音楽雑記2000年

1月15日(土) カミーノ古町の古レコード屋でCDを5枚買う。割り引きセール中で、1枚700〜900円と安い。たまたま最近、園まりの歌を聴きたいと思っていたのだが、CDがあった。 ミレイユ・マチューも2枚あったが、1枚は持っているので1枚だけ買う。あとはフォーレの室内楽集2枚組(2枚組で900円!)と、パールマンの弾いたブラームス・ヴァイオリンソナタ全集。園まりの歌は当方が小学生から中学生の頃流行していたもので、もともと色っぽい歌い方で売っていた人だが、今聴いてみると、しなの作り方など尋常ならざるものがある。現代ではいくら色気を出そうとしてもこうは歌えまい。不自然に感じられるからだ。時代の変遷は恐ろしい。

1月22日(土) BOOKOFF寺尾前通店に行ってみたら、ブルックナーの第2交響曲のCD(第4番と抱き合わせで2枚組だが、それで千円しない)があったので買ってみたが、拾い物だった。ブルックナーはこの頃から立派にブルックナーだったのだ。今までは第3番以降(ただし第6は除く)のディスクしかなかったのだが、認識を新たにした。

2月9日(水) 東京出張。秋葉原の石丸電気でシャミナード作曲「フルートとオーケストラのためのコンチェルティーノ」のCDを探すが、ない。少し前にFM放送でかかっていて、いい曲だなと思ったので新潟の石丸電気で探したけれどなかったもの。東京では絶対見つけようと思ってきたのだが。

2月10日(木) お茶の水のカザルス・ホールで相川麻里子のヴァイオリン・リサイタルを聴く。このホールは初めて。相川麻里子は、芸大在学中にパリ高等音楽院に留学して首席で卒業し芸大に復学して卒業したばかりの、若いヴァイオリニストだ。プロはブラームスのソナタ1番、三善晃の「ヴァイオリンのための『鏡』」、バルトークの無伴奏ソナタ、ラヴェルのソナタ。真ん中の2曲は初めて聴いた。最初、音が遠くから響いてくるような感じがしたのは、席(9列目の、舞台から見てやや左寄り)のせいか。或いは彼女の音質のせいか。途中の無伴奏の曲ではそういう感じがしなくなったが、ピアノ伴奏付きの4曲目に入ったらまた似た感じになった。細かいミスもないではないが、総じてきれいに弾けていた。でも迫力をもう少し出せるようにしないと。 

 客は6割程度の入りだったが、ブラームスの曲では楽章間ごとに拍手する奴が少なからずいたりして、意外に客のレベルが低いような気がした。どういう層が聴きに来ているんだろう。ピアニストも、余りに彼女をタテる動作が露骨で、かえって嫌みだ。隣席の中年男(当方も中年男だけど)の体臭も気になる。こういう演奏会に来ると聴衆の質や物音などでなかなか音楽に没頭できない。

2月11日(金) 東京出張最終日。銀座の山野楽器でシャミナードの曲が入ったCDを探すが、やはりない。CD日本盤カタログを見たら、オーケストラとのは出ておらず、かろうじてオケをピアノに編曲したゴールウェイのCDがあると分かったが、この店にはおいてない。その後新宿に行き、高島屋に入っているHMVで、ようやくお目当てのCDを見つけて購入。しかし2800円は高い。その後時間の余裕があったのでお茶の水の古CD屋に行って、メルカダンテの協奏曲集を買う。ずっと昔、この人のフルート協奏曲をFM放送で聴いて、センチメンタルな美しさに惹かれたことがあったのを思い出した。

2月15日(火) 旭町のまつやで、……(特に秘す)の裏例会。それに先だって、先日生協に注文して品切れで戻ってきた(2ヶ月前に出たばかりだというのに!)講談社文芸文庫を探しに萬松堂に行ったが、なかった。北光社にいたっては講談社文芸文庫を1冊もおいてない!(後記:この本は翌週、東京出張の折りに紀伊国屋書店新宿南店でようやく発見) まつやに向かう途中、多少時間があったので「クラシックのモーツァルト」に寄り、バルトークのヴァイオリンソナタ1・2番の入ったNAXOSのCDを買う。先日相川麻里子のリサイタルでバルトークの無伴奏ソナタを聴いたので、何となく買う気になった。ただし当方、バルトークの音楽にはあまり馴染めないものを感じている。

2月17日(木) ショーソンの弦楽四重奏曲を聴いてみようと思い立って石丸電気に行ったが、なかったので、代わりにマルチェッロの協奏曲集「チェトラ」ほか1枚を買う。

2月19日(土) 古町の古CD屋でチョン・キョン・ファの最近出たヴァイオリン小曲集を、カミーノ古町のタワーレコードでNAXOSから出ているバルトークの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ、及びショーソンの弦楽四重奏曲のCDを買う。

2月21日(月) 東京再出張。山野楽器でNAXOSから出ているメンデルスゾーンのピアノ四重奏曲全集(2枚)を買う。 付いている日本語のコピーがいい。「大金持ちで、スポーツマンで、天才音楽家だった許しがたい若者の素敵な作品」。 ピアノ四重奏曲3曲はメンデルスゾーンの作品番号1から3までを占めている。 

 実は昨日、FM放送の「吉田秀和・名曲の楽しみ」で、来週からメンデルスゾーンを取り上げますと言っていたのが記憶に残っていたためもある。 ただし吉田秀和に影響されただけではなく、最近自分でも多少メンデルスゾーンを聴いてみようかと思っていた。 吉田秀和は、「彼は音楽史的な位置が必ずしもはっきりしていないですよね」と言っていったが、確かにそうだ。

 メンデルスゾーンというと、誰でもヴァイオリン協奏曲や、イタリアやスコットランドと銘打たれた交響曲、無言歌など著名な作品数曲だけを聴いて、それでおしまいになってしまうのではなかろうか。当方もそうだったのだが、少し勉強しないと。 しかし次の日曜日は朝から仕事だから、吉田秀和の番組は聴けそうにない。昔はこういう場合はタイマー録音しても聴いたものだが、最近トシのせいか根性がなくなってきている。

2月26日(土) 紫竹のBOOKOFFでシャルパンティエ「テネブレの読誦」のCDを買う。どういう曲なのか全然知らないが、安かったので。シャルパンティエのCDは「真夜中のミサ」しか持っていなかったこともある。

2月27日(日) デューク・カルテットの演奏会に行く。芸文の演劇ホール。 前半はペルトの「スンマ」、パーセル「シャコンヌ」、ショスタコーヴィチの第8番。ショスタコがよかった。 後半はポピュラー系のメロディアスな小曲をくさんやるプロで、聴衆は断然こちらの方が沸いていたが、あまり感心しなかった。こういうプログラムを聴くためならわざわざ演奏会場に足を運んだりしない。

