捕鯨問題最新情報(1) 1999年12月〜2005年12月

 

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 2005年12月

・12月30日(金) 捕鯨問題に関する総合的サイト Whaling Libraryに、先頃私が書いて 『新潟大学人文科学研究』 に掲載した論文 「鯨イルカ・イデオロオギーを考える(T) ―藤原英司の場合(1)―」 が掲載された。 興味のある方はご覧いただきたい。

・12月28日(水) 本日の産経新聞に鯨の座礁が増えているという記事が掲載された。 鯨はもともと、何らかの理由で浜に自分から打ちあがってしまうことがある。 原因については諸説あってはっきりしない。 平成16年には、日本での鯨座礁は、103件、123頭にも及んでいる。

 最近の捕鯨の中止で鯨資源が増加していることが背景になっていると推測される。 座礁鯨の処理は、生きていれば海に戻す、そうでなければ浜に埋めたり、標本にしたりといった方法もあるが、処理には手間とカネもかかり、地方自治体の負担もバカにならない。

 もともと、日本は鯨を食用に利用してきた歴史があり、座礁鯨も食用にしてきたわけだが、欧米の鯨偏愛主義の圧力でそれが変にねじまげられてきたわけだ。 

 腐敗がないかどうかはしっかり確認した上で、食用にすることを検討すべきだ、と記事は結んでいる。

2005年11月

・11月29日(火) 本年7月17日付けで毎日新聞に掲載された米本昌平氏の文章を紹介しました。 そこで、日本鯨類研究所は捕鯨に批判的なグループにはデータを開示していないと述べられていましたが、この点に関して、日本鯨類研究所のHPにデータの公開についての文章が出ました。 以下で紹介します。

 http://www.icrwhale.org/05-A-a.htm#30 

Q30.収集したデータは公開すべきと思いますが、どうしていますか

 捕獲調査で得られた成果は、毎年、IWC科学委員会に提供しており、反捕鯨国を含む多くの国の科学者から歓迎されるとともに高い評価を得ています。また、調査によって得られた個々のデータは、調査期間の中間点や調査が終了した時点でデータリストにとりまとめてIWC科学委員会に提示し、データの使用を希望する科学者にはIWC科学委員会の規定にしたがってデータを供与してきております。しかしながら、分析前の原データの公開につきましては、データを得るために多くの費用と研究者の労力を要するため、それを得た研究機関あるいは研究者が第一義的に所有するのが、国内外を問わない一般的な認識となっており、日本鯨類研究所も分析前の原データにつきましては原則的に第三者に対し公開しておりません。ただし、IWC/SCでの資源評価のためのデータの使用要請や共同研究の申し入れがあった場合には、申し入れ内容を検討したうえで、日本鯨類研究所の規定に基づいて受け入れる場合があります。すでに、この条件の下で、捕獲調査のデータがIWCの一部の科学者に提供されています。

2005年10月

・10月28日(金) 日本捕鯨協会 「勇魚通信 第23号」 が発行された。 内容の一部を紹介しよう。

 ・アイスランドの漁業相は、オーストラリアの環境・遺産相が7月にアイスランドのミンク鯨調査捕鯨と鯨の捕殺法を非難したことについて、8月に反論を行った。 その中でアイスランド漁業相は、この捕鯨がIWC規約に基づくものであることを述べると共に、オーストラリアが毎年何千頭ものカンガルーや野生ラクダを射殺している事実に触れ、IWCの捕殺法に関する決議では締約国に鯨以外の大型哺乳動物の捕殺法データ提出を求めている事実を指摘し、次のIWC作業部会でオーストラリアがデータを提出することを期待すると述べた。

 ・ニュージーランド・ワイタイギ協定のタイアロア理事は、同国の先住民族であるマオリ族が、持続可能であることを条件に日本の小型沿岸捕鯨など他国の伝統捕鯨の権利を支持すると述べた。

 マオリ族は、先に韓国で行われたIWC総会でNZが反捕鯨政策をとっていることに反対する立場をとっている。 マオリ族は伝統的に鯨を利用しており、沿岸に座礁した鯨を利用する権利を持っている。 また、マオリ族はNZが南太平洋に鯨のサンクチュアリを設定する提案を行う前にマオリ族と協議すべきだと考えている。 また、NZがCITES加盟国であるためにマオリ族が作っている鯨骨の工芸品を輸出できないことも問題だとしている。

 ・小松正之 『よくわかるクジラ論争』(成山堂書店、¥1600+税)が発行された。

 以下、当サイト制作者のコメント。 このページの2003年11月に映画 「クジラの島の少女」 に対する批判を載せたが、マオリ族をあたかも「座礁鯨は必ず海に戻す」民族であるかのごとくに描いた映画の欺瞞性は、今回のマオリ族に関する記事からも明らかであろう。

・10月15日(土) 今月、ちくま新書として発売された 石原千秋 『国語教科書の思想』 に、捕鯨問題に関する重要な指摘が含まれている。

 この本は、国語の教科書が生徒への道徳教育やイデオロギーの押しつけとして使われている実態を批判したものであるが、中学校の国語教科書に反捕鯨イデオロギーの宣伝とも受け取れる文章が含まれているという (同書、158ページ以下参照)。

 具体的には光村図書で出している中学用の国語教科書である。 その中に、水口博也 「海の中の声」 と中島将行 「クジラたちの音の世界」 が採用されており、この二つの教材のあとに、まとめ方の例として、

  海の中で暮らすクジラやイルカは、人間と同じように、声で互いの意思や感情を交換している。

  この先研究が進んで、クジラの言葉が人間にもわかるようになる日が来るかもしれない。 そんな日が待ち遠しい。 (傍線はいずれも石原氏)

と書かれているという。 教材そのものには 「人間と同じように」 などとは書かれていないのに、これは明らかな 「誘導」 であり、「人間と同じ」 でなければ尊重できない感性を育て、真の他者との出会いを阻害するものだ、と石原氏は指摘している。

・10月3日(月) 本日の毎日新聞 「闘論」 欄に 「調査捕鯨の是非」 が掲載された。 調査捕鯨を支持する側が、日本鯨類研究所理事長の畑中寛氏、批判する側が、帝京科学大教授の粕谷俊雄氏である。

 ここでは、粕谷氏の論点についてだけ、簡単に批判しておく。 まず、鯨は人類共有の財産であり国際捕鯨委員会 (IWC) 加盟国の私有物ではない、というのだが、それを言うなら魚類全部が 「私有物」 ではなくなるであろう。 「人類共有」 という言い方が、反捕鯨国の捕鯨妨害の論理に過ぎないことを、わきまえてほしいものだ。

 次に、IWCは調査捕鯨を認めているが、日本のそれが科学目的かどうか疑わしい、調査捕鯨で得た鯨肉の売上金でまかなわれているので経済的な要素が強い、といのだが、それならば他国が鯨類の調査のためにどの程度カネを出しているのかを問題にすべきだろう。 なぜ他国は鯨類の研究にカネを出さないのかといえば、鯨はもうからないからである。 研究とはその程度のものなのだ。 工学系では産学協同の研究が多くなされている時代に、「カネがもうかるから研究ではない」 という言い分は、あまりに古くさい。 むしろ、カネが儲かり、それで研究も促進され、なおかつ鯨肉が食べたい人の欲求も満たされるなら、何も文句を言う筋はないのである。 

2005年9月

・9月17日(土) 日本捕鯨協会発行の 「勇魚(いさな)通信」 第22号 が出た。 内容の一部を紹介しよう。

 (1) 6月に韓国で行われたIWC年次総会の様子が報告されている。 各議題ごとの細かい票決数はここでは省くが、反捕鯨側がいまだに多数ではあるものの、持続的利用派との票数の差が縮まってきている。

 (2) そのIWC総会開催中に、第6回持続的利用世界議員連盟 (SUPU、会長=レーバーグ米国下院議員) の臨時会合が開催された。 日本からは2人の参議院議員と農林水産省の政務官が参加。 その結果、商業モラトリアムの解除、科学的な資源管理の遵守、鯨資源を利用している人々の文化伝統の尊重、などを求める決議を採択した。

 (3) 和歌山県では捕鯨基地として栄えた太地町で学校給食に鯨料理が出されているが、和歌山県などの主催で5月26日に東京港区の虎ノ門パストラルにて 「クジラ肉を使ったスクールランチメニュー試食会」 が開催された。 なお、学校給食への鯨肉の導入は、釧路市でも検討されている。

 (4) 函館市のハンバーガー・チェーン 「ラッキー・ピエロ」 では、このほどミンク鯨の竜田揚げを使った 「くじらバーガー」 を発売した。 同店の市内11店舗のうち10店舗で発売しており、好評だという。

 (5) 7月にモロッコで開催された第6回大西洋岸アフリカ諸国漁業協力閣僚会議(COMHAFAT)に日本はオブザーバーとして参加した。 この会議の加盟22カ国中10カ国が鯨持続的利用支持国としてIWCに加盟しているが、この会議で日本は鯨資源の増加が魚類資源とも関連を持つことに関してプレゼンテーションを行い、鯨持続的利用の必要性をアピールした。

 (6) 山口県の日本海沿岸の鯨食文化を紹介した本が出た。 河野良輔 『長州・北浦捕鯨のあらまし』(長門大津くじら食文化を継承する会、1300円、問い合わせ TEL 0837-22-4369) 

2005年8月

・8月12日(金) 本日の毎日新聞に、マイケル・リチャードソン氏 (シンガポール・東南アジア研究所上級客員研究員) の寄稿 「水産資源枯渇への警告」 が掲載された。

 最近、東南アジアでは漁業資源をめぐる紛争が目立っているし、また持続可能な漁業の2倍に及ぶ漁船が活動しているという。

 漁業資源の枯渇は世界的な問題だが、特にアジアでは深刻である。 国連食糧農業機関 (FAO) の指摘によると、世界の水産資源に対する漁獲量は、3年前の47%から52%に増え、25%は乱獲だという。 主要な漁獲対象10種のうち、7種はすでに限界に達したか減り始めた。

 世界の総漁獲量は、10年後には25%増えると予想される。 FAOは枯渇する天然水産資源の再生が緊急の課題だとしている。 ところが漁獲量割当制は各国の支持がなく、強制も難しい。 思い切った対策をとらなければ、将来は深刻な魚不足になるとアジア開発銀行も警告している。

 以下、当サイト制作者の感想。 世界的な漁業資源の減少は、しばらく前から指摘されていることである。 総合的な水産資源評価と適正な漁獲量の確定は、近い将来避けて通れない問題となるだろう。 鯨の利用も、言うまでもなくその一つである。

2005年7月

・7月17日(日) 本日の毎日新聞の 「時代の風」 欄に、米本昌平氏の 「日本の調査捕鯨」 が掲載された。氏は先に韓国で開催されたIWC総会にNGO代表のオブザーバーとして参加し、日本の報道が政府代表のブリーフィングに色づけしたものがほとんどだということに違和感を覚えたのだという。

 もっとも、氏は一方的に反捕鯨的な立場をとっているわけではない。 ただ日本の政策にも問題が多いとして、疑問点をいくつか挙げているのである。

 しかし私の見るところ、内容的には首肯できないところも多い。

 例えば、調査捕鯨が主として調査捕鯨で得た鯨肉の販売で作った資金で行われていることに、形を変えた商業捕鯨との批判があるのもやむを得ない、とするのだが、そう言うならば、日本以外の国がなぜ鯨の調査をしていないのか、追及すべきではないか。

 日本は捕鯨によって鯨資源を利用したいと考えている。 そうであるからこそ、様々な調査を行っているのだ。 それに対して、先に捕鯨のモラトリアムが導入されたインド洋ではこの種の調査は行われていないし、南氷洋にしても日本以外の国は何もしていないのである。

 氏の言うように、資金獲得は自然科学と関係ないというのであれば、その見本をまず他国が示すよう要求すべきであろう。 なぜ他国は多額の資金を鯨の調査に出さないのか? 要するにそれで金銭的な利益が得られないからだ。 「自然科学」 は (反捕鯨国によっても) その程度にしか見られていないのである。 「自然科学」 の名においてどこも資金を出さない領域について、捕鯨で資金が稼げる日本が調査を行っている、という現実をきちんと見据えることが、科学評論家としての義務ではないか。

 また、査読付きの国際雑誌に捕鯨関係の論文が掲載された例が少ない点について、国際雑誌側が殺害方法などを理由に掲載を拒絶した件を、 「真偽は不明」 というのは、いささか無責任ではなかろうか。

 自然科学が科学として純粋にあるのではなく、世論の動向などに左右されやすいことは、米本氏はよくご存じのはずである。 無論、それはかつて南氷洋の鯨資源の見積もりを甘くするという形で行われたのであり、日本も十二分に反省する余地はあるが、70年代から欧米を中心に展開された 「鯨は特殊な動物」 キャンペーンは、どう見ても宗教的な原理主義に近いものであり、欧米の自然科学誌がそれに左右されなかったと主張するなら、その論証責任は米本氏側にあろう。 そもそも、権威ある科学雑誌が欧米発行のものに片寄っていること自体が、かつての 「帝国主義」 の産物なのである。

 もっとも、米本氏の文章にも教えられるところがある。 日本の鯨研は調査捕鯨で得たデータを、捕鯨に批判的なグループには開示していないという。 欧米の科学者がどの程度科学的であるかはさておき、やはり科学の場ではデータをきちんと提示して議論をすべきことは言うまでもない。

 その意味で米本氏の提唱する日本学術会議の関与も悪くない案だと思う。 なるべくオープンな場でこの問題は論じられるべきなのだ。

 ただし、それは日本側の鯨研寄りの学者だけでなく、反捕鯨国の学者についても、同様の問題があることを前提にしての話である。 当然ながら、反捕鯨国は自国の主張に都合の良い学者を選んで代表にしているのであって、「自然科学者」 として完全中立の立場からものを言う人々を送り込んでいるのではない。 米本氏がこういう側面に触れないのは、いささか不見識ではないか。

 そして、米本氏が代表になったNGOというものの成り立ちとイデオロギーについても、同じくオープンな場で議論がなされることを私は望む。 政府のブリーフィングがアテにならないように、NGOの主張や、それに加わっている人々も、決して無辜ではないからである (伊勢崎賢治 『NGOとはなにか』〔藤原書店〕 などを参照)。

・7月15日(金) 最近、「勇魚(いさな)通信第21号」 と 「勇魚(いさな)第31号」 (いずれも日本捕鯨協会発行) があいついで発行された。 内容の一部を簡単に紹介しておこう。

「勇魚通信」では、近刊として、細川隆雄 『食料・資源・環境問題を考える』(晃洋書房、¥4500+税) が紹介されている。 複雑に絡み合う食料・資源・環境問題を具体的事例から解明し、解決策を探っており、中に 「捕鯨問題と資源・環境問題」 と題された一章も収められている。

 「勇魚」 には、元イエメン大使の秋山進氏が 「アングロサクソン崇拝と捕鯨問題」 という一文を寄せている。 反捕鯨運動の担い手がアメリカ、英国、オーストラリアといったアングロサクソン各国であり、またそうした国が主導してIWCに多数の反捕鯨国を加入させるという政治的な手口をとったことを、簡潔な筆で説明している。 IWC加盟国の推移という図表も付いていて、79年から加盟国が急増したこと、しかし2002年から捕鯨賛成国が増加し、反捕鯨国と拮抗しかけていることが、一目瞭然に分かるようになっている。

2005年6月

・6月25日(土) 韓国で開催されていたIWCの総会が24日に五日間の日程を終えて閉幕した。 捕鯨をめぐる根本的な事情には変化がなく、オーストラリア提案の日本の調査捕鯨拡大反対の決議は採択されたが拘束力はなく、一方日本が要求した日本沿岸での商業捕鯨再開も否決された。

 また、採決の無記名投票化は否決されたものの、可決ラインの過半数まであと3票となり、もし無記名投票化が実現すれば過激な自然保護団体の圧力を恐れている国が日本賛成に回る可能性も大きいものと見られている。 (以上、毎日新聞と産経新聞の報道による。)

・6月23日(木) 本日付け、及び20日付けの産経新聞の報道で、中国が捕鯨問題をめぐってきわめてご都合主義的な姿勢を見せていることが明らかにされている。

 20日付けの産経新聞は、この日から韓国で開催されるIWC(国際捕鯨委員会)年次総会を前に、中国メディアがあいついで日本の捕鯨を強く批判していることを伝えている。

 中国はこれまで捕鯨に関しては日本の提案にほぼ賛成してきた。 ところが最近の反日政策の延長ということか、英字紙 「チャイナ・デーリー」、国営新華社通信(電子版)、中国共産党の青年組織である共産主義青年団の機関紙 「中国青年報」 が日本の捕鯨を一斉に非難。 ネットでも「日本の狂った捕鯨」といった書き込みが目立ったという。 また、中国外務省の劉建超報道官は、16日の定例記者会見で、捕鯨に関しては 「積極的な保護と合理的な利用」 が原則と述べるにとどまった。

 しかし23日付けの産経新聞によれば、オーストラリアからの提案で22日に採決が行われた 「日本の調査捕鯨拡大反対」 に関する決議では、中国はオーストラリア提案への反対票を (つまり日本に同調する票を) 投じた。

 産経新聞の分析に依れば、中国は漁獲量世界一の漁業国であり、また陸上野生動物の消費大国でもあるので、そうした現実をふまえて 「野生資源の持続的利用派」 の立場をとったものという。 中国は捕鯨国ではないが、2000年のIWC総会ころから明確に日本支持の立場に立った。 その背景には、鯨の魚捕食は漁業にも影響を与えるという日本の主張に、世界最大の魚消費国として同調しないわけにはいかなくなったかららしい。

・6月7日(火) 産経新聞は、本日および4日の記事で、韓国で開催中の国際捕鯨委員会(IWC)年次会合で、途上国を中心に商業捕鯨への賛成国が増える見通しであることを、農水相や同省事務次官が明らかにしたことを報じた。 商業捕鯨再開にはIWC加盟国の4分の3以上の賛成が必要なので、まだ再開への見通しがたったわけではないが、最近のこの問題の国際的な世論をうかがわせるものだとは言えよう。

・6月6日(月) 本日の毎日新聞にクジラ関係の記事が2つ載った。 いずれもオーストラリアのクジラ観にかかわるもので、一つはタスマニア州で座礁鯨を救うための活動が行われている様子を紹介している。

 もう一つは、調査捕鯨に反対する運動をしている人物への取材記事である。 この人はヒューメイン・ソサエティー・インターナショナル (HSI) という団体に属する女性である。 この団体は日本の調査捕鯨中止を求める裁判を起こしている(*)。

 (*) オーストラリアは自国の排他的経済水域内での鯨類の殺傷と捕獲を禁止しているが、同時に南極大陸の一部の領有権を主張しており、HSIはそれに基づいて裁判を起こした。 裁判の一審では、オーストラリア連邦政府は、「外交問題なので国内法では日本の調査捕鯨を禁止できない」 と主張、裁判所もそれを認めた。 ただしHSIは上訴する方針。

 この女性の主張は、鯨肉の需要はそれほどない、鯨の調査は調査捕鯨がなくともできる、捕鯨は残酷だ、ホエールウオッチングに打撃を与える、などである。

 以下、当サイト制作者のコメント。 いずれも目新しい主張ではないが、最後の点に付いて言えば、鯨資源を減少させるような調査捕鯨が行われるはずもなく、ホエールウォッチングに打撃を与えるという言い分はナンセンスと言うしかない。 しかし、いずれにせよ、反捕鯨論者の主張を知っておくのは悪いことではないだろう。

・6月2日(木) 本日の毎日新聞 「暮らしWORLD」 欄に、「食いしん坊記者 鯨の話を聞きに行く」 が5段記事として載った。 「クジラ食文化を守る会」 が東京都港区の虎ノ門パストラルで開いた催し物の訪問記である。

 この会の発起人には作家の阿刀田高氏、マンガ原作者の雁屋哲氏、落語家の林家木久藏氏らが名を連ねているが、この日の集いでは、作家の椎名誠氏、元水産庁の小松正之氏らのレクチャーがあったあと、クジラ料理の試食会が行われた。 クジラの料理法などにも言及がなされている。 記事は最後に、食糧自給率の低い日本の現状を指摘している。

2005年4月

・4月30日(土) 本日の産経新聞が、日本の調査捕鯨の拡大計画を報じている。 従来、南極海では資源量が豊富なミンク鯨のみを調査捕鯨の対象としていたが、ミンク鯨の捕獲量を増やすほか、今年末からはナガス鯨とザトウ鯨をも対象とする。 ミンク鯨は体長が8メートル、体重は5〜8トン程度の小型鯨だが、ナガス鯨は体長20メートル以上、体重も45ないし75トンの大型鯨、ザトウ鯨は体長14メートル、体重30トン前後である。 この二種類は目視調査で資源量が回復していることが確認されており、生態に悪影響を及ぼすことはないとしている。

 鯨は年率で4〜7%の増殖を示しており、商業捕鯨がうち切られた1986年以降20年たつ現在では、資源量は2倍以上に増えていると考えられるという。 なお、調査捕鯨はIWCの規約によって正統な権利と認められている。

