映画評2003年

 

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 2003年に見た映画をすべて紹介。 5段階評価と短評付き。

  評価は、★★★★★=すぐ映画館に駆けつけるべし (大傑作につき見ないと一生の損)。 ★★★★=十分な満足感が得られる (いい作品だから見てごらんよ)。    ★★★=平均的 (見て損はない)。 ★★=劣る (カネと時間が余ってたらどうぞ)。 ★=駄作 (カネをドブに捨てるようなもの)。 ☆は★の2分の1。

 

127.「ラスト・サムライ」 12/30、UCI新潟。 評価★★☆ サムライをハリウッドが取り上げるというので評判の映画。 次男(中学生)と一緒に見に行ってみた。 娯楽としてはまあ悪くはないと思うけど、マジメに映画を見ようとする人には若干物足りないのも確か。 インディアンと滅び行くサムライが同列に扱われているようだが、そもそもあの時代のアメリカ白人にはインディアン虐殺が悪だという観念などなく、第7騎兵隊のカスター将軍はあくまで悲劇の英雄であり、白人に抵抗するインディアンは全面的に否定されるべき存在だったはず。 カスター将軍の評価が逆転したのは、1960年代以降、ヴェトナム反戦などを通して黒人やネイティヴ・アメリカンの権利が強く主張されるようになってからだと思うので、その意味でもアナクロ的な作品だという印象は免れない。 え? そんな理屈はインテリのタワゴトで要は見て楽しけりゃいいって? うーん、、ま、そういう人には薦められる映画かもしれませんけどね。

126.「ブルース・オールマイティ」 12/26、Tジョイ新潟万代。 評価★★★ テレビ局勤務のアナウンサーとしてアンカーマンを狙いながら、ライバルにその座をとられ、なおかつ仕事でドジを踏んで解雇された男 (ジム・キャリー) が、運の悪さを理由に神を呪ったところ、神が出現、彼に万能の力を与える。 果たして彼はその力を活かして幸せをつかめたか・・・・・・というような筋書きで、ハリウッド的な展開はまあバナールとも言えるが、その分、安心して楽しめる映画ではある。

125.「コール」 12/26、Tジョイ新潟万代。 評価★★★☆ ルイス・マンドーキ監督作品。 声望高い青年医師 (スチュアート・タウンゼント) と美人妻 (シャーリーズ・セロン)、そして可愛い女の子 (ダコタ・ファニング) という幸福な家庭から、女の子が誘拐された。 誘拐犯は過去にも同様の手口で多額の身代金を獲得していた。 ところが今度はさらった女の子に喘息の持病があり、薬を飲ませないと死んでしまうことから計画が狂い始め・・・・・・というような話である。 緊迫に満ちた展開で最後まで観客を飽きさせない。 サスペンスとしてよくできていると思う。 さらわれる女の子を演じるファニングも天才的に可愛い。 ただ、妻のセロンはやや美貌に衰えが。 3年前、「ノイズ」 などで登場したときには、最近のハリウッドには珍しく可憐で正統的な美貌の女優だと思ったが、その分、衰えも早いのだろうか。 花の命は短くて・・・・・。

124.「すべては愛のために」 12/22、UCI新潟。 評価★★★ 英国の中流上級家庭に育ちシティボーイと結婚した若妻 (アンジェリーナ・ジョリー) が、飢えに苦しむアフリカ人への救助を訴える青年医師 (クライヴ・オーウェン) に動かされてアフリカに渡り、その後も英国の国連事務所で世界中の貧民を救う活動に従事するうちに青年への愛が芽生え・・・・・というような話である。 アフリカの飢餓難民の映像やカンボジアのゲリラ同士の戦闘シーンなどには圧倒的な迫力があり、マジメな話、映画館を出てからユニセフなどへの寄付をするために郵便局に走りたくなること請け合いである。 しかし一方で人間ドラマのほうはやや精彩を欠き、前半、アフリカの飢餓難民を相手にヒロインが奮闘するあたりまでは悪くない展開で★4つなのだが、後半の処理に問題が残る。 ヒロインと青年の愛はまあいいとして、その背景にあるヒロインの家庭描写がいかにもおざなりというか、辻褄合わせに過ぎないことが明瞭であり、作品全体の感動を損なう役割しか果たしていないのが残念だ。  

123.「熊座の淡き星影」 12/5、シネ・ウインド。 評価★★★★★ ヴィスコンティが1965年に制作し、同年のヴェネツィア映画祭で金獅子賞を受賞した作品。 アメリカ人の青年 (マイケル・クレーグ) が南イタリアの旧家で育った娘(クラウディア・カルディナーレ)と結婚し、妻の実家を訪れる。 宏壮な屋敷で妻の弟 (ジャン・ソレル) と会うが、姉弟の母は気が触れて入院しており、また町の人々と姉弟との間にはかつて何事かあったよう。 青年がやがて知る真相とは・・・・・。 モノクロの画面が実に印象的で、舞台となる宏壮な屋敷もヴィスコンティらしい豪奢な書き割りとして申し分ないし、配役も完璧で、登場人物の動きやセリフ、カメラワークなど、どれをとっても映画を見る快楽を十二分に味わわせてくれる傑作である。 クラウディア・カルディナーレの美しさと独特な表情の変化がたまらなくいい! 未見の方は是非!

122.「阿修羅のごとく」 12/1、UCI新潟。 評価★★★ 昭和50年代を舞台に、4人姉妹 (大竹しのぶ、黒木瞳、深津絵里、深田恭子) が老父(仲代達矢)の浮気を知ったことから起こる軋轢や、各人の抱える家族のごたごたを描いている。 まあまあかなとも思うけれど、姉妹ものは各女優をなるべく対等に扱わないと、という配慮が働くようで、そこが限界になっているような気がする。 やはり4人姉妹を扱った谷崎潤一郎の 『細雪』 では次女とその夫が筋書きの要になっているが、ここでも次女の黒木瞳とその夫をもう少し前面に出した方がまとまりがついたのではないか。 ちなみにオルコットの『若草物語』も4人姉妹の話だけど、やはり次女のジョーが中心になって話が進むでしょ? 4人姉妹の鍵は次女なのだ。 (この指摘、かなり貴重だと思うんだけど、だれか展開しませんか?)

121.「黒水仙」 11/28、シネ・ウインド。 評価★★★☆ 韓国映画。 殺人事件を追う刑事 (イ・ジョンジェ) が、やがて朝鮮戦争を契機とした或る男女の深い結びつきに遭遇する・・・・・というようなお話。 予告編だけだと、この男女の結びつきに焦点が合わされた映画かと思うが、実際には殺人事件とその真犯人を追う刑事の物語が表であって、裏の部分はやや隠れ勝ちである。 しかし、そこがこの場合はかえって秘められた男女の愛を浮かび上がらせる効果につながっていて、買いである。 新潟ではウインドでわずか5日間だけの上映というのは惜しい。 

120.「ジャンダラ」 11/27、シネ・ウインド。 評価★★★ タイ映画。 R18指定。 出生時に母が死んだために父に呪われて育った少年がたどる女性遍歴・・・・・というような話だが、そちらの描写はさほどではない。 (R15でもいいんじゃないかな。) むしろ、横暴な父、母親代わりの優しい叔母、使用人との関係、というような、今の日本には見あたらなくなっている封建的な家族制度の様態 (もっとも時代設定は第2次大戦前後ですけど) と、そこから生まれる物語を楽しむべき映画だろう。 父がいなければ物語は生まれない、と言ったのはR・バルトだっただろうか。 或いは 『起源の小説と小説の起源』 というような本を思い出してしまう映画でした。 もっとも、タイ美人にも結構いろんなタイプがいると分かる側面もありますけど。

119.「ロイヤル・セブンティーン」 11/26、WMC新潟。 評価★★★ アメリカ人の若い女性が中央アジアを旅行中に英国貴族の御曹司と出会って恋に落ち、結婚。 しかし二人は英国に帰国後、周囲の策謀で無理矢理別れさせられる。 だが妻のお腹にはすでに新しい生命が宿っていた。 そして17年後、まだ見ぬ父を求めて娘は英国に旅立つ。 格式と因習に縛られた英国貴族である父と、アメリカで自由奔放に育った娘との出会いから生まれたものは・・・・・・・というようなお話。 設定がどことなくバーネット 『小公子』 を想起させ、私はこの手の物語は好きな人間なので悪くないなと思いながら見ていたが、最後近くでヒロインが父とダンスをする直前に部屋に閉じこめられるあたりはもう少し工夫が必要じゃないかな。 悪役がもっと悪役に徹してくれれば一層面白くなっていただろう。 新潟ではWMCの単独上映で、2週間のみなのは寂しい。 単館系の映画は、最近の新潟ではUCIでもWMCでもTジョイでも上映されるようになっているけれど、私の好みで言うとWMCに来るものにいい作品が多いような気がする。 なのに、その良さが口コミで広がる前に2週間程度で上映打ち切りになる場合がほとんどなのだ。 勿体ないと思うのだが。

118.「キャンディ」 11/21、シネ・ウインド。 評価★★★★ 1969年のイタリア・フランス合作映画。 キュートな女子高生キャンディをめぐるお話だが、彼女が学校に訪れた詩人に誘惑されるところから始まって、様々な冒険(?)をへていく様がシュールリアリスティックに描かれている。 「博士の異常な愛情」の脚本を担当したテリー・サザーンが原作を書いているだけあって、非常に楽しめる映画になっている。 ヒロインのエヴァ・オーリンがチャーミングだし、マーロン・ブランドやビートルズのリンゴ・スターが共演しているのも面白い。

117.「クジラの島の少女」 11/17、UCI新潟。 評価★☆ ニュージーランド映画。 各国映画祭で観客賞を受賞しているという作品である。 ニュージーランドの原住民であるマオリ族は、先祖がクジラに乗ってやってきたという伝説を持つ。 自民族の伝統継承者は男でなければ、という古い観念にとらわれた頑固な祖父に育てられた少女が、やがて伝統の武術などを身につけ、座礁鯨を救い、祖父から伝統の継承者と認められていくという話である。 私は以下でイデオロギー的な視点からこの映画を批判するが、それは別にしても、この映画がいくつもの映画祭で観客賞をとったという事実には首をかしげざるをえない。 鯨イルカ・イデオロギーという側面を別にしてみれば、鯨やイルカが絡む作品はほどほど感動できるように作られているのが普通だ。 例えば 「フリー・ウィリー」 など、そうした点から見ればそれなりに出来は悪くないのである。 ところが、この 「クジラの島の少女」 は展開もタルイし、素朴に見ても映画としての魅力があまりない。 どうも、観客の側に、(1)原住民のマオリ族が出演しているから誉めなくては (2)座礁鯨を救う話だから感動しなくては (3)男女差別がくつがえされる話だから良い作品と思わなくては、というような、ポリティカル・コレクトネスの意識が働いたのではなかろうか。 でないとこの映画がそれなりにヒットした理由が分からない。
 ―― さて、イデオロギー的側面からこの映画を批判しよう。 最大の欺瞞は、原住民のマオリ族が、鯨を神聖視していて座礁したら救わなければならないと思いこんでいる、という設定だ。 原住民にとって座礁鯨は海からの贈り物だったはずだ。 現代の欧米都市住民みたいに、鯨はいかなる理由があっても食用や工芸品用に使ってはならず絶対に命を救わなければと感傷的に思いこんでいた、なんてあり得ないですよ。 また、座礁鯨を食用などに利用することは、鯨を神聖視することと別段矛盾するわけでもないのである。 神聖視しているから座礁鯨は利用せずに命を救わねば、というような狭い観念こそ、現代都市住民のオツムの窮屈さを示すものなのだ。 ところがここではマオリ族は座礁鯨を見ると、仕事をほっぽりだして救済しようとするのである。 笑ってしまうではないか。 
 え、原住民だからといって鯨を食用にするとは限らないでしょう、って? そうおっしゃる方には論拠を示しておきましょう。 小松正之(編著)『くじら紛争の真実』(地球社、2001年)の105ページを参照して下さい。 世界各国の鯨利用状況が表になって出ていますが、ニュージーランドのマオリ族が座礁鯨を、食用・鯨油用として、またそれ以外に歯と骨をも利用していることが銘記されています。 この映画の原住民が、感傷的な欧米都市住民のフィルターを通した、いわば濾過され無害化された原住民像に過ぎないことは、ここからも明らかでしょう。

116.「危険な関係」 11/14、シネ・ウインド。 評価★★★★ フランス作家ラクロの有名な小説の映画化。 この作品は何度か映画化されているが、これはロジェ・ヴァディム監督による1959年作である。 原作の貴族社会の設定は、20世紀風に変えてある。 ヴァルモンがジェラール・フィリップ、彼をそそのかす妻にジャンヌ・モロー、ヴァルモンが誘惑する貞淑な夫人にアネット・ストロイベルグという顔ぶれ。 20世紀に移し替えられながらも原作の雰囲気がよく出ており、キャスティングもぴったりで、カメラワークなども面白く、楽しめる映画だ。 ただ、ジェラール・フィリップとアネット・ストロイベルグのベッドシーンもあるのはいいけれど、ストロイベルグの裸は黒子が多くてあまり綺麗ではなく、貞淑な夫人というイメージにややそぐわないのが、残念。

115.「アイデンティティ」 11/13、WMC新潟。 評価★★★★ 豪雨で陸の孤島となったモーテルに、男女十名が集う。 女優と運転手、妻が交通事故にあった夫と息子、連行途中の囚人と刑事、婚約したばかりのカップル、夢を求めてカリフォルニアに土地を買った娘、などなど。 やがて彼らは一人ずつ殺されていく。 誰が犯人なのか、そして彼らが全員同じ誕生日を持つのは偶然なのか・・・・・・。 スリラー的雰囲気の濃厚なミステリーで、タネは規則違反すれすれという感じもするが、滑り込みセーフで三塁打になりおおせている作品、と言ったらいいだろうか。 新潟ではWMCの単独上映でわずか2週間のみ、それも2週目は一日1回だけの上映というのは、ちょいと困る。 作品の良さが口コミで広がる以前に終わってしまうのではね。

114.「永遠のマリア・カラス」 11/10、UCI新潟。 評価★★ 世界的なソプラノ歌手マリア・カラスの晩年を描いた映画。 全盛期の声を失っていた彼女に、若い頃の録音を元に画像だけ新たに撮りおろしてオペラのビデオを作らないかという企画が持ち込まれる・・・・・。 実際にあったことではなくフィクションらしいのだが、亡くなってあまりたっていない実在の著名人物を、こういう風に露骨なフィクションで映画化することがいいことなのかどうか、疑問。 この手の映画を作るなら、架空の歌手をヒロインにすべきではなかろうか。

113.「フリーダ」 11/7、シネ・ウインド。 評価★★☆ メキシコの女流画家フリーダ・カーロの生涯を、夫や革命家トロツキーなどとの関係を軸に映画化したもの。 彼女の残した絵画と生涯との関係がイメージとして重なり合う場面はそれなりに面白いが、その一方で 「女の一生」 的な退屈さもなくはない。

112.「g@me」 11/6、UCI新潟。 評価★★★★ 試写会に応募したら当たって、一般公開前に見ることができました。 NSTに感謝します。 井坂聡監督作品。 エリート社員 (藤木直人) が、切れ者の副社長 (石橋凌) にコケにされた直後に、その娘 (仲間由紀恵) が家出したのを目撃し、彼女と共謀して誘拐劇をもくろむが・・・・・。 よく練られたストーリーで、遊び心もあり、最後まで飽きずに見ることができる秀作。 宇崎竜童やIZAMなどの脇役も悪くない。 それにしても、予告編で見たシーンが全然出てこなかったのは――こういうことは間々あるけど――どういうわけか?