 吉田秀和が昨年11月の朝日新聞文化欄にW・フリッシュの言葉を引用しながら書いていたことを思い出した。 「〔19世紀ヨーロッパの〕聴衆は聴き手に強い精神的集中を求めるレパートリーになじみ、(…)それが彼らの人間形成の上で欠くことのできない要素となったことを理解し、そのことを喜んで誇りを持って受け入れるようになった。(…)音楽会に通うのがステータスになったのもこういう歴史的背景があってのことである。(…)今の日本に生きている私たちにとっての音楽会の意味は全く同じではあるまい。それでも、大勢の人が演奏会に行くのは純粋に聴覚的な楽しみを求めてだけではなく、何らかの精神的体験を期待しているからだろう。」

 ここで言っている「人間形成」とは、ドイツ語で言うBildungのことだ。この単語は普通、「教養」と訳されていて、日本語の「教養」には単なる知識の集積のようなニュアンスしかないが、もともとは人間として生きていく根本的な骨格を作り上げることを表現する言葉なのである。 しかし今日は「純粋に聴覚的な楽しみを求めて」いる人の方が断然多いような気がした。うーん。

 てなことを書くと、だからクラシックファンはお高くとまっていると言われる、などと批判されそうだ。当方も「聴覚的楽しみ」を否定しているわけではない。実際、自宅ではヴァイオリン小曲集のCDを好んで聴くのだが、これなどは「聴覚的楽しみ」そのものである。しかし演奏会にわざわざ足を運ぶのは、もう少し別次元の「体験」を期待しているからなのである。もっともこれも好きずきで、リチャード・クレイダーマンやポール・モーリアの生演奏を好む人だっているのだから、弦楽四重奏団に同様のことを期待して悪かろうはずはない、のかも知れない。

 それに、優秀な演奏家が数多く輩出している現代、レパートリーを広げないと演奏団体としても生き残れないという事情もあろう。「大衆化」は良くも悪くも進行中なのだ。第一、当方のような高収入とは言えない人間が演奏会に足を運べるのも、大衆化のお陰なのである。しかし、それでいいのか、という疑問は拭えない。アンコール・ピースにそういう曲をやるのは悪くないと思うのだが……。

 朝、仕事に出る前に、FMの「吉田秀和・名曲の楽しみ」を録音しておこうとタイマーをセットしたが、久しぶりのことで、帰宅してみたら見事留守録に失敗していた。原因はカセットデッキ側の入力レベルをうっかりゼロのままにしておいたこと。やれやれ。

2月29日(火) マルク=アンドレ・アムランのピアノ・リサイタルに行く。芸文のコンサートホール。最近話題のピアニストとあって満員かと思いきや、正面席はともかく、脇の方の席はがら空きだった。プログラムは、前半がベートーヴェンのロンド作品51−2とシューベルトのピアノソナタ変ロ長調D.960、後半はゴドフスキーのパッサカリア(シューベルトの未完成交響曲の主題によるパッサカリア、カデンツァとフーガ)とカプスティンのピアノソナタ第2番。

 後半のプロは何しろ初めて聴くものばかりだったので 「はあ、そうですか」でおしまい。 前半のメインであるシューベルトのソナタについてだけ少し書く。出だし、しばし沈黙が続いてこちらも緊張を強いられたし、音と並んでパウゼが重要な構成要素である第一楽章の緊迫感はすごかった。それでいて、ピアノという楽器の持つしゃれた感じというか、洗練性が無視されていない。 当方、この曲のディスクはリヒテルとシフの2種類しか持っていない。リヒテルの第一楽章の遅さは斯界でも有名だけれど、リヒテルの場合は沈黙がロシア的というか原初的というか、ピアニズムと離れたところにあるような印象だが、アムランはあくまでピアニズムを捨てずに沈黙を表現しているように聴きとれた。

 第一楽章の途中で携帯電話が鳴ったのが残念至極。皆さん、注意しましょうね。

 アンコールを5曲もやる大サーヴィスで、7時開始の演奏会は9時20分に終わった。これでS席3500円は安い。当方はNパックメイトになっているからさらに1割引。プログラムが千円もしなければ言うことなしなのだが。20年あまり前、まだ仙台に住んでいた頃、リヒテルの演奏会に行ったことがあるが、確かS席が8000円だった。20年前で、である。(20年前のお値段……、と言うと、何かみたいですね。)

 会場で、同じ講座のH見先生にお会いした(当方のすぐ前の席)。実は一昨日も、同じ講座のS木先生が至近距離におられた。新潟は狭いですね。これじゃ悪いこともできない。

 と言っても、昔、出張中に横浜で「フィガロの結婚」を見たら、当時教養部で、現在も人文学部で同僚のK部先生にお会いしたことがある。日本は狭い、のかも知れない。

3月5日(日) 朝、FM放送で吉田秀和の「名曲の楽しみ」を聴く。今日からメンデルスゾーン。先週聴き損ねたかと思ったが、よく考えると先週は月末だからふだんの続きものではなく、目新しいディスクを紹介する日だったのだ。メンデルスゾーンの合唱曲やオルガン曲があまりディスクになっていないという話には、へえと思う。

 昨日、旧教養部の教授4人を停年などで送る会が東映ホテルであったので、出席ついでに石丸電気に寄って、トスカニーニ+フィルハーモニア管によるブラームス交響曲全集のCD3枚組を買ってきた。最近評判なので買う気になったのだが、聴いてみると確かに引き締まって気迫もこもっている演奏だけれど、オケは技術的には意外にお粗末だ。それと実況録音なので聴衆の咳がすごい。マイクの指向性のためもあろうが、風邪がはやっていたんだろうか。第4番第3楽章ではものを叩くような変な音が三回にわたって入っているが、あれは何なのか?

3月7日(火) ユナイテッド・シネマに映画「ほんとうのジャクリーヌ・デュ・プレ」を見に行く。詳しくは「最新情報」欄を見られたし。

3月8日(水) 渡辺和(やわら、と発音。♂です)著の『クァルテットの名曲名演奏』(音楽之友社)を読む。 タイトルどおり、弦楽四重奏曲の名曲と名演奏を語った本。現代に近い曲には知らないものが多いし、弦楽四重奏はヴァイオリン2・ヴィオラ1・チェロ1の編成とは限らないことも初めて知った。 昔、故・大木正興の『室内楽の楽しみ』を読んだとき、弦楽四重奏曲に声楽をプラスしたものがあると知って驚いたが、世界は広く、例外も多いわけだ。 しかし現代曲に多くのページが割かれているのに比べて、フォーレの曲はちゃんと取り上げていなかったりするところには疑問も残る。

3月11日(土) 昼、寺尾前通の中華料理屋にエビ炒飯を食べに行く。以前住んでいた借家のすぐそばにある店だが、ここのエビ炒飯はなかなかうまいと思う。そのあと、店のすぐそばにあるBOOKOFF寺尾前通店に寄って、古本3冊に中古CD3枚を買う。CDはラローチャの弾いたモーツァルトの協奏曲25・27番、ウッチェリーニの曲集、D・スカルラッティのソナタをレオンハルトがチェンバロで弾いたもの。ウッチェリーニという作曲家は初めて知ったが、17世紀イタリアの人らしい。ラローチャは数年前FMで実況録音のブラームス第2協奏曲を聴いて、その第4楽章の素晴らしさに聞き惚れて以来、ひいきにしている。しかし怠惰なワタシのことで、彼女に同曲のCDがあるのかどうか、調べていない。

