映画評1999年

 

 ここでは、1999年に見た映画を、評点と短評を付けて報告しましょう。

 評点は5段階。 ★★★★★=すぐ映画館に駆けつけるべし。 ★★★★=十分な満足感が得られる。 ★★★=並み。   ★★=劣る。     ★=駄作。  ☆は★の2分の1。

 

1.「6デイズ・7ナイツ」 評価★★★ 新潟シネマ。ハリソン・フォードも老けたなあ、と思いました。

2.「アンナ」 評価★ シネ・ウィンド。昔のフランス映画だけど、ミュージカル仕立てで、ミュージカルは大味だという私の持論どおりの作品でした。

3.「あ、春」 評価★★ テアトル新宿。相米慎二監督4年ぶりの作品というふれこみだけど、ほどほど。

4.「アンナ・マデリーナ」 評価★★ 新宿東映パラス。昨年「世界の涯に」を見て以来ケリー・チャンのファンになっていたので(あのキツい美貌がいい)見に行ったのだが、実際彼女か金城武に興味がないと面白みがない映画です。

5.「鳩の翼」 評価★★★★★ 渋谷ル・シネマ。ヘレナ・ボナム・カーターはブスだし嫌いなのだけれど、これは作品がよすぎて、女の趣味をどうこう言っている場合ではない。

6.「ハーフ・ア・チャンス」 評価★★★ シネ・ウィンド。ベルモンドとドロンの中年二人組は悪くないが、バネッサ・パラディはトウが立ってきたなあ。昔、「白い婚礼」に出ていた頃が花だった。

7.「踊る大捜査線」 評価★★★★ 新潟東映。単なる刑事物に終わっていないところがいいですね。

8.「中国女」 評価★ シネ・ウィンド。やはりゴダールはゴダール。面白くありません。

9.「完全なる飼育」 評価★★★★ テアトル新宿。興味本位で見に行ったのだが、そういう見方をすべき作品であり、そういう作品もあった方がいいのです。小島聖の頑張りにも拍手。 

10.「鯨とりの海」 評価★★★ BOX東中野。これは記録映画であり、普通の劇映画と同じ評価をすべきではないと思うが、一応点もつけときました。なお捕鯨問題については、当ホームページの該当欄を見て下さい。

11.「ノストラダムス」 評価★ 銀座シネパトス。いよいよ1999年、かの予言者をどう映像化してるかと思って見に行ったのだが、とんでもない駄作。ノストラダムスを近代的科学者に仕立て上げている。アナクロと言うもおろか。

12.「アイ・ウォント・ユー」 評価★★ シネスイッチ銀座。少年が憧れの女性への単なるファンとして描かれているのが物足りない。14歳という年齢だとちゃんと性欲だってあるはずだぞ。 

13.「レ・ミゼラブル」 評価★★★★ 新宿文化シネマ。ユゴーの原作を上手に映画化している。特にジャベール役がいい。

14.「トゥルーマン・ショー」 評価★★★★ 浅草東映パラス 誰もが考えつきそうで、しかしいざ作品化するとなると難しそうなアイデアを、がんばって映画化している。メディア批判としても面白い。

15.「メリーに首ったけ」 評価★★★ 新潟シネマ。喜劇は非常に難しい。悲劇と違って観客の教養や知識や地域性に左右されやすいからだ。この映画への評価は、その辺で分かれると思う。

16.「宋家の三姉妹」 評価★★★★★ ユニゾン・プラザ(新潟国際映画祭)。評判に違わぬ傑作。姉妹役ばかりでなく、男優もいいのが揃っている。

17.「第七官界彷徨」 評価★ ユニゾンプラザ(新潟国際映画祭)。尾崎翠の映画化だけど、つまらない。

18.「キッチン」 評価★★ シネ・ウィンド(新潟国際映画祭)。吉本ばなな原作の香港映画。富田靖子は、香港人の間におくと、大和撫子に見えますね。

19.「夢翔ける人」 評価★ 市民プラザ(新潟国際映画祭)。 ポルノ映画を作る話だけど、つまりません。

20.「デルス・ウザーラ」 評価★★★★★ シネ・ウィンド(新潟国際映画祭)。 言わずと知れた黒沢の作品だけど、見ていなかったので行ってみたが、やっぱり黒沢ですよこれは。すごい。

