映画評2004年

 

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 2004年に見た映画をすべて紹介。 5段階評価と短評付き。

  評価は、★★★★★=すぐ映画館に駆けつけるべし (大傑作につき見ないと一生の損)。 ★★★★=十分な満足感が得られる (いい作品だから見てごらんよ)。    ★★★=平均的 (見て損はない)。 ★★=劣る (カネと時間が余ってたらどうぞ)。 ★=駄作 (カネをドブに捨てるようなもの)。 ☆は★の2分の1。

 

143.「雲のむこう、約束の場所」 12/29、ライズX(渋谷)。 評価★★★ 新海誠原作・監督・脚本によるアニメ映画。 本州と北海道が別の国になっているという設定のもと、北海道の中央に高々と建てられた塔をめざして飛ぼうと、こっそり飛行機製作にはげむ青森県の少年二人と、彼らの仕事に興味を示した少女の青春期の交流と、心霊SF的な内容とをミックスした作品である。 すがすがしい映像、すがすがしい内容で、それなりの作品だと思う。 欲を言えば、登場しない少女の祖父の位置づけを、ということは少女の位置づけをきちんとやってほしかった。 作品とは関係ない話だけれど、このライズXという映画館、初めて入ったけれど、狭いのにびっくり。 なのに銀幕が上の方にあって上映中は見上げるような感じになる。 トイレはこの画面の下の幕をくぐって行くのである・・・・・!  

142.「犬猫」 12/29、シネ・アミューズ(渋谷)。 評価★★ 井口奈己監督作品。 同じ男を好きになる傾向を持つ女友達同士 (榎本加奈子、藤田陽子) の同居生活を描いている。 といっても私小説風で、あまり筋書きらしい筋書きはなく、日常生活の描写が何となく続く映画。 私はこの手の映画は好きじゃないんだけれど、今回もどうもダメでした。 同世代の女の子が見るとそれなりなのかもしれないけど、逆に言うとその程度の作品だと思う。

141.「ベルリン・フィルと子どもたち」 12/28、ユーロスペース(渋谷)。 評価★★☆ 世界一のオーケストラであるベルリンフィルが、ベルリンに住む恵まれない子どもたち――落ちこぼれやアフリカからの難民なども含まれる――と共演をするドキュメンタリー映画。 ストラヴィンスキーの 「春の祭典」 を演奏する際に、子どもたちが舞台で舞踊を披露する。 むろん、そのために舞踊の専門家が厳しく子どもたちを指導するのだが、彼らが投げやりでやる気のない子どもたちをいかに指導していくかが映画のポイントになっている。 それとともに、英国人としてベルリンフィルの首席指揮者に就任したサイモン・ラトルが、芸術関係の予算が削減される厳しい状況のなかでいかにクラシック音楽を多くの聴衆のものとしていくかを語っている。 悪くないとは思うのだが、ちょっと物足りない感じが残るのは、最後にいよいよ 「春の祭典」 を上演するシーンが時間的に短いからだろう。 ここは特訓を経た子どもたちがその成果を見せる場面だけに、全部とは言わないが、もう少し長い時間を割り当ててほしかった。

140.「恋文日和」 12/28、アミューズCQN(渋谷) 評価★★★ 「恋文」 を共通テーマとした短篇4作を集めたオムニバス形式の映画。 中では、「あたしを知らないキミへ」 がベスト。 筋書きがよく考えられているし、主役2人も雰囲気が出ていた。 「雪に咲く花」 も悪くないし、独特のムードがあるけど、そもそもが長篇の骨格を持った作品だと思う。 90分くらいでリメイクすると面白い映画になるかも。 「便せん日和」 は、他愛もない話だけど、恋の原点みたいなものがうまく出ていて、ヒロインの中越典子もカワイイし、いいんじゃないかな。

139.「シルヴィア」 12/27、シネスイッチ銀座。 評価★★★ 英米合作。 実在の女流詩人シルヴィア・プラスを描いている。 アメリカ人のシルヴィア (グヴィネスパルトロウ) が英国でハンサムな詩人テッド・ヒューズと知り合って恋に落ち結婚する。 二児を設けて、お互い詩作に励むが、夫の女性関係を疑うシルヴィアはやがて・・・・・というようなお話。 まあまあの出来かとは思うけれど、タイトルロールのグヴィネスは、どうも詩人の繊細さや感じやすさを十分に表現し得ているとは言えない。 これは脚本のせいもあるかも知れない。 実在の人物をモデルにしているだけに、実際の生活をなるべくそのまま描いたのかも知れないのだが、実人生と映画は別物。 映画は映画なりの脚色をしないと。

138.「アンナとロッテ」 12/27、有楽町スバル座。 評価★★★☆ オランダ・ルクセンブルク合作映画、2002年作。 1910年代、両親が病死してしまった幼いドイツ人双生児の女の子アンナとロッテが、別々の親戚に引き取られる。 ロッテはオランダの裕福な市民階級の家庭に、アンナは貧しいドイツの農家に。 そこから生じる二人の運命の相違と交錯を、ナチス・第二次大戦時代を背景に描いている。 やや図式的な感じもしないではないが、なかなかドラマティックで2時間17分を飽きずに見続けることができる。 私が特に面白いと思ったのは、貧しい農家に引き取られ教育も与えられずに育ったアンナがナチスに惹きつけられるところだ。 養父はカトリックで大のナチス嫌いだったが、その一方できわめて因習的で家父長的な性格であった。 つまりそうした農村部にあってナチズムは進歩的な思想であったわけで、因習的な農家を嫌っているアンナが多少なりともナチズムに傾斜していくのはそれ相応の背景を持っていたという点が、はっきり描写されている。 話の都合上、また大衆的な娯楽として現代ヨーロッパ中で上映される映画であることも考慮してか、彼女が本格的にナチズムに深入りしていくようにはなっていないが、幼い頃に引き裂かれた双生児が成人してからようやく再会したのに、ロッテの婚約者がユダヤ人だと問題があるという意味の発言をアンナがしたことから二人が再び別離してしまうという筋書きがここから生じる以上、ナチズムを単なる悪として片づけない奥行きの深さを作品が持ち得たのは、貴重なことだと思う。 新潟でも上映して欲しい。 

137.「マイ・ボディガード」 12/24、Tジョイ新潟万代。 評価★★★☆ 誘拐が日常茶飯であるメキシコシティを舞台に、裕福な家庭からボディガードに雇われた元CIAの黒人中年男 (デンゼル・ワシントン) とその家の少女 (ダコタ・ファニング) との交情が前半の物語である。 このあたりは定型的なお話ではあるが、映像がスタイリッシュでたいへんよくできており、二人の存在感と演技も素晴らしいので、★4つくらいの感じである。 ただ、後半、少女が誘拐されてしまったあとの展開が前半とは雰囲気を異にしており、原題は 『Man on fire』 だから元々がそういう映画なのかも知れないが、それにしては前半の比重が高すぎ、後半の話の魅力が劣っている印象がある。 全体は2時間半近い長さだが、後半は少し削って、ラストを工夫すれば、結構な傑作になったのではないだろうか。

136.「ハウルの動く城」 12/19、UCI新潟。 評価★★★ 宮崎駿監督の最新アニメ。 魔法使いの美青年ハウルと、呪いをかけられて老婆になってしまった少女のお話である。 街の様子やメカ――蒸気で動く市電など――には、いつもながらの宮崎ワールドが満ち満ちていて楽しめるが、全体のお話はまあまあくらいだろうか。 大人向けと言うよりは、やや対象年齢を落とした感じもするのだが、ただヒロインが老婆である点が奇妙な撞着を作品に持ち込んでいるような印象もあって、どうかな、と思ってしまう。

135.「誰にでも秘密がある」 12/18、UCI新潟。 評価★★★ 韓国映画。 ある一家に近づいてきたハンサムな青年 (イ・ビョンホン)。 三女 (キム・ヒョジン) は彼に夢中になり婚約するが、やがて彼は大学院で文学を専攻する堅物の次女 (チェ・ジウ) と子持ち既婚である長女 (チュ・サンミ) にも手を伸ばしていく。 はたして彼の真意と目的は・・・・というようなコメディ。 原作は英国の演劇用のシナリオで、2000年に同じ英国で映画化もされているものを仕立て直したもの。 肩が凝らない気楽な娯楽作品として楽しんでおけばよろしい。 私としては、眼鏡をかけてブンガク研究にいそしんでいる堅物役のチェ・ジウが何とも魅力的に見えました。 

134.「ゴジラ――Final Wars」 12/17、Tジョイ新潟万代。 評価★★★ 「ゴジラ」 の最新作。 これから当分の間は新作がないそうなので、しばし見納めの作ともなる。 宝田明など過去にこのシリーズに登場した俳優が出たり、他作品のパロディやお遊びがあったりして、悪役も遊びながら演じているようなノリがあり、まあ新時代に向けた、そして過去の総決算であるゴジラ映画としてはほどほど楽しめるのではないかと思う。 ただ、最後のバトルに時間をさくためか、途中のゴジラと他怪獣との戦いがややあっけない感じがする。 女優陣は今回は私好みが揃っていて――菊川怜、水野真紀、長澤まさみ――結構よかった。 ・・・・・それにしても、ミニラはなぜあんな場所にいたのだろうか、謎だ(笑)。

133.「お父さんのバックドロップ」 12/17、シネ・ウインド。 評価★★☆ 妻を亡くして小学生の息子と暮らしている40代のドサ回りプロレスラーが、息子の信頼を取り戻そうと空手の世界チャンピオンに挑む、というお話。 私はプロレスに興味がないし筋書きからしてもクサそうだし、観ないでおくつもりだったが、南果歩さまが出ているのと、比較的評判もいいようなので、行ってみたもの。 うーむ、果歩さまはなんか合わない役柄 (飲食店のおかみ) だし、映画全体としてもどこかで見たようなお話で新鮮味がないんですよね。 息子役 (神木隆之介) は可愛いけれども。

132.「レディ・ジョーカー」 12/15、Tジョイ新潟万代。 評価★★ 高村薫原作の小説 (私は未読) を映画化したもの。 ビール会社の社長を誘拐し身代金を要求する犯人たちの行動と、それを追う警察の捜査を描いている。 渡哲也、吉川晃司など役者は揃っているものの、どうも原作が複雑すぎて映画は消化不良を起こしている気配がある。 犯人たちがどうやってお互い知り合ったのか、自殺者が複数出るがなぜ自殺しなければならなかったのか、などなど、分からない事柄が多すぎる。 そもそも映画というメディアは小説と違って複雑に絡み合った犯罪事情などを取り込むのが難しい分野であり、原作が大部の小説であることからしても、元々の筋書きや登場人物を大幅に刈り込む必要があったのだと思うが、そういう工夫ができないままに映画化してしまった人たちの無能さはどうしようもないと言うしかない。

131.「世界でいちばん不運で幸せな私」 12/13、UCI新潟。 評価★★☆ フランス映画。 幼なじみとして育った男女が、すべてをゲームとして行うという取り決めに束縛されて互いへの好意を素直に告白できず、ついには・・・・・というお話。 フランスらしい、よく言えばエスプリに満ちた、悪く言えばこまっしゃくれた作品で、まあアメリカだとこういう映画は逆立ちしても作れないだろうから一見の価値はあるとは思うけれど、何となく悪ふざけが過ぎているような気がするのも確かだ。 ヒロインは結構美人だけどね。

130.「復活」 12/11、シネ・ウインド。 評価★★★ トルストイの有名な長篇小説を映画化したもの。 2001年、イタリア映画、タヴィアーニ兄弟制作。 東京では昨年末の公開で、新潟市では1年遅れで上映されたことになる。 さて、ロシアの話なのにイタリア語でしゃべっているのが若干ひっかからないでもないが、単に貴族の青年とヒロイン・カチューシャとの関係をたどるだけでなく、当時のロシアが抱えていた様々な社会問題を多方面から描いているところが、作品の厚みとなっている。 もっとも、3時間あまりの長尺の作品で、観ると少々疲れるし、ヒロインのカチューシャ役の女優 (ステファニア・ロッカ) が全然美人じゃないのがひっかかる。 やや退屈な映画となっているのはそのせいじゃないかなあ。 

129.「いま、会いにゆきます」 12/10、Tジョイ新潟万代。 評価★★★★ 竹内結子主演の、死んだ人間が一時的に甦るというお話。 夫と幼い長男を残して早世した妻が、梅雨のあいだに一時的に甦り、家族と充実した時を過ごす。 梅雨が終わって彼女はまた姿を消すが、彼女の甦りにはそれなりの背景があった・・・・。 肝腎なのは、実はこのあとで、それまでの展開は、まあ母子の心温まるシーンがあったりするけれど、それほどスゴイ映画という感じはしない。 ネタバレになるので詳細は書けないが、最後の部分がそれまでの各シーンに意味を与えることに成功している点で、悪くない作品に仕上がっている。 子供と甦った母とのシーンに単純に落涙しながら観ても悪くはないのだが、やはり構成の妙がヒロインの愛情への意思をしっかり裏打ちしているところこそ、凡百の映画を抜く水準に達し得た原因であろう。

128.「草の乱」 12/4、シネ・ウインド。 評価★★ 神山征二郎監督作品。 秩父事件を描いた映画である。 うーん、どうも物足りない。 まず、民衆の反乱が起こった背景の描写が微視的である。 生糸の相場暴落と高利貸しのあくどい行為、というだけで、今どき観客を説得できるだろうか。 なぜ生糸の相場が暴落したのか? 産業構造の変化からか、他に要因があったのか? また、山県有朋や伊藤博文の、いかにも悪役という描き方が、かえって作品を薄っぺらなものにしている。 悪役をいかに生き生きと描くかで作品の出来が左右されることが分かってない。 主人公の夫婦関係の描写もいかにも優等生的だし、全体としてお子さま向けの映画になってしまっているのである。

127.「スカイキャプテン――ワールド・オブ・トゥモロー」 12/3、Tジョイ新潟万代。 評価★★★☆ レトロな感覚の空想科学映画。 第二次大戦前の時代を舞台に、ニューヨークが巨大ロボット群に襲われたことをきっかけに出動したスカイキャプテン (ジュード・ロウ) が、恋仲もしくは喧嘩友だちの女性新聞記者 (グヴィネス・パルトロウ) と一緒に、天才科学者の恐るべき陰謀を阻止するまでを描いている。 セピア色の画面が雰囲気を盛り上げている。 作中のロボットだとかプロペラ飛行機なんかは性能が良すぎる感じがするが、そこはアナクロ承知で作られた作品だから、気にしないでいきましょう。 ヒーローとヒロインの会話にもう少し洒落っけがあるとなおいいのだが。 

126.「砂と霧の家」 11/25、WMC新潟。 評価★★★☆ 父から相続した家を、住民税未払いのために郡から取り上げられ競売にかけられてしまった女性(ジェニファー・コネリー)。 何とか家を取り戻そうとするが、すでにイラン人家族によって購入されてしまっていた。 その家族の父は、かつて祖国で大佐の地位にまで上り詰めたが、米国に亡命して土方の仕事までして子供たちを育て上げたプライドを持ち、競売で格安に入手した家を高く転売しようともくろんでいた。 家を失った側と入手した側の論理が噛み合わないまま事態は進行し・・・・・。 奇妙な緊迫感に満ちた映画で、あまり見かけない筋書きだということもあり、悪くないと思う。

125.「キャットウーマン」 11/24、Tジョイ新潟万代。 評価★★☆ 某社に勤めるデザイナー(ハル・ベリー)は、ふとしたことから会社の秘密を知り、そのために殺されてしまうが、猫の力によって甦り、なおかつ不思議な力が身について・・・・・・・というような筋書き。 アイデアとしては悪くないと思うのだが、戦闘シーンがもう少し欲しいし、悪役がイマイチ迫力に欠けていて、満足度が高いとは言えない作品となっているのが惜しい。

124.「モンスター」 11/20、UCI新潟。 評価★★★ 13歳から娼婦として生きてきた女 (シャーリーズ・セロン) が、父親から疎まれて知人宅に預けられている孤独な少女 (クリスティーナ・リッチー) と知り合い、少女から頼られて一緒に暮らすようになるが、カネとクルマを工面するために娼婦として誘った男を連続して殺す羽目になり・・・・・というようなお話。 実際にあった事件に基づいた映画で、なおかつ美人女優のセロンが、この役のために13キロも太り、なおかつメイクでどうみても美人とは言い難い容貌に変身して熱演し、アカデミー賞最優秀女優賞を受賞したというので話題。 悪い作品ではない。 ただ、私としては、美人のセロンがブスに変身してまで演じてアカデミー賞、というところに何か不純なものを感じる。 美人女優が美人の役を演じるとアカデミー賞から遠ざかるというのは、映画がヘンにインテリに媚びてゲージツになりたがっているようで、不健康ではないか。 美人が堂々と美人の役をやって賞をとるような映画環境を望みたいものだ。