3月13日(月) 確定申告に行く。 確定申告というと、普通、年収2000万円以上の人が対象なので、当然ワタシも対象になる……なんてのはモチロン大嘘。 なるはずがないのであるが、非常勤で某私大に教えに行っているので、2箇所から給与を受けていると見なされて、たいした年収でもないのに確定申告をしなくてはならないのである。今年もウン万円とられた。けしからん。(ちなみに、5<ウン<10)

 なんでこういうことを「音楽雑記」に書くかというと、この日、女房も確定申告に行ったからである。自宅でピアノを教えていて、高校の非常勤ピアノ講師もやっているのだが、女房の場合、確定申告するとカネが戻ってくるそうである。ワタシはそういうおいしい経験をしたことが一度もない。かならずウン万円をふんだくられるのである。この国でいかに音楽関係自営業者が優遇されているか、いかにドイツ文学者・ドイツ語教師が迫害されているか、一目瞭然ではないか。(これで「音楽」とつながるでしょ)

 話は少しずれるが、先月東京に出張して銀座を歩いていたら、テレビ・カメラのインタビューにつかまって、「石原知事の銀行に対する新税をどう思われますか?」と訊かれた。 「いやー、いいんじゃないですか」なんて都民みたいな顔で答えておいた。ははは。

 その後、某サイトに、「銀行への新税は弱い者イジメ」と書かれているのを見て、あきれ果ててしまった。なんで銀行が弱い者なのか? 冗談も休み休みに言え。

 ワタシが新潟大に赴任して間もない頃だから20年近く前の話だが、生協書籍部で雑誌を立ち読みしていたら、見覚えのある顔が載っていた。大学時代同じサークルで過ごした先輩であった。先輩ではあるが1年留年したので、卒業年はワタシと同じである。文学部のワタシは大学院に進学し、法学部の先輩は某都銀に就職した。それから約6年、先輩とはまったくのご無沙汰であったが、雑誌はNY支店に勤務する先輩の談話を紹介しており、下には略歴に添えて「年収1000万円」と書かれていた。

 「1000万円!?」とワタシは驚いた。当時のワタシの年収は300万円だったからである。いくら何でも差がありすぎるんじゃないか、ワタシは強くそう思った。以後、このときの印象を忘れたことはない。したがって、銀行がいくら新税を課されようと、当然だとしか思えないのである。ははは。

3月15日(水) 音楽之友社から出ているヴォルプス著『メンデルスゾーン』を読了。概説書風だが、この作曲家に関する文献は乏しいので、それなりに役に立つ。しかし姉ファニーとの関係など、食い足りない部分も多い。それと、原著は74年に出ているらしいのだが、この訳書が出たのは99年である。25年もの開きがある。この間に研究も進捗したのではなかろうか? あちらではもう少しマシな文献も出ているのではないか? そういう疑問が消えずに残った。

3月22日(水) 午前中、車を1年点検に出す。夜、取りにいったついでに寺尾前通のBOOKOFFに寄り、古本2冊と古CD1枚を買う。CDはマーラーの第5交響曲。マゼール指揮ウィーン・フィルの演奏で、録音はいいがイマイチ満足しない。この曲、LP時代にはワルター+NYフィルのモノラル盤を聴いていて(当時はビンボーだったので、廉価盤を買ったのです)、その後CD時代になってからバーンスタイン+NYフィルのを購入したが、マーラーってもっと卑俗に演奏しないといけないんじゃないか。バーンスタインもマゼールも立派に演奏しすぎる。

3月29日(水) 夜、女房子供が都合で出かけていたので、FMのクラシック番組を居間で聴きながら (ふだんは夕食時は子供がTVを見ているので、FMは聴けない) ひとり夕食をとっていたら、モーツアルトのヴァイオリン協奏曲終盤で、突然 「地震情報をお知らせします」 というアナウンスが入り、音楽がとぎれてしまった。 聞くと、別段津波の心配もないというし、なんで音楽を中断してまでFM放送で知らせなければならないのか、わけが分からない。 TVと中波でやれ!! 

 たまたま今日の昼、当方と同じ講座で教えておられるS藤Y一先生のサイトをのぞいたら、TVドラマの最中に大したことないニュースが文字で流れるのがケシカランと怒りのエッセイをアップされていた。 しかしTVならまだしもである。文字が出ても、映像自体は残るのだから。 FMではニュースを流すと音楽が完全にとぎれてしまうのだ。 どうしてもというなら、ニュースを選んでやってくれ!!

4月3日(月) 一昨日から女房子供を連れて、老母の住む船橋に里帰り (船橋は私としては住んだことがないので、「里帰り」というのも妙だが)。 昨日は女房子供に付き合ってお台場に出かけたので、「今日は俺の日にする」と宣言して、高田馬場で古本をあさってから新宿でフランス映画を見る。

 古本屋街にある中古CD屋で古CDを4枚買った。いずれも千円前後。 古CDのくせに2千円もするやつがあるが、食指が動かない。 ちょうど探していたR・シュトラウス「ホルン協奏曲」のディスク、バウマンの盤があったので飛びつくようにして買う。あとは、モーツァルトのフルート四重奏曲集、ショパンとフランクのチェロ・ソナタ集(デュ・プレの演奏。フランクのは無論ヴァイオリン・ソナタの編曲)、バーバーのヴァイオリン協奏曲。

4月4日(火) 新潟に帰る。 夜、昨日買った古CDのうち3枚を聴いてみるが、モーツァルトのフルート四重奏曲集は意外な拾いものだった。 30年近く前の録音だが音もそう悪くない。 ドレスデン・カンマー・ゾリステンの演奏。

4月8日(土) またまた寺尾前通の中華料理屋にエビ炒飯を食べに行き、ついでにBOOKOFFで古CD2枚を買う。 スターン+バレンボイム+NYフィルによるベートーヴェンのV協と、ホグウッド+エンシェント室内管弦楽団によるモーツァルト初期交響曲集。 スターンのこの曲はバーンスタインとの共演のものをLP時代に愛聴したものだが、こちらの新盤(といっても20年以上前だが)はどうかと思ったら、旧盤とほとんど変わりがないのにびっくり。

4月17日(月) 今日からまた非常勤で月曜ごと敬和学園大学のある新発田市に通う。 行ったついでにBOOKOFF新発田店に寄って古CD4枚を買う。 そして新潟への帰り道途中、新潟駅近くの石丸電気によってCD2枚を買う。 

 夜、そのうちの2枚ほどを聴いてみたが、ハイフェッツの弾いたベートーヴェンとブラームスのヴァイオリン協奏曲集にはあきれ果ててしまった。 たしかにテクニックはすごいかも知れない。 でもこんなに猛スピードで弾く曲じゃないぜ。 パガニーニあたりなら速く弾くほどカッコいいかもしれないがね。 

 FMなどに登場する日本人ヴァイオリニストにはハイフェッツ信者が多いようだけど、ベートーヴェンやブラームスの協奏曲をちゃんと弾けない (テクニック的な意味じゃなく) ヴァイオリニストを尊敬するという輩の気が知れない。

 ハイフェッツはヴァイオリン弾きかも知れないが、音楽家じゃないね。 私はそう断言する。

4月20日(木) 月曜に買ったCDの中から、ブリテンのシンプル・シンフォニーを聴く。 この曲のディスクは初めて買ったが、割に面白い曲だ。

4月24日(月) また敬和に行ったついでに、BOOKOFF新発田店に寄り、古CDを4枚買う。 実は先週買おうかどうしようか迷ったのがあって、1週間考えた末に買う決心をして今日行ってみたのだが、誰かに買われてしまっていてすでになかった。 残念! でもこの店は、同じ名前の新潟市内にある店よりクラシックCDにいいものがおいてある。 ……てなことを書くと、ライバルに塩を贈るようなものでマズいかな……?