111.「ひめごと」 11/4、イメージフォーラム(渋谷)。 評価★★☆ フランス映画。 R18指定。 肉体を武器に出世をもくろむ若い娘二人が或る会社に入社し、当初は首尾よく上役を籠絡していくが、やがて思いがけない事態に・・・・・・というようなお話。 フランス映画だけあって、ハリウッド映画とはひと味違い、思いがけない展開になるが、ただそこで登場する一種のハーレムがある種のヨーロッパの伝統と結びついている以上、奇想天外というよりは、ある種の定型という感じもするし、作品全体のまとまりは今ひとつではないかと言わざるを得ない。 まあ、ノンシャランな 「放置」 もフランス映画の伝統かもしれないけれど。 

110.「錆びたナイフ」 11/4、浅草新劇場。 評価★★★ 石原裕次郎主演作。1958年制作、モノクロ。 北原三枝と小林旭が共演。 かつて恋人を陵辱した男を刺し殺して刑務所に入り、今はバーテンダーをしている青年 (石原) が、事件の背後には実は別の人物がいることを知って、その地方都市の黒幕を追っていく、というようなお話。 今見ると、昭和30年代の風俗がなつかしい。

109.「或る剣豪の生涯」 11/4、浅草新劇場。 評価★★★  フランス作家ロスタンによる有名な劇 『シラノ・ド・ベルジュラック』 を日本の時代劇に翻案した映画である。 1959年制作、稲垣浩脚本・監督。 鼻が大きく滑稽な容姿ながら剣に強く文学的素養も豊かな武士 (三船敏郎) が、幼なじみの美女 (司葉子) に惹かれながらも、彼女が好意を寄せている美男の剣士 (宝田明) との間を取り持とうと必死の努力をする、というようなお話。 この話はハリウッドでも映画化されていたが、原作や外国での映画版を知った上でこの日本版を楽しむのも一興であろう。

108.「白昼堂々」 11/4、浅草新劇場。 評価★★★ 渥美清、倍賞千恵子、有島一郎などが出演している1968年作の喜劇。 九州から炭坑がなくなっていく60年代後半の世相を背景に、大がかりなスリをやって生きている失業者たちと、それを追う老刑事をコミカルに描いている。 老刑事の配下の新米刑事にも常磐炭田の失業者の息子がいたりして、ワタシ (いわき市出身) も昔のことを思い出したりしました。 倍賞千恵子の女スリもなかなかいい。 後の 「寅さん」 シリーズでの所帯じみた感じとは明らかに異なった彼女がいる。

107.「日本侠客伝」 11/3、中野武蔵野ホール。 評価★★ 高倉健主演、中村錦之助客演、1964年作。 深川木場の昔気質の男たちが、近代化の中で悪どい商売人に追いつめられながらも自分の筋を通していく、といった作品。 しかし、最後の中村と高倉の暴れ方が中途半端で、物足りなさが残る。

106.「日本女侠伝・鉄火芸者」 11/3、中野武蔵野ホール。 評価★★★★ 藤純子主演、1970年作。 子供の頃売られて芸者になったヒロインは、途中でつらくて死のうとした時に励ましてお守りをくれた男のことが忘れられないでいる。 ある時、彼女はその男 (菅原文太) と再会するが、二人は結ばれない運命だった・・・・・。 藤純子の芸者ぶりと美しさが如何なく発揮されており、魅力的な女優を軸にした映画の作りかたのお手本みたいな作品である。

105.「名もなきアフリカの地で」 11/2、シネスイッチ銀座。 評価★★☆ ドイツ映画。 米国アカデミー賞外国映画部門最優秀賞受賞作。 原作はドイツ人女性作家の自伝的小説で、ベストセラーになった由。 ナチ時代、故国から脱出したユダヤ人の一家がアフリカで生きていく様を描いている。 大河ドラマ風のところがあって、それ故に多少の退屈さがあるし、また登場するアフリカ人が 「いい人」 ばっかりなのは逆差別じゃないかとか、子役は可愛いけど、そこからあまり出ていないし、その母親はどうにも共感を抱けないタイプで、これは監督が女性だから女に甘いのか、逆に辛いのか、どちらだろうか(多分前者じゃないかと私は推測する。 監督の分析能力の欠如を示すものだろうと)・・・・・・・などなど、余計なことを考えてしまう側面もなきにしもあらず (というより、相当にある) の映画なのだが、あの時代のユダヤ人の一つの生き方をきっちり描いていて、それなりの重みがある作品だとは思う。 というか、そう考えなきゃ見てられないような作品と言うべきかな。 監督のカロリーネ・ケーラーは、『点子ちゃんとアントン』 では良かったが、ここでは後退している感じ。 原作のせいもあるのかもしれないが・・・・・

104.「吠える犬は噛まない」 11/1、ユーロスペース(渋谷)。 評価★★★☆ 韓国映画。 大学教授になかなかなれないでいる非常勤講師の青年が、飼い犬禁止のはずのマンションで犬の鳴き声を聞いたことから苛立って、犬を殺そうとしたところから始まる喜劇。 思わぬ人物の思わぬ行動で筋が展開していくところに独特かつ奇妙な味があって、結構いける作品だ。

103.「天使の肌」 11/1、新宿武蔵野館。 評価★★ フランス映画。 上映館は新宿武蔵野館というけれど、たしか以前はシネマ・カリテといっていたんじゃなかったっけ。 いつから名称が変わったのかな? それはさておき、母を亡くした孤独な青年と一夜を明かしたことがきっかけで殺人の嫌疑をかけられた無垢な少女 (モルガン・モレ) が修道院で短い生涯を終えるまで、そして青年が立ち直るまでを描く。 ・・・・・はずだが、うまくできていない。 青年の孤独感が薄っぺらにしか描写されていないし、少女役のモレは、なるほど整った容姿で清純さもあるが、色気というか華というか、魅力的な女優になるための何かが欠けているような気がする。 

102.「死ぬまでにしたい10のこと」 10/31、UCI新潟。 評価★★ カナダ・スペイン合作。 ペドロ・アルモドバル監督作品。 23歳の若さながらガンで余命2、3カ月と診断された二児の母が、残された時間でやりたいことをやり尽くそうと決心して実行に移すお話。 面白そうな設定だと思ったのだが、子供たちの将来の誕生日のためにメッセージをテープに吹き込むとか、刑務所に入っている父親に会いに行くとか、ヘアスタイルを変えるとか、酒とタバコを好きなだけやるとか、まあそういう類のことはともかくとして、「夫以外の男を見つけてセックスする」 という決心にもそれ相応のいい男が現れてヒロインに夢中になってくれ、「子供たちの気に入る新しいママを見つける」 という決心にもちょうど隣家に独身で子供好き、容姿も悪くない看護婦が引っ越してきて仲良くなるなど、ちょっとご都合主義が過ぎるのではないですか、と言いたくなってしまう映画でした。 ヒロインを演じるサラ・ポーリーは悪くないと思うけれども。

101.「ギャングスター・ナンバー1」 10/24、シネ・ウインド。 評価★★★ 英国映画。 60年代のロンドンを舞台に、カッコいいギャングのボスに憧れて仲間入りした若者が、ボスに女ができたために嫉妬と反発を感じて凶暴な行動に走るさまを描いている。 ギャングは何よりカタチから、ということがよく分かる(?)映画であり、男のカッコつけと心理的なアヤを巧みに描いた作品として、一見の価値があると思う。

100.「マグダレンの祈り」 10/22、WMC新潟。 評価★★★ 2002年のヴェネチア映画祭で金獅子賞をとった作品。 イギリス・アイルランド合作。 1960年代のダブリンを舞台に、未婚の母となったり不純異性交遊 (死語か?) をしたりしたために親から見放されて修道院に入れられた少女たちが、修道女たちから苛酷な扱いを受けるさまを描いている。 ヴァチカンは当初この映画に拒絶反応を示したというが、私からすると衝撃の度合いはさほど大きくはない、と言うか、なるほど、こんな世界も60年代にまだあったんだなあ、という気持ちで見ていた。 この種の修道院が廃止されたのは、最終的には1996年だったそうな。

99.「インファイナル・アフェア」 10/13、UCI新潟。 評価★★★ 香港映画。 麻薬取引を生業とするギャング団に潜入した警察官と、逆に警察に入り込んだギャングの手下。 双方の通報で麻薬取引が警察に発覚しつつも、警察はギャングの逮捕を逃す。 そうした中でお互いが潜入者を突き止めようとして・・・・・・というような、スリリングな展開の作品である。 もっとも評判ほどスゴイ出来だとは思わないけど、一見の価値はあろう。 男同士のドラマだから、女優が割を食うのは仕方がないが、私の個人的な好みとしては女医役のケリー・チャンをもう少し活躍させてほしかった。 実は半分は彼女の近況を知りたくて見たようなものなので。

98.「巌流島」 10/13、UCI新潟。 評価★☆ 宮本武蔵と佐々木小次郎の決闘に新解釈を示す映画だそうだが、出来はよろしくない。 何より、日本映画特有の安っぽさがモロに出てしまっているところがトホホなのである。 やるなら、徹底的にファルスにして、ばかばかしさに徹した方がいい。 中途半端に真面目なのは墓穴掘りだと心得るべし。 武蔵を野人、小次郎を藩政治の渦中の人として描くのも、たしか数年前の正月テレビドラマにあったと思うし (小次郎を役所広司が演じていた)、特に新鮮だとは思わない。 その小次郎のあの最期は・・・・・・・小学校の学芸会並みである。 吉岡美穂、下品な田舎女の感じが出ているけど、彼女にとってはマイナスイメージにしかならないのでは?

97.「ローマの休日」 10/11、UCI新潟。 評価★★★★★ この映画を観るのは3回目になる。 最初に観たのは、20年余り前、私が新潟に赴任して間もない頃、今はない名画座ライフでのことであった。 2度目はいつどこでだったか、全然覚えていない。 今回、3回目を観たわけだが、懐かしいというよりは、意外に覚えていないな、という感覚が強かった。 グレゴリー・ペックとオードリー・ヘップバーンのデートが始まるまでのところが案外長く、始まってからが短い。 一日だけでいいから好き勝手なことをしたいという王女様の夢のはかなさを暗示するかのように、楽しいことはあっという間に過ぎてしまうのだ。 それと変な箇所がひっかかった。 王女様の髪を短く買った理髪師が夜のダンスパーティに再登場するが、なぜか口ひげを剃ってしまっている。 王女様には、ひげがない方が似合うとほめられるのだが、どうしてひげを剃ろうと思ったのだろうか?

96.「ドッペルゲンガー」 10/10、Tジョイ新潟万代。 評価★★ 黒沢清監督作。 最近仕事に行き詰まっている天才肌の技術者・役所広司にドッペルゲンガーが現れる・・・・・・というような話だが、ホラーではなく、かといってホラーならざる面白さがあるわけでもなく、凡庸な出来だと思いました。 映像も、分割技法 (?) が多用されているけれど、クルマを正面から捉えた画像で、左座席で運転している役所広司の側と右座席でぐったりしている役所広司の背景のクルマの振動が一致していなかったり、割りに杜撰。

95.「神に選ばれし無敵の男」 10/6、シネ・ウインド。 評価★★★☆ ヴェルナー・ヘルツォーク監督作品。 独英合作。 ナチが政権をとる前夜のドイツ。 田舎で父とともに鍛冶業を営んでいたユダヤ人の若者が、その力持ちぶりを興行師に見込まれて都ベルリンに出て人気を博する。 他方、この興行師のもとには、不思議な霊感を持つと称する男がいて・・・・・・というような、一見すると30年代初頭ドイツの混沌として妖しげな雰囲気を描いた作品のようだが、ユダヤ人の生き方が映画チックに展開されているところがミソなのだと思う。 映画的な楽しさが少なからず盛り込まれていて悪くないが、ベルリンが舞台なのに英語でしゃべってるのが玉に瑕か。 私が見に行ったときは、私を入れて二人しか観客がいなかった。 一見の価値のある映画だと思うんだけど。  

90−94の補足。 WMC新潟はポイントカード制度を廃止したので余り行かないでおこう、と思っていたが、「藍色夏恋」 は新潟市内ではWMCの単独上映であり、是非見たいと思っていた作品でもあるので、10月1日の映画サービスデーに行ってみた。 ところが、である。 そこでもらった 「秋の周年イベント」 のチラシを読むと、10月1日からWMCで5日間連続映画を見た方には無料入場券2枚を贈呈、とあるではないか。 こういうのを見ると、挑戦しよう、と思っちゃうのがワタシなのである。 そこでWMCのプログラムを検討したが、4つは見てみようかと思う作品で埋められるが、残る1つは見るつもりのなかった映画で妥協するしかない、と分かった。 しかし背に腹は代えられない (?) ということで、たいして興味もなかった 「S.W.A.T.」 を見た。 残る4作は見るつもりのあった作品ではあったが、結果として十二分に満足できる映画は最初の 「藍色夏恋」 だけ、まあ合格かな、が 「マッチスティック・メン」 ということで、あまり実りの多い挑戦とは言えない結果でした。 しかし無事に無料入場券2枚をゲットしたので、有効に使おうと思います、はい。

94.「ジョニー・イングリッシュ」 10/5、WMC新潟。 評価★★☆ 007のパロディ版といった趣きの喜劇。 ドジで間抜けな英国諜報部員 (ローワン・アトキンソン) が、英国女王を退位させ自分が王位に就こうともくろむフランスの詐欺師を追い、様々な手違い勘違いを重ねつつも最後にはめでたく殊勲をたてる、というお話。 セクシーな美人諜報員 (ナタリー・インブルーリア) が出てくるところなども007シリーズをなぞっているようだ。 パロディとしての出来はまあまあだと思うが、期待していたほど笑えなかったというのが正直なところ。 特に、パラシュートで犯人の本拠地に乗り込むつもりが誤って隣の病院に入ってしまうところなど、ネタがミエミエ。 全体としてもう少し工夫が欲しい。 なお悪役はジョン・マルコヴィッチだが、彼はこういう役が合っている、と思う。

