高橋健二『ゲーテ相愛の詩人マリアンネ』(岩波書店)

 最近私もトシをとったせいか、恋愛ということについて考える機会が多くなった。

 恋愛は若人の特権ではない。精力や外見の美しさでは若者に到底及ばない中高年でも、恋愛について熟考したり、実際の恋に身を焦がすことは多いのだ。最近ハヤリの(?)「不倫」ばかりとは限らない。超マジメな恋愛だってするのである。

 『ファウスト』や『若きウェルテルの悩み』を書いたゲーテの名は誰でも知っているだろうが、六十代の彼が人妻と恋愛して名作の誉れ高い『西東詩集』を合作したり、七十代になって「お年寄り、まだやまないのですか。相も変わらず、女の子ですか」と自嘲の詩を書きながら十九歳の少女に求婚したという事実は、ドイツ文学を専攻する人以外には余り知られていないかもしれない。

 そんなゲーテを知るのに好個の書物がこの一冊である。学生時代の私はこんなゲーテをアホかと思うだけだったが、四十歳を過ぎて段々分かるようになってきたのだから、年齢は恐ろしいものだ。

 十九歳の少女は老ゲーテの求婚を断わりながらも、その後一生独身を通したというから、ゲーテも罪作りな男ではある。恋は美しいと同時で悲惨で滑稽でグロテスクであり、する側にもされる側にも何らかの傷を残さずにはおかない。私自身は今のところ、ゲーテのようなはた迷惑な老人になれる自信はないのであるが。 

 残念ながら目下品切れ中。しかし新潟大の図書館にあるから、借りて読めばよろしい。

                                         (『ほんのこべや』用に執筆するも掲載にいたらず。2000年1月、ここに初出)

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