21.「リング2」 評価★ 万代東宝。「リング」の第一作は面白かったけど、これはダメですね。

22.「死国」 評価★ 万代東宝。「リング2」の併映作品。コワい映画のつもりなのだろうが、全然恐ろしくない。

23.「CUBE」 評価★★★★ シネ・ウィンド。派手なSFXではなく、こういう形での映像世界は、悪くない。

24.「ウェディングシンガー」 評価★★ ドリュー・バリモアを初めて見たが、イモネーチャンですね。何でこんなのに人気あるの? ケリー・グリーンがなつかしいなあ。アメリカ人の美的感覚はどうなっておるのか。

25.「犯された白衣」 評価★★ シネ・ウィンド。 30年前の若松孝二のポルノ。ゲージツ的なポルノにするつもりだったんだろうが……。

26.「ユー・ガット・メール」 評価★★★★ 新潟シネマ。 いかにもハリウッドという映画だけど、それ相応に楽しめる作品になっている。

27.「微笑みをもう一度」 評価★ 新潟シネマ。脚本がひどいですね。退屈の極。

28.「落下する夕方」 評価★★ シネ・ウィンド。三角関係の映画だけど、現代風俗描写の域を出ているだろうか?

29.「ドラえもん・宇宙漂流記」 評価★★ 船橋ララポート。実家に帰ったときに子供連れで見に行ったのだけれど、「ドラえもん」もマンネリではなかろうか。偉大なるマンネリという言葉もあるが……。

30.「フェアリー・テイル」 評価★★★ 銀座テアトル西友。もう少し面白いはずなのだが、と思いながら見ていた。 何かが足りない。妖精を見た少女とコナン・ドイル、という材料自体は悪くないのだけれど。

31.「コキーユ」 評価★★ シネスイッチ銀座。中学時代同級生だった中年男女が同窓会で会って関係を持つという、当世風の話。こういう話は嫌いではないのだが、これは成功していない。場所がカラオケスナックやバーばっかりで変化に乏しい。「時雨の記」みたいに豪華版である必要はないが、一工夫必要でしょう。タイトルも「コキュ」を連想させて、よくないような気がする

32.「パーフェクト・カップル」 評価★★ 新潟シネマ。クリントン夫妻をモデルにした映画と聞いていたが、エマ・トンプソンはヒラリーみたいな才女ということになってないし、夫のトラボルタももう少しいい加減な男にした方が面白かったんじゃないか。

33.「ガメラ3」 評価★★★ 万代東宝。実は1と2は見ていない。それなりに面白いが、人間の登場人物が女ばっかりなのは時流に媚びているようだし、ドラマ自体を希薄化しているのでは。それと途中2度も画面が出なくなった。ここはビデオ方式だけど、ビデオでもトラブルってあるのですね。セコいようだけど、ビデオ方式は画面がどうしても鮮明さに欠けるので、料金を安くすべきじゃないか。

34.「パッチ・アダムス」 評価★★ 新潟シネマ。実話だそうだけど、ハリウッド映画の定型を抜けていない。ロビン・ウィリアムスも、「今を生きる」以来こういう役をマンネリ的にやっているような印象がある。

35.「エバー・アフター」 評価★★★★ 新潟シネマ。ドリュー・バリモアは相変わらずイモネーチャンだけど、田舎娘という設定だからさほど違和感はない。「女の自立」をシンデレラ物語と結びつけたキワモノではあるが、シンデレラもこういう風に改作できるのかと半ば感心して、半ばあきれて見ていました。

36.「シン・レッド・ライン」 評価★★★ 新潟シネマ。ベルリン映画祭で金熊賞をとったそうだけど、そんなに大した作品だろうか。戦争を見る眼の奇妙な曖昧さはいいとして、現地人や自然の描写は近代的自然観そのもので、全然感心しない。