 夜、その中の一枚、クナッパーツブッシュによるライヴのブルックナー第8交響曲を聴いてみる。 第一楽章などずいぶん速いテンポだが、野人と言いたくなるような独特の魅力がある演奏であることは分かった。

5月1日(月) またまた敬和に行ったついでにBOOKOFF新発田店に寄って、古CD4枚を買う。 夜、そのうち2枚を聴いてみたが、カーゾンの独奏、クナッパーツブッシュ指揮ウィーン・フィルによるブラームスの第2ピアノ協奏曲、なかなかいい。クレンペラーのブルックナー第5交響曲も味があってアタリと言える。 

 BOOKOFFは基本的にCDは千円以下なのだけれど、なぜか少数千五百円なんてのもある。 そういうのは買う気がしないなあ。 それと、定価も安いNAXOSにまで千円近い値を付けたりしているのが、マニュアル店特有の弱点だ。

 というわけでここのところ毎週新発田で古CDを買っているが、今日、クラシック音楽の某サイトでCDを何枚持っているかという話題が出ていた。 ある人によると、CD千枚で中級なのだそうである。 ワタシは何枚あるかなと数えてみたが、500枚弱しかない。 他にLPレコードが300枚あるけど、これを足しても800枚にしかならない。 ということはワタシはまだ初心者のうち、ということであろう。

5月8日(月) 今日は、敬和からの帰り、竹尾のBOOKOFFに寄ってみる。 この支店は初めてだが、比較的最近できたものだと思う。 BOOKOFFのチラシに、竹尾支店と書いてあったので、そういうものがあるのかと竹尾インターで降りて適当に車で探してみたら、すぐに見つかった。

 で、古CDを2枚買う。 夜、そのうちの1枚、アーノンクールによるバッハの世俗カンタータ「今度のおいらの領主様」「コーヒー・カンタータ」のカップリングを聴く。俗っぼすぎず、とりすましすぎず、ちょうどいい感じの演奏だ。アーノンクールによるバッハの教会カンタータの演奏はややガクモン的すぎて面白味に欠けるような気がするのだが、世俗カンタータは少し違っているようだ。

 その後、所蔵CDの中からバッハの教会カンタータ198番「侯妃よ、さらに一条の光を」を聴く。 ロッチュ指揮・聖トーマス教会合唱団ほかの演奏。 この曲、バッハのカンタータの中でも特に気に入っている。

5月12日(金) 夕方、久しぶりに古町に映画を見に行ったついでに「クラシックのモーツァルト」に寄り、NAXOSから発売されたばかりのエルガー第3交響曲のCDを買う。 エルガー自身はスケッチだけ残して死んでしまい、ペインという学者が完成させたもの。

 夜、聴いてみたが、かなり聴きやすい曲だ。 エルガーが生きていたらこれほど分かりやすく書いたかな……という気がする。

5月15日(月) またまた敬和に行ったついでにBOOKOFF新発田店で古CD3枚を買う。 3枚で千六百円程度だからバカ安なんだけど。

 夜、カラヤンのライブによるブルックナー第四と第九の2枚組をさっそく聴いてみるが、ウィーン・フィルによる第九、意外に管にミスがあったりして、ウィーン・フィルの実力の程度が知れてしまう。 78年の演奏なんだけど。

 それに比べるとベルリン・フィルによる第四は安心して聴いていられる。 曲としては圧倒的に第九の方が好きなのだが……。

5月24日(水) 一昨日またまた敬和に行ったついでにBOOKOFF新発田店で古CD2枚を買ったのだが、すぐには聴けなくて、今日やっと聴くことができた。 ヒリヤード・アンサンブルによるラッスス作品集と、ベルリンSQによるベートーヴェンの弦楽四重奏曲第10・14番。

 実をいうと一カ月前、某所から論文を頼まれて、ひどく忙しくなっているのです。 このサイトの更新がやや疎になっているのはそのためです。 すみません。 秋まで我慢して下さい。……なんて言っても、読んでる人、いるかな?

 ラッススは正直言ってぴんとこない。 どうもルネッサンスの無伴奏声楽曲って、どれも同じように聞こえるんだなあ。 耳がルネッサンス音楽に慣れていないからだね。 レパートリーをバロックからルネッサンスに拡大しようと思って、若干CDを買ったりはしてるんだけど、もう一つ馴染めないままでいる。

 それに比べるとベートーヴェンの四重奏曲2曲はよかった。 ベルリンSQのディスクは初めて買ったが、いい演奏をする。 これが280円なのだから、バカ安の2乗というべきであろう。 もともとの定価が千円だからだろうが……。

 前にも書いたが、この店はNAXOSに千円程度の値を付けているのが玉にきずだ。 定価が安いことを知らないのだね。 何とか知らしめる手段はないものか。

5月30日(火) 昨日、敬和からの帰りにBOOKOFF竹尾店で、ヴォーン・ウィリアムスの交響曲第3・6番のCDを買って、2日がかりで聴く。 

 第3番は「田園」というタイトルが付いている。 その名の通り、牧歌的で聴きやすい曲だ。 NAXOXから出ている、Kees Bakels指揮のボーンマス交響楽団による演奏。 780円也。

 話は変わるが、同僚の先生のご子息が急性白血病で20歳にして亡くなられ、本日午前、告別式があった。 若い人の葬儀は、年寄りのとは違って何ともいえないやりきれない悲しさがある。 謹んでご冥福をお祈り申し上げます。 合掌。 

 ちなみにこの病気、私の学生時代にも、サークルの後輩だった女子学生の命を奪っている。 油断がならない病気のようだ。 正式には骨髄なんとかかんとかという病名だが、若い方は気を付けて下さい。 若くても病死というケースは結構あるものだから。

 本日は、オーディオ評論で名高い長岡鉄男氏、ブルーコメッツの一員として一世を風靡した井上忠夫氏の訃報もネットに流れた。 なんだか人が死ぬ時というのは、割にまとめて死ぬものだ。 再度、合掌。  