93.「マッチスティック・メン」 10/4、 WMC新潟。 評価★★★ 神経過敏で清潔症の詐欺師 (ニコラス・ケイジ) がいる。 ある日、むかし妊娠途中で別れた女房の娘 (アリソン・ローマン) と出会い、一緒に暮らし始めて、14歳の彼女に振り回されながらも神経過敏が快方に向かうのだが・・・・・・というような話で、彼の清潔症と詐欺師の仕事がもう少し密接に結びついていると面白いと思いながら見ていたのだが、最後のどんでん返しはよく考えられており、途中を念入りに見ておく価値はある。 アリソン・ローマンは14に続いてどこかナイーヴな少女を好演。 タイトルは日本人向けにもう一工夫ほしい。

92.「S.W.A.T.」 10/3、WMC新潟。 評価★★ 前半はロサンゼルス特殊警察の人材確保を、後半は、護送担当の犯罪王の 「オレを逃がしたら1億ドル」 という呼びかけにこの特殊警察がどう対応したかを描いたアクション物。 実はさほど見たかったわけではなく、或る事情 (上の 「補足」 を参照) から見たのだが、アクションも程々なら、筋書きもたいしてヒネリが効いておらず、映画館で見るほどの作品ではないなと思いました。 あと、チケットを購入するとき、タイトルの読み方が分からなかった。 もう少し日本人の言いやすいタイトルを考えて下さい。

91.「サハラに舞う羽根」 10/2、WMC新潟。 評価★☆ 米英合作映画。 19世紀後半、世界の4分の1を英国が植民地として支配していた時代、スーダンでの叛乱に英国軍が出動するが、結婚を控えた若い将校が疑問を抱き、除隊する。 そのために彼は周囲からのみならず婚約者からも非難される。 そこで彼は・・・・というようなお話なのだが、どうも作品のポイントがどこにあるのか分からず、全体としてきわめてまとまらない印象しか残さない失敗作である。 まず、主人公の若者が出動を命じられて疑問を抱き軍から除隊するのだが、これが単なる臆病からなのか、不戦の信念からなのか、よく分からない。 臆病ならば、なぜ作品後半でそれを撤回してゲリラ的行動で英国軍を支援しなくてはならないのか不明である。 普通に軍に復帰すればいいだけの話だろう。 また、不戦の信念からならば、それを簡単にくつがえした主人公の行動はまことに骨抜きの、他人志向的なものと言わざるを得ない。 別段、近代的な反戦主義者である必要もないが、この時代、軍をやめるからにはそれなりの覚悟はあったはずで、その覚悟がさっぱり見えてこないから、筋書きに説得性が感じられないのだ。 彼の恋人にしても、主人公に対する愛情がどの程度なのか、作中ふらふらしどおしで、19世紀の英国女性ってこんなにクラゲみたいな性格だったのかなと首をひねってしまうし、主人公の親友にしても、最後に戦争の意義を、帝国が崩壊しても友情のために戦うなんてことを言うわけだが、それじゃあ植民地にされた側の人たちはタマランじゃないですか。 戦闘のシーンなどにはそれなりの迫力はあるが、とにもかくにも支離滅裂で精神分裂病 (あ、統合失調症と言わないとマズイすか?) みたいな映画であると言うしかない。 ・・・・・というふうなことを書くと、現代的価値観から断罪していると思われるかも知れないが、必ずしもそうではない。 フランス映画などで、植民地への郷愁を描いた作品があるが ( 「フォート・サガン」 とか 「ラマン」 など)、ああいう臆面の無さがあればそれなりに面白くなるのである。 ここでは、主人公が軍を除隊する理由が最後まで見えてこないのが、失敗の最大要因だと思う。

90.「藍色夏恋」 10/1、WMC新潟。 評価★★★★ 台湾映画。 易智言(イー・ツェーツェン) 監督作品。 ヒロインの女子高校生が友人から頼まれて、友人が恋をしている男子高校生に代理でラブレターを渡すが、その手紙はなぜかヒロインの名前になっていた。 そこから始まる男女二人の奇妙な関係を描いた作品。 まずヒロインの桂綸金美(グイ・ルンメイ 金と美は一つの漢字) が素晴らしい。 山口百恵のデビュー間もない頃を想起させる雰囲気があり、生硬で初々しい色気が非常に魅力的。 同性への好意と異性への愛情の未分化な高校生の戸惑いをみごとに演じている。 男子高校生の陳柏霖 (チェン・ボーリン) と友人の梁淑慧 (リャン・シューホイ) もいい。 梁は、ここでは損な役なので割を食っているが、独自にヒロインをやれそうなくらい可愛い。 筋の展開は思春期の微妙な心理をうまく表現しており、映像も新鮮で美しい。 こういう傑作が、単館系であるがために新潟での上映が東京に遅れること2カ月というのは、まことに残念である。 せめて1カ月くらいになるように、新潟の映画関係者の奮起を期待したいものだ。 

89.「閉ざされた森」 9/25、Tジョイ新潟万代。 評価★★☆ アメリカ軍のゲリラ部隊がパナマの密林地帯で訓練を行うが、なぜか同士討ちとなり生き残ったのは二人のみ。 いったい何があったのか・・・・・。 というようなサスペンス風の展開を見せる映画だが、イマイチであった。 ゲリラ兵士の森の中での人間模様が観客には分かりにくく、生存者の転々とする証言も追いにくい。 だから、最後のどんでん返しも、やられた!という爽快感ではなく、狐につままれたような印象しか残さない。 女性将校らしい硬質の美しさを見せるコニー・ニールセンがわずかな救いとなっている。 

88.「シモーヌ」 9/22、UCI新潟。 評価★★☆ アンドリュー・ニコル監督作品。 予定していた女優に降りられて窮地に立った映画監督 (アル・パチーノ) が、或る男の残した装置をもとにCG画面の美女シモーヌを自作の 「主演」 に採用して大成功。 しかしそうとは知らないマスコミなどから追いかけられる羽目に・・・・・・というようなお話。 いかにもハリウッド的なコメディだとは思ったが、どこか満足できないところが残る。 まず、CGで美女を作成して、それに誰も気づかないという筋書きは、コメディのお約束ではあるにしても不自然過ぎると思う。 20年前くらいならいざ知らず、今どき誰一人としてCG技術による操作を疑わないなんて、ちょっとリアリティがなさ過ぎるんじゃないですか? それと、キャストがイマイチ。 CGの美女を演じるのは、映画と同じくCG美女、じゃあなくて、レイチャル・ロバーツという女優なんだが、大騒ぎされるほどの美人だとは思えない。 ジュリア・ロバーツといい、ロバーツという姓の女優はどうもみんな馬面に見えるぞ。 アル・パチーノも年をとってきているし、もうすこし若いというか、中年という言葉がふさわしい俳優を選ぶべきじゃなかったのですかね。

87.「ロボコン」 9/19、WMC新潟。 評価★★★ 古厩智之監督作品。 工業高専に通う落ちこぼれの女の子が、教師から第二ロボット部に入るよう強制され、しかしやがてロボットづくりに熱中し、高専ロボットコンテストの全国大会で奮闘する過程を描いている。 「理系の青春」 を描くというコンセプトの映画だそうだが、それならばロボットづくりの過程はもう少し詳細にたどったほうがよさそう。 ただ、全国大会で色々なロボットが登場するところはまあまあ面白い。 主役の男の子3人は、機械いじり大好き少年=視野狭窄型、内向型、遊び人型と描き分けられているのに対し、女の子は 「紅一点」 主義がとられているところは古典的だが、この場合は成功していると言えそう。 なぜならこの女の子を演じる長澤まさみが圧倒的にチャーミングなので、彼女以外の女の子が出てきてもかすんでしまうだろうからだ。 いわば16歳の長澤まさみのメモワール、としての価値もある作品だと思う。 ・・・・・・が、WMC新潟に夜見に行ったら、約200人収容のホールに、観客はワタシ一人でした (笑)。 新潟では2館公開とやや無理目の展開のせいもあろうが、WMCのサービスの悪さのせいかも知れないので、WMCさん、ポイントカードの復活を願います。 それと、作品が作品なんだから、高校生・高専生は千円、くらいのサービス料金を設定してもいいんじゃないの?

86.「エデンより彼方に」 9/10、UCI新潟。 評価★★★ トッド・ヘインズ監督作品。 1950年代のアメリカを舞台に、会社重役の夫と二人の子供に囲まれて幸せな家庭を営んでいたヒロイン(ジュリアン・ムーア)が、夫が実は同性愛者であることが分かって苦しみ、それを慰めた黒人の庭師との関係を町の住民たちに取りざたされてさらに苦悩する・・・・・というようなお話。 この映画のミソは、50年代アメリカの風俗を忠実に再現しているところにある。 今からするといかにも燃費の悪そうなデカいアメリカ車を初め、60年代に入って公民権運動やヴェトナム戦争および反戦運動で社会全体が揺れていく以前の、古き良き時代の秩序あるアメリカの風俗が、黒人差別的な側面を含めて丁寧に映像でなぞられている。 筋の運びも、いたずらに劇的にはなっておらず、むしろ淡々としており、しばしば映される秋の紅葉が全体のイメージを統合しているかのような印象がある。 ヒロインのけなげな良妻賢母ぶり、黒人庭師の知的で理性的な振る舞いなど、人物造型もあくまで古典的。 そこに意味を見いだすか、単なるアナクロと見なすかは、観客次第であろう。 なお新潟では東京に遅れること2カ月弱、先週土曜からUCI新潟での単独上映となったが、私が見たときは10人も入っておらず、一昨日の 「座頭市」 と差がありすぎる感じ。 新潟市民よ、もう少し単館系の映画も見ませう! 

85.「座頭市」 9/8、UCI新潟。 評価★★★☆ 北野武の監督・主演作。 ヴェネツィア映画祭で銀獅子賞 (監督賞) をとったというニュースが流れた直後だったためか、またメンズデーだったこともあってか、280名収容の広いホールはかなりの入り。 新潟では3館公開、かつR15指定でこれだから、出だし好調と言える。 観客動員数は相当行くかも。 かつて勝新太郎の当たり役だった居合い抜きの達人・座頭市を北野武がやっているところがミソ。 勝とはちがった、得体の知れないめくら (この 「差別語」 をちゃんと使っているのもよろしい) の役どころが北野にそれなりに合っている。 北野監督らしい芸術めかした遊びもある。 また最後にどんでん返しが二つある。 一つは私も途中で見当がついたが、もうひとつは予想がつかなかった。 あと、準主役の浅野忠信も、私はこれまであんまり感心したことがなかったんだが、なかなかいい。 日本の男はやっぱりサムライが似合うんだなあ。 浅野の妻役の夏川結衣も病弱の純日本女性 (?) を演じて悪くないが、最後で自決するとき、腹を切るのはおかしいんじゃない? 女が自決するときは喉を切るのが正しい作法だと思うんだが。

84の付け足し。 Tジョイではこの春からポイントカードを発行するようになった (下の、39の付け足し参照)。 6回観ると平日無料観賞券になるカードである。 私はたまたま84が6回目だったのだが、すぐに新しいカードを発行してくれた。 最近のTジョイのサービス向上をうかがわせて好感が持てた。 下の 「81と82の補足」 にも書いたように、WMC新潟は逆にポイントカードを廃止してしまったし、それ以前からカードをすんなり発行してくれない状態が続いていた。 つまり、こちらから言わないと出さないし、あらかじめ別用紙に氏名などを記入しないといけない、というように、利用者本位ではなく映画館本位の制度になってしまっていたのである。 あげくの果てに廃止、である。 このあたり、シネコン3館が競合して激戦が続いている新潟の映画館事情にどう影響するだろうか。 

84.「パイレーツ・オブ・カリビアン」 9/5、Tジョイ新潟万代。 評価★★★★ 評判の海賊映画である。 私は83に続けて見たのだが、うん、映画はこうでないといけないな、と痛感したことであった。 CGの駆使も嫌みにならず、新時代の海賊映画にマッチしているし、肩の力を抜いて楽しんで見ることができる作品だ。 私としてはヒーローのオーランド・ブルームより、狂言回し的に活躍するジョニー・デップのほうがいいと思った。 また、ヒロインのキーラ・ナイトレイはなかなかの美人ではあるが、欧米人には珍しく横顔が様にならず、正面だけがことのほか魅力的である。

83.「シティ・オブ・ゴッド」 9/5、シネ・ウインド。 評価★★★ リオデジャネイロの貧民街を舞台に、子供の頃からギャングに憧れて犯罪者になってしまう下層民や、そこからの脱出をめざす若者などの姿を描いている。 政府の政策で作られた、ちっぽけな同じデザインの家屋が無数に並ぶ貧民街が、強烈な印象を残す。 物語も時間の流れを分断して進められるので一筋縄ではいかない。 ただし見て楽しい映画ではないので、そのつもりで。

81と82の補足。 【WMC新潟、ポイントカードを廃止!】 9月1日は映画サービスデーなのでWMC新潟で2本続けて観たのだが、窓口で訊くと、ポイントカードは出さないとのこと。 これまでのポイントカードのポイント加算期限が8月いっぱいであった。 従来なら、加算期限が切れると、すぐその後から新しい使用期限のカードが発行されていたのだが。 どうやらWMC新潟ではポイントカードを廃止した模様である。 出来た当初のポイントカードは4回観ると1回無料、その後は6回観ると1回無料、少し前からは7回観ると1回無料と、少しずつサービスが低下してきていたのだが、ついに完全に廃止されてしまった。 ライバルのUCI新潟は最初からポイントカード制度を維持しているし、この点で遅れていたTジョイ新潟万代も今春からポイントカードを導入し、6回で1回無料となっている。 ライバルの動静に逆らうかのようなWMC新潟の姿勢は、きわめて疑問と言わなくてはならない。 おまけに、UCI新潟とTジョイ新潟万代にはレディースデーに加えてメンズデーもあるが、WMCはレディースデーだけであり、その点でもサービスが悪い。 私は今後は、他館で観られない場合に限ってWMCに行くことになりそうだ。

82.「天使の牙」 9/1、WMC新潟。 評価★★★☆ 作家・大沢在昌の小説を西村了監督により映画化したもの。 同棲している同僚との関係に悩む女刑事 (黒谷友香) が、麻薬犯罪組織を追う過程で組織のボスに囲われた女 (佐田真由美) を保護するが、双方とも銃撃戦の中で射殺されてしまう。 しかし頭が打ち抜かれただけで首から下は無傷な佐田に、体には銃弾を浴びたものの頭は無傷だった黒谷の脳が移植され、佐田は警察の指令で再び犯罪組織のボスのもとに戻ってゆく・・・・・ というような筋書き。 原作だと、男勝りの女刑事が自らの女性性のありかに悩んでいる中で、娼婦的な囲われ女の体だけを得るという、いわば対照的な女二人を材料にしたところがミソらしい (原作は私は未読なので、パンフによる)。  しかし映画では黒谷も美人なので、というか、私の好みだと黒谷のほうが美人なので、そういう対比がぼやけてしまっているのだが、逆にそれが図式的な作品に堕すことを防いでいて、結構悪くない風味を出しているように思う。 ただ、刑事というお堅い職業にある女が、娼婦タイプの女の体を得たわけだから、ボスに抱かれるシーンなどは心理的な葛藤を含めもっと念入りにやって欲しい (エッチな希望で済みません)。 それと、よく分からないのは、後半、脳を移植された佐田がボスの前でビアノを弾くシーンで、女刑事がピアノが弾けないことは前半で明らかにされているのに、なぜその脳を移植された佐田が弾けるのだろうか? それ以外にも、最後のシーンもよく分からないところが残る。 もしかして続編につなごうというのか? (これから観る人への忠告: この映画は最後まで席を立たないように!)   