123.「雨鱒の川」 11/20、UCI新潟。 評価★★★ 磯村一路監督作品。 北海道を舞台に、川で鱒をとることと絵を描くことが大好きな少年と、裕福な醸造所の娘ながら唖に生まれついた少女が幼なじみとして育ち、やがて成長した少年 (玉木宏) は職業画家となるために上京、少女 (綾瀬はるか) は醸造所勤務の青年と結婚させられることになるが・・・・というような、最近はやり (?) の純愛物語。 話の筋自体は古典的で単純だが、ケレン味のないすっきりした映画に仕上がっている。 柄本明が味のある役で出ている。 ただ、最後の逃亡シーンがイマイチの感もある。

122.「海猫」 11/19、Tジョイ新潟万代。 評価★★ 森田芳光監督作品。 約20年前、漁村に嫁いだ日露混血の美貌の女性 (伊東美咲) が夫 (佐藤浩市) だけでなくその弟 (仲村トオル) からも愛されてやがて死に至るまでを描いている。 うーん、話の筋に説得性が感じられない。 まず、映画は現代、つまり伊東美咲がとうに死んでしまった時代、その娘と婚約者の話から始まるのだが、婚約者の男が 「君のお母さん (伊東美咲) はふしだらな女だった」 と怒り狂って婚約を解消するのである。 当人のことならともかく、とうに死んだ母親のことで何でこんなに荒れ狂わねばならないのか、分からない。 お前は皇族ででもあるのかっ(笑)? 次に、映画の本筋に入ってからだけれど、伊東美咲が佐藤浩市のところに嫁ぐのであるが、それなりの都市である函館に住む彼女がなぜ寒村に嫁ぐのか、その理由が分からない。 銀行勤務中に変な男にからまれたところを佐藤に助けられたという設定だけど、山登りでもしている最中ならともかく、銀行なんだから普通だったら男子行員が何とかするものでしょう? また、伊東は嫁いでから仲村と画家クレーの話をしたりして、結構インテリだと分かる。 戦前や、戦後まもないころの食糧も男 (戦争でたくさん死んだからですね) も稀少だった時代ならいざしらず、1980年前後にインテリ女性が漁村に嫁いでいくにはそれ相応の理由付けが必要だと思うのだが、それが全然見えてこない。 なのに彼女は仲村に向かって 「海猫はいいなあ、好きなところに飛んでいけて」 などというセリフを吐くのである。 おいおい、あんたは親や他人から強制されて嫁いだのではなく、自分の意志で嫁いだんでしょうが? それから、伊東は最後に、包丁を持って取っ組み合いをしている佐藤と仲村を見て、もうやめてと叫んで崖からジャンプして命を絶つのだが、幼い子供二人を残して、ちょっと、いやかなりムセキニンじゃないですかね? ――いちゃもんばかりつけているようだけれど、ともかく人物の行動やセリフに心理的な必然性が欠けていて、大人が見るには耐えない作品だと言うしかない。

121.「血と骨」 11/19、Tジョイ新潟万代。 評価★★★★ 崔洋一監督作品。 戦前に韓国・斉州島から大阪に渡ってきた男 (ビートたけし) の戦後に至るまでの生涯を描いている。 我が儘で独善的で暴力的で女たらしでカネに汚い男の壮絶な生きざまが、すさまじいほどによく伝わってくる。 戦前戦後の風俗もなかなかよく再現されているし、喧嘩シーンの迫力もすごい。 しかし何と言っても鍵になるのはビートたけしだ。 彼でなければこの主人公は無理で、単なる教科書風の 「在日韓国人とその時代」 的な映画に終わってしまっただろう。 そうした文科省推薦的な映画の水準をはるかに超えた狂気のようなものが作品を貫いていて、買いである。 ただし、在日という部分にこだわる人には物足りなさが残るかも。

120.「オールド・ボーイ」 11/12、Tジョイ新潟万代。 評価★★★ 韓国映画。 カンヌ映画祭でグランプリを取った作品。 15年間、何者かによってマンションの一室に監禁された主人公が、脱出を果たして、誰が何のために自分を監禁したのかを突き止めようとしていくうちに・・・・という筋書きである。 最後に 「あっ」 が用意されているが、冷静に考えるとかなり荒唐無稽なお話でもあるので、映画の進行は必ずしもリアリズム風ではなく、やや曲線的にというか、ヌーヴォーロマン的な作り方がなされている。 ただ、韓国映画にありがちなグロテスクなシーンが結構あって、私の趣味にはイマイチ合わない。 それと、主人公を監禁した側の論理は、衝撃的ではあるけれども、もう少し説得的に描かれていないといけないのではないか、という気がした。 とはいえ、かなりインパクトのある映画であることは間違いない。

119.「トルコロールに燃えて」 11/10、UCI新潟。 評価★★☆ 第二次大戦前夜のヨーロッパを舞台に、生真面目な青年 (スチュアート・タウンゼント) と奔放に生きる令嬢 (シャーリーズ・セロン) との恋愛、および令嬢とスペイン出身の看護婦 (ペネロペ・クルス) を含めた一種三角関係を、英国とフランスにまたがって描いている。 うーん、歴史の重みがあんまり感じられないのと、女性二人の関係が気迫にしか描かれていないのが、物足りない。 スペイン戦争やナチスなど歴史のとらえ方も、型にはまっていて面白くない。 もう少し斬新な歴史解釈を、映画製作者は心がけよ、というのは、大衆向け芸術である映画には酷な要求か?

118.「天国の青い蝶」 11/8、UCI新潟。 評価★★☆ 脳腫瘍で余命幾ばくもない少年が、熱帯雨林で青いモルフィを捉えたいという欲求に駆られ、世界的な蝶の権威である学者 (ウィリアム・ハート) に無理に頼み込んで蝶取りに出かけていくというお話。 最後に、奇跡的に脳腫瘍が消えてしまう、という、実話に基づいた映画だそうである。 悪い作品ではないけれど、そして熱帯雨林の景観や昆虫たちの姿もそれなりのものではあるけれど、どことなく物足りない感じが残る。 出てくる人たちがみな 「いい人」 だからだろうか。

117.「笑の大学」 11/6、UCI新潟。 評価★★★★ 第二次大戦に突入した当時の日本。 喜劇作家の青年・稲垣吾郎が、検閲官・役所広司にダメをだされながらも必死に脚本を書き換えて検定合格に持ち込もうとするサマを描いた喜劇。 ・・・・・と筋書きだけ聞いてもあまり面白さが分からないのが残念だけど、これは喜劇としてかなりよくできた作品だ。 二人の対決とやりとりがたいへんに可笑しいし、堅物の役所の変貌が可笑しいし、二人の奇妙な協力でできあがっていく脚本がまた可笑しい。 お薦めできる映画だ。

116.「コラテラル」 11/5、Tジョイ新潟万代。 評価★★☆ タイトルは 「まきぞえ」 という意味だそうな。 VIP相手のハイヤー会社運営を夢見ながらタクシー・ドライバーとして働いているジェイミー・フォックスが、たまたま殺し屋のトム・クルーズを載せたことから彼の仕事に付き合わされて・・・・・というようなお話。 筋書きそのものは悪くないと思うのだが、トム・クルーズの殺し屋にスムースさとカッコよさがイマイチ感じられない。 これは演技が悪いのではなく、脚本の問題だろう。 手際よく殺しをやってのける冷血な男が、人間味あふれるタクシードライバーと出会ったところから仕事の進行に狂いが出る、という話なら面白いのだが、最初から殺しにしくじって相手をタクシー車両の上に落としてしまうなど、なんかウマクないんですよね。 後半の進行もややダレていて、もう少しカットしたほうが良かったと思う。 出だしの場面が最後につながっているのは、悪くないのだけれど。 

115.「シークレット・ウィンドウ」 11/5、Tジョイ新潟万代。 評価★☆ 妻と離婚寸前の作家のところに、ある日見知らぬ男が訪ねてくる。 お前はオレの小説を盗作したのだと言う彼。 そこから作家の家には怪しげな事件が頻発し・・・・・というようなスリラーなんだか推理物なんだかよく分からない映画だが、面白くない。 まず、見知らぬ男から盗作だといちゃもんつけられるわけだが、男の持っている原稿が作家の出した本より前に書かれたという証拠が全然挙げられておらず、なぜその程度のことでオタオタしなければならないのか、さっぱり分からない。 途中の進行も必然性が感じられず、あげくの果てにネタは禁じ手そのものを使っちゃっているので、ダメ映画の見本になっちゃっています。

114.「HAZAN」 10/30、シネ・ウインド。 評価★★★ 陶芸家・板谷破山 (1872〜1963) の生涯を描いた映画である。 教師の定職をなげうって、家族に極貧の生活を強いながら、ひたすら自分の美意識に忠実に生きる男を榎木孝明が、彼を支える忠実な妻を南果歩さまが演じている。 果歩さまフリークの私は言うまでもなく献身的な明治女性をみごとに再現する果歩さまに感動し通しでしたが、今どきだとこういう女性はそうそう見つからないだろうなあ、とも思ったことでした。 専属ロクロ師を演じる康すおんもいい。 陶芸というものの芸術性を改めて考えるきっかけを与えてくれる作品でもある。 なお、見に行ったときは後半映像がややボケていた。 焦点がきちんと合っていなかったようで、終わりのテロップが流れる段に及んでやっと修正された。 どうもシネ・ウインドはこの手のミスが目立つ。 注意して欲しい。 五十嵐匠監督作品。 

113.「2046」 10/29、Tジョイ新潟万代。 評価★★★ レオン・カーウァイ監督の最新作。 予告編からSFファンタジー風の映画かと思っていたら、全然違って、数年前の作品 「花様年華」 の続編であった。 あそこではトニー・レオンとマギー・チャンがそれぞれ配偶者の浮気に悩まされる隣人同士で、そのよしみ (?) で二人もフリンに走るのだったが、この映画では、「花様年華」 の最後でマギー・チャンと別れたトニー・レオンのその後を描いている。 作家として身を立てつつ、アパートの隣人のチャン・ツィイーと関係したり何だりしている。 ただ全体は筋書きがさほど明確ではなく、主人公や周辺の人物の心模様を中心にしているので、人による好き嫌いは分かれそう。 私としてはマギー・チャンがほんのちょっとしか出てこないのが物足りなかったが、代わりにチャン・ツィイーが頑張って色気を出しているので、まあまあかな、という評価。 ほかにコン・リーなど、アジアを代表する女優が、そしてキムタクも出ております。

112.「バイオハザード2 アプカリプス」 10/25、UCI新潟。 評価★★☆ パソコンゲームを起源とする戦闘ヒロインもの。 この手の映画は好きではないので、ヒロインが好みの女優でない限り見に行かないことにしている。 したがって第1作はパスした。 ところが今回、シエナ・ギロリーが準主役で出ているというので、見に行ってみた。 彼女は2年前に 「タイムマシン」 で薄幸の美女を演じて印象に残っていた。 どこか守ってやりたくなるか弱い女性を演じてサマになる、最近では珍しい女優だと思った。 で、今回は一転して戦闘美女として登場しているわけだが、やはり主演のミラ・ジョヴォヴィッチとは違って、強いんだけどどこか弱さが見て取れて、そこが何とも言えずセクシー。 彼女を見るためにある映画、と言い切ってしまおう。

111.「ゴッドファーザー」 10/22、UCI新潟。 評価★★★ コッポラにより約30年前に製作された有名な映画だが、未見だった。 再プリントでリヴァイヴァル上映されたので見に行ってみた。 米国に生きるイタリア系移民、別名マフィアのボス一家の物語だが、ふーん、こんな映画だったのかなあ、という感じ。 日本のヤクザ映画を豪華にして、多少家族風味を加えました、といったところか。 そんなスゴイ作品だとは思えなかったなあ。

110.「愛の落日」 10/16、日比谷スカラ座。 評価★★☆ グレアム・グリーン原作の映画。 第二次大戦後のヴェトナムを舞台に、美しい現地人女性を愛人にしている初老の英国人特派員が、ふとしたことから米国人青年と知り合って、現地人の眼疾を治すヴォランティアとして来たと称している青年に政治的な背景があることに気づくと同時に、青年が自分の愛人に懸想したことから三角関係に陥っていく様を描いている。 かなり作り方が東洋趣味的というか、オールド・ファッションドな映画である。 昔風の欧米映画が好きな人にはいいかもしれないが、愛人の描写を含めて、今どきこれでいいのかなあ、という疑問が湧いてくるのを押さえきれない。 

109.「なぜ彼女は愛しすぎたのか」 10/16、シネマ・ソサエティ(渋谷)。 評価★★☆ 2001年製作のフランス映画。 女性監督エマヌエル・ベルコが自ら主演して、30歳になる女性が13歳の少年にのめり込んでいく様子を描いている。 うーん、なかなか衝撃的な内容のようだが、筋の運びにあまり説得性が感じられない。 類似した筋書きの映画として一昨年の 『ピアニスト』 (原作は今年度ノーベル文学賞をとったオーストリアの女流作家イェリネク) があるが、そこでは、誰からも愛されない中年女性の音楽院教授が美青年に翻弄されるまでの心理的な背景付けがしっかりなされていた。 しかしこの作品ではヒロインに一応ハンサムな恋人がいるし、なんで少年に翻弄されなくてはならないのかよく分からない。 おまけにブスだし (笑)、美少年が何でよりによってこんなオバサンに近づかなくてはならないのかも分からないのである。 カメラは室外では意図的に露出オーバー気味であるが、何となくウザイ。

108.「少女ヘジャル」 10/15、シネ・ウインド。 評価★★★★ クルド民族問題をかかえるトルコ。 トルコ人の元判事が、両親をなくしたクルド人の少女をふとしたことから自宅で育てる羽目になる。 クルド語使用を禁じようとする元判事と、頑固にクルド語を使おうとする少女との奇妙な生活。 実はクルド人出自のお手伝いさんや、奥さんに先立たれた元判事に近づこうとする隣の未亡人などをまじえて、民族問題を人間的な視点で描こうとした佳作である。 なお日本人にはトルコのクルド民族問題はわかりにくいので、パンフやその他で多少予備知識を持ってから見た方がいいかも。 うーむ、本日の映画は2本とも良かったが、傑作を連続して見ると疲労する・・・・・。 

107.「誰も知らない」 10/15、Tジョイ新潟万代。 評価★★★★★ カンヌ映画祭で主役の少年を演じる柳楽優弥くんが主演男優賞をとったというので話題 (その後、フランドル映画祭で作品がグランプリを受賞) の映画。 新潟では首都圏より公開が遅れたのに加えて、上映時間がこちらの都合と合わず、公開されて2週間たってようやく見に行くことができた。 うーむ、これはすごい! というか、是枝監督らしく、唸るような派手なシーンはなく、母親に逃亡された4人の子供たちが暮らしていく様が淡々と描かれているのだが、さりげないシーンや筋書きの展開が人間の真実を深くとらえていて、目が離せなくなるのだ。 見終えると何とも言えない感覚が胸の中に残って、打ちのめされたような、すごく長い距離を走ったあとのような、そんな気分になる。 今年のナンバーワン映画の可能性大。 未見の方は是非!!

106.「ツィステッド」 10/11、UCI新潟。 評価★★ 腕の立つ美人刑事 (アシュレイ・ジャド) は、バーで知り合った男と一夜限りの愛を楽しむ、という趣味がある。 ところがある時から、彼女と寝た男が次々と殺されるという事態に。 彼らと寝た彼女も必然的に容疑者とされてしまう。 果たして犯人は彼女なのか、或いは何者かの陰謀なのか・・・・・というような筋書きであるが、結末は何となく最初から分かってしまうし、途中の展開も物足りない。 話として95と似ているのだが、アシュレイはアンジェリーナにセクシーさで及ばないし、おまけにアンジェリーナのようにベッドシーンも披露していない (笑) ので、評価は低くならざるを得ないですね。

105.「テッセラクト」 10/8、シネ・ウインド。 評価★★★ タイトルは四次元という意味。 チラシによると、「π」 や 「CUBE」 のような挑発的な作品なんだそうだが、そういう感じはしなかった。 たしかに最後では四次元的な結末 (?) になるが、それを除けば、とりたててどうというところのない、麻薬の奪い合いと、母のない子と子のない母と (笑)、というお話である。 子役はなかなか可愛いし、子を亡くした傷心の心理学者である英国女性もそれなりに悪くないし、舞台となっているタイの都市風景も興味深い。 だから一見の価値はあるが、ものすごく変わった映画なのだろう、と期待すると失望する。

104.「予言」 10/8、Tジョイ新潟万代。 評価★★ 103の併映作品。 幼い子供を事故で亡くしたことをきっかけに、悲惨な事故を予言する恐怖新聞の存在を知った元夫婦の物語だが、筋がよく考えられておらず、何となく流れているだけで、ホラー映画ならではの恐怖も、サスペンス風の面白みも感じられない。 何なんですかね、これは・・・。

103.「感染」 10/8、Tジョイ新潟万代。 評価★★★ 経営難で院長も雲隠れしてしまった総合病院。 そこに救急車で急患が運ばれてくる。 病院側は取り込み中を理由に (実は医療ミスで患者を死なせてしまった) 受け入れを拒否するが、救急車側は強引に患者を置いていく。 やがてその患者を感染源として正体不明の病気が看護婦や医師を冒し始める・・・・・。 ホラーなんだけど、あまり怖くない。 ただ、経営が左前の病院内の、まるで作業場のようなおどろおどろしい雰囲気はまあ悪くない。 それと婦長役の南果歩さまが大変によろしい。 果歩さまは、15年も前に映画 「帝都大戦」 では霊力を持つ看護婦役でチャーミングな姿を見せて下さったが、今回はついに婦長として成熟した魅力を披露しておられる。 映画そのものはもう一つの感じもするが、果歩さまの魅力に免じて★3つにしちゃおう (100に続いて主観的評価ですみませぬ)。 一方、羽田美智子が女医役で出ているのだが、彼女も10年前、映画 「RAMPO」 のヒロインをやっていた頃はすごい美人だと思ったけれど、ここにきて平凡な感じになっちゃったなあ。 果歩さまとのこの差はどこから来るのだろう?

