映画評2008年

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 2008年に見た映画をすべて紹介。 5段階評価と短評付き。

  評価は、★★★★★=今すぐ映画館に駆けつけるべし (大傑作につき見ないと一生の損)。 ★★★★=十分な満足感が得られる (いい作品だから見てごらんよ)。    ★★★=平均的 (見て損はない)。 ★★=劣る (カネと時間が余ってたらどうぞ)。 ★=駄作 (カネをドブに捨てるようなもの)。 ☆は★の2分の1。

 

167.「赤い糸」 12/31、UCI新潟。 評価★★★ 村上正典監督作品。 ケータイ小説原作。 中学3年生であるヒロインは同級の男の子と仲良くなるが、ある日なぜか急に彼は冷たくなる。 そこでヒロインは高校入学と同時にかねてから自分を好きだと言っていた別の男の子と付き合い始めて・・・・。 というような筋書きなのであるが、これ以外にもいくつか副筋があって、或る意味映画チックな作品でもあり、見ていて退屈しない。 ケータイ小説原作ということで 『恋空』 と比較されやすいが、内容的には比較的穏健で、妊娠だとか中絶だとかは出てこない (原作は知らないが、少なくともこの映画では)。 まあ、私のような年輩の人間は、出てくる多様な美形少年少女たちがそれなりに悩んだりうれしがったりしているのを見ていて、現代の若者はこんな感じなのかなあなどと感慨にふけるのでありました。 特に女の子はいろんなタイプの子が出てくるので、そういう楽しみ方もあるかも。 これで今年の映画は見納め。 若者受けする映画かと思いきや、映画館はあんまり混んでいなかったな。   

166.「石内尋常高等小学校 花は散れども」 12/30、シネ・ウインド。 評価★★☆ 95歳になるという新藤兼人監督の作品。 戦前に広島県の農村の尋常小学校で教える先生 (柄本明) とその妻になる女教師 (川上麻衣子)、そしてその教え子たち(豊川悦司、大竹しのぶ、ほか) のたどる人生を描いている。 うーん。 作品の焦点が絞り切れていない。 大正末期から昭和初期にかけての農村の尋常小学校の様子をていねいに描くのかと思いきや、教室のシーンは事実上1つだけ、あとは先生の結婚式と、奈良への修学旅行だけなのである。 その後はいきなり戦後に飛んで、定年を迎えた先生を教え子たちが囲んで同窓会になるのだが、慕われる先生だと観客に納得させるためにはもう少し学校内の色々な出来事を入れておかないと説得力がないんじゃないの? 教え子たちの人生行路も、ちょっとありきたりだし、掘り下げが浅い。かろうじて柄本明の持ち味で何とか持っている映画というところか。

165.「ベティの小さな秘密」 12/30、シネ・ウインド。 評価★★★☆ フランス映画。 ジャン・ピエール・アメリス監督作品。 10歳の女の子ベティ。 お姉さんは寄宿舎に行ってしまい、精神病院長の父は仕事に多忙、ピアニストの母との夫婦仲はうまくいっていない。 そんな中で孤独感に悩むベティだが、ある日、精神病院から逃げ出した青年患者が家の物置にやってきて、ベティは彼をかくまい・・・・・。 孤独な少女の心理と行動が緻密に捉えられている。 周辺の風景だとかの映像も悪くないし、筋書きも綿密にできている。 最後がちょっと安易な感じだけれど、見る価値のある映画だと思う。

164.「ヤーチャイカ」 12/24、シネ・ウインド。 評価★★★ 覚和歌子および谷川俊太郎の監督による写真映画、つまり映像が動かず、静止した画像をつなぎあわせることによって作られた映画。 主演は香川輝之と尾野真千子。 語り手の語りによって物語が進行する。 死を決意した男が、ふとしたことから田舎村の天文台に勤める女と出会い、関係するまでの過程を描いている。 タイトルは、かつて人類初の女性宇宙飛行士となったソ連のテレシコワが無線で暗号代わりに言った言葉 「私はカモメ」 で、たまたまヒロインはテレシコワが宇宙を飛んだ6月16日を誕生日とする (同年同日生まれということではない) という設定になっている。 詩的な映画であり、率直に言って私の好みからするとやや言葉が上滑りしている箇所もないではないが、こういう試み自体は評価したいと思う。

163.「特命係長 只野仁 最後の劇場版」 12/23、UCI新潟。 評価★★★ 植田尚監督作品。 広告代理店に勤める、一見すると冴えない係長である只野仁 (高橋克典) が、実は会長からの特命を受けて社内のトラブルを解決する快男児、という設定のお話。 ここでは、会社の広告に採用された美人アイドルをめぐって、社内の確執と、何者かによる美人アイドルの誘拐が描かれている。 エンターテインメントとしてそこそこ楽しめるし、美人女優がたくさん出てくるので、見ていて退屈はしないかな。

162.「K−20 怪人二十面相・伝」 12/22、UCI新潟。 評価★★★★ 佐藤嗣麻子監督作品。 第二次大戦が寸前で回避され、戦前の華族制度がそのまま続いている厳しい階級社会・日本、という架空の設定で、その帝都を舞台としたお話。 江戸川乱歩ファンにはおなじみの怪人二十面相と明智探偵 (仲村トオル)、そして二十面相にハメられて二十面相だという汚名を着せられた青年 (金城武) の物語である。 また明智探偵――彼はここでは男爵という設定――の婚約者である貴族令嬢 (松たか子) も大活躍する。 エンターテインメントに徹していて、とても面白く、とにかく娯楽として映画を楽しみたければ見てごらんなさいと言いたくなる作品である。

161.「タンゴ・イン・ブエノスアイレス」 12/19、シネ・ウインド。 評価★★★ アルゼンチン映画。 ダニエル・リヴァス監督作品。 アルゼンチンで行われたタンゴ・フェスティバルを追ったドキュメンタリー。 ミュージシャンたちの表情、演奏、タンゴについての考え方などなどが映し出されている。 私も、全然詳しくはないけれど、タンゴはわりに好きなので、この映画を見てもっとタンゴを勉強しよう、いや、たくさんタンゴを聴こうという気になりました。

160.「七夜待」 12/12、Tジョイ新潟万代。 評価★★ 河瀬直美監督作品。 タイを舞台に、日本からやってきた若い女性 (長谷川京子) が、ふとしたことから町はずれの家で数日を過ごし、そこで同性愛のフランス人男性やマッサージ業のタイ人女性、父親が日本人だという男の子などと知り合いになっていく様子を描いている。 うーん、河瀬監督の作品はいつもよく分からないところがあるのだが、そしてそれは必ずしも映画の出来の悪さには直結しないのだけれど、今回はどうだろうか。 特にヒロインの長谷川京子の扱いが、訳の分からなさに拍車をかけているような気がする。 演技力とか、そういうことを言う以前の問題なんじゃないだろうか。  

159.「ボーダータウン 報道されない殺人者」 12/10、Tジョイ新潟万代。 評価★★★★☆ アメリカ映画。 グレゴリー・ナヴァ監督作品。 アメリカと国境を接するメキシコの町。 貿易協定でアメリカ向けのテレビやパソコンを作る工場が進出、多数のメキシコ人労働者が雇われている。 しかし町の治安は悪く、特に女子労働者が夕刻、何者かに暴行される事件が多数起こっている。 しかし当局は町の悪評を怖れて報道機関がこの事実をニュースにすることを抑えつけているし、政府も経済成長にのみ気を留めて事件の防止にはまったく手を貸さない。 この映画は、実際にメキシコの町が置かれているそうした状況と暴行事件を材料として、アメリカの女性記者 (ジェニファー・ロペス) が最初は出世のためにこの事件の取材を始めるが、やがて事件の被害者である女の子の保護に本気で立ち向かう様子を描いている。 新自由主義がはびこるなか、基本的な人権すらも無視されていくメキシコの実態、またそれを報道することがアメリカの報道機関にすら困難な状況が生々しく捉えられた秀作である。 多くの人に見てもらいたい映画だ。

158.「僕らのミライへ逆回転」 12/5、Tジョイ新潟万代。 評価★☆ アメリカ映画。 ミシェル・ゴンドリー監督作品。 ビデオ・レンタルショップの主人から留守番を言いつかったものの、体から電磁波を発する変な男にビデオ(DVDではない)を台無しにされてしまい、仕方なく自分たちで映画の代わりを録画しようとして・・・・・というような話なのだが、全然楽しめなかった。 設定がシロウト臭いし、話の進行もシロウト臭い。 最後には人情話的になるのだが、ちょっとねー、いくらなんでも安っぽすぎるよ、という印象でした。

157.「ラブファイト」 12/1、Tジョイ新潟万代。 評価★★  成島出監督作品。 幼いときから軟弱でいじめられがちであり、近所の仲の良い、そして腕力の強い女の子 (北乃きい) に助けてもらっていた少年 (林遣都) が、一念発起してボクシングを習い強くなろうとするお話。 それに、ボクシング・ジムを経営する元日本チャンピオン (大沢たかお) と、その恋人だった女優 (桜井幸子) が愛を復活させる話が並行的に語られている。 うーん、まず、軟弱な男の子が強い女の子に救われる話自体は面白いのだが、そのシーンが単調で、最初のあたりにしか出てこないのがどうにも、なのだ。 加えて、大人のカップルのお話がかなりありきたりで薄っぺらなので、これまたどうにも、なのである。 強い女子高校生が大活躍する話に特化したほうが良かったんじゃないか。

156.「コドモのコドモ」 11/29、シネ・ウインド。 評価★★★☆ 萩生田宏治監督作品。 小学校5年生の女の子が妊娠出産するという映画。 ヒロインの甘利はるなが、『ブタのいた教室』に続いて主演をしていて、ここではかなり無鉄砲な女の子を演じているのが印象的。 くわえて、クラス委員の女の子の役で出ている伊藤梨沙子も健闘している。 なにしろヒロインは自分のことにかなり無頓着なので、委員長が妊娠について本を読んで調べたり、指示を与えたりしているのだ。 一方、大人はといえば、担任の先生もヒロインの家族も妊娠には気付かない――例外はヒロインの祖母だが、祖母はヒロインが分娩をしている頃に急逝してしまう――というテイタラク。 大人はアテにならないので、子供たちが結束してヒロインの出産を助けるという、或る意味、アンチ・大人の、大江健三郎的世界と言えるかも。 でもまあ、結構面白かったな。

155.「百合祭」 11/29、シネ・ウインド。 評価★★★★ 浜野佐知監督作品。 老女ばっかりが住む古いアパートに、男の年寄り (ミッキー・カーチス) が引っ越してきた。 女たちはたちまち色めき立ち、彼の世話を焼こうとする・・・・・。 話としては単純なんだけど、これがなかなか面白いのである。 滑稽でありながら、ヒューマンなのである。 また吉行和子とミッキー・カーチスのラブシーンが実に色っぽいのである。 あまり期待しないで見に行ったのだけれど、拾いものでした。 お薦め。 ただし私のような50代、或いはそれ以上の年代にはいいけど、若い人にはどうかな。

154.「ブタがいた教室」 11/28、UCI新潟。 評価★★★★☆ 前田哲監督作品。 小学校6年生のクラスに、担任の先生が子豚を持ち込む。 「これから皆でこのブタを育てて、最後には皆で食べようと思う」 と言って。 子供たちはブタの住まいを作り、残飯を集め、親身になって世話を焼く。 そしてブタに名前を付ける。 やがてブタは大きくなり、子供たちの卒業の時期が迫ってくる。 だがペット同様にして育てたブタを殺して食べることができるのか、生徒たちの意見はまっぷたつに割れて・・・・・。 実際にあった話だそうであるが、扱いにくいテーマを丹念に映画にしていることに敬意を表したい。 テーマのきわどさと作品の出来が絶妙にマッチしているという印象。 先生役の妻夫木聡も好演しているし、26人の生徒たちの一所懸命な表情がまたいい。 特に甘利はるなに注目! 今年の映画は、これだという決定打的な作品が出てこないような気がしていたのだけれど、ここにきて大傑作が登場。 大いにお薦めである。

153.「帝国オーケストラ」 11/22、ユーロスペース(渋谷)。 評価★★   ドイツ映画。 エンリケ・サンチェス=ランチ監督作品。 ナチ時代のベルリン・フィルを扱ったドキュメンタリー。 当時を知る元団員や、元団員の家族 (妻・子) にインタビューしたり、当時の演奏会を撮したフィルムを再現したりしながら、当時ベルリンフィルの団員にもナチ党員がいたことや、ユダヤ系の団員が退団を余儀なくされたりした事情などをたどっている。 記録映画として見た場合、それなりの知識も得られるが、ナチ関係の文献がこれだけたくさん出ており、なおかつフルトヴェングラーやカラヤンとナチとの関わりについても詳細に記録した書籍が手に入る現在、この映画にどの程度インパクトがあるのか、いささか疑問。 こういう映画を作るなら、もっと突っ込んだ調査を行った上でのことにしてほしい。

152.「秋深き」 11/22、シネマスクエア東急(新宿)。 評価★★★☆ 織田作之助原作、池田敏春監督作品。 仏壇屋のぼんぼんで高校教師の男 (八嶋智人) が、クラブのホステス (佐藤江梨子) に惚れてプロポーズし、彼女もあっさりと結婚を承諾して、ふたりで幸福に暮らすが、やがて彼女は乳ガンが発覚して・・・・・というお話。 そこに彼女の過去が多少からむ。 舞台が大阪で、関西弁でゆるゆると話が進むせいか、本来リアリティがあまりなさそうな筋書きなのに、何となく納得してしまう。 八嶋智人と佐藤江梨子 (彼女の方が背が高い) もぴったり役にあっている。 なさそうでありそうな話というのがいいし、彼女の過去が色々ありそうでいて、さほど明らかにならないところもいい。 最後で、彼女と以前関係があったらしい佐藤浩市が言うセリフが泣かせる。

151.「BOY A」 11/21、シネ・アミューズ(渋谷)。 評価★★★ 英国映画。 ジョン・クローリー監督作品。 かつて少年時代に犯罪を犯し、施設で暮らしてきた青年が、別の名を与えられて社会に復帰しようとするが、彼の正体を暴く者がいて・・・・・という、テーマ性の強い映画である。 少年犯罪からの更生のあり方、それを迎え入れる社会の意識、少年の罪は許されるのかなど、色々な問題を含んでいて、考えさせられるところが多い。 ただし、ここでは主人公は基本的に 「いい人」 であり、それを受け入れる側の先入観と悪意が蹉跌の原因になるという筋書きは、分かりやすいけれども、分かりやすいが故にやや浅い印象を残すことも否めないのであるが。 

150.「櫻の園」 11/20、WMC新潟。 評価★★★ 中原俊監督作品。 中原氏は1990年にも同名のタイトルで映画を作っているが、今回の話はそれとは別。 ただし女子高生を描いているという点では同じとも言えるかな。 ヴァイオリニストになる夢を断念して名門私立女子高に転校してきたヒロイン (福田沙紀) が、ふとしたことから、昔は毎年演劇部で上演されていたチェーホフの 『桜の園』 がなぜかある時から上演禁止になっていることに不審の念をいだき、こっそり自分とその仲間で上演しようと企画するというお話である。 筋書きの細部には注文もないではないが、それぞれに個性的な若い女の子たちが一緒に何事かをなしとげようとするさわやかさを評価すべき作品であろう。 ヒロインの福田沙紀が魅力的だし、若い先生役で出てくる菊川怜もなかなかいいし、冨司純子が教頭役で貫禄を見せているのも悪くない。

149.「トウキョウソナタ」 11/18、Tジョイ新潟万代。 評価★★☆ 黒沢清監督が家族映画を作ったというので期待して見たのだが、イマイチであった。 勤める企業が中国人労働者を安く導入したためにリストラされた中年サラリーマンの家族をめぐるお話なのだが、構図がどうも古いという気がする。 今どき父権の崩壊を描いても、10年、いや、20年前の話としか思えないし、小泉今日子の専業主婦もあんまりそれらしくないし、長男がアメリカ軍に入るというところはまあ、ちょっとぶっとんでいて面白いけど、案外常識的な収まり方で終わってしまうし、ピアノを習い始めた次男には実は驚異的な才能があるという話にいたっては、おいおい、そんな甘いまとめ方でいいのか、と怒鳴りたくなる。 黒沢清も、曲がり角に来てるんじゃないかなあ。

148.「ハッピーフライト」 11/17、UCI新潟。 評価★★★ 矢口史靖監督作品。 全日空のホノルル行き国際便をめぐるお話。 それまで国内線勤務だったCA(むかしスチュアーデスと言っていた職業が今はこう言うらしい。なんだか味気ない、と思うのは年をとった証拠だろうか)が急遽国際線に回されてドジを踏むとか、機長昇格を目前にした副操縦士の思惑だとか、限られた時間内で仕事をしなければならない整備士の苦労だとか、飛行機の邪魔になる鳥を追い払う仕事をする役目の人間を糾弾する愛鳥家――笑える――だとか、航空管制官の人間模様だとか、横柄な客だとか、色々な人間が出てきて、まあ娯楽作品としてそれなりに見られる映画ではある。 ただし圧倒的に面白いかというと、それほどでもないのだが。

