ類の捕獲や解体をそれぞれ地元捕鯨業者らが担い、収入を得てきた。

 同庁関係者によると、今年は春の鮎川沖での調査は断念し、春と秋の両方を釧路沖で実施。2回とも鮎川の業者が参加する。捕鯨船などの必要な物資は釧路市や和歌山県太地町の捕鯨業者らが貸し出す。

 鮎川地区は明治期以降、クジラ漁で栄え、太地町などと並ぶ日本4大捕鯨町。現在は捕鯨業者「鮎川捕鯨」1社を残すのみだが、近年クジラ目当ての観光客も増えるなど町に活気が出始めた矢先に、津波が町を襲った。

 鮎川捕鯨の2隻のクジラ漁船は修理をしているものの大きな損傷もなく、約40人の漁業者も無事だった。漁業者は「ぜひ調査に参加したい」と強い意欲を見せているという。

・4月12日(火)  産経新聞インターネットニュースより。

 http://sankei.jp.msn.com/world/news/110412/asi11041211230000-n1.htm 

 【日々是世界】 シー・シェパード、親日国パラオの「用心棒」に  2011.4.12 11:19

 南太平洋ミクロネシアに浮かぶ島国パラオ。日本の委任統治領となった歴史があり、現地でも流(りゅう)暢(ちょう)な日本語を操る親日家が多いこの島が今、「エコテロリズム集団」 の新拠点となろうとしている。 そして、この出来事は、日本の水産業界に大きな脅威をもたらす可能性がある。(SANKEI EXPRESS)

 ■ 密漁船を共同取り締まり

 3月中旬、日本の調査捕鯨妨害事件で国際指名手配されているシー・シェパード(SS)代表のポール・ワトソン容疑者(60)=写真(上)=がパラオを訪れ、ジョンソン・トリビオン大統領(64)=写真(下)=と会談、近年、パラオ海域を脅かしていた密漁船対策で、SSと共同で取り締まりを行う提携を結んだ。先の捕鯨妨害で使用した船やヘリコプターなどを無償で貸し出し、SSが海保当局と一緒にパトロールや摘発にも参加するというのだ。

 3月15日付のパラオの地元紙アイランド・タイムズは一面トップで、国家元首と国際手配犯が並んで調印式に臨む写真とともに、「国際的な反密漁団体がパラオ海域の保護に乗り出す」 との大見出しを掲げた。 SSとの提携を伝える記事には、ワトソン容疑者の声が多分に紹介されていた。

 「われわれの団体は、世界中の密漁阻止に関心を持ち、この問題にかかわる政府に協力することを活動の1つにしている。トリビオン大統領はパラオ海域での違法漁業対策に真剣に乗り出そうとしている。私たちはそれを支援するためにここにやってきた」

 ワトソン容疑者は、密漁対策強化でパラオの水産業が活性化し、国家財政も潤うことを強調。これに対し、大統領は「われわれはシー・シェパードの協力を必要としていた」と謝辞を述べた。

 ■ ガラパゴスで「実績」

 パラオ政府とSSが手を結んだ背景には、近年、高級食材のフカヒレを狙って外国の密漁船が警備網の手薄なパラオ海域に出没している実情があった。 パラオの海保当局には、自国の海域を全てカバーする警備船も少なく、貧弱な予算から高感度レーダーなどの近代的設備を買いそろえる余裕もない。 そのため、違法操業を検知しても、足の速い密漁船を拿(だ)捕(ほ)できない深刻な事態が相次いでいた。

 こうしたことから、トリビオン大統領は就任直後の2009年9月、国連総会の場で、排他的経済水域(EEZ)におけるサメのサンクチュアリ (禁漁区域) 化を宣言。 さらに、昨年10月、名古屋で開かれた生物多様性条約第10回締約国会議に出席した閣僚は、鯨などの海洋哺(ほ)乳(にゅう)類のサンクチュアリ化も公表し、取り締まりを強化することを打ち出していた。

 SSは、捕鯨やイルカ漁妨害で悪評高いが、南米エクアドルのガラパゴス諸島では現地の海保当局と共同で密漁取締を行ってきた実績がある。パラオ政府はそこに目をつけ、地元でサメの保護活動を続けてきた英国人男性を仲介役にして、SSを「海の用心棒」にすることを決めたのである。

 ■ 対日作戦の拠点化

 パラオの外交関係者は 「SSとの協議は密かに行われ、協力態勢は急転直下で決まったようだ」 と語る。 現地紙ティア・ベラウの社説もそうした急ごしらえな今回の提携について、「大統領は署名する前に少なくとも法的正当性や国際法上の義務への影響をまじえ、(SSとの) 提携について司法スタッフと検討すべきだった」 と伝えた。

 かつて、SSは北米カナダのアザラシ漁妨害に出向く際、拠点にしていたガラパゴス諸島から抗議船を出港させた経緯がある。 ワトソン容疑者は今年3月に、北海道・釧路港を中心に行われている北西太平洋調査捕鯨への妨害活動も宣言している。 SSが、日本海域からそう離れていないパラオを補給拠点にして新たな対日作戦を展開する可能性が現実味を帯びてきたともいえるのだ。