102.「アラモ」 10/1、UCI新潟。 評価★★★ 有名なアラモ砦の戦闘を描いた映画。 ただしポスト・コロニアル時代である現代の製作だから、勇者たちの悲劇的にして英雄的な戦いを感動的に描く、というふうには必ずしもなっていない。 誰が指導者になるかで争いが生じて主要人物の性格があらわになったり、名高いデイヴィ・クロケットにしても、昔インディアンを殺した体験をメランコリーを込めて語ったり、ヴァイオリンを弾いて敵方の戦闘意欲を鎮めたりするなど、かなり 「人間的」 なのだ。 そういう人間ドラマに重きをおいて見れば、それなりに面白いと思う。 単純な戦闘映画を求める人には薦められない。

101.「茶の味」 10/1、WMC新潟。 評価★★★☆ 石井克人監督作品。 栃木県の田舎を舞台に、或る一家の家族それぞれの活動を描いている。 変わり者の祖父 (我修院達也)、精神治療師の父 (三浦友和)、子育てが楽になってアニメの仕事を始めた母 (手塚理美)、転校してきた女の子 (土屋アンナ) に一目惚れし、得意の囲碁を通じて近づこうとする高校生の長男 (佐藤貴広)、分身の出現に悩まされている小1の長女(坂野真弥)、姪に少年時代の変な体験を語る母方の叔父 (浅野忠信)、アシスタントの女の子に手を出そうとして失敗するマンガ家である父方の叔父、などなど、普通そうでありながら一癖ある人々の織りなす物語は、どことなく奇妙な味があり、結構面白い。 石井監督の作品は、以前 「鮫肌男と桃尻女」 を見て、内輪ウケするだけの駄作だと思ったけれど、今回はなかなかよくできている。 私としては手塚理美を久しぶりにスクリーンで見たが、昔の美少女、けっこう今でもいい線いってますね、私の趣味ではですが(笑)。

100.「千の風になって」 9/30、UCI新潟。 評価★★★ 雑誌編集の仕事に携わる女性が、「天国への手紙」 という企画で、亡き肉親への手紙を綴った人を訪ねその体験を取材するうちに、命の大切さを痛感し、夫から堕ろせと言われていたお腹の中の子を産む決意をするまでを描いている。 肉親を亡くした体験記では3つの物語が紹介されている。 全体として 「いい人」 が多く、無害な映画という批判もできなくはないが、素直に涙を流してみるべき作品だろうと思う。 私は何と言っても南果歩さまファンなので、最初の、小児ガンで長男をなくす母親を描いたお話にじーんときました。 果歩さまの母親役、最高です (主観的評価ですみませぬ)。

99.「白痴」 9/23、シネ・ウインド。 評価★★★ ジェラール・フィリップ主演。 1946年製作、モノクロ・スタンダード。 ドストエフスキーの同名の長篇を映画化したもの。 フィリップはムイシュキン公爵を演じている。 無垢で世間にうとい公爵ぶりがぴったり。 ナスターシャ・フィリッポヴナ役のエドウィージュ・フィエールも、たいへん美しく、奔放な感じも出ていて、実にいい。 フランス映画だからロシアの土臭さみたいなものはイマイチ出ていない気もするが、文学作品の映画化としてはかなり成功しているほうだと思う。

98.「夜ごとの美女」 9/22、シネ・ウインド。 評価★★★ ジェラール・フィリップ主演、1952年制作、モノクロ・スタンダードサイズ。 売れない音楽家の青年が、夜ごと夢の中で素敵な美人とランデブーを楽しむうちに、現実と夢の見境が曖昧になり・・・・という喜劇。 軽いタッチの作品だが、悪くないと思う。 主人公の芸術家ぶりも、喜劇であるだけかえって滑稽なイメージを素直に楽しめるものになっている。 作中、イスラム系美人の役の女優が、恐らく当時としてはかなり大胆に肢体を見せてくれているのもいい。

97.「モンパルナスの灯」 9/22、シネ・ウインド。 評価★★★ 画家モジリアニの生涯を描いたジェラール・フィリップ主演の映画。 1958年制作、モノクロ・スタンダードサイズ。 アヌーク・エーメがヒロインをやっていて、ようやくちゃんとした美人がヒロインで出てきたかな、という印象。 ほかの女優にも味があって、配役で見せる映画になっている。 フィリップ演じる芸術家は、やはり映画向けでどこか甘ったるく、すごみのようなものは感じられないが、大衆向けの芸術家イメージはこの辺が限界なのだろうか。 もっとも作中ゴッホの名も出てくるが、ゴッホが主人公だったらフィリップ主演は無理だったろうな、と思いました。 なお、会場は満員に近い盛況。 年輩者が多いとはいえ、フィリップ人気は根強い。

96.「肉体の悪魔」 9/18、シネ・ウインド。 評価★★★ ジェラール・フィリップ主演、ラディゲ原作、1947年製作のモノクロ・スタンダードサイズ。 戦時中、男子高校生 (フィリップ) は救護所で奉仕作業中に、看護婦を志願してやってきた婚約中の女性と知り合いになり、恋に陥る。 しかし彼女から手紙をもらって時間と場所を指定されながら、ためらいにとりつかれ、待ち続ける彼女を遠くに見ながらすっぽかしてしまう。 諦めた彼女は出征中の婚約者と結婚するが、やがて偶然から二人は再会し、密会する仲となる。 やがて彼女は妊娠し・・・・というようなお話。 年上の女性と恋愛し、ためらいながらものめり込んでいく男の役はフィリップにぴったり。 なお、ワタシはこの映画を見ていて、ジェラール・フィリップって、レオナルド・ディカプリオとフランツ・カフカを足して2で割ったような顔だな、と思いました。

95.「テイキング・ライブス」 9/17、Tジョイ新潟万代。 評価★★☆ アンジェリーナ・ジョリー主演のサスペンス。 自分と同年輩で同じ背格好の男を殺してはその人間になりすます連続殺人犯が出現。 その犯罪を暴くべくFBIの美人捜査官が調査を開始する。 やがて彼女は狙われていた画家を救い殺人犯は事故で死ぬのだが・・・・・。 推理物としてはキメが粗く、辻褄が合っていない箇所も目立ち、衝撃的なシーンを並べただけ、という映画である。 推理物としてではなく、何となくアンジェリーナの登場する映画っぽいシーンがあれば満足、というイメージ優先人間にはいいかも知れない。 彼女の見せる表情は結構セクシーで可憐でもあり、Hシーンもあるので・・・・・。 

94.「しのび逢い」 9/16、シネ・ウインド。 評価★★★ ジェラール・フィリップ主演、1953年製作のモノクロ・スタンダードサイズ。 フィリップは女たらしを演じているが、カッコいいプレイボーイではなく、稼ぎのある女性を渡り歩いて食わしてもらう情けないヒモを演じている。 最後には2日間泊まるところも食うものもなくさまよい、街娼に拾われたりするので、実に哀れな女たらしなのである。 ・・・・が、結構似合いの役かも。 それにしても、何人もの女優がフィリップを養う役で登場するのだが、あんまり美人がいないというのがどうも・・・・・。

93.「狂熱の孤独」 9/14、シネ・ウインド。 評価★★★ ジェラール・フィリップ映画祭がシネ・ウインドで今週から始まった。 で、まず見に行ってみたのがこれ。 1953年作のモノクロ・スタンダードサイズ映画。 原作はかのサルトルだそうで、メキシコを舞台に、この地を旅行中に伝染病で夫を亡くしたフランス人の女性 (ミシェル・モルガン) が、やはり妻を失って投げやりな生活を送っていた元医師 (ジェラール・フィリップ) と知り合い、やがて町が伝染病で隔離されるなか、病気に立ち向かおうとして生きる意欲を取り戻した彼を愛するようになっていく過程を描いている。 メキシコってこんなにウルサイところなのかとまず驚く。 一種の異境ものなんだろうけれど、フィリップのすさんだ男ぶりはあんまりサマになっていないような・・・・。  

92.「ホワイト・バレンタイン」 9/13、シネ・ウインド。 評価★★☆ 1999年の韓国映画。 「イルマーレ」 「猟奇的な彼女」 で日本でも知られるようになったチョン・ジヒョンのデビュー作。 年齢を偽って大人のふりをし、青年と文通をしていた少女。 文通が止んで数年後、二十歳になった彼女はふとしたことからその青年と再会を果たす。 しかし彼は彼女だということが分からない。 青年はその間に恋人を事故で亡くし、傷心のなか、職を辞して小鳥屋を始めていた。 やがて・・・・・というようなストーリー。 うーん、基本的な話の筋としてはまあ悪くないと思うんだけど、展開が下手。 青年があまりに鈍くて相手に最後近くまで気づかないというのは、いかにも不自然だし、手紙のモチーフを用いるなら、そこから二人の関係に新展開ができそうな気がするんだが、その辺が曖昧。 手紙のモチーフは下の 「永遠の片想い」 でも、また 「ラブストーリー」 でも用いられていて、韓国人は好きなのかもしれないけど、「イルマーレ」 を除くと使い方がうまいとは到底言えない。 ううむ・・・・

91.「アフガン零年」 9/9、シネ・ウインド。 評価★★★ アフガニスタン映画。 日本も製作に協力している。 タリバン支配時代のアフガン、父をはじめとして一家の男をみな戦いで失い、女だけになった家族。 タリバンは女が外で働くことを禁じていた。 一家の少女は髪を短く切って少年のふりをして働きに出るが・・・・・・。 平和ボケした日本では到底考えられない世界を描いた映画として一見の価値がある。 筋書きとしては悲惨だが、主役のマリナ・ゴルバハーリが美形で、結構エロティックなシーンもあって、映画としてそれなりに楽しめるようになっており、お説教臭くないところが買いである。

90.「イザベル・アジャーニの惑い」 9/9、シネ・ウインド。 評価★★★ フランス映画。 原作は19世紀初頭のフランス作家コンスタンの小説 『アドルフ』(私は未読)。 或る青年が10歳年上の、某伯爵の妾 (イザベル・アジャーニ) と関係を持ち、やがて女の方が熱を上げて子供もなげうって彼と駆け落ち同然の状態となる中で、揺れ動く青年の心を描いている。 当時の風俗を描いてまあまあ見られる映画になっているが、人物の心理描写はイマイチの感。 フランス文学史を読むと、生きる強い意志を持たない青年がお遊びで年上の夫人を誘惑し、相手が夢中になってから引いていく、という筋書きらしいが、映画の進行は割りに淡々としていて、そのあたりが必ずしも鮮明に出ていない。 遊びが本気に、本気が後悔に転じるのが恋の常、人間の心の不思議さだから、その辺をはっきり出すような演出を望みたい。

89.「永遠の片想い」 9/3、シネ・ウインド。 評価★★★ 韓国映画。 イ・ハン監督作品 ( 「ラブストーリー」 で助監督を務めていた)。 一人の青年 (チャ・テヒョン: 「猟奇的な彼女」 の主役) と二人の女性(ソン・イェジン〔「ラブストーリーのヒロイン〕+イ・ウンジュ)の関係を描いている。 青春を描いた映画として悪くないし、二人のヒロインもそれぞれに魅力的だし、また青年の妹役で出ているムン・グニョン (最近、「箪笥」 で妹役を演じた人) も可愛い。 ただ、全体の筋書き、特に過去と現在の交錯するところが分かりにくいし、冒頭出てくる手紙の手法が説明不足でよく分からないし全体に対してあまりうまく効いてもいない。 最後のあたりでヒロイン二人の秘密が明かされるのだが、ここも 「はあ?」 という感じで、映画全体の印象を強めるのには役立っていない。 その意味で洗練されきらない、監督の思い込みが目に付くところも多い作品ではある。 

88.「丹下左膳 百万両の壺」 9/1、WMC新潟。 評価★★★★ 津田豊滋監督作品。 約70年前、山中貞雄監督により作られた映画のリメイク。 百万両の隠し所を塗りこんだ壺が、それとは知らずに古物屋に売られてしまったところから始まる騒動を、隻腕隻眼の剣豪・丹下左膳 (豊川悦司) と、彼が居候をしている矢場のおかみ (和久井映見)、二人に引き取られる身よりのない男の子、妻 (麻生久美子) に頭の上がらない柳生源三郎 (野村宏伸) などを絡めて描いている。 私は旧作のほうは見ていないので比較はできないが、起承転結のくっきりした楽しめる作品となっている。 登場人物の言葉遣いも現代風だが、喜劇だからあまり気にならない。 和久井のおかみぶりもなかなかのもの。 ただし三味線の弾き方はもう少し勉強した方が良かったのでは。 最後に意外なオチがついているのがいい。 お薦めできる映画だ。

87.「ドリーマーズ」 8/27、シネスイッチ銀座。 評価★★☆ ベルトルッチ監督作品。 1968年のパリ。 五月革命に揺れるこの大都会で、アメリカ人学生がフランス人の双生児姉弟と知り合い、彼らと一緒に暮らしながら映画論を戦わせたりセックスをしたりする様子を描いている。 しかしベルトルッチとしては映像の美しさがイマイチだし、五月革命の激しい雰囲気もそれほど伝わってこない。 五月革命を描いた映画と言えば、ルイ・マルの傑作 『五月のミル』 があるが、ああいう距離感覚というか、全体をコミカルに包むような作りの巧みさが欠けている。 タイトルが暗示しているように、子供のままで (ブルジョワの親に小切手を出してもらいながら暮らして) 夢を見ている学生たちの他愛のなさを描くにしても、もう少しやり方があるのではないかと疑問を持った。 また、主人公のアメリカ人学生の位置がどうにも中途半端である。 あの時代、フランスだけでなく日本でもアメリカでも学生は反体制運動に熱を上げていたわけで、そうした気分が彼の言動に希薄なのは、どうにも・・・・・・。

86.「堕天使のパスポート」 8/27、シャンテ・シネ(日比谷)。 評価★★☆ スティーブン・フリアーズ監督作品。 ロンドンで下積みの生活をしている移民たち。 彼らにとって外国に渡るパスポートを取得するのは至難の業だったが、或る条件で偽造パスポートを出しているホテルがあった・・・・。 映画の主たるモチーフは移民の生活を、映画的な面白さ (裏取引とトリック) のうちに描くところにあるのだろうが、その部分の筋書きがあまりよく出来ていないし、また移民の暮らしの描写もイマイチである。 また、主演二人(キウェテル・イジョフォー + オドレイ・トトゥ) の恋愛も、どことなく中途半端。 というわけで、材料そのものは悪くないが、あまり残るところのない映画となってしまった。 

85.「SELF AND OTHERS」 8/24、シネ・ウインド。 評価★★★☆ 佐藤真監督作品。 2000年製作、スタンダードサイズ、1時間弱。 1983年に36歳で亡くなった新潟県加茂市出身の写真家・牛腸茂雄 (ごちょう・しげお) の作品を材料とした映画である。 といっても、いわゆるドキュメンタリー映画ではなく、牛腸の生涯については簡単な言及があるだけで、彼の残した写真や文章を使いながら、その芸術家としての内実に芸術的に迫ろうとしているようだ。 私は例えば冒頭、一本の木が生えているシーンで、リルケの 『オルフェウスに寄せるソネット』 の冒頭作品 「そこに一本の木が生えた。 おお、純粋な乗り越えよ!」 を想起したし、またおびただしい写真を見ながら風景と人物との関係について考えた。 私は例えば絵画なら人物画より風景画の方が好きなのだが、牛腸の写真を見ると、人物と風景が相関関係にあることがよく分かる。 牛腸は人物を撮ったのかもしれないが、私は風景に注目する。 といって、主従が逆転しているというのではなく、風景は人物によっていっそう風景としての独自性を獲得する、と言ったらいいのだろうか・・・・。 というように、色々なことを考えさせられる映画である。 フィルムが古くて雨が降り通しなのは残念だが、この映画、新潟では今週金曜日 (8月27日) までしかやっていない。 興味のある方はお見逃しなく!  