81.「英雄 Hero」 9/1、WMC新潟。 評価★★☆ チャン・イーモウ監督作品。 秦の始皇帝と、彼を狙う剣客との対話を通じて、剣客が皇帝の面前にたどり着くまでに経てきた戦いの数々が明らかにされていく。 といっても、語りは一筋縄ではいかず、皇帝の反問によって絶えず覆されるという、いわばヌーヴォーロマン的な側面もあるのだが、それがCGを駆使して展開される剣闘技とうまく溶け合っているかというと、よく分からない。 というか、そういう複雑な語りを無にするような単調さが、どこかにあるような気がする。 皇帝の軍勢が矢を引く場面などはそれなりに迫力もあるけれど、私としてはマギー・チャンの美貌が一番印象に残りました。

80.「ファム・ファタール」 8/25、WMC新潟。 評価★★ ブライアン・デ・パルマ監督作品。 アメリカ映画だが、舞台はフランス。 現代のファム・ファタール、つまり美しく妖しい悪女のお話というので期待していたのだけれど、イマイチであった。 計算高く、あらゆる男を手玉にとって破滅させながら成り上がっていく美女を予想していたのだが、ヒロインがカンヌ映画祭会場で宝石強盗団の一員として働き、宝石を持ち逃げし、やがて、自分そっくりの自殺した女の身代わりになって・・・・・というような筋書きは、あまりファム・ファタールらしくない。 ファム・ファタールは、貴族やお金持ちのお坊ちゃんや、芸術家を狙わないといけないんじゃないかなあ。 最後近くにどんでん返しがあるが、これももう一つ。 ヒロインのレベッカ・ローミン=ステイモスは美人ではあるけれど、ファム・ファタールというイメージとはズレている気がする。 私としては、下の30に出てくるアンジェラ・リンドヴァルあたりが適役だと思いますけど。 

79の補足。 シネマ・ソサエティのレディースシートの件について、調べたら興行元がサイトを開設しており、苦情投稿欄もあるので、メールで投稿しておいたところ、下記のような回答が来た。 お役人的な答ではあるが、一応反応はあったということで、下に掲げておく。 なお最初に出てくる人名は匿名とした。
 【はじめまして。シブヤ・シネマ・ソサエティの××と申します。
 この度は、貴重なご意見有り難うございます。
 私ども中央興業有限会社は、長い間、横浜で興行を続けております。 その経験を生かし、シブヤ・シネマ・ソサエティのオープンの際に、かねてより女性のお客様から頂いていたご要望に基づきまして、レディース・シートを設置いたしました。おかげさまで、女性のお客様からはご好評を頂いております。
 しかしながら、三浦様がおっしゃるように、どんなに早く来ても好きな席でご覧いただけないということは、大変な問題だと思っております。
 三浦様のご提案にもありますように、今後列の問題も含めまして、すべてのお客様にどのようにすれば喜んでいただけるのか、熟慮を重ねていきたいと思っております。
 ただ現状といたしましては、一人でいらした女性のお客様が、安心して映画を楽しんで頂くため、そして何かあった場合にすぐ対応できるように、レディース・シートを続けていこうと思っております。
 映画館で過ごして頂く時間をより良いものにして頂くために、接客サービス、再び足を運んで頂けるようなご提案、おもてなし等を日々考察しております。至らない点も多いかと思いますが、今後ともシブヤ・シネマ・ソサエティを宜しくお願いいたします。】

79.「沙羅双樹」 8/20、シネマ・ソサエティ(渋谷)。 評価★★★ 河瀬直美監督作品。 奈良を舞台に、その伝統的な街並みの中に生きる人々の姿を描いている。 双子の片われがある日突然神隠しにあったかのように姿を消してしまう少年の体験を発端として、彼の鬱屈した毎日、ガールフレンドの出生の秘密、祭り、と場面が変わり、少年の母の出産で締めくくられる。見た直後は何となく物足りない感じがしたのだが、一日二日とたつにつれじわじわと映像が体に染みてくるような、不思議な余韻を残す作品だ。 私としては、最初の神隠しの場面での、狭い曲がりくねった路地を写す不安定なカメラワークから判断して、双子の片われを失った少年の心情を中心に物語が進むのかと思っていたのだが、必ずしもそうではなく、狭い路地の中に住む街の人たちの生活ぶり全般が捉えられており、また河瀬監督の映画がいつもそうであるように物語性が希薄で、茫漠とした感覚が全体を支配しているようであり、最後の出産シーンも、生まれるのは男の子だから、もしかすると失踪した片われの再生かも知れないのだが、あまり明確な意味付けをしないまま幕となるところが、まあミソなんでしょう。
 なお、会場のシネマ・ソサエティにも一言。 ここはレディスシートがあるが、画面からの距離が一番いいところ2列をそれに充てているのは、女男差別と言うしかなかろう。 これより前だと画面が近すぎるし、後ろだと遠すぎる。 今回の作品は人気があるせいか、整理券方式がとられていた。 私は早めに行って、整理券番号2番を獲得したにもかかわらず、一番見やすい場所を取れないのだから、不公平もいいところである。 レディスシートはあってもいいが、画面からの距離が一番いい場所におくのは1列分だけにして、残りは後ろの方においてもらいたいものだ。

78.「アイ The eye」 8/18、UCI新潟。 評価★★★ 香港映画。 幼い頃失明したヒロインが、体が大人になってから手術を受けて角膜の移植をし、視覚を取り戻す。 ところが彼女の目には死者の姿を見ることができるという能力が。 彼女と、助言者の青年医師は、角膜の提供者の秘密を求めてタイに飛ぶ。 提供者はタイ人女性だったのだ。 やがて明らかになる事実とは・・・・・。 というような筋書きで、ホラーではあるのだが、ホラーに終わらず最後に意外な展開を見せて、それなりに楽しめる映画になっている。 ヒロインのアンジェリカ・リーは、ちょっと中谷美紀に似ているかな。

77.「10日間で男を上手にフル方法」 8/11、UCI新潟。 評価★★★ 女性誌のライターであるヒロイン (ケイト・ハドソン) は、「どうしたらボーイフレンドに嫌われるか」 という記事を書くために意図的に或る青年に近づく。 一方、実はその青年 (マシュー・マコノヒー) の方も、10日間で恋人を作ったら仕事をもらうという賭のために彼女に接近したのだった。 この二人の関係の行き着く先は・・・・・というようなコメディ。 ハリウッド的な、何となく先の見える展開ではあるものの、コミカルで、2時間それなりに楽しめる映画ではある。 ヒロインのケイト・ハドソンは、地味めな美人だが、クライマックスでドレスアップして出てくるシーンではそれなりに魅力的で、笑顔がいい。 と同時に、脇役に派手めな美人が配されているあたりがちょっと面白い。

76.「茄子 アンダルシアの夏」 8/7、WMC新潟。 評価★★ 「もののけ姫」 などの作画監督をした高坂希太郎監督作品。 上映時間50分弱の中編アニメで、料金は千円均一。 スペインの自転車レースを主筋として、それに参加したレーサーの元恋人と実兄の結婚式がレース当日行われるという、人生模様の錯綜を描いている。 しかしどうも味が薄い。 上映時間が短いからではない。 設定から考えられる登場人物たちの複雑な心境が十分描かれていないからだ。 ヒロインの声優は小池栄子だそうだが、これは完全にミスキャスト (声優の場合もそう言うのかな?) で、全然色気も魅力も感じられない声だ。 

75.「トーク・トゥー・ハー」 8/1、WMC新潟。 評価★★★ スペイン映画。 アルモドバル監督作品。 事故に遭って病院で眠り続ける女闘牛士とバレリーナ。 そして彼女たちに愛情を注ぐ二人の男。 彼らの交流が進むうちに、やがてバレリーナは・・・・・。 ちょっと変わった感じの映画だが、バレリーナを介護しつつ愛情を保ち続ける若者ベニグノを演じるハビエル・カマラと、女闘牛士を愛しつつも孤独な生活を強いられるマルコを演じるダリオ・グランディネッティ (アルゼンチンの名優だそうである) がいずれも悪くなく、またバレリーナ・アリシア役のレオノール・ワトリングが美しい。 一見の価値のある映画だ。

74.「踊る大捜査線2 レインボーブリッジを閉鎖せよ!」 8/1、WMC新潟。 評価★★★ 前作に引き続き、警察のキャリア組と現場組の対立を背景にしつつ、成長し続ける街・お台場に起こった犯罪を追う湾岸署員たちの活躍を描いている。 映画的な楽しみがそれなりに用意されていて値段分楽しめることは確か。 ただ、面白さや緊迫感では前作の方がやや上だったような・・・・。

73.「鏡の女たち」 7/26、シネ・ウインド。 評価★★★☆ 吉田喜重監督作品。 監督の夫人でもある岡田茉莉子が主演している。 孫娘 (一色紗英) と暮らす老婦人が、赤ん坊を生んですぐに失踪した娘とおぼしき女 (田中好子) が発見されたことをきっかけとして、自分の家族史を振り返っていく過程が描かれている。 背景には広島への原爆投下がある。 セリフや進行は映画と言うより演劇的で、暗く沈むような音楽と相俟って独特の効果を上げており、悪くない作品だ。 それと、私はもともと田中好子がキャンディーズ時代から好きだったんだが、これは彼女の代表作になるかも知れない。 静かな演技が印象的。  脇役の室田日出男もいい味を出している。

72.「バトル・ロワイヤル2 鎮魂歌」 7/11、Tジョイ新潟万代。 評価★★☆ 賛否両論、侃々諤々の議論を呼んだ前作の続編だが、出来は芳しからずといったところである。 出だしはなかなかいい。 落ちこぼれの高校生集団が、前作で生き残りつつ世界との戦いを続行している藤原竜也を殺すべく派遣されるのだが、それに際して付けられた条件の苛酷さが前作の風味を受け継いでいるようで、これは期待できるぞと思わせた。 しかしやがて彼らは藤原に同調し、ともに大人たちへの戦いを敢行する仲間になりはててしまう。 この設定は凡庸である。 そもそも、なぜ前作があれほどの評判作になったのか、考えて第二作を作ったのかなあ。 中学生が理由もなくお互い殺し合わなくてはならないという、残酷にして不条理な設定を徹底したからでしょう。 それを 「怒れる子供の、大人たちへの宣戦布告」 にしたんじゃあ、不条理も残酷さも消えてしまうじゃないですか。 その辺が分かってないなら、続編は作るべきじゃなかったのだよ。 むしろ、やるなら、「怒れる大人たちの子供への宣戦布告」 のほうがまだ不条理と残酷さと、そこから来る逆説的なリアリティが出たと思いますがね。 反米感覚が中途半端に入り込んでいるのもマイナス要因。

71.「過去のない男」 7/5、シネ・ウインド。 評価★★★ フィンランドのアキ・カウリスマキ監督作品。 2002年カンヌ映画祭グランプリ受賞作。 ヘルシンキの駅を降りたところで暴漢に襲われて重傷を負い、記憶を喪失した男が、周囲の人々の善意や悪意にとりまかれながら、やがてある女性との愛を獲得し、最後で自分が誰であるかも判明する、というお話。 筋だけたどると平凡で、とくに奇をてらったところはないのだけれど、話の進行がどことなくおかしく、また人間の意外性にさりげなく照明が当てられていて、地味な内容ながら退屈せずに見ることができる作品だ。

70.「スパイ・ゾルゲ」 7/1、WMC新潟。 評価★★★ 篠田正浩監督最後の作品というので評判の映画。 戦前一大センセーションを巻き起こしたスパイ事件を題材としている。 戦前の日本や上海の風俗を再現するのに意を用いており、事件の経過をかなり丁寧にたどってもいるので、上映時間3時間に及ぶ長大作となった。 いうならばバランスよく、手間暇かけて、総合的に一つの時代とスパイ事件を描写しようとしている作品だから――昭和天皇やスターリンまで登場する――、そうしたものを大河ドラマ風にエンターテインメントとして享受するつもりの観客にはそれなりに楽しめると思う。 しかし、歴史認識の鋭さとか、人間と社会の関係につきまとう残酷さなどへの洞察を求めて映画を見る人には向かないだろう。 例えばの話、最後あたりでベルリンの壁崩壊が映し出され、ラストはジョン・レノンの 「イマジン」 で終わるのだが、ベルリンの壁崩壊は 「イマジン」 の歌う 「国境がない状態」 の現出ではなく、共産主義崩壊に伴って民族国家が再興したことを意味するのである。 ソ連が崩壊していくつもの民族国家に分かれたこと、旧ユーゴで民族問題により悲惨な内戦が起こったのが、その何よりの証拠である。 篠田正浩に正確な歴史認識を求めても仕方がないんだろうけど、この点では64の水野晴郎とレベル的に変わりませんね。 なおゾルゲ役のイアン・グレンが格好いい。 篠田監督自身もちょい役で出ている。

69.「ソラリス」 7/1、WMC新潟。 評価★★☆ スティーヴン・ソダーバーグ監督作品。 ポーランド作家スタニスラフ・レムの有名なSFの映画化である。 といっても、先行作品としてタルコフスキーによる映画化 「惑星ソラリス」 があるだけに、果たしてどうか、という懸念があった。 意識的にかもしれないが、タルコフスキーとはかなり趣きを異にし、細かいイメージの積み重ねで不可思議にして独特な映像美を生み出そうとしているようだ。 それがどの程度成功しているかの判断は、見る人次第かも知れない。 私としては、まあまあか、という評価。 ただ、タルコフスキーの作品では何といってもバッハのオルガン小曲集による音楽が映像とあいまって圧倒的な印象を残していただけに、あのような切り札を持ち得なかった、という感じも残る。 それと、主役のジョージ・クルーニーはいいとして、ヒロインのナターシャ・マケンホーンがイマイチ。 もう少し繊細な美人がいなかったものか。

68.「マナに抱かれて」 6/25、WMC新潟。 評価★★★ 会社での仕事が認められず恋人からも裏切られた女性 (川原亜矢子) が、独立して仕事を始めようとハワイに飛ぶが、そこで自分の生き方を見直すきっかけを得る、というようなお話。 というとありきたりな作品のようだが、全体として筋書きがよく考えられていて、悪くない出来だ。 魂を揺さぶられるというほどの傑作ではないけれど一見に値する映画だと思う。 ヒロインの川原はスタイルはいいけれど色気がなくて、微笑んでいる正面映像以外は美人でもないけれど、その分他の登場人物が生きるという、貴重な (?) 資質の主かも知れない。 色気という観点からすると準ヒロインの美波の方が魅力的だし、ホテルのオーナー役の蟹江敬三もなかなかだ。 井坂聡監督は 「波線のマリス」 が傑作だったが、この作品も、下手をするとお気軽な観光ドラマになりかねない素材を、それなりのレベルに引き上げていて、力量を感じさせる。 新潟での公開が2週間で終わってしまうのは惜しい。  