37.「名探偵コナン・世紀末の魔術師」 評価★★★★ 万代プラザ。連休に子供を連れて見に行きましたが、それなりに楽しめる作品です。

38.「ライフ・イズ・ビューティフル」 評価★★★★ 新潟シネマ。久しぶりに映画でイタリア語の響きを聞いた。ややおしゃべりが過ぎる感じもあるが、充実した作品。ヒロインはイタリアの浅野ゆう子といったところだろうか。

39.「恋に落ちたシェイクスピア」 評価★★★★★ 新潟シネマ。アカデミー賞受賞作は必ずしも面白くないと思っていたが、これは受賞して当然の作品。グヴィネス・パルトロゥの魅力が満開。彼女がちょびヒゲをつけた男姿で登場するところも見もの。脚本もよくできている。

40.「12人の怒れる男」 評価★★★ シネ・ウィンド。著名な作品だが未見だったので見に行った。日本の「12人のやさしい日本人」はこのパロディだけど、かなり忠実なパロディだと分かりました。

41.「RONIN」 評価★★ 新潟シネマ。スパイ物とかアクション物は、かなり工夫をこらさないと本当に面白いとは思えない。

42.「刑法第39条」 評価★★★ 新潟松竹。多重人格を装う話は、以前リチャード・ギア主演のハリウッド映画にあった。これはそれよりヒネリがきいているけど、この種の物語は途中で底が見える気がする。

43.「プラクティカル・マジック」 評価★ 新潟ピカデリー。筋書きがもたついて、救いがたい。サンドラ・ブロックは、こないだの「微笑みをもう一度」も駄作だったし、「スピード」で登場したときのような新鮮さも薄らいできたし、曲がり角に来てるんじゃないか。

44.「鮫肌男と桃尻女」 評価★ シネ・ウィンド。内輪で面白がっているような作品は、私は評価しませんね。

45.「クライング・ゲーム」 評価★★★★ シネ・ウィンド。数年前の映画だが、見たかどうか記憶になくて、途中で見たことを思い出した。奇妙な面白さを持つ作品です。でもすでにフィルムは色があせ始めていたみたい。

46.「天使が見た夢」 評価★★ シネ・ウィンド。女性向け純文学映画。つまり、退屈。

47.「鉄道員(ぽっぽや)」 評価★★★ 新潟東映。久しぶりの健さんでした。悪くないけど、広末はどうみても並みの容姿としか思えない(彼女の人気が、私には全然理解できない)。せめて田中麗奈(特に好きなわけではないが)クラスを起用すべきでは。それと、見ていてロバート・ネイサン『ジェニーの肖像』や石森章太郎『昨日はもうこない、そして明日もまた……』を想起しました。

48.「女と女と井戸の中」 評価★★ シネ・ウィンド。前半はまあまあだけど、後半が凡庸。

49.「ハムナプトラ−−失われた砂漠の都」 評価★★★ 新潟シネマ。エジプトに宝探しに行く話。値段程度には楽しめる。

50.「菊次郎の夏」 評価★★★ 池袋シネマ・ロサ。北野武の新作を、なぜか東京で見る羽目に(新潟でもやったのに)。子供を主人公にした映画は基本的に失敗しないが、大成功(興行的な意味ではなく)も難しいというのが私の持論なのだが、この映画もその意味では例外ではなかったと思う。

51.「八月のクリスマス」 評価★★★ 新宿シネマスクエア東急。韓国で各種映画賞を総なめにした映画だそうです。淡々とした物語で悪い印象は残らないけど、主人公は少し「いい人」過ぎるんじゃないか。ヒロインはなかなかの美人です。

52.「レッド・バイオリン」 評価★★★★ 有楽町スバル座。17世紀、妻を産褥でなくした日にバイオリン職人が作った赤いバイオリン。その楽器が数世紀にわたってだどる数奇な運命……。こういう話って、私の好み。いかにも映画チックで満足させられてしまう。過去と現在の交錯も巧妙。新潟でもやるべき作品です。