6月3日(土) 芸文の演劇ホールで、夜6時からアルディッティ弦楽四重奏団の演奏会を聴く。 ヤナーチェクの第1番「クロイツェル・ソナタ」、ルトスワフスキの弦楽四重奏曲、ケージの「4部分の弦楽四重奏曲」、クセナキスの「テトラス」。 アンコールがリゲティの四重奏曲から2曲。

 ヤナーチェク以外は全然なじみのないプロ。 そもそも現代曲はふだん聴かないので、たまにはこういう演奏会も悪くないかという気持ちで行ったのだが、うーん……。特にルトスワフスキとクセナキスは全然いいと思わなかった。 席は前から3列目のど真ん中という絶好の場所で、そのせいか第一ヴァイオリンの鼻息の音がよく聞こえた(笑)。 左後ろの席のオジサンが、カバンを持ち替えたり紙音をさせたり足を組み替えたりでうるさかったが、まあ現代音楽の競演をしていると思えば(笑)腹も立たない。

 定員約800人の会場の入りは……3分の1くらいかな。 ただ普通のクラシック演奏会と違い、若い人の比率が高かった。 彼らには面白いのだろうか。

6月9日(金) 昨日から東京出張。 すみだトリフォニー・ホールの井上道義指揮・新日本フィルの演奏会に行く。 曲目はマーラーの第9交響曲。 席は無論当日券で、A席6000円也。 1階の後ろから4列目、左寄り。

 実はこの曲を生で聴いたのは初めてだ。 地方都市に住んでいるとマーラーは、第一交響曲あたりはともかく、それ以外の曲はそうそう聴く機会がない。 私も、これまで1・2・6しか生で聴いたことがなかったし、2と6は東京出張を利用して演奏会に行ったのである。

 で、演奏だが、速い楽章がダイナミックで井上の特徴が出ていたように思う。 演奏者・聴衆ともに緊迫感にあふれた雰囲気の中で音楽が進行し、終了後は楽団員が退場するまで拍手が続いた。 来てよかったと思った。

6月13日(火) 東京出張の際買ってきたCDから、オイストラフ独奏・クリュイタンス指揮・フランス国立管弦楽団によるベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲を聴く。

 この演奏、名盤として名高いもので、私も学生時代友人に聴かせてもらったことがあるが、その時も今回も何か物足りない感じが残った。

 その理由はオケにある。 ヴァイオリン独奏に対してオケの音量が小さすぎるのだ。 だからオイストラフの独奏が素晴らしくても充足感に不足するのである。 この曲はパガニーニあたりの協奏曲と違ってオーケストラは付け足しではない。 だからオケの音量や演奏もそれなりに充実していないと聴き手を満足させられないのである。 その辺が分かってないんですね。 もっともこれは録音技師の責任なのかな?

6月14日(水) 昨夜に引き続き、東京で買ってきたCDから、ローラ・ボベスコの独奏によるヴィオッティのヴァイオリン協奏曲第22・23番を聴く。

 センチメンタルな、いかにも19世紀的な協奏曲だけど、こういう曲は好きだなあ。

6月15日(木) 夜、サラ・チャンのヴァイオリンリサイタルを聴きに行く。 りゅーとぴあ・コンサートホール。 ピアノはアントン・ネル。

 ドヴォルザークのロマンス、R・シュトラウスのソナタ、プロコフィエフのソナタ第2番、ラヴェルノツィガーヌというプロ。

 音が太く豊穣なのに驚く。 あとでロビーに使用楽器はガルネリだと書いてあったから、なるほどと思う。 前半と後半でドレスの色を変えるなどオシャレ。 しかし演奏途中で足を踏みならしたりして力も入っていた。 アンコールを3曲やって、終演後はサイン会もあるなど(当方もパンフにサインしてもらってきた)サービス満点。

6月26日(月) 敬和に非常勤をやりに行ったついでに、またBOOKOFF新発田店に寄り、「クララ・ハスキル: モーツァルト・ピアノ作品集」のCDを買う。7枚組、約7000円。 定価の半額。

 先月から店に出ていて、買おうかどうしようか迷っていたのだけれど、ついに買ってしまった。 ボーナスが近いから、と自分に言い訳しつつ、しかし今年のボーナス、去年より減るんだよなあ、という良心の声(??)もなきにしもあらず。 なぜ減るかって? 昨年度の人事院勧告で、夏のボーナスの支給率が0,15ヶ月分削られたからなのです、はい。 そうでなくとも私の場合、ボーナスは家のローンで半分持ってかれるもんで……。とほほほ。

 ハスキルがフリッチャイと入れたモノラルのピアノ協奏曲第19・27番はLPでも持っているのだが、ま、いいでしょう。 7枚あることだし、急がずゆっくり聴いていこう。

6月30日(金) 新潟大学管弦楽団のサマー・コンサートに行く。 夜7時開演。 りゅーとぴあ・コンサートホール。 河地良智指揮。

 デュカスの交響詩「魔法使いの弟子」、ビゼー「カルメン」より抜粋、サン=サーンス交響曲第三番オルガン付き、というオール・フランス・プロ。 カルメンは岩森美里、ホセは田大成、オルガンは吉田恵。

 1階の最後列右寄りで聴いた。 管楽器の面白さや、低音の迫力が十分に発揮された演奏だった。 望むらくは、弦の合奏能力の向上を。 特に弦だけで高音の旋律を歌うところなど、粗さが目立ってしまう。 頑張ろう。

 カルメンを歌った岩森さんの声の大きさにびっくりした。 あの体つきは伊達じゃない(?)。 

 それに比べて、サン=サーンスではオルガンの音が意外に目立たなかった。 ディスクなどで聴く場合とは違うのは分かるが……。 

7月5日(水) 教授会の間に、鈴木淳史『クラシック名盤ほめ殺し』(洋泉社新書)を読了。 暇つぶしにはいい。 まあ、クラシック音楽というのもかなり神話化された部分が多いから、当分こういう具合に脱神話化が進行するのだろう。

 先月末に石井宏『クラシック音楽意外史』(東京書籍)を読んだのだが、これも脱神話化の本とはいえ、非常にためになる。 クラシックのドイツ系中心主義を批判し、イタリアの重要性を説いたもの。 イタリア文化は、英米独仏に比べると大学に専攻がおかれていないところが多いし、日本の文化輸入のゆがみが問われるところだ。 わが新潟大も例外ではない。 英米独仏露の文化論専攻はあっても、イタリアはありませんからね。

 ただ、石井宏の本には疑問もある。 ベートーヴェンの交響曲第5番を「運命」と呼ぶのは日本だけ、と言っているのだが、そうかしら? 私の持っている、カルロス・クライバー指揮ウィーン・フィルのドイツ盤CDの解説には、およそ次のように書いてある。

 「シンドラーが冒頭の動機の意味を問うたところ、『運命はこういう風に扉を叩く』とベートーヴェンは答えた。この逸話は現在では信憑性が疑われているが、ベルリンの音楽評論家アドルフ・ベルンハルト・マルクスが1859年にこの話を根底にして曲目解釈を行って以来、この交響曲はおよそ1世紀の間この名称で呼ばれることとなった。」(Hans-Guenter Klein執筆)

