映画評2011年

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 2011年に見た映画をすべて紹介。 5段階評価と短評付き。

  評価は、★★★★★=今すぐ映画館に駆けつけるべし (大傑作につき見ないと一生の損)。 ★★★★=十分な満足感が得られる (いい作品だから見てごらんよ)。    ★★★=平均的 (見て損はない)。 ★★=劣る (カネと時間が余ってたらどうぞ)。 ★=駄作 (カネをドブに捨てるようなもの)。 ☆は★の2分の1。

 

177.「映画 けいおん!」 12/30、WMC新潟南。 評価★★★☆ 山田尚子監督によるアニメ。 原作はマンガで、TVアニメにもなっているようだが、どちらも私は見ていない。 某私立女子高の軽音楽部に所属する3年生4人と2年生1人のお話。 ギャグ的な展開を売りにしているようだけど、私には笑えませんでした、が、こういうのが今どきの女の子には受けているわけだな、とは思いました。 5人の登場人物の見分けがつきにくいのが難点。 筋書きとしては、3年生が卒業旅行を計画してロンドンを目的地に選んだけど、なぜか2年生も連れて行っちゃう、ということなんだが、いちばんしっかりしているのが2年生だというのが勘所なのかな、とも思いました。 ロンドンでのいわば珍道中は、それなりに面白い。 総合的に見て、まあまあのアニメではないだろうか。

176.「ラビット・ホール」 12/27、シネ・ウインド。 評価★★★ アメリカ映画、ジョン・キャメロン・ミチェル監督作品。 幼い息子を自動車事故で失い (飼い犬を追って道路に飛び出したのが原因)、そのせいで夫との仲もややおかしくなっている主婦 (ニコール・キッドマン) が、なんとか落ち込みから立ち直ろうと色々な試みをしたり、また偶然、事故の際に自動車を運転していた高校生の少年と出会い、会話を交わすなどしていく様子を描いている。 地味な筋書きだし、エンタメ的なところもないので、見ていて楽しい映画ではないが、それ相応の見ごたえはある。 キッドマンは新しい魅力 (と言ってよければだけど) を見せていて、悪くない。 最後も、無理に解決を見出さないところがいい。

175.「ミッション・インポッシブル W ゴースト・プロトコル」 12/26、UCI新潟。 評価★★★★   アメリカ映画、ブラッド・バード監督作品。 おなじみ、トム・クルーズ主演のミステリー・アクション映画。 今回はドバイの世界一高いビルで、その外壁を伝って他の階の部屋に・・・・というのが売り物。 おまけにトムが自分で演じているそうで、高所恐怖症の気のある私なんぞは見ていてあんまりいい気持ちではないが、エンタメとしてなかなかよく出来ているとは思う。 脇役として登場する女優二人も魅力的。 ただ、トムと配偶者についての作品内での説明は錯綜していて、いまいちよく分からなかった。 あそこについてはもう少しすっきりした作りができなかったのかな、と思う。

174.「ニューイヤーズ・イブ」 12/25、WMC新潟。 評価★★☆ アメリカ映画、ゲイリー・マーシャル監督作品。 あまり見るつもりもなかったのだが、休日で家族サービスということもあり、女房と娘に付き合って見に行ったもの。 NYを舞台に、2011年の大晦日を過ごす様々な男女を描いている。 病院で死にかけている男から、うるさい母親を振り切って男の子とデートしたい女子高校生まで、様々な年齢の男女が登場する。 オムニバス的な映画だから、個々のストーリーには深みはないけど、そこそこ楽しめる程度にはできているし、観客を少しだけトリックにかけるような設定もなされている。 ただし、私個人の趣味でいうと、女優陣に魅力がなさすぎ。 私はヒラリー・スワンクとサラ・ジェシカ・パーカーは嫌いだし (前者は悪役の顔、後者は馬の顔)、それ以外にも 「これ」 という魅力ある女優がいない。 すでに50を過ぎたミシェル・ファイファーが一番まともと見えたくらいだから、最近のハリウッドの女優事情が透けて見えるみたい。 或いは女性向けの映画だから若い美人が登場しないのかなあ。

173.「ワイルド7」 12/23、UCI新潟。 評価★★★ 望月三起也原作のマンガを羽住英一郎監督で実写映画化したもの。 元犯罪者である7人の男たちが、警察の手に負えない凶悪犯を超法規的に処理するというお話。 この映画ではそこに、家族を凶悪犯に殺されたために復讐をもくろんでいる若い美女 (深田恭子) が絡み、なおかつ、悪辣な高級官僚が彼らの前に立ちはだかるという設定。 エンタメとして悪くない出来だとは思うけど、もう少し乾いたタッチで、(特にラストのあたりは)息もつけないくらいのスピード感に満ちた展開をしてほしかった。 悪辣な官僚役の吉田鋼太郎はなかなか味があっていい。