53.「海辺のポーリーヌ」 評価★ 高田馬場ACTミニシアター。ロメールは好きではないのだけれど、代表作のニュープリントだというので見に行った。しかし、ダメなものはダメ。登場人物を日本人に置き換えてテレビドラマにしたら、ばかばかしくてスポンサーが付かないと思う。ポーリーヌを演じた少女のナチュラルな魅力がわずかな救いだが。 

54.「ロリータ」 評価★★ 横浜・綱島映画。東京の盛り場のロードショウ期間を終わってしまっていて、横浜まで見に行きました。言わずと知れたナボコフの、「ロリコン」の語源となった小説の映画化。昔キューブリックが映画化したが、映画の倫理規定が表現上の制約となって十分な映像化ができなかったという話がある。ジェレミー・アイアンズ主演の今回はどうかと思ったが、どうも中途半端だ。考えるに、この作品は思い切り卑猥に作るか、思い切り滑稽に作るか、どちらかを選ぶべきではないか。変に叙情的にすると味が希薄になる。

55.「風速40米(メートル)」 評価★★★ 横浜黄金町シネマ・ジャック。上記「ロリータ」を見に行ったついでに足を伸ばして、13回忌に合わせた石原裕次郎特集を見ました。40年前の作品だけど、父(宇野重吉)が建設会社技師長で田園調布の広壮な邸宅に女中付きで住み、石原は北大工学部生(その頃の大学進学率はまだ低かった)という設定は、当時の映画が庶民の夢を描く道具だったという事実を端的に物語っている。そういう意味で面白い。

56.「赤い波止場」 評価★★ 横浜黄金町シネマ・ジャック。 上記と同じ特集。上記作品はカラーだったが、これはモノクロ。制作年は同じなのだが、監督の意向か。ジャン・ギャバン主演で有名な「望郷」を下敷きにしたというが、余りリアリティを感じない。

57.「永遠と一日」 評価★★★ シネ・ウィンド。アンゲロプロスの映画は詩的ではあるが、モノローグの域を出ているだろうか。作中の少年、妻、母は、主人公の分身以外の者となり得ているだろうか。疑問だ。

58.「アイズ・ワイド・シャット」 評価★★★ 新潟シネマ。キューブリックの遺作というので見に行ったけど、ほどほど。途中仮面着用で卑猥な会合に参加するあたりが面白かったが、意外にテンションが低い作品のような気がする。キューブリックもトシだったか。トム・クルーズはハンサムだけど男はもう少し渋さがないといけないと思うし、キッドマンも整った容姿だが全然グッと来ない。しかし映画館は18歳未満お断りにもかかわらず、或いはそのせいか、満員でした。

59.「ワンダフルライフ」 評価★★★ シネ・ウィンド。「幻の光」で一躍脚光を浴びた是枝裕和の最新作。死と日常生活というテーマや、廃墟趣味というと大げさだが一時代前の古さびた建物を舞台にしているあたりに、「幻の光」との共通性を感じた。

60.「エントラップメント」 評価★★★ ワーナー・マイカル・シネマズ県央。ショーン・コネリーが若い美女(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ)とともに大胆な泥棒稼業に従事する、というエンターテインメント。最後のどんでん返しまで価格分程度には楽しめる。

60の補足。「エントラップメント」を見たワーナー・マイカル・シネマズには初めて行ったので映画館の感想も書いておくと、沢山の作品を同じ建物でやっているので好みに応じて選べること、画像が鮮明なこと、価格もまあ安いこと(正規料金は1700円だが、200円割引券が付いてるガイドが出回っているし、それがなくともHPに割引券があるのでプリントアウトすればよい。だからここの入場料は事実上1500円である)、駐車場がタダなこと、などなど好感が持てるのだが、指定席なるものがあるところだけはいただけない。指定席って、都会の、座席数が数百もあるような大劇場だけのものじゃないの? 地方都市の、それも座席数もたいしたことない映画館でやるもんじゃないですよ。それに、「指定席は青色ですから」なんで言われたけど、私は今回予告編が始まってから入ったので暗い場内では座席の色なんか分かるわけない。テキトーに空いている席に座ったので、もしかしたら指定席だったかも知れない(これを読んでも、追加料金を取りに来ないでください)。ワーナーは近く新潟市にも進出するはずだが、指定席だけはやめてほしい。