7月7日(金) 新潟シネマに映画を見にいったついでに、ビルの4階に入っている古CD屋で2枚買う。 そのうちの一枚、チョー・リャン・リンのヴァイオリン小曲集を聴いてみる。 ファリヤの「スペイン民謡組曲」が入っているのが新鮮だが、演奏は飛び抜けていいとも思わない。 最近は若手の優秀な演奏家が多いから、よほど目立たないと埋もれてしまう恐れがあるのでは。

7月9日(日) 一昨日買った古CDのもう一枚、ヨッフム指揮ドレスデン国立管弦楽団によるブルックナーの第九を聴いてみる。 第2楽章の金管の音がすごい迫力。 これは一聴の価値ありですな。

7月14日(金) 西原稔『「楽聖」ベートーヴェンの誕生』(平凡社)を読む。 悪くない本なんですけど、こちらが知りたいと思うようなことが省略されているのが物足りない。

 例えば、ベートーヴェンほど数々のエピソードに彩られた作曲家はない、と始まるが、ではどういうエピソードがあるか、それがどのように変形されたり修正されたりしたか、なんてことは全然書いてないんですね。 その辺をちゃんと書くと説得性が上がって面白かったと思うんだが。

7月25日(火) 用事があって街に出たのだが、事情があって用事が果たせなかった。 それで、せっかく街に来たのだからと石丸電気に寄ってCD3枚を買う。

 その1枚、ウォルトンのヴィオラ協奏曲とブルッフのヴァイオリンとヴィオラのための協奏曲をカップリングしたディスクを聴く。 ウォルトンの協奏曲を聴くのは初めて。 聴き込むと面白くなっていきそうな予感のする曲だ。 ブルッフのはセンチメンタルで、19世紀的な曲ですね。聴きやすいと言えば聴きやすいけど。

7月29日(土) リュートピアに、バッハ・コレギウム・ジャパン(鈴木雅明指揮)によるバッハ・ヨハネ受難曲演奏会に行く。

 入りは、正面席はまあまあだが脇の方はがらがらだったから、半分くらいかな。 寂しいねえ。 この名曲が生で聴ける機会はそうそうないんだから、もっと沢山の人に来て欲しいものだが。

 ワタシの授業でもこの演奏会のことは宣伝しておいたのだが、先生の言うことをきいて来ていた人はいるかな? いたらメールを下さい。 ご褒美を上げますから(ホントだよ)。

 余計なことだが、普通演奏会は夜7時からなんだが、これは曲が長いので6時半からだった。 そのことは分かっていたはずなのに、体が覚えていなくて、出かけたのが6時5分前。 車をすっとばしてどうにか6時20分ころリュートピア近くに着いたのはいいが、何と、この日はJリーグの試合があったのだ! ということはどういうことかというと、演奏会場と陸上競技場は隣接しているので、駐車場がどこも満車だってことなのである。 マズイ!

 やむを得ず、こういう場合よくとめる某道路脇に不法駐車する。 幸い、駐車違反にはならなかった。 ま、警察も事情が分かってるんだと思うけど。

 閑話休題。 演奏会では、エヴァンゲリストのテノールと、アルト役を歌うカウンターテナーに感心した。

 エヴァンゲリストは、第2部途中のアリアでやや不安定になったほかは、非常な美声で表情豊かに歌いこんでいた。

 カウンターテナーにはひたすらびっくり。 男でもあんな高音が出せるんだなあ。 テノールもそうだけど、日本人男性に高音を歌ういい歌手がいないのはなぜだろうか。 やっぱり体の構造かなにかの違いなんだろうか。 そんな疑問を感じた一日でした。

 あと、終わってからブラボーを叫ぶ奴がいたが、受難曲にブラボーはやめて欲しい。 ワタシは別にクリスチャンでも何でもないけど、曲によって聴衆の感動の表現が異なるのは当然だと思うぜ。

8月5日(土) 約1カ月ぶりに映画を見たのだが、面白くなくてがっかりしたので、口直しに石丸電気に寄って、バッハ・マタイ受難曲のクレンペラーによるCDを買う。 今年はバッハ没後250年だということもあるし。

 夜、さっそく聴いてみたが、悠長迫らざる、という表現がぴったりの演奏だった。

8月15日(火) お盆に、船橋に住む老母のところに一家で出かけていたのだが、今日新潟に戻ってくる。 船橋のBOOKOFFでCDを1枚買ったので、さっそく聴いてみる。 バッハのヴァイオリン協奏曲集。 バレンボイムの指揮で、パールマンとズーカーマンが独奏を受け持っている。

 ところが、4曲入っている(普通、バッハのヴァイオリン協奏曲は3曲とされているが、これはBWV1056の、通常はチェンバロ協奏曲として知られている曲もヴァイオリン独奏で入っている)のだが、どれを誰が独奏しているか書いていない。

 私の推測では、BVW1042(第2番)がズーカーマン、BVW1056と1041(第1番)がパールマン、BWV1043(二つのヴァイオリンのための)は第1ヴァイオリンがパールマン、第2がズーカーマンかな、と思うのだが、どうだろうか。

8月19日(土) 新潟シネマに映画を見に行ったついでに、古町カミーノに入っているCD屋でナクソスから出ているブルックナーの第6交響曲を買う。

 それから古町の古CD屋に寄ったら、テレマンのマタイ受難曲(2枚組)とショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲全集(6枚組)があったので、思い切って買ってしまう。 この日、CDに9千円余りを支払ったわけだ。 人事院勧告でボーナスが0,2カ月分削られるということなのに、こういうことやってていいのだろうか。 悩んでしまう。

9月15日(金) 午後2時からりゅーとぴあで行われた新潟市ジュニアオーケストラ第19回演奏会に行く。 Aオケ・Bオケと2オケ分あって前半と後半で入れ替わる。 前半は、ゴセックのガボット、モーツァルトのドイツ舞曲第3曲「そり滑り」、ウッドハウスの「田舎のおどり」、シャブリエの狂詩曲「スペイン」、後半がドヴォルザークの交響曲第8番。 アンコールもあって、ドヴォルザークのスラブ舞曲と、エルガーの「威風堂々」。

 何でこのコンサートを聴きに行ったかというと、息子が出るからなのです、はい。 でもジュニアオーケストラと言うけど、団員の90パーセントは女の子なのだ。 もう少し男の子がいていいと思うが、男の子に年少の時から楽器を習わせる家庭はまだまだ少ないのだろうか。

 帰り、「クラシックのモーツァルト」に寄ってNAXOSのCD2枚を買う。 ウォルトンのヴァイオリン協奏曲&チェロ協奏曲、佐渡裕の指揮によるイベールの管弦楽曲集。 ところが、イベールは日本語解説付きのはずが、帰って開けてみたら入っている日本語解説が別盤用のだった。

9月18日(月) 万代で映画を見たついでに石丸電気に寄って、CDを4枚買う。 それから古町の「クラシックのモーツァルト」に寄って、一昨日買ったイベールのCDに間違って入っていた解説を取り替えてもらう。