 なお、このニュースは4月13日付けの新潟日報紙でも報じられている。 それによると、ナガス鯨とザトウ鯨の予定捕獲はいずれも10頭程度という。

・4月4日(月) 本日の産経新聞に、IWC(国際捕鯨委員会)を教材に利用したという記事が載った。

 福岡県の県立高校教諭・占部賢志氏が、小論文指導に用いたという。 平成14年度に、中国・瀋陽の日本領事館に北朝鮮難民が亡命を図り、外務省の嘆かわしい対応が白日の下にさらされた。 そうした中で、直後の下関で開かれたIWCの第54回年次総会における激しいやりとりのなかで、日本音小松正之審議官が日本側の発言を封じ込めようとした議長を押さえて会議の主導権を握る場面が、生徒たちに国際社会の厳しさと外交の重要性を理解させるにふさわしい教材として用いられたという。

 以下、当サイト制作者のコメント。 国際社会は風雨が強く、善人ばかりでもない。 そうしたなか、筋の通った態度で望めるような人材を育てることが、教育の責務だろう。 捕鯨問題がそうした役割を果たすとすれば、意外な効用ということになりそうだ。

・4月3日(日) 直接捕鯨問題に関わることではないが、海産資源に関する記事が本日の産経新聞に載ったので、紹介したい。

 日本のたこ焼きが原料不足に陥っているというニュースである。 たこ焼きにはこのところモロッコ産のたこが主に使われていた。 モロッコ産のたこは、身が柔らかく、水分が少なく、表面のぷりぷり感もあるので、たこ焼きに最適なのだそうだ。

 ところが、モロッコ産のたこの輸入量は平成12年の7・3万トンをピークに減り続け、平成16年は0・5万トンと、ピークの1割以下に激減した。 乱獲で資源量が減ったためである。

 本来は大阪の食文化であったたこ焼きが、全国展開されて、消費量が増えたから、という理由もあるようだ。

 以下、当サイト制作者の感想だが、鯨に限らず、海産資源は国際的な管理が必要になりつつある、ということではないだろうか。 日本は海産物の輸入国であるから、外国のことと言って無関心でいていいはずはなかろう。  

2005年3月

・3月12日(土) 日本捕鯨協会発行 「勇魚(いさな)通信」 第20号 が発行された。 主な記事は次のとおり。

 1) 昨年12月2日に、日本鯨類研究所により、南氷洋捕鯨100周年を記念して国際シンポジウムが開催された (東京港区、虎ノ門パストラル)。 ノルウェー、ドイツなどの学者による発表が行われた。

 2) 12月21日に鯨研が量販店を対象に、「鯨肉製品に関する説明会」を東京で開催した。 最近、反捕鯨団体が、外国資本を通じて鯨肉を販売する量販店に圧力をかけたり、鯨肉は水銀で汚染されているなどのデマを流したりしているので、捕鯨問題についての正しい知識を提供する目的で行われたもの。

 3) 国際水産団体連合(ICFA)の年次会合が11月にハワイのホノルルで開催され、鯨類の持続的利用の立場継続など7項目の決議を採択した。 会合には日米ほか、カナダ、ニュージーランド、アイスランドの5カ国の漁業団体が参加した。

 4) 高山武弘『鯨と共に50年』(〔株〕内外ニュース)¥630 が刊行された。 この書籍に対しては、水産ジャーナリストの会の年度賞が贈られている。

 なお、ほぼ同時期に日本鯨類研究所発行の 『捕鯨をとりまくこの1年 2004年(後期)』 も発刊された。 各種新聞等に掲載された鯨・捕鯨関係時期を集成した資料である。 とても全部は紹介しきれないが、一部目立つ記事を紹介しておくと――

 ・昨年11月26日に横浜市で開かれた第5回「鯨と食文化を語る市民の夕べ」に横浜市長の中田宏氏も出席し、反捕鯨派を厳しく批判した。

 ・日本の調査捕鯨は、2002年から鮎川(宮城県)と釧路を基地として、ミンク鯨とイワシ鯨をそれぞれ50頭捕獲してきたが、2004年からミンクを120頭に、イワシを100頭に増やした。 その結果、沿岸小型捕鯨は、商業捕鯨の禁止以来、IWCの管轄していないゴンドウ鯨とツチ鯨を捕って細々と赤字経営を続けてきたが、調査捕鯨の拡大で船と従業員の稼働時間が増え、赤字を消せる見通しがたったという。

 ・南極海のオキアミの資源量が1970年代から大幅に減少し、これが鯨資源にも影響するという論文が昨年11月4日付けの英国科学誌『ネイチャー』に発表されたが、これについて日本鯨類研究所の畑中寛理事長が、この論文のもととなった調査が南極海の一部についてのみ行われており、日本の調査捕鯨でもオキアミの分布密度調査が行われているが、特に大きな変動は認められないことから、妥当な説ではないとして反論を行った。(この件については、上記の 「勇魚通信」 にも掲載。)

 ・2005年のIWC年次会議は、5・6月に韓国の蔚山広域市で開催されるが、同市の市会議員と、日本の捕鯨問題関連自民党国会議員とが2004年10月20日に懇談を行い、韓国の伝統的な小型鯨類捕鯨の解禁をも視野に入れつつ相互の協力を確認した。

2005年1月

・1月31日(月) 最近の毎日新聞に鯨関係の記事が2つ載ったので紹介しておこう。

 1つは、1月24日付けの「余録」に載ったもの。 和歌山県の学校給食に20年ぶりにゲイ肉が復活したという。 鯨漁で栄えた紀州の文化伝統を継承しようというもの。 もっとも提供される鯨は南極海の調査捕鯨で捕獲されたミンク鯨だけれども。 月2回程度メニューに入るという。

 もう1つは、本日の 「美味巡礼の旅」 (小泉武夫) に載った記事だ。 下関市の料理を紹介しているのだが、下関というとフグ料理がまず思い浮かぶが、ここは近代捕鯨発祥の地でもあったので、鯨料理の専門店や鯨を出す店があるという。 尾の身の刺身、竜田揚げ、ベーコンをはじめとして、クジラ飯、クジラ入りのなます、クジラ南蛮、湯引きクジラ、クジラ白身のおから漬け、といった珍品もあるという。 下関観光協会や 「下関くじら館」 に問い合わせると情報を得やすいそうなので、下関に立ち寄る人はご検討を。 

・1月13日(木) 産経新聞1月13日付の報道によれば、世界の漁獲量はこの半世紀で5倍に増え、世界規模で深刻な乱獲が進んでいることが国連食糧農業機関 (FAO) の統計で分かった。 研究者の調査では、世界の魚種の約3割が過剰に取られており、国際規則を守らない操業も行われており、生態系全体に着目した漁業資源管理が課題になっている。

 FAOの統計によれば、世界の漁獲量は1950年の約2千万トンに対し、2000年には約9480万トンとなっており、過去最高。国別では中国が1700万トンと突出、2位ペルーが1070万トン、3位日本が500万トンとなっている。

 以下、当サイト制作者のコメント。 以前からここで主張しているが、世界的に見て漁業資源は過剰に捕られており、資源の管理が焦眉の問題になっている。 捕鯨問題もその一つだが、特定の生物だけ捕獲するなという欧米の主張がどれほど無意味かが、ここからも分かるだろう。

・1月7日(金) 日本捕鯨協会から、定期刊行物が2点発行された。

 まず、『勇魚(いさな)』 第30号である。 三人の方の文章が掲載されている。 特に目を惹くのは、文化人類学者ジャニス・ヘンケさんの一文だ。 鯨を初めとする野生動物を食用その他に利用することについて、まだまだ世界中の多くの国の人間は認識していないし、またいかなる形においても野生動物を管理したり野生動物製品を取り引きしたりすることに反対するグループの活動が冷静な議論のさまたげになっていることを、はっきりと書いている。 これは日本の捕鯨だけに関わる問題ではなく、アフリカなどの、他の野生動物を利用したり管理したりしたい国々にとっても同じことなのだ。 その意味で捕鯨問題はすぐれて国際的な問題と言えるのである。

 もう一点は、『勇魚通信 第19号』 である。 主な記事を紹介しておくと、

 (1) 2004年10月にタイ・バンコクで開かれたワシントン条約(CITES) 第13回締結国会議がひらかれた。 捕鯨問題関係では、IWC(国際捕鯨委員会)で改訂管理制度(RMS)の完成が遅れており本来の機能を果たし得ないでいることに関してCITESから働きかけよという日本の提案があったが、賛成57、反対63、棄権13で否決された。  次に、ミンク鯨について取引全面禁止の付属書Tから条件付き取引可能な付属書Uへの降格(ダウンステアリング)についての日本の提案は、賛成55、反対67、棄権14で否決された。 いずれも否決はされたが、過去最多の支持票を獲得した。

 (2)座礁鯨の捕獲解禁: 農林水産省は、座礁したヒゲ鯨などの捕獲を条件付きで認めるとの省令改正を行った。 漂着地の自治体が管理し、地元漁協などと協議の上で利用を決定する。 漂着した鯨は救助が前提だが、@すでに死亡しているもの A人に危害を加える恐れのあるもの B外傷などにより回復の見込みがないもの C漂着後48時間を経過しても移動していないもの――に限り利用が認められる。 ただし、座礁状況とDNA分析結果の報告が義務づけられる。

 (3)林家木久蔵 『バカの中身』(うなぎ書房、1600円+税) が刊行された。 落語家としての笑いの分析などとともに、クジラ食文化を守る会副会長としての主張をも展開している。

2004年12月

・12月20日(月) 本日の産経新聞に、南氷洋のロス海周辺海域で調査捕鯨が行われるとの記事が掲載された。 今月6日に東京・晴海を出帆した水産庁の漁業調査船・開洋丸が、11月に出航した調査捕鯨船・日新丸などと合流して6隻体制で、鯨とそのエサの分布にまで踏み込んだ総合的な鯨生態系調査を行う。

 南氷洋に1900年頃に多数棲息していたシロナガス鯨は乱獲のために数が激減し、1964年に捕獲禁止となった。 しかし40年間も捕獲禁止となっているのに数が一向に増えず、現在、1200ないし2000頭程度とみられている。 逆に体型の小さいミンク鯨は、捕鯨の最盛期に見向きもされなかったために、100年前は8万頭程度だったのが、現在は70万頭あまりいると推測されている。

 シロナガスとミンクの関係については、日本では以前から、ミンクの数が増え成長も早まっているのは、数が減ったシロナガスの分もエサを食べているからであり、むしろミンクを或る程度間引いた方がシロナガスのためにはよい、という主張をしている。 それが裏付けられるかどうか、今回の調査はその点で大きな意味を持ちそうである。

2004年10月

・10月4日(月) 日本捕鯨協会から、「勇魚(いさな)通信」 第18号が発行された。 内容を一部紹介しよう。

 ・7月にイタリアのソレントで第56回IWC年次会議が開催された(既報)が、本会議の前日、「持続的利用世界議員連盟(SUPU)」 の会合が開催された。 この会合には、日本やノルウェーやロシアを含む16カ国の代表が参加し、鯨資源の持続的利用の推進、IWCでのRMS(改訂管理制度)の完成、早期の捕鯨再開をもとめていくことなどが決議された。

 ・アイスランドは調査捕鯨を再開したが、エバンス米国務長官は6月22日、これが 「IWCの鯨資源保護措置の効果を減殺する」 と査定した旨、ブッシュ大統領に通報したと発表した。 大統領はこれに基づき、2国間で通商制裁によらない処置で調査捕鯨中止を求めると米議会に通告した。 ただしアイスランドが今年6月に、今年の調査捕鯨はミンク鯨25頭に限定すると発表したことを、エバンス長官は評価するとも述べており、曖昧な部分を残している。

 ・鯨に関する本が2点新刊で出た。

  小松正之 『江戸東京湾くじら散歩』(ごま書房) ¥1200+税  東京湾と鯨の関係がわかるガイドブック。

  菊池慶一 『街にクジラがいた風景』(寿郎社) ¥2200+税  網走での捕鯨と鯨解体作業を回想する内容。

2004年9月

・9月26日(土) 本日の毎日新聞に、直接捕鯨問題を扱ったものではないが、関連がある文章が掲載されたので、紹介しておこう。 福岡賢正記者の 「ゆがんだ動物愛護」 という一文である (コラム 「発信箱」 に掲載)。 以下は当サイト制作者による要約である。

 動物愛護週間が今日で終わるが、動物と触れあうニュースを聞くたびに胸をよぎる言葉がある。 「私の仕事は必要悪」 という言葉だ。 或る動物愛護センターの職員の言葉で、飼い主が持ち込む不要なペットや、捨てられた動物を処分する仕事をしているのだ。 職員の中には、自分の仕事の中身を家族に話していない人もいるという。

 なぜこういう仕事が 「必要悪」 と言われてしまうのか。 それは目的を問わず動物の命を絶つことを 「残酷」 と決めつける世間の姿勢である。

 人の迷惑を顧みず飼育動物を野に放つ行為こそ 「悪」 なのに、世間はそれに寛大である。

 そのため、アイガモ農法に取り組んだ農家が、成長したアイガモを肉にしてやることができず、川や池に放つ現象まで日本では見られるのである。 こうしたアイガモ (家禽であって野生生物ではない) は自然の生態系を乱し、鳴き声は騒音の元にもなるのだ。

 古来、人は動物を管理して利用してきた。 今は分業によって、自分が動物の命を直接絶たなくても生きていけるようになっただけだ。 そのことに目をつぶり、動物を可愛がることだけを求める風潮には、いびつさが感じられる。

2004年7月

7月23日(金) 以下、毎日新聞インターネットニュースより。

 【副議長選、日本代表は落選 1票差で南アフリカ代表に】

 【ソレント(イタリア)共同】国際捕鯨委員会(IWC)年次総会は最終日の22日、来年以降の副議長を決める選挙を行い、森本稔・日本政府代表が1票差で落選した。反捕鯨国である南アフリカのクラインシュミット政府代表と森本氏が立候補、26対25でクラインシュミット氏が選ばれた。 南半球、アフリカからの副議長選出は初めて。無記名投票になったため、捕鯨賛成派と反対派のきわどいせめぎ合いが浮き彫りになった。 これまで空席だった副議長は今総会に限って森本氏が務めていた。
   
http://search.mainichi-msn.co.jp/cgi-bin/client.cgi 

7月22日(木) 以下、毎日新聞インターネットニュースより。

        【鯨の禁漁区「継続」 日本提案は否決】

 【ソレント(イタリア)共同】ソレントで開催中の国際捕鯨委員会(IWC)年次総会は21日、今年で10年の満期を迎える南極海の鯨の禁漁区(サンクチュアリ)を撤廃するかどうか採決し、大差で禁漁区の「継続」が決まった。日本政府は同日(1)南極海の禁漁区撤廃(2)同海で5年間、ミンククジラを毎年2914頭捕獲する商業捕鯨再開−−を提案したが、採決で否決された。 南極海での禁漁区撤廃に関する採決結果は撤廃賛成が日本など19、反対30、棄権2、欠席2。

http://search.mainichi-msn.co.jp/cgi-bin/client.cgi 
   
7月20日(火) 以下、毎日新聞インターネットニュースより。

 【日本、調査捕獲枠120頭増加を通知−−IWC総会】

 政府は19日、イタリア・ソレントで同日開幕した国際捕鯨委員会(IWC)の第56回総会で、日本が北西太平洋で実施している調査捕鯨について、現在の捕獲枠260頭を、今年度から380頭に増やすと通知した。 日本の現在の北西太平洋の年間調査捕鯨枠は、沖合・沿岸捕鯨合わせてミンク150頭▽ニタリ・イワシ各50頭▽マッコウ10頭−−の計260頭。計画では、このうち沿岸ミンクを50頭から120頭、沖合イワシを50頭から100頭に増やす。
   
http://search.mainichi-msn.co.jp/cgi-bin/client.cgi 

7月15日(木) 以下、毎日新聞インターネットニュースより。

 【保護委欠席、政府が決定】

 政府は14日、国際捕鯨委員会(IWC)の小委員会「保護委員会」(14〜15日、イタリア・ソレント)に欠席することを決めた。「『クジラ資源の持続的利用』の視点が欠けており、意義はない」(政府筋)と判断した。 保護委はクジラ保護策を国際的に強化することを目的に、昨年のIWC総会で、米英など反捕鯨国の賛成多数で今年からの開催が決定。反発した日本は一時、IWC脱退を検討した経緯がある。
   
http://search.mainichi-msn.co.jp/cgi-bin/client.cgi

7月4日(日) 第15回日本海セトロジー研究会 (金沢市: 石川県立生涯学習センター) にて、当サイト制作者が 「イルカ・イデオロギーについて考える――藤原英司氏の場合――」 と題して研究発表を行いました。

2004年6月

6月26日(土) お知らせ。 7月3日(土)・4日(日)の両日、金沢市の石川県立生涯学習センター(金沢市広坂2丁目 石川県広坂庁舎1号館)にて、日本海セトロジー研究会第15回大会が開催されます。 当サイト制作者も発表をする予定です。 プログラムは下記をご参照下さい。

 http://www.kanazawa-med.ac.jp/~hum-sci/ceto15-pro.pdf 

6月25日(金) 「鯨と食文化を語る 市民の夕べ」 が、7月3日(土)に東京の昭和女子大学・人見記念講堂 (東急田園都市線、三軒茶屋駅下車、徒歩5分) で開催されます。 鯨料理も無料で提供されます。 入場無料ですが、事前に申込みが必要です。詳しくは下記を。

 http://www.whaling.jp/info.html 

6月24日(木) 日本捕鯨協会発行の 「勇魚通信」 第17号が出た。 主たる内容を紹介しておくと、

 (1)4月24、25日に函館で、調査捕鯨船の寄港に合わせ 「くじらフェスティヴァル」 が開催され、2万2千人が来場した。

 (2)浅草に鯨専門店 「勇新」 が開店 (本コーナーの3月19日の項を参照)。

 (3)西友が鯨肉販売を行っていることについて、環境団体 「環境調査エージェンシー」(EIA) が、西友を傘下に持つ米国最大の小売業者ウォルマートに対して販売中止の圧力をかけてきたが (本コーナーの2月29日の項を参照)、西友側は、鯨肉を食べることは日本古来の文化であり、また水銀濃度もチェックしているので、EIA側に正当性があるとは思われないと反論をした。

 (4)かつて捕鯨船に気象予報士として乗船した人による本が出版された。 幣洋明 『南氷洋に鯨の潮を追う』(裸木同人会、1800円+税)

2004年5月

5月21日(土) 以下の情報が入りました。

第3回日本伝統捕鯨地域サミットが開催される。

開催日:平成16年5月30日(日)
会 場:室戸市保健福祉センター「やすらぎ」
        〒781-7109 高知県室戸市領家87番地
        TEL 0887-22-3100
主 催:第3回日本伝統捕鯨地域(室戸)サミット実行委員会,財団法人 日本鯨類研究所
後 援:水産庁,高知県
協 賛:日本小型捕鯨協会,日本捕鯨協会

詳しくは、下記サイトを参照。
http://www.e-kujira.or.jp/tws/ 

5月16日(日) 本日付けの産経新聞に、「人間navi クジラ人工繁殖に挑戦 帯広畜産大学 福井豊教授」 という記事が掲載された。

 捕鯨への風当たりが相変わらず強い中、牛や馬のように鯨を人工繁殖させればいいというアイデアで研究に励んでいる方である。

 まだ実用段階ではないが、雌鯨から捕りだした卵子に、凍結保存しておいた精子を受精させることに成功。 現在のところ32細胞までの分裂が実現している。 子宮に着床し胎児に成長するには、64細胞以上の、胚盤胞という状態以上にならないといけないが、牛や羊ではすでに確立した技術であり、あと3年を目途に実現させたいとしている。

 他方、米英豪では、鯨に関する日本の研究自体をタブー視する動きが3年前くらいから出ているという。 鯨研究の論文を、掲載はおろか、審査すらしてくれない科学雑誌があるという。

 鯨に関して欧米人が強い偏見を持っていること、いわゆる科学者も例外ではないことがここから分かるだろう。

2004年3月

3月19日(金) 産経新聞ウェブニュースが以下のニュースを伝えた。

 【 調査捕鯨の専門肉店が東京・浅草に 日本鯨類研究所が直営 】

 調査捕鯨で捕れた鯨肉加工品を専門に扱う日本鯨類研究所直営のアンテナショップ 「勇新」 が19日、東京都台東区浅草にオープンした。 鯨肉のPRとともに、捕鯨への理解を高めるのが狙いで、昨年10月の大阪に続き2店目。

 2階建てで売り場面積は約80平方メートル。南極海と日本近海の北西太平洋で捕れたミンククジラなどのベーコン、刺し身、、内臓類などを販売する。

 価格は150グラムの刺し身用赤肉で840円など。併設の飲食コーナー(約20席)ではコース料理も食べられる。

 店の指導的立場の貫井敏夫・共同船舶流通対策部次長は 「鯨肉製品が一般消費者の目に触れる固定的な拠点にしたい」 と話している。 年中無休で販売コーナーの営業時間は午前10時から午後7時まで。   (03/19 11:24)

http://www.sankei.co.jp/news/040319/sha050.htm

3月16日(火) 日本捕鯨協会発行の 「勇魚(いさな)通信」 第16号が発行された。 内容を一部紹介しておこう。

 (1) 自民党のIWC(国際捕鯨委員会対応検討プロジェクトチーム」(座長: 林芳正・参院議員)が今後の捕鯨問題に関する戦略プラン構想とも言える中間報告をまとめた。 外交的働きかけの強化、法的問題の整理、IWC脱退オプセッションの検討、分担金支払い停止の検討、新捕鯨機関設立の可能性、など、様々な構想が含まれている。