172.「アントキノイノチ」 12/22、UCI新潟。 評価★★ 瀬々敬久監督作品。 軽い吃音ゆえに学校でイジメに合い、また同級生をイジメで亡くしたことから神経を病んでいる若者 (岡田将生) と、やはり強姦で神経を病んでいる若い女性 (栄倉奈々) が、死んだ人の住居の遺物を片付ける会社で出会い、お互いの過去を徐々に理解しながら、そして仕事を通じて死者やその遺族の人間関係などを知ることで、人間的に成長していく話、らしい。 らしい、と書いたのは、脚本の出来が良くなくて、そういう筋書きがすんなり納得できるようにできていないから。 加えて、特に後半は筋の展開がちゃちで、簡単に観客を泣かせようというあざとい意図が見え見えのシーンが多い。 この程度の出来で国際映画祭に出品したそうだけど、日本映画の恥さらしじゃないですかね。

171.「ミスター・ノーバディ」 12/16、シネ・ウインド。 評価★★★★ 仏・独・カナダ・ベルギー合作、ジャコ・ヴァン・ドルマルの監督・脚本。 2092年の未来世界が舞台で、そこでは人間は不死になっているが、死すべき体で生き残った最後の人間である118歳の老人であるニモ・ノーバディ (nemoはラテン語で、英語のnobadyの意味だから、姓も名も同じ意味である) が、医師の催眠術に操られて過去を回想する物語。 ただし、その過去は揺れており、少年時代に離婚する父母のいずれについていくかによって運命は変わるのであり、またそのほかにも色々な局面で複数の選択肢が提示され、人間の人生が不確定なものであるという事情が映像で示されていく。 また、主人公の学識や趣味によって、火星旅行や、宇宙のビッグバンにより時間が次元として生じたという科学的な説明が筋書きにたくみに織り込まれており、見ていて飽きない作品となっている。 主人公やその恋人が年齢別に複数の俳優によって演じられており、俳優の多様さも魅力の一つ。 映画というジャンルの持つ特性を最大限に活かしているところをほめるべきであろう。

170.「カンパニー・メン」 12/14、UCI新潟。 評価★★★★ アメリカ映画、ジョン・ウェルズ監督作品。 MBA( 経営学修士) 号を持ちエリート社員であった男が、ある日突然解雇されてしまい、最初はそれでもすぐ再就職できるだろうと楽観的に構えていたものの、それもままならず、所有していたデラックスな車を売り、ローンが残る邸宅を売り、妻子と共に自分の実家に居候する羽目になる・・・・・というお話。 リーマン・ショック以降の経済不況を背景としていて、ハリウッド調のところもあるけれど、日本のサラリーマンの心情にも十分通じるところがある人物や筋書きが用意されていて、また主人公以外にも解雇に悩む男たちの姿が描かれており、悪くない映画である。 また、主人公は職が見つからないままに、それまで折り合いが悪かった妻の兄のやっている大工仕事を手伝うことになるが、ここで義兄を演じているケヴィン・コスナーが、だいぶ老けたなあとは思ったけれど、なかなか味があって、この映画の奥行きを深めているのも見もの。 新潟の映画事情には苦情ばかり言っている私だが、こういう作品を上映したユナイテッド・シネマ新潟を賞賛しておきたい。

169.「ゴーストライター」 12/9、UCI新潟。 評価★★☆ 仏・英・独合作、ロマン・ポランスキー監督作品。 英国の元首相を務めた人物 (ピアース・ブロスナン) の自伝のゴーストライターを依頼された主人公 (イアン・マクレガー) が、最初はふつうに仕事をしていたものの、やがて元首相の経歴に不審な点があることに気づき、さらに自分の前にゴーストライターをしていた男が怪しい死に方をしていることから、それとなく調べていくと・・・・というようなお話。 最初のあたりはなかなか面白いのだが、途中中だるみというか、話がスムースに進まず停滞するような印象がある。 また、最後のあたりの展開も何となく安易で、緻密な組み立て方で作られているのではなく、思い付きを並べているのではないか、という気がしました。

168.「さよならをもう一度」 12/8、Tジョイ新潟万代。 評価★★★ アメリカ映画、アナトール・リトヴァク監督作品、1961年。 「午前10時の映画祭」 にて鑑賞。 サガンの 『ブラームスはお好き』 が原作で、パリを主舞台に、離婚歴があり室内装飾家の仕事をして暮らしている中年婦人 (イングリット・バーグマン) が、同じような経歴の中年ビジネスマン (イヴ・モンタン) と結婚せずに付き合いながらも、相手の遊び癖に悩まされ、仕事で訪れた邸宅の青年と知り合い求愛されて悩む様子が描かれている。 ヒロインの生き方は今から見るといささか窮屈な感じで、特にこの場合、パートナーである中年男が若い女の子と遊びまくっているのだから自分もテキトーに若い男と遊べばいいじゃないかという気がするのだが、それが素直にできないところが時代性なのかなあ。 なお、ブラームスの交響曲第3番の第3楽章がテーマソングのようにしばしば使われていて、ヒロインと青年が実際にコンサートに行くシーンもあるのだけれど、途中休憩時間に外の店で飲食をしていて遅れてしまい、ホールに戻ったらちょうど第3楽章をやっているというふうになっていて、第1・2楽章を聴けないくらいに長話をしていたのか、と突っ込みたくなりました(笑)。