61.「エリザベス」 評価★★ 新潟シネマ。余り面白みを感じなかった。華のない作品ですね。

62.「運動靴と赤い金魚」 評価★★★★★ シネ・ウィンド。 子供を主人公にした映画として決定的に成功している。イランの町の風景や生活の様子も面白い。子役も可愛い。「最新情報」にも記事を載せておいたのでそちらもご覧下さい。

62の補足。「運動靴と赤い金魚」はいい作品だが、私が行った日、予告編から見ていたら画像がぼやけている。焦点が合ってないのだ。予告編を何編もやったが、一向に直らない。本編に入ってもタイトルがボケているに及んで私が席を立って苦情を言いに行ったら、ようやく直った。映写室に人がいなかったらしいが、真面目にやれよな。カネとって見せてるんだからね。どうもウィンドはこの手のトラブルが多いような気がするぞ。それと、観客は20人あまりいたと思うけど、誰も文句を言いに行かないのですね。日本人ておとなしい民族だと痛感。カネ払って見に来ているのに画像がボケてたら苦情を言うべきではないか。実は上の33.で書いた万代東宝で画面が出なかったトラブルの時も、誰も文句を言いに行かないので、私が席を立って係員に言いに行ったのである。こういう場合私のように行動するのが普通だと思うけど、画面が出なかろうがボケていようが、じっとしているのが現代日本の作法なんですか!?

63.「金融腐食列島−呪縛」 評価★★★★★ 新潟東映。大手の「朝日中央銀行」の不正融資摘発とともに銀行内部の中堅層が社内からの浄化を目指して立ち上がるという、男たちの戦いのドラマ。スピード感と緊迫感に満ちた秀作だ。仲代達矢の悪役もいい。「最新情報」にも記事を載せておいたので、そちらもご覧下さい。 

64.「双生児」 評価★★★ 万代東宝。 タイトルどおりの作品で、本木雅弘が双生児役。善と悪が双生児に振り分けられる、というと月並みだが、まあまあ面白い。女優のりょうは、好き嫌いが分かれそう。小生はああいう下品なブスは嫌いですけど。 

65.「バッファロー’66」 評価★ シネ・ウィンド。 現代のおとぎ話……のつもりなのかなあ。タルい映画。実験的というほど斬新でもないし。

66.「ラン・ローラ・ラン」 評価★★★ シネ・ウィンド。久しぶりのドイツ映画。去年ヒットした「スライディング・ドア」の焼き直しのような気もするけど、まあ悪くはない。しかしドイツの街やドイツ人て、どうしてこう汚いのかね。ドイツ文学者として、もうちょっと何とかしろよと言いたい。

67.「イノセント・ワールド」 評価★★★ シネ・ウィンド。 自己チューを絵に描いたような女子高校生が精子ドナーの父を探しにでかけるという、自分探しの話。俗物丸出しの実家の父母といい、なぜか本州最北端の僻地で医師をしているドナーの実父(医学生時代にドナーになったという設定だから、女子高生の父なら40歳くらいのはずだが、どう見ても30歳そこそこの若さ。リアリティがないねえ)といい、その奥さんの美人看護婦(僻地診療所の看護婦があんな瀟洒な格好をしていていいのだろうか?)といい、「青い鳥」のごとく「幸せは実は…」的な結末といい、おとぎ話そのものだ。つまり、この女子高生には他者が存在しないのである。唯一それが破れかけるのは、ヒロイン竹内結子と美人看護婦・伊藤かずえの女同士のコワい会話においてなのだが……。この辺がもう少し見たかったなあ。

68.「アドレナリン・ドライブ」 評価★★ シネ・ウィンド。 矢口史靖は、「ひみつの花園」もそうだったが、本当の意味で面白い映画を作る人とは思えない。迫力も新鮮味もない。小技もさして効いていない。石田ひかりは、私としては割に好きな女優なのだが、その魅力が活かされていない。肌が荒れているみたいでしたね。多少面白いと思ったのは、中年の婦長かな。