 (2) 国際水産団体連合(ICFA)の年次会合が11月にニュージーランドで開かれ、商業捕鯨モラトリアムの速やかな終了、反商業漁業対策など、7項目の決議を採択した。 この連合は、10カ国1組織によって構成されており、今回の会議には8カ国 (日本、米国、カナダ、ロシア、オーストラリア、ニュージーランド、タイ、フィリピン) が参加した。 今回のこの採択には、通常反捕鯨国とされているニュージーランドとオーストラリアの団体も賛成している。 7年前のNZでの会議の際は、この二カ国は環境保護団体の圧力を恐れて明確な発言をしなかったが、今回ははっきりと賛意を示しており、隔世の感があると佐野宏哉・大日本水産会相談役は語っているという。

 (3)丹野大『反捕鯨? 日本人に鯨を捕るなという人々(アメリカ人)』(文眞堂、1900円)が発売された。 アメリカ人の日本人への人種差別意識、文化帝国主義などが分析されているという。 当サイト制作者もさっそく注文しようと思う。

2004年2月

2月29日(日) 本日の毎日新聞の報道によれば、アメリカ環境保護団体の環境調査エージェンシー(EIA) は、日本の大手スーパー西友が鯨肉を販売しているとの調査報告書をまとめ、同社を傘下に持つ米ウォルマート・ストアーズに対し販売中止を求める運動を始めた。

 以下、当サイト制作者のコメント。 グローバリズムに伴う文化帝国主義的現象の典型と評すべき事件である。 しかも、アメリカ内のイヌイットにはこの種の圧力をかけていないのだから、ダブルスタンダードの典型でもある。 捕鯨問題には文化帝国主義とダブルスタンダードが付き物だが、今回もまたそれが繰り返されたわけである。

2004年1月

1月10日(土) 今月7日付の産経新聞に 「大型魚の水銀濃度は?」 という記事が掲載された。 農林水産省が、魚介類に含まれる水銀濃度からして、どの程度の頻度で海産物を食べれば問題がないかの目安を提示したというのである。

 それによれば、食物連鎖の上位に位置する大型魚や鯨は水銀が多く蓄積されがちなので、食用にする頻度は低い方がよい。 特に胎児には影響が大きいので、妊婦は注意が必要である。

 妊婦が食用にする場合 (したがって、それ以外の人は、頻度がより高くても大丈夫ということ) の基準で、バンドウイルカは2カ月に1度、ツチ鯨・コビレゴンドウ・マッコウクジラ・サメ(筋肉)は週に1度、メカジキとキンメダイは週に2度が目安だという。

 さらに本日、10日付の産経新聞に、アメリカやヨーロッパの養殖鮭は毒性が高い、という記事が載った。

 ノルウェーとチリを主たる産地とし、日本にも輸入されている養殖鮭は、天然物よりポリ塩化ビフェニールやダイオキシン、トクサゲンなどの化学物質が多く蓄積され、アメリカ環境保護局の基準では月に2回以上は食べない方がいいという。 養殖時の飼料が化学物質蓄積の原因らしいという。

 以下、当サイト制作者のコメント。 食物連鎖の上位に位置する鯨類は水銀濃度が高いから食物に適さないのでは、という声は、特に反捕鯨論者から多く出されている。 この意見はそれなりに筋が通ったところがあり、少なくとも日本近海のイルカやマッコウなど水銀蓄積が大きい歯鯨類は常食は避けた方が無難であるのは確かである。

 しかし、この意見が、魚介類の中で鯨だけを食用からはずさせようという意図で発せられるなら、それは誤りである。 上の記事にあるように、鯨以外の魚介類でも水銀や化学物質による汚染が問題になっているからだ。 

 したがって我々がとるべき正しい態度とは何か? とりあえずは上記のような基準を守って、水銀や化学物質の体内摂取を押さえると共に、工業排水などによる海水汚染や人工養殖ものの飼料による汚染に対してさらに厳しい基準を設け、それを遵守させることで、海が我々に恵んでくれる産物を安心して食べられるような環境づくりを進めることである。

2003年12月

12月26日(金) 日本捕鯨協会から 「勇魚(いさな)通信」 第15号が発行された。 その中から若干の記事を紹介しておこう。

 (1)早稲田大学、北海道大学、東京農業大学の文化祭で、鯨の利用をめぐる講演会が開かれたり、鯨料理が披露されるなど、大学生が捕鯨問題を取り上げるケースが増えている。 今の大学生世代は、捕鯨が盛んだった頃を知らないわけだが、そうした世代にこの問題を知ってもらうための、優れた企画と言えよう。

 (2) アイスランドが14年ぶりに調査捕鯨を実施、36頭のミンク鯨を捕獲した。 特に目立った妨害行動はなかったようだが、当初の予定では100頭を捕獲する計画だったというから、やはり反捕鯨国からの圧力を気にしていることは否めない。

 (3)ノルウェーは2004年度の商業捕鯨枠をミンク鯨670頭と設定した。

 (4)鯨の進化系統が、東京工大・統計数理研究所・日本鯨類研究所の共同研究により明らかにされつつある。 鯨の祖先はカバで、約5800万年前にカバ類から歯のあるムカシ鯨類が分かれ、さらにそれが約3500万年前に歯鯨類 (マッコウ鯨、イルカなど) とヒゲ鯨類 (ナガス鯨、ミンク鯨など) に分かれたという。

12月9日(火) 昨日の毎日新聞が、「米脅かす環境テロ」 という7段組の記事を掲載している。 「地球解放戦線」 と名のる環境団体が、米国西海岸を中心に、スポーツタイプ多目的車の販売会社に放火するなどの破壊活動をくりひろげているという。 こうした自動車は環境を損なう、という名目でのことだ。 被害は1億ドルにも上っているという。

 この記事では、環境テロは90年代後半になってから盛んになってきたものであり、寄稿している南カリフォルニア大教授は9・11テロから環境テロという呼び方が一般的になったとしているが、捕鯨問題を知る日本人からすると認識がかなり甘いという気がする。 捕鯨船に体当たりするなどの無法な行為を繰り返すグリーンピースはまさに環境テロ団体なのであり、捕鯨への偏見によってこれらのテロ行為を事実上黙認してきたアメリカは、そのツケを自ら支払うことになるだろうと考えざるを得ないのである。

12月6日(土) Yahooが毎日新聞香川県版の記事として、以下のニュースを報じていた。 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20031205-00000001-mai-l37 

津田湾のイルカ飼育中止を正式表明 財政面など理由 赤沢申也・さぬき市長 /香川

 さぬき市が自閉症児らに対するセラピーなどのため、同市の津田湾で試験飼育中のイルカを活用した本格的な事業導入を検討していた問題で、赤沢申也市長は4日、「財政的な面などを総合的に判断すると、市としてのイルカ飼育は、本年度限りとしたい」と飼育中止を初めて正式表明した。試験飼育が始まって以降、飼育スタッフや、セラピーが生活の支えとなった子どもを持つ保護者らは本格実施を待ち望んでいただけに、今回の判断に関係者は落胆の色を隠せない様子だった。 【近藤大介】

 12月定例議会の代表質問で、平政会の松岡善一議員の質問に答えた。イルカの試験飼育は、合併前の旧津田町が計画し、同市が昨年4月から引き継いだ。同市は民間会社と委託契約して年間約2500万円の委託料を払い、1年目はイルカの生息環境として適切か、2年目は事業化に伴う収益性や運営面におけるデータなどの調査をしてきた。
 試験飼育の中では、民間会社や今年8月に専門家らによって設立されたNPO法人が中心となって自閉症児らに対するイルカセラピーの可能性や給餌体験、触れ合い体験など観光面における事業化の可能性が探られてきた。
 同市などによると、01年12月から今年10月までにイルカの試験飼育場に訪れた人(見学者も含む)は、約15万4000人。今年4月から同10月にかけての来訪者は4万6688人で、前年同期(7万5748人)に比べ約6割だったが、今春の長雨や台風の影響などマイナス要因を抱えながら約360万円の黒字だった。
 赤沢市長は議会後の記者会見で、イルカ飼育中止の理由について、(民間会社の収支報告では)本格事業を始めた場合、運営は難しいほか全天候型の飼育施設の建設なども必要でランニングコストも考えると財政的に厳しい▽世界19カ国の動物愛護団体などから800件を超える抗議や、越冬のことを考えると、無理をして瀬戸内海に生息していない野生動物を飼育する必要はない――などを理由として上げた。
 イルカの飼育委託を受けていた民間会社「アスクジャパン」(大阪府堺市)の浅木裕志社長は「採算性以上に社会貢献的な意義があるのにもったいない。今後はやれる範囲で、事業化を模索したい」と話していた。存続を求め自閉症児の親ら県内外から約2万2000人の署名を集めた「さぬきドルフィン友の会」のメンバー、堀尾全一さん(52)は、飼育中止の知らせを聞き「最初から中止の理由を探していたとしか思えない。理由になっていない。本当に残念だ」と怒りをあらわにした。
 同社主導による来年度以降の飼育は未定だが、同市は協議を行った上で施設の無償貸与も含めた対応を検討するという。(毎日新聞)
[12月5日20時41分更新]

 *   *   *

 以下、当サイト制作者のコメント。 イルカ・セラピーには、捕鯨に反対する陣営が 「人とイルカとの共生」 というイデオロギーと絡めて推進しようとする側面があるのだが、この記事から、鯨イルカ真理教信者からすると、人間のセラピーにイルカを使うこと自体がイルカの神聖さを汚すものだと受け取られていることがわかる。 鯨イルカ真理教徒も多様なのだ。

2003年11月

11月19日(水)  昨日の産経新聞インターネットニュースが下記の記事を掲載した。

http://www.sankei.co.jp/news/031119/1119sha004.htm 

捕鯨用の仕切り網切る 環境保護団体の外国人2人逮捕

 和歌山県警新宮署は18日、捕鯨用の仕切り網を切断したとして威力業務妨害の疑いで、米国の環境保護団
体シー・シェパード役員で米国籍のアリソン・ヘレン・ランス・ワトソン(45)とオランダ国籍の写真家アレクサンダ
ー・ヘンドリック・コーネリーゼン(35)の2容疑者を逮捕した。

 調べによると、2容疑者は18日、和歌山県太地町の畠尻湾で、地元の捕鯨組織「いさな組合」が追い込み漁で
捕獲したクジラを囲うため、湾口を仕切っていた網を切断した疑い。湾内にはハナゴンドウ約10頭が捕獲されて
いたが、1頭も逃げなかった。2容疑者は、クジラを逃がそうとしていたこととナイフを所持していたことは認めて
いるが、網の切断は否認しているという。

 シー・シェパードは環境保護団体グリーンピースから分離した団体で、捕鯨船に体当たりして沈没させるなど過
激な行動で知られている。10月上旬から、メンバーが入れ替わりながらクジラを捕獲したり殺す様子をビデオ撮
影するなど、太地町での捕鯨活動を監視していた。

(11/19 00:53)

11月18日(火) 映画 「クジラの島の少女」 に対する批判を、「映画評2003年」 に掲載しました。 その117をご覧ください。

2003年10月

・10月25日(火) 『サンデー毎日』11月2日号に、「ブッシュ来日で加速の対米 『追従』 路線。 今度は新型ソナーで生態系破壊も容認!?」という記事が掲載された。

 これは、アメリカ海軍の新型低周波ソナーが鯨イルカ類に悪影響を及ぼすため、アメリカの環境保護団体から圧力を受けたという事実を伝えるものである。 この圧力のため、世界中のほとんどの海域で使用禁止とするが、日本近海でのみ自由に使う、という合意が、米海軍と米環境団体とでなされたという。

 日本の海洋資源に影響のある話なのに、アメリカは日本の外務省にいっさい相談していない。 このソナーが鯨類に悪影響を及ぼすことは英国の科学誌 『ネイチャー』 10月9日号でも指摘されているという。

 アメリカ環境保護団体は、全面使用禁止を求めてサンフランシスコ連邦地裁に提訴、同地裁は使用制限を認める判決を下した。 ところがこのソナーが日本近海で使われることに日本は何の異議も唱えていない、というのだ。

 以下、当サイト制作者のコメント。 これは、アメリカのダブルスタンダードと日本の弱腰外交を象徴するような話と言うべきであろう。 なお、この記事は、簡略な形ながら、毎日新聞の10月16日付けにも掲載されている。

2003年9月

9月4日(木) 日本捕鯨協会から 「勇魚(いさな)通信」 第14号が発行された。 ベルリンで6月に行われたIWC総会の模様を伝えている。 問題となった保護委員会については、日本・ノルウェー・アイスランド・ドミニカといった持続的利用派の国々は、出席や予算配分を留保すると言明しているという。

 また鯨に関する新刊本が紹介されている。 このサイトで取り上げていなかった本が3冊掲載されているので、以下に著者とタイトルを示しておこう。 なお、日本鯨類研究所発行の下の2冊については、日本捕鯨協会 (TEL 03-5547-1940) にお問い合わせを。

 ・小松正之『クジラ その歴史と科学』 (ごま書房) ¥1200

 ・日本鯨類研究所(編)『江戸東京湾くじらマップ』(日本鯨類研究所) ¥500

 ・小松正之+三崎滋子『Whales and the Japanese』 (日本鯨類研究所) ¥2000

 また、これは 「勇魚通信」 とは無関係の情報だが、新潟大学名誉教授の本間義治先生が 『日本海のクジラたち』(考古堂書店〔新潟〕、¥2000) を出版されたので、ここで報告しておく。

9月1日(月) 本日の産経新聞が、捕鯨問題の今後に関する1ページ大の特集記事を載せた。 先のIWC総会で鯨保存委員会が成立したことを受け、場合によっては日本がIWCを脱退することをも視野に入れてこの問題に臨むべきではないかとしている。

2003年8月

8月26日(火) 本日の毎日新聞の報道によれば、25日付の英国タイムズ紙が社説で捕鯨問題を取り上げた。 アイスランドの捕鯨再開が欧米諸国や環境保護団体の反発を買っている問題を取り上げ、捕鯨をめぐる賛否両派の言い分にはともに間違いがあると指摘し、捕鯨の実態をふまえた議論をすべきだと日本などに呼びかけた。

 社説は、日本が調査捕鯨と称して年間3000頭ものミンク鯨を捕獲していることや、巨額の対外援助で他国の歓心を買おうとしている手法を批判。 その一方で鯨は海洋資源だとする日本の主張にも一定の理解を示した。 ただ、捕鯨の方法には懸念を表明し、近代的な時術でも鯨がモリを打ち込まれてから絶命するまでに1時間半かかることに言及した。

 以下、当サイト制作者のコメント。 タイムズ紙は英国を代表する高級紙だが、この論調にはヨーロッパ人の偏見が色濃くにじみ出ている。 まず、日本が調査捕鯨で年間3000頭のミンク鯨を捕獲、というのは誤り。 南氷洋と太平洋を合わせて400ないし500頭程度である。 このように基本データを捏造するのは、英国高級紙の名にふさわしい行為ではないだろう。

 次に、調査捕鯨はIWC規約で正式に認められた加盟国の権利である。 それを非難するのは、最初から鯨を神聖獣視しているヨーロッパ (ノルウェーやアイスランドを除く) の主張のレベルの低さを見過ごしているからに他ならない。 

 つぎに、日本の捕鯨と対外援助との関連だが、そもそも商業捕鯨を禁止する決定をIWCが下したとき、反捕鯨国がやった手法が同類のものなのであり、もし日本の類似したやり方を批判するなら、商業捕鯨を禁止した際の反捕鯨国のやり口から批判すべきであろう。 また、捕鯨国のアイスランドがいったん捕鯨を見合わせていたのも、反捕鯨国の経済制裁を考慮したためだ。 このように、反捕鯨国こそが最初にカネを利用した活動を大々的に行っていたのである。

 ところが、反捕鯨国のそういうあくどい手法を批判すると、商業捕鯨を禁止している現在のIWCそのものを批判することになるわけで、そこに踏み込まないタイムズ紙は、ヨーロッパ人の偏見を最初から肯定していると言われても仕方がないのである。 英国の高級紙とと言っても、この程度の知的レベルしかない、ということをわれわれは知っておくべきであろう。

 なお、補足として、やや遅れた情報で申し訳ないが、ドイツの代表的週刊誌”Spiegel”が今年の6月16日号(2003年第25号)に載せた捕鯨問題記事を紹介しておこう。

 これは今年のIWC総会がベルリンで開かれる前に出た記事だが、アイスランドが捕鯨を再開することに危機感を表明し、日本の調査捕鯨を批判している一方で、なぜか捕鯨国のノルウェーやアメリカ・カナダ・ロシアの 「原住民捕鯨」 には何も触れていない。 鯨ウォッチングによってカネを稼ぐのが鯨との正しいつき合い方だと称するAsbjoern Bjoervinssonを記事の最初と最後に登場させるなど、ドイツ人のこの問題に対する認識がどの程度なのかを明瞭に示す記事である。

 しかし一方で、アイスランドの世論調査では90パーセントが捕鯨再開に賛成しているというデータも示している。 アイスランドの捕鯨再開により、IWCが完全に機能不全に陥るのではないかという危機意識も散見し、鯨の問題が実は資源を正確に見積もって議論する問題ではなく、ヨーロッパ人にとっては宗教的な問題になっているといういかがわしい側面をもうかがわせている。

8月18日(月) 本日の産経新聞の報道によれば、日本の水産庁が4−8月に実施した北太平洋調査捕鯨で、ミンク鯨が中型魚であるシマガツオやシロサケを捕食していることが分かったという。

 鯨は、物を噛まず、胃の中に流し込むので、食べた魚が胃の中にそのままの形で残る。 従来は、ミンク鯨はサンマなどの小型魚だけを捕食し、中型魚は偶然まぎれこんだものと思われていた。 しかし今回の調査では、1匹ないし数匹の中型魚が胃から出てくるケースが目立ち、誤食ではないという結論に達したという。

 鯨の捕食量は、全世界で年間約2億4千万ないし5億トンと推計されている。 これに対して、人類の漁獲量は約9千トン。 したがって、鯨は人類の3ないし6倍の魚を食べている計算になる。

 鯨には現在、人間とシャチと鮫しか天敵がいないが、捕鯨への圧力で人間が天敵の役割を果たさなくなっている。 世界の食糧不足が言われる現在、鯨をも含めた総合的な資源管理が求められると言えよう。

8月17日(日) 本日の毎日新聞の報道によれば、アイスランド漁業省は15日、同省が14年ぶりに調査捕鯨再開の許可を出したことを明らかにした。 捕鯨専断は数日以内に出港、同国周辺海域で操業するという。 政府の政策として捕鯨を実施するのは、日本、ノルウェーに次いで3カ国目。 〔当サイト制作者注: これ以外に 「原住民捕鯨」 と称して、アメリカ、ロシア、カナダなどが捕鯨を行っている。〕 6月に国際捕鯨委員会で調査捕鯨停止決議が採択されており 〔当サイト制作者注: 強制力はない〕、反捕鯨国の反発は必至だ。

 以下、当サイト制作者の感想。 アイスランドも長い捕鯨の歴史を持つ国であり、ここ十数年は反捕鯨国の圧力に屈する形で捕鯨を控えていた。 我々日本人としては、断固としてアイスランドを支持すべきであろう。

2003年7月

7月25日(金) 日本捕鯨協会から 「勇魚(いさな)」 第27号が発行された。

 捕鯨史研究家クラウス・バーテルメス氏の 「中世及び近世初期のヨーロッパ文化・経済における座礁鯨」 が注目される。 ヨーロッパにおいても昔は、日本と同じく、座礁鯨が経済的に利用されていた。 鯨に対する畏敬の念とその経済的利用は、決して矛盾するものではなかった。 しかし鯨から遠く離れたライフスタイルをとるに至ったヨーロッパでは、現在、座礁鯨に登る子供をとがめるほどに鯨の神聖視が進んでしまった。 これをバーテルメス氏は、「思い上がった独断的非寛容」 と批判している。

 このほか、韓国捕鯨再開推進協議会代表の邊昌明氏が、「韓国の捕鯨とモラトリアム以後の問題点」 を掲載して、韓国の捕鯨史と、今後の展望を語っているのも注目される。

7月21日(月) 本日の産経新聞 「一筆多論」 欄に、荻原征三郎・論説委員の 「許されない条約の暴走」 が掲載された。

 本来、IWC(国際捕鯨委員会) は1946年の国際捕鯨取締条約に基づいて設立されたのであり、この条約は 「鯨類の適当な保存を図って鯨類産業の秩序ある発展を可能にする」 ことが目的であった。

 それが70年代に入ってから鯨油を目的として捕鯨をしてきた欧米の捕鯨国は石油で間に合うようになったため反捕鯨に転じ、それが今回の「鯨類保存委員会」成立にまでつながっていること、この委員会の成立が、議案提示は60日前までという規定を無視した暴挙だったこと、「日本人が鯨を食べる習慣を捨て去るときが来た」というドイツ高官の暴言、などを批判している。