167.「朱花(はねづ)の月」 12/3、シネ・ウインド。 評価★☆ 河瀬直美監督作品。 河瀬監督の映画はこれまで何本も見てきて、それなりに面白いところがあると思っていたが、前作の 『七夜待』 はさすがにちょっと安易なんじゃないかと感じたし、今回のこの映画ははっきり言ってかなりひどいなという評価である。 恋の話らしいんだけど、ヒロインが全然恋をしているようには見えない。 もともと現実的な人間関係を描くことは河瀬監督は得意ではないというか、そういう方向には才能がない人だと思うんだけど、この映画では無理に言葉や風景を介して現実的な男女に恋を語らせようとして、見事に失敗している。 エラリー・クイーンの 『ドルリー・レーン最後の事件』 にひきつけて言うなら、色を見ることができない人間が色を説明しようとしているみたいな奇妙さが漂っている。 

166.「未来を生きる君たちへ」 12/3、シネ・ウインド。 評価★★☆ デンマーク・スウェーデン合作、スザンネ・ビア監督作品。 アカデミー賞とゴールデングローブ賞の外国語映画部門をダブル受賞した映画だそうである。 が、私はこの監督の映画は、今まで2本見たけど、どうも相性が悪くて、それは今回も同じだった。 アフリカで国境なき医師団の一員として活動するデンマーク人医師の職業上の苦悩と、彼の息子が学校でイジメに会う話とが平行して語られている。 たしかにどちらの問題もそれなりに深刻であろう。 それに取り組んだ監督の意図は良しとしたい。 しかし、筋書きはどちらの話でもかなり甘くて、学校の話ではイジメっ子ってこんなに簡単にイジメをやめるかなあと首をひねったし、アフリカなら部族抗争などはもっと深刻だし場合によっては医師も命を狙われかねないと思うんだけど、そこまで描いてはいない。 現実の厳しさに比較して、この映画はあまりにご都合主義的で楽観的で、それは監督の現実把握能力に疑いの目を向けさせるに十分である。 こういう映画に賞を与える人たちの気が知れない。 

165.「おじいさんと草原の小学校」 11/30、UCI新潟。 評価★★★ 英国映画、ジャスティン・チャドウィック監督作品。 ケニアを舞台に、かつて英国の植民地だったケニアの独立のためにマウマウ団の一員として戦い、今は80代になる老人が、小学校に入り、小さな子供たちに混じって読み書きを習うというお話。 しかし彼の周囲の大人たちは揶揄したり、彼が欧米ジャーナリストに取材されるとカネをもらっただろうと言いがかりをつけて金銭を要求するなど、学習の道は必ずしも平坦ではない。 またそういう現在と、ケニア独立のために戦い、英国側から妻子を殺されたり拷問にかけられたりした過去もしばしば映像として登場するので、タイトルから想像されるようなほのぼの色に染まった映画では必ずしもないが、ケニアの歴史や、英国が過去に何をやっていたかを知るためにも、一見の価値があるだろう。

164.「悪女の季節」 11/27、神保町シアター。 評価★★☆ 岡田茉莉子特集の1本。 渋谷実監督作品、1958年。 ケチな金持ちの老人(東野英治郎) を内縁の夫に持つ妻 (山田五十鈴) は、財産狙いもあって表向きまめまめしく仕えているが、内縁の夫は老齢に似ず元気いっぱいでなかなかあの世に旅立ちそうにもない。 そこで彼女は何とか夫を亡き者にしようとするが、なかなかうまくいかず、また実の娘 (岡田茉莉子) も義父の財産狙いで家に舞い込んできて・・・・・というコメディ。 設定はなかなか面白いのだが、喜劇のわりにはあまり笑えなかった。 特に後半の展開がちょっと無理筋というか、あまりに突拍子がなさすぎて、ちょっとどうかと思う。 またこの映画の岡田茉莉子は、あまり魅力的に撮れていない。 悪女だから仕方がないかもしれないけど、悪女なりに男を悩殺するように撮ってくれないとね。 

163.「いちご白書」 11/26、新宿武蔵野館。 評価★★★ アメリカ映画、スチュアート・ハグマン監督作品、1970年。 日本では映画そのものより、荒井由実の作詞作曲によりフォーク・グループのバンバンが歌ってヒットした 「いちご白書をもう一度」 で名が知られるようになった作品。 私も未見だったが、上京したら新宿でリヴァイヴァル上映していたので見てみた。 (チラシにも、「あの伝説的青春映画をもう一度」 と、「いちご白書をもう一度」 を意識した文句が踊っていた。) コロンビア大学で実際に起こった紛争をもとにした映画だそうである。 大学当局が敷地を拡張しようとするが、そこに子供のための公園があったことから、学生たちが反対運動に立ち上がり、学長室を占拠して、最後には立てこもった体育館に州兵により催涙弾を打ち込まれてごぼう抜きにされるまでを描いている。 主人公の男子学生は必ずしもハードに政治的姿勢を打ち出すタイプではなく、何となく学生運動のなかに入っていき、そこで出会った女子学生に恋をする。 アメリカだけではなく、当時のフランスや西ドイツや日本に共通した学生運動の雰囲気が漂っていて、あの頃を知っている世代 (私もその一人だが) には懐かしい感じがする。 学生側にシンパシーを持ちながら作品化されているけど、コチコチに彼らに感情移入するところまでは行っておらず、まあ程よい青春映画かな、というのが感想である。