147.「ランジェ公爵夫人」 11/14、シネ・ウインド。 評価★★ フランス・イタリア合作。 バルザック原作、ジャック・リヴェット監督作品。 19世紀パリ社交界を舞台に、美しいランジェ公爵夫人とナポレオン軍で勇名を馳せたモンリヴォー将軍の恋のかけひきを描いている。 うーん、社交界の様子だとか、建物の家具調度だとかはそれなりに興味深いのだけれど、話の筋が全然面白くない。 単調で、似たような場面が延々と続く。 ついでに言えば、ヒロインを演じるジャンヌ・バリバールだが、私の好みで言うと、全然美人じゃない。 もっときれいな女優を使って下さいな。 

146.「彼が二度愛したS」 11/12、Tジョイ新潟万代。 評価★★★ アメリカ映画。 マルセル・ダンジェネガー監督作品。 貧しいながら努力して大学を出て会計士をしている男 (ユアン・マクレガー)。 ある時、ひょんなことから弁護士 (ヒュー・ジャックマン) と知り合う。 洒脱で遊びのうまい彼とつきあううちに、キャリアウーマンとセックスできる秘密の会があることを知り、それにのめりこんでいくが・・・・・。 それなりにまとまった筋書きだけど、何か物足りないところが残る作品である。 途中で、たまたま地下鉄駅で見かけた女性 (ミシェル・ウィリアムズ) と秘密の会を介して出会い、本気になるのだが、その辺の描写がもう少し濃くなっていると満足度も高まるんじゃないかな。 

145.「ハンサム★スーツ」 11/10、UCI新潟。 評価★★★ 英勉監督作品。 大衆食堂をやっている男 (塚地武雅)。 料理の腕はいいのだが見栄えが悪いので女にもてず、それがトラウマになっている。 アルバイトに雇った超絶美人 (北川景子) に恋をして告白するがふられてしまう。 その後、友人の結婚式に出るためにスーツをあつらえに紳士服屋に入ったところ、ハンサムに変身できるスーツがあると薦められ・・・・・・・というようなお話。 軽いタッチのコメディーで、筋書きも読めるけれど、まあ気楽に見る映画としてはそこそこの出来でしょう。

144.「イントゥ・ザ・ワイルド」 11/6、WMC新潟南。 評価★★★ アメリカ映画。 俳優としても有名なショーン・ペンが監督をしている。 実話をもとにした映画だそうで、エリート大学を卒業しながら、両親の仲の悪さだとか、世の中の仕組みだとかに疑問を覚えて、各地を放浪したあとアラスカの大自然の中で暮らす若者を描いている。 うーん、「自然」 に幻想を抱く若者を距離を置いて捉えているというわけではなく、かといって 「自然」 のものすごさが真っ向から捉えられているというほどでもなく――若者はたまたま発見したバス車両のなかで暮らしているし、食料も持参品を多く使っている――、実話ならではなの感銘もたしかにあるのだが、どこか物足りない感じが残ってしまう。 途中で若者が知り合ったヒッピーだとか孤独な老人だとかの描写はそれなりに面白く、この作品の幅を広げているのだけれど。

143.「ブーリン家の姉妹」 11/5、UCI新潟。 評価★★★ アメリカ・イギリス合作。 ジャスティン・チャドウィック監督作品。 16世紀のイングランドを舞台に、イングランド史上実在した姉妹の葛藤を描いた作品。 姉はのちのエリザベス1世の母であった。 ここでは、イングランド王に愛される素直で優しい性格の妹をスカーレット・ヨハンソンが、手管を弄して王妃に収まる姉をナタリー・ポートマンが演じている。 二人ともすばらしい演技で言うところなしだが、筋書きがやや単純で、国王も女に動かされるだけのだらしない男にしか見えず、歴史の複雑さだとか、人間の微妙さみたいなものがいささかも感じられないために、作品全体の出来栄えが損なわれているのが惜しい。 しかし二人の女優を見る映画としては申し分ない。

142.「その日のまえに」 11/1、アミューズCQN (渋谷)。 評価★★☆ 重松清原作。 大林宣彦監督作品。 イラスト画家の夫 (南原清隆) と、それを支える妻 (永作博美)。 売れない時期を経て、ようやく売れっ子になってきた30代後半、妻は不治の病にかかる。 二人は若い時代の思い出がつまった町に小旅行をするが、そこで意外な人物たちに出会って・・・・・というようなお話。 まあ、基本的には思い出に涙ぽろぽろというような雰囲気なのではあるが、多少時間軸が交錯していて、そこに面白みがある・・・・はずだったのだと思う。 が、イマイチうまくいっていない感じなのである。 大林監督の映画の作りは、私はわりに好きなのだが、ここではどうも虻蜂取らず的になってしまっている印象なのだ。 うーん。  

141.「消えたフェルメールを探して 絵画探偵ハロルド・スミス」 11/1、UPLINK X (渋谷)。 評価★☆ アメリカ映画。 レベッカ・ドレイファス監督作品。 1990年にアメリカの美術館に強盗が押し入り、フェルメールを初めとしてレンブラントなどの名画を盗み去った。 絵画探偵が、犯人や動機について捜索するというドキュメンター映画。 しかし、どうも見ていて面白くなかった。 要するに手がかりがはっきりつかめないので、或いは、つかめていても最終解決に至っていないせいで明らかにするわけにはいかないので、したがって代わりに盗まれたフェルメールの絵についてのインタビューなどでお茶を濁している印象が強い。 看板に偽りあり。 今東京でフェルメール展をやっているから便乗して上映されているのだろうけど、見る価値はない映画だと思うな。

140.「アメリカの友人」 10/31、早稲田松竹(高田馬場)。 評価★★☆ 西ドイツ・フランス合作。 1977年製作。 ヴィム・ベンダースのわりに有名な映画だけど、見たのは初めて。 絵画の額縁を作るドイツ人の職人と、画商のアメリカ人とがふとしたことから知り合い、犯罪をも含めて奇妙な関わりをもつというお話。 うーん、見ていてさほど面白いとは思えなかった。 へたくそなギャング映画を見ているみたい。 主演であるブルーノ・ガンツとデニス・ホッパーのそれぞれの持ち味は悪くないけど。

139.「イキガミ」 10/30、WMC新潟南。 評価★ 瀧本智行監督作品。 マンガの映画化だそうだが、基本的な設定にものすごく異和感がある。 幼少時に予防接種で血液中に仕込んだ仕掛けにより、日本人1000人に1人が20歳前後で死ぬという法律が成立しているという設定なのだが、そういう変な法律と戦う人々を描いているのかと思いきや、そういう運命に見まわれている若者たちの物語を最近流行の 「泣ける」 話に仕立てているのである。 なんか、おかしいと思うぜ。 悪い法律と断固として戦う話にしなさいっ! 「優しい日本人」 は、もう要りませんてば。

138.「罪と罰 白夜のラスコーリニコフ」 10/29、シネ・ウインド。 評価★★☆ フィンランド映画。 1983年、カウリスマキ監督作品。 ドストエフスキーの有名な小説の映画化、ということになっているのだが、しかしそう信じ切って見ても、全然そうは思えないだろう。 筋書きも全然違うし、登場人物も、強いて考えれば対応関係はないではないが、あくまで強いて考えれば、というレベルである。 むしろ、フィンランドの北国らしい暗い雰囲気だとか――でもドストエフスキーのロシア的な暗さとはまた違うみたい――、希薄な人間関係だとかを味わって見れば、まあまあかな、といったところだろう。

137.「ICHI」 10/27、UCI新潟。 評価★★ 曽利文彦監督作品。 女座頭市 (綾瀬はるか)、という、なかなか斬新で期待させる映画なんだけど、見てみたらイマイチだった。 うーん、話の展開に説得力が欠けているからじゃないかな。 ネタバレになるから詳しくは書けないが、ヒロインが各地をさすらい歩いているのには探している人がいるから、という設定だけど、その設定を納得させるだけの過去がきちんと描かれているか、というとどうも弱いのである。 また、道中、若侍 (大沢たかお) とふとしたことから知り合い、愛情を抱き合うという展開になるわけだから、ヒロインの過去についての設定はどうも余計な気がする。 逆に、悪役(中村獅童)と若侍とヒロインの三すくみ (?) 状態は、もっとていねいに描いた方がいいんじゃないか。 それ以外でも、ご都合主義だったり、ちぐはぐだったりする箇所が散見され、せっかくの女座頭市のお話も盛り上がりを欠いて終わった印象である。

136.「赤い風船」 10/24、シネ・ウインド。 評価★★★ 下↓の 「白い馬」 と併映された。 フランス映画、1956年作。 やはりアルベール・ラモリス監督作品で40分ほどのカラー作品。 少年と、彼についてくる赤い風船のお話。 寓意的にも受け取れるけど、単純に少年と赤い風船のじゃれあいと見ても、まあ面白い。 しかし、色々な映画賞を受けた作品だというけど、それほどすごいかなあ、という気もする。 最後はちょっとどうかという疑問も。

135.「白い馬」 10/24、シネ・ウインド。 評価★★★  フランス映画、1952年作。 アルベール・ラモリス監督作品。 40分ほどのモノクロ作品。 欲深い人間に追われる白馬と、白馬に愛情を抱く少年の物語、 馬同士の戦いのシーンとか、湿原を走る馬のシーンだとか、映像的に優れたところが多い。 今回はリプリントにより次↑の 「赤い風船」 と併映されたもので、点数は同じにしてあるが、どちらかというとこっちのほうが私には好ましい。

134.「容疑者Xの献身」 10/24、WMC新潟。 評価★★★★  東野圭吾原作、西谷弘監督作品。 天才的な物理学者である大学教授が探偵役で、難事件を解決するシリーズ物の映画化。 ただし私は原作もテレビドラマも見ていない。 ここでは、探偵役の教授が学生時代に自分に劣らない天才と認めていた数学科の学生が、さえない高校教師となって登場し、或る事件に関わるという筋書きである。 二人の 「天才」 によってドラマが進むところがなかなか面白く、事件のトリックにも意外性があって、推理物としてまずよくできているわけだが、それにとどまらず、数学者が抱いていた情念が、後半意外な形で表現されていて、そこがまた映画の奥行きを深めていると思う。 お薦めできる映画だ。

133.「あの日の指輪を待つきみへ」 10/20、UCI新潟。 評価★★☆ アメリカ・英国・カナダ合作。 リチャード・アッテンボロー監督作品。 第二次大戦期にアメリカの小さな町から出征した3人の若者。 彼らには共通して憧れているマドンナがいたが、彼女は3人のうち1人と出征直前に結ばれる。 しかし、戦争によって自分が死んだときのことを考えた夫は、他の2人の友人に万が一のときのことを頼み込む。 やがてその危惧は現実になるが・・・・・というようなお話。 アメリカの第二次大戦期と、その約50年後の双方を交互に映し出す手法を取っている。 50年後からしだいに過去が分かってくるという仕組み。 一見すると面白そうな筋書きなのだが、どうも私には納得がいかなかった。 ネタバレになるので具体的なことは書かないが、男3人がマドンナへの愛だけでなく友情を軸に行動しているのに、彼らの中心にいたマドンナ (若い頃=ミーシャ・バートン、約50年後=シャーリー・マクレーン) が本質的に友情を理解していなかったのではないか、つまりかなり偏狭な女に過ぎなかったのではないか、と思えてくるところに、筋書きの欠陥があるんじゃないだろうか。

132.「闇の子供たち」 10/20、WMC新潟。 評価★★★★☆ 阪本順治監督作品。 タイの貧しい子供たちの人身売買を扱っている。 貧しい両親に売り飛ばされて、変態的な性欲を持つ先進国の大人たちに陵辱される子供たち。 それにとどまらず、心臓病を患い臓器移植を求めながらなかなか順番が回ってこない日本人少年のために・・・・・・・・というような話まで出てくる。 まあ、臓器移植の部分はフィクションらしいのだが、そうしたタイの惨状や、それをめぐる日本人新聞記者やNGOによって途上国を応援しようとする若い日本人女性など、日本人にとってこの問題はどうアプローチ可能なのかというテーマも盛り込まれていて、見ていて深く強烈なインパクトを与えられる作品だ。 タイ人の俳優に加えて、江口洋介、宮崎あおい、妻夫木聡、佐藤浩市らが出演。 未見の方は是非!

131.「私がクマにキレた理由」 10/17、Tジョイ新潟万代。 評価★★★  アメリカ映画。 シャリ・スプリンガー・バーマン & ロバート・プルチーニ監督作品。 大学を出たばかりの女の子 (スカーレット・ヨハンソン) が、ふとした偶然から裕福な家庭のナニー (子守女) に雇われ、そこで上流家庭の内実を知る、というお話。 NYに住むセレブの暮らしぶり、特に家庭を取り仕切る妻 (ローラ・リニー) の交友や買物や休暇などを、興味津々で見ることができる。 結局ヒロインは上流家庭の虚飾と酷使に耐えきれずに・・・・・という筋書きだが、上流夫人を演じるローラ・リニーがなかなかよい演技を見せてくれていて、イヤな側面もあるものの、ちょっと同情してもしまうところが、この映画の厚みであろう。 逆に、スカーレット・ヨハンソンはもう少し体当たりの演技をみせてほしいと思った。 

130.「12人の怒れる男」 10/16、シネ・ウインド。 評価★★★★ ロシア映画。 ニキータ・ミハルコフ監督作品。 有名なアメリカ映画 『十二人の怒れる男』(1957年) のパロディとして作られている。 しかし、ミハルコフ監督のことで、無論単なるパロディにはとどまらない。 舞台は現代のロシア。 被告はチェチェン人少年で、彼を引き取って育ててくれたロシア人将校である義父を殺しカネを奪ったとされた。 陪審員として選ばれた12人の男たちは、最初はなるべく早く結論を出そうとするが、やがて・・・・・という展開もルメットの原作に同じ。 だがその先が異なっている。 議論を交わす中で、男たちは自分の人生の重要な体験を語り始めるのだ。 想起されたおのおのの体験が、この事件をどう見るかを次第次第に変化させていく。 ここではチェチェン人少年の人生と、それを裁くよう要請された男たちの人生が交錯していくのだ。 男たちの語りはあたかもドストエフスキーの小説を読むかのようで、こうした手法はロシアならではだなと感じさせられた。 日本でも 『十二人の怒れる男』 のパロディとして 『12人の優しい日本人』 が作られていて、これもなかなかの秀作だが、日本人がミハルコフ監督の手法を真似てもうまくはいかないだろうと思う。 そして、最後にも意外なオチがついている。 2時間40分と長尺の作品で、特に最初のあたりは進行がロシア的にゆっくりしているので、まどろっこしい感じもするのだが、作品が進んでいくにつれてそういうことは気にならなくなる。 未見の方は是非!

