ドイツとドイツ語に関するページ   2004年4月28日更新

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ドイツ語の学び方、ドイツ関係学会のあり方、欠陥翻訳批判、語学教育の改革など、ドイツやドイツ語に関わるあらゆる問題を紹介し、また考えてゆくページです。

なお、ドイツ文学については「私のドイツ文学案内」をごらん下さい。

 

ドイツ語や第二外国語の教育をめぐって

第二外国語教育を壊滅から救い、新たな制度とイデオロギーを生み出すために (2004年4月8日掲載)

*座談会「英語帝国主義、或いは英語をめぐる諸問題」 (2003年5月26日掲載)

*壊滅に向かう新潟大学の第二外国語教育 (2003年3月22日掲載)

*新潟大学広報委員会委員は日本語が読めない――または「語学教育改革」のデタラメ (2002年9月14日掲載)

*日本独文学会理事会の姿勢を批判する――最近の大学改革に関連して(2001年10月03日掲載)

 

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*ドイツ語を楽しく学ぶ方法――間違い探し (2002年8月14日掲載)

 

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*ドイツ語文献からの翻訳を考える                                                      

【前口上】

 明治時代以降、日本は特に欧米の文物を多く翻訳によって受け入れてきた。

 文学は言うまでもなく、人文科学、社会科学、自然科学、そして音楽や美術など言葉によらない(或いは言葉の果たす役割が小さい)芸術でも、解説や学問的な分析が言葉によってなされる以上、翻訳なくしては受容はあり得なかったのである。

 その中でドイツ語文献からの翻訳は、第二次大戦後は英語やフランス語に押されがちだとはいえ、今なお小さくない位置を占めている。 哲学、社会学、音楽などではドイツ語文献はなくてはならない存在である。

 しかし、翻訳には絶えず誤訳や悪訳の問題がつきまとっている。

 英語に関しては、元上智大教授・別宮貞徳氏が「欠陥翻訳時評」を雑誌『翻訳の世界』に長らく連載し、それが単行本化されて何冊にも及んだので、かなり改善されてきているようである。

 ドイツ語の場合はどうか。 別宮氏のように欠陥翻訳を指摘する作業は、ないわけではないが、管見の範囲では非常に僅かである。(少ない例を挙げれば、以前、私の出身大学で出している雑誌に、哲学科の教授がハイデガー『存在と時間』岩波文庫版の欠陥翻訳を批判する文章を載せたことがある。)

 たしかに、別宮氏のような欠陥翻訳批評が商業ベースで成り立つのは、英語だから、という側面が大きい。 英語なら日本人は誰でも習うので、別宮氏の指摘を読んで、「こんなバカな誤訳が本になっているのか」と呆れたり、「オレも同じ間違いをしかねないな。気をつけよう」と自戒したりする人が少なくないのだ。

 しかしドイツ語やフランス語となると、語学力のある人間の数は限られてくる。 大学の第二外国語で習って必要単位を満たした程度では、文献を邦訳したり、或いはその欠陥を発見したりする語学力はつかないからである。

 見方を変えると、ドイツ語やフランス語では、こうした状況をいいことにして英語以上にひどい翻訳が横行している可能性もあると言える。 大学の第二外国語として身につけた程度の語学力で翻訳をし、それを一流の出版社から出している、という例もありそうなのだ。

 こういう芳しくない現況を批判していくのは、ゲルマニストの仕事の一つだと私は考える。

 念のため断っておくが、私は他人様の翻訳を批判することで「オレはドイツ語ができる」と主張したいのではない。 日本には私などよりはるかに高いドイツ語能力を持った人が沢山いる。 そういう人たちが欠陥翻訳を批判してくれるなら、私ごときがこの種の仕事をする必要はないわけである。 しかし私の知る限り、そうした作業が行われている気配はない。(私が知らないだけかも知れない。 ご存じの方はご教示下さい。) だから私がやらざるを得ないのである。

 また、欠陥翻訳の意味だが、数百ページの翻訳に十や二十の誤訳があっても、それは欠陥翻訳ではない。 私も多少翻訳をやり出版しているが、凡才の悲しさで誤訳が出るのは防げなかった。 しかし人間のする仕事である以上、完全無欠と言うことはあり得ない。 多少の誤訳が紛れ込んでいる訳書を欠陥と言い立てるのは正しい態度ではない。 欠陥翻訳とは、1ページにいくつも誤訳があったり、何回読んでも意味が分からない訳文が頻出するようなものを言うのである。

 いずれにせよ、このページによって、ドイツ語からの邦訳が少しでもマシになっていってくれれば、と願うものである。

 なお、以下の欠陥翻訳批判では、ドイツ語原文を提示するに際して、エスツェットはssに書き換え、ウムラウトはeで代用している。 またフランス語も多少出てくるが、アクサン記号は省略してある。 ご了承いただきたい。

 

*高橋健二訳のヘッセ 『車輪の下』  (2003年7月19日掲載)

*『プッチーニ ボエーム』(音楽之友社「名作オペラブックス・シリーズ」)  (2000年10月21日掲載、2004年3月1日修正)

*『ワーグナー さまよえるオランダ人』(音楽之友社「名作オペラブックス・シリーズ」) (2000年10月21日掲載、2004年4月28日修正)

*『ワーグナー タンホイザー』(音楽之友社「名作オペラブックス・シリーズ」) (2001年3月13日掲載、2004年4月28日修正)

*カール・マンハイム『イデオロギーとユートピア』(中公バックス・世界の名著) (構築途中: 00年11月7日掲載開始)

 

 

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