162.「くたばれ愚連隊」 11/26、シネマヴェーラ(渋谷)。 評価★★☆ 鈴木清順監督特集の1本。 1960年作。 両親を知らず東京の下町で似たような境遇の仲間たちと暮らしていた青年 (和田浩治) は、実は自分が淡路島の大地主の跡取りだと知る。 妾腹だが、ほかに跡継ぎがいなかったのだ。 淡路島の大邸宅に住む祖母のところに引っ越したものの、窮屈さを嫌う彼は周囲とごたごたを起こすばかり。 ところがそこに、土地を狙う悪徳業者がやってきて、しかもそのボスの情婦は彼の実の母であり・・・・・というようなお話。 しがない青年が金持ちの旧家の跡取りという設定は面白いのだが、主役の和田浩治はあまり風格がなく、顔は何となく石原裕次郎に似ているけど裕次郎ほどの存在感は無論持ち合わせておらず、その辺がネックになっている作品のような気がする。 石原はもちろん、小林旭や赤木圭一郎に比しても和田は映画俳優として名が知られているとは言いがたいが、それも道理という印象だった。

161.「悪太郎」 11/26、シネマヴェーラ(渋谷)。 評価★★★ 鈴木清順監督特集の1本。 モノクロ、1963年作。 大正時代を舞台に、神戸の私立旧制中学を放校になった主人公 (山内賢) が、東京に行くつもりが母 (高峰三枝子) に騙されて山陰の田舎町の公立中学校長 (芦田伸介) 宅にあずけられ、その公立中学に通うことになるというお話。 話は田舎中学の野蛮な上級生たちとの対決や、医者の娘であるマドンナ (和泉雅子) との恋愛などを中心に展開される。 原作は今東光の半自伝的な小説だそうで、ちょっと漱石の 『坊ちゃん』 的な味もあり、また無鉄砲な主人公の生き方がなかなか痛快で、悪くない映画だと思う。

160.「サルトルとボーヴォワール 哲学と愛」 11/26、ユーロ・スペース(渋谷)。 評価★★ フランス映画、イラン・デュラン・コーエン監督作品。 かつて知識人の代表格として一世を風靡したフランスの哲学者サルトルと、彼と結婚をせずに自由な関係を続けた女権論の大立者ボーヴォワールとの関係を、ボーヴォワールの視点から描いた映画。 映画だし、さほど哲学的な深みや思想的な展開を期待していたわけではないが、それにしてもかなり表面的なところを徘徊した作品だと思う。 高学歴の男女の結びつきというより、要するに若く無軌道な男女の、テキトーな言い訳をくっつけた野獣的な結合と言ったほうがよく、まあこの映画はもしかしたらそういう意図で作られたのかも知れず、或いはサルトルとボーヴォワールの関係だって煎じ詰めればそういうものだったのかも知れないのだが、とにかく見ていて映画的な面白さもさほどないし、無論哲学的な面白さもないので、カネの無駄だったかなあという気持ちになってしまった。 サルトルが日本でもてはやされたのは1950年代から70年代の頃だったと思うけど、50〜70年代も遠くなりにけり、といったところか。 なお、カミュやポール・ニザンなども登場するが、文字通りの脇役で、彼らのサルトルとの関係がこれで分かるなどと期待してはいけない。

159.「舞姫」 11/26、神保町シアター。 評価★★★ 成瀬巳喜男監督作品、1951年、モノクロ、川端康成原作。 当時18歳だった岡田茉莉子の映画デビュー作だそうである。 舞台は戦後間もない頃の鎌倉で、鎌倉にそれなりの地所をもっていた家の娘だった高峰三枝子は、むかし自分の家に書生として住み込んでいて現在は大学教授になっている夫・山村聡、および息子と娘 (岡田茉莉子) と暮らしているが、夫が家計にカネを入れてくれないので土地を切り売りし、またバレエを教えながら何とか暮らしている。 夫との仲はうまくいっておらず、昔愛し合いながら結ばれなかった男と友人づきあいを続けている・・・・という筋書き。 高峰三枝子が夫と男友達との間で揺れ動くのがメインの筋書きだが、岡田茉莉子のバレエシーンもあり、またカネに困っている高峰三枝子に不動産屋の男がうまい話をもちかけながら横恋慕したりと、桜の園的な側面もある。 各人物の動きを大げさでなくしかし典型的に描き出す成瀬監督の腕はなかなかだが、話の終わらせ方はやや強引な気もする。

158.「スリーピングビューティ 禁断の悦び」 11/25、シネマート新宿。 評価★★ オーストラリア映画、ジュリア・リー監督作品。 原作は川端康成の 『眠れる美女』 で、この小説はこれ以前に日本で2度、ドイツで1度映画化されているが、私はドイツ映画版を数年前に見ただけである。 で、このオーストラリア版だが、原作では老人が若い全裸の美女と添い寝するという話で、つまり老人が主人公なのだが、この映画では若い女学生が主役で、彼女が色々なアルバイトをやるうちに、全裸で眠っている最中に老人にもてあそばれる (ただし性行為そのものは禁止) というバイトに行き着くという筋書きである。 肝心のところに行くまでが結構長く、また本来この原作のテーマである老人の性から逸脱しているだけでなく、肝心なのはヒロインの生き方のように構成されているので、その意味でも原作から逸脱しているという気がする。 まあ、逸脱していても面白けりゃそれでいいのだが、ヒロインの全裸が見られる以外は特にこれといって面白みがない映画なので、製作側の読み違い(?)にがっかりしてしまうのである。 