84.「釣りバカ日誌 15」 8/21、UCI新潟。 評価★★★ このシリーズ、今まで見たのは1回だけである。 その1回も、積極的に見たかったわけではなく、映画館のポイントカードの使用期限が迫っていて、もう1本見ないと無料鑑賞券がもらえないから、という後ろ向きの理由で見たに過ぎない。 今回、新聞を読んでいたら、小津安二郎の 「麦秋」 のパロディとして作られた映画だという紹介が載っていたので、千円均一という料金でもあるし、見に行ってみたもの。 といっても、私は別段、小津が大好きなわけではないし、「麦秋」 が大傑作だと思っているわけでもない。 多分、私もトシをとって、こういう映画に違和感を覚えなくなってきているのだと思う。 それはさておき――。 東京でキャリアウーマンとして活躍している30代半ばの独身女性 (江角マキコ) が、故郷・秋田の同級会に出るために新幹線に乗っていて、たまたま釣り好きの主人公 (西田敏行) と知り合う。 故郷で結婚し家族を作って暮らしている同級生たちを見て複雑な心境に陥る彼女。 そして自分に好意を寄せていた同級生の青年が地元で仕事一筋に生きていて、まだ独身だと知る。 しかしその彼には縁談が・・・・・というようなお話。 最後はめでたしめでたしで終わるので大船に乗ったつもりで見ていられます、はい。 それにしても、社長役の三国連太郎といい、上司役の谷啓といい、年を取ったなあ。 女房役の浅田美代子も、私の学生時代にはアイドルとして人気絶頂で食べちゃいたいくらい可愛かったものだが、ううむ、なのである。 多分、このシリーズが始まった頃はレギュラー陣はもっと若々しかったのだろうが、高齢化の印象は否めないですねえ・・・・。

83の付け足し、またはTジョイのポイントカードの不条理。  「箪笥」 を見るためにTジョイに久しぶりに行って、ポイントカードをもらった。 映画を見るごとにスタンプを押してくれ、スタンプ6個で平日映画鑑賞1回無料というもの。 実は6月に前のカードがスタンプ6個になり、新しいカードをもらっていたのだが、これは9月末日が期限だという。 3カ月で6回映画を見ないといけないことになる。 人にもよるだろうが、私としてはちょっとキツイなと思った。
  というのも、私はTジョイをそれほど頻繁に利用していないからだ。 新潟市内にはハリウッドや日本の大手映画会社の作品を上映するシネコンが3つある。 Tジョイ、ユナイテッド・シネマズ新潟、ワーナーマイカル・シネマズ新潟である。 私はその中で基本的にはユナイテッドを利用している。
  理由は3つある。 (1)駐車料金がかからない。 (2)毎週1回メンズデーがあり料金が1000円となる。 (3)メンバーズカードがあって料金の1割がポイントとなり、1000ポイントで平日映画鑑賞1回無料となる。
  Tジョイも条件ではそう悪くない。 (2)のメンズデーが週1回あることは同じだし、(3)に類するポイントカードもある。 しかも6回見れば平日1回無料だから、メンズデーや毎月1日のサービスデーに必ず見ることにすれば、合計6千円で平日無料鑑賞1回となる。 ユナイテッドシネマは、(3)から分かるように、メンズデーやサービスデーだけ利用していると、10回見ないと平日無料鑑賞とならない。 だから(2)と(3)だけに限ればTジョイの方が条件がいいわけだ。 (ちなみに残る1つワーナーマイカルは、(2)も(3)もないから、論外である。)
  だがしかし、(1)を加えるとそれが逆転する。 Tジョイは駐車料金が無料ではなく、1回見るごとに300円かかる。 これを加えると、Tジョイの方が割高になる。
  とはいえ、ユナイテッドではやらずTジョイではやる映画もあるし (今回の 「箪笥」 もそうだ)、Tジョイと隣接しているシネ・ウインド――ここは単館系しかやらないから、新潟の他館では代替できない――に行くついでにハシゴで見ることもある。 この場合は某所にクルマを置いてバスで行くのであるが、2本見れば1本あたりのバス料金は150円程度だから、割高感は薄らぐ。
   だから、Tジョイにポイントカード制度ができてから、私はこれまで2度ポイントカードを使い切ってきた。 ところが、不思議なことに、1枚を使い切って次のをもらうごとに、期限が短くなっていくのである。 たしか1枚目の時は半年くらいの期限だったと思うのだが、6月にもらった3枚目は、上述のように、3カ月しかないのである。 ちなみに2枚目の時はカードに 「2」 というスタンプが押され、次のには 「3」 というスタンプが押されたから、何枚目のカードかすぐ分かるようになっているのだ。
  さて、6月にもらった 「3」 のカードはそういうわけで9月末日までしか使えず、しかも私は7月にはTジョイに一度も行かなかったから、3枚目のポイントカードはスタンプがゼロのままであった。 「箪笥」 を見た今回、このカードにスタンプをもらっても、9月末までにあと5回Tジョイに行くことはないだろうから、無駄になってしまう。
  それで、私は受付でポイントカードを新しく出してもらった。 これは簡単である。 ポイントカードを持っていないと言えば、新しく出してくれるのだから。 で、その新しいカードの期限だが、来年1月末日であった。 使用期限が5カ月もあるのだ。
  よく考えていただきたい。 おかしいではないか。 ポイントカードを何回も更新している客は、それだけたくさんTジョイで映画を見ているのである。 その分サービスが向上して良いはずだ。 なのに現実にはそれが逆になっている。 初めてポイントカードをもらうことにするとカードの期限が5カ月あり、3回目だと3カ月しかないのだ。 Tジョイは何を考えているのだろうか? 私には理解しかねる。

83.「箪笥」 8/20、Tジョイ新潟万代。 評価★★★ 韓国のホラー映画。 キム・ジウン監督作品。 人里離れた古めかしい屋敷に住む父と継母と二人の娘。 継母と彼女を嫌う姉娘との間に心理的な戦いが繰り広げられるなか、屋敷には不気味な現象が起こる。 果たして真相は・・・・というような、ちょっとミステリー・サスペンス風なところもある作品で、まあ2時間を退屈せずに過ごせる映画だ。 継母役のヨム・ジョンアが大変な美人で、私好み。 「カル」 にも出ていたそうだけれど、あそこでは何しろシム・ウナが良すぎて、印象に残らなかったが、この映画では存分にその美貌を見せてくれている。 彼女の写真ほしさにパンフを買ってしまいました。

82.「子猫をお願い」 8/16、シネ・ウインド。 評価★★★ 韓国映画。 高校を卒業して社会に出た少女たちの生き方を描いている。 学校時代に友人だった間柄でも、選んだ職業や家族の事情などにより齟齬が出てくる様子が淡々と映像化されている。 最初は退屈しながら見ていたのだが、だんだん作品のペースに乗せられてくる感じ。 「吠える犬は噛まない」 に出演していたペ・ドゥナが、ここでもいい味を出している。

81.「キング・アーサー」 8/9、UCI新潟。 評価★★★ タイトルはこうなっているけど、アーサー王伝説をかなり変えて映画化しているので、むしろ人物名だけ借りてきた別のお話と見たほうがいい映画。 途中までは結構いいなと思って見ていた。 ブリテン島に対するローマおよびカトリック教会の身勝手な態度、地元民とローマとの間で揺れ動くアーサー (クライヴ・オーエン)、ローマに帰ることを夢見ながらもアーサーとの友情に免じて戦いを続ける円卓の騎士たち。 ところが後半グウィネヴィア (キーラ・ナイトレイ) が登場するに及んで凡庸な展開となってしまう。 彼女が裸に近い格好で鎧甲の男たちに混じって戦うシーンは、まあ娯楽映画だから笑って見過ごしますけれど、安っぽすぎるんじゃありませんか? 前半の、単なる娯楽作に留まらない大きな構想のようなものが、後半尻すぼみの感を与えるのも、グウィネヴィアの設定が凡庸なせいだと思う。 加えて、最初はランスロットが語り手であったはずなのに、それが中途でうやむやになってしまうのは、構成がうまくいっていない証拠だろう (それとも 『ボヴァリー夫人』 を意識していたりして?)。 とにかく前半の調子が維持されていれば娯楽大作であると同時に傑作でありえただろうに、残念。 ちなみに、アーサー役のオーエンは、役所広司に似ている。  

80.「ラブドガン」 8/6、シネ・ウインド。 評価★★ 渡辺謙作監督作品。 父の不倫が原因で両親に無理心中された高校生の少女 (宮崎あおい) と殺し屋の青年 (永瀬正敏) がふとしたことから出会う。 そこに青年の先輩の殺し屋 (岸部一徳) と後輩の殺し屋 (新井浩文) が絡んできて・・・・・というようなお話だが、あんまり面白くない。 殺し屋の生々しさは最初からなくて、スタイリッシュに決めているのかなと出だしのあたりは思わせるのだが、それが貫徹されていない。 ううむ・・・・

79.「悪い男」 7/30、シネ・ウインド。 評価★★☆ 韓国映画。 街頭で見かけた女子大生にヤクザが一目惚れし、いきなり唇を奪うところから始まる物語。 いったんは通りがかりの軍人にぼこぼこに殴られたあと、ヤクザは一計を案じて女子大生を罠にかけ、女郎屋に売り飛ばしてしまう。 しかし、彼は彼女を抱くわけではなく、客をとる彼女を、こっそり裏から見続ける・・・・・。 最初は、荒ぶる男がお上品な女子大生を堕落させる話かと思って見ていたのだが、ヒーローが一言も言葉を発せずにいて、まあそれも日本で言えば高倉健的な感じなのかなと思いきや、実は、というどんでん返しがあり、ちょっと変な映画でした。 ヒーローの外見と、ジトーッと陰に籠もった感触がミスマッチングで、そこら辺をどう評価するか、でしょうけれども・・・。

78.「スチーム・ボーイ」 7/26、UCI新潟。 評価★★★★ 大友克洋が9年をかけて作ったという大作アニメ。 19世紀英国を舞台に、科学者三代の男たちの対立と冒険を描いている。 科学の危険性を訴える祖父、科学の未来を堂々とまくしたててくれる父 (私としては、この人物が一番カッコ良かったと思うぞ)、そしてその狭間で迷う少年レイ。 19世紀的メカニズムをはじめとして細部まで丁寧に描かれた画面、わくわくどきどきのストーリー、オハラ財団の令嬢スカーレットという笑える名前のヒロインなど、第一級のエンターテインメントに仕上がっている。 ただし大友の昔の作風にこだわる人は失望するかも。

77.「エレファント」 7/16、シネ・ウインド。 評価★★★ 夏枯れで、ここんとこあんまり映画も見たいのがないなあ。 それはさておき、首都圏に2カ月遅れでこの映画が新潟にやってきた。 アメリカの高校での銃乱射事件を題材に、平凡なアメリカの高校生たちの一日と、それが銃乱射によって終わってしまう様を描いている。 ガス・ヴァン・サント監督作品で、スタンダード・サイズ。 高校生たちの描写はドキュメンタリー風だが、しかし何人か焦点を合わせる人物を選び、彼らが出会う (廊下でのすれ違いを含め) シーンは角度を変えて繰り返し登場するところがミソか。 つまり、ドキュメント風だけど視点の多様性によって一種前衛小説みたいな作りになっているのだ。 筋書きらしい筋書きはないけど、まあまあ面白く見ることができる。 登場する高校生たちはみなシロウトだそうだが、最初に出てくる金髪のジョン・ロビンソンは美少年で、ワタシ好みである。 ワタシにその方面の趣味はないのだけれど、しかし・・・・

76.「白いカラス」 7/1、WMC新潟。 評価★★☆ フィリップ・ロスの小説 (私は未読) をロバート・ベントン監督が映画化したもの。 差別用語を使ったとして、ユダヤ人の古典学教授 (アンソニー・ホプキンス) が大学を追われる。 やがて彼は心の傷を抱えた若い女 (ニコール・キッドマン) と知り合って愛し合うようになる。 実は彼は黒人なのだが、外見がほぼ白人であるためにその出自を隠してきた、という過去があった・・・・。 面白そうな映画だと思ったのだが、やや期待はずれであった。 原因は、主要な筋、つまり黒人の家庭に生まれながら外見は白人であった青年がたどってきた生の軌跡を十分に描いていないこと。 彼がユダヤ人だというのは、もともとそうだったのか (黒人のユダヤ人、というのも一応存在する)、或いは黒人であることを隠すためにわざわざ別の人種的なマイナス要因を抱え込んでみせたのか、映画を見る限り不明。 また、もともとボクサーを志していた彼がなぜ古典学に転じたのかも分からない。 原作はその辺も書き込んであるのかも知れないが、映画は肝心要の部分を省略してあるので、説得力に乏しい作品となってしまった。 余計な部分――元教授と某作家との付き合い、キッドマンの元夫との確執――は省いて、主筋に徹して欲しかった。 全体の構想は悪くないと思うので、惜しい。

75.「アンテナ」 6/27、シネ・ウインド。 評価★★★ 田口ランディ原作、熊切和嘉監督作品。 かつて幼い女の子を突然の行方不明で失った家族。 島根県で同様の失踪をした女の子が数年ぶりに発見されたというニュースが報じられてから、この家族がきしみ始める。 大学院生の長男は自傷的な行動に走って、SMの女王様に助けを求め、一方、女の子の失踪後に生まれた次男は、母から娘代わりの役を期待され、その通りに振る舞うようになる・・・・。 ちょっと変わった筋書きの作品で、それなりに興味深く見ることはできるのだが、こうした筋書きが私にとって説得的かというと、どうもそうではない。 私に自傷癖がないとか、女王様よりはマゾ女の方が好きだとか、そういうこととは少し次元が違うことで、ある種神秘主義的な雰囲気は悪くないのに、それを心理主義的に解決してしまうことに対する疑問、とでも言えばいいのだろうか・・・・・

74.「ビッグ・フィッシュ」 6/24、Tジョイ新潟万代。 評価★★★ ティム・バートン監督作品。 ほら話が得意な父親にうんざりしていた青年が、父が世を去る間際になってから、そのほら話にも実は父の人生の真実が隠されていたことに気づいて和解するというお話。 そこそこ面白くはあるのだが、ある意味では非常に技巧的な映画で、その技巧性を意識しないで済むかどうかで評価が多少分かれそうである。 あと、登場人物はみな基本的に 「いい人」 ばかりなのが、どうかなと・・・・・。 まあメルヒェンだと割り切ればいいようなものだけれど。 なお父の妻役を演じる女優が、若いときのアリソン・ローマン、老いてからのジェシカ・ラングがいずれも魅力的だ。

73.「カルメン」 6/23、シネ・ウインド。 評価★★★☆ ビゼーのオペラでも有名なメリメの小説を映画化したもの。 純情な兵士ホセが、ファム・ファタルのカルメンに誘惑され、人生を踏み外していく様子がたくみに描かれているし、スペインの教会や街や野外の景観などが興味深い。 ヒロイン・カルメンを演じるパス・ヴェガは、非常に美人に見えるときとアバズレに見えるときとがあって、その落差がカルメン役にぴったり。

72.「トロイ」 6/18、Tジョイ新潟万代。 評価★★★☆ 古代ギリシアの叙事詩 「イリアス」 で知られるトロイ戦争を映画化したもの。 大スペクタクル映画だけれど、最近はCGを見慣れたせいかこういうものにはあんまり驚かなくなっている。 その分人間ドラマを掘り下げて欲しいところだが、その辺はイマイチの感。 まあそれでも結構楽しめる娯楽大作にはなっているし、この戦争がギリシア方のトロイへの横暴な侵略戦争だった、という視点で描かれているところが興味深い。 総じて、トロイ方に共感が持てるように映画は作られている。 配役も、アキレスのブラッド・ピッド、ヘクトルのエリック・バナ、パリスのオーランド・ブルーム、プリアモス王のピーター・オトゥールがいずれもはまり役。 戦争の発端となった美女ヘレネ (映画では英語読みでヘレン) 役のダイアン・クルーガーも最近では珍しい正統派の美人で魅力的だが、もう少し活躍の場を与えてあげないとせっかくの美貌が活きない。 なお、トロイの巫女でアキレスの愛人となるブリセイスが、日本語字幕では誤ってブリセウスとなっていた。 ちょっとした間違いのようだが、ウスと終わるのは男性名であり、非常に違和感があった。 字幕訳者の学識が問われるところだろう。