 そして、IWCはもはや機能不全に陥っている以上、「国連食糧農業機構」(FAO)などの他の機関にこの問題を託すべきだとしている。

7月7日(月) 本日の毎日新聞に、「待ちわびる捕鯨再開」 という1ページの特集記事が掲載された。 現在日本に捕鯨基地が5箇所残っていることを初め、宮城県牡鹿町の捕鯨全盛時代の話、最近の千葉県和田町の鯨解体作業の様子や、和田町内の小学生に鯨カツが振る舞われた様子などが報じられている。

7月6日(日) 捕鯨問題にお詳しいK・Y氏からメールが来て、今回のIWC総会に関する情報が外務省のサイトに掲載されているとご教示下さった。

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/whale/iwc55_kg.html

7月2日(水) 産経新聞インターネットニュースが下記の報道を掲載した。

 首相「IWC脱退せず」水産庁長官に指示 

 小泉純一郎首相は2日午前、首相官邸で木下寛之水産庁長官から先の国際捕鯨委員会(IWC)総会の報告を受けた。

 首相は、ドイツなど反捕鯨国が提出した鯨類の保存強化を求める委員会設立の決議を採択したことに関連し 「反対だから (IWCを) 脱退するというのはよくない。 脱退しないで日本の主張が理解を得られるように努力すべきだ」 と指示した。

 政府は、委員会の設立について 「調査捕鯨による生態系の調査の完成を妨害するものだ」 と反発、IWC分担金拠出見直しや脱退などを検討する方針を打ち出し、首相も代表団の帰国報告を受けて判断するとしていた。

 首相は報告を受けた後、記者団に 「脱退するのは好ましいことではない」 と重ねて強調した。
(07/02 13:00)

2003年6月

6月23日(月) 昨日付けの産経新聞が、「IWC総会 現状に迫る」 という特集を組んでいる。

 それによると、今回の「鯨類保存委員会」の推進役は、オーストラリアやニュージーランドなどの豪州とヨーロッパの一部であったようだ。 従来、反捕鯨の旗振り役であった米国は、日本の外交筋によると、アラスカで捕鯨をしている原住民を抱えている関係もあって、どちらかというとおとなしく中間派的な立場にあるらしい (ただし、保存委に関する投票では賛成している)。

 ヨーロッパも、今回のホスト国ドイツのように反捕鯨の立場の国だけでなく、ノルウェーやアイスランドなどの捕鯨国、デンマークなどの中間派もあるので、一丸になっての行動は必ずしもとれないらしい。

 ドイツのキュナスト・ドイツ農業消費者保護相(緑の党)は、「日本人が鯨肉を食べる習慣を捨てるべき時が来た」と語ったそうである。

 以下、当サイト制作者のコメント。 ドイツ人をナチ呼ばわりするのは品がないし、私の趣味に合わないので、こう言っておきたい。 「かつて進んでナチに身を投じたような種類の人間が、今日では反捕鯨運動や過激な環境保護運動に身をおいているのだろう」 と。

それと、産経新聞の記事だと、今回の事態も米国の責任だと日本側は言っているようだが、あまりに米国頼りの捕鯨外交のあり方を見直すべき時ではないのか。

6月21日(土) すでに各種マスコミでも報道されているが、ドイツ・ベルリンで6月19日まで開催されていた今年度のIWC総会で、「鯨保存委員会」の設立が決議された。

 産経新聞インターネットニュースから引用しておこう。

 *  *  *  *  *  *  *  *  *

鯨保存委設立決議案を可決 IWC総会

国際捕鯨委員会(IWC)第五十五回の年次会合の総会は16日から4日間の日程でベルリンで開幕し、ドイツなど反捕鯨の19カ国が提出した鯨類の保存強化を求める委員会設立の決議案を賛成多数で可決した。

IWCが鯨の保護に積極的に取り組むことを明確にし、日本などが目指す商業捕鯨の再開を強くけん制する内容の同決議案が可決されるかどうかは今総会の最大の焦点だった。

可決により、IWCは捕鯨よりも鯨の保護を討議・研究する組織の色彩を一層強め、商業捕鯨再開が遠のくことになり日本には大きな痛手となった。国内各地から再開への期待が高かっただけに、日本政府は早急な対応策の策定を迫られそうだ。

総会は初日の冒頭から捕鯨国と反捕鯨国の激しい攻防となった。日本は同決議案について「鯨資源の持続的利用を図るIWC本来の目的を逸脱し、保護一辺倒だ」と反発。ノルウェーやアイスランドなども同調した。

これに対して、オーストラリアなど反捕鯨国側は「IWCの目的には保護もある」などと強く反対した。

総会の休憩中に、浅野史郎・宮城県知事は5月下旬に同県や長崎県など4県が主催した「第二回地域社会と鯨に関する全国自治体サミット」の宣言文をフェルンホルム議長に手渡し、捕鯨について理解を求めた。知事は小型沿岸捕鯨などについて総会で発言した。

2日目以降は、日本は商業捕鯨再開の前提となる捕鯨の監視制度「改訂管理制度(RMS)」の完成を提案。これに対して、反捕鯨国はニュージーランドなどが新たな禁漁区設定を提案する。(共同)

06/17 01:45

鯨保存委への参加拒否検討 政府

国際捕鯨委員会(IWC)総会が鯨類の保存強化委員会設立の決議案を可決したことを受け、日本政府は16日、同保存委への参加や資金負担の拒否を検討していることを明らかにした。

 森本稔IWC日本政府代表はベルリンでの記者会見で「各国の意見が分かれているのに無理に採決に持っていくこと自体が問題で、今後の委員会運営に支障をきたす」と批判した。

自民党が主張しているIWC脱退問題については「すぐに脱退するのがよいのか、今後総合的に判断していく」と述べるにとどめた。

総会でノルウェーやアイスランドは「委員会の有効性が疑問」などと非難、日本同様に委員会への不参加を検討していることを表明した。日本などの捕鯨国は採決後、抗議のため総会会場を退場した。賛成は25票、反対20、棄権1票。この決議案は過半数で有効となる。

森本代表は、保存委員会設置の影響について、商業捕鯨再開の前提となる捕鯨の監視制度「改訂管理制度(RMS)」の完成が「物理的に遅れる」と述べ、懸念を示した。

これに対して、反捕鯨国のドイツなどが「鯨資源を将来世代に残すことができる」と歓迎。環境団体なども「鯨保護に歴史的な日となった」と意義を強調した。(共同)

06/17 01:45

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なお、朝日新聞のインターネットニュースは下記のような情報を伝えている。

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捕鯨問題を担当する日本の水産庁遠洋課によると、反捕鯨国が最初に「保存委」について言及したのは3カ月前。 その時点では中身が見えず静観していたところ、鯨類の保護に重点を置いた具体的な内容をわずか1カ月前になって示してきたという。 国際捕鯨取締条約では、委員会設置など規則変更が必要な提案は60日以上前に加盟国に提示する必要があり、今回は規則変更をしないままの決議だった。

(06/17 11:35)

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 このほか、総会では日本の調査捕鯨の停止を求める決議案を賛成多数で採択し――ただし法的拘束力はなく、日本は調査捕鯨を続行する――、アイスランドが調査捕鯨の開始を表明したことに対しても停止決議案を採択するなど、反捕鯨国の横暴が目立つ総会となった。

 読売新聞は、6月20日付で 「IWCとの関係を再考する時だ」 という社説を掲載した。

以下、当サイト制作者のコメント。

 IWCが反捕鯨国にのっとられた80年頃から、反捕鯨国はこの種の横暴を繰り返してきた。 今回の「保存委員会」設置にしても、規定違反をしたままゴリ押しを通したわけであり、これは反捕鯨国がまともな順法精神を持たない卑劣な国家であることを示している。

 と同時に、捕鯨問題は一種の宗教戦争であり、昔欧米が帝国主義でもってアジアやアフリカを植民地にした行為を、価値観の帝国主義に切り替えて継続していることが、あらためて白日のもとにさらされたわけである。

 国際問題とは、かくのごとく不条理なものであり、迷妄に支配された反捕鯨国はイエス・キリストに替えて鯨をあがめつつ文化帝国主義に邁進している。 日本人としてはこうした現実をしっかりと把握して、国際社会に相対していかなくてはならないだろう。

2003年5月

5月15日(木) yahooで下記のようなニュースが配信された。

 《 世界の魚50年で10分の1 予想超える乱獲の影響 》

 【ワシントン14日共同】太平洋や大西洋など世界の海で捕れるマグロやタラ、ヒラメなど主要な魚の量が過去約50年の間に、ほぼ90%も減ってしまったとの調査結果をカナダ・ダルハウジー大のグループがまとめ、15日付の英科学誌ネイチャーに発表した。

 個別の魚種に関する同様の分析はあったが、世界各地の海について総漁獲量が大幅に減っていることを確認したのは例がないという。

 乱獲が海洋資源に与えた影響がこれまで考えられてきた以上に大きいことを示す結果で、グループのランサム・メイヤーズ教授は「海洋資源回復のためには現在の漁獲量を大幅に減らすことが必要だ」と指摘している。

 グループは太平洋、大西洋、インド洋のほか、4カ所の大陸棚での漁獲量に関するデータを集め、各海域で大規模な漁業活動が始まった直後から、釣り針100個にかかった魚の数の推移を調べた。(共同通信)         [51529分更新]

 以下、当サイト制作者のコメント。

 鯨資源について、かつての乱獲により減少が著しいということは、環境団体などが強調しがちである。 しかし実際には、魚類の資源も上記のように大幅に落ち込んでいるのだ。

 鯨だから食べてはいけないなどという偏見丸出しの食文化観を抱いていては、世界の食糧事情は悪化するばかりである。 資源量を正しく評価して、持続的に使えるような配慮をする管理漁業の時代はすでに到来しているのだ。 捕鯨が例外であっていいはずはない。

2003年4月

・4月28日(月) 岩波新書から大隅清治『クジラと日本人』が発売となった。 価格は700円。 著者の大隅氏は、長らく日本鯨類研究所の理事長を務められている碩学である。 捕鯨問題を手軽に知るための格好の書物と言えよう。

 このほか、私は未入手だが、敦賀短期大学地域交流センター編・発行『若狭の海とクジラ』(同成社)が3月末に発行された。価格は500円。 若狭湾の捕鯨や鯨食文化を知るのに役立つ本のようである。

2003年3月

・3月7日(金) 日本捕鯨協会発行の 「勇魚(いさな)通信」 第13号が発行された。 以下、内容を一部紹介しよう。 

(1) 11月にチリで行われたワシントン条約会議(CITES)にニタリ鯨とミンク鯨のダウンリスティングが提案されたが、いずれも否決された。 ただし賛成票は42パーセント余りとなり、過去2回の賛成率を上回っている。

(2)2002年度第2期北西太平洋鯨類捕獲調査が終了した。 従来からのミンク、ニタリ、マッコウに加え、今回からあらたにイワシ鯨が捕獲対象となった。 また、目視調査ではシロナガスやナガスも数多く発見されたということである。

(3)韓国のウルサン広域市で昨年9月に 「第8回ウルサンくじらまつり」 が開催された。 ここはかつて韓国の捕鯨基地があったところであり、 2005年のIWC年次会議の誘致を目指しているという。

(4)那須敬二『鯨と海のものがたり』(成山堂書店)¥2000、が2002年10月に発行された。 1993年に出た本の改訂増補版で、梅崎義人氏が「政治に利用された鯨」の章を書き加えたという。

2003年1月

・1月11日(土) 本日の産経新聞によれば、米国の民間シンクタンクであるワールドウォッチ研究所は、地球環境白書2003年版を発表し、そこで現在の地球は生物の大量絶滅期に入った可能性があるという警告を発した。 それによると、鳥類が急速に減少しており、哺乳類の4分の1、爬虫類の4分の1、両生類の21%、魚類の30%に絶滅の恐れがあるという。

 以下、当サイト制作者のコメント。 環境学者の類推は、その職分上やや大げさになされる傾向もないではないが、いずれにせよ食資源に関してもますます総合的な資源評価と管理が必要になっていくことは間違いあるまい。

・1月6日(月) 本日の毎日新聞によれば、佐賀県の県立名護屋城博物館 (鎮西町) で、西海の捕鯨に関する展覧会が開かれている。 伝統捕鯨の様子を伝える写本や絵図が展示されているという。 19日まで。

 その文面は、数が多く絶滅の心配のない鯨種は、徹底した管理制度などの条件が整えば 「商業捕鯨の再開が可能であるという論理を否定できない」 というものだそうである。

 

2002年12月

・12月27日(金) 先月から産経新聞に、農学博士・三宅眞氏による 「サカナの政治力学」 が連載されており、本日が第39回で 「総論」 に入ったから、おそらく明日の第40回で最終回になるものと思われる。

 この連載記事は、捕鯨問題には簡単に触れているだけだが、漁業がいかに政治と関わりを持ち、多国間の駆け引きの材料になっているかをたいへん分かりやすく説明しているから、捕鯨問題に関心をお持ちの方で産経新聞を取っておられない方は図書館ででもご覧になることをお薦めしたい。 鯨を含め、総合的な海洋資源評価と漁獲量の規制が今後ますます必要になっていくであろうこと、捕鯨問題もそうした中で捉えていかなくてはならないことを痛感させられる内容である。

・12月17日(火) 本日の産経新聞の報道によれば、水産物加工販売会社 「京食」 が13日に民事再生法手続きの開始を申請した。 京食は、かつては鯨ベーコンの製造で知られた会社だが、商業捕鯨の禁止に伴って取扱量が減少、鯨以外の切り身加工への転身をはかったが、収益性が低く経営不振に陥っていた。

・12月10日(火) 日本捕鯨協会発行の 「勇魚(いさな)」 第26号が出た。 

 冒頭、小松正之・水産庁漁業資源課長の文章が掲載されており、今年のIWC総会において米国のダブルスタンダード、つまり日本の捕鯨に反対しながら自国の 「原住民生存捕鯨」 を維持しようとしている矛盾が明らかになったと述べている。 また日本の沿岸捕鯨枠要求が、今年は賛成21,反対20まで来たこと、賛成が4分の3以上必要な議案ではあるが、10年前は賛成が5カ国しかなかったのだから格段の進歩だとしている。

 日本人の寄稿者ばかりではない。 オーストラリアのジャーナリストであるパドレイク・P・マックギニスが今年の5月28日にシドニー・モーニングヘラルド紙に掲載した 「クジラ教の破綻」 という文章が訳されているのが目を惹く。 現在では捕鯨に反対するいかなる合理的な理由もないとして、米国やヨーロッパやオーストラリアの反捕鯨国を批判している。

2002年11月

・11月7日(木) 今月3日からチリのサンティアゴで第12回ワシントン条約締結国会議が開催されているが、4日付の毎日新聞はそのことを伝える記事を載せている。 日本は、前回と前々回に引き続き、資源量の豊富なミンク鯨の商取引解禁を提案する。

 なお、この記事は、鯨以外でも、銀ムツなどの魚類を商取引の規制対象に入れる動きがあり、これが通ると日本を初め、水産資源を食料に多く使っている国は大打撃をこうむることになると伝えている。 3分の2以上の賛成がないと規制はできず、今のところこの案が通る見込みは少ないと言うが、野生動物を守れという運動が地上の動物から (哺乳類以外の) 海洋生物にまで移ってきた、ということらしい。

 4日付の産経新聞も 「主張」 (他紙の社説にあたる) でこの問題に触れている。 海洋資源利用を抑圧する一部の主要国に屈することなく、海洋資源外交を本格的に展開せよと述べている。

 以下、当サイト制作者の感想。 商業捕鯨がモラトリアム扱いとなり、捕鯨問題が日本と欧米主要国との間で大問題となっていた頃、日本のマスコミには、捕鯨程度は譲ってもたいしたことはない、むしろ鯨のせいで外国との関係がぎくしゃくすることの方が問題だとする論調が一部にあった。

 それが間違いだということが明らかになりつつある。 無論、海産物の資源量をきちんと評価し、資源の保全に努めることは大事だが、そこを曖昧にしたまま 「他国が強く主張しているから」 というだけの理由で自己主張をしないでいることがどれほど愚かしいか、これを機に改めて認識したいものだ。 

・11月5日(火) 東京出張中だが、たまたま渋谷に出たので、渋谷駅近くの 「元祖くじら屋」 で昼食をとる。 ここは東京で鯨料理を食べさせる代表的な店だが、鯨料理は値段が高めなので、私もランチタイムでないと来ない。

 従来はランチの定食が2種類ほどあり、いずれも1000円であった。 これでも昼食としてはやや値が張るという感じではあるが、とにかくこれが一番安価なメニューだったのである。 

 ところが今回来てみたら、鯨唐揚げ定食が850円で出ているではないか。 リーズナブルになっている。 なるべく安い値段で鯨料理に親しんでもらおうという店側の配慮であろう。 これはお値打ち品だと思う。 渋谷に行く機会のある方はお試しあれ。 なお場所が分からない方は、こちらをどうぞ。

 http://www.kujiraya.co.jp/

2002年10月

・10月18日(金) アイスランドの国際捕鯨委員会再加盟をめぐって、捕鯨国と反捕鯨国の確執が続いている。 まず、アイスランドの再加盟が認められたとのニュースを、読売新聞インターネットニュースが10月15日の深夜に伝えた (以下に引用)。

【ロンドン15日=渡辺覚】 国際捕鯨委員会(IWC)は、14日に英ケンブリッジで開いた特別会合で、アイスランドの再加盟を正式承認する決定を行った。  アイスランドは92年、商業捕鯨再開を主張してIWCを脱退。 昨年の総会で復帰を申請したが、投票権のない「オブザーバー」に位置づけられていた。AP通信によると、今回、「2006年までは商業捕鯨を再開しない」とする留保付きで復帰を果たした。 (10月15日23:25)  http://www.yomiuri.co.jp/05/20021015id22.htm

 一方、産経新聞10月18日付けは、スウェーデン政府が 「投票手続きが複雑すぎて投票を間違えた」 として加盟反対に投票変更を求める方針を明らかにしたと伝えた。 投票は19対18の1票差だったので、もしスウェーデンの主張が認められればアイスランドの再加盟は反故にされることになる。

 なお、国際捕鯨委員会へのアイスランド再加盟問題については、この欄の本年5月26日の記載を参照のこと。

2002年9月

・9月11日(水) 本日の産経新聞の報道によれば、北海道釧路沖で調査捕鯨が始まり、釧路港にミンク鯨が水揚げされた。 調査捕鯨は昭和62年から始まっているが、釧路沖で行われるのは初めて。 鯨がサンマ漁などの漁業に与える影響などが調べられる。 釧路港から半径80キロ以内での沿岸海域で約1ヶ月間、50頭を上限にミンク鯨が捕獲される。

・9月10日(火) 本日の毎日新聞の報道によれば、水産庁が9日発表した02年度の資源評価で、日本近海のマイワシやマサバの資源量が急減していることが分かった。 特に東シナ海から日本海に回遊するマイワシの落ち込みがひどいという。 89年に年間160万トンの漁獲があったものが、01年には1400トンにまで落ち込んだという。 太平洋側の資源も減少しているという。

 以下、当サイト制作者のコメント。 直接鯨に関わる話ではないが、日本近海の魚資源の減少により、水産資源の国際的かつ総合的な管理が必要な時代になってきたと言えよう。 無論、中国や韓国の漁業との連携を考えつつということだ。 もっとも、イワシについては魚種交代説というのもあり、イワシが減るとサンマが増える (そしてサンマが減るとイワシが増える) という見解があって (河井智康 『大衆魚の不思議』〔講談社ブルーバックス〕)、いちがいに乱獲による資源減少と断定はできないが、かつて日本海のニシンが壊滅状態になったことを想起すると、必ずしも楽観はできないと思う。

・9月2日(月) 東大出版会から出ている雑誌 『UP』 8月号に、天野雅男 「クジラの潜水行動を調査する」 という一文が掲載されている。 天野氏は、東大の海洋研究所大槌臨海研究センターの助手をされている方だ。

 吸盤によって鯨類に計測装置をとりつけて潜水行動を調査研究する仕組みを説明したもので、小笠原沖で中型のマッコウ鯨を調査したところ、千数百メートルまでもぐっていることが分かったという。

 この文章の締めくくりになっているのが、「これからの日本のクジラ研究へ」 という小見出しを付けた箇所である。 日本の鯨研究は捕鯨産業との結びつきの強い部分については進んでいるが、フィールドワークを主体とした部分では欧米に遅れをとっているという。 日本は 「海洋国で、多くのクジラが周囲の海に生息しているのに、きわめて貧困な状態にあるといわざるをえない」 と天野氏は述べている。

 以下、当サイト制作者の見解。 野生動物を捕殺せずに研究するという近年の欧米主導の基準 (学問の基準が浸透するのにも、政治的な力が働いているはずである) がいいかどうかはさておき、単に食料として鯨を研究するのみならず、総合的な視点で鯨研究を進めることは、我が国の捕鯨政策にとっても長い目で見るなら決してマイナスにはならないだろう。

9月1日(日) 本日の毎日新聞投書欄に、日本の鯨食文化を守るためには鯨の料理を工夫すべきだとの意見が掲載されていた。

 商業捕鯨が禁止されて以来、鯨肉の値段が高騰したため、一部の専門店など以外ではなかなか鯨料理が楽しめなくなっている。 そのせいもあり、若い世代では鯨料理を知らない人が多い。 これでは鯨食文化が泣こうというもので、一般庶民に近づきやすい鯨料理を工夫して広めるべきだ、という趣旨である。