 日本の捕鯨関係者は 「彼らは、マグロ漁なども標的にしており、パラオを足がかりにして、日本近海の水産業への妨害を本格化させてくることも想定される」 と懸念を示している。(国際アナリスト EX)

・4月4日(月)   読売新聞掲載の、石川梵『鯨人』書評 (3月27日の、毎日新聞・田中優子による同書の書評と比較すると面白い。)

 http://www.yomiuri.co.jp/book/review/20110404-OYT8T00353.htm 

  評・三浦佑之(古代文学研究者 立正大教授)

 太古さながら神聖な戦い

 久しぶりに、ページを繰るのももどかしいという胸躍る読書を体験した。滅法おもしろく、読後には切なさを噛(か)みしめたくなる本だ。

 理由は二つ。一つは題材。現地語でイカンパウス(鯨の王様)と称えられるマッコウクジラの背中をめがけ、銛(もり)を挟んだ長い竹竿(たけざお)を振り上げた男が突撃する、にわかには信じられない太古さながらの鯨漁を追い続けたドキュメンタリーである。とにかく迫力満点だ。

 舞台は、インドネシアのバリ島からいくつもの島を東に渡った先にあるレンバタ島のラマレラという小さな漁村。手作りの手漕(こ)ぎ帆船プレダンに乗り、村の前に広がる大海原に漕ぎ出した10人ほどのマトロス(乗組員)とラマファ(銛打ち)とが、心を一つにして巨鯨と対峙(たいじ)する。それは人と神との神聖な戦いであり、村人の生活を支える日常でもある。しかし、獲れるのは平均して年に10頭ほど。当然、村は貧しい。

 本書のもう一つの魅力は、写真家・石川梵氏の信じがたい執念であり、ラマレラの人々とマッコウクジラとに向けられた求道者のごとき崇高な眼差しである。浮かびあがるのは、死に向かって懸命に生きる人々と鯨たちの姿だ。

 ラマファが鯨を仕留める瞬間を撮るのに、4年もの歳月を要した。その労苦が報われて国内外で名声を得ながら、著者が凄(すご)いのは、その後3年をかけて、殺される「鯨の心」をファインダー越しに求め続けたことである。その心とは何か、ぜひ本文を読んでほしい。

 最後には、2010年に13年ぶりに訪れた村の様子も記され、それが切なさをより深く刻み込む。当然だが村は変貌し、ここにまで捕鯨反対運動の活動家が入り、若者には携帯電話も普及する。それら押し寄せる現代は、世代間ギャップも連れていた。

 ◇いしかわ・ぼん=1960年生まれ。AFP通信社を経てフリーに。内外の主要誌で作品を発表している。

 (201144日 読売新聞)

・4月2日(土)   本日の毎日新聞の 「view point」 欄に、オーストラリアに在住しているジャーナリスト・木村哲郎ティーグによる 「豪州人はなぜ捕鯨に反対するか」 が掲載された。

 この記事はネット上の毎日新聞には掲載されていないようなので、紙媒体でお読みいただきたいが、木村の言っていることはおおよそ次のように要約できる。

  1)オーストラリアはかつては捕鯨大国だった。捕鯨は油をとるためにやっていて、鯨肉を食用にする習慣はない。

  2)「日本人が犬食を生理的に嫌うように、(・・・)クジラを食べる行為が受け入れられないのだ。 (・・・)捕鯨反対の理由の9割がこの点にあると言っても過言ではない。」

  3)日本人は反論して、オーストラリア人がカンガルーを殺していることを挙げるが、カンガルーは即死させられるがクジラはそれが難しい。 苦痛を伴う殺戮は倫理的に問題であり、アメリカ・プリンストン大学教授をしている豪州人もその点を反捕鯨の理由としている。

  4)SSが捕鯨の映像資料を提供しているので、メディアはSSを批判しにくい。

  5)日本の調査捕鯨が擬似商業捕鯨だという批判。

  以上のような紹介を、木村哲郎ディーグは行っている。

 以下、当サイト製作者の簡単なコメントを付す。 2)で、日本人は犬食を生理的に嫌うと書いているけれど、日本人も江戸時代は犬食をしていたのだし、そもそも現代の日本人が犬食をしている韓国などに 「やめろ」 と圧力をかけたという事実がどこにあるのだろう。 原則として豚を食べないイスラム教徒やユダヤ教徒が、キリスト教徒に 「豚を食べるな」 といまどきイチャモンをつけるだろうか? 自分が食べないことと、他人に 「俺は食べないのだからお前も食べるな」 と言うこととはぜんぜん別である。 この区別がつかないのは頭が悪いからで、木村もその点に思い至ってないようだから頭が悪いのではないだろうか。 3)だけれど、この論点はたとえばヨーロッパ人やナチスがユダヤ教徒の屠殺法を差別の根拠に用いたという事実を知っていれば、また2)について私が書いたことを頭に入れていれば、そうそう威張って言えるはずもないのである。

 

 

 

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