67.「トゥー・ウィークス・ノーティス」 6/20、WMC新潟。 評価★★★ ハーヴァード・ロースクール出の正義派女性弁護士(サンドラ・ブロック)が、大会社の金持ちのお坊ちゃん(ヒュー・グラント)に訳あって雇われる。 しかし万事自分に頼り切りの彼に呆れ、2週間後に辞職するという予告(ノーティス)をして後釜も見つけるが、その後釜が自分と同門の若い美人弁護士だった。 後輩といちゃつく彼を見ているうちに、彼への愛情を意識し始めた彼女は・・・・・。 というようなコメディ。 サンドラ・ブロックとヒュー・グラントがそれぞれはまり役で、展開もまあ悪くなく、特にサンドラが後輩弁護士とテニスをするところは笑える。 が、彼女との約束を果たすためにグラントが会社の実権を持つ兄に逆らって解雇され、ブッシュ父子嫌いのビンボー人権派弁護士サンドラのところにはせ参じる結末はどうかなあ。 私だったら、むしろ絵に描いたような正義派弁護士サンドラがグラントに恋すると同時に、彼の富を利用して世の中を変えていこうと決意するようなラストにしますけどねえ。

66.「ホーリー・スモーク」 6/17、Tジョイ新潟万代。 評価★★ オーストラリア・アメリカ合作映画。 インドに旅し、そこで出会った導師にイカれて入信し、帰国を拒むオーストラリア人の若い娘(ケイト・ウィンスレット)。 母は父が危篤だと称して娘を騙して帰国させ、心理療法の専門家に娘を預ける。 彼はやがて娘の信仰を解くが、心の支えを失った彼女は彼に言い寄って・・・・・・。 というような、ちょっと変わったストーリーの作品だ。 しかし全体としてあまり芳しい印象を受けなかった。 オーストラリア人って、みなあんな風に乱れた風俗下で暮らしているのかね。 ウィンスレットが全裸になるシーンがある (だからR18指定) けど、私の好みから言うと彼女は太め過ぎますね。 監督はジェーン・カンピオンだけど、話題になった 「ピアノ・レッスン」 を初め、この監督のものは感心したことがないなあ。

65.「逢いたくて」 6/13、シネ・ウインド。 評価★★ フランス映画。 パリの出版社に勤める初老の魅力的な女性 (カトリーヌ・ドヌーブ) が、かつてすれ違うようにして別れてしまった恋人の面影が忘れられず、映画 「めぐり会い」 を繰り返し見ながら暮らしている。 ある日、ニューヨークに出張になった彼女は、かつての恋人に会える機会が来たと思うが、同時に仕事相手が彼女に好意を示し・・・・・・。 率直に言って、期待はずれの映画だった。 ヒロインの別れた相手がどういう男だったのかよく分からないし、そもそもそういう男が本当に実在したのかどうかも、作品からは伝わってこない。 すべてはヒロインの勝手な思い込みだった、という可能性もあるのである。 といって、ヒロインの妄想を通して人間の狂気や幻想を描こうとした作品なのかというと、違うような気がする。 要するに、うまくできていない、と言うしかないのだ。

64.「シベリア超特急3」 6/13、シネ・ウインド。 評価★★ 映画評論家・水野晴郎によるシリーズ作品第3弾。 私は、第1作を見てそのお粗末さにあきれ果て、第2作は見なかった。 第3作というので多少は進歩しているかなと思い、また宇津井健と三田佳子が出ているということもあり、見に行ってみた。 しかし水野のシロウトはだしの演技と無理めな筋書きは変わらず。 でもまあゲテものという前提で見れば腹も立ちませんけどねえ。 ただ、根本的には、演技力だとか資金の問題よりも、水野の人間観・歴史観がどうしようもなく浅いからこういう映画しかできないんだろうと思いますけど。

63.「キッド」 6/11、有楽町スバル座。 評価★★★ 62に続いて見たもの。 捨てられた赤ん坊を一人で育てるべく奮闘するチャップリンと、捨てた母親がその後有名女優となり自分の行為を後悔しながら過ごす筋書きは、古典的ながら観客を泣き笑いに誘う。 でも今はこういう作品は作れないだろうな。

62.「モダン・タイムス」 6/11、有楽町スバル座。 評価★★★☆ 東京滞在の最後を、チャップリン特集で締めくくってみた。 有名な作品だが、最初羊の群れがちょっとだけ出てきて、それが工場に通う労働者の群にすぐに置き換わる冒頭シーンがうまいし、全般的に社会風刺とギャグが有効に配置されている。 トーキーと無声映画的作りの混交も、今からすると興味深い。

61.「春の惑い」 6/11、ル・シネマ(渋谷)。 評価★★★ 中国映画。 田壮壮(ティエン・チュアンチュアン)監督作品。 戦争直後の中国。 かつての親友宅を訪れた青年は、幼なじみだった女性が友人の妻となっていることを知る。 しかし友人は体調がすぐれず、子供もなく、夫婦間はうまくいっていないよう。 青年は幼なじみとの関係をどうするか悩むが・・・・。 静的なイメージに満ちた映画で、悪くない出来だが、私としては幼なじみ役の女優が好みに合わないのが残念だった。 それと彼女の演技だが、計算高いのか純粋に悩んでいるのかよく分からないところがあって、中途半端ではないか。 むしろ、友人の妹役の少女女優が天真爛漫さをうまく出していて、容貌も南果歩に似ていて私好みである。 将来が楽しみだ。

60.「発禁本・SADE」 6/10、銀座シネパトス。 評価★★☆ フランス映画。 フランス革命期、首都から少し離れた館に幽閉された貴族たちのなかに異端の作家サド (ダニエル・オートゥイユ) が混じっていた。 彼は貴族たちに自作の劇を演じさせると共に、若い令嬢 (イジルド・ル・ベスコ) を園丁の粗野な若者によって処女喪失させようとする・・・・・。 面白くなくはないが、作品の焦点がイマイチよくわからない。 サドの異端性もさほど出ていない。 だいたい、ハンサムなオートゥイユがサドってのは、無理なんじゃないかな。

59.「北京ヴァイオリン」 6/9、ル・シネマ(渋谷)。 評価★★★☆ 中国映画。 陳凱歌監督作品。 田舎で育ったヴァイオリンの天才少年が、貧しい父と共に北京に出て、よい先生につこうと苦労する。 やがて少年は自分の真価を認めてくれる教師と出会うが・・・・・。 音楽をめぐる話かと思いきや、実は家族小説が隠されているというところがミソ。 脇役だが、少年とふとしたことから知り合って彼を見守る高級娼婦(なのかな?) 役の陳紅(チェン・ホン)が面白い。 ただ、ラストはどうかなという疑問がかすかながら残った。

58.「ぼくんち」 6/8、シネスイッチ銀座。 評価★★ うらぶれた島で暮らす幼い兄弟。 ある日突然、行方不明の母が、兄弟の姉(観月ありさ) を連れて帰ってくる。 しかしすぐに母は姿を消し、姉と弟二人の奇妙な生活が始まる・・・・・。 私は観月ありさが好きなので見に行ったのだが、はっきり言って彼女が出ていなければ★1つでたくさん、という作品だった。 阪本順治って私はいいと思ったことがないが、これでダメだってことが決定的になったね。 ありさにも一言いいたい。 映画は4作目になるけれど、もっと作品を選ばないといけないのではないかね。 君は最初の 「超少女Reiko」 を越える作品に出会えていない。 恋愛ものでもそれ以外でもいいが、自分をストレートかつ強烈にぶつけることができる映画に出るべきだと思うな。 こういうヘンな作品に出るのは、盛りを過ぎた女優のすることだよ。 君はTV専門のコメディエンヌで終わる器じゃないはずだ。 自覚をしてほしい。

57.「六月の蛇」 6/7、シネ・アミューズ(渋谷)。 評価★★★★ 塚本晋也監督の、モノクロ、スタンダード・サイズ作品。 電話悩み事相談所に勤務する若い女性(黒沢あすか)が、相談に乗ったことのある男から見られたくない姿を写真にとられ、それをネタに脅迫されるうちに自分の官能性を素直に表白できるようになっていく、というようなお話。 ヒロインの黒沢が、最初眼鏡を掛けたそっけない姿で登場しつつも、やがて色っぽく変身して行くところがなかなかエロチックだ。 会場には若い女性も多く、最近は男女に関係なくこういう映画が受け入れられるようになっているのだな、と感銘を受けた。 お薦めできる映画で、新潟でもウインドでの上映が決定したそうである。

56.「愛してる、愛してない」 6/3、UCI新潟。 評価★★★☆ フランス映画。 「アメリ」 で注目を浴びたオドレイ・トトゥの主演作。 ただし 「アメリ」 とはちょっと趣きの違う作品で、美術学校の生徒である彼女が、既婚者である医師と自分との間に愛情関係があると一方的に思い込み・・・・・・というような、サスペンス風の展開である。 私としては 「アメリ」 よりこちらのほうが趣味に合った。 無垢にして狂という役どころが彼女にぴったりである。 しかし最後のシーンを見ると、案外この作品も 「アメリ」 と似ているのかも、と思わないでもなかった。

55.「夜を賭けて」 5/31、シネ・ウインド。 評価★★★☆ 日韓合作映画。 戦後間もない頃、関西に生きる在日が非合法で鉄屑泥棒をしながら生きて行くが、やがて警察によって住処を追われるまでを描いている。 貧しいながらも猥雑でエネルギッシュな在日の姿が生き生きと捉えられており、悪くない作品だ。 主人公の在日青年を演じる山本太郎の表情が特にいい。

54.「エルミタージュ幻想」 5/31、シネ・ウインド。 評価★★★ ロシア帝政時代、サンクト・ペテルブルクの王宮で、現在は美術館になっているエルミタージュを舞台に、19世紀の王侯の生活などをソクーロフが映画にした作品。 といってもそこはソクーロフ、普通の記録映画や再現ものにはなっておらず、文字どおり 「幻想」 的な作品になっている。 したがってお勉強のためではなく、「芸術」 を見るつもりで行かないと失望する映画ではある。 最後の舞踏会シーンでは、指揮者のワレリ・ゲルギエフが楽団と共に特別出演している。 

53.「ダブル・ビジョン」 5/29、WMC新潟。 評価★★ 台湾(香港とアメリカも協力)映画。 奇妙な連続殺人事件が起こり、地元の刑事 (レオン・カーファイ) とアメリカFBIから応援にやってきた捜査官 (デヴィッド・モース) が協力して捜査に当たるうち、道教の呪いが鍵となっていることが分かって・・・・・・というような、サスペンスともホラーとも付かない作品。 その中途半端さが、作品への満足度を低下させている。 どっちかにしてくれよ〜。

52.「アバウト・シュミット」 5/24、WMC新潟。 評価★☆ 保険会社を定年退職した男 (ジャック・ニコルソン) が、人生に張りを失い、おまけに妻に先立たれたあげく、唯一の肉親たる娘の結婚をやめさせようと決意して・・・・・・というようなお話。 実はコミカルな展開を予想して見に行ったのだが、存外真面目であり、したがって退屈である。 こういう老人映画って、私は嫌いですね。 若人の恋愛譚なら凡庸でも赦そうって気になるが (ただし女優が好みに合った場合に限る)、年寄りの寄る辺のなさを、喜劇仕立てにするならともかく、中途半端に真面目に描いちゃあいけません。

51.「WATARIDORI」 5/22、WMC新潟。 評価★★ フランス映画。 ご当地では大ヒットしたとか。 世界各地の渡り鳥を撮影してまとめている。 「映像としての自然」 は環境問題がやかましくなってきた昨今はやりではあるが、これもその一つ。 CGはいっさい使っていないというのも売り物らしい。 私としては、正直言ってあまり面白いと思わなかった。 NHKの 「自然のアルバム」 (私は最近テレビをほとんど見ないので、このタイトルのままなのかどうかも知らないが) なんかのほうが趣味に合う。 野生生物の生態を或る程度ナレーションで説明してほしいのだ。 この映画はそういう方面には配慮がなく、ただひたすら渡り鳥を写すだけなもので・・・・・・。 野鳥の会、なんかに入るようなタイプの人にはいいのかも。

50.「エニグマ」 5/20、Tジョイ新潟万代。 評価★★★☆ 英国映画。 第二次大戦中、ドイツ軍の暗号を解読していた英国のグループが、暗号コードの変化によってドイツ軍の動きがつかめなくなる危機に際会。 心を病んでリタイアしていた天才数学者が復帰するが、折りもおり、彼の元恋人が失踪してスパイの嫌疑が・・・・・。 俳優としては映画に何度か出ているミュージシャンのミック・ジャガーが、初めて映画プロデュースに乗り出したというので話題の作品。 謎解きやサスペンスとしての意外さなどでは普通の出来だが、進行が重厚で、米国映画とはひと味違ったヨーロッパ風味がふんだんに味わえるところが私好みである。 その意味では大人向けの作品で、映画ってこういう作り方をすべきなんだよな、とうなずきながら見ていました。 数学者役のダグレイ・スコットと、英国諜報部員役のジェレミー・ノーザムが特にいい味を出している。 ケイト・ウィンスレットなど女優も悪くはないが、男優でもっている作品という印象。

49.「ラスト・プレゼント」 5/16、シネ・ウインド。 評価★★★ 韓国映画。 売れないコメディアン (イ・ジョンジェ)である夫を支える気丈な妻 (イ・ヨンエ)。 いさかいが絶えないながらも心の底では愛し合う二人。 しかし妻は不治の病で余命幾ばくもなかった。 それを知った夫は、妻の思い出に残る人々と妻を再会させようとするのだが・・・・・・。 私としては、売れないコメディアンの悪戦苦闘をもう少し描いた方がよかったと思う。 妻の思い出探しのほうは、どんでん返しがあるのだが、割りにミエミエだったりするので・・・・・・。 それにしてもイ・ヨンエって、私の同僚の女性教官 (中国文学) に似てるんだなあ。  

48.「あずみ」 5/13、Tジョイ新潟万代。 評価★★★☆ 徳川家康が政権をとりかけたころ、豊臣方の要人を狙う刺客として育てられた美少女剣士 (上戸彩) がバッタバッタと敵をなぎ倒す時代劇。 盲目的な自分の使命と若さ故の情感との板挟みになるあたりもそれなりに描かれていて、単なる活劇に終わっていないところがいいんじゃないかと思う。 ただ、最後に加藤清正を倒すところは、どうやって敵方の船にたどり着いたのかちゃんと描写して欲しい。 それと清正役が竹中直人なんだが、どうもこの人は見飽きたというか、個性が強すぎるのでどういう役で出てきても同じに見えてしまう。 一考して欲しい。 上戸彩は山口百恵風という評価もあるようだが、眉と目は似てると思うけど、鼻と口は百恵の独特の色気に及ばないんじゃないか。 でも一度戦士をやめようと決心して娘風の着物を着て、荒くれ武者に犯されそうになるところではなかなか色っぽかった。 ついでに美女丸役のオダギリジョー、印象的で二重マルである。 