 以下、当サイト制作者の感想。 基本的には鯨肉の値段がもう少し下がらないと難しいとは思うが、建設的な意見と言うべきであろう。 毎日新聞の投書欄は、朝日よりまともだと思う。 (別段、捕鯨問題に限ったことではなく、そう思う。)

2002年8月

・8月29日(木) 本日の毎日新聞が、北海道網走港のツチ鯨漁を紹介している。 体長は10メートル、体重は11トン。 肉は道内に出荷される。

 ツチ鯨はIWC(国際捕鯨委員会) の管轄外で、日本の水産庁は全国で年間62頭の捕獲を認めており、北海道では網走の2頭を含む10頭と決められている。

 また、本日の産経新聞によると、南ア・ヨハネスブルクで開催中の 「持続可能な開発に関する世界首脳会議 (環境開発サミット)」 に、WWF (世界自然保護基金) が地中海マグロの漁獲制限を訴えたという。 

 従来ヨーロッパでは白身の魚が好まれ、赤身のマグロは見向きもされなかった。 ところが日本人が刺身・寿司用に高値で買い取るために需要が急上昇している。 マグロは養殖もされているが、卵から孵化させて育てる技術は未開発で、若い天然マグロを大量捕獲して育てる方法がとられている。 しかしこれにはマグロの産卵の機会を奪っているとの批判があり、地中海のマグロは死滅する恐れもあるとの意見もある。 事実、最近では捕獲される天然物のマグロも小型化しているそうである。

 以下、当サイト制作者のコメント。 鯨ではなくマグロに関する記事ではあるが、捕鯨問題とまったく無関係とは言えず、注意を要することだと思う。 日本の食文化との関連でマグロの資源量が激減しているという話だからである。 かつての商業捕鯨でも乱獲 (日本もその一翼を担っていた) がまずあって、そのあと海洋哺乳類は殺すなとか、鯨は頭がいいだとかの別の論点が入ってきたのだった。

 マグロは歴然とした魚類だから鯨とは違うが、産経新聞の記事によるととにかくマグロ減少の背後には日本がある、との声が強いようであるから、日本としては地球全体を視野に収めた総合的な水産政策をたてる時期にきているのではないか。 このまま放置すれば、水産政策全般に関して日本に対する風当たりが強くなる恐れがある。

・8月27日(火) 本日の産経新聞によれば、静岡県伊東市で、3年ぶりにイルカ追い込み漁が再開される。 捕殺方法が残酷との批判があったが、今回から短時間で処理する方法を導入するとのこと。 従来の方法だとイルカが絶命するまでに5分ほどかかっていたが、新しい方法では30秒で済むという。 漁は9月15日から始め、来年3月末までに3種類のイルカ計600頭を捕獲する予定とのことである。

・8月23日(金) 私のサイトを訪れているある方が、ニューヨークタイムズ紙に捕鯨に関する記事が載ったとご教示下さった。 以下に掲げておこう。 アメリカの一流紙にこうしたバランスのとれた記事が載るのは、貴重なことと言うべきであろう。

Harvest the Whales

August 20, 2002
By NICHOLAS D. KRISTOF

It makes sense to save the whales that are endangered, but
it's also time to allow some species to be harvested again.

http://www.nytimes.com/2002/08/20/opinion/20KRIS.html?ex=1030966468&ei=1&en=6ad8c0bd57637c48

2002年7月

・7月31日(水) 日本捕鯨協会発行の 「勇魚通信 第12号」 が発行された。 過日の、IWC下関会議に関する記事が多いが、本コーナーで触れなかった情報が2件載っていたので、紹介しておこう。

 (1)欧米を代表するニュースメディアである米国CNNと英国BBCが、IWC下関会議の期間中にインターネット上で捕鯨再開に関する世論調査を行った。 その結果、捕鯨再開を支持する意見が、CNNで61パーセント、BBCで67パーセントに上ったということである。 つまり、捕鯨再開を支持する意見は、世界規模でも多数派というわけだ。

 (2)IWC加盟国は分担金支払いの義務があり、支払わないと投票権を停止されるが、従来、分担金の額はその国の経済規模とは無関係で、捕鯨の規模や年次会議に参加する人数によって決められていた。 これを、途上国の支払い能力を考慮した国連方式に改めよという提案が1999年の会議でなされている。 今回もこの件について討議がなされたが、結論が出ず、今回、暫定的に今後3年間途上国には負担を軽減する措置をとることで合意がなされた。

・7月24日(水) 一週間前の毎日新聞とほぼ同内容の記事が本日の産経新聞に掲載された。 アイスランドでは22日から鯨肉販売が再開され、同国の西南部に15店舗を持つスーパーで販売されたという。 ミンク鯨はワシントン条約で商取引が禁止されているが、ノルウェーとアイスランドは 〔そして日本も〕 この項目を留保している。 アイスランドは先のIWC下関会議で再加盟を申請したが認められず、不当な扱いに非難声明を出して席を立っていた。

・7月17日(水) 本日の毎日新聞によれば、ノルウェーが14年ぶりに鯨肉の輸出を再開した。 輸出先はアイスランドで、鯨密漁防止策である鯨肉のDNAデータ登録の体制を整えたという。 ミンク鯨の肉と脂身、合計8トンが先週末に出荷されたという。

・7月5日(金) 今月発売の雑誌2誌が捕鯨問題を取り上げている。 『諸君!』8月号には小松正之 「捕鯨問題の203高地――『文明の衝突』か『人種戦争』か」 が、『正論』8月号には、荻原征三郎 「捕鯨再開へ、日本よ反転攻勢だ」 と副島隆彦 「ワールド・ウォッチ――国際捕鯨問題の裏側にあるもの」 が掲載されている。

2002年6月

・6月25日(火) 本日の毎日新聞の報道によれば、先日のIWC下関会議で日本は米国とロシアの先住民枠捕鯨に反対票を投じたが、日本政府はこの方針を変更し、米国側に歩み寄る姿勢を見せているという。

 以下、当サイト制作者のコメント。 歩み寄るのには私も反対ではないが、代わりに米国が捕鯨問題に関して対日政策を見直すなどの見返りがあるのかどうかが問題だろう。 でないと、一人勝ち米国に捕鯨問題でも譲歩しました、ってだけの話になってしまう。

・6月13日(木) 本日の毎日新聞と産経新聞の報道によれば、水産庁は、今年11月にチリで開催されるワシントン条約締結国際会議に向け、ミンク鯨などの国際商業取引の解禁を目指した提案を事務局に提出したと発表した。

 日本提案は、北半球系のミンク鯨と、北太平洋系のニタリ鯨を、商業取引が禁止される「付属書1」から、輸出国の許可があれば取引が可能な「付属書2」に格下げするよう求めるている。 日本はこれまでもミンク鯨などは絶滅のおそれはないとして、付属書1への記載を保留している。

 提案が可決されるには3分の2以上の賛成が必要。 日本は2年前の会議でも同様の提案をしているが、否決されている。

・6月10日(月) 本日の毎日新聞は、過日のIWC下関会議を総括する記事を6段組で掲載した。 

 IWCは政治的な総会の場での決議がニュースとしてとりあげられがちだが、会期の3分の1は海洋関係の科学者が集まる科学委員会にあてられており、今回の決定で問題となったアメリカなどの「先住民捕鯨枠」が科学委員会で 「商業捕鯨の捕獲枠で算定するならば、〔米国のイヌイットの捕獲している〕ホッキョク鯨は、今後30年間は捕獲枠ゼロだ」 との意見が出たという。

 また、日本の調査捕鯨については、科学委員会では異論が相次いだが、総会では質問が出なかったという。 これは「先住民捕鯨」の審議に追われたため、アメリカなどの反捕鯨国が余裕をなくしたためらしいという。

・6月7日(金) 本日の毎日新聞の報道によれば、アメリカ大使館のケビン・メア公使は、先のIWC下関総会で捕鯨の先住民枠が否決されたことに関して、「米国は他国と協力して年内にこの決定を覆す努力をする。 日本もじゃませず協力してくれることを期待している」 と記者会見で述べた。

 なお、当サイト制作者は5月限りで朝日新聞をやめることにしましたので、この欄の情報も朝日からの紹介は、原則、なくなります。 代わりに毎日新聞から情報をお届けします。 産経新聞からの情報提供は従来通り続けます。 朝日をやめたのは、捕鯨問題とは関係ありません。

2002年5月

・5月29日(水) 昨日の朝日新聞 「声」 欄に、捕鯨に関して奇妙な投書が載った。 鯨を神からの贈り物と考えている米国先住民の捕鯨はすばらしく、日本の捕鯨はそうではない、という趣旨。 朝日新聞の読者には頭のおかしな人が結構いるけど、これはその典型ですね。 こういう変な投書を載せてしまう朝日新聞記者の頭も、かなり変だけど。 

 一方、本日の朝日新聞の4コママンガ 「地球防衛家のヒトビト」 も捕鯨問題をネタにしていた。 こちらはまともである。 以下、紹介しますと――

 A「ねー、どうしてクジラとっちゃいけないの」

 B「世界中にクジラファンって多いからな」

 A「でもアメリカはアラスカの捕鯨は許そうとしているんでしょ」

 B「あれは伝統文化だからな」

 A「そしたら日本の捕鯨だって伝統文化でしょ。 あっちがよくてこっちがダメ、なんてダブルスタンダードじゃん」

 B「アメリカのダブルスタンダードは伝統文化だからな」

 A「そーかー」

・5月27日(月) 本日の産経新聞のコラムに、ブリュッセル滞在中の藤本欣也記者が 「冷戦と鯨の都」 という一文を載せている。 アイスランドの首都レイキャビクが欧米首脳の会議で重要な役割を果たしたことに触れてから、現在のレイキャビク市民の関心は、捕鯨問題にあることを紹介している。 そして市内のレストランでは鯨のステーキが食べられるが、藤本記者がベルギー人記者を誘ったところ拒絶され、日本人記者だけが鯨のステーキを食べていたのだそうである。

・5月26日(日) 国際捕鯨委員会(IWC)の第54回年次会合は、下関市にて4月25日から1カ月の日程で行われてきたが、このほど5月20日から24日までの総会をもって閉幕した。 産経新聞と朝日新聞の報道によって、重要な点のみを以下でまとめておこう。

(1)アイスランドの再加盟が審議されたが、否決された。 アイスランドは捕鯨国で、反捕鯨派に占拠されたIWCではまともな議論ができないとして1992年に脱退していた。 同国では捕鯨自体は休止していたが、その再開を目指し、商業捕鯨のモラトリアムに留保をつけて昨年度のIWCロンドン会議に再加盟を申請。 その時は却下され、今回再度加盟を申請したが、捕鯨(賛成)国の増加を恐れる反捕鯨国の反対票を上回る票が得られなかったものである。

(2)日本の捕鯨をめぐる状況には根本的な変化はみられなかった。 日本の提出した沿岸小型捕鯨枠50頭の要求は例年と変わらず否決された。 一方、南太平洋と南大西洋に新たなサンクチュアリ (捕鯨禁止の聖域) を設けようとするオーストラリア・ニュージーランドなどの提案も否決された。 そのほか鯨の資源量に関する改訂管理制度 (RMS) をめぐって日本とスウェーデンからそれぞれ案が出されたが、いずれも否決された。

(3)米国とロシアのいわゆる先住民捕鯨について新たな動きがあった。

 商業捕鯨のモラトリアム (一時休止) を続けているIWCだが、先住民の捕鯨は特例として認めている。 今年は5年ごとの捕獲枠の見直し時期に当たり、米国とロシアは共同で、ベーリング海などに生息するホッキョク鯨など捕獲枠 (5年間で約280頭) の維持を要求した。

 これに対してノルウェーが捕獲対象鯨の資源データの不備を指摘し、捕獲枠決定期間を2年間に短縮するよう提案。 投票で否決されたが、14カ国が賛成した。

 米国は先住民捕獲枠を全会一致で採択するよう要求したが、今度は日本が投票で決着するよう提案した。

 日本は従来は捕鯨国の立場から、米国とロシアの先住民捕獲枠には理解を示してきた。 だが、今回は、資源量豊富なミンク鯨を対象とした日本の沿岸小型捕鯨に反対しているくせに、自国の、資源量の少ないホッキョク鯨を対象とした先住民捕獲枠は維持しようとしている米国の態度を二重基準として批判したものである。

 結局、先住民捕獲枠は投票にかけられ、賛成30、反対14、棄権1で、可決に必要な4分の3の賛成をえられず、否決された。

 この事態に対して、アメリカのリーカー副報道官は、24日の記者会見で、「IWCの56年の歴史で初めてのこと。大いに失望している」 と述べ、IWCが特別会合か郵便投票でこの決定を見直すべきだとの考えも示した。

 以下、当サイト制作者のコメント。 上記のうち、(3)が今回のIWC総会決定事項の中で最も注目すべき点であろう。 私はもともと、資源量の少ないホッキョク鯨をイヌイットに 「先住民枠」 の名目で捕らせながら、日本の沿岸捕鯨にすら反対する米国の態度は典型的なダブルスタンダードだとして批判してきた。 今回の事態は、こうしたアメリカの矛盾した政策が結局自らに跳ね返ってきたものと言えるだろう。 すなわち、米国の反捕鯨政策が、鯨を聖獣扱いしあらゆる捕鯨を悪とする宗教的な反捕鯨運動を培ってきたのであり、その刃は今年ついに米国自身の首に突き刺さったのである。

 米国がもし自国の先住民枠を守りたいと思うなら、鯨を聖獣扱いする政策を根本的に見直し、あくまで資源量をベースにして捕鯨を検討するIWC本来のあり方を回復するよう努力すべきであろう。

・5月23日(木) 本日の朝日新聞の 「eメール時評」 に、ロニー・アレキサンダー神戸大教授が日本の捕鯨を批判する文章を掲載した。 

 欧米インテリの典型的な日本批判であり、自らの文化帝国主義にまったく不感症で、思考力のなさを露呈している。 言い方はかなりソフトだが、要するに欧米中心の世界秩序に従わないと損をするよ、と言っているのである。

 こういう輩が日本の国立大教授をしているのは考え物だ。 もとより外国人の研究者は積極的に雇用するべきだが、外国人なら誰でもいいというわけではあるまい。 質を十二分に吟味してから雇用するのが筋というものだろう。

5月20日(月) 本日の産経新聞のコラム 「産経抄」 でまた捕鯨問題が取り上げられた。 最近では3度目になる。 「産経抄」 の筆者は捕鯨問題にかなり関心が高いようである。 以下、全文を紹介しよう。

 《 ”寄り鯨”も食べてはいけないのか。 国際捕鯨委員会の総会が山口県下関市で始まったが、いまや鯨肉の味も知らない若い世代が増えている。 寄り鯨とは座礁して浜に打ち上げあられた鯨のこと。 昔から”海の贈り物”として大切に利用されてきた。

 この春も茨城県波崎町や鹿児島県大浦町で大量の鯨が漂着したが、海洋投棄されている。 その費用もばかにならなかった。 三月末、同じ山口県の長門市で第一回日本伝統捕鯨地域サミットというのが開かれた。 取材した水産ジャーナリストの梅崎義人氏がこんな報告をしている。

 長門市に向岸寺というお寺があり、鯨の位牌、過去帳、墓の三位一体で有名だという。 高さ二・四メートルもある大きな墓は元禄五(一六九二)年に建てられ、「業尽有情雖放不生/故宿人天同証仏果」 という文字が左右二列に彫ってある。

 捕った鯨の胎児に対するとむらいの言葉で、「業尽きし有情放つといえども生せず、故に人天に宿して同じく仏果を証せしめん」 と読む。 現代語に訳すと 「母子とも鯨としての生を終えたが、本来お前たち胎児を捕まえるつもりはなかった…」

 「むしろ海に戻してやりたいが、それをしても生き返ることはできない。 憐れな子よ、われら人間と同じ念仏回向の功徳を受け成仏してくれよ」。 墓のうしろには元禄から明治まで、母鯨のおなかから出た胎児七十数頭が埋葬されており、毎年四月、法要が営まれているという。

 梅崎さんは 「この事実を、国際捕鯨委の外国代表にさらりと伝えるべきだ」 と書いている(『天竺南蛮情報』誌五月号)。 日本人は鯨の脂や肉だけでなく、皮や骨まであまさず利用し、その死を悼んで供養した。 これが世界に類のない鯨文化だった。 

 一方、本日の朝日新聞には 「捕鯨是か非か」 というタイトルで、捕鯨推進派で日本鯨類研究所理事長の大隅清治氏、条件付き賛成派の作家C・W・ニコル氏、反対派の漫画家・岩本久則氏の鼎談が掲載された。

・5月14日 捕鯨国ノルウェーのNGO 「ハイ・ノース・アライアンス(極北同盟)」 は13日、山口県下関市で開催中のIWC(国際捕鯨委員会)年次会合に合わせ、捕鯨の正当性を訴える日本語のHPを開設した。 (以上、産経新聞の記事による情報。) 

 アドレスは、www.kujira.no

・5月9日 産経新聞でこの日から連載コラム 「日本人とくじら」 が始まった。

2002年4月

・4月28日 22日と23日の朝日新聞に 「焦点・捕鯨論争の深層」 が掲載された。 以下、簡単に批判しておく。 なお、捕鯨問題に関する朝日新聞の報道のどこがおかしいかについては、私は 「反捕鯨の病理学」 第5回で論じ、石田雅明氏のサイトに転載されているので、詳しくはそちらをご覧いただきたい。

 私の見るところ、朝日新聞は、欧米諸国の精神的奴隷なのであろう。 捕鯨問題がそもそも 「鯨を食べるのは可哀相」 という欧米人の偏見に由来することをひた隠しに隠している。 そして日本の捕鯨再開に向けた動きにことごとくケチをつける一方で、欧米の反捕鯨が偏見の産物であることに一言も触れないのである。

 欧米は捕鯨に反対するために、まず 「鯨は滅亡しかかっている」 と主張した。 それが証明されないと見ると、今度は 「鯨は頭がいい」 と言い出した。 これは一時期流行った見解だったが、最近は否定されている (石田雅明氏のサイトに転載されている私の 「反捕鯨の病理学」 第4回を参照)。 

 結局、残ったのは反対のための反対ばかりである。 捕鯨に反対する論拠は何もないのだ。 自然保護のため、というなら、CO2排出の規制を初め他にやるべきことは山ほどある。 ここにいたって、捕鯨に反対しているNGOとは、新興宗教にすがりついている人たちの集まりだと分かるだろう。

 朝日新聞はその新興宗教風のNGOの言い分をことごとく収録している。 ご苦労なことだと思う。 NGOの見解がどれほどおかしくなっているかは、最近出版された本が捕鯨頭数のごまかしを日本がしていたことを告発している、と報じているところからも分かる。 たしかにごまかしが行われていたことを事実として記録しておくのは大事だろう。 しかしここで取り上げられているのは沿岸のマッコウ鯨であり、したがって商業捕鯨が盛んに行われていた時代のものである。 沿岸の商業捕鯨が行われなくなって20年以上がたっている。 その間に捕鯨に関する規制ははるかに厳しくなっているのだ。

 つまり、現状にケチをつけられないがために、昔のことを持ち出すしかなくなっているわけだ。 それなら、なぜ理由なく捕鯨に反対する今現在の欧米人を批判しないのだろうか。 まったく摩訶不思議な精神状態と言うべきであろう。

 もう一つ、この記事で目を惹いたのは、この欄の4月1日でお知らせした、WWF日本委員会が条件付きで商業捕鯨の再開を容認したと見られたサイトの記事が、外国からの問い合わせや反発を受けて削除されたと報じていることだ。 つまり、WWF日本委員会は、欧米諸国の精神的奴隷であり、自分自身の見解を持てない、ということが明らかになったわけである。 日本でどういう種類の人間が自然保護団体に勤務しているかが、ここから推測できると言えよう。

・4月20日  捕鯨問題関連本が2冊、相次いで出版された。 私は忙しくて目を通していないが、いずれも反捕鯨派の欺瞞を批判し科学的に見積もられた鯨資源量に基づいた捕鯨の正当性を訴えた本のようである。 

 森下丈二『なぜクジラは座礁するのか――「反捕鯨」の悲劇』(河出書房新社)1600円、小松正之『クジラと日本人』(青春出版社)667円

・4月7日  国際捕鯨委員会の開催が近いせいか、最近鯨を扱った新聞記事が目立つが、本日の朝日新聞には、「クジラの座礁 なぜ? 深まるナゾ」 が掲載された。

 ここのところ日本の浜に鯨が多数打ち上げられる事件が続いているが、なぜ生きた鯨が群をなして打ち上げられるのかに関する諸説を紹介した記事である。 寄生虫説、磁場説、水温説など、いろいろあって、まだ決定的な説はないらしい。

 同時に、以前は 「海からの贈り物」 だった座礁鯨が、最近地方自治体のお荷物になっている、という事実にも触れられている。 新潟県柿崎町では明治時代に座礁した鯨の肉を売って、小学校の建設費に充てものだった。 

 以下、当サイト制作者のコメント。 なぜ鯨が座礁するかの原因も大事だが、最近座礁鯨が増えているのはなぜか、ということも問題だろう。 結論は急いで出すべきではなかろうが、捕鯨の禁止により鯨の資源量が増えているから、という考え方も当然可能である。 その鯨を食資源として有効利用することをもっと真剣に検討すべきであろう。