157.「野獣の青春」 11/25、シネマヴェーラ(渋谷)。 評価★★★ 鈴木清順監督特集の1本。 1963年作。 刑事が商売女と心中しているのが発見される。 しかし実は殺人なのではないかと疑う元刑事 (宍戸錠) が、ギャング団にひそかに潜入して、その活動を助けるふりをしながら真相を解明しようとする、という筋書き。 アクションシーンだとか、ギャング団の内部の人間模様や個性的な手下など、色々見せどころはあるが、やはりこの映画の一番の勘所は刑事心中の真相と真犯人であろう。 意外な黒幕が最後に明らかになる。 下手なミステリーよりよほどよくできている。

156.「花と怒涛」 11/25、シネマヴェーラ(渋谷)。 評価★★★ 鈴木清順特集の1本。 1964年作。 大正時代、肉体労働者をまとめる役目のヤクザ (小林旭) を中心として、対立する組同士の争いや、彼の隠し妻 (松原智恵子) や彼に惚れている芸者 (久保菜穂子)、彼を付け狙う殺し屋 (川地民夫) らが入り乱れての物語。 ただ、主役のわりには小林旭はあまり活躍せず、芸者に助けられたりして、脇役のほうが目立つ作りになっている。 意図的にそうしたのか、或いは結果的にそうなったのかは知らないが、何となく小林旭は冴えない感じ。 それから、最初に流れる配役を見ていたら、山本陽子の名前が。 あの山本陽子なのかと思ったら、果たしてそうで、ただしここでは芸者衆の一人でセリフもない端役なのだが、そのわりには映る時間が長いのである。 美貌ゆえであろう。 はっきり言ってヒロイン二人を美貌で凌駕している。 ウィキペディアの記述を信じるなら、これが彼女の映画デビュー作だったらしい。

155.「やがて来たる者へ」 11/25、岩波ホール(東京・神保町)。 評価★★★☆ イタリア映画、ジョルジョ・ディリッティ監督作品。 第二次大戦末期、北イタリアがドイツ軍に占領されていた時代、その地域の小さな村で住民たちがドイツ軍に皆殺しにされる事件を扱っている。 ここでは、或る事情から口がきけなくなった少女マルティーナを視点人物に設定し、村の住民たちの暮らしぶりを淡々と描く一方、パルチサンで活動しているイタリア人たちの様子、そしてそれを追ってやってくるドイツ軍兵士たちの暴力的な振る舞いを映し出している。 史実では住民は皆殺しにされ一人も生存者はいなかったらしいが、この映画では敢えて視点人物の少女 (なかなか可愛い) と、生まれたばかりの弟は生き残るという筋書きになっている。 単に事件をそのまま描くのではなく、一種の寓話としても見られるようにと考えられているようで、その意図は成功していると思う。 これまた新潟でも上映して欲しい作品だ。 (そもそも、『ゲーテの恋』 や 『やがて来たる者へ』 がいまだに新潟市の映画館で上映予定もないという事実からして、いかに新潟市が映画後進地域であるかが分かろうというものだ。新潟市の映画館関係者よ、しっかりしろ!)

154.「ゲーテの恋  君に捧ぐ 「若きウェルテルの悩み」」 11/25、TOHOシネマズ・シャンテ(日比谷)。 評価★★★★ ドイツ映画、フィリップ・シュテルツル監督作品。 小説 『若きウェルテルの悩み』 が文豪ゲーテ自身の恋を材料にしていることは広く知られているが、この映画はそのゲーテを主人公として、『ウェルテル』 に登場するロッテのモデルとなったシャルロッテ (ロッテはシャルロッテの短縮愛称形) との出会いと別れ、そして 『ウェルテル』 が書かれた事情などが描かれている。 必ずしも事実に即しているわけではなく、また 『ウェルテル』 に忠実な映画でもないが、虚実を織り交ぜて展開される18世紀後半のドイツ小都市を舞台とした若い男女の恋愛模様や、当時の裁判所での仕事の様子などはなかなか興味深いし (ゲーテは法学部を出て、当初は裁判所に勤務した)、主役二人は外見的にも魅力的だし、ドイツ映画には珍しく娯楽としても良くできていると思う。 これだけ見て 「ゲーテのことが分かった」 と思い込むのは危険だが、ゲーテを知るきっかけにはなるだろう。 新潟でも上映して欲しい。

153.「クロエ」 11/24、三軒茶屋中央。 評価★★☆ カナダ・アメリカ・フランス合作、アトム・エゴヤン監督作品。 ヒロイン (ジュリアン・ムーア) は医師で、大学教授の夫、および一人息子と満ち足りた生活を送っていた。 しかしあるきっかけで夫が浮気をしていないか疑問を持ち、たまたま出会った若く美しい娼婦 (アマンダ・セイフライド) に夫を誘惑するよう依頼する。 娼婦の報告を聞いて、夫にも浮気の虫がひそんでいると気づいたヒロインは・・・・。 途中まではそれなりに面白いんだけど、半ばあたりでからくりが分かってしまって、そうなるともう面白さが維持できない映画。 つまり、文字通りの娯楽で、暇つぶしにはいいかなという程度。