47.「名探偵コナン――迷宮の十字路」 5/4、UCI新潟。 評価★★★ 連休に子供を連れて見に行ってみた。 京都を舞台に、地名を絡めた謎解きが展開される。 謎の提示や展開が無論縦糸だが、会えない人間への愛情が横糸になって織り込まれているのがミソか。 謎解きの鍵はやや専門的な知識に頼りすぎているが、まあ値段相応に楽しめる作品だと思う。

46.「ディナーラッシュ」 5/2、シネ・ウインド。 評価★★★ アメリカ映画。 レストランを舞台に、コックやウェイトレスの関係、経営者の父とコックの息子の対立、様々な客の人間模様などなどを描いている。 経営者の知り合いで、店の経営を乗っ取ろうとするギャングも来店しており、これが作品に緊張感を生み出している。 そして意外なラスト・・・・・。 派手さはないが、一見に価する味のある映画だ。

45.「シカゴ」 5/1、WMC新潟。 評価★★★ アカデミー賞受賞のミュージカル映画。 私はミュージカルはあまり好きではないもので、この映画を評価するのにふさわしい人間ではないかも知れない。 筋書きと舞台仕立ての交錯が巧みで、まあまあかなとは思ったが、主演の3人は、キャサリン・ゼタ=ジョーンズを除くとイマイチの感。 レニー・ゼルウィガーは、私には並みの容姿でひどく凡庸に見える。 弁護士役のリチャード・ギアにしても、もう少し油ぎった男優のほうが感じが出るのじゃないかしらん。

44.「歓楽通り」 4/28、UCI新潟。 評価★★★ フランス映画。 娼婦の息子として生まれ娼館で一生を過ごした男の視点を通して、若い娼婦がロクデナシの男に惚れてやがて彼とともにギャングに殺されるまでを、簡潔な点描画のように描いている。 どことなく昔風の映画であり、上映時間も90分程度と短めでクドくないところが悪くないけれど、娼館の描写などはもう少しあったほうがいいんじゃないかと思いました。 ヒロインのレテイシア・カスタは、市井の幸せに憧れながらつかみ損ねる娼婦を、独特の美貌で演じていて、ワタシ好みであります。

43.「チベットの女――イシの生涯」 4/26、シネ・ウインド。 評価★★★☆ チベットを舞台とした中国映画。 チベット人女性イシの生涯を、三人の男たち――彼女を略奪して妻とした夫、彼女を妾にした地主の若旦那、幼なじみだった僧侶――とのからみで描いている。 チベットにもインターネットカフェがあるなど現代風俗描写もあるけれど、あくまで物語風に女の一生をたどる作品で、悪くない後味を残す。 登場人物たちは日本人と言っても通用するくらい我々と似ているが、美形揃いで、最近の日本人から失われてしまった何かを感じてしまう。

42.「ボウリング・フォー・コロンバイン」 4/16、UCI新潟。 評価★★★☆ 銃社会アメリカ。 銃による年間殺人数も、先進国中では圧倒的に多い。 その病理をえぐったドキュメンタリー風の映画。 アメリカで銃による殺人が多いのは銃が普及しているという理由一つで説明がつくのかと思っていたが、そうではないらしい。 カナダも銃普及率はかなり高く、ピストルや弾薬が簡単に買えるのだが、殺人数は非常に少ないという。 また、カナダの人たちは一般にドアに鍵を掛けずにおくという。 ここらへんが隣国アメリカとの根底的な違いということらしい。 アメリカ銃協会の重鎮である某俳優のかたくなな銃擁護の姿勢が、印象的だ。 また、作品冒頭、銀行に口座を開くとオマケに(!)銃がもらえるという、ウソみたいな実話が出てくるのが、笑える。

41.「裸足の1500マイル」 4/12、WMC新潟。 評価★★★☆ オーストラリア映画。 20世紀初頭、アボリジニ(原住民)と白人の混血児を隔離して教育する政策がオーストラリアではとられていた。 そのために母親から無理矢理引き離された混血児3人が、施設から脱走し、2400キロもの距離を歩き通して母親のもとに帰ろうとする物語。かつての白豪主義時代に白人たちがなした 「善行」 やキリスト教会関係者による 「教育」 は、今から見ると偏見丸出しだが、それがヘンに誇張されずに淡々として描かれているところがいい。 ラストは涙なしでは見られない。 土曜の昼に見に行ったのだが、老若男女20人弱の観客が集まっていた。 この手の地味な映画が新潟でも上映されたことを評価したい。

40.「刑務所の中」 4/11、シネ・ウインド。 評価★★★ 花輪和一の体験本の映画化。 タイトルどおり、銃剣等不法所持で懲役刑を食らった主人公 (山崎努) が、刑務所の中でどんな暮らしをしたかを描いた作品。 刑務所内の生活を体験した人はさほど多くない (ワタシも体験していない) はずだから、興味本位で見ても退屈はしない。 ただし、それ以上の何かがあるかというと、何もないように思いました。

39の付け足し。 ようやくと言うべきか、Tジョイでもサービス券制度を導入した。 1年間有効で、6回見ると平日1本無料となる。 これまではどうしても見たい映画なのに他館ではやっていないという場合にしかTジョイには行かなかったが、もう少し頻繁に通うことにしよう。

39.「わたしのグランパ」 4/8、Tジョイ新潟万代。 評価★★☆ 中学生の少女 (石原さとみ) と、刑務所帰りの祖父 (菅原文太) の物語。 せっかく風格のある菅原が出ているのだから、もう少し破天荒の暴れ方をさせたらどうかなと思う。 面白くなりそうなのに、イマイチ展開が不十分なのだ。 最後に石原が誘拐されるところも、アクションでの解決を期待したいところだが、あっけない幕切れで物足りない。

38.「ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔」 4/7、UCI新潟。 評価★★★ ファンタジー超大作の第二部。 第一部と同様、高校生の息子に付き合って見に行ってみた。 最後の戦闘シーンとダム決壊シーンはまあまあ迫力があって面白い。 でもCGに慣れてしまうと、本当の驚きとか新鮮さとかはないよね。

37.「スパイダー 少年は蜘蛛にキスをする」 4/5、WMC新潟。 評価★☆ クローネンバーグ監督の最新作ということで話題の映画だが、内容が希薄で、期待はずれでした。 それだけ。

36.「イブ」 4/1、東京都写真美術館(恵比寿)。 評価★★☆ カナダ映画。 美しい自然の中で目覚めた若い娘が、様々な風景の中をさまよい歩き、やがてパートナーの男とめぐり会うというストーリー。 会話は一切なく、美しい自然描写と、その自然が娘の肉体と二重写しになるあたりが、象徴的ながらエロティック。 自然美と昇華されたエロス、が売り物の作品。 ただ音楽がうるさく、もう少し控えめに使えなかったのかなと思う。 また、自然美と女性の肉体という発想自体はさほど新奇ではないから、ある意味では陳腐と見られなくもない。

35.「卒業」 4/1、シャンテ・シネ(日比谷)。 評価★★ 内山理名主演のアイドル映画 (なんだろうな)。 ヒロインが、かつて母と別れた冴えない大学教師の父 (堤真一) を探し当てて、その授業に出、父と近づきになり、父がずっと自分への仕送りを欠かさなかったことを知る、というようなお話。 しかし、どうにもいい加減な作品である。 まず、父・堤真一が学生に人気薄のため大学をクビになるという設定に驚嘆。 いくら人気がないからって、それだけの理由で非常勤じゃない専任教員 (41歳で専任講師のままだから、ぱっとしないのは分かるけど) をこんなに簡単にクビにできる大学があるのだろうか!? また、その授業ぶりにしても、黒板に向かってぼそぼそしゃべるというような有様で、その他諸々のダメさ加減を見ても、いくらなんでもこんなにトロい大学教師がいますかいな、と言いたくなっちゃうのだ。 リアリティのかけらもない。 それと、内山理名は自分が娘だということを隠して堤真一とデートしたりするわけだが、こういう風に女子学生から積極的に出られたら中年大学教師のほうだってその気になって、ホテルに行こう、てな話になりそうなのに、全然そうならないのはきわめて不自然。 つまり、女の子の勝手な思い込み (自分の正体を隠して父に接近しても、相手はあくまで紳士的に対応してくれるという) に合わせる形でストーリーが展開しているから、全然説得力がないんだなあ。 ついでながら、内山理名は造型がさほどではないから、アイドルとしては長持ちしないような気がしました。

34.「blue」 3/28、シネ・ウインド。 評価★★★ 魚喃(なななん)キリコのマンガを安藤尋監督が映画化した作品。 女子高校生同士の同性愛的な交友を描いている。 舞台が新潟市なので、全国に先駆けて新潟で公開されている。 第24回モスクワ国際映画祭で主演の市川実日子 (みかこ) が女優賞をとったというのでも話題。 作品としての出来は、まあ普通かなと思いました。 それにしても市川実日子って、昨年の 「とらばいゆ」 でも見たけれど、改めてこの作品でよくよく顔を観察すると、眉が濃いし鼻筋も太く、造作がボーイッシュというのを越えて男顔ですね。 それと新潟の風景が出てくるわけだが、驚いたことに拙宅のすぐ近くの某所も主人公が通う女子校のバス停がある場所に使われていて (実際には、バス停はあるけど学校なんかは存在しないところ)、はあ、映画はこういう風にイメージのつぎはぎで出来ていくんだなあ、と思い知らされたことでした。   

33.「青の炎」 3/26、UCI新潟。 評価★★★★ 蜷川幸雄監督作品。 蜷川は演劇では有名だが、映画監督としてはこれが3作目で20年ぶりだそうな。 高校生の少年 (二宮和也) は、母 (秋吉久美子) および妹 (鈴木杏) と平穏な暮らしをしていたが、母のかつての再婚相手 (山本寛斎) が家に居着いてしまったところから殺意を抱くようになる。 首尾良く殺人を履行し、警察の捜査も切り抜けたものの、不登校の同級生に犯行を知られ、再度の殺人を計画する・・・・・。 昔、「青春の殺人者」 というタイトルの映画があったが、このタイトルを付けたくなる作品だ。 少年のアナーキーな殺意がたくみに描かれている。 高校生が世界に対して抱く拒絶感が、かつての義父という格好の対象を見つけて具体化していく様子や、少年の心情に感応する同級生の女の子 (松浦亜弥) の周囲をにらみつけるような眼差しが印象的。 (より現代的に作るなら、少年のアモルフな殺意が見知らぬ人間に向けられるような、一種ストーカー殺人或いは通り魔殺人のストーリーが考えられるが、私はむしろ世界に対する敵意が具体的な人間や対象物に向けられる物語を好む。) 刑事役の中村梅雀が、一見ぼけていて実は鋭いという役どころを巧みにこなしているのもいい。 妹役の鈴木杏は蜷川監督じきじきのご指名だったそうだが、「妹」 というコトバの具現のようでチャーミングそのもの。 以前、「ヒマラヤ杉にふる雪」 でその魅力にイカれた私だが、蜷川監督もそうだったと知り、うれしくなっちゃいました。 ・・・・・・が、ハリウッドのエンターテインメントではないのに新潟市では3館上映ということもあってか、夜7時の回に行き開始5分前に入ったら、誰も観客がいない。 愕然としたが、予告編開始直前に高校生らしい女の子が二人連れでやってきて、予告編の間にもさらに二人連れ一組と一人が加わった。 それでも私を含めて6人。 私以外は女子高校生 (多分) ばっかり。 いまどきの男の子は、こういう趣向の映画なんか見ないんですか・・・・・。

32.「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」 3/24、UCI新潟。 評価★★☆ ハイティーンの少年が天才的詐欺師として機長や医師になりすまし、偽造手形を使いまくって、FBIをきりきりまいさせるというお話。 実話だそうだが、期待したほど面白くなかったというのが正直な感想。 作品のモデルになった詐欺師が監修しているのだが、ここが失敗の原因じゃないかと思う。 実話の面白さと映画の面白さは別物だから、映画は映画の論理で突き進むべきだったのである。 キャストは、ディカプリオの詐欺師はまあまあだけど、FBIのトム・ハンクスは味が薄い。

31.「青春の道」「Short Romantic Comedy」 3/22、P.PROJECTS。 評価★★ 福井出身の映画監督 (といってもアマチュア) である森川陽一郎と穴田行央によるビデオ映画。 前者は1時間弱の作品で、女子高校生の生活と感情を描いている。 福井の町の電車や映画館が雰囲気作りに有効に働いている。 ほめるほどではないが、クサすほどひどくもない。 ただし30分ほどの作品である後者は、評価★。 なんて言うのかな、小説だとかマンガと違って撮影をしたり道具立てを揃えるのに金がかかる映画の場合、アマチュアの作品っていうのはまず俳優のカオだとか舞台の凡庸さだとかですでにプロの作品とはっきり雰囲気が違ってしまうんですよね。 この作品でも、もちっとましな女の子を探せなかったのかよ、と言いたくなっちゃう。 後半、ちょい役で出てきたヒロインの友人のほうがまだしも美人だったぞえ。 話自体もどうってことないシロモノだしね。 入場料金600円だったけど、「青春の道」 はまあそのくらいの価値はあるが、「Short・・・」 のほうはタダで沢山。 なお上映前に森川監督の舞台挨拶があり、また森川の7分ほどの小品 「慕情」 もオマケに上映された。

30.「CQ」 3/18、シネ・ウインド。 評価★★ フランシス・コッポラの息子ローマン・コッポラによる映画。 1969年のパリを舞台に、B級美人スパイ映画の監督に抜擢された青年の私生活と、映画でヒロインを演じる女優への感情とを描いている。 実は予告編を見て期待していたのとはちょっと違った作品だった。 私としては、映画内映画であるB級美人スパイ映画がもっと十分描写されて、そのヒロインと監督に抜擢された青年との交流が同時進行し、映画と実生活との境目が曖昧になっていくような展開を期待していたのだけれど。 そうした側面もあるとはいえ、量的に物足りないのである。 ローマン・コッポラのつもりとしては、70年前後の風俗をレトロ趣味的に再現するというのが一つの眼目だったらしいのだが、作品そのものが散漫な感じで、成功しているとは思われない。  ヒロインのアンジェラ・リンドヴァルは、モデル出身で映画出演は初めてだそうだが、すごい美人であり、彼女を見るためだけにあるような映画かも。 蛇足ながら、ローマンの妹ソフィアも数年前映画を作ったが (「ヴァージン・スーサイズ」)、やはり駄作であった。 どうも親の七光りの悪影響は、日本の政界や芸能界ばかりでなく、アメリカの映画界をも蝕んでいるんじゃないか。