 帰宅してさっそく今日買ったCDを聴いてみるが、イタリア合奏団によるヴィヴァルディ「調和の霊感」全曲2枚組は、録音が鮮烈で演奏もいい。拾いものだった。

9月20日(水) また映画を見に行ったついでに石丸電気に寄り、CDを3枚買う。 そのうちレオニード・コーガンの演奏が拾いものだった。 ヴァイオリンソナタ3曲の実況録音盤なのだが、R・シュトラウスとブラームスの1番が非常にいい。 外盤のためか録音は極端なハイ上がりでキンキンするが、ステレオのアンプで高音を絞り込んでやればさほど気にならない。

 実は、私がクラシック音楽に興味を持つようになった大学生時代、初めて行った外国人演奏家による演奏会が、コーガンのリサイタルだったのである。 当時はまだ演奏会場が多くなかったためか、コーガンは私の大学の講堂で演奏を行った。

 アンコールの時もにこりともせず生真面目な表情で弾いていたコーガンの姿はよく覚えている。 その意味でも懐かしいCDだった。

9月28日(木) 午後7時から、トヌ・カリユステ指揮、タリン室内管弦楽団&エストニア・フィルハーモニック室内合唱団の演奏会に行く。りゅーとぴあのコンサートホール。 プログラムは前半がペルトのトリサギオン、バッハのマニフィカート、後半がペルトのテ・デウム。

 この演奏会、7月下旬に行われたバッハ・コレギウム・ジャパンに続くバッハ・シリーズの2回目だ。 実はペルトの曲は初めて聴いた。 アルヴォ・ペルトは1935年エストニア生まれの現代作曲家。 といっても宗教曲の専門家で、曲風もいわゆる現代音楽風ではない。 その素朴さと現代的感性の融合した独特な宗教性は聴く者を魅了する。 ちょっと月並みな言い方だけど、まあ、聴いてみて下さい。 CDも出ている。

 アンコールが面白い。 指揮者が2度ほど呼び戻された後、いったん全員引っ込んで、拍手がやまないので指揮者と合唱団だけ再登場して、これもペルトのマニフィカートをやった。 無伴奏の曲だけど、これもよかった。 

10月9日(月) 先週金曜から東京に来ているが、この日は午後2時から四谷の紀尾井ホールで、ウィーン弦楽四重奏団の演奏会を聴く。 オール・ドヴォルザーク・プロで、「糸杉」からの抜粋、ピアノ五重奏曲、「アメリカ」。 ピアノは遠山慶子。

 やはりピアノと弦の掛け合いということで、ピアノ五重奏曲が面白かった。 カルテットも悪くはないが、やや第一ヴァイオリンが弱い感じ。

 会場は満員だったが、年輩の方が多い。 若い人は室内楽なんか聴かないのかなあ・・・。

10月12日(木) 東京出張から帰ってきて、中古CD屋で買ってきたディスクをぼちぼち聴いているが、エリック・エドシェックの弾いたベートーヴェンの最後の3つのソナタが意外な拾いものだった。特に作品110の嘆きの歌など、独特の節回しで印象深い。 これに比べると、ポリーニ+アバド+ベルリンフィルのシューマン・ピアノ協奏曲はイマイチ。 ロマンティックにいこうとしているポリーニと即物的なアバドがどうにも合っていない。

10月16日(月) 来月、東響の新潟定期でショスタコーヴィチの第6交響曲をやるが、まだ聴いたことがなかったので、今日敬和に非常勤に行った帰りに石丸電気によってムラヴィンスキーのCDを買ってくる。 実のところショスタコーヴィチはまだよく分からない作曲家の一人だ。

10月20日(金) 東京の古CD屋から買ってきたR・シュトラウス: オーボエ協奏曲が気に入っている。 バロック時代などは別にして、近代のオーボエ協奏曲にこんな佳品があったとは、恥ずかしながら知らなかった。

10月26日(木) 夜7時から、りゅーとぴあにてヨーロッパ室内管弦楽団の演奏会。 女房と行く。 R・シュトラウスのメタモルフォーゼオン―23の独奏弦楽器のための―、シューマンのピアノ協奏曲、ベートーヴェンの交響曲第7番。

 アルゲリッチのピアノによる協奏曲が聴き物だった。美しい音色、ロマンティックだがそれが過剰にならず形式感をそこなわない。 髪がものすごく長いのに束ねようともしない。 女王然として出てくるのかと思ったら、意外にシャイな表情で、アンコールを一曲やってくれた(曲名分からず)けど、何度も登場せずにコンマスに合図して楽団員と共に引き上げてしまった。 ベートーヴェンは室内楽団らしく全体として早めのテンポだったが、特に最終楽章が唖然とするほど速かった。

11月1日(水) 夜7時から、新潟テルサでエリアフ・インバル指揮、フランクフルト放送交響楽団の演奏会。 女房と行く。 ワーグナー「ニュルンベルクのマイスタージンガー」前奏曲と、マーラーの交響曲第5番。

 うーん、実に上手なオケですね。 金管も、危なげなく、といって見せびらかすようではなく、さりげなく鳴ってくれる。 充実した1時間40分でした。

11月6日(月) 久しぶりに新発田のBOOKOFFで古CD3枚を買う。 グノーの歌曲集がちょっと珍しい掘り出し物。

11月12日(日) 午後5時からりゅーとぴあにて、パーヴォ・ヤルヴィ指揮の東京交響楽団新潟定期演奏会。 ヒンデミットのウェーバーの主題による交響的変容、モーツァルトのフルート協奏曲K313,ショスタコーヴィチの交響曲第6番。 独奏はエマニュエル・パユ

 パユが何度も呼び出されて2曲アンコールをやった。 この人、わりに繊細な演奏なので、むしろリサイタルで聴いてみたい気がした。 ショスタコーヴィチは、最初トランペットがちょっとミスったが、迫力ある演奏だった。 今回、余りいい席が取れなくて、2階舞台脇の席(B席)だったのだけど、まあまあ聴けますね。

12月1日(金) 金沢市の山蓄という、通信販売CD屋さんに注文しでおいたCDが届く。 ホグウッド指揮エンシェント室内管弦楽団によるベートーヴェンの交響曲全集5枚組と、各種演奏家の寄せ集めだがメンデルスゾーンの協奏曲全集4枚組。 あわせて9枚で、値段は送料を入れても5千円をちょいと出るくらいなのだから、バカ安と言うべきであろう。

 この店、外盤のセット物がバカみたいに安いと某サイトで知って初めて注文してみたのだが、噂に違わない。 興味のある方は、下にURLを書いとくから見てごらん。 他にも買いたい物があったのだけど、財布の中身の関係から思いとどまった。 その意味では精神衛生上よくないサイトかも知れない。

 http://www.yamachiku.co.jp/cdsall/keijiban.htm

 しかしこういう安売り店が新潟にもほしいところだ。 金沢にあるのに何で新潟にないのだ!?