71.「レディ・キラーズ」 6/11、Tジョイ新潟万代。 評価★★ 夫を亡くして一人暮らしをしている黒人の老婦人宅に、品のいい大学教授 (トム・ハンクス) が間借りをする。 しかし実はこの教授、食わせ者で、その家の地下からトンネルを掘り進んで、近くのカジノの金庫から現金を強奪しようとたくらんでいたのだ。 そのために教授は古楽演奏の練習をすると称して仲間を引き入れるが・・・・・・。 コメディらしいのだが、さっぱり笑えない。 笑えない喜劇は失敗作と断ずるしかないですねえ。 昔の映画のリメイクらしいけど。

70.「下妻物語」 6/11、Tジョイ新潟万代。 評価★★★☆ 茨城県下妻に住みながら18世紀フランスのロココに憧れ、その趣味を生き甲斐にしているジコチュー少女 (深田恭子) が、ツッパリ少女 (土屋アンナ) と出会って生き方を多少修正していくお話。 途中までの展開はシュールでなかなか快調だったが、最後あたりはやや安易で日本的なパターンに堕してしまった感じもしないでもないのが惜しまれる。

69.「キューティ・ハニー」 6/7、UCI新潟。 評価★★★ かつてテレビアニメで放映されたものの実写版。 佐藤江梨子主演の美少女戦士ものだが、変身する前のヒロインのおバカな表情が何とも言えずチャーミング。 下着姿も存分に見せてくれる。 一方、女警部役の市川実日子のつっぱった表情も悪くない。 戦闘シーンがもう少し欲しい気もするが、気張らずに楽しめるB級映画である。

68.「アドルフの画集」 6/5、ギンレイホール(飯田橋)。 評価★★★ 新潟に来なかった映画を東京の二番館で見ることができた。 土曜ということもあってか館内は満員。 悪名高いアドルフ・ヒトラーが若い頃は画家を夢見ていたのはわりに良く知られた話だが、この映画はそこをふくらまして、第一次大戦直後、彼が金持ちのユダヤ人画商と知り合って絵を評価されながら、しかし一方でたまたま誘われて反ユダヤ主義の演説をやり、そのために画商の暗殺が行われ画家になる夢を断たれるという皮肉な結末に至るまでを描いている。 フィクションではあるが、それなりに説得力に富んだ作品だと思う。 ノア・テイラーが若い不安定なヒトラーを好演。 画商役のジョン・キューザックも、ある意味定型的な人物だが、悪くない。

67.「列車に乗った男」 6/4、ル・シネマ(渋谷)。 評価★★★☆ パトリス・ルコント監督作品。 小さな町で長年教師を勤め停年退職した老人 (ジャン・ロシュフォール) が、ふとしたことから出会った中年男 (ジョニー・アリディ) を自宅に宿泊させる。 実は男は銀行強盗をもくろんでいたのだ。 やがて二人はお互いの人生を語り合い、理解し合うようになり・・・・・・。 主演二人がたいへんいい演技をしているが、特にロシュフォールの出している味わいは他の俳優に変え難いものだ。 私は老人映画は辛気くさくて嫌いなのだが、彼の飄々とした振る舞いが作品を黄昏色ながらも軽やかなものにしている。

66.「スイミング・プール」 6/4、シャンテ・シネ(日比谷)。 評価★★★ フランソワ・オゾン監督作品、シャーロット・ランプリング主演。 推理物で名声を得ている英国女流作家 (ランプリング) が、夏に執筆環境を確保しようと、出版主がフランスに持つ別荘にやってくる。 ところがそこに出版主の娘が現れ、毎晩男を連れ込んでは飲酒して騒ぎ立てる。 最初は苛立っていた作家も、やがて娘と心を通わせるようになるが、そこに事件が・・・・・。 「まぼろし」 で好演したランプリングがここでもなかなか味のある演技を見せてくれるし、最後にはヘアヌードまで披露してくれるのがよろしい (日本の中高年女優も見習って欲しい)。 ただし筋書きは、最後に 「え?」 となる。 心理学的に受け取れば説明はつくが・・・・・。

65.「今年の恋」 6/3、ラピュタ阿佐ヶ谷。 評価★★★☆ 53でも見た岡田茉莉子特集の最終作品。 昭和37年、木下恵介監督作品。 大学院生の青年 (吉田輝雄) と料亭の娘 (岡田) が、お互いの弟同士が高校の同級生であることから知り合って、最初は弟への教育方針などから喧嘩ばかりしているが、結局はめでたしめでたしとなるお話。 たいへんまとまりとテンポがよく、ユーモラスで、上映時間も80分少々と長すぎず、よくできた作品だ。 また、昭和37年の首都圏の風物が今から見るとなかなか面白い。 東横線の電車は4両編成だし、横浜駅前もまだまだ低層住宅が目立っていて、今とは隔世の感がある。

64.「桃色画報」 6/2、銀座シネパトス。 評価★★ イタリアン・エロスの巨匠ティント・ブラスによるオムニバス形式のポルノグラフィー。 私は以前見た同監督による 「郵便屋」 が結構面白かったので、また見てみたのだが、今回はイマイチでした。 筋の工夫、エロティックな場面の工夫もさることながら、何より出演女優の美形度が作品によってかなりバラついているのがいけません、はい。

63.「ジャンプ」 6/2、テアトル新宿。 評価★★★ 佐藤正午の人気小説 (私は未読) を映画化したもの。 福岡出張に出る前の晩、若いサラリーマンの主人公 (原田泰蔵) は恋人 (笛木優子) と飲んだ後、彼女のアパートに泊まるが、彼女は買い物をしてくると言って出かけたまま行方不明になってしまう。 彼女の消息が気になって仕事も手につかなくなる彼を、同じ職場でひそかに思いを寄せている女子社員 (牧瀬里穂) がサポートする。 やがて彼は行方知れずの恋人を諦めてその女子社員と結婚するが、5年後、意外な事実が・・・・・・というようなお話。 私は 「新・雪国」 でチャーミングな姿を見せた笛木優子 (その後、韓国で女優として活躍してから日本に逆輸入?された) と再会したくて見に行ってみたもの。 映画としては彼女の失踪の真相は、という謎があるので最後まで面白く見ることはできるが、筋書きは必ずしも説得的ではない。 特に、笛木優子の失踪が本人の内面的な問題によると思わせておいて、実はカラクリが、という部分が私としてはしっくりこなかった。 

62.「ロスト・イン・トランスレーション」 6/1、WMC新潟。 評価★★ ソフィア・コッポラ監督作品。 アメリカ人映画俳優 (ビル・マーレイ) が日本のウイスキーメーカーのCF撮影のため来日する。 しかし日本人たちの振る舞いに右往左往するうち、夫のカメラマンと一緒に来日して同じホテルに宿泊している若妻 (スカーレット・ヨハンソン) と知り合って、交流が芽生える、というお話。 アカデミー賞の脚本賞を受賞する一方で、差別的だとの論評も出ている映画である。 なるほど、日本人は徹底的に群として描かれ、個を持った人間は一人も登場しない。 ただ、ヒロインの夫や、たまたまホテルで出会ったその女友達も群的な描き方をされているわけで、要するにヒーローとヒロイン以外は、舞台のトーキョーと同様に、全員背景に過ぎないわけなのである。 私としては差別的だと騒ぐ気にはならないけど、誉める気にも全然ならない。 出来はよろしくないと思う。 ソフィア・コッポラは前作の 「ヴァージン・スーサイズ」 も駄作だったけど、2作連続駄作ということは、つくづく才能がないんですね。 ヒロインのスカーレット・ヨハンソンは、こないだの「真珠の耳飾りの少女」 では眉がはっきりしなくて、また役柄のせいもあり、その魅力がイマイチ発揮できていなかったが、今回は遺憾なく美少女ぶり (若妻という設定だけど、どうもそうは見えない) を発揮している。 

61.「花」 5/28、シネ・ウインド。 評価★★★ 長年抱えていた冤罪訴訟を勝訴に導いた老弁護士 (柄本明) が、その直後、別れた妻が鹿児島の病院で死んだので遺品を取りに来て欲しいという通知を受け、かつて新婚旅行の際にそうしたように、クルマで国道を南下するルートをとって鹿児島に向かう。 その際に運転担当として雇ったアルバイトの青年 (大沢たかお) は、実は重病を抱えていた・・・・・。 「しあわせの黄色いハンカチ」 にどこか似た話で、まあ悪くはない。 ただ、柄本明はどうも弁護士には見えないし、そもそも60年代半ばにクルマで新婚旅行というのは相当に裕福な人間でなければ不可能だったはずだが、大学出たての正義派弁護士見習いと、実家を飛び出したお嬢さんにそんなカネがあったんだろうか?? あ、あと極私的なことで済みませんが、女医役で出てくる南果歩さまの出番を増やして下さいな (笑)。

60.「スキャンダル」 5/24、UCI新潟。 評価★★★ ラクロ 『危険な関係』 を原作とした韓国映画。 フランスの小説を18世紀の韓国にどう移し替えるかがこの映画のポイントである。 原作の貴族的にしてワイセツな雰囲気がうまく出るかどうかは、舞台や衣裳の豪華さ (その点は申し分ない) だけでなく、主役3人の力量次第であるが、ペ・ヨンジュンのプレイボーイぶり、イ・ミスクの奸計に満ちた色っぽい年増ぶりはいいものの、二人の賭の対象になるチョン・ドヨンがイマイチなのだ。 あくまで貞節な未亡人でありながら、プレイボーイの接近に心が揺れ、陥落後は相手に夢中になると同時に官能の虜になる、というのは非常に難しい役なわけで、彼女には無理だったのでは。 田舎の純情なお姉さんというイメージで、貴族の令夫人のイメージではない。 この役が合っていればかなりの傑作になったと思われるので、惜しい。 R18指定だが、ベッドシーンはあるものの大して刺激的でもないので、R15で十分だろう。

59.「1980」 5/17、シネ・ウインド。 評価★★★ 「演劇集団ナイロン100℃を率いるケラリーノ・サンドロヴィッチが、1980年当時高校生だった自らの記憶と愛情をたっぷり詰め込んだ映画監督第一作」 だそうである。 私としては1980年の風俗が特に懐かしいという世代でもないので、むしろ、ともさかりえや蒼井優、犬山犬子ら女優陣のコミカルさを含む演技に注目して見た。 そこそこ面白いけれど、決定打には欠けているような気もする。 

58.「パリ・ルーブル美術館の秘密」 5/14、シネ・ウインド。 評価★★ ルーブル美術館の裏を見せるという趣向の映画かと思って見に行ってみたのだが、ちょっと予想とは違っていた。 美術館員たちの、閉館時間内の活動を描いているには違いないのだけれど、ナレーターによる解説は一切ないので、どこで誰が何を何のためにやっているのかが必ずしもよく分からない。 いわば断片のつぎはぎのような映画だ。 最後に、美術館員は1200人もいるとか、地下通路が十数キロにも及ぶとかいう数字が出てくる (地下通路のシーンは作品内にもあって、これはなかなか面白かったが) けれど、肝腎の映画自体はそういうデータを無視するかのごとくに進行するのである。 うーむ・・・・・・

57.「世界の中心で愛を叫ぶ」 5/14、Tジョイ新潟万代。 評価★★☆ 結婚を控えた青年 (大沢たかお) が逃れられない過去の記憶、それは高校時代に白血病で死んだ恋人 (長澤まさみ) の存在であった。 そして結婚相手の女性 (柴咲コウ) とは実は・・・・というような、過去の追憶がメインになったお話。 まあまあかとも思うが、少し長すぎる。 回想シーンはもっと刈り込んだ方がすっきりする。 それと柴咲コウの役どころが、どうも今ひとつぱっとしない。 大沢たかおがいかにして心の整理をして彼女と結婚しようとするのかを、もう少し説得的に描いてくれないと、ラストが締まらない。 長澤まさみは 「ロボコン」 に続いでチャーミングな姿を見せているが、白血病で髪が抜けるという設定のため最後近くでは頭を丸坊主にして出てくるのに、ちょっとショックを受けた。 一方、柴咲コウが魅力を十分活かせない筋書きなのは気の毒。

56.「パッション」 5/10、UCI新潟。 評価★ イエス・キリストが官憲に捕縛されてから十字架にかけられるまで――これを 「受難 (パッション)」 という―― を描いた映画。 アメリカでは心臓麻痺で死ぬ観客が出ているというニュースを聞いて、キリスト教国だからかなと思っていたのだが、自分で見て、これは死者が出るのも無理はないなと納得した。 心臓の弱い人は見ない方がいい。 いや、そもそも見るに値しない映画だと思う。 これでもかこれでもかとイエスに肉体的拷問が課せられ、私も最後近くは気分が悪くなりそうになり、目をつぶらざるを得なかった。 監督はメル・ギブソンだそうだが、彼は何か勘違いしているのではないか。 受難とは、たしかに肉体的な苦しみをも含むだろうが、それだけではないはずだ。 ところがこの映画からは、イエスの肉体に対するサディスティックなまでの加虐趣味がうかがわれるだけで、魂の苦悩はさっぱり伝わってこない。 もっともイエスの受難というもの自体がかなり倒錯的だと、非キリスト者である私は思っているので、そもそもキリスト教が孕んでいる趣味の悪さが露出した映画だ、という見方もできようが。 PG12指定は生ぬるい。 私としては最低でもR15か、いっそR18でもいいくらいだと思う。 ちょっとしたベッドシーンがあるだけでR15やR18にするくせに、こういう暴力三昧の映画がPG12なのは、映倫の見識を疑わせると言わざるを得ない。

55.「殿さま弥次喜多 捕物道中」 5/4、中野武蔵野ホール。 評価★★★☆ 同じく中村錦之助特集の1本。 昭和34年作。 江戸時代、尾張と紀州の若殿さま (中村錦之助、中村嘉津雄) が、身分を隠して二人で弥次喜多風の旅をするうちに、盗賊一味を発見して彼らを倒そうと奮戦する喜劇。 シリーズ物の第2作らしい。 へえ、こんなシリーズがあったのかと感心しながら見た。 やんちゃな妹の姫君や美人の義賊も登場するし、各種人物が揃っていて喜劇として悪くない出来だ。 今ならテレビドラマのシリーズにしても行けるんじゃないか。 それにしても2本立てで1000円という良心価格。 今は復活した池袋の文芸坐だって1500円だし、何よりヘンに清潔な映画館になってしまったのが残念なのだ。 その意味でも、中野武蔵野ホールの閉館は惜しい! かつて大井武蔵野館のパンフに印刷されていた名川柳が思い出される。 「いつまでも あると思うな 映画館」。

54.「反逆児」 5/4、中野武蔵野ホール。 評価★★★ というわけで連休中に上京したのだが、「ぴあ」 を買ったら、中野武蔵野ホールの映画スケジュールが5月7日までしかなく、そのあとは 「閉館。 長い間ご愛顧ありがとうございました。 支配人」 と書いてあるではないか。 ガーン! 新宿昭和館なきあと、ヤクザ映画をやる映画館として珍重していたのに、なくなってしまうとは。 大井武蔵野館も数年前になくなってしまったし、「武蔵野館」 と名が付く映画館はなくなる運命にあるのか?! というわけで、お別れに見に行ってみました。 中村錦之助主演時代劇の2本立て。 これは昭和36年、映画や時代劇が絶頂にあった頃のシネマスコープ・カラーによる作品で、戦闘シーンなどでは役者もたくさん使っているし、時代の違いを感じさせる。 徳川家康の息子・信康 (中村錦之助) が、武田軍との戦いでは有能さを発揮しながらも、やがて今川家出身の母と織田信長の長女である妻との確執などから織田信長にうとまれ、最後には切腹しなければならなくなる悲劇を描いている。 女優では、おはつ役で出てくる北沢典子が初々しい魅力で印象に残る。

53.「ある落日」 5/4、ラピュタ阿佐ヶ谷。 評価★★★ 連休に下記の理由で上京したら、ラピュタ阿佐ヶ谷でモーニングショウとして岡田茉莉子特集をやっていた。 で、見てみた。 これは井上靖原作に基づく昭和34年の映画、大庭秀雄監督作品。 20歳も年上の会社社長 (森雅之) と不倫関係にあるOL (岡田茉莉子) の苦悩を描いている。 うん、これは岡田茉莉子のためにある映画ですね。 彼女の色っぽい表情が存分に楽しめる (ただし、フリンの映画だけどベッドシーンはありません) ので、彼女が嫌いでない人には見て損はない作品だと思う。 フィルムの保存状態が悪く、最初20分ほどは画面がボケたり揺れたりして安定しないのが残念。 岡田茉莉子特集、新潟でもウインドあたりでやらないかなあ。

52.「浮草」 5/3、新文芸坐(池袋)。 評価★★★  同じく小津特集の1本。 各地を放浪するしがない旅芸人の一座がさびれた町にやってくる。 じつは座長 (中村鴈治郎) の愛人 (杉村春子) と息子 (川口浩) がそこに住んでいるのだ。 さびれた町のことで公演の入りは良くないが、座長は息子可愛さに愛人宅に入り浸りになる。 しかし、それが元で一座の中にはいざこざが・・・・。 旅芸人というものがまだ実在した昭和34年の作品。 なお、この映画は作中、「人種が違うんだ、人種が」と座長が芸人に向かって叫ぶシーンが出てくるので、さる筋では差別用語を使った映画と糾弾されて有名になった過去がある。 (私は糾弾側にいささかも同調するものではない。)