29.「呪怨」 3/17、UCI新潟。 評価★★ 奥菜恵や伊東美咲が出演しているホラー映画。 殺された人間の怨霊が住む家で連続して起こるおぞましい事件・・・・・・というような筋書きだけど、恐怖感の演出は効果音などに頼っている部分が多くて、本質的なコワサがないような気がする。 続編の制作決定という特報が最初に出てくるところを見るとそれなりにヒットしているのかも知れないが、ワタシとしてはイマイチでした。 それにしても、奥菜恵ってワタシの好みじゃないんだよなあ・・・・・。 

28.「ドラえもん――のび太とふしぎ風使い」「パーマン・ザ・ムービー2003」 3/16、UCI新潟。 評価★★☆ 子供を連れて見に行ったもの。 「ドラえもん」 も最近はマンネリで、特に前作はかなり手抜きが目立ち、そろそろおしまいかなあという気がしていたが、今回は前回よりマシである。 というより、前回がいくら何でもひどすぎたのであるが。 とはいえ、ドラえもんの道具の面白さを発揮するシーンが余りないとか、のび太と友だちになる風の子は邪悪な龍の3分身の一つだということになっているが、なぜこの分身だけ善玉なのかよく分からないとか、不満はそれなりにあるわけであります・・・・・・。

27.「戦場のピアニスト」 3/14、UCI新潟。 評価★★★ ロマン・ポランスキー監督作品。 カンヌ映画祭でパルムドールに輝いた。 ポーランドのユダヤ人ピアニストが、第二次大戦の開始によってナチスドイツに迫害され、殺されかけながらも逃亡し生き延びていくという物語。 2時間半ほどの長めの映画だが、退屈せずに見ることができる。 ただ、ナチスドイツによるユダヤ人迫害ものってのは他にもあるわけで――最近では 「太陽の雫」 など――、この作品の独自性がどこにあるのか、ということになると、イマイチよく分からない。 主人公のシュピールマンを演じるブロディは鼻が大きく高くて、往年の名ピアニスト・ホロヴィッツに似ている。 なお、作品の終盤で彼に食物や服を与える良心的なドイツ将校が 「シュピールマンとは、ピアニストらしい名前だ」 と言うシーンがあるが、シュピールマンとはドイツ語で演奏家の意味である。 

26.「007――ダイ・アナザー・デイ」 3/10、UCI新潟。 評価★★★★ 「007」 の最新作である。 今回は北朝鮮が悪の巣窟で、ボンドはそこに潜入したものの囚われの身となり・・・・・というような筋書き。 しかし後半の大活躍を含めて、エンターテインメントとして非常に良くできており、お金を払った分だけ、いや、それ以上に楽しめる作品となっている。 20作目だそうだけれど、毎回娯楽としての質を維持するのは結構たいへんだと思うわけで、このシリーズについてはその点をきちんと評価すべきであろう。 「チョコレート」 (私は未見) でアカデミー賞をとったハル・ベリーが魅力的な水着姿を見せてくれるのもうれしい。

25.「小さな中国のお針子」 3/5、WMC新潟。 評価★★★☆ 文化大革命期の中国、エリート大学生はエリートであるがゆえに批判され、肉体労働をするために山村などに追いやられた。 この映画は、そうした学生二人が揚子江上流の山村に放逐され、村人にこき使われながらも、禁書だった西洋小説の内容を面白おかしく村人に話して聞かせることで保身に成功し、なおかつ地元の愛らしいお針子と恋をする、という物語である。 毛沢東主義によってハイカルチャーが批判された時代、たぶん多数のエリート学生たちは実際にはもっと悲惨な生活を送ったのではないかと想像するが、そこは映画、悲惨さの描写はほどほどに押さえ、エリート学生と田舎者たちの交流がユーモラスに捉えられているところが悪くない。 その山村が、やがて巨大ダムによって水中に没してしまうという未来にも最後で触れられていて、懐古談的な趣きもある。 ・・・・・・以下は蛇足だが、低学力化を推進する文科省の方針どおり、サブカルしか知らない学生に媚びることで運営されている場所にいるワタシとしては、あくまでバルザックやフロベールなど西洋小説の価値を信じつつお針子に朗読して聞かせる主人公たちの姿が人ごととは思えませんでした。 案外、「エリート=悪、農民・労働者=すべて善」 という文化大革命の精神は、日本の文科省および団塊世代でサブカル乗りの大学教師に受け継がれているのかも知れない・・・・・・。

24.「クリスティーナの好きなコト」 3/3、UCI新潟。 評価★☆ 奔放に生きる若い (といっても20代も終わり近く) 女性・クリスティーナ (キャメロン・ディアス) が、真実の愛に目覚め、相手と結ばれるまでを描く、女の子の本音満載のコメディー・・・・・・というふれこみのハリウッド映画だが、面白くなかった。 ギャグが空回りしていて、笑えない。 失敗作でせう。 

23.「バンジージャンプをする」 3/2、新潟市民プラザ(にいがた国際映画祭)。 評価★★★★ 2001年の韓国映画。 (英文タイトル:Bungee Jumping of Their Own)。 監督はキム・デスン、脚本はコ・ウンニム。 この映画、日本では一般公開されなかった作品である。 にいがた国際映画祭において、フィルムを海外から借りてきて、画面の脇にスライドの字幕を映す、という方式で上映された。 従来、日本で配給済みの作品ばかりを上映してきたこの映画祭では、初めての試みである。 「大変良い作品なので」 あえてこういう方式で上映します、という映画祭スタッフの言葉が映画祭プログラムに印刷されていたので、上映は2回だけだったのだが、どんなものかなと思い観に行ってみたところ、これが傑作で嬉しい驚きに見舞われた。 
  国文科学生の青年が、同じ大学の美術科の女子学生に恋をし仲良くなる。 青年はやがて兵役に赴かねばならなくなる。 恋人は一緒に行くと言って駅で待ち合わせをしたのだが、なぜか現れない。 17年の時が流れて、青年は高校教師となり、別の女性を妻とし子供もできている。 ところが或る生徒に昔の恋人を感じるようになって・・・・というような話で、この生徒が女生徒ならまあそれほど意表をつく筋書きとは言えないのだけれど、これが男子生徒であるところがすごい。 一種のリインカネーションの物語で、前半も悪くはないものの、若い男女の恋物語自体は珍しくないから何となく観ていたのだが、後半の凡庸ならざる展開に途中から目が離せなくなった。 無論、筋書き自体が異様だというだけではない。 細かいところで前半と後半の思わぬつながりが見えてくるような巧みな構成がなされているのだ。 
  韓国国内では賞も受けている映画らしいが、なぜこれほどの傑作が日本で配給されなかったのか、不可解である。 日本の映画業者の目は節穴なのか!? 逆に言うなら、この映画を発掘してきたにいがた国際映画祭スタッフはさすが鑑識眼が高い、と絶賛したい気分である。 もしかしたら新潟での上映がきっかけでこの映画が全国展開されることになるかもしれない。 そうなったら、是非ご覧いただきたい。 

22の付け足し。 ワーナーマイカルに3月1日に映画を見に行った。 ここはサービス券 (ポイントカード) を数カ月おきに出している。 限られた期間内に映画を何本か見ると、平日に1本無料で見られるというもの。 この日は新しいサービス券が出始める日であった。 (それ以前のサービス券は2月末日までの期限だったので。) ところが、ロビーにはサービス券を出しますという看板は出ているものの、その脇の机には係員がいない。 映画のチケットを買ったときも、何も出てこない。 それでパンフやキャラクターグッズの売店で訊いたら、チケットを買う際に出してくれるはずです、とのこと。 仕方がないので改めて並んで (この日は映画サービスデーで、おまけに土曜だから、混んでいたのです)、ようやくサービス券を手に入れた。
  どうにも不親切である。 あたかもサービス券を出し渋っているかのような印象を与えるのは、よろしくないと思うが。 新しいサービス期間の初日なのだから、チケットを買う人には窓口で全員にもれなく配るくらいのことはしてほしい。
  実際、昔はそうしていたはずだ。 そもそも、ワーナーマイカル新潟ができたときは、4回見ると平日1回無料というサービス券が配布されたのである。 いわば大盤振る舞いというわけ。 その後はさすがに6回見て平日1回無料ということになったが、それでも最初はスタンプを2回押してくれる (1本見ると2本見たことにしてくれる) など、かなり客に対する奉仕精神が行き届いていた。 また、サービス券には使用者の住所と氏名を記すことになっているが、1度サービス券を使うと、次回のサービス期間には映画館で配るのとは別に郵送でサービス券が送られてきたりしたのである。
  ところが昨年秋に始まったサービス期間では、従来の6回ではなく、7回見てようやく平日1回無料ということになり、だんだん内容がセコくなってきた。 券が郵送されてくることもなくなった。 サービス券をもらうのに、いちいち別の用紙に氏名と住所を書かねばならなくなった。 手間は増えているのにサービスの内容は低下しているのである。
  シネコン3つが競合している新潟で、たくさん映画を見る人にこの種のサービスがあるというのは大事なことだと思う。 ユナイテッドシネマ新潟も独自のメンバーズカードを発行して客集めに懸命である。 それに対してTジョイ新潟万代はこの種のサービスがない。 駐車料金面で客集めに不利なのにサービスがないTジョイは、経営戦略がなっていないと言われても仕方がないのだ。
  しかし、上で述べてきたように、ワーナーマイカルもサービス面でユナイテッドに見劣りするようになりつつある。 ユナイテッドのメンバーズカードは1年間有効だし、期限が切れても半年以内に映画を見ればそれ以前のポイントも継続できるなど、好条件を用意している。 男性サービスデーも、ユナイテッドとTジョイにはあるが、ワーナーマイカルにはないのである。 このあたり、より一層のサービス向上による客層の開拓に努めて欲しいものだ。

22.「Mr.ディーズ」 3/1、WMC新潟。 評価★★★ 田舎町に住み、ピザハウスを経営している男 (アダム・サンドラー) が、メディア王であるニューヨークの億万長者の血縁だということで莫大な財産を相続する。 ニューヨークを訪れた田舎者の彼をめぐって、都会人である会社経営者やマスコミ関係者がさまざまな策謀をめぐらすコメディ。 最後はテレビ局の美人記者 (ウィノナ・ライダー) と結ばれて故郷に帰ることになるという、まあある種の定型というか、アメリカの田舎讃美・都会批判のドラマだけど、定型の強みでそれなりに面白い。 テニスプレイヤーとして一世を風靡したマッケンローが本人の役で出ているし、万引き事件で話題を呼んだウィノナがヒロインとして元気な姿を見せていて、最後近くでは女同士の戦いで跳び蹴りを披露してくれているのが何ともうれしい。 

21.「酔っぱらった馬の時間」 2/28、シネ・ウインド(にいがた国際映画祭)。 評価★★★ 2000年制作のイラン映画。 クルド人監督がクルド語で作ったほぼ初めての映画だそうである。 辺境で生きる貧しいクルド人の家族の様子を描いている。 子供や障害者が主人公だから、意地悪く言えば当たらないはずがないということにもなるが、こういう暮らしをしている人たちもいるということが映像を通じて生き生きと伝わってくる作品である。 なお平日ながら夜7時からということもあり会場は満員、補助椅子も出された。 私はいつも言っているのだが、ウインドは狭いから (定員86人) こういう映画祭には向かないと思う。

20.「八月のクリスマス」 2/26、シネ・ウインド(にいがた国際映画祭)。 評価★★★ 1998年の韓国映画。 ホ・ジノ監督作品。 私は当時東京の映画館で見たのだけれど、シム・ウナに再会したくてまた見に行ってみました。 なにせ、この作品で彼女を見そめてしまったわけですから。 それにホ・ジノ監督の作品としてはやはり 「春の日は過ぎゆく」 よりこちらのほうが上出来。 筋の展開が自然だし、何てったって、ヒロインがシム・ウナですからね。 イ・ヨンエとじゃあ、月とスッポンですよ (イ・ヨンエ・ファンの方々、ごめん!)。 シム・ウナは引退宣言をしており、もうスクリーンには戻らないという。 復帰を求めるファンが百万折り鶴運動を起こしたとか、ホ・ジノ監督の新作でカムバックするという噂があるとか、いろいろな情報が飛び交っている (こちらを参照)。 私も、「シム・ウナ、カム・バーック!!」 と叫びたい口であるが、しかしその一方で、伝説の女優として残るにはもう戻ってこない方がいいのでは、という気持ちもあって、複雑な心境なのだ。 うううぅぅぅぅ・・・・・。 

19.「モンスーン・ウェディング」 2/24、新潟市民プラザ(にいがた国際映画祭)。 評価★★ 2001年のインド映画。 テレビ局に勤める既婚のプロデューサーとフリン関係の若い女性が、アメリカに勤務するインド人青年と結婚することになるが、式の前日まで身の振り方に悩む、というお話。 インドでの結婚式にかかわる習俗が興味深いが、筋書きは、副次的に添えられているものを含めてありきたりで、筋の進行も何となくスマートさを欠き、あまり面白いという感じがしなかった。 ヒロインはとっても可愛いインド美人ですけど。

18.「ドリアン ドリアン」  2/24、新潟市民プラザ(にいがた国際映画祭)。 評価★☆ 2000年の香港(中国)映画だけど、香港の路地裏に棲息する子供の表情以外は、特に印象に残るところもなく、退屈至極な映画でした。 あくび。

17.「春の日は過ぎゆく」 2/22、新潟市民プラザ(にいがた国際映画祭)。 評価★★☆ 恒例の映画祭も第13回目になりました。 新潟の商業館には来なかったこの作品をまっさきに見に行ってみた。 「8月のクリスマス」 のホ・ジノ監督作品。 青年 (ユ・ジテ) が離婚歴のある年上の女性 (イ・ヨンエ) と恋愛するが、やがて振られるという話。 映像はよく考えられていて、最初はヒロインの赤いマフラーが印象的で、中途は青を効果的に使い、最後には黄色い草原で締めくくるという作り。 音楽もフランスのシャンソン 「プレジール・ダムール(愛の喜び)」 が用いられており、この曲はタイトルとは裏腹に愛の悲しみを歌った曲だから、まあ筋書きに合っているとは言える。 ただ、映画の進行は淡々としていて、それ自体はいいのだけれど、どうもヒロインの性格がよく分からない。 途中で青年を裏切るわけだが、それが束縛されない都会的な生き方をしたいという彼女の願望と青年の生きる背景 (彼が親族の中に生きていることは、描写から分かる) とのズレから来るのか、彼女が単なる気まぐれムセキニン女だったからなのか。 その辺はもう少し分かるように作ってくれないと、作品の説得力が弱いと言われても仕方がないと思う。

16.「アレックス」 2/18、Tジョイ新潟万代。 評価★★ 世界一の美女、とも言われるモニカ・ベルッチの強姦シーンで話題の映画。 私も多少のスケベ根性をもって見に行ったのだが、問題のシーンは暴力に主眼がおかれていて、エロティックではない。 ホモセクシュアルな男が背後からアナルを犯す、という倒錯的な設定ですからね。 そもそもこの映画自体が暴力をテーマとしており、映像の作り方も内容に呼応するかのように前半はかなり暴力的である。 シーンは時間をさかのぼって遡及的に並べられ、しだいに落ち着いた映像が多くなるのだが、「時はすべてを破壊する」 という、ギャスパー・ノエ監督がこの作品に付けたモットーが説得的に思えるような映画になっているかどうかは、疑問。