69.「梟の城」 評価★★★ 東宝プラザ。久しぶりの時代劇だけど、CG画面はチャチな感じがする。結局組織にからめ取られず自分なりの生き方をしましょう、みたいな結末。時代劇も所詮は現代劇なのだから、これでいいのかも知れないけど……。

70.「トーマス・クラウン・アフェアー」 評価★★★★ 新潟シネマ。 大金持ちの事業家がスリルを求めて美術館から名画を盗み出す。そこに保険会社の美人調査員が登場して犯罪を見抜き、名画を取り戻そうとするが……。ゴージャスな気分で2時間を過ごせる肩の凝らないエンターテインメントの傑作。最後で、盗んだ名画を厳しい監視をかいくぐって美術館に返すトリックが見もの。ヒーローのピアース・ブロスナンとヒロインのルネ・ロッソも魅力的だが、若い人にはやや年寄りに見えるかも。それにしても題名、カッコいい日本語訳を考えられないのかなあ。タイトルを工夫すれば客の入りもよくなると思うんだけど。

71.「アナライズ・ミー」 評価★★ 万代東宝。 こわもてのマフィアのボスが情緒不安定に陥り、精神分析医にかかる。やがて二人の間に奇妙な友情が……というコメディなのだが、アメリカ人は大笑いしながら見たのかなあと思いながら、にこりともしないで見ていました。喜劇はつくづく難しい。

72.「ベニスに死す」 評価★★★ シネ・ウィンド。言わずと知れたヴィスコンティの作品を、25年ぶりに見た。25年ぶりというとほとんど初めて見たみたいなものだが、しかしこの映画が成功作とは言いいがたいという点では、25年前も今も意見は変わらない。マーラーの音楽でかろうじてまとまりを保っているが、原作と違って濃密な恋愛感情がうまく表現されていない。物言わぬアシェンバハの恋情は、小説だからこそ表現できるので、映画は実に無力である。だいたい主人公は丸顔ではいけない。主人公の相貌はマーラーを模しているのだから面長の俳優を使うべきだし、美少年は逆に丸顔でなくちゃ。面長と丸顔の配置が逆なんだなあ……。これって、大事なことだと思う。来年度前期に新潟大学の教養科目「西洋文学L」で『ヴェニスに死す』を取り上げる予定なので、詳しくはその時に……。

73.「Nile ナイル」 評価★★ 新潟東映パラス。 エジプト学者の吉村作治氏が初めて小説を書きそれを映画化したもの。おまけに自らエジプト学者の役で出演している。しかしどうも人間の造形が安手だ。そう思わせるのはフィクションとして中途半端だからだろう。どうせならもう少し荒唐無稽にしたほうがよかったのでは。

74.「将軍の娘」 評価★★★ 新潟ピカデリー。次期副大統領候補と目される退役寸前の将軍の娘である美人大尉が全裸で絞殺されているのが発見された。誰が犯人かという謎に軍隊という組織の厄介さが絡む……という話。まあ値段程度には楽しめるけど、筋書きはやや不自然な感じがする。そもそも興味本位的な素材を、軍隊への女性進出という正義(?)で包もうとしたのが原因じゃないかなあ。 

75.「白痴」 評価★★★★ シネ・ウィンド。手塚真の映像に対する貪婪な姿勢がよく現れている。戦争時の風俗と現代性を混交させた画面は最初面くらったが、だんだん「これでいいのだ」という感じがしてくるのが不思議。それだけの力量があるということでしょう。

76.「橋の上の娘」 評価★★★★ 渋谷ル・シネマ。 ナイフ投げの中年男とその標的になる娘の話。エスプリのきいた会話と絶妙のテンポがいい。モノクロ画面も効果的。ナイフを投げられる恐怖にエクスタシーを感じる娘役バネッサ・パラディの表情も見ものだ。新潟でも是非上映して欲しい。

77.「ノッティングヒルの恋人」 評価★★★★ 目黒シネマ。 新潟で見損ねたのをやっと東京の二番館で見ることができた。英国で書店を営む平凡なバツイチ男が米国の大女優と恋をし結ばれる話。おとぎ話ではあるがよくできている。見ていて『ローマの休日』を想起した。あの場合、王女は平凡な新聞記者と一緒になるわけにはいかなかったが、女優だとそれが可能ということなんでしょう。