51.「小早川家の秋」 5/3、新文芸坐(池袋)。 評価★★ 連休にポリーニを聴く目的で上京したら、新文芸坐で小津特集をやっていたので見てみた。 私は小津は必ずしも好きではないが、2本立てでいずれも未見の作品だったので。 これはいかにも小津らしい、見合いの話である。 したがっていささか退屈だが、ただ舞台が大阪で、見合いを持ち込まれるのが造り酒屋の娘 (司葉子) や、跡を継がずに学者になった息子の未亡人 (原節子) であったりするところがミソか。 (原節子の見合いの相手が、若かりし頃の森繁久弥。 若い彼は、全然貫禄ないねえ。) 大阪や京都の街の様子や、当時の帳場の有様が多少は面白い。 中村鴈治郎が造り酒屋のご隠居で、しまいに愛人宅で心臓発作のため往生する役で出ている。 なお 「小早川」 は 「こはやがわ」 と読むのだそうです。 (ワープロではこの読みでは変換されず、「こばやかわ」 なら変換される。)

余談。 またまたWMC批判ですが。 「アップルシード」 は新潟ではワーナーマイカルの単独上映なので、映画サービスデーに見に行ってみた。 WMCに来たのは久しぶりである。 理由は下にも書いたとおり、ポイントカードもメンズデーもないので、ここでしか見られない映画以外では来ない原則にしているからだ。 さて、「アップルシード」 に割り当てられたホールはかなり狭い。 しかし二重の好条件 (単独上映 + サービスデー) もあってか入りはかなり良く、もう少し広いホールでやってくれないかな、と思った。 他のホールの入りは分からないが、同じ新潟市内のUCIやTジョイでもやっているハリウッド大作などより、一定数の観客が見込める日本アニメのほうが (単独上映ならば) 入りがいい、ということは十分に予測できるはず。 その辺、ちゃんと考えてないんじゃないの?
  それと、向こう1週間の上映スケジュールが印刷されたチラシを見ると、以前は200円の割引券付きだったはずだが、それがなくなっている。 それとは別に各月の上映予定作品を紹介したパンフ――やはり200円の割引券付き――もあったはずだが、おいていない。 代わりにと言うべきか、「Cinema Life」 というフリーペーパー風の小冊子が窓口で渡されたが、割引券の類はどこにもない (ちなみに、Tジョイも同様のフリーペーパーを出しているけど、ちゃんと翌月200円割引券がついているぞ!)。 「読者のコーナー」 なんて観客投稿欄はありましたけど、もっと料金サービスをしろ、なんて意見は載ってませんでした。
  うーむ。 どうもWMCは分かってない! 肝腎なのは映画を安く見られる、ということで、当たる確率の低い懸賞 (しかも賞品にもたいして魅力がない) なんぞをやっても仕方がないのである。 ポイントカードはないわ、メンズデーはないわ、上映予定作品紹介パンフに割引券は付いてないわ、ばら売り回数券は廃止するわ――こういうWMCのセコさは、営業側からすると収益性を高めているつもりなのかも知れないが、実は逆に観客を遠ざけている原因だってことに、いい加減気づいて欲しいんですがね。

50.「アップルシード」 5/1、WMC新潟。 評価★★★ 世界大戦後、人類とバイオロイド (人造人間) との共存する理想社会が作られるが、バイオロイドを憎悪する人間側の動きがある一方で、バイオロイドに生殖能力を与え人類を消滅させようとする策謀が・・・・というような筋書きのアニメ。 基本的には、ヒロインのあり方を見れば分かるように、戦闘美少女ものである。 まあまあの出来かとも思うが、気になったのは、主人公や善玉は全部女であり、男はすべて脇役か悪役という振り分け方である。 それも悪役として最後まで頑張るならともかく、その辺がはなはだ心許ない。 これが戦闘美少女もの制作に従事している筋の日本人男性のある種の共同幻想を表す設定だとするなら、彼らの陥っている観念に私としては懸念を抱かざるを得ない。 こういうことはあんまり真面目に問題にすべきではないのかもしれないが、見ていてかなり気になったことも事実なので。

49.「真珠の耳飾りの少女」 5/1、UCI新潟。 評価★★★ 日本では一般に 「青いターバンの少女」 として知られるフェルメールの名画を素材として、この傑作が描かれるに至った経緯をフィクションとして映画化したもの。 家が貧しいためフェルメール家に女中見習いとして入った少女がフェルメールの目に留まり・・・・というような筋書き。 当時のオランダの風物や街並みが興味深いし、セックスシーンなどではなくあくまで 「モデルを見る」 という限定されたシチュエーションでの官能性描写が悪くない。 画像は、室内シーンも郊外の風景もあくまで絵画的であることにこだわっているようである。

48.「名探偵コナン・銀翼の奇術師」 4/29、UCI新潟。 評価★★☆ 例年のごとく、連休に子供連れで見に行ってみた。 しかし今回のコナンは推理物としての側面は物足りなくて、どちらかというとサスペンス臭が強い。 それでもまあ面白くなくはないが、ハリウッド娯楽大作の真似を日本アニメでやってもしょうがないんじゃないか、とも思いました。

47.「CASSHERN キャシャーン」 4/26、UCI新潟。 評価★★★ 紀里谷和明監督による、毀誉褒貶激しい映画。 架空の時代における戦乱の中、新造細胞によって発生した新人類と旧人類との、そして旧人類内部の戦いと、それぞれの生きる意味の追求を描いた、かなり錯綜した筋書きの作品である。 映像も、一つの場面に複数の画面が充てられるなど、一筋縄ではいかない。 正義と悪が截然と分かれているわけでもない。 その点ではどこか 「エヴァンゲリオン」 を思い起こさせる作りだが、言葉によるメッセージが、一義的な善悪の設定による収斂を用心深く避けているにもかかわらずかなり分かりやすいので、そこで錯綜性が損なわれてしまっているような印象を受けた。 「キャシャーンがやらねば誰がやる」 といった単純なキャッチフレーズでは片づかない映画であることは確かなのだが。

46.「真実のマレーネ・ディートリッヒ」 4/24、シネ・ウインド。 評価★★★☆ 女優マレーネ・ディートリヒを扱ったドキュメンタリー映画である。 私は彼女はあまり好きではなく、出演作も 「嘆きの天使」 と 「モロッコ」 くらいしか見ていないが、このドキュメンタリーは彼女の活動に様々な方向から光を当てており、また当時の映像も可能な限り集成して、あの時代の雰囲気と女優の生き方を明らかにしようとしている。 制作はマレーネの孫だそうで、そのせいで都合の悪い部分はカットしている感じもしないではないが、手間暇をかけて作られたドキュメンタリーとして一見に値する充実した作品になっていると思う。

余談。 ワーナーマイカル、回数券廃止! ワーナーマイカルは1枚1200円のばら売り回数券を出していたが、廃止した模様である。 私が本日(4/21)、新潟大学生協購買部で買おうとしたら、おいてなく、売り子に訊いたら、回数券そのものが廃止されたとのことであった。 ワーナーマイカルは昨年はポイントカードを廃止したが、それに続くサービスの低下である。 これにより、新潟市内の他の二つのシネコンとの差は開く一方である。 すなわち、@他の2つのシネコン (ユナイテッドシネマ新潟とTジョイ新潟万代) がポイントカードを出しているのにワーナーマイカルにはない A他の2つのシネコンにはメンズデーがあるのに、ワーナーマイカルにはない。 この2つの差を何とか埋め合わせていたのがばら売り回数券だったのに、これじゃますますワーナーマイカルから足が遠ざかりそうだ。 実は本日も、新潟市内ではワーナーマイカルの単独上映である 「アップルシード」 を見るために回数券を買おうとしたわけだが、見るのを留保しておくことに決めた。 5月1日の映画サービスデーにまだやっていたら見ることにしよう。 1800円の正規料金じゃ見る気がしないものね。

45.「ディボース・ショウ」 4/19、UCI新潟。 評価★★★ 離婚専門の腕利き弁護士 (ジョージ・クルーニー) が、依頼人の妻 (キャサリン・ゼタ=ジョーンズ) に一目惚れ。 しかし彼女の方は彼のおかげで財産分与もないまま離婚させられたために復讐をもくろんでいる。 はたして恋と打算の行き着く先は・・・・・・。 美男美女の繰り広げる二転三転のエンターテインメントで、まあ値段分の価値はあるだろう。 キャサリンは出産直後はかなり雌豚的になっていたけど、だいぶ美貌が戻ってきましたね。

44.「東京原発」 4/16、UCI新潟。 評価★★☆ カリスマ都知事 (役所広司) が東京に原発を作る、と言いだした。 それを聞いた都の幹部は仰天。 果たして知事の真意は奈辺にあるのか。 折しも、プルトニウムを運送するトラックが爆弾を持つ少年に乗っ取られる。 少年の要求は・・・・・・というようなお話。 発想としては面白い映画なのだが、展開が不十分である。 原発の必要性を説く知事の話を幹部が聞き、その直後に幹部の一人に呼ばれた東大教授によって原発の危険性が明かされるという筋書きは、まるで原発のプラスとマイナスを教科書的に説明しているみたいで、映画的感興に乏しい。 話を都庁舎から外に出してほしかった。 また知事の真意にしても、どうも毒が乏しく、面白みがイマイチ。 もっとブラックな作りを工夫してくれよ。

43.「ドッグヴィル」 4/12、UCI新潟。 評価★★★ 3時間に及ぶ大作だが、ちょっと変わった映画だ。 1900年代初め頃 (ラジオはあるけどテレビはない時代だから、そんなところだろう) のアメリカのちっぽけな町に、ギャングに追われる若く美しい女性 (ニコール・キッドマン) が逃げ込んでくる。 町の人々は協議の結果、彼女をかくまい、その代わりに住民の仕事を手伝ってもらうことにする。 当初は彼女と住民とのあいだに親密な関係が築かれるが、やがて人々は彼女を酷使し、あげくの果てに娼婦の代役までさせてしまう。 そして最後に邪魔になった彼女をギャングに引き渡すことにするのだが・・・・・。 書き割りとなる町は、セットがきちんと作られておらず、舞台の上に白線で平面図が引かれているだけで、映画と言うよりは演劇を連想させる。 しかしアップが多用されるし、俳優の演技も特に演劇風ではない。 最初は退屈しながら見ていたのだが、次第にこの作品のペースに巻き込まれ、最後の場面 (一種のどんでん返しだが) では画面から目が離せなくなった。 「ドッグヴィル=犬の町」 という名称や、最後に残る犬がモーゼスという名前であることなど、寓意に富んだ映画と言える。 ヒロインのキッドマンが陵辱シーン (残念ながら脱いでないけど) を含め様々な表情を見せてくれるから、彼女のファン (私はそうではないが) には見逃せない作品だろう。

42.「きょうのできごと」 4/9、Tジョイ新潟万代。 評価★★ 41に続いて見たのだが、これまた退屈な映画だった。 田中麗奈や妻夫木聡らの大学生の生活を何となく追っているわけだが、筋書きらしい筋書きがあるわけでもなく、しかし座礁鯨が最終的には神秘主義的に扱われているから、一見意図的に筋書きを抜いたように見えて実はどこか安易さもつきまとっている。 私としては派谷恵美の出番をもっと増やしてくれえ、と言いたいのだが。 あと、妻夫木聡、現代風の若者ということなのかも知れないが、どこか悟りきったような表情が私にはあまり好ましくない。 ブ男であることに悩む三浦誠己や、美男であることに悩む松尾敏伸のほうが納得できる。 ・・・・ま、何にしても本日の映画は2本ともハズレだったのでした。

41.「幸せになるためのイタリア語講座」 4/9、シネ・ウインド。 評価★☆ デンマーク映画。 普通のデンマーク人たちがイタリア語を習いながら、途中で恋したり親に死なれたりするという映画。 うーん、退屈だった。 人々の日常を描いているが、筋書きらしい筋書きが希薄で、しかし最後にはカップルが3組出来てしまうというご都合主義もあって、お前何なんだ、と言いたくなってしまう。 一見、作り物の映画を拒否している手法のようでありながら、実は極めて安直なんじゃないか。

40.「イン・ザ・カット」 4/5、UCI新潟。 評価★☆ メグ・ライアン主演のエロティック・サスペンス映画。 ロマコメの女王が新境地?でヌードも披露しているというので話題だが、面白くない。 途中、眠ってしまった。 物書きで教師業もやっているヒロインが、知り合って親しくなった刑事が実は殺人犯ではないかという疑いを抱きながらも付き合いを続けて行くうちに・・・・という筋書きだけど、展開がタルイし、一つ一つのシーンの意味づけがきっちりなされていない。 ベッドシーンもあんまりエロスを感じさせてくれない。 監督兼脚本はジェーン・カンピオンだけど、この人の映画は面白いと思ったことがない。 画像のイメージには見所もあるけれど、物語としての映画を作る才能に根本的に欠けているところがあるのではないか。 

39.「白い巨塔」 4/3、UCI新潟。 評価★★★ 山崎豊子原作になる小説を再テレビドラマ化したものが大ヒットしたため、旧作映画 (1966年作、モノクロ、シネマスコープ・サイズ) が1週間だけリバイバル上映された。 私は原作小説は読んでいるが、テレビドラマは新作旧作とも未見で、映画のほうも見るのは初めてである。 田宮二郎演じる財前五郎・浪速大学医学部第一外科学助教授が、教授選でからくも教授に選ばれるも、誤診で夫をなくした婦人から裁判で訴えられ、こちらもかろうじて勝訴するまでを描いている。 医学界の旧弊な人間関係や医師のモラルを描いた作品として有名だが、助教授の田宮が紙巻きタバコなのに、教授の東 (東野英治郎) が葉巻を吸っているとか、教授に就任した田宮が鼻ヒゲを蓄えて威厳をつけるとか、視覚的にも医学部内部の階層がはっきり見えるようになっている。 田宮の当たり役だから彼がいいのは言うまでもないが、それ以外では、財前の義父・財前又一役の石山健二郎が怪演で面白いし、東教授令嬢役の藤村志保が、メイクの発達した昨今とは違った、昭和30年代の日本女性 (の一部) が持っていた素の美しさを出しているのが、貴重。 土曜日のせいもあってか、客はかなり入っていた。

38.「花と蛇」 3/31、銀座シネパトス。 評価★★★☆ 石井隆監督作品。 団鬼六原作のポルノグラフィーで、R18指定。 著名なダンサーにして社長夫人でもある美貌の人妻 (杉本彩) が、ヤクザの魔手にかかってマゾの世界に落ち込んでいく様を過激に描いている。 あらゆる女は娼婦である、という名文句があるけど、こういう映画を見ているとフィクションの世界ではこの精神を具象化することが可能なのだと実感する。 陰毛を初めとしてありとあらゆる体位を披露している杉本彩の、大胆という言葉を二乗したような演技に敬意を!

