2000年度に私が受け持つ授業を紹介します。
目次: 新潟大学 第T期 (1)教養科目 (2)人文学部向け (3)大学院人文科学研究科
新潟大学 第U期 (1)教養科目 (2)人文学部向け (3)大学院人文科学研究科
敬和学園大学
20世紀ドイツ文学を代表する作家トーマス・マンの著名な短篇小説2篇を読みながら、20世紀前半のドイツ文芸思潮、小説という装置の様相、近代的市民の思考法、「芸術家」の存在と意識、現代日本(人)との接点など、様々な問題を考えていきます。
出席はとりませんが、授業中の私語2回で聴講許可取り消しとします。ドイツ語を履修している必要はありません。
評価は、2回のレポートによります。
使用テクスト: トーマス・マン『トニオ・クレーゲル、ヴェニスに死す』(新潮文庫)
ドイツ語の初歩を勉強する授業です。評価は、ペーパーテスト(半年で2回を予定)と平常点によります。
使用テクスト: 西本美彦・他『ニューシステム14―新装版』(同学社)
辞書は、授業で紹介しますので、それまでは買わないで下さい。
テーマ: 差別される日本(人)
近年、日本が経済大国などと言われるようになって、日本(人)が差別を受けているという問題より、日本(人)が外国人、特にアジアなどの後進地域の人たちを差別していないかという問題がよく取り上げられるようになりました。しかし日本(人)が特に欧米人・欧米マスコミから差別的な扱いを受けていないかどうかは一考を要するテーマです。この授業では下記の本を読みながら、日本(人)に対する欧米の視線が持つ問題点について過去から現代にわたって考えていきたいと思います。
授業は、下記の本を全員で読み、レポーターに要約と問題提起をしてもらい、それを受けて他の受講者が意見を述べるという形で授業を進めます。ですから、受講者は毎回決められた分量を必ず読んでくることが求められます。
成績評価は、出席、レポーターとしての有能さ、意見を述べた回数と内容、そして最終レポートによります。授業中意見を述べない人は、可か不可の評価しか望めないものと覚悟して下さい。
使用テクスト ・ハインツ・ゴルヴィツァー『黄禍論とは何か』(草思社)1900円・会田雄次『アーロン収容所』(中公新書)700円
・渡辺幸一『イエロー 差別される日本人』(栄光出版社)1500円
テーマ: 文学と音楽(2)
昨年度の続編です。クラシック音楽が文学(文学的評論を含む)でどう扱われているかを勉強し、文学と音楽の基礎知識を修得することを目標にします。
昨年度講義概要に挙げながら時間不足で触れることができなかった福永武彦、E・シュタイガー、ホフマンを初め、吉田秀和(昨年扱ったのとは別のエッセイ)やヘッセなどを取り上げる予定です。テクストを読みながら、取り上げられている音楽、関連する音楽を聴いていきます。受講者の数にもよりますが、授業中に小課題を与えるかもしれません。成績は、出席及び最終レポートによります。小課題を出した場合はその出来具合も含めて評価します。
授業中使う文献は、すべてプリントして配布します。この授業では、明治以降における日本の知識人について勉強します。現代日本の思想状況を把握するには、近代の知識社会と知識人のあり方に関して一度は徹底的に考えておく必要があります。下記教科書によって山路愛山や北村透谷から吉本隆明や司馬遼太郎まで、様々な知識人の思想を検討し、必要に応じてプリントなどで彼らの著作を読みながら、この問題に関する認識を深めていく予定です。
成績は、出席、授業中の調査や報告、レポート等により総合的に評価します。
使用テクスト ・坂本多加雄『知識人』(読売新聞社) ・高澤秀次『戦後知識人の系譜』(秀明出版会)
テーマ: ドイツ知識人の研究
第一次大戦、ヴァイマル共和国、ヒトラー政権とめまぐるしい政治的変遷を遂げた時代のドイツ知識人の様相を、文献講読により勉強していきます。参加者は専攻を問いませんが、文献(プリントします)はすべてドイツ語ですので、ドイツ語の読解力は必要です。
* * * * * * * * * *
後期半年間週2回の授業でひととおりドイツ語の基礎知識を身につけます。
評価はペーパーテスト(3回程度を予定)と平常点によります。
テクスト: 信岡資生『ドイツ語しよう、ドイツを知ろう』(三修社)
辞書は、授業で紹介しますので、それまでは買わないで下さい。
第T期Aの授業の続きです。
「弱者の記号学」をテーマとします。
近代は、「弱者」に対する「抑圧」を「差別」として批判し、「平等社会」を実現することを目指してきました。しかし近年、近代が想定してきた「弱者」がはたして固定的に成り立つのかどうか、疑問の声が上がってきました。障害者、被差別部落出身者、在日朝鮮人……等々の「弱者」について検討を加えつつ、私たちがものを考えたり様々なテクストを読む場合に前提になっている諸観念を改めて見直し、柔軟な批評意識を涵養することを目標とします。
授業では、下記の本を教科書として、関連する文献もプリント等で読みながら、この問題を検討していきます。なおこの授業は、受講者に課題を与えて発表してもらうなど、学生諸君にも積極的に参加してもらいながら進めます。黙って教師の話を聞いているだけの授業ではありませんので、そのつもりで。
成績は、出席、授業中の報告や発言、最終レポートなどで総合的に評価します。
テクスト: 小浜逸郎『「弱者」とはだれか』(PHP新書)
第T期Dで日本の知識人について勉強した後を受けて、『レーモン・アロン回想録』を読みながら、フランス及びヨーロッパ知識人のあり方について検討します。レーモン・アロンは20世紀フランスを代表する知識人で、サルトルなどコミュニズムに近づく西欧知識人が多かった中にあって、それに批判的な態度をとったことで知られています。20世紀思想の見取り図を修得しつつ、ヨーロッパにおける知的エリートの育てられ方などにも注意を払いたいと思います。
成績は、出席、授業中の調査や報告、レポート等により総合的に評価します。
テクスト: 『レーモン・アロン回想録』(全2巻、みすず書房)
第T期Eの授業を継続します。
非常勤講師として、新発田市の敬和学園大学にも週1日出講しています。
第二外国語としてドイツ語を学ぶ学生のための、基礎文法を修得する授業。
前期は昨年度の基礎文法の続きをやり、後期は読解力の養成をはかります。