129.「宮廷画家ゴヤは見た」 10/15、Tジョイ新潟万代。 評価★★★☆ アメリカ・スペイン合作。 ミロス・フォアマン監督作品。 画家ゴヤの生きていた時代を、カトリックの異端審問と、フランスのナポレオン軍の侵攻と 「自由・平等」 の強制的な (ここに背理があるわけだが) 実現、そして英国軍の活動により再び旧勢力が復活するまでを描いている。 軸になるのはそうした激動する時代に生きた人々の姿を描き続けたゴヤ (ステラン・スカルスガルド)、カトリック司祭として異端審問にかかわりながら訳あってフランスに逃亡し自由思想家の重鎮として舞い戻ってくる男 (バビエル・バルデム)、そして理不尽な異端審問で囚われの身となりおまけに上記司祭の子供を孕んでしまう美貌の上流令嬢 (ナタリー・ポートマン) の3人を軸に物語は展開する。 時代の激しい流れと、その中で浮き沈みする人間たちの姿が描かれた佳作だと思う。 ただ、ゴヤが持っていた芸術家としての、「市民」 の枠に収まりきれない何かが表現されているとは思われないし、逆に司祭から自由思想家に転身する男は、演じるバビエル・バルデムのおどろおどろしさのせいで、時代の流れに棹さすご都合主義的な薄っぺらさがうまく表現されなくなっている。 しかしカトリックの異端審問も、フランス革命の自由思想も、いずれもいかがわしいと観客を納得させる相対主義的な世界観は悪くないと思うし、それを表現する映画だと考えればそれなりの作品と言えるだろう。 ただ、作中では英語でしゃべっているのが興ざめ。 スペイン語だったらね。 

128.「ジャージの二人」 10/13、UCI新潟。 評価★★★ 長嶋有原作、中村義洋監督作品。 夏の暑い時期、東京を離れて群馬県の別荘で過ごす父子のお話。 といっても、息子もすでに32歳、父は54歳という設定。 特に親子らしい会話を交わすわけでもなく、また映画も、日本映画にはありがちだが、父子のおかれた状況を詳しく説明することなく、何となく、間をとりながら、進んでいくという感じである。 そこにおかしさがあるのだが、父と子はそれぞれに家庭の危機を抱えており、おかしいだけでなく背景にゆらぎもひそんでいる。 ただし設定が詳しくは分からないようになっているので、作品の説得力が強いとは言えない。 いわゆる 「まったり系」 の映画が好きな人にはいいかも知れない。

127.「大決戦! 超ウルトラ8兄弟」 10/6、UCI新潟。 評価★★☆ 八木毅監督作品。 なぜか久しぶりにウルトラマンが見たくなって、映画館に足を運んだ。 テレビのウルトラマンやウルトラセブンで活躍していた人たち (早田隊員だとかモロボシ・ダンだとかアンヌ隊員だとか) が、年をとりながらも登場していて、「昔なつかし」 を好む人にはそれなりの映画だろう。 筋書き的にも、途中まではまあまあなのであるが、最後の大決戦がいささか単調で、「信頼と精神力で勝つ」 という単純な論理じゃなく、もう少し工夫を凝らして欲しいものだ。

126.「牡牛座 レーニンの肖像」 10/4、シネ・ウインド。 評価★★ ロシア映画。 アレクサンドル・ソクーロフ監督作品。 ソクーロフはこのところ昭和天皇だとか著名な人物を映画化することに熱を上げているようだが、これもその1本。 といっても、革命を主導する勇ましいレーニンではなく、晩年の肉体も頭脳も衰えたレーニンを描いているところがミソ。 いかなる権力者といえどもこうなっちゃおしまい、というか、誰でも最後はこうなるんだろうな、とは思うけど、そうなるとなぜわざわざレーニンを取り上げたのかがよく分からない。 画面は人物や建物の輪郭が曖昧で、緑がかっており、その点では昭和天皇を描いた 『太陽』 よりソクーロフらしいとは思うのだが。 スタンダード・サイズ。

125.「水の中のつぼみ」 9/27、シネ・ウインド。 評価★★ フランス映画。 セリーヌ・シアマ監督作品。 思春期の少女が、シンクロナイズド・スイミングのスターである上級生の少女に憧れる様子を描いている。 まだ完全に女になりきっていない時期の、曖昧で揺れ動く心理や行動が興味深いと言えば興味深いが、この作品ならではという独自性みたいなものはあまり感じられないし、独自性がなくても思春期物としてまとまりがよければそれなりになるはずだが、そういうわけでもない。

124.「おくりびと」 9/26、WMC新潟。 評価★★★☆ 滝田洋二郎監督作品。 納棺師という職業を扱った映画。 せっかくプロ楽団のチェリストになったのに楽団が解散して失業してしまった主人公の青年 (本木雅弘) が、妻 (広末涼子) を連れて故郷の山形県の某市に帰ってそこで職を探したところ、よく分からないままにこの職業に就いてしまい、最初は戸惑ったり辞めようと思ったりもするが、やがてプロ意識に目覚めて・・・・・というようなお話。 納棺に伴う色々な人間ドラマも盛り込まれており、この職業に対する差別意識だとか、地方都市の人間模様だとかも悪くなく、それなりの映画だと思う。 ただし、妻役の広末涼子は表情が一本調子で見るに耐えない。 まあ仲間由紀恵なんかもそうなんだけど、仲間は美人だからまだ赦せるが、広末は――私の審美眼では――美人に程遠いので赦さないのだっ。

123.「さよなら。いつかわかること」 9/25、シネ・ウインド。 評価★★★ アメリカ映画。 ジェームズ・C・ストラウス監督作品。 ある日、娘二人と家で暮らす男 (ジョン・キューザック) が妻の訃報を軍関係者から受け取る。 妻は軍人として中東に派遣されていた。 男はかつて軍で妻と知り合い結婚したが、自分は近視であることがバレて退役させられ、民間会社に就職したという過去があった。 娘二人に母の死を言い出せない彼は、会社を休み娘たちには学校を休ませ、ふらりとクルマで旅に出る・・・・・。 淡々とした映画で、ジョン・キューザックが娘には優しいがどこか気弱そうな中年男を好演している。 物語の起伏はあまりないが、さほど長尺の映画でもなく、退屈しないで見ることができる。 男自身は軍人志望だったこともあり、アメリカ軍の行動そのものは評価しているわけだけど、男には弟がおり、旅の途中で立ち寄った実家に独身で居候していて久しぶりに顔を合わせるのだが、その弟がアメリカの保守的な政治に批判的な意見を述べるシーンもあったりして、それなりにバランスは取れている。 しかしこの映画の本質はアメリカの政治や軍の分析だとか批判だとか擁護にはない。 あくまで妻をうしなった男がそれを娘に打ち明けるタイミングに迷ったり、上の娘は徐々に父親の様子から真相を察知したり、最後には三人でその悲しみに耐える様子を描いた、一種の家族物語とも言うべき映画である。

122.「おろち」 9/25、Tジョイ新潟万代。 評価★★☆ 鶴田法男監督作品。 楳図かずお原作。 昭和二十年代に一世を風靡した美人女優。 しかし彼女は29歳にして謎の引退を遂げていた。 やがて彼女の娘が女優として名を上げるが、彼女は母親を引退に追い込んだある現象におびえていた・・・・・。 原作者が楳図かずおだけあって、おどろおどろしい物語が展開されるのではないかと期待して足を映画館に運んだのだけれど、イマイチの感。 木村佳乃と中越典子はそれなりに健闘しているけど、物語的な面白さが足りない。 多分、脚本のせいじゃないかな。 語り手(?)たる 「おろち」 役 (谷村美月) がうまく機能していないように思われた。

121.「リボルバー」 9/24、シネ・ウインド。 評価★★ ガイ・リッチー監督作品。 英仏合作。 ギャンブラー、それを追う暴力団のボス、ギャンブラーを救う謎の二人組、などなどが入り組んだ映画なんだけど、筋書きがよく分からない。 謎かけに満ち満ちているんだが、その謎が解かれることなく、そのまま終わってしまう。 こういう映画ってのも、困りものなんだなあ。 分からない映画ほど楽しめる、という人にはお薦め、かな・・・・・。 あと、なぜ 「リボルバー」 というタイトルなのかもよく分からない。 作中、一番凄腕の殺し屋が使っている拳銃は、弾倉を底から入れる方式で、別にリボルバーじゃないんですけど。

120.「アキレスと亀」 9/24、Tジョイ新潟万代。 評価★★★ 北野武監督最新作。 お金持ちの家に生まれて小さいときから絵を描くのが大好きだった少年。 やがて実家は破産して父は自殺、母も少し間をおいて自殺。 しかし少年は絵を描くことをやめない。 やがて成長して妻も得るが、絵はなかなか売れない・・・・・。 というようなお話だが、北野監督らしくリアリズム風な伝記物にはなっておらず、どことなくおかしくて、しかし芸術というわけの分からない代物にとりつかれた男の狂気のようなものもそれなりによく出ている。 ただし、少年時代と青年時代と中年時代と3人がヒーローを演じるのだが、青年時代を演じる役者は雰囲気が合っていなくて、ちょっと残念に思った。 女優陣は樋口可南子をはじめ皆魅力的。

119.「百万円と苦虫女」 9/22、UCI新潟。 評価★★ タナダユキ監督作品。 ヒロイン(蒼井優)はふとしたことから刑事罰を受ける羽目になり、家を出てアルバイトの自活を始める。 最初は海辺の町で海の家のバイトをするが、言い寄る男が現れて退散。 次に田舎村の農家で桃をもぐアルバイトをやるが・・・・・・というふうにヒロインが次々居場所を変えていく話かと思ったら、途中で普通の恋愛ものに変わってしまい、また途中の設定がきちんと脚本に活かされていないなど作りの杜撰な部分も目立ち、単にヒロインが自分探しがどうとかセリフを言うだけでは説得力が出てこないということが作り手に分かっていないんじゃないか、と思いました。

118.「今夜、列車は走る」 9/19、シネ・ウインド。 評価★★☆ アルゼンチン映画。 ニコラス・トゥオッツォ監督作品。 新自由主義的な経済政策の浸透により、ある日アルゼンチンの某地方を走っていた鉄道が廃止される。 失業した鉄道マンたちは、再就職などに必死になるが、なかなか思うようにいかない。 犯罪行為に走ってしまったり、自殺したり、或いは同僚たちへの裏切り行為を働いたり。 そんななか、父親たちの悲惨な姿を見ている子供たちは一計を案じる・・・・。 深刻なテーマを扱った映画として評価はしたいのだが、映画的な面白さはあまり感じない。 失業者たちの各人各様な姿が、もう少し映画的に面白みをもって捉えられていたら、テーマを訴える力も増しただろうに、と惜しまれる。 

117.「美しすぎる母」 9/17、ギンレイホール(飯田橋)。 評価★★ トム・ケイリン監督作品。 西仏米合作。 実話をもとにした映画だそうだが、なんかうまくできていない。 生まれが上流ではない美貌の女が上流の男と結婚し息子を生むが、やがて夫に捨てられて、息子との関係が・・・・・というような筋書きなんだが、社会階級の違いのために夫とうまくいかないという話にするか、或いは妻であり母である女が美貌ゆえに色々な騒動をまきこすという話にするか、どちらかにしぼるべきであった。 中途半端な筋書きで、まとまりがなくなってしまっている。

116.「悲しみが乾くまで」 9/17、ギンレイホール(飯田橋)。 評価★★ アメリカ映画。 スザンネ・ビア監督作品。 一人の男性が殺された。 妻(ハル・ベリー)によっては良き夫であり子供たちにとっては良き父であり、さらに麻薬中毒ですさんだ人生を送っている男にとっては自分を見捨てなかった唯一の親友であった。 葬儀で顔を合わせた妻子と男。 やがて妻は職のない男に、自宅に住まないかと提案する・・・・。 全体としては、夫に死なれた女と、親友に死なれた男がそれぞれに自分を回復するという話なんだろうけど、筋書きに不自然さが目立つだけでなく、特に妻の身勝手さが目について、しかもそれが監督によって十分に批判的に扱われているとは思われない。 この女性監督、以前に別の作品を見たときも筋書きの不自然さが感じられたが、今回もそれは変わらない。 うーん。

115.「敵こそ、我が友 〜戦犯クラウス・バルビーの3つの人生〜」 9/9、銀座テアトルシネマ。 評価★★★☆ フランス映画。 ケヴィン・マクドナルド監督作品。 ドキュメンタリー映画である。 第二次大戦中、ナチの親衛隊の将校としてフランスのユダヤ人狩りやレジスタンス弾圧に奔走したクラウス・バルビー。 本来ならドイツの敗戦とともに断罪されるはずが、アメリカの情報部のはからいで反共の情報員として活躍するようになる。 しかしその後フランスから戦犯として名指されたために南米のボリビアに亡命。 名前を変えてしばらくはおとなしく暮らしていたが、やがて政界や軍部と関係を持ち、ゲバラの暗殺にも関わりを持った。 その彼がフランスに戦犯バルビーだと見破られ、引き渡され、裁判で有罪になるまでを追っている。 バルビーを擁護する家族の声や、「バルビーは要するに誰もがやってきたことをやっただけだ」 というシニカルな弁護士の声も紹介されており、歴史や戦争を裁くことの難しさをあらためて考えさせられる。 言っちゃ何だが、『靖国』 なんかよりドキュメンタリー映画としてはるかに優れている。 新潟でも上映して欲しい。

114.「わが教え子、ヒトラー」 9/8、ル・シネマ(渋谷)。 評価★★☆ ドイツ映画。 ダニー・レヴィ監督作品。 期待して見たのだが、うーん、イマイチでしたね。 なぜうまく行かなかったのかを考えてみると、徹底的なファルスにしなかったからではないか。 笑えるところもあるけれど、全体として見るとリアリティの確保や史実に忠実に、といった縛りにとらわれていて、中途半端に終わっている。 史実などは多少変えてしまってもいいから――だいたいこの映画の設定自体が虚構なんだから――お笑い劇をめざすべきであった。 『ヒトラー最期の十二日間』 とか 『アドルフの画集』 とか、最近のヒトラーものの映画は結構面白くなっていると思うのだが、それに比肩する作品にはなり損ねたと思うなあ。 

113.「歩いても歩いても」 9/8、Tジョイ新潟万代。 評価★★★ 是枝裕和監督作品。 脚本も是枝監督。 少し前まで夫が開業医をしていた老夫婦のところに、次男夫妻が訪ねてくる。 しかし妻が子連れでの再婚であるということで、老夫婦と次男との関係はうまくいっていない。 今日はしばらく前に事故で亡くなった長男の命日なので、久しぶりに訪ねてきたのである。 また娘夫婦とその子供たちもやってきて、一家は久しぶりににぎやかな雰囲気で食事をする・・・・・。 親子だから仲がいいとは限らないし、逆に仲が悪くても法要などでは顔を合わせなくてはいけない場合もある。 どちらがいいとか正しいということではなく、付き合いとして一緒に飲み食いしたり、他愛ない話をしたりする――そんな家族の関係を、淡々と描写していく是枝監督の手法は悪くない。 家族とか親族というのはこういうものだと納得させられるし、どこか懐かしい印象もあり、見る価値のある映画だと思う。 ただ、橋口監督の 『ぐるりのこと。』 と続けて見てしまうと、どうしても橋口監督に軍配を上げたくなる気持ちを押さえきれない。 突き抜けるものがないからなのだ。

112.「ぐるりのこと。」 9/7、WMC新潟南。 評価★★★★ 橋口亮輔監督作品。 若い夫婦の物語なのだが、最初は夫婦であることが板につかないところから始まって、妻 (木村多江) が精神の均衡を崩し、夫 (リリー・フランキー) は法廷の絵描きの仕事を続けつつ妻への愛情を注ぐ。 と書いてしまうと他愛ない感じがするけれど、夫が仕事で通う裁判の描写によって時代性がさりげなく示されれながら、妻の微細な神経とそれを包む夫の自然な優しさ、そして徐々に本当の夫婦になっていく二人の様子が観客の胸を打つ佳作と言える。 橋口監督がオリジナル脚本も書いているそうだが、いい仕事をしましたねと言ってあげたい気持ちになる映画だ。 しかし私が見に行ったときは私を入れて4人しか観客がいなかった。 新潟の映画ファンは何をやってんだろうねえ。

111.「イースタン・プロミス」 9/7、UCI新潟。 評価★★★★ 英米加合作、デビッド・クローネンバーグ監督作品。 ロンドンで生きるロシア系移民たちの物語なのだが、筋書きをここで書くことは控えたい。 ネタバレになるからということもあるが、この映画はそうしたカラクリ的な面白さより、映画の映画的な面白さによって成り立っている作品だからだ。 一つ一つの場面や、人物の何気ない表情や動作、バイクなどへのこだわり――そういった細部が映画的な愉悦に満ちていて、十分に満足できること間違いなしと言っておこう。

110.「アウェイ・フロム・ハー 君を想う」 9/4、シネ・ウインド。 評価★★★☆ カナダ映画。 サラ・ポーリー監督作品。 二人で長年暮らしてきた老夫婦。 しかし妻にアルツハイマー病の徴候が出てきた。 施設に入ることを決意する彼女。 ためらいながらそれを認める夫。 施設に慣れるため最初の1カ月は面会不許可ということで、1カ月後に施設を訪れた夫は、妻が見知らぬ老いた男の世話を焼いているのを見る。 そして彼女には夫が思い出せなくなっていた・・・・・。 老人のアルツハイマー病という重いテーマを持った映画だけれど、見てみるとかなり映画的にできている。 つまり重苦しさだとかリアリズムだとかだけに頼って作ってある映画ではない。 主役夫婦を演じる二人が老人なりに美男美女だし、筋書きにも楽しめるところがあるし、映像も美しい。 クソ・リアリズムに陥っていないところを評価すべき作品だろう。

109.「1978年、冬」 9/4、シネ・ウインド。 評価★★★ 中国映画。 リー・チーシアン監督作品。 中国の地方都市を舞台に、わけあって向かい側の家に北京から引っ越してきた二胡を弾き踊りもうまい美少女に対して思いを寄せる兄弟の物語。 文化大革命が終わりを告げる時代が、切り替えが早く淡々とした映像のなかでさりげなく浮かび上がってくる。 一方で毛沢東崇拝路線が続いているが、他方で北京の洗練された少女によって都会の匂いが、そして地方都市の工場経営によって近代化という問題も見えている。 時代の移り変わりとはそんな雑多な要素の錯綜にあるわけだが、それが自然な映像で映し出されているところが魅力か。

108.「20世紀少年 第1章」 9/1、UCI新潟。 評価★★★ 浦沢直樹の人気コミックが3回に分けて映画化される。 その第1回。 堤幸彦監督作品。 私は原作を読んでいないのだが、映画と言うことで評するなら、前半は理不尽な筋書きの展開がそれなりに楽しめるが、後半で7人の戦士が立ち上がって戦いを開始するあたりからかなり手薄な印象が強くなる。 この辺はもっと具体性を持たせないと説得力が出ないと思うんだが、時間がないせいかカネがないせいか、はたまた原作がもともとそうなっているのか、ドタバタ話が進むわりには中身がないような感じなのである。