78.「交渉人」 評価★★★★ 目黒シネマ。 77.の併映作品だが、エンターテインメントとして悪くない出来。仕事仲間がみんな敵である可能性があるのでアカの他人に調査を依頼するというところにリアリティを感じる。地元警察とFBIの管轄をめぐる軋轢も利いている。設定を多少変えれば、日本のナアナア主義的・お役所的社会でもありそうなストーリーだ。

79.「ソドムの市」 評価★★★ 銀座シネパトス。 この秋、東京ではパゾリーニの映画が集中的に上映されたが、私は秋はずっと多忙で上京する機会がなく、12月になってやっと1本見ることができた。美少年美少女を狩り集めて監禁し、アナルセックスやスカトロジーや身体損傷など、ありとあらゆる倒錯的行為を強いる、という話。サドの『ソドム120日』が原作。映像でよくここまでやったなとは思うけど、美少女をいじめるのを除くとワタシの趣味とはどうも合わない……。

80.「海の上のピアニスト」 評価★★★☆ 丸の内ピカデリー2。 客船の中で生み捨てられた赤ん坊が船内労働者に育てられ、長じて同じ船内のピアニストになり、一生船から出ないで終わるという話。値段分の面白さはあるけど、最後がちょっともたつく感じ。この映画館には初めて入ったが、最初のCMが長い。それなら入場料を安くしろと言いたい。

81.「π」 評価★★ ワーナー・マイカル・シネマズ・みなとみらい。 これまた新潟で見損ねていたのを、やっと横浜で見た。映画を見るのも楽じゃない。しかし期待が大きかったせいか、イマイチの感。発想は悪くないのだが、展開にもう一工夫欲しい。

82.「ジャンヌ・ダルク」 評価★★ 新潟松竹。ヒロインの個性は光っているが、それ以外は光っていない。宗教性の扱いは難しいと思う。それと、フランスを舞台にしてるんだから英語じゃなくてフランス語でやれよな。英語帝国主義、という言葉が浮かんできてしまうぞ。タイトルからして、Jean of Arcと英語なのだ。これじゃ、「ジャンヌ・ダルク」って読めないではないか。けしからん。

83.「GTO」 評価★★★ 新潟東映。相当めちゃくちゃな筋書きだしお世辞にもよくできた映画とは言えないが、〈教師と生徒たち〉という物語はどんなものでも観客をある程度納得させてしまうのはなぜだろう、と考えさせられた。テレビをほとんど見ない私は、藤原紀香の動く姿を初めて見たが、そんなにいい女かなあ。顔の輪郭に対して目鼻口の配置がまとまりすぎてるんじゃない? つまり周縁部分の面積が広すぎると思う。それにあんまり若々しい感じがしないし、かといって熟女の魅力でもない。私は買わないね。むしろ田中麗奈の方が魅力的。前作「がんばっていきまっしょい!」のときはとりたたててチャーミングだとも思わなかったが、ここに来て色気が出てきたし少女っぽい生硬さも残っていてなかなかいい。

84.「Pola X」 評価★★ シネ・ウィンド。カラックスはあまり好きではないのだけれど、この作品も例外とはならなかった。主人公たちが破滅に至るのは、背後に父や家の影があるからだろうが、そこがうまく描かれていない。だから悲劇の奥行きが浅くなり、主人公たちの葛藤が空回りに見えるのだ。カラックスって、そういう背景描写が下手な人じゃないかという気がする。カトリーヌ・ドヌーヴもヌードを見せたりして頑張っているけど何か浮いた感じだ。

85.「御法度」 評価★★ 新潟ピカデリー。大島渚監督の新作だが、前売り券が1600円もした。松竹は何を考えてるんだろうねえ。それだけの出来栄えならまだしも、イマイチである。松田龍平を見たい人にはいいかも知れない。というか、それだけの映画ですね。99年見納めの映画として大晦日に行ったのだけれど、物足りなかった。

 

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