 とりあえず、ベートーヴェンの2番から聴く。 何でかって? この曲、好きなんですよ、とっても。

12月8日(金) 午後6時半から、りゅーとぴあにてザ・シックスティーン合唱団&管弦楽団によるヘンデル「メサイア」演奏会を女房と聴く。

 素晴らしい演奏会だった。 高雅な弦の響きをベースに、質の高い合唱団と独唱陣による「メサイア」。 特にカウンターテナーのロビン・ブレイズが抜群にいい。 高音まで無理なく出るし、また音の高低に関わらず一様な声の質感がある。 途中休憩を入れて2時間半が黄金の時間のようだった (この表現は詩人・村野四郎からの剽窃です、はい)。

 なのに聴衆の入りがもう一つよくなかったのが腑に落ちない。 この演奏会に来なかった新潟の音楽ファンは、はっきり言うが、大損しましたね。

 感激したので、終演後、ロビーで売っていたこの団体のCDの中からバッハの「ヨハネ受難曲」を買う。

12月9日(土) 昨日買った「ヨハネ受難曲」を聴いてみる。 悪くはないが、カウンターテナーが昨日のブレイズではなく、高音などちょっと苦しい感じがある。 うーむ、ブレイズで再録音してほしいものだ。

12月18日(月) 夜7時前に必要があって新潟西郵便局に行ったついでにBOOKOFF寺尾前通店に寄って、クラシックのCDを協奏曲ばかり3枚買う。

 そのうち、ヴァン・クライバーン独奏によるシューマンのピアノ協奏曲が秀逸だ。 1960年に入れたものだが、若い彼の感性がよく出ているし、またフリッツ・ライナー指揮シカゴ交響楽団のバックも充実している。 これに比べると、カップリングされているグリーグのピアノ協奏曲は、その7年後の演奏だが、凡庸だ。 バックのオーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団もぬるい。

 話はそれるけど、新潟西郵便局は集配局のくせに土日に郵便窓口が閉まっているのはケシカランとかねてから思っていたのが、今日行ってみたら、土曜日は15時まで窓口が開くようになっており、それ以外の時間帯と日曜も夜間窓口で郵便の受付をしているという。 これは朗報だ。 何しろ、今まで土日に郵便物を出すときは街の真ん中にある別の集配局に行かねばならず、ということはつまり十数キロも移動しなければならなかったのである。

 何はともあれ、サービスの向上は歓迎すべきであろう。 ついでながら、新潟市には集配局が三つあるのだが、そのうちわが家や大学に近い西郵便局でないのの名前が、新潟中央郵便局と、新潟中(なか)郵便局なのだ。 これ、何とかならんのかね? 紛らわしいことこの上ない。

 私が新潟に住むようになった20年前、今の新潟中郵便局は新潟郵便局といい、今の西郵便局の前身である内野郵便局とあわせて、新潟市の集配局は2つであった。

 その後、新潟中央郵便局が新潟駅のそばに新しくできたので、それまでの新潟郵便局は新潟西郵便局と改名した。 しかるに、さらにそれから、内野郵便局が移転新築して、場所が内野町ではなくなったためもあって、新潟西郵便局と改名するに及んで、それまでの新潟西郵便局(古町にある奴ですよ)は新潟中(なか)郵便局と改名してしまった。

 この辺、ややこしいので新潟市に住んでない方は一読してもよく分からないかもしれませんね。 つまり、図示すると名前の変遷はこうなのです。

 新潟郵便局 → 新潟西郵便局 → 新潟中(なか)郵便局(古町)

           新潟中央郵便局(万代)

 内野郵便局 → 新潟西郵便局(寺尾)

 はい、新潟市集配局の歴史、でした。 ・・・・ここは何のサイトだっけ?

 またまた話はずれるが、先日、大学の同僚のN先生にお会いしたら、このサイトで金沢の山蓄を知り、さっそくバッハ全集10万円也を注文されたとか。 お役に立って嬉しいが、10万円いきなり注文されるマニアックさには脱帽してしまいますね。 

 (後記: その後、N先生からメールが舞い込みました。 先生のお買いになったバッハ全集は10万円ではなく、3万5千8百円だそうです。 謹んで訂正いたします。)

12月25日(月) 古町に映画を見に来たついでに、カミーノ古町のタワーレコードに寄る。 同じビルの7階に入っていたシネマが秋に閉館してしまったので、ここに来たのも久しぶりだ。 

 Arte NovaのCDが590円とバカ安なので、ブルックナーの交響曲第0番と1番、フォーグラーのレクイエムの計3枚を買う。 ブルックナーの交響曲はこれでやっと、LPと合わせてだが、全部揃ったわけだ。

 それにしても、山蓄といい、Arte Novaといい、こう安いCDが多いと、NAXOSですら高いという気がしてきてしまうのが恐ろしい。 私の学部学生時代、廉価盤LPが千円だったけど、当時の大学生の生活費はアパートの家賃を入れて月3万円だったのだから(国立大学の学費は月千円だった! ただし私が入学した次の年度から3千円に値上げ)、廉価盤を買うのにも懸命にバイトをしなければならなかった(当時は今ほどバイトが豊富じゃなかった)。 はたして現代は幸福な時代なんだろうか??

12月28日(木) 山蓄に頼んでいたフルトヴェングラー指揮によるベートーヴェン交響曲全集と、ヴァルヒャによるバッハ・オルガン作品全集が来る。 まず、ベートーヴェンの3番から聴く。 フルヴェンのベートーヴェンは今までLPで3番(2種類)と9番しか持っていなかった。

 実は来年度前期の授業でフルヴェンの書いた音楽論を取り上げようと思っているので、その下準備の意味もあるのです。 こういうタネ明かしは興ざめかな? それにしてもフルヴェンのベートーヴェン交響曲全集が3千5百円余りなんですからねえ・・・・

 3番の次は同じ盤にカップリングされてる1番、それから2番と4番を聴くが、2番は録音が悪すぎるぅ・・・・(泣)

 ベートーヴェンの交響曲ばかり4曲立て続けに聴いてさすがに一服したくなり、バッハのオルガン曲を聴く。 最初は有名なトッカータとフーガBWV565から。 ヴァルヒャの演奏は穏やかな印象だ。

12月31日(日) 一昨日から船橋の老母宅に帰省中。 今日は渋谷と銀座で映画を見て、ついでに山野楽器に寄り、NAXOSから出ているヘンデル「サウル」3枚組を買う。 今年・今世紀のCD買い納めになる。

 ところで、本HPの「論争のページ」に収録の「商品を割り引くときは、金券方式で! ポイントカード方式はまっぴら!」で、期限付きポイントカード方式の店として山野楽器の名を挙げておいたところ、学生時代同じサークルだった悪友で現在は建設省のお役人さまであるM氏から、「山野楽器のポイントカードは期限なしのはず」というメールが舞い込んだ。

 それで今回、ポイントカードをもらってみたが、残念でした、1年の期限付きでした。 お役人の言うこともアテになりませんなあ。 こりゃ、日本の先行きは暗い・・・・。

  

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