107.「R246 STORY」 9/1、Tジョイ新潟万代。 評価★★ 1編約25分の短篇6編から成るオムニバス映画。 国道246号線をテーマに、各界の人間が自分なりの映画を撮ってまとめたものらしい。 オムニバス映画なのでそれぞれ出来は違うわけだが、私としては、3番目のVERBALが作った、日本のヒップホップミュージックに関して様々な人物にインタビューして作ったドキュメントと、最後を飾るユースケ・サンタマリアによる 『弁当夫婦』 の2作が見るに値すると思う。 残りはたいしたことない。 中でも浅野忠信のはひどい。

106.「タクシデルミア ある剥製師の遺言」 8/31、シネ・ウインド。 評価★☆ パールフィ・ジョルジ監督作品。 ハンガリー・オーストリア・フランス合作。 三代に渡る男たちの物語で、三代目がサブタイトルの 「剥製師」 なのであるが・・・・・・何と申しましょうか、「グロテスク、ただグロテスク、グロテスク」 と歌(?)を詠みたくなってしまう映画です。 並の感性の人には薦められません。 普通の食物そっちのけでクサヤなんかを毎日食べているというような人には、いいかもしれませんが。

105.「光州 5・18」 8/21、シネ・ウインド。 評価★★★ 韓国映画。 キム・フジン監督作品。 1980年5月に光州市で実際に起こった軍隊による市民殺戮事件を描いている。 この事件については今もよく分かっていないことが多いらしく、例えば市民への発砲を命じたのが現場の司令官なのか、もっと上の人間なのかも謎のままであるらしい。 そういうわけで、事件がなぜ起こったのかの謎解き的な側面はきわめて不十分だが、軍隊が市民を殺戮するという異常な事件の臨場感や迫力はそれなりである。 ただし、市民側の人間ドラマはちょっと単純だし、糞尿趣味のユーモアも洗練されていない印象が強く、せっかくアン・ソンギらの名優を揃えているのにちょっと惜しい気がする。 

104.「スカイ・クロラ The Sky Crawlers」 8/20、WMC新潟。 評価★★★☆ 押井守監督の最新アニメ。 プロペラ機で敵軍との空中戦を続ける世界。 ただしそれは会社同士の空中戦で、戦闘パイロットとして勤務するのは永遠に年をとることのないキルドレと呼ばれる若者たち。 こうした異世界を舞台に、彼らの戦闘、日常と遊び、愛、などを細部にこだわりながら淡々と描いた大人向けのアニメである。 単なる戦闘ものとしてではなく、永遠に年を取らないことへの疑問と悲しみと静かな諦めを読みとれれば、十分に堪能・満足できる作品だと思う。

103.「パーク アンド ラブホテル」 8/15、シネ・ウインド。 評価★★★ 熊坂出監督作品。 東京の某所に建つ古びたラブホテル。 その屋上は、遊び場として日中子どもたちに解放されている。 オーナーは59歳の女性。 そうした奇妙な設定のもと、オーナー女性と3人の女性との関わりを描いている映画。 最初は父が再婚して家出した13歳の少女の面倒を見る話で、まあ分かりやすいんだけど、だんだん分かりにくい話になってきて、そうした変な味わいと、子供の遊び場とラブホテルというミスマッチングの味わいが、何となく心に残る作品になっている、かな。 マリカ役の神農幸 (じんの・さち) がキレイ。

102.「純喫茶磯辺」 8/15、Tジョイ新潟万代。 評価★★ 吉田恵輔監督作品。 妻と別れて高校生の娘 (仲里衣紗) と二人で暮らすしがない男 (宮迫博之) が、たまたま父の死で遺産が入ったことをきっかけに土木作業員をやめて喫茶店を開店する、というお話。 ダサい喫茶店に色々な人物が出入りして・・・・・・という面白さを狙ったようだが、日本の映画にありがちな小ネタや他愛もない小咄の連続に終わっていて、しかもそこに新鮮味も感じられず、私は1200円で見たのだけれど、500円でたくさんかな、という作品になっていました。 ぬるい温度の日本映画、作るのやめません?

101.「ダークナイト The Dark Knight」 8/11、UCI新潟。 評価★★★   クリストファー・ノーラン監督作品。 バットマン・シリーズの最新作。 バットマンと悪役ジョーカーの死闘を描いている。 娯楽映画としての面白さはそれなりにある。 ただ、巷の評判のように悪役ジョーカーにすごみだとか独特の味があるかというと、私にはさほどとは思われなかった。 むしろ、この映画がそれなりのレベルに達しているのは、主役たちの競い合うような演技だろう。 バットマンとジョーカーだけでなく、検事役と刑事役がそれぞれに自己主張していて、いわば三つ巴ならぬ四つ巴の味が出ている。 そこを買うべき作品じゃないかな。

100.「胡同 (フートン) の理髪師」 8/9、シネ・ウインド。 評価★★★ ハスチョロー監督作品。 北京市の中心部に今も残る古い街並み――しかしやがて壊される予定で、映画の中でもそのために破壊予定の建物にペンキで印をつけるシーンが出てくる。 そこに、93歳になる理髪師のチン氏が1人で住んでいる (実在の人物)。 店舗はないが、なじみの客のために自転車で出かけ、散髪をするチン氏。 2度結婚したがいずれも妻に先立たれ、今は自分が逝ったときに備えて久しぶりに写真を撮ってもらうチン氏。 そうした姿が淡々と映し出されていく。 老人仲間と麻雀をするシーンでは、つけっぱなしのテレビが水着の美女を映し出したり、欧米の映画をやっていたりするなか、時間がとまったかのような老人たちの麻雀との対比がさりげなく示されている。 近代的な高層ビルが建ち並ぶ北京だが、裏町に入ると昔の日本をも想起させるような世界が残っているのだと分かり、感慨が湧いてくる映画だ。

99.「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程」 7/31、シネ・ウインド。 評価★★★★ 若松孝二監督作品。 60年代後半から過激化していった学生運動が、72年のあさま山荘事件で頂点に達し、同時に事実上終止符を打つまでを、その途中の陰惨な 「総括」 によるリンチ殺人事件を含めて丹念に追った映画。 語り手の説明を含めて、映画は淡々と事実を追うことに意を用いており、余計なイデオロギー的解説の類はいっさい付け加えていない。 それがこの映画の成功の一因であろう。 3時間を越える大作だが、いささかもゆるみを感じさせない作品だ。 最後の最後で、警察に囲まれた山荘内で、過激派学生の1人が 「〔リンチ殺人が繰り返されたのは〕 勇気がなかったからだ」 と叫ぶのは、事実かどうか知らないが、事実でないとしたら監督のこの事件へのコメントをぎりぎりの場面で登場人物に語らせたものと思われた。 実際、この事件の当事者でなくとも、同世代の団塊の世代は、今に至るまで 「勇気のなさ」 を至るところで露呈しているのだ。 日本人の勇気のなさは、いつまで続くのだろうか。

98.「崖の上のポニョ」 7/30、WMC新潟。 評価★★★ 宮崎駿監督の最新作。 海の中の生物の描かれ方が、古代のそれを含めて何とも魅力的。 筋書きはやや単純だけれど、絵やイメージを愉しむ気持ちがあればそれなりの作品だと思う。 ポニョや宗介くんもかわいいが、個人的には宗介くんのおかあさんの短髪きりりとした魅力に惹かれました (笑)。 

97.「Tibet Tibet チベットチベット」 7/27、クロスパル新潟。 評価★★★ 毎年2月に行われている 「にいがた国際映画祭」 のプレイベントとして、新潟市では市の施設で7/13とこの日の2回だけ上映された。 中国によるチベット弾圧問題を扱ったドキュメンタリー映画。 監督は在日コリアン3世で、世界一周旅行の途中でモンゴルに立ち寄った際にダライラマの存在を知り、そこからチベット問題に興味を持ってこの映画を作ったという。 作中、日本への帰化も考えていて民族問題には興味のなかった監督が、しだいに朝鮮人としての民族意識に目覚めていくという筋書きが混入していて、率直に言ってここはちょっとクサいなと思ったのだけれど――そもそも本人の意志次第でいつでも韓国に帰れる在日コリアンと、中国人に抑圧されていて故国帰還が叶わないチベット人とでは民族意識と言っても位相が異なるはずだがその辺のことが監督には分かっていないようだ――撮影そのものも困難なチベット問題を映画としてまとめた意欲は評価したい。 ただし、チベット人のかかえる諸問題や背景が十分に説明されているとは言えないので、あくまでこの映画は端緒として、書物などで知識を補う必要があるだろう。
  なお私が映画を見たこの日には、ゲストとして、インド生まれの亡命チベット人であるみいなさんが招待されており、上映後にトークを行い、その後観客との質疑応答も行われ、私も質問させていただいた。 みいなさんは日本人外交官を夫としておられ (したがって現在のお名前は藁谷みいな)、夫君も観客席に来ておられた。 質疑応答では、映画では捉え切れていなかったチベット人の経済的自立問題や、民族性を強調するあまり宗教 (チベット仏教) だけを前面に押し出すことの危険性なども指摘され、観客もみいなさんも冷静にこの問題を捉えていることが分かり、大変有意義なイベントとなった。

96.「インディー・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国」 7/20、WMC新潟。 評価★★★ スティーヴン・スピルバーグ監督作品。 久しぶりのインディー・ジョーンズ・シリーズ新作である。 クリソン・フォードも年を取ったが、老体にめげずアクションを披露している。 エンタメとして一定レベルに達した映画だとは思う。 でもちょっとご都合主義すぎるところもあって、もう少し悪役 (ケイト・ブランシェット) に活躍をさせてもよかったんじゃないか。 私はケイト・ブランシェットは好きじゃないが、この映画ではソ連将校をなかなかかっこよく演じていて――何しろ1957年という設定なのだ――彼女にしては魅力的だと思ったので。 それにしても――毎年この時期には同じことを書いているけど――ここんとこ夏枯れで、見たい映画がないんだよなあ。

95.「西の魔女が死んだ」 7/17、UCI新潟。 評価★★★ 長崎俊一監督作品。 中学に行くのが嫌になったヒロイン (高橋真悠) は、英国人のおばあさん (サチ・パーカー) と一緒に暮らすことになる。 おばあさんはかつて英語教師として日本に赴任し、理科教師の日本人である祖父(故人)と結婚したのだった。 ヒロインはおばあさんと自然の中で規則正しい生活を送りながら 「魔女」 になる訓練をつんでいく・・・・・。 悪い映画ではない。 だけど起承転結があまりしっかりついていないし、おばあさんとヒロイン以外の登場人物の描写がわりにいい加減なので、全体としての説得力はもう一つ出ていないみたい。

94.「靖国」 7/10、シネ・ウインド。 評価★★  話題の映画をやっと見た。 李纓監督作品。 靖国神社における8月15日の左右各陣営の動きだとか、台湾人の抗議行動だとか、仏教僧侶の反靖国的意見だとか、騒々しい場面が多い。 これが靖国神社の全てではないと思うけど、これだけならドキュメンタリーとしてまあ並みの出来だろう。 一方、刀匠への李監督のインタビューは、完全に失敗している。 職人に近代的な問題意識を下手な日本語でぶつけてもまともな答えが返ってくるわけがない。 黙って刀を作る過程を追った方がよかった。 また、最後あたりで南京事件に関する写真 (真偽不明) を並べたりしているのも、政治的と受け取られても仕方がないだろう。 加えて、靖国神社のご神体が日本刀であるという本作品の説明は誤りであるらしい。 以上のマイナス面を考えると、標準より下の評価となりますね。 

93.「JUNO/ジュノ」 7/1、UCI新潟。 評価★★★ アメリカ映画。 ジェイソン・ライトマン監督作品。 高校生の女の子が同級生と衝動でセックスをしたら妊娠してしまい、最初は中絶しようかと思ったけれど、色々あって生むことに決め、といって自分では育児ができそうもないので養子として育ててくれる人を探して・・・・というようなお話。 展開は軽快で、あまり深刻にならずに、軽めにまとめている。 まあまあ面白いかなというレベルで、ほめるほどの映画だとも思われない。

92.「ひぐらしのなく頃に」 7/1、UCI新潟。 評価★★ 及川中監督作品。 最初ゲームとして作られ、それをもとにしたマンガがヒットし、挙げ句に映画化されたらしい。 私はゲームもマンガも見ていない。 東京の高校生が山奥の村に転校してきて、最初は同級の女の子などに親切にしてもらって楽しく暮らしていたが、やがてこの村に定期的な殺人や失踪事件がおこっていることを知り・・・・・というような筋書き。 途中はまあ面白いんだけど、謎が全然解決されずに終わってしまう。 こんなのアリか? 続編が作られるというお知らせが最後に出ているけど、謎の一部を持ち越すならともかく、全部を持ち越すなんて、サギじゃないかと言いたくなるぞ! 登場する女の子では飛鳥凛とあいかが可愛いかな。

91.「奇跡のシンフォニー」 6/30、MWC新潟。 評価★★★ アメリカ映画。 カーステン・シェリダン監督作品。 わけあって両親を知らず孤児院で暮らしている少年が、その音楽的才能を活かして陽の当たる場所に出ていき、あわせて両親とも再会する、というお話。 いちおう感動作なので、そういう話が好きな人には向いている映画。 ただし、筋書きはかなりご都合主義的であったり、説明を省いている箇所があったりするので、つっこみどころもそれなりにある。 主人公の少年は音楽の天才というより、超能力者なんじゃないだろうか (笑)。

90.「築地魚河岸三代目」 6/28、WMC新潟。 評価★★★ 松原信吾監督作品。 銀座のオフィスに勤めるエリートサラリーマン (大沢たかお) が、恋人 (田中麗奈) が実は築地の魚河岸の卸商の娘であることを知り、会社のリストラに納得がいかず嫌気がさしていたこともあって、脱サラし魚河岸に職を求めて・・・・・というようなお話。 色々な人間が登場するが、基本的に古典的な人情話であって、定型をしっかり守った映画と言えるだろう。 どうってことない映画みたいだけど、定型の強みを活かしていて、それなりに面白い。 続編も製作決定だそうだが、「寅さん」 か 「釣りバカ」 みたいになるかも。 

89.「神様のパズル」 6/27、WMC新潟。 評価★★☆ 三池崇史監督作品。 人工授精で生まれた天才少女 (谷村美月) と、双子の頭のいい片割れが旅行中なので大学の物理学ゼミへの代理出席をおしつけられた落ちこぼれの青年(市原隼人)が、宇宙を新たに作れるかという難題に立ち向かう、というお話。 進行がかなり荒唐無稽というか、ちゃんと脚本で説明しなきゃいけないところをかなり飛ばしているので、理詰めで映画を見る人には向かない作品。 理屈なんてどうでもいいからひとつひとつのシーンが迫力あるとか、谷村美月の胸元が見えるから納得するとか、そういう人にはまあまあの映画でしょうけど。

88.「レンブラントの夜警」 6/26、シネ・ウインド。 評価★★ 英仏蘭加ポーランド合作。 ピーター・グリーナウェイ監督作品。 レンブラントの有名な絵画がどういういきさつで描かれたか、そしてそれがモデルたちから非難されてレンブラント没落のきっかけになるが、逆に彼二度目の妻との絆を決定付けた、という推論に基づいて作られている。 しかし、画面はレンブラントの絵画を意識してピクチャレスクに構成されているが、話の展開や舞台そのものは現代演劇風で映画チックではなく、おまけに150分と長たらしいので退屈してしまう。 私は途中で眠くなった。 せめてこの3分の2くらいに縮めてメリハリをはっきりつけていれば、と思うのだった。

87.「国定忠治」 6/19、浅草新劇場。 評価★★☆ 1960年、谷口千吉監督作品。 有名な国定忠治に三船敏郎が扮している。 その妻に新珠三千代、妹に水野久美。 放浪の末に故郷に帰った国定忠治が、飢饉で困っている農民の一揆を助けたものの、役人に追われて仲間を連れ赤城の山に籠もり、しかしやがて山を下りて悪徳代官を斬って放浪の旅に出るまでを描いている。 三船敏郎って、顔つきがいつも同じようで、迫力はあるのだけれど、どこか一本調子である。 妻役の新珠三千代も、私はもともとあまり好きじゃないのだが、面白みを感じない。 むしろ狂った妹を演じる水野久美がこの映画に色を添えている。

86.「ろくでなし野郎」 6/19、浅草新劇場。 評価★★☆ 1961年、松尾昭典監督作品。 田舎町にふらりとやってきた青年 (二谷英明) が、開発がらみで強引に土地を権利者から奪い取ろうとしている悪徳親子およびその子分たちと対決するというお話。 筋書きはこの頃の映画にありがちなものだが、ちょっと面白いのは二谷英明が神父の格好で登場するところ。 神に仕える者、という設定なのだ。 実はそこにはからくりがあるのだが、こういう変化球がないと平凡な映画に終わっていたところだろう。 ヒロインは芦川いづみ。

