映画 『白バラの祈り』 に寄せて (新潟日報 2006年5月3日、文化面〔第11面〕掲載)

 

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 一九四二年の六月から七月にかけて、第二次大戦下のドイツ・ミュンヘンで「白バラ」と名乗る何者かが反政府的な内容のビラを四度にわたり配布した。 主たる執筆者はミュンヘン大学の医学生ハンス・ショルとアレクサンダー・シュモレルで、二人を中心としてナチの政策に批判的な学生が秘密グループを作っていたのである。 グループにはハンス・ショルの妹ゾフィーも加わり、またミュンヘン大学教授も一人だけ関与していた。 (なお、映画 『白バラの祈り』 の日本版予告編やチラシはゾフィーを白バラの 「紅一点」 としているが、これは誤りで、女性の協力者は他にもいた。)

 中心学生が東部戦線に送られたためにビラまきはいったん中止されたが、十一月にハンスがミュンヘンに戻りグループは活動を再開する。 そして四三年二月、ショル兄妹はミュンヘン大学でビラまきをしているところを逮捕され、四日後の裁判で死刑判決を受け、即日処刑される。 他に教授を含む四人が死刑、十人が懲役刑や禁固刑となった。

 この事件は、戦後になってショル兄妹の姉インゲが本の形にまとめたこともあり、世界的に知られるようになった。 映画化も一度ならずなされており、日本でも 『白バラは死なず』(八二年) が公開されている。

 今回の 『白バラの祈り』 はゾフィーに焦点を当て、逮捕されて尋問を受け処刑されるまでのわずか数日間を取り上げている。 調査官や裁判官に対して堂々と自説を展開するゾフィーはグループ全体の象徴であり、暗黒の時代にあって素朴な正義感を体現した存在として描かれている。 彼女の姿に感涙を禁じ得ない観客も多いだろう。

 ただ、そこで問題は終わらない。 白バラの運動はドイツをすぐに変えたわけではなかった。 事件直後のミュンヘン大学は集会を開いてヒトラーへの忠誠を誓ったし、この裁判が正式に撤回されたのは八五年になってからなのである。

 そうした事情を考えるなら、この映画を観て単純にヒロインの姿に共感するだけでは足りないことが分かるだろう。 彼女たちの行動が周囲の人々の 「常識」 からどれほど隔たっていたか、どれほどの勇気を要したか、我が身を振り返って考える作業を強いる作品と言えるのではなかろうか。

 

 

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