15.「13階段」 2/17、UCI新潟。 評価★★★☆ 傷害致死で懲役3年を食らって出所した若者 (反町隆史) がいる。 元刑務官 (山崎努) は、或る死刑囚の冤罪をはらす仕事を匿名の依頼人に頼まれ、若者を誘って調査に乗り出す。 やがて若者自身がその事件に関わっていたことが明らかになっていき・・・・・・。 作中、死刑の是非に関する議論が出てくるが、底が浅く余計な感じである。 推理ドラマとしては非常に良くできており、何気ないシーンが後半の伏線になっているなど、筋書きに工夫が凝らされているし、内気な若者役の反町と渋い元刑務官の山崎も好演しているだけに、惜しい気がした。

14.「ホワイト・オランダー」 2/17、UCI新潟。 評価★★★ 美しく、芸術的才能にも恵まれた母 (ミシェル・ファイファー) から抑圧されて育った娘 (アリソン・ローマン) が、母との葛藤の中で自分の生き方を見つけていくお話。 ・・・・というふれこみの映画だが、母は映画が始まってまもなく男を殺して刑務所入りとなってしまうので、さほど強い印象を残さない。 むしろ娘の自立過程を描いた物語だ。 母との関係や幼い頃の育ち方の秘密よりも、母が逮捕されたために里親や施設を転々とするなか、里親 (3組登場) とさまざまな関係を結ぶあたりが、見ていて興味深かった。 娘役を演じるアリソン・ローマンが、少しずつ大人になっていくナイーブな少女を好演。 彼女を見るためだけにでも一見の価値があろう。 

13.「火星のカノン」 2/13、シネ・ウインド。 評価★★★ チケット屋に勤める絹子 (久野真紀子) は、妻子ある中年男 (小日向文世) とのフリンから逃れられず苦しんでいる。 たまたま知り合った聖 (中村麻美) は彼女に同性愛的な感情を覚え、同じアパートの隣室に引っ越してくる。 奇妙な三角関係の中で絹子は・・・・・・・というようなお話。 久野がフリンに苦しみながら別れられないOLを演じて秀逸。 小日向も、久野と妻子の間で要領よく立ち回る中年男がサマになっている。 (一昨年は 「非・バランス」 でオカマを好演したが、今度は二股中年男がはまり役。 この人の演技力は相当なものですね。) 一方、中村はキレイだけど、久野に同性愛的感情を抱くという設定があんまりぴんとこないような。 しかし、全体として退屈しない、一見の価値のある映画である。 ・・・・・なのに、見に行ったときは私が唯一の観客でした。 新潟市民よ、もっと映画を見ませう!

12.「猟奇的な彼女」 2/12、WMC新潟。 評価★★★ 韓国映画。 当地では大ヒットしたとか。 内容からすると、「暴力的な彼女」 としたほうがいいような気もするけれど。 ちなみに香港では、「我的野蠻女友 (私の野蛮な女友達)」 という題名で公開されたそうで、こちらのほうがよく分かる。  タイトルはさておき、内容的には可愛い女の子 (チョン・ジヒョン) が暴力的に振る舞うからサマになるので、ブスが同じことやったら映画にならないよね。 最初はちょっとタルいなと思いながら見ていたのだけれど、意外に筋書きがよく考えられていて、最初の何気ないところに結末への伏線が隠されている。 尻上がりによくなってくる作品と言える。

11.「ストーカー」 2/10、UCI新潟。 評価★☆ 大型スーパーの写真現像部門に勤める孤独な老人 (ロビン・ウィリアムズ) は、幸せそうな家族がプリントを依頼してくる写真を収集している。 やがて彼は・・・・・・というような筋書きだが、面白くない。 私の見るところ、やり方は二つあったはず。 一つは、老人の一種ストーカー行為が平凡な家族を徐々に脅かしていき、ついには恐怖のどん底におとしいれるという、サスペンス風の展開。 もう一つは、あくまで純文学的に老人の孤独に焦点を当て、砂を噛むような日常と収集した家族写真とのギャップを浮き上がらせるという行き方。 ところがこの作品はそのいずれも中途半端であり、退屈な印象を残すだけとなってしまった。 基本となるアイデアは悪くないだけに、惜しまれる。

10のさらなる付け足し。 UCI新潟の2月8日から14日までの観客動員数で、「カリオストロの城」 は第3位に入った (UCI新潟のサイトによる)。 上映が3日間で上映回数も限られていたことを考慮すると、驚異的な順位と言えるだろう。 この種のリバイバルにはずみがつくかもしれないね。 ワタシとしては、「天空の城ラピュタ」 をぜひやってほしいのだけれど。

10の付け足し。 「カリオストロの城」 のあと、「CG&アニメーション・フィルム・フェスティヴァル」 (CAFF) で、一般から公募した短篇アニメ&CG作品が7編上映された。 時間は計30分。 あらかじめ配られた作品表で最も気に入った作品に印を付けて投票するという趣向である。 ワタシ的には4番目の座敷童子がよかったなあ。

10.「ルパン3世 カリオストロの城」 2/8、UCI新潟。 評価★★★★★ 宮崎駿の代表的アニメ映画が3日間だけスクリーンで上映されるというので見に行ってみました。 私は原則、映画はスクリーンでという主義だから、この作品を見るのは久しぶり。 こないだ (そして初めて) 見たのは、たしか 「超時空要塞マクロス」 と一緒に、今はなき新潟市東堀通の東宝で上映されたときだった。 「マクロス」 は84年作で、新潟での初公開だったような気がするから、84年か85年だろう。 なぜ79年作の 「ルパン3世」 を一緒にやったかというと、当時はまだ今ほどアニメ映画が市民権を得ていなかったので、2本立てで観客を呼ぼうとしたのだと思う。 しかし私にとってその時見た 「カリオストロの城」 は、アニメ映画の表現力を思い知らされたという意味で重要な作品となった。 今回改めて見てみると、出だしのあたりは案外テレビアニメ並みに大ざっぱだが、筋が進むにつれて画面の緻密さが増していくあたりが心憎いばかりだ。 筋書きの面白さは言うまでもなく、アニメ映画史上最も可憐なヒロインであるクラリスの魅力も素晴らしい。 上映会場はほぼ満員。 親子連れ、十代から三十代くらいまでのカップルなどが多く、ワタシは年齢的には上限(?)の感じでした、はい。

番外.「はるか、ノスタルジィ」 ビデオやテレビ放映の映画には触れない原則だが、例外として、先日テレビで放映された大林宣彦のこの映画に触れておきたい。 1992年作。 中年男向けのメルヒェンといった趣きの映画である。 少女小説で売れている中年作家 (勝野洋) が、高校生時代を過ごした小樽に久しぶりに旅し、そこで不思議な少女 (石田ひかり) に出会うところから物語は始まる。 石田ひかりが3代に渡る少女役を演じており、いわば永遠に少女的なるものを体現しているところがミソ。 オジサンのロリコン趣味を満足させるような筋書きで、また大林らしく洗練されない臆面のなさがあるが、石田の魅力 (最後に下着シーンあり) もあって2時間50分近い長さを退屈せずに見続けられる。 石田はこの前年の 「ふたり」 に続く大林映画登場だが、この監督の趣味にぴったりだったんだろうな。 私も石田はわりに好きな方なので、趣味的には分かります、はい。

9.「Jam Films」 2/3、UCI新潟。 評価★★★ 7人の日本人映画監督がそれぞれ15分程度の短編を作って (競作、というべきか) 並べた作品。 当然ながら監督により、作品により、面白みは異なる。 私は篠原哲雄の 「けん玉」、堤幸彦の 「HIJIKI」、岩井俊二の 「ARITA」 が面白かった。 一番つまらなかったのは、最初の北村龍平による 「the messenger」。 一番好みの女優は 「cold sleep」 の角田ともみ。

8.「トランスポーター」 2/1、WMC新潟。 評価★★★ かの大傑作 「レオン」 のリュック・ベッソンが脚本を書き、ルイ・レテリエが監督をした映画。 元軍人で今は運び屋を職業にしている男 (ジェイスン・ステイサム) が、ある時生身の若い女性 (スー・チー) を運んだことから命を狙われる羽目になり・・・・・というようなお話。 どこか 「レオン」 を思わせる話の筋書きだが、それなりに面白い。 ヒーローがぴかぴかのBMWに乗りモーツァルトのクラリネット協奏曲をかけつつ仕事に出かけるところなど、スタイリッシュ。 ヒロインのスー・チーも、香港出身だそうだが可愛らしく、アジア系から女優を選ぶならこのくらいのレベルでやってくれと下記の6に言いたくなる。

7.「メルシィ! 人生」 1/31、シネ・ウインド。 評価★★★ フランス映画。 かの傑作喜劇 「奇人たちの晩餐会」 のフランシス・ヴェベール監督作。 妻子とも別れた冴えないサラリーマンが会社をクビにされそうになり、越してきた隣人のアイデアで、ゲイを装った。 クビはゲイ差別だと反論できるから、ということだったが、やがて事態は意外な方向に・・・・・。 悪くない喜劇である。 げらげら笑えるというほどではないが、フランス映画らしいエスプリが随所に光っている。 主人公のダニエル・オートイユや、マッチョな同僚を演じるジェラール・ドパルデュー、ドパルデューをからかう同僚の (「奇人たちの晩餐会」 で好演した) ティエリー・レルミット、社長役にジャン・ロシュフォールなど、おなじみのフランス俳優が多数出演しているのも見もの。 それにしても、オートイユってノーベル賞の田中さんに似てるような気が・・・・・。

6.「カンパニー・マン」 1/26、UCI新潟。 評価★★ うだつの上がらないサラリーマンが産業スパイに雇われた。 しかしやがて謎の女が現れ、彼の勤務は二重スパイめいてくる。 彼を操る者の正体と真実はいかに・・・・・。 「CUBE」 のヴィンチェンゾ・ナタリ監督作だが、出来は前回よりかなり落ちる。 凡庸で、途中眠くなった。 加えて、ヒロインのナタリー・リューはアジア系だが、全然美人じゃない。 2年ほど前 「007」 でスパイ役の中国人女優がボンドガールとして登場したことがあった。 あのときもイマイチだと思ったものだが、今回はさらにヒドイ。 西洋人にはアジア系女性に対する美的感覚が欠如しているのかなあ。 中国系だけでもケリー・チャンとかマギー・チャンとか美人は色々いるはずだが・・・・・。

5.「黄泉がえり」 1/22、WMC新潟。 評価★★ 九州の或る地方で、死んだはずの人間が甦るという現象が立て続けに起こる。 地元出身で今は東京で厚生省官僚になっている草g剛が現地に飛び、かつての同級生で現在は地元役所勤務の竹内結子と協力して事態の解明に当たるが・・・・・。 予想していたのと違って、かなり 「ほのぼの劇」 である。 タイトルの「黄泉」から予想されるような陰鬱さやホラー臭はない。 厚生省官僚が主役だけど、厚生省推薦映画でも良さそうな健全すぎる内容で、物足りない。 死んだ人が甦る話としては、山田太一原作、大林宣彦監督、片岡鶴太郎 ・ 秋吉久美子主演で 「異人たちとの夏」 という映画が十数年前に作られているが、これに遠く及ばない。 

4.「ウォーク・トゥ・リメンバー」 1/17、UCI新潟。 評価★★★☆ 両親が離婚して母と二人暮らしの不良少年と、母を産褥でなくして牧師の父と二人暮らしの少女が、たまたま学校の舞台で共演したことから愛し合うようになり、少年はおのれの生き方を変えるべく努力し始めるが、少女は白血病のため余命わずかだった・・・・・。 というような筋書きで、この種の物語はキャスティングで成功不成功が左右されるものであるが、この映画に関しては成功と言えるだろう。 まず、牧師の娘でどこかズレていると周囲から見られている少女ジェイミーを演じるマンディ・ムーアが素晴らしい。 決して 「絵に描いたような美形」 ではないが、地味ながら素朴な愛らしさで、それでいて舞台のシーンでは一瞬驚くほどの美しさを垣間見させてくれる。 白血病で死ぬという、いわば大時代的な設定がいささかも不自然に思えない。 アメリカにもこういう女の子がいたんだなあ、と感動してしまった。 一方の不良少年ランドンを演じるシェーン・ウエストも不敵な面構えで存在感がある。 筋書きや脇役はややパターン化されている感じもするが、主演二人の魅力で水準を超えたラブ・ストーリーになりおおせている。

3.「T.R.Y.」 1/14、Tジョイ新潟万代。 評価★★★ 清朝末期、革命を志す中国人に協力して日本軍から武器をだましとろうとする日本人詐欺師 (織田裕二) のお話。 中国でロケを敢行、中国人や韓国人の俳優も参加している。 まあまあ面白いか。 上海の市電だとか、日本の軍学校だとか、当時の風俗もうまく再現されているようだ。 最後の機関車激突シーンも迫力がある。 ただ、織田裕二は個人的には余り好きではない。 それも無軌道な青春といった役柄ならともかく、詐欺師という、インテリジェンスを必要とする役にはどうも合わない気がする。 むしろ陸軍中将役の渡辺謙が、威圧感ある日本軍人の雰囲気をうまく出していて、買いである。 

2.「運命の女」 1/13、UCI新潟。 評価★★★ 社長である夫 (リチャード・ギア) 、小学生の息子と3人で郊外の瀟洒な邸宅に住み何不自由ない暮らしをしている人妻 (ダイアン・レイン) が、ふとしたことから知り合った青年とフリンの関係になる話。 妻の不貞を知った夫は青年のアパートに押しかけて・・・・・・。 とりたててどうってことのない話ではあるが、中年ながら美しく、貞節そうでありながらフリンに走ってしまう人妻を演じるレインがなかなか魅力的だ。 彼女をスクリーンで見たのは久しぶりのような気がするが、こういう役どころにぴったりですね。 彼女の大胆な演技に敬意を表して★3つ。 1に続けて見たんだけど、1より狭いスペースなのに入りは全席の半分くらい。 大人向けの映画ってやっぱり入りが悪いのかなあ。 なお原題は"unfaithful"だから、不貞とかフリンということですね。 

1.「ゴースト・シップ」 1/13、UCI新潟。 評価★★ 別段意味があってのことではないが、2003年最初の映画はホラーとなった。 1962年に行方不明となった豪華客船が突然ベーリング海峡付近に現れる。 船舶処理業の強者たちが探索してみると金塊が隠されていた。 しかしこの船には過去のいきさつから超常現象が・・・・・・。 というような筋書きなんだけど、話の辻褄があんまりあっていなくて――まあ、ホラーだから辻褄もクソもないんだけどネ――、怖さもさほどではなく、イマイチでした。 しかし祝日で男性サービスデーということもあり、館内の空席はゼロに近かった。

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