85.「顔を貸せ (ヤサグレ・シリーズ2)」 6/19、浅草新劇場。 評価★★☆ 1966年、湯浅波男監督作品。 モノクロ、シネマスコープ・サイズ。 大阪を舞台に、大阪の不良少女グループ (これをヤサグレというらしい)、関東から流れてきた不良少女グループ、それに高宮敬二演じるいかさま師と、聾唖者同士の夫婦 (妻の方はやはりイカサマでカネを稼いでいる) がからむお話。 女の子がたくさん出てくるので、新人女優を多数起用するための設定なのかなあ、なんて思いながら見ていたが、聾唖者の夫婦が堂々と (?) 犯罪行為でカネを稼いでいるという筋書きは、現代の偽善的な映画界ではまず不可能だろうな、と変なところで感心してしまったりしたのでした。 女の子がたくさん登場するわけだが、この聾唖の妻役の女の子が一番キレイでした。

84.「マンデラの名もなき看守」 6/18、シネカノン有楽町1丁目。 評価★★★★ 独仏合作。 ビレ・アウグスト監督作品。 人種差別が長らく続いた南アフリカで、平等を訴えて闘ったがために長期間刑務所にぶちこまれていたマンデラ。 彼は出獄後、大統領に就任する。 この映画は、そのマンデラの看守として勤務した白人軍曹 (のちに准尉、最後に少尉となる) の物語で、時代的には60年代後半から80年代にかけてを扱っており、実話をもとにしているそうである。 看守と囚人という関係とはいえ、一種の人間関係が芽生え、マンデラに感化された軍曹は人間の平等について真面目に考えるようになる。 しかし他方では上司に命じられて黒人抵抗組織の秘密通信を暴いたりもする。 家に帰れば妻が収入や子育てのことで何かと夫に難題を押しつける。 そうした普通の人間の営みのなかで、軍曹はわずかずつではあるがマンデラに協力し、南アフリカが国際社会からの厳しい批判によって黒人差別を解消していく過程でそれなりの役割を演じていくのである。 マンデラという英雄的人間と交流があった普通の人間に光を当て、その姿を浮かび上がらせた佳作と言えるだろう。 新潟でも上映して欲しい。

83.「ラフマニノフ ある愛の調べ」 6/18、銀座テアトルシネマ。 評価★★★ ロシア映画。 パーヴェル・ルンゲン監督作品。 作曲家のラフマニノフの一生をたどった映画である。 ただし伝記に忠実な作りではなく、多少のフィクションも交えて、師との関係、女性関係、革命、アメリカへの亡命、アメリカ商業主義のなかでの苦悩などなどを浮かび上がらせる作りになっている。 音楽のシーンはあまり多くないので、音楽劇を期待して見ると失望するかもしれないが、芸術家と時代の関わりという観点からすればそれなりに面白いし、標準的な出来だと思う。

82.「世界で一番美しい夜」 6/17、シネ・アミューズ(渋谷)。 評価★★★ 天願大介監督作品。 少子化が進む日本で、日本一出生率が高いと評判の村が総理大臣表彰をうけることになったが、出生率が高いのには、実は理由があった。 その複雑な理由とは・・・・・というような映画だが、話としてはかなり迂遠で屈折しており、全然関係なさそうなところからめぐりめぐって出生率に行く展開は、かなりいい加減だけど結構面白い。 映画ってのは、いい加減でいいからとにかく面白く作らなきゃダメなんだ、と変なところで納得する作品じゃないかな。 R18指定。

81.「ドモ又の死」 6/17、イメージフォーラム(渋谷)。 評価★ 有島武郎の戯曲にインスピレーションを得て奥秀太郎が現代風な女性劇に仕立てたものだそうである。 だけど、いかにもカネをかけてないアングラ映画なのだ。 マンガ家の萩尾望都が出ているけど、話題作りの域を出ない。 まるっきり面白くないので、カネ返せと言いたくなる。 ミニシアター回数券で見たから1330円だったわけだが、330円でも高すぎるゾ。

80.「幻影師アイゼンハイム」 6/16、シネマート新宿。 評価★★★  アメリカ・チェコ合作。 ニール・バーガー監督作品。 19世紀のウィーンを舞台に、人をおどろかせる大奇術を使うアイゼンハイム (エドワード・ノートン)、彼と幼なじみでお互い惹かれあっている公爵令嬢ソフィー (ジェシカ・ビール)、彼女の婚約者である皇太子 (ルーファス・シーウェル) を中心にして話は進む。 奇術の種明かしはなされていないが、筋書きや人物配置はオーソドックスで、古典的な映画と言っていいだろう。 その古典性ゆえに、まとまりはまあいいのだが、ちょっと物足りない感じも残る。 しかし主役エドワード・ノートンが幻影師としてカッコいいし、他の配役もそれなりなので、見て失望することはないと思う。

79.「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」 6/14、シネ・アミューズ(渋谷)。 評価★★★☆ アメリカ映画。 ポール・トーマス・アンダーソン監督作品。 20世紀初頭のアメリカを舞台に、石油掘りによってカネを稼いで回っている男 (ダニエル・デイ=ルイス) の姿を描いている。 そのために利権を隠して土地を買いたたいたり、新興宗教を説いて回る牧師と奇妙な関係を結んだり、昔生き別れた弟だと名乗る男と出会ったり、事故で一人息子の聴覚が失われて悩んだり・・・・さまざまな事件が起こるが、その中であくまで石油の利権での金儲けを目指す狂気にも似た人生が、音楽の効果とともに奇妙な重厚さで物語られている。 好き嫌いで言えばあまり好きにはなれないが、何かよく分からない迫力というか、非整合性の持つ重さとでもいったものが感じられる作品ではある。 牧師を演じるポール・ダノもいつもながら変な役だ。 重さと奇妙さが好きな人にはいい映画かも。

78.「山桜」 6/12、Tジョイ新潟万代。 評価★★★★ 藤沢周平原作の篠原哲雄監督による時代劇映画。 最初の結婚で相手に若死にされ、二度目の結婚相手の婚家で苦労をしているヒロイン (田中麗奈)。 ある日、彼女は墓参りの帰り道、かつて結婚を申し込まれた若侍 (東山紀之) と偶然出会う。 当時は相手を良く知らぬままに断った話であった。 しかし再会の直後、彼から剣を教わっている弟の話で、彼が以前から自分に思いを寄せていたこと、剣に強いだけでなく人格も優れた人物であることを知って心惹かれていく。 一方、藩では金儲けをたくらむ悪徳上級武士の政策で農家が疲弊しきっていた。 そして・・・・・。 ていねいな季節ごとの風景描写、そして淡々とした人物描写のなかで、しずかに事件は進行する。 それらしく見せるといった上っ面の劇的効果を狙った映画ではなく、穏やかな流れがゆったりと心に浸透してくるようなすぐれた作品だと思う。

77.「ザ・マジックアワー」 6/9、UCI新潟。 評価★★★☆ 三谷幸喜監督作品。 ヤクザのボス (西田敏行) の情婦 (深津絵里) と寝てしまった男 (妻夫木聡)。 それがバレて殺されそうになるが、伝説の殺し屋・デラ富樫を知っていると口から出まかせを言ったため、殺し屋を連れてくることを条件に助かる。 しかし実際には殺し屋の所在を知らない彼は、売れない三流映画俳優 (佐藤浩市) に殺し屋の役で映画に出ないかと話をもちかけ、ボスのところに連れてくる。 はたしてごまかしはいつまで通用するのか・・・・・・。 「あり得ない」 と言いたくなる設定だし、展開も、まあ糞リアリズムを基準にすれば 「あり得ない」 のであるが、映画としてはなかなか面白い。 そしてこうしたあり得ない設定と展開の根底にあるのは、映画への讃歌であり、最後にいたってそうした基本テーマが明確に現れてくるところがすがすがしい。

76.「つぐない」 6/9、UCI新潟。 評価★★★   英国映画。 ジョー・ライト監督作品。 英国上流階級の長女 (キーラ・ナイトレイ) と、同家の女中を母とする青年 (ジェームズ・マガヴォイ) が恋に落ちる。 しかし、やはり青年に恋心を抱くローティーンの次女が屋敷内で起こった事件の犯人として彼を名指したことから、青年は刑務所送りとなる。 やがて始まった第二次世界大戦。 青年は兵役につくことを条件に刑務所から出るが、待っていたのは過酷な戦場だった。 一方残された長女と次女は・・・・・・というようなお話。 英国の上流階級の屋敷を舞台とする前半はなかなか映画チックで面白い。 後半になって次女の 「つぐない」 がなされるかどうかというところになると、必ずしも映画として成功していないような気がする。

75.「非現実の王国で ヘンリー・ダーガーの謎」 6/5、シネ・ウインド。 評価★★★ ジェシカ・ユー監督作品。 シカゴで結婚もせず下積みの仕事をしながら貸間に暮らし続けた男がいた。 しかし、1973年に彼が亡くなったとき、部屋にはおびただしい量の物語とそのイラストが残されていた・・・・。 その男、つまりヘンリー・ダーガーの生涯をたどり、彼の残した物語とイラストを紹介したドキュメンタリー映画。 私はダーガーの名も知らなかったけれど、その生き方を含めて興味をそそられた。 ドキュメンタリー映画の特質を活かした一本だと思う。  

74.「山のあなた 徳市の恋」 6/5、UCI新潟。 評価★★ 石井克人監督作品。 あんまの徳市 (草なぎ剛) が夏に仲間たちと一緒に温泉場で仕事をする様子、ひとり温泉場に逗留する美しい女性 (マイコ) や、叔父 (堤真一) と甥など、お客たちのさまざまな表情を描いた映画。 温泉場の雰囲気はなかなかよく出ており、景観も美しい。 ただし脚本が弱く、最後のあたりの展開はとってつけたようで、途中までの出来のよさを殺してしまっているのが惜しい。

73.「僕の彼女はサイボーグ」 6/1、WMC新潟。 評価★★★☆ 『猟奇的な彼女』 のクァク・ジョエン監督が日本で日本人スタッフと撮影した映画。 ダメ男 (小出恵介) の前に突然現れた美しい女性ロボット (綾瀬はるか)。 彼は彼女に恋するが、人間でない彼女には恋という感情が分からない。 やがて・・・・・というようなお話。 なかなかダイナミックな展開で、日本人だけで作った場合に比べて良くも悪くもエネルギッシュであり、ちょっと残酷さもあり、しかしそうしたパワーのようなものがこの映画ではプラスに働いているように感じる。 面白い作品だと思うけれど、ラストのあたりがちょっと唐突で、中盤へのつながりがよろしくないのが残念。

72.「4ヶ月、3週と2日」 5/30、シネ・ウインド。 評価★★★☆  ルーマニア映画。 クリスティアン・ムンジウ監督作品。 昨年のカンヌ映画祭でパルムドールをとった作品。 妊娠中絶が非合法だった共産主義時代のルーマニアで女子学生が中絶をするお話だが、その学生が主人公なのではなく、寮で同室の女子学生がヒロイン。 友人のためにかけずり回るのだが、中絶学生がきわめていい加減な人間で、そのために振り回されたり、しなくてもいい苦労をするところが結構リアル。 中絶と女性というモラルの問題を扱った映画と言うより、ダメ人間を友人に持ってしまった若い女の悲喜劇として見るべきなんじゃないだろうか。 

71.「ファーストフード・ネイション」 5/30、シネ・ウインド。 評価★★★ 米英合作。 リチャード・リンクレイター監督作品。 利益第一主義のハンバーガー・チェーンで、製品に大腸菌が混入していることが判明。 調査に乗り出した社員は、自社の抱える様々な問題点に直面する・・・・。 食品の問題を追求した映画として、「いのちの食べかた」(39を参照)よりはるかにマシである。 単に大量加工と衛生といった側面だけではなく、メキシコからの不法移民の就労問題などが絡んでいることも分かる。 キャストも結構多様で豪華。 ブルース・ウィリスやクリス・クリストファーソンも出ている。 私的にはアンバーを演じたアシュレイ・ジョンソンの魅力に注目したい。

70.「SLEUTH スルース」 5/29、UCI新潟。 評価★★ ケネス・ブラナー監督作品。 名声を持つ初老の作家 (マイケル・ケイン) と、その妻と不倫関係にある駆け出し役者の青年 (ジュード・ロウ) との対決を描いている。 出演はこの二人だけで、舞台は作家の屋敷。 二人芝居の面白さがあるかと期待したのだが、残念ながら出来はイマイチ。 二人の対決は3回戦まであるが、3回戦目はあきらかに余計で、作品のまとまりを損なっている。 2回戦までをもっと入念に作るべきだったが、そこまでの脚本も練り方が足りない。

69.「ミスト」 5/29、Tジョイ新潟万代。 評価★★★ フランク・ダラボン監督作品。 アメリカの田舎町を舞台に、大地震のあと濃い霧が発生し、そこから怪物が現れ、スーパーに立てこもった客たちがいかに対処するかを描いている。 怪物との対決もさることながら、客同士の確執や連携が面白い。 ただし最後が・・・・なので、それなりに心理的な覚悟をしてから見ることをお薦めしたい。 

68.「アフタースクール」 5/26、UCI新潟。 評価★★★ 内田けんじ監督作品。 私立探偵が、出社していない某社社員を探すよう頼まれる。 その社員は女性と一緒のところを偶然写真に撮られたのだが、会社の秘密を漏らす恐れがあると懸念されたのだ。 探偵は、社員と中学時代に同級で現在はその中学の教師をしている男を見つけ出し、自分もかつての同級生だと偽って目的の社員を探し出そうとするのだが・・・・・。 途中でどんでん返しがあって、いわば背景と被写体が逆転するような面白さがある。 ただし、そのために最初から映像は詐術的であり、いかにも観客をだます目的で撮影しましたといった作り方がいささか興ざめ。 そういうところが気にならない人には良い作品かも。 

67.「ゼロ時間の謎」 5/23、シネ・ウインド。 評価★★★★ フランス映画。 パスカル・トマ監督作品。 海辺の豪邸に使用人たちと住む裕福な老婦人。 夏のある日、そこに甥とその現妻、現妻の友人、前妻、その友人などが訪れる。 老婦人の友人である老弁護士も。 やがてそこに殺人事件が・・・・・・。 ミスリー映画としてよくできていると思う。 さりげない伏線や一見奇妙な人間関係が事件を解くのに重要な役割を果たす。 探偵役の警部が最初に登場する何気ないシーンも、迂遠ながら後半につながっている。 ミステリー好きにはお薦め。

66.「迷子の警察音楽隊」 5/22、UCI新潟。 評価★★★ イスラエル・フランス合作。 エラン・コリリン監督作品。 エジプトの警察音楽隊が、招待されて長らく敵対関係にあったイスラエルにやってくるが、乗るべきバスを間違えて辺鄙な町に到着してしまう。 戻るバスは明日までない。 仕方なく、親切なカフェのマダム宅などに分散宿泊することになるが・・・・・。 異郷にあって会話もふだん使っている言葉ではなく英語で、という不便な環境でどことなくぎこちなく過ごす音楽隊員たちの表情がユーモラスだ。 決して事件が突発したり、笑いを狙ったりするお話ではないけれど、一見の価値があると思う。

65.「ダージリン急行」 5/22、UCI新潟。 評価★★★☆ アメリカ映画。 ウェス・アンダーソン監督作品。 インドに旅する3兄弟のお話。 舞台になっているインド、そしてダージリン急行が見ものである。 ゆったりまったり走り続ける急行列車、若干おかしな乗務員、変なものを売っている途中の駅、案外な事件が起こってしまうインド。 そりのあわない3人の兄弟はそれでも旅をする。 どこか底が抜けている感じだが、決まり切った作りのハリウッド映画に飽き果てた私としては結構面白かった。 こういう映画を見ると旅に出たくなるんだよなあ。

64.「最高の人生の見つけ方」 5/20、UCI新潟。 評価★★ ロブ・ライナー監督作品。 何度も結婚と離婚を繰り返した白人の富豪 (ジャック・ニコルソン) と、地味ながら誠実に人生を生きてきた黒人労働者 (モーガン・フリーマン) が、不治の病で入院し同じ病室で隣り合わせのベッドに。 お互い余命いくばくもないから、その時間を使って好きなことをしよう、という合意で二人は病院を脱出して・・・・・・というようなお話。 この映画、たぶん、一般のウケはいいだろうな。 だけど私は評価しないんだよね。 いや、構想としては悪くないし、作り方によっては面白くなったと思うけど、あまりに安全運転なんだよ。 家族讃美だとか、PTAからクレームが付かないようなことばっかりを、なんで死ぬ間際の男たちがやらなきゃならないのかね? 女遊びを飽きるほどやりまくるとか、教会からクレームが付きそうな映画をどうして作れないんだろうね? ハリウッドの退廃 (と言っておこう) とマンネリ化した演出が、私にはぞっとするほど嫌だった。 こんな作品ばっかり作っているようじゃあ、ハリウッドは滅亡も近いんじゃないか、そう暴言を吐きたくなる映画だった。 こんな映画には飽きはてた!!