37.「女王フアナ」 3/31、銀座テアトルシネマ。 評価★★☆ スペイン映画。 カスティリヤとアラゴンが合併してスペイン王国となり、イザベル女王が君臨した直後の15世紀、大航海時代。 イザベルの娘として生まれ、16歳でフランドルに嫁ぎ、やがて母の死によってスペインの統治者となりながらも、ほどなく狂女扱いされ、老年に至るまでを幽閉されて過ごしたフアナの物語である。 当時のスペインなどを舞台に、王侯貴族の衣裳や暮らしや風俗を見て楽しむには悪くない映画だが、ドラマとして見ると物足りない。 結局、夫を愛しすぎて浮気を赦せず、まつりごとをおろそかにして狂女扱いされた、ということらしいのだが、スペインの歴史にうとい私はこれがどの程度真実なのかは分からないけれども、多分宮廷内部の勢力争いやヨーロッパの他王家の意向など、色々な要素が絡んでいたのではないかしら。 そうした複雑さが感じられないので、物語としてやや単調になってしまっているのである。

36.「ドラえもん――のび太のワンニャン時空伝」 「パーマン――タコDEポン!アシHAポン!」 3/27、UCI新潟。 評価★★★☆ 中2の次男と小3の長女を連れて見に行ったもの。 ここ数年、マンネリに加えて作りに杜撰さが目立ち、末期症状かなあ、と思えていたドラえもん映画だが、今回は25周年で気合いを入れて作ったせいか、結構良くできている。 筋書きや細かいところでの伏線の設定など、大人も楽しめる出来と言える。

35.「花とアリス」 3/22、UCI新潟。 評価★★★ 岩井俊二の最新作。 思いを寄せていた男の子 (郭智博) が頭を打って一時意識を失ったのを見て、自分との間に恋愛関係があったのに記憶を失ってしまったようですねと言いくるめ付き合い始める女高生・花 (鈴木杏) と、それに利用されつつ自分もその男の子に近づこうとする友人・アリス (蒼井優) の奇妙な三角関係を描いた作品である。 設定が現実離れしているけれど、コミカルな少女マンガなのだと思って見ればいいわけで、糞リアリズムを求めてはいけない種類の映画だと思う。 電車の藤子駅の隣駅が野比田(漢字は違ったかも)駅だったり、ヒロインたちの通う高校が手塚高校で文化祭に 「ジャングル大帝」 をとりあげたりするなど、遊び心も見られる。 私としては 「ヒマラヤ杉に降る雪」 「青の炎」 に続いて鈴木杏の姿を見るのを楽しみにして映画館に行ったのだが、彼女、すこし顔がバタ臭くなってきている。 大人になりかけているのだろう。 少女役は今回が最後になるかも知れない。 次は大人の役でスクリーンに姿を見せて欲しい。

34.「イノセンス」 3/19、Tジョイ新潟万代。 評価★★★☆ 押井守のアニメ映画。 以前制作された 「攻殻機動隊」 の続編だそうだが、ワタシは 「攻殻」 は見たものの、内容はほとんど忘れ果てているから、要するに独立したアニメを見るような気分で見た。 スタイリッシュな会話と、ハードボイルドな筋書きが特徴だけれど、恐らくアニメオタクがビデオ化されてから何度も繰り返して見るだろうことを考慮して、画面だとか会話の引用などには色々と仕掛けがありそうだ。 ワタシは映画は原則として映画館で一回だけ、という人間だから、そういうオタク的な見方はごめんだが、まあそれでも結構面白かった。 特に最後は、いたいけな被害者が加害者になり得るという苦いアイロニーが濃厚に漂っていて、お子さま向けの、或いは健全そのもののハリウッド映画のステレオタイプ的な結末とは明快に一線を画しており、大人向けの作品になりおおせている。

33.「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還」 3/15、UCI新潟。 評価★★★ このシリーズ、ずっと長男に付き合って見に行っていたので、シリーズ最終編も二人連れで行ってみた。 3時間を超える長篇だが、まあまあ退屈せずに見ることはできる。 けれども、何か目新しいものに出会った、というような感慨は全然ない作品でもあるのだなあ。 こういう作品がアカデミー賞をとっているうちは、ハリウッド映画もまだまだ、ということだと思うんだけど。 ちなみにフロドって、歌舞伎の義経みたいで、無能な若殿という役どころなのかと思う。 生まれが高貴なので、無能でももてはやされる、みたいな。

32.「グッバイ、レーニン!」 3/9、WMC新潟。 評価★★★ ドイツ映画。 東ドイツに生き、その公式的なイデオロギーに忠実な活動をしてきた婦人が、ある時発作で倒れ、数ヶ月間、意識不明の重体となる。 その間にベルリンの壁は崩れ、東ドイツは西ドイツに吸収合併されて、旧東ドイツ地区にも資本主義の風が吹き荒れる。 やがて婦人は意識を取り戻すが、危うい病状であることに変わりはなく、もし意識不明の間に東ドイツが消滅し、社会主義が敗北したことを知ったら、ショックでどうなるか分からない。 そこで彼女の息子は東ドイツが消滅したことを何とか隠し通そうとする・・・・・・というようなお話。 喜劇的な筋書きだが、どちらかというと喜劇性をモロに正面に出そうというのではなく、一種の人間ドラマ的なリアリズムを重視しているような印象がある。 したがって、ハリウッド映画に慣れた目からすると最初はやや物足りない感じがするのだが、筋が進行するにつれて次第にこの作品のペースというか、味の案配に馴染んできて、こういう作り方もアリだな、と納得できてくる映画だと言える。

31.「月曜日に乾杯!」 3/3、シネ・ウインド。 評価★ フランス・イタリア合作映画。 2002年のベルリン国際映画祭で銀熊賞 (監督賞) と国際批評家連盟賞をとった作品だそうだが、批評家賞などというシロモノを獲得した映画にありがちな退屈きわまりない作品であった。 フランスの田舎町で工場勤務をしている平凡な中年男が、ふとヴェネツィアに旅行するという話で、私としてはヴェネツィアの風景が事細かに描写されるのかと思ってそれを楽しみにして見に行ったのだが、完全に裏切られた。 というか、宣伝が映画の本質を伝えていなかったわけで、その点では↓の29と同じく詐欺まがいのチラシだと文句を付けたくなる。 まず、主人公の中年男がヴェネツィアに出かけるまで、1時間に渡って延々と退屈な田舎町の凡庸な生活が描写される。 ここら辺は、意図的に純文学的、つまり筋書きを排した作り方がなされており、退屈さこそが芸術なのだと言わんばかり。 ようやく主人公がヴェネツィアに出かけても、その点に変わりがあるわけではなく、要するに水の都にも平凡な日常生活しかありませんでした、という映画なのである。 こういう映画に賞を与える批評家に鉄槌を!!  

30.「アップタウン・ガールズ」 3/1、UCI新潟。 評価★★☆ 亡き父が高名なロックギタリストで、その遺産で食っていた脳天気なヒロイン (ブリタニー・マーフィー) が、管財人に全財産を持ち逃げされ、やむをえず大金持ちの娘である8歳のわがまま少女 (ダコタ・ファニング) 付きの女中となる。 葛藤を重ねながらも、やがて二人は似た境遇同士ということで心を開いていく・・・・・というようなお話。 コンセプトは悪くないと思う。 ただ、前半、二人がバトルを重ねるあたりはもっと喜劇的にやってほしい。 そうであってこそ後半の展開が活きてくるはず。

29.「マスター・アンド・コマンダー」 3/1、UCI新潟。 評価★★★ ナポレオンが権勢を振るう19世紀初頭、フランス海軍を撃破するために英国海軍が派遣した軍艦の苦闘を描いた映画。 船長役のラッセル・クロウ主演。 軍艦が帆船だった時代の戦争を描いているところがそれなりに面白く迫力もある。 私としては 『モンテ・クリスト伯』 や 『ロビンソン・クルーソー』 に出てくる帆船の描写を思い起こしながら見ていた。 そういう歴史的な方面に興味のある人にとっては、悪くない映画だと思う。 劇中使われているヴォーン・ウィリアムス作曲 「タリスの主題による幻想曲」 も効果的。 なお、一部で報道されているが (↓のゲンダイネット掲載記事を参照)、この映画の予告編がかなり怪しげな作りになっており、JAROからも指摘を受けているので、用心が必要である。 つまり、予告編を見ると少年兵たちが主役のような印象を持つが、実際の本編はラッセル・クロウなどの大人の男の物語であり、少年兵の話は挿話程度にすぎない。 予告編の製作者は、女性客を引き寄せるために少年の愛らしさをウリにしようとしたらしいが、このあたり、女に媚びを売る最近の日本人の傾向が露骨に出たものであろう。

29の補足 (インターネット・ニュースからの引用)。

 【予告と本編が違うとJAROに指摘された“ディズニー映画” (ゲンダイネット)

 今週末(2月28日)に公開される映画「マスター・アンド・コマンダー」(ピーター・ウィアー監督)が妙なことで話題になっている。予告編の内容が実際の映画(本編)と“大違い”で問題になったというのだ。
 予告編だけを見ると、少年が戦場に駆り出される悲劇を描いた作品のようだが、本編は少年は完全な脇役。軍艦の艦長と乗組員らの男同士の友情を描いた作品になっているのである。
「今の映画は若い女性客をつかまないと大ヒットは難しい。そのため、予告編では“少年”や“泣ける”といったイメージを強調したのでしょう」(映画批評家の前田有一氏)
 配給元のブエナビスタでは「予告編は少年の視点から物語を再構築した内容になっており、実際には映画に登場しない手紙やブローチを使用しています。こういったことについては“本編とは異なる”とJARO(日本広告審査機構)から指摘を受けた」(宣伝担当)という。
 この映画は19世紀のナポレオン戦争下のイギリス海軍を描いた歴史物。主演はラッセル・クロウ。製作費に1億5000万ドルを投じた超大作で、本年度のアカデミー賞には10部門でノミネート。作品賞の最有力にもなっている。
「映画自体は文句なしに面白い。男同士の熱い友情を描いた“男くさい”映画です。オススメです」(前田有一氏=前出)
 映画そのものは何の問題もないのに。 (2004年2月24日掲載記事) 】

 http://news.www.infoseek.co.jp/entertainment/story.html?q=27gendainet0716037&cat=30

28.「ワニとジュナ」 2/28、新潟市民芸術文化会館(にいがた国際映画祭)。 評価★★★☆ 2001年の韓国映画。 日本では全国上映に先駆けての新潟公開だそうな。 字幕はスライドで脇につける方式。 この方式は昨年の映画祭において、「バンジージャンプをする」 で採用され、割りに好評だった。 さて、この映画だが、アニメーターをしている娘 (キム・ヒソン) が一種の三角関係の中で揺れ動くお話である。 彼女は自宅でアニメ作家を目指す青年と同棲している。 しかし彼女には過去に好きになった男が別にいた。 その男とは実は・・・・・というような筋書き。 ヒロインのキム・ヒソンは、日本なら本上まなみみたいな感じで、繊細でもろい美術品のような独特の魅力を持っていて、悪くない。 作品全体も、過去と現在が無媒介に交錯する作りだが、それがこの場合はヒロインの現在と過去の狭間で揺れ動く心情を表現するのにぴったりで、結構効いている。 韓国映画には珍しく (というと語弊があるかな) 品のある作品だという印象。  

27.「パイラン」 2/28、新潟市民芸術文化会館(にいがた国際映画祭)。 評価★★ 2001年の韓国映画。 原作は浅田次郎の短篇 『ラブレター』 だそうな (私は未読)。 親戚を頼って韓国に来た身よりのない中国人の娘が、その親戚がすでにカナダに移住してしまっていたため、韓国に滞在する手段としてやむを得ず書類上韓国人男性と結婚する。 彼女はやがて病気で死んでしまうが、手紙で書類上の夫に感謝の念を残していく・・・・・というような話である。 ・・・・・うーん、私としてはリアリティを感じなかった。 書類上の夫にこんなに純真な気持ちを持つ女性が今どきいるのかなあ。 それにヒロインのセシリア・チャンが美人過ぎるので、なおさら違和感が残る。 映画のヒロインは美人でなければ、というのは私の持論ではあるが、この場合はいくら何でもヒロインがキレイすぎて、薄幸の女性というイメージがどうも湧いてこない。 こんなにキレイな娘だったら、何も洗濯屋さんに勤めたりしないで、女優になったらイイジャン(笑)。

26.「いい人がいたら紹介して」 2/27、市民プラザ(にいがた国際映画祭)。 評価★★★ 2002年製作の韓国映画。 結婚相談所に勤める娘 (シン・ウンギョン) が、担当する青年 (チョン・ジュノ) に何人もの女性を紹介するうちに、いつしか自分が彼に惹かれていき・・・・・というラブコメディ。 結末が予測できるコメディとして、まあまあの出来か。 ヒロインのシン・ウンギョンも魅力的で、ちょっとシム・ウナに似ているけど、シム・ウナには及ばないなあ。 ちなみに作中、映画 「カル」 とシム・ウナの名が出てくる。 うーん・・・・・

25.「西ベイルート」 2/24、シネ・ウインド(にいがた国際映画祭)。 評価★★★☆ 1998年のレバノン映画。 ジアド・ドゥエイリ監督作品。 ベイルートのフランス語系学校に通う高校生タレクを主人公に、西側がムスリム、東側がクリスチャンに分かれてしまうというレバノンの首都ベイルートの内戦を描いた映画である。 1975年頃のベイルートが生々しく捉えられているが、この映画の面白さはそれとともに、生意気な高校生タレクの生き生きとした姿である。 彼の存在によって悲惨な内戦のなかにも人間の生活や楽しみがあるのだという、一片の真実が浮かび上がってくる。 そうした重層性を持つ悪くない作品だ。 

24.「アラク 白ナツメヤシの伝説」 2/24、シネ・ウインド(にいがた国際映画祭)。 評価★★☆ 1998年のエジプト映画。 男たちが出稼ぎに出て女ばかりになった村に一人残った少年アハメドの成長と、従妹との恋愛、そして戻ってきた男たちとの確執を、伝説を背景として描く映画、だそうである。 実を言うと観ていて筋の展開がよく分からなかった。 面白くないわけではないのだが、分からないままに終わってしまった、という印象。

23.「ランタナ」 2/24、シネ・ウインド(にいがた国際映画祭)。 評価★★☆ 2001年製作のオーストラリア映画。 犯罪を背景に、4組の夫婦を描くサイコスリラー、というふれこみだけど、謎解きの方は大したことはない。 4組の夫婦のそれぞれの関係がミソなんだろうけど、どことなく中途半端な感じが残る。

22.「棺桶の中で宙返り」 2/21、シネ・ウインド(にいがた国際映画祭)。 評価★★☆ 1996年制作のトルコ映画。 クルマを盗んだり、公園の孔雀を食用にしたりしてかろうじて生きているホームレスの姿を描いたもの。 実話がもとになっているそうな。 映画としてはさほど面白いとは思わないが、こういう世界もあるのだ、ということを知るのには悪くない。 

21.「チルソクの夏」 2/21、市民プラザ(にいがた国際映画祭)。 評価★★★☆ 今年も 「にいがた国際映画祭」 が始まった。 オープニングに上映されたこの映画を早速見に行ってみた。 佐々部清監督作品。 1970年代半ば、下関に住む女子高校生 (水谷妃里) が、下関と釜山の友好スポーツ大会で知り合った韓国人高校生 (淳評) と恋愛をする話である。 まだ日本人には韓国人への偏見が根強かった時代、そして韓国では夜間外出が禁止され日本文化輸入がタブーだった時代、異国の異性へのほのかな思いから始まって、1年後のスポーツ大会できっと再会しようと約束しあう素朴な、しかし必死なハイティーン同士の愛が観客の胸を打つ。 上質の青春映画というべき作品だ。 今回の映画祭ではオープニング1回だけの上映だが、3月6日から新潟ではシネ・ウインドで上映されるし、4月には東京でも公開される予定である。 なお一つだけひっかかった点を書いておくと、韓国人高校生の母が日本人を嫌っているのは伯父が戦争で日本人に殺されたから、という設定になっているが、朝鮮が日本の植民地だった時代は朝鮮人は日本人であり、したがって戦争にも日本人として徴兵されたはずで、戦争で日本人に殺されるというのは筋が通らないのではないか。 親が日本人を嫌うという設定はいいとしても、もう少し説得的な理由付けがなかったものか。  

20.「ゼブラーマン」 2/19、Tジョイ新潟万代。 評価★★☆ 哀川翔主演のスーパーヒーロー・パロディ映画。 さえない小学校教師の中年男である主人公は、家庭でも妻や娘にバカにされている。 唯一の楽しみは、昔人気薄のために7週で放映打ち切りになったTVドラマのスーパーヒーロー、ゼブラーマンのコスチュームを身につけること。 ところがある夜、その出で立ちで街に出た彼は、地球侵略を狙う宇宙人と戦う羽目になる・・・・・。 大人向けにスーパーヒーロー映画を作るとすると、もはやこうしたパロディ的な方法でないと無理なんだろうなあ、としみじみ感慨を催させる作品である。 傑作だとは全然思わないけど、パロディ意識によって作られた作品であることが分からずにチープさをけなすのは単純すぎる。 世の中の不条理、映画の不条理(?)が分かっている人は、まあまあ楽しめるだろう。

19.「ラブ・アクチュアリー」 2/18、UCI新潟。 評価★★★★ 英国映画。 様々な恋・愛のあり方を描いたオムニバス風の作品。 さほど期待もしないで見に行ったのだが、拾い物であった。 メインになるのは、ヒュー・グラント演じる独身の英国首相が、使用人である下層階級の太めの女の子に恋をする話だが (ここで米国大統領が絡んでくるのは、英国映画人のハリウッドへの対抗意識をうかがわせるものか?)、私としてはむしろ親友の新妻 (キーラ・ナイトレイ――非常に美しい) に恋をしてしまう青年や、病気の弟を抱えているために恋にのめりこめないOL(ローラ・リニー)や、老いてキレかかりながらもヒットを飛ばしてしまうロックンローラーが面白かった。 ジョニ・ミッチェルのヒット曲 「青春の光と影」 が、ミッチェルによって全然違う歌われ方で出てくるのに、へえと思った (これは私の年代の人間でないと分からないかも)。 ローワン・アトキンソンが2回、端役ながら持ち味を活かした役で出てくるのもいい。 いずれにせよ登場人物は多いから、きっと観客ごと、自分の気に入るカップルに出会えるであろう。 