152.「らぶれたあ」 11/24、シネマヴェーラ(渋谷)。 評価★★ 鈴木清順監督特集の一本。 1959年、モノクロ。 都会に住む若い女性(筑波久子)は雪山で知り合った青年と恋愛し、今も彼からの手紙を心待ちにしているが、或るとき別れの手紙が。 あきらめきれない彼女は雪山に向かい、彼と再会を果たすが、彼の様子がどうも変・・・・。 ミステリー調の、1時間に満たない作品で、真相はわりに単純。 物足りない。

151.「すべてが狂ってる」 11/24、シネマヴェーラ(渋谷)。 評価★★★ 鈴木清順監督特集の一本。 1960年、モノクロ。 母と二人暮らしの青年 (川地民夫) は、母 (奈良岡朋子) が裕福な紳士 (芦田伸介) の囲われ者になっていることが気に入らない。 それやこれやで他の若者たちと遊び呆けたり、盗んだ車を売ろうとしたり無軌道な暮らしをしているが・・・・。 主演の川地民夫は、ふつうなら主演になるような容貌ではないが、この場合はさえないマザコン青年を表現するのにちょうどいいということなのだろうか。 むしろ彼に近づこうとする若い女 (禰津良子) や、付き合っている男に妊娠させられて中絶するカネほしさに上記の紳士を誘惑しようとする娘 (中川姿子) が魅力的。 また吉永小百合が、「新人」 という注を付けられて最初の配役に出てきて、映画の中では2シーンだけに登場するところも面白い。 重役令嬢という役だが、当時から吉永のイメージはそういう感じだったんだろうな。 

150.「たまたま」 11/23、新宿武蔵野館。 評価★☆ 小松真弓監督作品。 1時間弱で千円均一の映画だが、失望した。 筋書きらしい筋書きはなく、蒼井優がアイルランドを彷徨する様子を詩的に捉えたつもりの作品らしいけど、映像ポエムとしてはきわめてヘタクソである。 言葉の選択もセンスがよくない。 監督はCMを手がけてきた人らしいけど、もっと勉強してください。 

149.「水曜日のエミリア」 11/23、ギンレイホール(飯田橋)。 評価★★★☆ アメリカ映画、ドン・ルース監督作品。 既婚の弁護士と恋愛し、いわば略奪婚を果たした若い女性(ナタリー・ポートマン)。 しかし前妻との間の息子が残り、この子供との関係を築くのに苦労。 おまけに自身も妊娠・出産するが、生まれてきた子供はあっけなく突然死してしまう。 またヒロインの両親も離婚していて・・・・・と家族のごたごたの中で右往左往するヒロインの姿を描いている。 とりとめもないような筋書きだが、アメリカの家族の姿を捉えているというところと、その中で苦労する美人妻の悪戦苦闘ぶりがそれなりに印象的だ。 また医師である前妻の性格のきつさも、なかなか。 新旧二人の妻と息子にはさまれて苦労する弁護士も大変だなと思っちゃう映画。 

148.「サラリーマンNEO 劇場版(笑)」 11/20、WMC新潟。 評価★★★ 吉田照幸監督作品。 業界最下位のビール会社に入った若者 (小池徹平) が、ひょんなことから新製品開発のリーダーとなり、業界首位の会社を追い抜く製品を生み出すために仲間たちと四苦八苦する、というお話。 原作はNHKのコント番組だそうだが、テレビをあまり見ない私は未見。 ギャグがちりばめられた軽い作品だが、こういうタイプのギャグに笑える人には――私の周囲では結構笑い声が上がっていた――悪くない映画だと思う。 私はあんまり笑えなかったんですがね。

147.「マイキー&ニッキー」 11/19、シネ・ウインド。 評価★★★★ アメリカ映画、イレイン・メイ監督作品、1976年作。 日本では刑事コロンボとして有名であり先ごろ亡くなったピーター・フォーク主演作ということでリヴァイヴァルされたらしい。 ピーター・フォーィ演じるマイク (マイキー) は友人のニック (ニッキー、ジョン・カサベテスが演じている) に呼び出される。 ニックはギャングからカネを奪い、復讐を恐れてホテルの一室に閉じこもっているのだ。 そんな友人をマイクは連れ出して逃亡させようとするのだが、実はマイクはギャングから依頼されて友人ニックを殺し屋の手に渡そうとしていた・・・・。 二人の友人の、友情と疑心暗鬼と裏切りのはざまで揺れ動く一夜の心情や行動を、濃厚なタッチで描いていて、筋書きからすると単調なようだが、画面から目を離せなくなるような面白さがある。 刑事コロンボとは別のピーター・フォークを知るためにも是非。 