63.「チャーリー・ウィルソンズ・ウォー」 5/19、UCI新潟。 評価★★★ マイク・ニコルズ監督作品。 80年頃が背景となった映画。 美人秘書など周囲を若い女で固めて享楽的な暮らしを送っていたお気楽なアメリカ下院議員 (トム・ハンクス) が、ふとしたことからアフガンが侵攻してきたソ連軍に踏みにじられているのにアメリカがイスラムとの関係などなどからろくな武器援助もしていないことに気づき、迂遠な手段をとりつつ現地人に武器を供給しようと政治的な活動にのりだす、というお話。 こういう筋書きなので、「今なぜ反ソ映画か」 なんてリベラルなお歴々から文句がつきそうだが、対ソ連戦略とイスラム諸国という異なる次元の問題をなんとか妥協させながら政治的な根回しを固めていくあたりの描写は、アメリカの現実政治を知る上ではそれなりに面白い。 ただし、それは映画的面白さとはいくぶん違ったものなので、見ていて楽しめるかというと、どうかなと言うしかない。 女優陣では、すでにトウがたっているジュリア・ロバーツなんかより、下院議員といつも行動を共にする美人秘書のエイミー・アダムスが初々しくてチャーミングだ。

62.「シッコ」 5/18、りゅーとぴあ (新潟市民芸術文化会館) 劇場。 評価★★★★ マイケル・ムーア監督作品。 アメリカの医療保険制度がいかにひどいものであるかを告発したドキュメンタリー。 新潟の商業館にも来たのだが見逃していたところ、新潟県医師会が無料の上映会を開いてくれたので見に行ってみました (ただしDVDによる吹替版)。 たしかにひどい。 カナダ、英国、フランスの医療制度がそれと対比されている。 日本は3割本人負担の国民皆保険制度だから、アメリカよりはマシだけど、これら3国より劣りますよね。 まあ、フランスの生活水準を示す画像なんかは、フランスでも移民はひどい暮らしを強いられているし、平均的なフランス人とは言えないだろうと疑っちゃうけど、最後でアメリカ人が目の敵にしているキューバの医療制度もアメリカよりずっとマシと紹介するあたりにパンチが効いているし、反マイケル・ムーアのサイトを主宰している男が奥さんの医療費のせいでサイトを閉鎖しかかったとき、敵に塩を送るかのごとくに医療費をプレゼントするあたりも 「余裕」 が感じられて、なかなかいいんじゃないかな。

61.「プライスレス 素敵な恋の見つけ方」 5/15、シネ・ウインド。 評価★★★ フランス映画。 ピエール・サルヴァドーリ監督作品。 高級ホテルでリッチな中高年男性の愛人になることで稼いでいる女 (オドレイ・トトゥ) が、うっかりボーイ (ガド・エルマレ) をセレブの青年と勘違いしたことから始まる騒動。 青年は彼女を見習って裕福な未亡人のヒモになるが・・・・・という展開。 ものすごく面白いというほどではないけど、そこそこ楽しめる。 私としては青年を囲うリッチな中年未亡人にちょいと惹かれました。

60.「ノーカントリー」 5/15、Tジョイ新潟万代。 評価★★★ コーエン兄弟監督作品。 原題は"No Country for old Men"で、それをこういうふうに略して邦題にしちゃう日本の映画関係者のセンスが疑われる。 ふとしたことから大金を手に入れた男。 しかし彼は何者かに追われるようになる・・・・・。 追う方を演じるハビエル・バルデムに不気味な迫力があり、追われる男のジョシュ・ブローリンも悪くないが、原題はたぶん二人を追う老保安官を暗示しているのだろうけれど、結局保安官は何もできずに終わる。 かといってズラシの面白さがあるかというと、ないとしか思われず、追われる男と追う男の物語としてはまあまあだけれど、特に新機軸があるというのでもない。 普通の出来じゃないだろうか。

59.「名探偵コナン 戦慄の楽譜(フルスコア)」 5/6、WMC新潟。 評価★★★☆ 山本泰一郎監督作品。 中2の娘を連れて見に行ってみた。 最近のコナン・シリーズの中ではよくできているんじゃないかな。 クラシック音楽を素材として、そこに犯罪と推理の糸をたくみに埋め込んでいる、という印象である。 もっとも、建物の外縁部分で爆発が連続して起こっているのに、ホールの中には全然聞こえないで音楽会が続いてるって、ちょっと 「あり得ない」 感じだけどねえ。

58.「砂時計」 5/5、UCI新潟。 評価★★ 佐藤信介監督作品。 マンガが原作らしいが、私は未読。 映画として出来は良くない。 前半はそれでもまあまあか。 島根県の小都市を舞台に、父と離別し母とも死に別れたヒロイン (夏帆) と彼女をいたわる少年との恋愛劇が、美しい自然をバックに展開される。 ところが途中でいきなり10年後になってヒロインも松下奈緒に変わり、それでいてその途中の展開も切れ切れに挿入されるに及んで、この映画ははっきり失敗の刻印を帯びる。 ヒロインの生き方や考え方が全然伝わってこないし、支離滅裂なのである。 第一に脚本が悪いし、第二にキャストもミスってるんじゃないか。 夏帆っていいと思えないな。 もっと美少女と躊躇なく言える女の子、いないの? 松下奈緒は初めて見たが、少なくともこの映画に関しては合っていないよねえ。

57.「紀元前1万年」 4/30、WMC新潟。 評価★★★ ローランド・エメリッヒ監督作品。 話の筋書きが単純で、何も考えずに見るのに格好の映画である。 CGによるマンモスだとか巨大鳥だとかもよくできているし、最後にピラミッド建設もかくやと思われるシーンがあるのも、雄大な印象だ。 ヒロインのカミラ・ベルも可愛い。 ただし最後に敵の首領を倒すシーンは、もう一工夫欲しいけども。

56.「マリア・カラス 最後の恋」 4/29、シネ・ウインド。 評価★★★  イタリア映画。 ジョルジオ・カピターニ監督作品。 マリア・カラスとタイトルにあるので音楽をメインにした映画かと思うと、そうではなく、彼女とオナシスの愛憎劇が中心である。 共にギリシア出身だったので共感するところがあったという設定で、まあ、のし上がった男と世紀のプリマドンナとの恋愛となればそれ相応に面白いけど、逆に言うとすごく斬新なお話というわけでもない。 ギリシアの街並みだとか、そこでの婚礼などは一見の価値あり。

55.「グミ・チョコレート・パイン」 4/24、シネ・ウインド。 評価★★★ 大槻ケンジ原作、ケラリーノ・サンドロヴィッチ監督作品。 1980年代に高校生活を送った若者たちの青春ドラマ。 最初に、並の青春映画のように面白い話じゃないと、変な予告が出てくるが、しかしやっぱり並の青春映画なんじゃないかなあ、と思う。 好きな女の子 (黒川芽衣) がいたり、同級生同士でバンドを作ろうとしたり、憧れの美人教師 (中越典子) がいたり、まあありがちな話ばっかりなのである。 でもって、好きな女の子と一回だけデートをするのだが、その後・・・・・・。 映画はその20年後から回想される形で進むが、この女の子との関係がこの回想形式に緊迫感を幾分与えていて、まあまあの出来になりおおせているかな。 私的な注文だけど、中越典子にはもっといい役を振って下さい、映画関係者さま。

54.「愛の予感」 4/24、シネ・ウインド。 評価★★☆ 小林政広監督・主演作。 女子中学生どうしのいざこざから殺人事件が起こってしまった。 当事者の中学生はいずれも片親で、殺された中学生には父親 (小林政広)、殺した中学生には母親 (渡辺真起子) しかいなかった。 双方の親は東京を引き払って北海道に移り住む。 偶然、殺された中学生の父親が下宿する旅館で、殺した中学生の母親が賄い婦として働いていた。 ふたりは会話を交わすこともなく毎日を過ごすが、やがて・・・・・というようなお話。 最初に当事者の二人の親がマスコミからインタビューが受けるシーンがあり、そのあとは北海道の新しい職場で黙々と働く男、下宿屋で黙々と食事作りをする女が、音声無しで延々と描かれる。 この日常の描写がこの映画の最大の特質である。 日常の繰り返しがこれでもかというほどに続くので、娯楽目的で映画を見る人には薦められない。 やがて、その日常にほんのちょっとした変化が起こり――男は途中まで食事の大半を残していたのがすべて食べるようになり、女もコンビニで買ったサンドウィッチ1包みとジュースしか食べなかったのがサンドウィッチ2包みを食べるようになる――、それとともに映像の足場にも若干の変化が生じる――男が下宿屋から勤務先の工場に出かけるとき、途中まではクルマの内部しか映していなかったのが、最後はようやくクルマが外部から映される――のだが、はたしてそれが説得的になっているか、ちょっと首をひねる。 男の部屋の机の上にドストエフスキーの小説の文庫本があるが、最後まで読まれることがない。 というような展開で、タイトルにある 「愛の予感」 が十分に描写されないうちに、最後に男のナレーションが入り、そのナレーションがどこかで聞いたようなセリフで、かなり浮いた印象がある。 ロカルノ国際映画祭でグランプリだそうだけれど、まあ、評論家なんかだとうれしがるタイプの映画なんだろうなあ。  

53.「大いなる陰謀」 4/20、WMC新潟南。 評価★★ ロバート・レッドフォード監督・主演作。 中東での戦争が行き詰まり状態にあるアメリカ。 士官学校を首席で卒業し共和党の将来の大統領候補とも目されるエリートの上院議員 (トム・クルーズ) は事態を打開するために或る作戦をたて、その作戦を正当化するように報道をリードしようと、知り合いの女性記者 (メリル・ストリープ) を単独会見に招く。 同じ頃、この作戦に加わっていた新兵2人をかつて教えていた大学教授(レッドフォード)は、欠席の多い学生を呼びだして説教をするなかで、意図に反して教え子を戦場に送らざるを得なくなった事情を話す。 そしてアフガンでは問題の作戦が展開されつつあったが・・・・・・。 3つの場所で事件が同時進行するなか、相互の関係や打算が描かれていく、という構図だが、上院議員と新聞記者の話はなかなか緊迫感があるけれど、レッドフォードの大学教授の場面は説教の必然性が感じられず、失敗と言うしかなかろう。 あと、トム・クルーズの共和党タカ派議員の設定も、いかにも過ぎて、類型的になりかかっている。 現実はもう少し複雑なんじゃないの、と言いたくなる。 なお邦題は原題のニュアンスを全然伝えていないし、映画の内容をも伝えていない。

52.「フィクサー」 4/18、UCI新潟。 評価★☆ トニー・ギルロイ監督作品。 キャッチフレーズは 「罪を消したければ彼に頼め!」 だが、内容はそれとは少々異なっている。 ヒーローのジョージ・クルーニーが罪を消すために颯爽と活躍するお話かというと、違うのである。 加えて、前半、筋書きがきわめて分かりにくい。 後半、ようやく全体的な構図がはっきりしてくるが、それで面白くなるかというと、どうも面白くないのだ。 社会派ドラマのつもりなのかもしれないけど、発想としてはきわめて平凡だし、話の運びもうまくないし、よく分からないまま残るところもあるし、どうしようもないのである。 これで何部門もアカデミー賞候補になったというなら、アカデミー賞のレベル自体がすごく低いんだろうと言うしかないね。 

51.「ぼくたちと駐在さんの700日戦争」 4/14、Tジョイ新潟万代。 評価★★★ 塚本連平監督作品。 80年代の田舎町でいたずらに明け暮れている男子高校生たち。 そこへ新任の駐在さんがやってきた。 彼は高校生のちっぽけな違反行為を見逃さず、摘発に乗り出す。 おまけに町一番の美人妻が彼にはいる。 かくして頭に来た高校生たちと駐在警官との戦争が勃発する・・・・・・。 うーん、まあ、見ていてそれなりに面白いんだけど、テレビドラマとたいして違わないという印象。 最後のあたりの予定調和も、どことなく安易だしね。 何ていうのかな、映画として映画を作る気構え、みたいなものが欲しい、と言いたくなっちゃうのだね。

50.「うた魂(たま)」 4/13、UCI新潟。 評価★★★ 田中誠監督作品。 高校の合唱部で歌っているヒロイン (夏帆) は、自分の歌と美貌に絶対の自信を持っていた。 ところが、さまざまな事件が起きてその自信が崩壊してしまい、合唱部をやめようと決心する。 そこで・・・・・というようなお話。 最後はうまくまとめてそれなりに充足感をもてるようになっている映画である。 ただしそこへ行く展開が、特に前半はどことなくもたもたしており、主人公が立ち直る過程ももう一つで、日本映画にありがちな安易さが多少気になった。 ただしヒロインを立ち直らせる愚連隊風男子高校生たちの設定は、意表をついていて悪くない。

49.「ジプシー・キャラバン」 4/12、シネ・ウインド。 評価★★★ アメリカ映画。 ジャスミン・デラル監督作品。 各国で音楽活動を続けているジプシー (ロマ) 民族が、集まってアメリカ諸都市を6週間かけて回る 「ジプシー・キャラバン」 を行った。 それをドキュメンタリーとして捉えたのがこの映画。 スペイン、ルーマニア、マケドニア、インドの4カ国、合計5つのバンドが参加している。 同じジプシーに根を持つとはいってもそれぞれに異なり、しかしどこか共通性をもつ彼らの音楽。 道中、それぞれの生き方にも光が当てられ、ジプシー民族の人生模様のようなもの――これまた国ごとに違っているのだが――が浮かび上がってくる。 スペインのフラメンコがジプシー音楽の影響下にあるという指摘にはなるほどと思わせられたし、コンサート・ツァーの最後には亡くなってしまう人も出てきて、しんみりさせられる。 悪くない映画だ。

48.「明日への遺言」 4/7、UCI新潟。 評価★★★☆ 大岡昇平原作、小泉堯史監督作品。 第二次大戦後、戦時中に無差別爆撃で一般市民を殺戮した米兵を捉えて死刑に処したとして、軍事裁判で死刑を宣告された岡田資(たすく)中将を描いた映画である。 まず、戦時中の爆撃についての国際法が解説され、軍事施設に対する爆撃のみが合法であるが、実際には第二次世界大戦中は連合軍・同盟軍を問わず違法行為が続出したことが指摘される。 そのあと、岡田中将をめぐる裁判が淡々と再現されている。 米国人ながら岡田中将の弁護人が米軍の非人道的行為を摘発するシーンや、背後でじっと裁判を見守る家族などがたいへんに印象的である。 岡田中将を演じた藤田まこともなかなかいい。

47.「魔法にかけられて」 4/6、WMC新潟。 評価★★★ ディズニー映画。 ケヴィン・リマ監督作品。 おとぎの世界に住む王子様とお姫様が、魔女のたくらみで現代のニューヨークに出現して起こす騒動・・・・・・というような筋書き。 おとぎの世界ではアニメ、ニューヨークでは実写、と使い分けているところもミソ。 で、出来栄えなのだが、期待していたようなお話とは少し違っていた。 おとぎの世界と今現在のニューヨークの対比から来るコミカルさを売りにしたお話なのかと思っていたのだが、そしてそういうところもあるのだが、どうも女性の生き方、みたいなところが前面に出ていて、そこから筋書きに多少無理が生じている感じなのである。

46.「燃えよ! ピンポン」 4/1、WMC新潟南。 評価★★☆ ロバート・ベン・ガラント監督・脚本。 アメリカには珍しい――というか世界的にもそうかな――卓球映画。 ただしおバカ映画と分類されるような作品。 少年時代にアメリカ代表としてオリンピックの卓球に出場した主人公。 彼はそのとき東ドイツ選手に惨敗して転落人生を送っていたが、30代になってからふとしたことからFBIに依頼され、悪の組織を牛耳っている謎の男が主催する卓球大会にもぐりこんで・・・・・・というようなお話。 バカバカしいのを承知で見ればそれなりのものだけど、まあその程度の作品、とも言えるかな。

45.「呉清源 極みの棋譜」 3/30、シネ・ウインド。 評価★★☆ 中国映画。 ティエン・チュアンチュアン監督作品。 中国出身で囲碁の強豪として有名な呉清源を描いた映画であるが、彼の伝記をたどると言うよりは、イメージ的な表現が強く前面に出ている映画だ。 したがって、彼がいつどのようにして囲碁を知り強くなったのか、いつ日本に来たのか、誰と打ってどんな成績を残したのか、などなどは分からない。 ただ、一時期新興宗教に凝っていて囲碁から離れていた時期があったことは、私はこの映画で初めて知った。 イメージ重視で映画を見る人にはいいが、呉清源について知りたいと思って見ると失望するだろう。

