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 新潟日報 2011年6月21日文化欄掲載

 シネ・ウインド音楽映画特集  芸術家と家族関係に焦点

 シネ・ウインドで音楽映画特集が組まれることになった。『マーラー 君に捧
げるアダージョ』『ナンネル・モーツァルト 哀しみの旅路』『ショパン 愛と
哀しみの旋律』である。

 クラシック音楽ファンはもとより、映画ファンにとっても見逃せない作品群と
言えよう。芸術家像だけでなく、家族関係にも焦点を当てて作られているからだ。

 『ナンネル・モーツァルト』の主人公は、神童として有名なモーツァルトの姉
である。弟に劣らぬ素質を持ちながら、女であるという理由で才能を伸ばせな
かった彼女の悲劇が描かれているのだが、ヒロインと父の関係に注意しよう。娘
より息子を優先する父はたしかに抑圧的ではあるが、他面では娘に様々な気遣い
を見せている。母を含む一家四人は長旅をしながら王侯の庇護を受けつつ音楽家
として暮らしていた。生活の厳しさを知る父は、当時の価値観の枠内でヒロイン
の成長を考えざるを得なかったのである。抑圧と保護という二面性が父の姿に体
現されている。

 『ショパン』には二つの家族が登場する。ショパンの故郷ポーランドに住む両
親と姉、そしてパリに出た彼を愛する女性作家サンドとその子供たちだ。ショパ
ンのサンドとの、そしてその息子と娘との関係は、四角関係そのもので、テレビ
の昼ドラのようにどろどろしている。サンドはショパンと実の息子に振り回さ
れ、いわば手のかかる息子二人を抱える形になる。彼女はこういうタイプの男し
か愛せなかったのかもしれない。けれども、死ぬ直前のショパンを看病し死後そ
の心臓を故郷に持ち帰るのは、実の姉であった。

 『マーラー』はマーラーと妻アルマの関係を描いている。マーラーが精神分析
学者フロイトの診察を受けながら過去を回想するという形で話は進むが、途中で
アルマの母、マーラーの妹、そして同時代の芸術家たちも各自の意見を披露す
る。つまり二人の関係が複数の視点から捉えられているので、観客もそこから自
分なりのマーラー像とアルマ像を作っていくことができるだろう。

 最後になったが、音楽映画としての楽しみも三作品にはたっぷり含まれてい
る。『ショパン』にはショパンの作品が多数ちりばめられているし、『マー
ラー』は第十交響曲のアダージョをメインに使いながら、あるシーンで第五交響
曲のアダージェットに変わるところに注目したい。また『ナンネル・モーツァル
ト』では、ナンネルの作品は残されていないので、特にこの映画のために作られ
たという曲が聴きものである。

 

 

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