146.「ふたりのヌーヴェルヴァーグ ゴダールとトリュフォー」 11/18、シネ・ウインド。 評価★★★ フランス映画、エマニュエル・ローラン監督作品。 いわゆるヌーヴェルヴァークを主導した二人のフランス人映画監督ゴダールとロリュフォーを取り上げたドキュメンタリー。 『大人はわかってくれない』 で1959年に鮮烈なデビューを果たし、その直後に 『勝手にしやがれ』 でやはり衝撃的なデビューを飾ったゴダール。 しかし1968年のパリ五月革命を境として、政治化するゴダールとあくまで芸術としての映画にとどまろうとするトリュフォーは、袂を分かつ。 私はヌーヴェルヴァーグにはあまり興味を持たない人間だが、パリ五月革命で二人が別れていくあたりは、何となく納得した。 あの頃は何でも政治に結びつけられていたっけね。

145.「マネーボール」 11/14、UCI新潟。 評価★★★ アメリカ映画、ベネット・ミラー監督作品。 アメリカ大リーグのアスレチックスのゼネラル・マネジャーに就任した男(ブラッド・ピット)が、限られた予算の中で、出塁率の高い選手を安いお金で移籍させ、地区優勝を勝ち取るまでのお話。 カネの力で有力選手を集める金持ち球団とは違うやり方でチームを強くした男、というところが売りらしい。 実話がベースになっているそうな。 そこそこ面白いとは思うけど、マネージャーと監督、監督と選手などの人間関係があんまり描かれていないのが物足りない。 ビジネスライクに出塁率の高い選手を集めれば勝てるというなら、とっくにワールドシリーズで優勝していてもいいはずだが、地区優勝どまりである以上、理論的に完全に成功したとは言えないんじゃないだろうか。 あと、選手は割り切ってどんどん移籍させるのに、なぜ自分はレッドソックスから話があっても行かなかったんだろうか。 チームに固執しているとすれば、選手へのビジネスライクな態度と矛盾していると思うけど。

144.「アンダーグラウンド」 11/11、シネ・ウインド。 評価★★★☆ 1995年製作、仏・独・ハンガリー合作、エミール・クストリッツァ監督作品。 実は以前見たことをすっかり忘れていて、今回も最後近くまでそのことに気づかず、しかしラストシーン (これがまたすごい!) を見てようやく、あ、これ前に見たっけ、と思い出した次第。 まあ、私のうかつさはともかくとして、ナチス・ドイツ占領下のセルビアでレジスタンスするために地下に隠れた人々が、その後戦争はとっくに終わっているのにそのことを知らず、チトーの社会主義政権時代、そしてチトーが死んで・・・という時代の変遷に気づかずにいるというお話。 なんだけど、この映画の魅力は筋書きからは分からない。 とにかく映像と奇想で勝負の作品なので、劇場でごらんいただきたい。 本当は★4つにしたいところだけど、2時間50分という長尺の映画で、特に途中の地下での結婚披露宴シーンが延々と続くところがいささか退屈なので減点。 20〜30分削ったほうがいい作品になったんじゃないかなあ。

143.「黄色い星の子供たち」 11/10、シネ・ウインド。 評価★★★★ 仏・独・ハンガリー合作、ローズ・ボッシュ監督作品。 第二次大戦でナチス・ドイツに占領されたパリ。 フランス側はドイツの歓心を買うためにユダヤ人狩りを自ら行う。 タイトルの 「黄色い星」 とは、ユダヤ人が服の胸に付けることを義務づけられていた黄色い星印のこと。 1万人以上のユダヤ人が男女老若を問わず検挙され、劣悪な環境下でしばらく放置されたのち、ポーランドの絶滅収容所に送られて・・・・。 この映画はそうした史実を描きながらも、同時にユダヤ人たちをかばおうとしたり、ひどい条件で収容され病気に倒れたユダヤ人たちの看護をしたフランス人たちの姿をも捉えている。 最後はちょっと映画ちっくでハッピーエンドになってしまうところが玉に瑕だが、従来十分に知られていなかった歴史的事件を知るためにも一見の価値があろう。 なお、類似したテーマの映画としては、ルイ・マル監督の 『さよなら子供たち』(1987年) がある。

142.「一命」 11/4、UCI新潟。 評価★★★ 三池崇史監督作品。 1962年の 『切腹』 という映画のリメイクだそうだが、そちらは私は見ていない。 関が原の戦いからしばらくしてからの江戸を舞台に、食い詰めた侍が金銭目当てで申し出る狂言切腹と、それを申し出られた上級侍の屋敷の対応を中心に、武士の倫理観や格差をテーマにしている、らしい。 少なくとも前半は筋書きが面白くて悪くない。 ただ、見ていて主役側の理屈が必ずしもすんなり納得できるとは思えず、わざわざリメイクする意味が現代においてはよく分からなくなっているのではないかという気がした。 もっとも原作も未見なので、1962年当時に原作がどういう意味を持っていたかは、今のところ不明なのであるが。 俳優では、市川海老蔵がなかなかカッコいい。