44.「接吻」 3/27、ユーロスペース (渋谷)。 評価★★★☆ 万田邦敏監督作品。 会社勤めながら周囲とそりが合わないOL (小池栄子)。 或る日、見ず知らずの夫婦とその娘の三人を惨殺した男 (豊川悦司) のニュースをテレビで見た彼女は、自分と同じく孤独な人間を発見したと思い、犯人に関するあらゆる情報を集め、裁判を傍聴し、弁護士 (仲村トオル) を介して差し入れをし、やがて自分で面会に出かける。 そしてついには弁護士の諫止も聞かずに犯人と結婚すると言いだし・・・・・・。  孤独感からの犯罪というテーマもあるが、むしろその犯罪者に孤独感から共感を覚え近づいていく若い女性の異様な姿が生々しく描き出されているところが買いの映画だ。 小池栄子の演技もいいし、脚本も良くできている。 ラストがまた衝撃的。 これで弁護士の仲村トオルにもう少し味があると申し分ないのだが、いずれにせよ平均を上回る出来の映画だと思う。

43.「ショートバス」 3/27、三軒茶屋中央。 評価★☆ アメリカ映画。 ジョン・キャメロン・ミッチェル監督作品。 セックスを追求した作品、らしいのだが、出てくるのはゲイの男3人による3Pだとか、快感を知らない女セックスカウンセラーの悩みだとか、ちょっと普通とは毛色の違う人たちの行動である。 私のようにフツーに女が好きな男からすると、見ていてあんまり面白くないし、全体として重みがどちらかというとゲイにかかっており、女セックスカウンセラーのお話は付け足しじゃないか、と思えてくるところが――男優はわりに美男がそろっているけど女優はそうでもない――何ともはや、なのである。

42.「眠れる美女」 3/27、三軒茶屋中央。 評価★★★ ドイツ映画。 川端康成の小説をもとにヴァディム・ゴロウナが脚本を書き監督した作品。 老境を迎えて妻と娘を数年前に事故で失っている男が、友人の勧めで或る家を訪れる。 そこでは一晩中正体もなく眠っている若く美しい全裸の娘と一緒に寝ることができるシステムになっていた・・・・・。 主人公が老人ではあっても好奇心が強く、家の女主人にあれこれ質問をし、やがて・・・・というように全体の構成は結構よく考えられており、川端の文学作品をなぞったというよりは、そのアイデアを借りて独自に 「老いとエロス」 を追求した作品と言っていいだろう。

41.「鉛の墓標」 3/25、シネマヴェーラ渋谷。 評価★★★ 同じく若松孝二特集の1本。 1964年作。 貧しい生い立ちの若者が、ひょんなことからヤクザのボスに雇われて殺人業に従事し、そのカネでかねてから好き合っていた女の子と結婚して新居を構えるが、やがて彼自身が追いつめられていく様を描いている。 まだ貧困が日常茶飯だった時代の日本で、鬱屈した若者が道を踏み外していく様子や、当時の女性たちの清楚なたたずまいがそれなりに印象に残る。

40.「天使の恍惚」 3/25、シネマヴェーラ渋谷。 評価★★ 上京したらシネマヴェーラで若松孝二特集をやっていた。 これはその1本で1972年作。 当時全盛期――を少し過ぎていたかな――だった極左学生運動に従事する若者たちの内部分裂やセックスや微妙な人間関係を描いている。 うーん・・・・・。 当時大学生たちが抱えていたアナーキーな心情は何となく伝わってはくるが、映画としてはあんまり面白いとは思えない。

39.「いのちの食べかた」 3/21、シネ・ウインド。 評価★★ オーストリー・ドイツ合作。 ニコラウス・ゲイハルター監督作品。 人間が食べるものがいかにして作られ製品化されるのかを描いたドキュメンタリー。 牛や豚の屠殺場だとか、鶏の育成場だとか、野菜作りの畑や温室などなどが取り上げられている。 期待して見たのであるが、ナレーションが全然なく、映像を見ただけではよく分からない箇所が目立った。 牛を屠殺する場面はあるが、予想したより残酷シーンは少なく、ちょっとがっかり。 だいたい、パンフ (¥600) を買って読まないと分からないシーンが多いってのは、詐欺同然じゃなかろうか。 少し反省して下さい。 

38.「青空のルーレット」 3/21、シネ・ウインド。 評価★★★ 辻内智貴原作、西谷真一監督作品。 高層ビルの窓拭きの仕事をしながら、小説を書いたり、ミュージシャンとしてデビューしようとしたり、絵を描いていたりする若者たち。 夢を捨てずに生きている彼らが、仕事上のアクシデントや、聾の若い女性との出会いなど、さまざまな出来事を体験しながら明日に向かって進む姿が、生き生きと描かれている。 よくあるタイプの青春群像劇ではあるけれど、悪くない出来栄えだと思う。

37.「バンテージ・ポイント」 3/20、WMC新潟。 評価★★★ ピート・トラヴィス監督作品。 いかにもハリウッドらしい娯楽映画。 スペインで開かれる反テロ・サミットにやってきた米国大統領が、何者かに狙撃されて倒れた。 しかもその直後に現場に仕掛けられた爆弾が爆発する。 警護役のシークレット・サービスたちは犯人を突きとめようと必死になるが・・・・・・。 何人かの登場人物ごとに、同じ場面がどう見えたかを繰り返し再現するという手法で作られている。 そのあたりはまあ面白いし、ハリウッドらしく退屈しない映画ではあるが、根本的に新しいアイデアみたいなものはない。

36.「転々」 3/19、Tジョイ新潟万代。 評価★★★☆ 三木聡監督・脚本。 借金を抱えたダメ大学生 (オダギリ・ジョー)。 しかし借金取り立ての中年男 (三浦友和) から、しばらく一緒に東京の街を歩いてくれたら借金を返済してなおあまる程度のカネをやろう、という話をもちかけられる。 半信半疑で男にしたがう大学生。 歩いて回る東京の街と、そこで出会う人々は、意外性に富んでいた・・・・・。 どうってことない筋書きなのだが、これが結構面白い。 東京紀行としても、人間の営為を捉えた作品としても、派手さは全然ないけど奇妙な充実感に満ちている。 岸部一徳が本人役で出ているが、これがまた変に味がある。 見れば?

35.「ペネロピ」 3/15、仙台フォーラム。 評価★★★  マーク・パランスキー監督作品。 英国映画 (正確にはアメリカとの合作)。 先祖の悪行の呪いから、豚の鼻を持って生まれた名門令嬢。 その呪いを解くのは、豚鼻の彼女と結婚してくれる男性を見つけた時。 さて、結婚相手は見つかるのか、そして令嬢の運命は・・・・・? と、一応おとぎ話的な筋書きの作品ではあるが、同時に女性の容姿の問題が背後に潜んでいて、ある意味、非常にリアルなお話でもある。 ただ、メルヒェンチックな展開なのであまり深刻さが表面に出ないようになっているが、果たして最後の解決に納得できるかどうか? 私は、イマイチ納得しかねたのであるが。

34.「ライラの冒険――黄金の羅針盤」 3/12、WMC新潟。 評価★★☆ 有名なファンタジー小説の映画化。 たまたまネット上で前売り券が当たったので見に行ってみたのだが、筋書きの展開に忙しくて、せっかく悪くない脇役陣を多数そろえているのに、それをうまく活かしていない印象である。 魔法使いやクマの位置づけだとか、ヒロインを助ける男のワケアリ人生だとかは、もう少し丁寧に描写してくれないと、味のある映画にはなりませんね。 まあ、CG多様のファンタジー映画に味もクソもないかもしれないけど。

33.「中国の植物学者の娘たち」 3/11、シネ・ウインド。 評価★★★☆ ダイ・シージエ監督作品。 両親を早くに亡くし孤児院で育った娘が、植物学教授のところに弟子入りするが、やがて教授の娘と同性愛的な関係になり・・・・・・というようなお話。 テーマがテーマなので中国では撮影許可がおりず、ヴェトナムで撮影したそうだけど、映像はたいへん美しく、それだけで一見の価値がありそう。 お話の展開で言うと、父権主義的で厳格な教授や、力自慢のその長男など、フェミニストから叩かれそうな設定の男ばっかりが出てくるので、単純だし、ある種のオリエンタリズムも感じられて、しかも監督はフランスに在住する中国人なので、ヨーロッパ人フェミニストがオリエンタリズム的美意識を満足させられて喜びそうな映画を作ってどうするの、と言いたくもなるわけだが、まあ、映像美に敬意を表してこの点数。

32.「ヒトラーの贋札」 3/4、UCI新潟。 評価★★★ ドイツ映画。 シュテファン・ルツォヴィツキー監督作品。 パスポートなどの偽造を仕事にしていたユダヤ人が、ナチ時代に強制収容所送りとなるが、そこで特技を買われて贋札づくりのプロジェクトに組み入れられる物語。 連合軍の紙幣であるポンド札やドル札を偽造できれば助かるが、失敗すれば命はない。 しかし仕事に成功することは、ナチを助けることを意味する。 そうした矛盾のなかで必死に生き延びようとする主人公の姿を描いている。 一方で自己中心的で自分が生き延びられればいいと思いながら、他方で立場の悪い仲間のために身の危険を省みずに大胆な行動をする主人公の矛盾に満ちた生き方が印象的だ。

31.「アメリカン・ギャングスター」 3/1、UCI新潟。 評価★★★☆ リドリー・スコット監督作品。 1968年、ヴェトナム戦争および反戦運動がたけなわな頃のアメリカを舞台に、貧しい黒人青年 (デンゼル・ワシントン) が麻薬を直接アジアから密輸入して販売することで大金を手にし、美人を妻に迎えて母や弟、親戚までに楽な暮らしをさせる過程と、それを追う真面目な警察官 (ラッセル・クロウ) の活動の物語。 重厚な筋の運びで、斬新さはないけれど、映画を見る満足感みたいなものは十分に味わえる作品だ。

30.「再会の街で」 2/28、WMC新潟南。 評価★★★ アメリカ映画。 マイク・バインダー監督作品。 NYで歯科医としてそれなりの暮らしをしているアラン (ドン・チードル) は、ある日かつて大学でルームメートだったチャーリー (アダム・サンドラー) を見かける。 チャーリーは9・11で妻子を失ったショックから、荒廃した生活を送っていた。 チャーリーはなんとか彼を立ち直らせようと必死の努力を始める・・・・・。 中年男の友情物語として、派手なところはないけれどそれなりの出来だと思う。 ただ、仕事で多忙なアランがこれほどチャーリーのために必死になる動機みたいなものがもう少しあったらよかったような気がするけど。

29.「百年恋歌」 2/24、新潟市民プラザ(にいがた国際映画祭)。 評価★★☆ 2005年、台湾映画。 侯孝賢監督作品。 三部構成をとっており、同一の男優と女優を使って、1911年、1966年、2005年の若者たちの恋愛模様を描いている。 私としては66年のが一番感性に合ったけれど、やっぱりこれは1952年生まれという人間の感受性の限界ですかね。 苦労して再会した男女が、無言で一緒に料理を食べているシーンが秀逸。 一緒にいるだけで楽しい、って雰囲気がよく出ている。 男女の関係ってのは、こうあるべきなのだ (と断言してしまいます)。

28.「夜顔」 2/23、シネ・ウインド。 評価★☆ ポルトガル・フランス合作。 マノエル・ド・オリヴィエラ監督作品。 かつて 「昼顔」 という人妻不倫の映画があった (ブニュエル監督作品)。 昨今は不倫ブーム (?) だから、今どきだとあの程度では驚かない人が多くなっていると思うけど、この映画はその後日譚、ということになっている。 ただし、途中まではまあまあ見られるけど、最後が尻切れトンボで、こりゃどうしようもないな、という印象。 昔は巨匠監督であったかもしれないが、人間、トシとると衰えるもんですよね。 昔の名声を汚すような映画を作るのをやめさせる人、いなかったのかなあ?

27.「潜水服は蝶の夢を見る」 2/22、Tジョイ新潟万代。 評価★★ フランス映画 (正確にはアメリカとの合作)。 ジュリアン・シュナーベル監督作品。 特殊な病気で左目しか随意に動かせなくなってしまった男。 その左目を動かすことでアルファベットを確定し文章を作って外界とのコミュニケーションを図っていくお話。 過去の回想や、そんな彼を囲む人々の様子などが描かれている。 設定が 『モンテ・クリスト伯』 を思わせるわけだが、実話から作られた映画だそうである。 ただし、映画としてはどうも面白みに欠けていて、見ているのがつらかった。

26.「ボビー」 2/22、新潟市民プラザ(にいがた国際映画祭)。 評価★★★ 2006年制作のアメリカ映画。 エミリオ・エステベス監督作品。 1968年のアメリカを描いた映画である。 すなわち大統領選挙の年、JFKの弟であるロバート・F・ケネディ (タイトルの 「ボビー」 は彼の愛称である) が民主党の大統領予備選に出馬し、選挙戦を繰り広げる中、やがて兄と同様銃弾に倒れるまでを、当時の実写フィルムもたくみに利用しつつ、彼を応援する若者たちの風俗――LSDの流行、ヴェトナム反戦運動とその余波――や、ケネディが演説にやってくるホテルの従業員たちの人種や不倫関係などなどの悲喜こもごもを、群像映画ふうに描いている。 一つの時代を浮かび上がらせようとした映画で、私のように当時を多少知っている人間――てったって当時の私はまだ15歳だったけど――にはちょっと懐かしい気もする作品になっているけど、若い人にはどうかな。 ただ、ちょうど今、アメリカではまた大統領の予備選が行われていて、オバマ候補が前評判をくつがえす健闘を見せているのが、この映画に重なって感じられた。

25.「みえない雲」 2/21、新潟市民プラザ(にいがた国際映画祭)。 評価★★★ 2006年制作のドイツ映画。 グレゴール・シュニッツラー監督作品。 ドイツのある都市で原発事故が起こり、そこから遠くない町の住民は一斉に避難を始める。 そのパニックを描いたところはなかなかの迫力で、テーマを訴えるという意味ではそれなりの出来と言える。 ただ、作品のもう一つの軸となるヒロインとその恋人である少年の物語は描き方が生硬で、説明不足、或いはご都合主義的なところが目立ち、作品の迫力を削いでいるのが惜しい。 ここ、もうちょっとちゃんと作ってればそれなりの傑作になったと思うんだが。

24.「思ひ出の曲」 2/21、新潟市民プラザ(にいがた国際映画祭)。 評価★★★ 1936年制作のドイツ映画。 デトレフ・ジールク監督作品。 なお、この監督はナチ政権成立後アメリカに渡ってダグラス・サークと名を変えて活躍した。 本作品はミュージカルで、美貌の歌姫 (マルタ・エッゲルト) が、かつて自分の母も歌姫として活動していた小さな侯国に自分の実父を探しにやってくるというお話である。 父探しの謎解きと、彼女の恋、それに彼女を囲む人々の喜劇的な様相など、古典的な作りの映画でケレン味なく楽しめる。 ただ、惜しむらくはフィルムの保存状態が良くなくて、ミュージカルなのに音がかなり悪かったこと。 

23.「アララトの聖母」 2/20、新潟市民プラザ(にいがた国際映画祭)。 評価★★★★ カナダ映画。アトム・エゴヤン監督作品。2002年製作。 20世紀初頭、トルコで起こったとされる――トルコ側は否定――アルメニア人大虐殺を題材とした映画を、カナダに住むアルメニア系市民が作る話である。 そこに大虐殺を経験したアルメニア人画家の話であるとか、今現在のアルメニア系カナダ市民の生き方であるとか、逆にカナダに住むトルコ系市民の言い分であるとか、色々な要素がからんできて、多層的な映画となっている。 ここがこの作品のすぐれたところで、過去の歴史的大事件をプロパガンダする映画ではなく、それを作る作業そのものを映画化することによって、歴史への見方だとか、現代と歴史の関係だとかの、一筋縄ではいかない複雑な問題の様相を見事に浮かび上がらせることに成功している。 お薦めできる作品だ。

22.「フェリシアの旅」 2/20、新潟市民プラザ(にいがた国際映画祭)。 評価★★★☆ カナダ・英国合作。アトム・エゴヤ監督作品。1999年制作。 アイルランドに住む17歳の少女フェリシア (エレーン・キャシディ) は、恋人が英国に行ったまま音信不通になってしまい、なおかつ妊娠が明らかになったため、自ら英国に探しにゆく。 慣れない土地で右往左往する彼女を援助してくれたのが、親切な中年男 (ボブ・ホスキンス) だった。 持ち金を盗まれてしまった彼女はやがて彼の邸宅に身を寄せる。 彼は彼女にさまざまな助言を与えてくれるのだが・・・・・。 中年男を演じるボブ・ホスキンスが絶妙の演技を披露している。 さりげないのに、下手なホラー映画よりよほど怖いのである。 惜しむべきは最後のあたり。 ここの脚本、もう少し何とかならなかったのかなあ。 何とかなっていれば大傑作になったと思うんだが。