・4月6日  本日の朝日新聞の新潟地方欄に、「新潟の?(はてな) ――家庭で鯨汁をたべるのはなぜ」 が掲載された。 この「新潟の?(はてな)」は、朝日新聞本社で採用されて新潟支局に勤務している記者が、新潟に来て抱いた疑問を連載で特集しているものである。

 鯨の脂身を利用した煮物を作る習慣が新潟には昔からあるということを綴った、興味深い読み物である。 夏のスタミナ源として愛用されてきたという。 そのためもあって、調査捕鯨で捕獲された鯨の割当量は、新潟県は近隣の県より多いという。 この記事には、鯨汁の作り方も載っている。 

 朝日新聞の新潟地方版が見られない方で、興味のある方は、私宛にメールをいただければコピーをお送りします。

・4月5日  文芸春秋の雑誌『諸君!』の5月号に、呉善花の 「犬・鯨、食べて何がワルい!」 が掲載されている。 タイトルがすべてを物語っているが、サッカーのワールドカップで韓国の犬肉食が欧米マスコミから叩かれていることと、日本の捕鯨がやはり叩かれていることを合わせて、欧米の差別的な体質や、自然保護にとかく安易な反体制意識が入り込むことを批判した記事である。 

 著者は日本滞在が長い韓国人で、反日的立場とは違ったところから日韓問題などを論じて注目されている人。

・4月1日  本日の朝日新聞の報道によれば、世界自然保護基金 (WWF) の日本事務所 (WWFJ) が条件付きで商業捕鯨再開を認める考えをまとめ、会報に掲載する。 スイスにあるWWFの本部も了承しているという。 念のため付け足すと、4月バカではありません。 産経新聞も4日付で同じ報道をしております。

 その文面は、数が多く絶滅の心配のない鯨種は、徹底した管理制度などの条件が整えば 「商業捕鯨の再開が可能であるという論理を否定できない」 というものだそうである。

 以下、当サイト制作者のコメント。 なんともお役人みたいな迂遠な文面だが、とりあえず自然保護団体として国際的に大きな影響力をもつ団体が商業捕鯨再開の可能性を認めたのは大きな変化といえる。

 ちなみにWWFJは以前は、捕鯨は絶対イケマセンという主張をしていた。 これについては、石田雅明氏のサイト私(三浦)とWWFJとの往復書簡が掲載されており、私がWWFJの姿勢を批判した「反捕鯨の病理学(1)」も掲載されているので、ごらんいただきたい。

2002年3月

・3月30日  朝日新聞が捕鯨問題で独自に世論調査を面接で行ったとして、その結果を本日の紙面で発表した。 有効回答数は約2000人だという。

 それによると、商業捕鯨の再開には賛成が47%、反対が36%であった。 細かい内訳で見ると、男性は賛成59%反対30%であるのに対し、女性は賛成36%反対42%。 また35歳以上では賛成が半数を占めるが、20代では6割近くが反対だという。

 以下、当サイト制作者からのコメント。 先日の内閣府による世論調査とはかなり違った結果が出ているが、アンケートや調査というのは質問のたてかたなどによりかなり違ってくるもので、全体として商業捕鯨に賛成派の方が多いという事実には変わりがないと考えられる。

 若い世代は鯨肉食の体験がないのが反対が多いのだろうと朝日新聞は推測しているが、30代半ばくらいの人でも日常的に鯨肉を食べていた人はさほど多くないはず。 要は社会に出て物事をきちんと考えられるようになる年代が30代半ば以降ということではないかと私は思う。

 これは女性に捕鯨反対が多いこととも通底する事実である。 鯨を食べるのはかわいそう、と思いながら牛や豚や鶏を毎日のように食べているあなた、少し物事をきちんと考えて下さいね。 日本人女性にはもっと知的になってほしいと、私は衷心から願うものである。

 また、上の4月1日の項目と比較してみると、若者や女性が 「国際情勢」 にうといという事実が浮かび上がってくるようだ。 差別にも鈍感、と私は付け加えたいのだが。

・3月26日  本日の産経新聞の報道によると、日本鯨類研究所は25日に、北西大西洋で昨年実施した調査捕鯨で捕獲した鯨肉201,7トンを今月下旬から6月中旬にかけて全国の卸売市場で販売すると発表した。

 内訳は、ミンク鯨92,9トンとニタリ鯨108,8トン。 卸売価格は、刺身用赤身でミンクが1キロ2600円、ニタリが2900円。 いずれも前年より1〜2割安くなっている。 売上金はすべて調査捕鯨の費用に充てている。

 以下、当サイト制作者のコメント。 卸売り価格で100グラム300円弱だから、まだまだ高価と言わねばならない。 資源調査がきちんと行われ、欧米の偏見による圧力がなくなれば、恐らく捕獲量も増え、価格も下がって庶民の口にも入りやすくなるだろう。

・3月18日  本日の産経新聞の 「産経抄」 欄に、2月26日に引き続きまた捕鯨問題についての文章が載った。 以下、紹介する。

 「 内閣府の 「捕鯨問題に関する世論調査」 によると、日本沿岸の捕鯨に7割の人が 「賛成」 と回答し、「反対」 は1割にとどまった。 調査の対象は全国の成人男女5千人(回収率約69%)と広く、調査日時は昨年12月である。

 今年になって起きた鹿児島県大浦町や茨城県波崎町の漂着鯨騒ぎの後だったら、この数字の差はもっと開いただろう。 これらの浜の鯨は遠洋捕鯨の獲物ではなく、漂着鯨だった。 沿岸住民たちは昔からこれを天の恵みとし、「鯨一頭寄れば七浦笑う」 とされてきた。 

 ところがそうした食文化を無視し、水産庁通達は「生きていれば海へ帰し、死んでいれば埋めるか、焼却すること」。 昨年7月には 「食品衛生法の観点から、食用とすることは問題点も多く、適当でない」 とされ、この4月から埋めるか焼却するかを義務づけられた。

 この余計なお世話の通達がなぜ出されたか。 前にも書いたが、動物愛護運動の横車や環境保護団体の偽善の顔色をうかがい、”事なかれ主義”の産物であることは明らかだろう。 しかし欧米と日本を比べれば、生きとし生けるものの霊魂観一つとっても日本のほうがはるかに優しいのである。

 鯨とともに生きてきた沿岸の人々は、鯨の供養や鎮魂を自分たちの祖先と同じように行う民俗や信仰をもっていた。 いま中東やアフガンを舞台に起きている紛争や混乱の背景にあるものも、そうした欧米的文化観や宗教観の一方的な押しつけによることが多い。

 欧米におべんちゃらをいう愚劣な水産庁通達は、早急に改められなければならない。 漂着した鯨は食べられることによって成仏する。 少なくとも   「食品衛生上の問題は、これを食する各人の責任による」 とすればそれでいいのである。 」

・3月17日  本日の朝日新聞に、捕鯨問題に関する内閣府の世論調査が掲載された。

 昨年12月に全国の20歳以上の男女5000人を対象に実施し、回収率は69・1%だった。 鯨の資源に悪影響が出ないように管理されていれば日本の沿岸捕鯨は認められるべきだとする考えに71・9%が賛成、資源管理した上での各国の捕鯨にも75・5%が賛成だった。

 一方、欧米で主張されているような、鯨が神聖な動物だから捕鯨を禁止するという考えには553%が反対、賛成は22・6%だった。 また、鯨資源の増加能力について知っている人は15・4%だったという。

 以下、当サイト制作者からのコメント。 鯨が神聖な動物だというのは迷信そのものであり、こういう非合理的思想に共鳴する日本人が2割以上いるというのは驚異である。 おそらく迷信に共鳴するというより、欧米の主張は何でも理があるという、奴隷根性の主が多いからではないかと思われる。

 なお、朝日新聞のこの記事には、「欧米や豪州など鯨の絶滅を危ぶむ捕鯨反対国の国民との意識の違いが浮き彫りになった」 という文章がはさまれているが、彼らは鯨の絶滅を危ぶんでいるのではない。 鯨の実態について何も知らず、単に文化差別主義から捕鯨に反対しているだけである。 朝日新聞の記者の意識も、かなり遅れていると言えよう。

 その点について、同じ朝日新聞が2月27日付けで、韓国の犬肉食を差別する発言をアメリカTV番組の司会者がした、と報じていることと比較してみよう。

 この記事によれば、冬季五輪のショートトラック男子1500m決勝で、韓国の金東聖選手が失格となって金メダルを逃したことについて、米NBCの 「トゥナイトショー」 の司会者が 「金選手は怒って犬を蹴り倒し、その肉を食べているかも」 と発言、これに韓国のメディアや政治家が猛反発したというもの。

 当サイト制作者の経験だが、韓国の犬肉食を欧米が非難すると 「差別だ」 と批判するくせに、日本の鯨食について同様のことが起こると、「別に鯨を食べなくとも飢えるわけではないのだから譲ってもいいのでは」 と言う日本人がいるのである。 こういう摩訶不思議な精神構造の主こそ、差別を蔓延させる元凶ではないだろうか。

・3月7日  第1回日本伝統捕鯨地域サミットがこのたび山口県長門市で開催されることになった。

   日時: 3月21日(木・祝)午後1時〜5時

   場所: 「ルネッサンスながと・文化ホール」 長門市仙崎818―1

   主催: 長門市、(財)日本鯨類研究所     後援: 水産庁、IWC下関会議推進協議会

   プログラム(概略): 日本捕鯨史についての、平口哲夫氏 ・ 森田勝昭氏 ・ 高橋順一氏の講演。 パネルディスカッション 「伝統捕鯨から学ぶこと」、鯨料理試食、など。

  また、前夜祭もあり、3月20日(水)午後6時〜8時に、長門市湯本温泉「大谷山荘」において、鯨にまつわる伝統芸能の披露、鯨料理披露などがある。

 なお、参加を希望する方、詳細を知りたい方は、

 kuba@i-cr.jp にメールで問い合わせを。

・3月6日  本日の朝日新聞の報道によれば、水産庁はノルウェーから鯨肉を11年ぶりに輸入する方針を決めた。 輸入を決めたのはミンク鯨の赤身。 脂身は有害物質の蓄積が指摘されているのではずす。 当面、密輸を防ぐために、日本鯨類研究所と同研が鯨肉販売を委託している共同船舶に窓口を一本化する。

 ミンク鯨はワシントン条約で 「絶滅のおそれがある種」 に指定され、学術目的以外は国際取引が禁止されている。 しかし日本とノルウェーはこの決定を留保しており、取引は国際法上問題がないという立場をとっている。

 以下、当サイト制作者のコメント。 ミンク鯨は資源量が豊富な鯨で、一定量の捕獲をしてもまったく絶滅のおそれがないことは、鯨を聖獣扱いする迷信ぶかい欧米諸国を除けば誰が見ても明瞭である。 また、ワシントン条約でミンク鯨が 「絶滅のおそれがある」 範疇に組み入れられているのも、同じく非科学的な欧米諸国の政治的偏向の結果であり、今回の決定はそれを批判する精神に基づくものと言えるだろう。

 なお、輸入が密輸と絡みやすいのは、かつてはいったん鯨肉が店頭に出てしまえば、正規輸入の肉か密漁の鯨肉か分からなかったからで、この点が反捕鯨国の学者から批判されたのであるが、現在ではDNA鑑定によって正規の品かそうでないかの区別は簡単についてしまうから、もはや鯨肉取引批判の論拠とならないのは常識といえよう。

・3月3日  本日の産経新聞 「論点」 欄に、「鯨騒動、通達行政の弊害」 という阿部泰隆・神戸大教授の文章が載った。 最近、鯨の群が座礁して浜に打ち上げられる事件が目立っているが、その処理を予算規模の小さい市町村に押しつけるのは筋違いだと指摘したものである。 

 この種の処理を市町村に押しつける法的根拠は、実は昨年7月1日付けの水産庁の通達によっているのだが、法律上この通達には疑問が多いと、逐一問題点を挙げている。 

 水産庁は一考すべきであろう。

・3月2日  本日の朝日新聞の報道によれば、農水省は2月28日、北西太平洋で今夏から実施する調査捕鯨での捕獲頭数を、これまでの年160頭から260頭に増やすと発表した。

 主に日本沿岸での補食状況を調べるためである。 ミンク鯨を100頭から150頭に増やすほか、イワシ鯨を新たに50頭捕獲する。 ミンク鯨の拡大分はサンマなどが回遊する北海道沖と三陸沖で捕獲し、捕食量や魚種を調べて日本漁船との競合がどの程度あるのかを分析する。

2002年2月

・2月26日 2月になってから、日本各地で鯨の群が座礁して浜に打ち上げられる事件が続いているが、このことについて、本日の産経新聞 「産経抄」 欄にきわめてまっとうな文章が載ったので、以下紹介したい。 なお、「産経抄」 は、朝日新聞なら 「天声人語」 に当たる第1面のコラム記事である。

 「鹿児島県大浦町につづいて、茨城県波崎町の海岸にも鯨が打ち上げられた。 大浦町のマッコウクジラとは違い、こちらは小型のカズハゴンドウで、懸命な救出作業にもかかわらず大量の鯨が死んだという。

 かわいそうなことをしたが、ふびんにも死んだ鯨はどうすればよかったのか。 食料や文化の伝統のある地方なら食べればよい。 こんなことは書くまでもないだろう。 ただし、すべては自己責任が原則で、かりに腹を壊すなり何なりそようとだれにも文句や苦情をつけてはいけない。 それも当然のことである。

 鮎川(宮城県)、和田浦(千葉県)、はたまた太地(和歌山県)など太平洋沿岸の鯨とりの歴史と伝統をもつ町では、昔から鯨供養や鯨祭が行われてきた。 それは古くは勇魚(いさな)と呼ばれた鯨たちへの感謝と鎮魂の営みだった。

 人間と動物の関係でいうと、人間だけが救済されるのではない。 動物の魂も救われなければならないというところに、日本人の心優しい民俗信仰があった。 鯨は食べられることによって成仏する。 西欧にはない独特の宗教観であり、町には石の供養柱が立てられていた。

 いま水産庁は、漁網にかかったり座礁したりした鯨は、生きていれば海へ戻し、死んでいれば埋めるか焼却かを指示している。 「食品衛生上、食べるのは適当ではない」 といっているが、環境保護団体などの避難や抗議を恐れる姑息な”アリバイづくり”であることは明らかだろう。

 大浦町ではクレーン作業船などの処理費に6200万円もかけて海洋投棄をしていた。 これでは死んだ鯨も浮かばれなかったはずである。 狂牛病ならぬ恐鯨病 (漫画家・高信太郎さんの造語) で、日本人の頭はスポンジ状態になってしまったらしい。」

・2月11日 下の、2月3日で言及した問題に、本日の産経新聞 「ニュース・ウォッチ」 欄が詳細に触れていた。 座礁鯨を、生きている場合は海に戻すが、その苦労や、死んだ鯨を処理する際の大変さが説明されている。 今回鯨が打ち上げられた鹿児島県大浦町では昭和9年にも同様の事件が起こっており、その際は一部を食用にし、一部は海に投棄したという。

 以下、当サイト制作者からのコメント。 昭和9年の処理の仕方が、いうならば常識的な処理法だったと考えられる。 欧米の反捕鯨論調を気にする余り、常識が顧みられなくなったことを我々は反省すべきであろう。

・2月3日 朝日新聞に、松田恵明・鹿児島大教授の「座礁クジラ――基金創設で適切な処理を」という文章が載った。 1月にマッコウクジラが鹿児島県の町に座礁し、13頭が死んだが、その処理には多額の費用がかかり小さな町の財政ではまかないきれない。 この種の出来事はよくあるので、縦割り行政の弊害を除くとともに (現在、網にたまたまかかったいわゆる混獲鯨の処理は農水省、座礁鯨の処理は環境庁その他、と分かれている)、座礁鯨処理のための基金を創設すべきだというものである。

 以下、当サイト制作者のコメント。 松田教授の提案には基本的に賛成だが、一つだけ、座礁鯨を食用にするという視点を排除しているのがおかしいという気がする。 たしかに文中指摘されているように食中毒の原因になることもあり、座礁して時間がたった鯨は海中投棄か砂浜に埋めるかいずれかであろうが、新鮮ならば食用にして一向に差し支えないはずである。 その辺の判断は、調理法の指示をふくめ、専門家がやればよいことだ。 そのようにして肉が売れるなら、この財政難の時代、座礁鯨処理基金を維持するのにも有効なはずであろう。

・2月1日 鯨と全然カンケイないことでGoogle検索をしていたら、偶然引っかかってきたのがコレ。

 http://www.okada.de/jing/dolfin/dolfin.htm

 まったく、ドイツの大衆週刊誌のデタラメぶりと扇情的なのには呆れてしまうが、かのナチを生んだドイツの報道はあれから半世紀以上を経た今日でもレベルが高いとは言いかねる。 ま、ヨーロッパの大衆向けマスコミはどこも五十歩百歩だとは思うけれども。

2002年1月

・1月22日 朝日新聞の報道によると、調査捕鯨により捕獲されたマッコウクジラから国の規制を越える総水銀が検出された。 調査を終えた鯨の肉や皮は販売されるが、マッコウに限りみあわせることになったという。

 以下、当サイト制作者からのコメント。 魚類に比べて鯨類は海洋汚染の影響を受けやすい。 この問題は以前から指摘されていたが、今回マッコウのみが規制を上回る数値を示したというのは、恐らく汚染の影響が鯨の種類によっても異なるということなのだろうと思われる。 いずれにせよ、短絡的に鯨が食糧として不適格と捉えるのではなく、引き続き同種の調査により適合・不適合を冷静に判断しつつ、海洋汚染を防止する措置を考え、なおかつ海の健康度を測るバロメーターとしての調査捕鯨の意義を認めていきたいものだ。 鯨に比べて影響を受けにくいといっても、最終的には魚類全体に跳ね返ってくる問題なのだから。

・1月15日 産経新聞の報道によると、ザトウクジラのオスの「歌」 がジュウシマツ鳥の歌と似ているという研究発表が、日本動物行動学会において千葉大の大学院生によりなされたという。 ジュウシマツの歌を30倍に引き延ばしてみると、ザトウクジラの「歌」とそっくりで、どちらにも数種類の音を組み合わせた文法のようなものがあるという。 これはメスへの求愛歌の役目を果たしているらしい。

 以下、当サイト制作者のコメント。 実は鯨の「歌」なるものは、以前 (或いは今も) 「鯨は頭がいい」 「鯨の歌は古代の世界を語る叙事詩だ」 というような言説の根拠として、マッドサイエンティストであるジョン・C・リリーや、著名な天文学者カール・セーガンによって唱えられていた。 その実態は多分これから分かってくるものと思われるが、少なくとも鯨の「歌」が 「鯨が人間に負けない知性を持っている証拠」 どころか、鳥と同レベルの行動の一環であることが判明したと言えよう。

・2001年11月

・11月24日 本年8月の産経新聞にも同様の記事が載ったが、本日の朝日新聞に、サッカー・ワールドカップ日本韓国同時開催にからんで、韓国の犬肉食が欧米から批判されているという記事が載った。 88年のソウルオリンピックの際には外圧を気にして、ソウル市内から犬肉料理の看板を撤去した韓国だが、今回は雰囲気が違い、自国の食文化に外国が異議を唱えるのは大きなお世話だ、という姿勢である。 動物愛護団体などの抗議を受けて、国際サッカー連盟のプラッター会長が犬肉料理の追放を求めたのに対し、韓国内ではソウル五輪時とは違ってこれをはねつける構えだという。 この記事には、「これは他国の食文化に対する不当な干渉であり、白人による有色人種への人種蔑視だ」 という安龍根・忠清大学副教授の意見も収録されている。

 以下、当サイト制作者のコメント。 そもそも国際的なスポーツ団体の会長が、動物愛護団体の声を真に受けて、一国の食文化に口をさしはさむというのが極めて異常。 これが欧米の料理なら、いくらアジアやアフリカから抗議が上がっても取り上げられることはないはず。 (そもそも、アジア人やアフリカ人は、欧米の食文化に抗議するなどというアホなことはやらないだろうけど。) これは明らかに人種差別であるから、捕鯨問題で似たような状況に置かれている日本としても韓国を強く支持するべきであろう。

・2001年9月

・9月7日 本日付けの朝日新聞の 「記者は考える」 欄に、坂口智記者による 「NZ首相による異常な日本批判」 という一文が載った。 以下、最初のあたりを除いて再録する。

 7月にロンドンで開かれた国際捕鯨委員会(IWC)年次会合直前に、オーストラリア公共放送(ABC)がテレビとラジオで、「日本が捕鯨問題で途上国の票を買っていると日本政府高官が認めた」 と報道。 これを受け、クラークNZ首相が2日続けて執拗な日本批判の声明を出した。

 「買収を認めた」 と報じられたのは、水産庁の小松正之・資源管理部参事官だ。 英語で、「日本が持つ手段は、外交上の申し入れと、ODAだけだ。 日本の立場を評価してもらうのに、この2つに依存しなければならないのは当然で、何も悪いことはない」 と言ったもの。 ただし質問の方は報道されなかった。

 報道も報道だが、驚くべきはクラーク首相の反応だった。 放送当日「やはり疑っていたとおり」という趣旨の声明を出した。

 翌日、小松参事官はNZ国営ラジオの番組で、「票を買ったなどとは言っていない。 日本が約150カ国に出しているODAの基本に触れているだけだ」 と語り、「買収」 を明確に否定した。 