18.「赤い月」 2/16、UCI新潟。 評価★★☆ 原作はなかにし礼で、自分の母が満州から子連れで引き揚げてくる途上での必死な生き方を描いた作品だそうだが、そういうリアリズムだとか歴史的背景だとかを予期して見ない方がいい。 これはヒロインを演じる常盤貴子のためにある映画である。 酒造業者の夫がありながら元恋人の将校と逢瀬を楽しんだり、スパイの青年に熱を上げて青年の恋人であるロシア人女性を密告したり、やりたい放題やっているセクシーな女の半生を、筋書きの整合性やセリフのリアリティは無視して創り上げたB級映画と思えば、腹も立たない。 なお、そういう映画である以上、常盤貴子にはHシーンでもう少し頑張って露出してほしかった、と思いますが。

17.「コンフィデンス」 2/13、UCI新潟。 評価★★ コンマン (詐欺師) 映画である。 が、出だしのパターンを最後でも使うなど、観客を徹底的に騙そうという姿勢が感じられない。 途中の進行もごちゃごちゃしていて分かりやすいとは言えないし、悪の大ボスであるはずのダスティン・ホフマンはあんまり役にあっていないみたい。 というわけで、買えない映画でした。

16.「ニューオーリンズ・トライアル」 2/9、UCI新潟。 評価★★★ 【以下の感想には多少のネタバレがあります。 未見の方はご注意を。】 銃の乱射事件で夫を亡くした未亡人が、売りたい放題の銃メーカーを相手取って訴訟を起こす。 それを支えるのは人権派弁護士 (ダスティン・ホフマン)。 一方、銃メーカー側も辣腕弁護士 (ジーン・ハックマン) を雇って万全の体制を整える。 ところが、裁判の行方を左右する陪審員の票を買わないかという申し出が、未知の女から双方の弁護士に寄せられる。 この女と結託して陪審の行方を左右しそうな謎の男 (ジョン・キューザック) が陪審員に加わっている。 三すくみ状態の中、裁判の行方はどうなるのか・・・・・というような話である。 最後近くまでは非常に面白く、よくできていると感心した。 ただしラストの種明かしは物足りないし、よく分からないところも残る。 謎の男女は双方の弁護士をゆすって、結果としては銃メーカー側からのみ大金を引き出すことに成功したわけだが、人権派弁護士がもし降りないで票を買ってきたらどうなったのだろうか。 また最後での陪審員内の議論は、やむを得ないこととはいえ、あまり説得力がない。 というわけで、いわば咲きかけた大輪の花が七分咲きで終わってしまったような印象の映画であった。 

15.「ロスト・イン・ラ・マンチャ」 2/6、シネ・ウインド。 評価★★☆ 「ラ・マンチャの男」、つまりセルバンテスの有名な 「ドン・キホーテ」 を映画化しようとしてテリー・ギリアムが制作を始めるが、やがて中止せざるを得なくなる、というドキュメント。 金策を初め、もう少し観客が知らない映画界の内実が暴露されるのかと期待したが、さほどでもなかった。 それにしても、オーソン・ウェルズも 「ドン・キホーテ」 を映画化しようとして途中で挫折 (というか死去) しているそうで、この素材、映画監督にとっては鬼門なのかも。

14.「嗤う伊右衛門」 2/4、UCI新潟。 評価★★ 蜷川幸雄監督作品。 試写会に当選したので一般公開前に見ることができました。 NSTに感謝します。 さて、これは有名な四谷怪談をかなり大胆に改作したもの。 原作は京極夏彦の小説だとか。 貧乏ながら格式ある武家である民谷家の跡取り娘・お岩は、病いにより顔の右側がただれてしまう。 しかし世捨て人のごとく生きている浪人・伊右衛門 (唐沢寿明) はそれに構わず婿入り。 やがて二人は深く愛し合うようになるが、かねてからお岩に懸想していた筆頭与力・喜兵衛 (椎名桔平) は策謀をめぐらし、二人を引き裂こうとする・・・・・。 うーん、イマイチうまくできていないような。 まず、お岩と伊右衛門とが当初のきごちなさや心理的な葛藤を克服して愛し合うようになるまでの過程は、もう少し時間をかけて描写する必要があろう。 また、お岩に懸想する与力の策謀ももっとしつこくあるべきだ。 したがって、その他大勢が絡む細かい筋書きは思い切って切り捨てたほうが、映画としてはよくなったはずだと思う。 私は京極夏彦の原作は未読だが、小説と映画は別物。 映画にあってはあまり細かい設定は感興をそぐ結果となる。

13の追記。 映画が面白かったせいか、忘れ物をしてしまった。 あとで気づいて映画館に電話しようとしたが、公衆電話ボックスで番号簿を見ても映画時間案内の番号しか載っていない。 時間案内はテープのアナウンスだけで生身の人間は出ないから、忘れ物の問い合わせができない。 色々調べて、結局UCI新潟がテナントとして入っている建物であるDEKKY401の管理部門に電話し、ようやくUCI新潟事務部の番号が判明した。 このあたり、私と同じようなうっかり人間も多いと思うので、映画館は番号簿にちゃんと時間案内以外の番号も載せておいてほしいものだ。

13.「タイムライン」 1/31、UCI新潟。 評価★★★★ リチャード・ドナー監督作品。 物質電送の実験をしていた会社が、ふとしたことから電送物質が時空を越えて14世紀、100年戦争のさなかのフランスに到着することに気づく。 100年戦争の遺跡を発掘している考古学者がこの装置を用いて700年前にタイムスリップするが・・・・・というような時間旅行のお話。 14世紀の戦争シーンが結構迫力だし、筋書きも、最初の遺跡発掘現場での 「?」 提示に最後でそれなりの解明が与えられるなど、よくできている。 歴史を変えちゃうという蛮勇ぶりもいい。 映画の締めくくりはこうでないといけません。 十二分に楽しめる娯楽大作としてお薦めできる。

12.「ラブストーリー」 1/30、Tジョイ新潟万代。 評価★★★ 韓国映画。 「猟奇的な彼女」 がヒットしたクァク・ジェヨン監督作。 友人が恋する青年に代筆でラブメールを送っていたヒロイン (ソン・イェジン) は、ある日母の書き残したノートを発見し読むうちに、母が若い時分 (ソン・イェジンの一人二役) に親の決めた許婚者からの手紙を代筆していた青年と知り合って恋に落ちた体験を知るが、自分自身も友人が恋する青年に好意を抱くようになり・・・・・というような、2世代に渡って同じきっかけて男女が恋仲になるという筋書きがパラレルに描かれる映画である。 まあまあかなという気がするが、過去と現在のパラレルは割りに見え見えなので、細部にもう少し工夫をして観客を楽しませて欲しいと思う。 例えば、代筆行為は、友人の恋人 (や許婚者) と知り合うきっかけになるだけで、苦労して代筆した手紙やメールの内容が相手にどういうエモーションを催させたのか、というあたりには全然触れられていないのだ。 また、母の代の恋は、親の決めた婚約者がいるという封建的な環境下での出来事だったはずだが、親の抑圧があまり描かれていないので、かえって恋の濃度が希薄に感じられてしまうのである。 恋は禁じられてこそ昂揚するものだから・・・・。 それと、親の代の恋がなぜ実らなかったのか、イマイチよく分からなかった。

11.「精霊流し」 1/30、Tジョイ新潟万代。 評価★★ 長崎育ちの少年が、東京でヴァイオリンの修業を積むため、可愛がってくれた母 (高島礼子) と別れて鎌倉の叔母 (松坂慶子) のもとに移り住む。 やがて成長した彼 (内田朝陽) は、しかしヴァイオリンを断念し自動車工場でのバイトに明け暮れる日々。 叔母は長崎に移り住んで病に倒れるが、その時になって彼は叔母の秘密を知る・・・・・というような話なのだが、芳しくない。 主人公がなぜヴァイオリンを断念したのか (彼がヴァイオリンをやることは愛する母の願いでもあったはず)、その辺をいい加減にすましてしまっているので、全体の話に筋が通らず、単に場当たり的なシーンのつぎはぎという印象しか残らない。 最後の松坂慶子の葬儀にしても、長崎芸者が 「あんな気っぷのいいおなごはおらんばい」 と花代を受け取らずに参加するのだが、その 「気っぷのよさ」 が作中でいささかも描かれておらず、全然説得力がないのである。 日本映画の再生は遠いか・・・・

10.「ジョゼと虎と魚たち」 1/26、UCI新潟。 評価★★★ 現代風に生きている大学生の青年 (妻夫木聡) が、ふとしたことで下半身不随の娘 (池脇千鶴) と知り合って恋に陥るお話。 この種の映画にありがちなテーマ優先の辛気くささや偽善臭はなく、素直に若い男女の出会いと愛と別れを追うことができる。 Hシーンもあるし、Hな会話もあり、その反面でちょっとした切なさも漂っているのがいい。 大傑作だとは思わないけど、一見の価値がある。

9.「初めての恋、最後の恋」 1/24、WMC新潟。 評価★★ 自動車会社勤務の青年 (渡部篤郎) が恋人を会社同僚の友人に奪われ、なおかつ自動車事故でその恋人に死なれ、ショックで仕事が手につかず上海支社に飛ばされる。 しかしそこで出会ったホテル勤務の女性 (シュー・ジンレイ) やその家族と付き合ううちに精神的に立ち直り、なおかつ彼女と恋に落ちるが、彼女は病で限られた命だった・・・・・・というようなお話。 うーん、恋愛譚としては薄味だし、話の進行に偶然が多すぎるのは仕方ないとしても、支社長の石橋凌 (「g@me」 とは逆に、人間味あふれる上司役を演じている) を始め周囲には善意の人間ばっかりで、どうも主人公が甘やかされているという気がした。 映画の脚本家はもっと厳しく日本男児を鍛えませう!

8.「半落ち」 1/23、Tジョイ新潟万代。 評価★★ アルツハイマーにかかった妻を絞殺した警察官の夫(寺尾聡)。 自らも死のうとしながら、二日後に自首した彼は、その空白の二日間に何をしていたのか? そしてなぜその点について黙秘を続けているのか? ・・・・・・・という話なのだが、残念ながら不発に終わった映画と言うしかない。 つまり、一番肝腎の部分、なぜ彼が空白の二日間について黙秘を続けているのかが解明されても、全然説得的に感じられないからなのである。 なんでそんなこと黙ってるの? なんでそれで観客が感動できるの? って感じなのだ。 作る側が完全に勘違いしているとしか思われない。 地元警察、検察、新聞社、裁判所などそれぞれの内部事情やごたごたが絡んでいるのはまあ悪くないし、ワタシ的には検事役の伊原剛志がいいと思ったけど、作品の核心がナッテナイので、どうしようもないのである。 

7.「再見 また逢う日まで」 1/21、シネ・ウインド。 評価★★★ 中国映画。 貧しいながら両親と幸せに暮らしていた兄弟姉妹4人が、事故で両親を失ってばらばらになるけれど、渡米する中国人に引き取られた長女があちらで指揮者として名を上げ、帰国して兄と弟妹を捜し出して感激の再会を果たす、というお話。 ばらばらのきょうだいが割りにあっさり見つかってしまうのが物足りないとか、指揮者として名を上げたはずのヒロインに音楽家らしさが感じられないとか、ツッコミどころはありますが、あんまり細かいことは詮索しないで素直に涙を流しながら見た方がいい映画だと思います、はい。

6.「リード・マイ・リップス」 1/15、シネ・ウインド。 評価★★☆ フランス映画。 難聴のOLが読唇術を活かして、助手として雇った刑務所帰りの青年と共に一儲けする話だが、やや期待はずれの感。 ヒロインは補聴器を使えば普通に声が聞き取れるので、結局読唇術の分だけ能力的には並の人間より上なわけだし、刑務所帰りの青年にしてもあまり粗暴さがなく、意外にナイーヴで優しかったりするので、ハンディキャップと特技の表裏一体感や、履歴上の傷と仕事をする上での軋轢の面白さなどが希薄で、全体としてあんまり買えない出来となってしまっている。 それと、青年の監察役の中年男の話、どうもうまく全体と噛み合っていないような。

5.「ミスティック・リバー」 1/12、UCI新潟。 評価★★ クリント・イーストウッド監督作品。 少年時代の仲良し三人組が、時を経て再会する。 一人は娘を殺された父親として、一人は刑事として、そして一人は容疑者として。 事件の真相はいかに・・・・・というようなお話だが、あまり買えない。 まず、三人は少年時代にある事件に遭遇し、一人がそのせいで心理的なトラウマを背負うのだが、それと大人になってから起こった殺人事件との関係があまりうまく設定されていない。 むしろ、事件後に明らかにされる三人のその後の人生に事件を解くカギがあるので、最初の少年時代の描写が生きてこないのだ。 また、話の進行がまどろっこしく、無駄な描写が多すぎるのも欠点。 もっと省略する技法を学んだ方がいいと思いますけど。

4.「理由なき反抗」 1/6、シネ・ウインド。 評価★★★ 有名な映画だが、記憶が正確なら未見だったと思い、ウインドでデジタル上映されるというので見に行ってみた。 今は伝説となったジェームズ・ディーン主演作。 ハイティーンの無軌道な行動を描いた映画だが、タイトルに反して心理学的な理由付けは十分になされており、これじゃ 「理由ある反抗」 じゃないの、と茶々を入れたくなってしまう。 今から見ると反抗ぶりも大人しく可愛らしく見えるということは、逆に言えば当時のアメリカ (だけじゃないが) 社会の秩序がかなりまとも(?)だったということでもあるのだろう――というような歴史的な見方をすべき段階になっているのじゃないかしらん。 ナタリー・ウッドは横顔がことのほかチャーミングだ。 なお、デジタル上映というので画質が心配だったが、こちらは杞憂。 画面のキメも粗くないし、色も鮮やか。 今はなくなった万代東宝のビデオ上映はひどかったが、あれとは全然レベルが違うので、その点ではウインドの次回以降のデジタル上映に期待が持てそう。

3.「飛ぶ教室」 1/3、恵比寿ガーデンシネマ。 評価★★★☆ ドイツ映画。 小3の娘を連れて見に行ってみた。 有名なエーリヒ・ケストナーの少年小説の映像化だが、時代は原作のように戦前ではなく現代となっているので、それに合わせて設定は色々と変えてある。 原作のギムナジウム生と実業学校生の対立は、ギムナジウム内の寮生と通学生の対立となり (ギムナジウム生と実業学校生というと学歴差別的に見えるからかな)、また今は男女共学だから、男女平等を強調するためかしらん、敵方の統領は女の子(!)となっている。 セバスティアンはクロイツカム先生の息子となり、しかもクロイツカム先生が校長だということになってもいる。 その他、変更点は色々あるのだが、まあ、原作を知る人は原作とどう変わっているかを比較しながら見るのも一興だと思う。 原作の印象的なエピソードはなるべく盛り込むように工夫されているし。 というか、原作との差異を確かめるのが一番正統的な(?)楽しみ方なんじゃないかな。

2.「赤目四十八瀧心中未遂」 1/2、シネマ下北沢。 評価★★ 荒戸源次郎監督作品。 大阪の裏町のボロアパートに住む男女が、赤目四十八瀧に心中行をするが、未遂に終わる話。 この映画、ワタシが昨年11月に上京したときもやっていてそれなりに評判だったが、その時は時間がなく見ることができなかった。 その後も別の映画館に移してやっているようなので今回見に行ってみたのだが、脇役の内田裕也や大楠道代は悪くないと思うものの、肝腎のヒロイン寺島しのぶがどうしようもないブスなので、それだけで失敗作と断じるべき映画になりはてている。 作中、 「きれいな娘(こ)やろ」 なんてセリフも出てくることですし、設定からして絵に描いたような美人である必要はないけれど、「ちょっとキレイだよな」 と思える女優を使わないと映画にならないところを、ブスにやらせちゃあ、おしまいですよ。 親の七光りが最近の芸能界を蝕んでいるとするなら、これはその典型的な例でしょう。 歌舞伎役者を父に、往年の美人女優・藤純子を母に持つという背景がなかったなら、寺島しのぶは間違っても芸能界には入れなかったと思いますね。 おかあさん (今は冨司純子という名ですね) は確かにたいへんな美人だったし、お年を召された今でも魅力的ですが、遺伝というのはなかなか微妙なもので、美人の母からブスの娘が生まれることもあるわけであり、遺憾ながら寺島しのぶはその好例と言わねばならないのですが、そうしたブスを排除する勇気がない監督にまともな映画が作れるはずがないのですね。 

1.「サロメ」 1/2、ル・シネマ(渋谷)。 評価★★★ スペイン映画。 カルロス・サウラ監督作品。 オスカー・ワイルドの戯曲 『サロメ』 をフラメンコの舞踏で表現したもの。 実際に上演されるまでの監督とダンサーの打ち合わせや出演者の経歴なども盛り込まれており、私は舞踏芸術にうとい人間ではあるが、それなりに面白く見ることができた。 預言者ヨハネの首をどう表現するかの工夫も見せ場である。

 

 

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