21.「エリザベス ゴールデン・エイジ」 2/18、UCI新潟。 評価★★★ 英仏合作。 シェカール・カプール監督作品。 98年に作られた 『エリザベス』 の続編。 16世紀、ヴァージン・クイーンと呼ばれたエリザベス1世が、女王故の人間的な悩みをかかえながらも、一方ではスコットランド女王メアリー・スチュアートとの争いに勝利し、他方では英国内のカトリック教徒の支持を名目に英国に攻め寄せてくるスペインの無敵艦隊を破って英国黄金時代を築く様子を描いている。 主演のケイト・ブランシェットは女王の人間的な葛藤をよく表現している。 脇を固めるクライブ・オーウェンも味があるし、脇役だがアビー・コーニッシュが美しい。 ただし女王の人間性が中心になっている分、メアリー・スチュアートとの関係だとか、スペイン無敵艦隊撃破のドラマ性はやや物足りなくなっているのが惜しい。 

20.「ラスト、コーション」 2/18、Tジョイ新潟万代。 評価★★★ アン・リー監督作品。 日中戦争の時代の中国。 ヒロイン (タン・ウェイ) は女子学生時代に演劇部の仲間に誘われて抗日運動を始める。 日本側について諜報活動をしている中国人要人 (トニー・レオン) の暗殺を企てて、輸入商夫人をよそおって相手に近づき、色仕掛けで情報を得たうえで相手を殺そうとするのだが・・・・・・。 筋書きは古典的だし、脚本はわりに大ざっぱ、というか、こんなことをやってたらあっという間に相手に捕まるんじゃないかと思うくらい悠長で、古典映画的なリアリティはあるかもしれないけど、まともな意味でのリアリティは感じられない。 まあ、そういう野暮は言わないで、何となくの雰囲気を味わう映画なのかもしれない。 全体の作り自体が古典的なのである。 ただしトニー・レオンとタン・ウェイのベッドシーンがかなり強烈で、R-18指定となっている。 でもその方面にだけ期待するほどのエロスは感じられないから、そういう人はポルノ映画を見た方が方がいいと思います。 

19.「カラマーゾフの兄弟」 2/17、新潟市民プラザ (にいがた国際映画祭)。 評価★★★★ イワン・ピィリェフ脚本&監督作品。 言わずと知れた世界文学の大傑作を映画化したもの。 1968年制作、シネマコープ・サイズ。 なにしろ大長編の映画化なので、上映に4時間近くかかるけれど、それでも省略箇所が多い。 アリョーシャと少年たちの付き合いが全部省かれたのは仕方がないが、有名な大審問官も全部省かれているのはどんなものだろう。 最初の当たりは、やはり小説で読むのと映画で見るのとは感覚が違い、小説だとドストエフスキー・マジックにかけられたようになるのであまり不自然さを感じないのだけれど、映画で見ると、ものすごく芝居がかっているのが歴然。 でもこういう世界もあっていいんだとも感じられる。 最後の裁判シーンは原作からかなり変えてあるが、かえって劇的効果がでていてよさそう。 俳優ではイワン役がよく、またグルーシェンカ役の女優も若い頃の大原麗子にちょっと似ていてすごく魅力的だ。

18.「ドストエフスキーの生涯の26日」 2/17、新潟市民プラザ (にいがた国際映画祭)。 評価★★★ 従来、アジア映画が中心であったにいがた国際映画祭であるが、今年はちょっと様変わりした。 この5月にG8の労働大臣会合が新潟市で行われることを記念して、G8の8カ国の映画を1日1カ国で上映するというのである。 で、本日はロシアデー。 文豪ドストエフスキーにちなむ2作品が上映された。 で、これはドストエフスキーが出版社に多額の借金をして、1ヶ月以内にまとまった作品を書いて提供しないと向こう9年間の作品版権をすべて奪われてしまうというピンチに陥った実話に基づいた映画である。 ドストエフスキーはこのとき、若い女性の速記記者をやとって1カ月弱で中編小説をまとめあげ、なおかつ19歳のその速記記者と結婚するに至るのである。 私は中学高校時代は文学少年でドストエフスキーに夢中になっていたから、この逸話も知っていたが、映像で見てみるとなるほどなあと思うところがそれなりにあって、興味深かった。 1980年制作、アレクサンドル・ザルヒ監督作品。 80分、スタンダード・サイズ。

17.「やわらかい手」 2/14、シネ・ウインド。 評価★★★ 英国映画 (正確には独・仏・ベルギー・ルクセンブルクとの合作)。 サム・ガルバルスキ監督作品。 難病で入院している孫の身を案じるロンドン暮らしの老婦人 (マリアンヌ・フェイスフル)。 オーストラリアで手術を受ければ助かりそうだが、医療費には国の保障があるけれど、旅費や付き添い家族の滞在費は患者側負担。 この高額な費用を貧しい息子夫婦はとても出せそうにない。 何とかその費用を稼ごうと考えたヒロインは女性募集という貼り紙に釣られて風俗店に足を運ぶ。 そこで提供された仕事とは、男の性器を壁越しに手で愛撫してイカせる間接売春業だった・・・・・・。 卓抜な発想をもとにした映画だが、話の運びは淡々としていて、センセーショナルな感じはいささかもなく、ユーモアやペーソスもこめられていて、大人に勧めたい作品となっている。

16.「チーム・バチスタの栄光」 2/11、UCI新潟。 評価★★ 中村義洋監督作品。 難しい手術を連続して成功させてきた有能な医学部助教授。 ところがある時から失敗して患者を死なせてしまうケースが増える。 失敗の理由が判然としないので、その理由を明らかにすべく学内の或る医師に白羽の矢が立つ・・・・・。 何ともうしましょうか、ミステリー映画として、出来は良くありません。 竹内結子の役柄も現実離れしているし――だいたい、大学医学部内の問題をたった一人の医師に調査させますかって――感心できませんでした。 探偵役の阿部寛が、また現実離れしていて、リアリティがないばかりでなく、推理物としての基礎を欠いているというしかないのです。 だって、厚生省の官僚がなんであんなに医学部内の細かい専門的な――事務的な、ではないですよ――事柄を知っているのか全然分からないのであります。 こんな映画を作る日本映画界の常識を疑います。 ついでに、こんな映画を賞賛している人の気が知れない、と暴言も吐いておきましょう。

15.「歓喜の歌」 2/10、WMC新潟南。 評価★★★☆ 立川志の輔原作(落語)、松岡錠司監督作品。 首都圏の某市。 そこの文化会館ホールで大晦日の同一時刻に、市内の婦人コーラスグループ2つが公演を行うべくダブルブッキングしていた。 責任者のやる気のない公務員 (小林薫) は何とか2グループを調整しようと躍起になるが、彼自身の家庭の問題もからんでなかなかことは収まらない・・・・・。 笑いあり、涙ありで、結構いける映画だ。 主人公のダメ公務員もさることながら、両コーラスグループのリーダーである安田成美と由紀さおりがそれぞれ持ち味を出している。 他の登場人物も各人各様に面白い。 単なるコーラスグループのお話ではなく、そこに参加している婦人の暮らしぶりや生き方が描かれているからだ。

14.「リアル鬼ごっこ」 2/9、UCI新潟。 評価★★★ 柴田一成監督作品。 なぜか佐藤姓の人間が次々と死ぬという不思議な現象が起こる。 そんなある日、不良高校生・佐藤翼 (石田卓也) はふとしたことからパラレルワールドにジャンプする。 そこにこそ、佐藤姓の人間が死んでいく原因があった・・・・・。 まあ、退屈しないで最後まで見続けることができるレベルの作品であり、エンターテインメントとして一定の出来だと思う。 主人公の妹役の谷村美月も好演。 

13.「テラビシアにかける橋」 2/8、WMC新潟。 評価★★★ アメリカ映画。 児童文学の名作をガボア・クスポ監督が映画化したものだそうである。 田舎町に暮らす11歳の少年。 家が貧しい彼は、絵を描くことが唯一の楽しみ。 ある日学校に一人の女の子が転校してくる。 しかも家は彼のすぐ隣だった。 やがて少女と彼は川を渡った向こう岸の森に空想の国を作り始めて・・・・・・。 少女役のアンナソフィア・ロブがたいへん魅力的。 進行はハリウッド的な定型という気もするが、日本なら小学校6年生くらいの男の子と女の子の恋愛とも友情ともつかない交友や、空想の国を作るという発想、さらに両家の経済力や家風の相違、アメリカ公立小学校の荒れ方など、見方によりそれなりに面白いところが多々あると思う。 ただし、結末には疑問を感じる。 ネタバレになるので詳しいことは書かないが、主人公の少年が好きなことを持続しながらも社会に目を向けていくような終わり方にすべきだった。 

12.「4分間のピアニスト」 2/5、Tジョイ新潟万代。 評価★★★★ ドイツ映画。 クリス・クラウス監督作品。 小さい頃天才的なピアノの才能を認められながら或る事件のために刑務所で過ごしている20歳のヒロイン (モニカ・ブライブトロイ) は、ある日ピアノ教師の老婦人にその才能を見いだされる。 老婦人は彼女を何とかコンテストに出させようとするが、ひねくれたヒロインは素直に言うことをきかない。 二人の葛藤が続く中、老婦人にも意外な過去があったことが明らかになり・・・・・。 ヒロインを演じるブライブトロイがド迫力の演技を見せている。 あまり典型的なところに堕さない筋書きもいい。 老婦人の過去にもう少し現在につながる必然性があればなおいいと思うのだが、それを減点しても優れた映画だと思う。 

11.「ベティ・ペイジ」 2/1、Tジョイ新潟万代。 評価★★☆ アメリカ映画。 メアリー・ハロン監督作品。 1950年代に実在したヌードモデルを取り上げている。 或る事件のために普通の暮らしを断念した若い女性が、ふとしたきっかけで雑誌のヌードモデルとなってセンセーショナルな話題を呼ぶ様が描かれている。 といっても女性監督のせいか、セクシャルな雰囲気を特に強調するわけではなく、どちらかというと淡々とした進行で話は進む。 最後はキリスト教によって改悛しちゃうんだけど、この辺はフィクションらしい。

10.「Mr.ビーン カンヌで大迷惑!?」 1/30、WMC新潟。 評価★★  英国映画。 スティーヴ・ベンデラック監督作品。 テレビ番組のコメディを映画化したものだそうである。 滑稽な英国人のミスター・ビーンがくじに当たってフランスのカンヌ旅行にでかける中で起こる珍事を描いている。 が、一向に笑えなかった。 どうしてかっていると、最初から滑稽モードで主人公が出てくるからである。 「笑って下さいよ」 と言う落語家みたいなもので、こういう人物を見ても笑えないのである。 ヒロインであるエマ・デゥ・コーヌのさわやかな魅力が救いだけど。

9.「シルク」 1/28、UCI新潟。 評価★★☆ 日仏英伊加合作。 フランソワ・ジラール監督作品。 19世紀、フランスで美しい妻 (キーラ・ナイトレイ) と幸せに暮らす青年 (マイケル・ビット) が、絹の良質な蚕卵を求めて日本に旅し、そこで不思議な女性 (芦名星) と出会う様を描いている。 期待して見たのだが、やや失望した。 当時のヨーロッパ人からみたオリエンタリズムの味付け濃厚な日本と、そこでの主人公の体験に重きを置いて展開するのかと思いきや、その部分は案外軽く、しかし他方で青年と若妻の愛情が濃厚に描かれているのかというとそうでもないのである。 そのせいで、最後にちょっとした仕掛けがあるのだけれど、不発に終わっている。 フランス在住日本女性役の中谷美紀も含めて、出てくる女優はみな美しいが、映画としての出来はイマイチだ。

8.「M」 1/25、シネ・ウインド。 評価★★☆ 廣木隆一監督作品。 夫および幼い息子と普通に暮らしながらも主婦売春している妻 (美元) と、新聞配達店に勤務する若者 (高良健吾) が、ふとしたことから関わりを持つという筋書き。 二人がそれぞれ過去に起因するトラウマを抱えているという設定だが、作品全体がそういう整合的な説明でおおわれているわけではなく、風俗映画的な感じもするし、漠然とした現代描写といった趣きもある。 しかしまとまりのある感銘だとか迫力のようなものはあんまり認められないところが減点材料か。

7.「ネガティブハッピー・チェーソーエッジ」 1/21、UCI新潟。 評価★★☆ 北村拓司監督作品。 だらけた毎日を送っている高校生 (市原隼人) は、或る晩、チェーンソーを持つ奇怪な怪人と戦っている美少女 (関めぐみ) と出会う。 ダメ男なりに彼女の力になりたいと思った彼の毎日は少しずつ変わり始める・・・・・。 うーん、戦闘美少女の実写ものなんだけど、申し訳ないながらヒロインの関めぐみが私の好みに合わない。 『キューティハニー』 のサトエリは良かったよな、と今更ながらに思いました。 筋書きだとか、戦闘シーンも、もう一つ冴えない。 

6.「スウィニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」 1/20、WMC新潟。 評価★★★ ティム・バートン監督作品、ジョニー・デップ主演のミュージカル。 19世紀のロンドン。 理髪師ベンジャミン・バーカー (ジョニー・デップ) は美しい妻、幼い可愛い娘と一緒にしあわせに暮らしていたが、法務官が彼の妻に横恋慕したため、襲われて追放されてしまう。 15年後、別名を名乗ってロンドンに帰ってきたバーカーは復讐を開始する・・・・。 暗い画面に血の雨がしばしば降るし、他にもグロテスクなところがあるので、そういうのが嫌いな人にはお薦めできない。 それを別にすれば、ミュージカルの割りには筋書きはよくできており、まあまあ楽しめる映画だとは思う。

5.「Little DJ 小さな恋の物語」 1/20、WMC新潟。 評価★★★ 永田琴監督作品。 中一の少年 (神木隆之介) と中二の少女 (福田麻由子) が入院先の病院で知り合って恋するお話。 そこに少年の難病がからむ。 最近の邦画は難病ものがはやりだけど、これもその一つかな。 入院先でのエピソードと恋のエピソードはそれぞれ悪くない水準で展開されていると思う。 ただし最後のDJのシーンはいささか優等生過ぎて、ちょっとしらけるのが惜しい。

4.「ナルコ」 1/17、シネ・ウインド。 評価★☆ フランス映画。 トリスタン・オリエ&ジル・ルルーシュの監督と脚本。 題名はナルコレプシーという、発作的に眠ってしまう実在する病気のこと。 映画はこの病気を持つ青年のお話なのであるが、コミカルにするつもりなんだろうけど、退屈で、見ていると文字通り眠くなってくる。 フランス映画のノンシャランス、つまりいい加減さが、そのままいい加減な映画となっているという印象だった。 時間と金の無駄。

3.「マリア」 1/14、WMC新潟南。 評価★★ アメリカ映画。 キャサリン・ハードウィック監督作品。 キリスト教の救世主とされるイエスをマリアが身ごもって出産するまでを描いている。 聖書だとか何とかに書かれている通りに映画にしました、という感じ。 イスラエルの風景だとか住民の服装だとかは、当時の忠実な再現なのかどうか知らないけど、まあまあ面白い。 だけど、肝心の人間のドラマとしては、淡々とし過ぎていて退屈。 それとマリア役の女優が、他の人物たちと系統的に違っていて (他はコーカソイド系だけど、彼女だけモンゴロイド的) なんか変だな、って感じ。

2.「君の涙ドナウに流れ ハンガリー1956」 1/13、シネ・ウインド。 評価★★★☆ ハンガリー映画。 クリスティナ・ゴダ監督作品。 1956年のいわゆるハンガー動乱、すなわち自由化を求めるハンガリー市民たちをソ連が戦車部隊を送り込んで殲滅した事件を扱っている。 水球の選手としてオリンピックを目指しているカルチは、自由化の闘士である女子学生ヴィキと出会って惹かれてしまう。 最初は彼女への関心から運動に参加した彼は、徐々に運動の価値にめざめていくのだが・・・・・。 若い男女の恋愛を、ソ連のハンガリー侵攻という歴史的な事件、そしてやはり実際にあったメルボルン・オリンピックでのハンガリー・ソ連戦での流血事件をからめて描いており、特に人間関係の描き方にはご都合主義的なところが目立つのだが、やはりハンガリー動乱という背景にはかなりの重みがあり、ソ連戦車部隊がブダペストを砲撃するところなど迫力があるし、水球の試合の模様もスリリング。 総合点としては悪くない映画だと思う。

1.「サルバドールの朝」 1/5、シネ・ウインド。 評価★★★ スペイン映画。 マヌエル・ウエルガ監督作品。 スペイン・フランコ独裁政権の末期に、ふとしたことから反体制運動に参加した若者が、逮捕される際に警官と銃撃戦になり、警官を殺したとして死刑になる話である。 まともな証拠調べもせずに――彼の銃弾だけで警官が死んだのかどうか疑わしいという暗示が作中出てくる――死刑判決を受けた青年にヨーロッパ中から除名嘆願書などが寄せられるが・・・・。 一見するとわかりやすい素材だが、映画の冒頭から見ていくと、主人公が政治的な運動に加わっていく様には偶然性が作用しており、したがって単なる政治的なプロパンガンダ映画と言うよりは、青春の無鉄砲さによる悲劇、と見ることもできる作品だと思う。 ただし、そのために作品のテーマ的な凝縮性はやや損なわれているように思われた。

 

 

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