 だが同じく出演したクラーク首相はこれを無視、逆に、「小松氏は、禁漁区阻止ためにロビー活動をする、それに援助を使うと言った。 こんな大胆な告白は初めて見た」 と切り捨てた。 さらに、また声明を出し、「IWCへの加盟や、投票行動を左右するのに援助を使うべきではない」 と日本を批判した。

 みえみえの 「わな」 にかかってしまった小松参事官も確かに不用意ではある。 だが、クラーク首相の反応はちょっと異常だ。 敵対関係にある国ならともかく、問題とされた点を否定している友好国に対し、首相がこのような発言を公に繰り返すのは、外交上きわめて非礼だろう。

 一方、日本政府の対応も疑問だ。 在NZ日本大使館は、クラーク首相の補佐官に「説明」をしただけ、という。 小国とはいえ、英語国の強みで、同首相の発言は英語メディアに乗って即世界に広がる。 きちんと公の場で反論しなければ、非を認めたと見られてもやむを得まい。

 以下、当サイト作者からのコメント。

 今年7月のIWC年次会合のさいに、上記のような報道が英語国メディアによってなされ、日本でも朝日新聞などがこれを伝えた。 捕鯨問題についての英語国の報道はきわめて一面的であるが (英語国ばかりでなく、ドイツでの週刊誌報道も同じ)、残念ながら現在の英語中心主義の世界にあっては、どんなにデタラメな報道でも英語のニュースは早く広く伝わってしまう。 日本側としては、こうした際には、いちはやく反論を、なるべく大きな声で伝える習慣をつけなくてはならない。 昨年のオリンピックにおける柔道での篠原選手の誤審のように、どうも日本人はこの種の行動が不得手なのであるが、それを克服しなければ、捕鯨問題やオリンピックばかりでなく、国際問題で種々の不利益をこうむることは必至である。 日本的謙譲の美徳は、外国人を相手にする場合は捨ててかかることを肝に銘じるべきであろう。

ついでながら、IWCに捕鯨に関係ない国を加盟させて反捕鯨票を増やしたり、観光や貿易に不利益があるぞと捕鯨国を脅したりする手口は、反捕鯨国側がさんざんやってきたことである。 それにまったく触れずに、日本の政府高官の発言の揚げ足とりばっかりやっている反捕鯨国のメディアは、そうとうに粗雑で偏向していると言わねばならない。 

 なお、今回の坂口記者の記事は、最近あまり感心しなかった朝日新聞の捕鯨問題関係記事としては珍しくきわめてまともである。

・9月3日 本日付けの産経新聞の報道によれば、1日付のアメリカのロサンゼルス・タイムスに、日本人の鯨への畏敬の念と食材としての重要性は矛盾しないことを日本人の言葉を引用して伝える記事が掲載された。

 記事は、かつて捕鯨の町として栄えた高知県室戸での取材をもとに、敗戦後の食糧難の時代に鯨肉が日本人の蛋白源となった歴史的背景に触れる一方で、鯨に畏敬の念をいだく日本人が鯨を弔い、ヒゲにいたるまで有効利用してきた伝統を紹介している。

 また、「捕鯨は狩猟であり、肉牛を殺すよりずっと残酷性は低い」とする捕鯨関係者の言葉を引用、多くの日本人が捕鯨の再開を切望していることにふれるとともに、調査捕鯨にも反対している国際世論に対し、鯨の数は激増しており、海の生態系を崩しつつあるという日本側の主張をも取り上げた。

 さらに、捕鯨の歴史を伝える博物館の展示や、文化を継承する試みのほか、「一番恐かったのは鯨ではなく、民間環境保護団体グリーンピースによる実力阻止だった」という元捕鯨漁師の回想も伝えている。

 以下、当サイト制作者からのコメント。 アメリカの新聞も日本の新聞同様色々問題があるが、とにもかくにもこういう冷静な報道がアメリカの新聞でなされたのは結構なことだと思う。 

・9月2日 1カ月遅れで申し訳ないが、8月7日付の産経新聞・「こどもの本」欄に捕鯨に関係する図書が紹介されたので、ここに要約の形で再録しておきたい。

 小島曠太郎、えがみともこ著『クジラがとれた日』(ポプラ社、1300円)である。 舞台はインドネシア・レンバタ島ラマレラ村。 ここでは400年前から手こぎの船と銛だけで、クジラ漁を行っている。 マッコウクジラの潮吹きが発見されると村人たちは船をこぎだし、クジラと人との勇壮な闘いが繰り広げられる。 写真絵本なので、臨場感も素晴らしい。 闘いのシーンだけでなく、村人の伝統的なクジラへの畏敬と共生とが語られる。 クジラは捕獲されると解体されて、捨てるところなく村中に配分される。 「村で一番幸せな日」を迎えた人々のにぎわい。 著者は10年に渡ってこの村を訪れ、この見事な絵本を完成させたという。 小学校初級以上。

 以下、当サイト制作者のつけたし。 小島曠太郎氏はインドネシアを中心にフィールドワークを行っている鯨民俗学者ともいうべき方で、同じ題材で大人向けの本も書いている。 小島曠太郎・江上幹幸『クジラと生きる――海の狩猟、山の交換』(中公新書、1999年、920円)である。 捕鯨文化について深く考えてみたい方にお薦めする。

 

・2001年8月

・8月28日 本日の産経新聞の報道によれば、サッカーの2002年ワールドカップを共同開催する日本と韓国の食文化が、本日から札幌で開かれる国際サッカー連盟(FIFA)と日韓両組織委員会の3事務総長会議の席上で論議されることになりそうだという。 

 食文化とは日本の鯨食、韓国の犬肉食のこと。 韓国サッカー連盟委員会の李載俊スポークスマンは、「正式な議題ということではないが、この問題について話があるだろう」と、FIFAからの働きかけで今後の対策などを話し合うことを明らかにした。 FIFAやワールドカップのスポンサーには、動物保護団体、環境保護団体などからの抗議が入っているという。 韓国の犬肉食は欧米からの非難を受けることがしばしばあり、ソウルオリンピックの際には、ソウルでは政府の指示で犬料理を出す店の看板が姿を消したこともある。  

 以下、当サイト制作者からのコメント。 牛や豚や鶏の肉を食べているくせに、鯨や犬の肉を食べるのに文句を付けるのがどれほど奇妙か、分からない欧米人がかなりいるということを、我々は肝に銘じるべきであろう。 こうした差別意識が、国際スポーツ大会の議題になるということ自体、いかに現在の世界が19世紀の植民地主義時代と変わらぬ欧米中心主義に染まっているかが分かる。 日本も韓国も、スポーツ大会に関する会議で食文化が議題になるということ自体がおかしいと、断固とはねつけるべきであろう。

・8月25日 昨24日付産経新聞の報道によれば、大日本水産会や全国漁業協同組合連合会など水産関係31団体が、来年4月に下関市で開催されるIWC年次会合に向けて、鯨など海洋生物資源の持続的利用を訴えていく「IWC下関会議推進協議会」を設立した。会長には、捕鯨を守る会の米沢邦男会長が就任。 海洋生物資源の保全と持続的利用、各国の食文化の尊重などを基本原則として活動していくことを決定した。

8月20日 私は日本海セトロジー研究会という、鯨のことを調べる学会に昨年から所属しているのだが、今日、以下のようなメールが会員あてに日本鯨研から送られてきた。 日本で混獲鯨を食用肉として利用することが可能になったという話は今年6月のこの項でもお知らせしたが、これが密漁などの不正につながらないよう、きちんとデータの収集が図られるので、それに協力していただきたいという通知だ。 日本での鯨肉利用がこのように不正防止に努めた上で行われていることを知っていただきたいと思うので、以下に転載する。

各位

すでにご存じの方も多いかと思いますが、7月1日より鯨類の取り扱いに関する省令
が改訂施行されました。この改訂により、許可を受けた者以外のひげ鯨類(日本にお
いてはヒゲクジラ全種とマッコウクジラ)の捕獲及び販売が罰則つきで禁止されまし
た。一方、定置網で混獲されたひげ鯨については、水産資源保護法対象種(日本にお
いてはシロナガスクジラ)を除き、規定に従ってDNA登録を行えば販売が可能にな
りました。
省令の内容、特に定置網混獲鯨類の肉流通については、様々な立場の人たちの意見が
多数あるかと思いますが、問題はこの省令改訂とそれに伴う通達が、現時点で必ずし
も個々の漁業者に徹底していないことです。日本鯨類研究所では日本定置漁業協会や
全漁連などとともに情報の普及に努めていますが、罰則のある法律だけに、混獲され
た鯨類を漁業者が規則を知らずに処理して違反行為を問われる可能性も否定できませ
ん。
混獲(定置網のみ)された鯨類の販売には所定の手続きが必要です。また全国の鯨類
混獲の実態を把握するためにも届け出は不可欠です。皆様の周囲で、もしひげ鯨類の
混獲等の情報を耳にしたり、処分について問い合わせを受けましたら、省令に基づく
正しい取り扱いが行われるように注意を喚起していただければ幸いです。

省令及び通達の詳細についてはまたは都道府県の水産担当係あるいは水産庁遠洋課捕
鯨班までお問い合わせ下さい。
定置網混獲された鯨類の処分手続きについては、以下のマニュアルを参考にして下さ
い。
http://www.icrwhale.org/pdf/higekujira.pdf


財団法人 日本鯨類研究所
調査部 採集調査室

・2001年7月

7月28日 IWCの総会が27日に閉幕した。 とりたたて大きな前進はなかったが、鯨資源の持続的利用を支持する加盟国が若干増えたのは喜ばしいことである。 いっぽうで、アイスランドのIWC再加盟をめぐって紛糾するなど、捕鯨国と反捕鯨国がいわば世界観的に相容れないということは一層鮮明となった。 反捕鯨国の態度は、鯨を聖獣扱いする時代錯誤的なものであり、世界各地に押しつけ的な布教活動をしたキリスト教の悪しき側面を受け継いでいると言える。 その意味で、捕鯨問題をめぐる紛争は、宗教戦争の色彩を帯びてきたと考えられよう。

7月21日 小松正之(編著)『くじら紛争の真実』(地球社、1900円)が出た。 捕鯨問題について、あらゆる方面から正しい知識を与えてくれる貴重な本だ。 正確には今年の4月末に出ているのだが、私は一ヶ月遅れで知って注文し、届いたのは6月になってから。 野暮用にかまけて積ん読になっていたのだが、ようやく読むことができた。 詳しくは【捕鯨問題関連文献(1) − 捕鯨問題そのものを理解するために】をご覧いただきたい。

・2001年6月

6月15日  朝日新聞の報道によれば、来月から定置網にかかった混獲鯨について、農水省はDNAを登録した上で鯨肉を市場に流通させることを決めた。 従来は、生きていれば網から逃がし、死んでいれば埋め、例外的に地場での鯨肉としての消費は認めるとの立場をとっていた。 IWCは混獲鯨の流通は違法としていないが、混獲鯨の消費は密漁につながるという反捕鯨派の批判があったため、慎重な態度をとらざるを得なかったわけである。 しかし一口に「網から逃がす」といってもかなりの労力と経費負担があるため、DNA登録で密漁鯨肉との区別を明確にした上で、販売を認めることにしたもの。

 以下、当サイト制作者からのコメント。 偶然網にかかった鯨を鯨肉として消費するのは当たり前のことなのだが(韓国でもそうしていることは、下の今年2月の書き込みを見られたい)、反捕鯨運動がその当たり前のことを妨げていたというのが実状である。 ようやく正常な状態に戻ったわけだ。 ちなみに、浜に鯨が打ち上がった際にも同様の問題が生じる。 最近、そうした場合に鯨を救えとする人々が一部で活動しているが、私は海からの恵みはありがたく食品として利用させていただくのが合理的だと思う。 シロナガス鯨のような希少種なら別だが、日本の浜辺にシロナガス鯨が打ち上げられる、ってなことは、まずあり得ないよなあ(笑)。

・2001年5月

5月28日  出たばかりの、日本捕鯨協会発行のパンフレット「勇魚通信」第10号(2001年5月発行)から、目に付いた記事を紹介しよう。

 (1)今年1月に谷津農水相とミネタ米商務省長官が会談した際、捕鯨問題も話題に上がったが、谷津農水相は米国が「絶滅に瀕する」としているマッコウ鯨について、米国商務省所属機関のHPに「全世界に200万頭以上生息している」と記載されていることを指摘し、米国の反捕鯨政策の矛盾を指摘した。 すると、翌日から当該HPの記述が削除されたという。 米国がいかに非科学的でしかも正確なデータを歪曲しようとしているかが、ここからも分かる。

 (2)ノルウェーからの鯨肉輸入について、鯨肉の国際取引は禁止されているのでは、という疑問に、法的に問題ないことを説明した記事が載っている。

 たしかに、IWCの管理対象である鯨はすべて、ワシントン条約(絶滅の恐れのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)の附属書T(国際取引を禁止する種)に掲載されている。

 しかし、同条約第23条は、特定種の附属書掲載について、締結国に留保する権利を認めている。 その場合、留保した国同士は当該種の取引を合法的に行える。 日本とノルウェーはミンク鯨について附属書への掲載を留保しているため、取引は条約違反とはならないわけである。

5月17日  朝日新聞の報道によれば、日本の調査捕鯨に対してアメリカが貿易制裁を検討するとした問題で、日本の農水省は、米国が対日制裁を発動した場合はWTO(世界貿易機関)への提訴を含め国際ルールに従って対応するとの見解を発表した。

5月15日  朝日新聞と毎日新聞のインターネットニュースによれば、アメリカ国務省のバウチャー報道官は、日本の調査捕鯨出航に抗議し、貿易制裁を検討すると述べた。 米国内法で絶滅の恐れがある種とされているニタリ鯨とマッコウ鯨が調査捕鯨の対象に入っているためだ。 昨年も米国からは同じ様な抗議が寄せられたが、貿易制裁は見送られた経緯がある。

 以下、当サイト制作者からのコメント。 地球温暖化防止策にはエゴイスティックな態度をとっているくせに、絶滅の恐れもない鯨種を勝手に絶滅の恐れありと指定して他国に圧力をかけてくる米国の態度は、この国が差別主義者そのものであることを証明している。 文化差別主義丸出しの米国を糾弾しようではないか!

5月7日  捕鯨問題サイト「Whaling Library」の主である石田さんから、メールで問い合わせをいただいた。 最近出た内田康夫の『鯨の哭く海』なる推理小説が捕鯨問題に触れているそうだがどうか、というのである。 私は、ヒドイ作品だとお教えしておいた。

 「読書月録2001年」の4月の項でも少し触れておいたが、以下、この推理小説を批判することにしよう。 ネタバレがあるので、それが嫌な方は以下を読まないで下さい。

 まず、犯人と被害者の設定が驚くほど図式的。 日本の捕鯨を擁護する東大出の官僚は殺人犯、反捕鯨派の私大出の新聞記者は官僚に殺される被害者だというのだから。 「東大出と私大出? そんな学歴話、くだらないじゃないか」と思うでしょう。 私もそう思うが、作者の内田康夫がそういうふうな書き方をしてるんだから仕方がないのです。 おまけにこの新聞記者は、東大法学部教授で「東大以外は大学にあらず」という信念の主である父親に圧迫されて育ったという設定になっている。 その私大出の正義漢の新聞記者が、捕鯨の町・太地に取材に行って捕鯨業者の娘と恋愛して結婚を希望した挙げ句に殺される――いくらなんでも図式が通俗的過ぎるぞ!

 この東大出と私大出という通俗的な設定は、探偵役の浅見光彦と、彼の情報源である(そしていざというとき彼を守ってくれる権力の楯でもある)実兄との間にもそのまま当てはまる。 こういうことはあんまり書きたくないが、作者・内田康夫自身が私大(東洋大)出であり、なおかつ人間理解が浅いところから出てきたものではないかと考えざるを得ない。

 念のため。 東大法学部出でどうしようもなく鼻持ちならない人間と会った経験は私にもある。 しかしだ。 私大出で同門同士で徒党を組む以外に能のない救いがたい輩も見てきているぞ。 要するに東大出だろうと私大出だろうと、ダメな奴はダメであり、まともな奴はまともなのだ。 内田康夫は65年以上生きてきてその程度のことも分からないのか?

 そしてだ。 東京の新聞社から地方の、捕鯨によって生きている町にやってきて、反捕鯨的な記事や写真を中央や外国に向けて流し続ける「正義漢」の新聞記者が、いうならば私大出から見た東大出と同じ存在だということに、内田康夫は気づかないのだろうか? 内田はそれを隠すために、殺人犯の東大出の官僚は太地町の出身だという設定にしているのだが、それじゃ高卒で捕鯨船に乗った漁師はどうなんだ? それとも私大出は東大出に対しても高卒に対しても正義漢でいられるオールマイティの存在なのかね? 

 この作品では、日本がノルウェーから鯨肉を輸入することになったことを、密約と称して、それを取り持った覆面団体があって殺人事件に絡むという設定になっている。 要するに捕鯨に賛成する側には密約や陰謀があるという書き方だ。 一方、IWCの歴史に、反捕鯨団体の、カネに物を言わせた無茶苦茶な圧力が長年にわたって続いてきたということには全然触れていない。

 内田は昭和9年生まれだから、鯨肉によって育った世代であり、捕鯨問題の歴史もリアルタイムで知っているはずである。 にもかかわらずそうした形跡は作品からは読みとれない。 多分、時代の思潮と自分なりに格闘して思想を形成したりはしないタイプの人間なのだろう。 (別の言い方をすれば、戦争が終わった途端、戦争はイヤだよなあと大声で言い出すようなタイプの人間だということだ。)

 欧米を中心とした国際政治や文化の、帝国主義時代からの上下秩序は今に至るまで続いており、捕鯨をめぐる価値観の争いもその一環としてある、というようなことは、多分内田康夫には言っても分かるまい。 鯨の親子が心温まる存在だなどと作中書き、牛の親子や豚の親子や羊の親子には全然想像力が働かないらしい彼のオツムには、分かりやすく、こう言った方がいいだろう。 

 「内田康夫よ、現在の世界秩序では、反捕鯨派の欧米とは東大出であり、捕鯨文化を守ろうとする日本やノルウェーは私大出なのだよ。 君は私大出を擁護したいんじゃないのか? どうして東大出を讃美する作品を書いてしまったんだね? 君らしくないんじゃないか。 それとも君も、浅見光彦が兄貴の家に居候しているように、実は東大出に頼り切った存在なのかな?」

 叩くべき対象がバカバカしすぎると、批判の方も何だかバカバカしくなりますね。 失礼しました。

 後日記: 5月16日の朝日新聞インターネットニュースによると、高額納税者番付2000年分で、内田康夫は作家部門5位に入ったそうである。 前年は2位だったという。 こういう知性と無縁な作家が長者番付に載る日本の知的風土に、私は絶望感を覚える。

・2001年4月

4月21日  朝日新聞に笠松不二男・東大大学院客員教授の論考が掲載された。 地球温暖化防止のための京都議定書に対して、最大の二酸化炭素排出国であるアメリカが不指示を表明したという、最近話題になっているニュースと鯨との関連性を指摘したものだ。

 1999年、米国カリフォルニア半島からアラスカにかけて、大量のコククジラが座礁して死んだ。 報告されているだけでも、通常の年の2倍以上の274頭だった。 この鯨は一時期資源量が激減していたが、米国の保護政策で数が回復したとされる種類である。

 米国とメキシコの研究者の調査では、これらのコククジラは餓死であったという。 この鯨は冬をカリフォルニア半島沖の温暖な地域で過ごし、初夏から秋にかけては北の北極海などでエサをあさる。 この極地でのエサ(エビ類)不足が大量死の原因だというのである。 そしてエサとなるエビ類が減少したのは、コククジラの個体数の増加と、地球温暖化による水温の上昇のためだと研究者は指摘しているという。

 笠松教授は、反捕鯨を自認する米国が、京都議定書不支持という、鯨類の保全を危うくする決定を下した矛盾を批判している。

 以下、当サイト制作者のコメント。 米国の政策は、反捕鯨であれ、京都議定書不支持であれ、要するにエゴイズムの産物に過ぎない。 「鯨を可愛がりたい」という欲望と、「二酸化炭素を存分に排出して贅沢な暮らしをしたい」という欲望は、実は同じものなのだ。 たまたま前者は環境保護につながるように見えたが、実際は他文化への不寛容と自国中心主義がドッキングしたものだった。 それが、今回の、京都議定書への米国の態度で暴露されたわけである。 反捕鯨は環境保護だ、という錯覚はこれで完全に根拠を失ったと言えよう。

 なお笠松教授には、村山司氏との共著で『ここまでわかったイルカとクジラ』(講談社ブルーバックス)という廉価な著作がある。

4月16日  産経新聞の報道によれば、かつて捕鯨基地として栄えた下関市の鯨料理店「下関くじら館」が、昭和50年創業時の人気メニュー「クジラ・カツカレー」を一ヶ月限定で復活させた。メニューから消えたのは20年前で、捕鯨への圧力が強まり鯨肉の供給が縮小し値段も高騰したためであった。 今回は下関市に新水族館がオープンしたのに合わせて特別に復活させたという。 値段はサラダ付き800円。

4月14日  朝日新聞の報道によれば、来日中のクラーク・ニュージーランド首相と会談した中で谷津農水相は、7月に予定されているIWC(国際捕鯨委員会)会合でNZが提案を予定している捕鯨禁止海域案について、「非科学的な提案は控えるべきだ。 鯨類の利用を全面的に否定するのは文化の多様性に対する寛容を欠いている」と述べた。 クラーク首相からは明確な回答はなかったという。

・2001年3月

3月11日  朝日新聞の報道によると、過日の、米国原子力潜水艦が日本のえひめ丸を沈没させた事件に鯨が絡んでいたらしい。 といっても鯨を避けようとしてえひめ丸にぶつかったというような話ではない。

 原潜では、同乗していた民間人に鯨などの鳴き声を聞かせるためにソナー(海中音波探査装置)の記録装置を使い、聞き終わった後、新しいテープを入れるのを忘れていて記録が残っていなかったという。 ソナーは航行中は作動を続けるものとされており、この失態は民間人サービス優先的姿勢を示すものだと言えそうだ、という。

 以下当サイト制作者からのコメント。 鯨の声を聞くというのは、ホエールウォッチングとならんで米国で流行っている「鯨利用法」である。 それ自体は別段どうということもないものだが、反捕鯨団体から「鯨を殺さずに利用しよう」というイデオロギー的宣伝に利用されることがよくあり、その意味では背後の怪しげな理論に注意すべきという点で新興宗教と似たところがある。 それが軍隊の潜水艦にまで及んでいるというのは、米国の鯨イデオロギーの根深さを暗示しているし、またソ連崩壊後軍隊が存在価値をアピールするために相当民間人にゴマをすらないといけなくなっているという側面を垣間見させるものとも言えるだろう。 

・2001年2月

2月17日   産経新聞に「韓国クジラ事情」という面白いコラムが載ったので紹介しよう。 韓国も昔は捕鯨国だったのだが、反捕鯨の波に抗しきれず現在は捕鯨から撤退している。 しかし鯨を食用にする習慣が完全になくなったわけではないらしい。

 黒田勝弘記者のこの記事によると、韓国東海岸沖の日本海で最近、魚をとる定置網にミンク鯨が引っかかるケースが増えている。 日本海の鯨資源が増えている証拠である。 そして網に引っかかった鯨は業者に引き取られて食肉として市場に出る。

 以前、韓国の捕鯨基地だった長生浦(慶尚南道)には、鯨を食べさせる店が何軒か細々と営業を続けている。 黒田記者は10年ぶりに現地を訪れて、捕鯨船の砲手だったオヤジのやっている店に行ってみたという。 オヤジは昨日入荷したばかりだという鯨の刺身を出してくれ、それが大変美味だったと黒田記者は伝えている。

2月15日   朝日新聞の報道によればノルウェーからの鯨肉輸入に際して、DNA登録システムを導入する方針であることを水産庁は明らかにした。 これは市販される鯨肉が密漁によるものではないか、との疑いを払拭するためである。

 以下は当サイト制作者からのコメント。 過去に反捕鯨国の科学者が来日して、市販されている鯨肉のDNAを調査したところ密漁品だと分かったとの報道が何度かなされているが、そのほとんどは誤報である。 反捕鯨国の科学者は合法的に捕獲された鯨に関する知識を十分に持ち合わせていないために、勝手に密漁鯨だと思い込んで公表し、また報道機関もそれを鵜呑みにして誤報を流しながら、後で誤報と分かっても訂正しない場合が多いのである。 このように捕鯨に関する報道には少なからぬ問題が隠されていると言える。  

・2001年1月 

1月31日  産経新聞1面に連載されている「21世紀まずこれをやろう」シリーズの7回目として、捕鯨問題が取り上げられた。 現在、ごく一部を除いて絶滅寸前の鯨は存在しない事実を指摘した上で、IWCの現状を打破するために様々な方式が考えられるとしていくつかの可能性が検討されている。

1月23日  朝日新聞の「論壇」に金子熊夫の捕鯨問題に関する意見が掲載された。 内容は金子自身が昨年末の『論座』誌に書いたものと同工異曲だから、金子についての私の見解は昨年の捕鯨問題最新情報を見ていただきたいが、一つだけ言っておくと、この意見は「投稿」として掲載されているのだが、自社のオピニオン誌に同じ問題について論考を掲載させたその人物の同じような意見を、「投稿」として採用するのは、「論壇」が馴れ合いの場だという疑いを読者に抱かせるもとだと思う。 朝日新聞はその程度のことにも気づかないのだろうか?

1月19日  昨日の新聞報道によれば、ノルウェーは商業捕鯨で捕獲した鯨肉の輸出解禁に踏み切ると発表した。 日本企業4社が計130トンの買い付け契約を済ませたという。

 ワシントン条約で鯨肉の商取引は禁じられているが、ノルウェーと日本はこの取り決めを留保している。 ノルウェー漁業相は、世界的に鯨資源は増えており、自然保護と資源の有効利用を両立させるべきだと語った。 (以上、朝日と産経の報道による。 両紙の報道は共同通信に依っているためか同内容。)

1月1日   昨年夏から、日本の調査捕鯨拡大をめぐって、アメリカが経済制裁などの措置をとるかどうかが問題になっていたが、クリントン大統領は00年12月28日、制裁措置を見送り、今後の処理をブッシュ政権に委ねる意向を明らかにした。 ただしクリントンはその際、「日本の捕鯨の習慣をやめさせねば」と語ったという。 (以上、産経新聞00年12月30日付による)

 クリントンみたいな、文化差別主義丸出しの欧米人の思考をやめさせるべく、われわれ日本人も頑張りましょう!

・2000年12月

 今月発売の雑誌『中央公論』1月号に、村田良平「〈反捕鯨〉アメリカに直言する」が掲載された。 反捕鯨NGOの問題点やアメリカの独善性を理路整然と指摘した、たいへん素晴らしい論考である。 『中央公論』誌は、捕鯨問題が全世界的に燃えさかっていた1986年に小松錬平氏の正統的な捕鯨問題論考を載せた実績がある。 さすが伝統ある総合誌だけあって、捕鯨問題に対する見識の高さを感じさせると言えよう。

 これに比べると、先月出た『論座』12月号に載った金子熊夫「さらば、〈捕鯨〉エゴイズム」は、版元の朝日新聞社がいかに見識が低いかを改めて印象づける内容であった。 ただし、この論考はタイトルから想像されるのとは若干違い、鯨の資源量や従来の捕鯨問題における欧米諸国の不当な態度という点では正しい認識を示している。 ま、それはそうだ。 誰が見たってこの辺は否定できないもんね。 ところがその後、捕鯨を続けては国際的なイメージダウンになるから 「米国に押されてしぶしぶではなく、自分から進んで捕鯨から名誉ある撤退をする」 という、はなはだ非論理的な主張に飛躍してしまうのである。 さすが朝日新聞御用達と皮肉りたくなる結論ですね。 おいおい、仮に「自主的に」捕鯨から撤退したって、誰もそう見てくれないよ。 欧米からは「日本は我々の価値観に順応してきた。 我々はやはり正しかった」と言われるだけだぜ。 朝日新聞御用達には、この辺の感覚が完全に抜け落ちてるんだよね。 救いようがないねえ。

 何はともあれ、『中央公論』と『論座』の格の違いは、これで改めて白日の下にさらされたね。

・2000年10月

 10月31日 先日発売された隔週刊誌『SAPIO』に捕鯨問題関係記事が載った。 まあ、さほど新味ある内容ではないが、むしろ「日本はこうして悪玉にされる」という特集記事で、日本からの情報発信をきちんとやれと訴えたスティルマン美紀恵・大阪大教授の意見が刺激的であった。

 【捕鯨問題関連文献(2) − 付随する問題を考えるために】に新しい記事を追加しました。 田中淳夫『「森を守れ」が森を殺す』で、感傷的な自然保護運動の誤りを指摘した好著です。

 10月17日 ようやっと「捕鯨問題関連文献(1)――捕鯨問題そのものを理解するために」を掲載しました。 まだ紹介冊数が少ないが、後日を期待して下さい。

 10月10日 石田さんのサイトに私の雑誌『nemo』第7号掲載の「反捕鯨の病理学(第5回)」が転載された。 今回は「捕鯨問題報道に見る朝日新聞の堕落」である。 最近の調査捕鯨騒動で、朝日新聞の報道がおかしいと感じている人は是非お読み下さい。

・2000年9月

 9月30日 朝日新聞におかしな記事が立て続けに載った。 まず25日付のEメール時評欄であるが、霍見芳浩がアメリカのアジアへの差別意識を論じた文章の中で捕鯨問題に言及し、日本が「国際規約違反の捕鯨をやるからアジアへの偏見が助長される」というのだが、トンデモない話。 調査捕鯨はIWCで認められた正当な権利で、国際規約に全然違反していないのだ。 この人、ものを知らずにバカなことを言う癖のある人だとかねてから思っていたが、ここにきて馬脚をあらわした。 これでNY市大教授が勤まっているそうだから、アメリカの大学もレベルは・・・・なんだね。

 そして27日には村田泰夫編集委員による捕鯨問題を扱った「ニュースの視点」が載ったが、これは朝日新聞編集委員の見識を疑わせる内容だ。  アメリカの偏見を偏見として批判せずに同調することで「誇りと名誉」を得よう、というのだから、アンタ学校で何を習ってきたの、と言いたくなる。 他人の偏見には低姿勢で媚びよ、って教わったのかね。 こんな論考を載せるようでは、朝日も完全にダメになったね。

  9月21日 産経新聞は捕鯨問題について引き続き注目すべき記事を載せている。 産経には「世界は日本をどう伝えているか」というコーナーがあって、日本に関わる特定の問題を外国の新聞がどう報じているかを紹介している。 ここに千野鏡子記者による「鯨摩擦」が、9月19日と20日の二日間にわたって掲載された。

 これを読むと捕鯨問題に関する英米紙の硬直した姿勢がよく分かるが、同時に注目すべきは、フランスのル・モンド紙が日本の姿勢にそれなりの理解を示していることだ。 これは言ってしまえば当たり前なのだが(捕鯨問題に関して、反捕鯨派の言い分にまともなところは毛筋ほどもないのだから)、まともな報道が少数派であるというところに捕鯨問題の核心がある。

 ちなみに10年前にIWCを脱退したかつての捕鯨国アイスランドが捕鯨再開の意志を固め、IWCに再加入の意向を示しているという。

 これに比べると朝日新聞はあいかわらずどこかズレている。 9月20日にようやくこの問題について社説「気長に説得しよう」を掲載したが、なんかフヤけた文章だし、18日には声欄にはヘンな老人の意見が掲載された。 朝日って、何かが狂っている。

 9月14日 かねてから新聞報道などでご存じのことと思うが、日本の調査捕鯨が、従来のミンク鯨に加えて、新たにマッコウ鯨なども対象に加えることに対して、アメリカ側は制裁措置をとる構えを見せている。 産経新聞は9月4日付の「主張」(他紙の社説にあたる)に「日本の調査は正当な権利」という題の論説を載せ、日本の調査捕鯨の正当性とアメリカの対応の異常さを指摘した。

 一方朝日新聞は、アメリカの対応を伝えるだけでさっぱりこの問題に対する自社の姿勢を示さない。 かねてから私は朝日新聞の捕鯨問題に対する奇妙な姿勢を批判的に見ていたが、今回の対応もこれを裏付けるものだ。 この点について興味のある方は、『nemo』第7号の「反捕鯨の病理学」第5回をごらん下さい。

 ちなみにアメリカのニューヨークタイムズやワシントンポストなどの新聞は日本の調査捕鯨に批判的な社説を載せたらしい(確かめようとしたが、我が新潟大学の図書館にはニューヨークタイムズは1〜2カ月遅れでしか入らず、ワシントンポストに至っては入れてすらいない。情けないなあ・・・)が、これはアメリカの高級紙がどれほどアテにならないかを端的に示すものと言えよう。

・2000年7月

 7月31日 3日前、27日の産経新聞に論説委員・萩原征三郎による捕鯨問題記事「クジラと人類、共生は可能」が載った。 内容は省略するが、来年のIWC総会が下関で開かれることに言及して、「日本の豊かな食文化を節度ある行動で訴えようではないか」と結んでいる。 これは、今年のオーストラリアでの総会で、オーストラリアの子供たちが反捕鯨のアピールに動員されていたことに関連して述べられているのだが、こういう反捕鯨国のやり口を見ると、どうしてもナチみたいという言葉が私の口をついて出てきてしまうのである。 松田さん、すみません。(「当サイトへのおたより」7月6日を参照。)

 また、一昨日の毎日新聞インターネットニュースによれば、日本は北西太平洋の調査捕鯨で、従来のミンク鯨に加え、ニタリ鯨50頭とマッコウ鯨10頭の捕獲を行う計画を発表した。 これについて、WWF(世界自然保護基金)は米国政府に日本への経済制裁を要請したという。

 わたしはかねてから、自然保護団体が自然保護の名目で、特定の動物のみを可愛いとする動物差別主義を喧伝するのは、文化差別主義・民族差別主義を喧伝するのと同じだと考えている。

 WWFは自然保護団体として世界的に名の通った巨大な組織だが、その組織が民族差別を煽っているのは、これまたナチと変わりないのではないか。

 最近、企業イメージを高めようと、WWFなどに寄付していることを売り物にする会社が多いが、私は、WWFのような差別的な団体に寄付するのをやめるよう企業や個人に訴えかける運動を始めたらどうかと考えているのだけれど、どうでしょうか。 皆さんの意見をお聞かせ下さい。

 7月20日  数日前、またまた捕鯨問題に言及したメールをいただきました。 ご本人の了解を得て「当サイトへのおたより」に収録しておきました。 ごらん下さい。 

 一昨日、7月18日、久しぶりに朝日新聞に捕鯨問題を論じたまともな記事が載った。シドニー支局・坂口智記者による「歩み寄らない反捕鯨国」であるが、そこに恐ろしいことが書かれている。

 「科学的根拠が示すように、日本人とノルウェー人の人口が持続可能なレベルに達しているというなら、彼らの捕獲を始めるべきではないか」という投書が、IWC総会中、オーストラリアの有力紙投書欄に載ったというのである。

 日本ならこんな投書が有力紙に載ったら大問題で、投書を載せた記者はまずクビだろうね。 それを載せてしまうオーストラリア有力紙の知的レベルが推測できる。 野蛮と言うしかない。

 反捕鯨論者の正体が、ここからも分かるではないか。

 7月11日  昨日、また捕鯨問題に関してご意見をメールで頂戴しましたので、ご本人の了解を得て「当サイトへのおたより」に収録しておきました。 ごらん下さい。 自称環境保護論者のいかがわしさ、欧米の卑劣な差別意識など、参考になる内容です。

 7月9日 すでに新聞報道でもご存じのとおり、オーストラリアで開催されていた今年のIWC(国際捕鯨委員会)の総会が終わった。

 反捕鯨国が狙っていた南太平洋のサンクチュアリ案は否決されたが、捕鯨国側の要求は例年と同じで通らず、膠着状態が続いている。

 最近、必要があってナチス時代に反ナチスの闘士として戦ったドイツ作家の自伝(第二次大戦直後に書かれたもの)を読んでいるのだが、ヨーロッパ中心的な見方に唖然とすることがある。 有色人種はよろこんでヨーロッパの臣下となり、英仏の植民地帝国は平和裡に運営されている、なんて書いてあるのだ。

 当時は良心的な知識人とか社会主義者といっても、ヨーロッパ人は所詮この程度の認識しか持っていなかったのだね。 これは現在の捕鯨問題にも通じる、ヨーロッパ人のトロさと言ってもよかろう。 

 ところで、数日前、石田さんのサイトで私の捕鯨問題記事を読んだ方おふたりから、相次いでメールが届いた。 了解を得て「当サイトへのおたより」欄に転載したので、ぜひ見ていただきたい。 勉強になる内容ですよ。

・2000年5月

  5月2日 先週の「週刊文春」に続いて、「週刊新潮」5月4日・11日合併号に捕鯨関係記事が二つ載った。 まず目次の下にある「代表質問」の欄で、水産庁資源管理部遠洋課長の岡本純一郎氏が、鯨資源は世界的に増えており、捕鯨禁止を緩和することは緊急の課題だと、具体的な数字を挙げて説明している。

  また、ジェームズ三木が連載「ヤバイ伝」で鯨の話を取り上げている。 クジラを食べることがイケナイとする西洋人の身勝手を批判し、日本やノルウェーの捕鯨を応援するという内容だ。

・2000年4月

  4月22日 「週刊文春」4月27日号に捕鯨関係の記事が二つ載った。 水澤潤(生活経済アナリスト)の「激増するミンククジラに今こそ適切な頭数管理を」と猪瀬直樹の「洗脳された日本人――なぜクジラを捨てるのか?」である。

  前者は、南氷洋のシロナガス鯨が、餌を同じくするミンク鯨の激増のために資源量を回復できないでいるのではないかという科学的推測を紹介した上で、南氷洋の捕鯨再開の正当性を訴えている。

  後者は、先頃静岡県の海岸にマッコウ鯨が打ち上げられて、結局海に戻すことができないまま死んでニュースになったのだが、現在の日本はその肉を利用することもままならず(市販すれば2000万円程度にはなるという)、浜に埋めなくてはならない。 外国からの批判がうるさいからだ。 埋めたりして処理するのにだって相当な費用がかかるのに。 なのに若いマスコミ関係者は欧米の偏見丸出しの反捕鯨思想に洗脳されていて、「まさか食べたりしないでしょうね」と繰り返したという。 こうした若い日本人の思想的自立性のなさを、猪瀬氏は鋭く批判している。

  なお、「週刊文春」の記事については匿名のメールで教えて下さった方がいた。 ありがとう。 私も木曜の新聞広告で気づいたのだけれど、新潟は週刊誌の入荷が首都圏の一日遅れで、おまけにどういうわけか金曜日に生協書籍部に行ったのに「週刊文春」は(週刊新潮もだが)見あたらなかった。 しかたなく翌土曜日(生協は休み)、昼飯を食いに数キロ先のラーメン屋までクルマで出かけたついでに街の本屋に寄って買ってきたのです。

  4月15日 宝島社新書から小松正之『クジラは食べていい!』が出版された。特に捕鯨問題を扱う国際会議での欧米諸国の卑劣なやり口を記述した部分がいい。 農水省の役人として偏見丸出しの欧米人と対決している人ならではの迫真性のある報告である。

  捕鯨問題を手っ取り早く、そして安価な本で知りたいと思っている人に、ぜひお薦めしたい本である。

  4月10日、日本捕鯨協会発行の「勇魚(いさな)」第22号が送付されてきた。 各界の識者・有名人・学者などが、捕鯨擁護の立場からエッセイを寄せているパンフレットで、年数回発行されている。 私(三浦)も以前に文章を掲載させていただいたことがある。

  さて、今回は柴田翔氏の「鯨と事なかれ主義―反捕鯨に隠された傲慢な人間優越主義―」が掲載されていて、新鮮な驚きを覚えた。

  柴田翔氏は芥川賞受賞作『されど我らが日々―』の作家として著名であるが、同時にドイツ文学者であり、長らく東京大学独文科教授としてゲーテなどの古典作家の研究に従事された方でもある。

  氏はこの文章で、鯨を捕ることは悪くないと思いながら海外からの批判があるから何となく事なかれ主義的に捕鯨から撤退した方が無難か……とするような思考法を厳しく批判しておられる。 そして「全ての決定に自分で責任を持つこと」を訴えておられる。

  実はこの文章は94年に筑摩書房から出された『希望としてのクレオール』に収録されたものの再録である。

  氏が捕鯨問題に興味をお持ちとは、恥ずかしながら知らなかったので、同じ独文学者(というのも僭越なのだが)として嬉しく思った。

  こうなれば、「捕鯨を擁護するゲルマニストの会」でも作りませうか……?

・2000年3月

  3月14日付けの産経新聞に、シドニー支局長・佐野慎輔による「『文化』置き忘れたあつれき――反捕鯨国と『ひな祭り』」という記事が載りました。自分はカンガルーを食用にしながら、鯨を食用にする日本を非難しているオーストラリアの身勝手さを批判した文章です。今年のIWCの会合は、6・7月にオーストラリアで開催されます。

・2000年2月

  雑誌『正論』3月号に、水産庁漁業交渉官・小松正之氏の「反捕鯨を叫ぶグリーンピースの驕り−−アングロサクソンよ、鯨を日本叩きの道具にするな!」が掲載されました。

 環境保護団体の非常識で無法な行動、そしてそれに便乗して日本叩きを行う欧米諸国の差別的な姿勢をあますところなく明らかにしています。

・2000年1月

  石田雅明氏のサイト「Whaling Library」に、「捕鯨問題−−キーワードと雑感」が新たに掲載されました。これを読むと、捕鯨問題の基本を容易に理解することができます。

・1999年12月

  私(三浦)が『nemo』第6号に掲載した「反捕鯨の病理学・第4回」が、石田雅明氏のサイト「Whaling Library」(上にリンクあり)に転載されました。今回は、著名な天文学者カール・セーガンがなぜ反捕鯨運動に加担してしまったのかを追究。彼の誤った行動の原因を述べるとともに、晩年の彼がひそかに捕鯨問題からの逃走をはかっていたことをも明らかにしています。

  また、付録として、ドイツの雑誌Spiegelに掲載された記事を訳出しています。イルカが、一般に思われているほど知能が高くないという事実を報道した記事です。

 

 

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