141.「ミッション: 8ミニッツ」 11/1、WMC新潟。 評価★★★★ アメリカ映画、ダンカン・ジョーンズ監督作品。 アメリカ軍の一員として中東に派遣されていた大尉 (ジェイク・ギレンホール)。 ところが気づくと、シカゴ郊外をシカゴ駅に向かって走る列車の中にいた。 しかも相席の若い女性は知らない名で自分を呼ぶ。 やがて列車は爆弾テロに会うが、意識を取り戻した彼は自分に重大な使命が課せられていることを知る・・・・。 タイムマシンものの変形的なお話であるが、タイムマシンそのものは出てこず、或る科学的なプログラムによって8分間だけ事故に会う直前の列車内に戻れるという設定。 それが繰り返されていくうちに爆弾テロの張本人が突き止められるのだが、この映画はそういう謎解きだけに終わっておらず、主人公の生き方そのものも問題になっている。 ダラダラと間延びした映画が多い昨今、斬新な発想をもとに1時間半で充実した展開がなされており、映画を見慣れた人にも、そうでない人にも、お薦めできると思う。

140.「ステキな金縛り」 10/30、WMC新潟。 評価★★★ 三谷幸喜監督作品。 故人となった父は立派な弁護士だったが、自分はドジばかり踏んでいて後がない女性弁護士 (深津絵里)。 最後のチャンスにと回された事件は、妻を殺した男を弁護する仕事。 訊いてみると、当該時刻にはアリバイがあるという。 田舎の宿屋で落ち武者の幽霊に伸しかかられて金縛りにあっていたというのだ。 そこで彼女は幽霊を探し出して裁判で証言してもらおうと・・・・。 発想が奇抜な映画で、裁判の場面もまあまあコミカルでそれなりに楽しめる。 ただ、発想の奇抜さを支えるだけの十分な筋書きの展開だとか、登場人物の破天荒なラジカルさはなくて、わりに微温的な人物が多く、期待が大きかっただけに、期待通りの満足感だったかと言うと、微妙な感じがないでもない。

139.「アリス・クリードの失踪」 10/29、シネ・ウインド。 評価★★★★ 英国映画、J・ブレイクソン監督作品。 登場人物は3人だけ。 男2人が、財産家の娘を誘拐する。 そして彼女を隠れ家に閉じ込めた上で父親に身代金を要求。 しかし閉じ込められた娘と男2人の関係は時間がたつにつれて微妙に変化していき・・・・。 男2人と女1人だけの映画だが、これが結構面白い。 誘拐される役のジェマ・アータートンに独特の魅力があり、男2人もタイプが違っていて、彼らの関係の変化から目が離せなくなる。 インディーズ系の映画なので一般にはあまり注目されていないようだが、悪くない出来栄えだと思う。

138.「三銃士 王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船」 10/28、UCI新潟。 評価★★★  仏・米・英・独合作、ポール・W・S・アンダーソン監督作品。 A・デュマの有名な小説の映画化。 この小説は何度か映画化されているけど、今回は飛行船が登場するところがミソ。 むろん、物語の舞台となってる17世紀には飛行船は存在しないし、原作にも登場しない。 三銃士とダルタニャンがミレディによって盗まれた王妃の首飾りを取り戻そうとする展開は原作と大筋では同じだけど、人物の細かい設定だとかは適当に変えてあり、悪役のミレディがかなり活躍するのに比べると、バッキンガム公爵などの影は薄くなっている。 何より、英国貴族バッキンガム公爵とフランス王妃アンヌの秘められた恋という、この物語の根幹を成すロマンス部分が省かれているので、剣劇や飛行船同士の戦闘など、それなりの見せ場はあるけれど、どちらかというと年少者向けの活劇に終わってしまった印象が強い。

137.「スノーフレーク」 10/26、シネ・ウインド。 評価★★ 136(↓)の併映作品で、同じく谷口正晃監督作品、桐谷美玲がヒロイン。 函館に暮らす短大生のヒロインは、むかし、仲の良かった男の子を一家心中で失っていた。 しかし、海に転落したクルマからはその男の子の遺体だけが見つからなかった。 そんな過去を引きずって生きていた彼女は、その男の子によく似た青年に出会う。 彼はその男の子のいとこだと名乗る。 かつての心中事件の謎を解くために、彼女は活動を始めるのだが・・・・。 136が淡い青春ラブストーリー兼ロードムービーだったのに対して、こちらは謎解きが中心となったミステリーである。 終わり近くまでは謎の魅力もあってそれなりに見られるのだが、解決がひどい。 辻褄が全然合わず、解けていないまま放置されているところもあって、脚本のお粗末さが露呈している感じ。 困るよねえ。 

136.「乱反射」 10/26、シネ・ウインド。 評価★★★ 谷口正晃監督作品。 高校生のヒロイン (桐谷美玲) は高名な歌人の母 (高島礼子) を持ち、自分も短歌で賞をとっているが、そのせいでボーイフレンドから嫌われてしまう。 京都の大学に行っている二歳年上の幼馴染の若者 (三浦貴大) が帰省してきて少し気がまぎれるが、彼が富山に旅行に行くというので無理を言ってついていくことにする。 彼はわけあって長年会っていない祖母を訪ねようとしていた。 富山で祖母宅を訪ねた二人を待っていたのは・・・・。 筋書きは単純であるが、あくまで桐谷美玲を中心にすえたアイドル映画かつロードムービーとして見れば、まあこんなものかなという気がする。 カメラの使い方が独特で、高校生の心情などを新鮮な映像で表現しているのがいい。 71分という長さで、くどさがなくすっきりとまとまっている。 

135.「ハンナ」 10/21、UCI新潟。 評価★★★☆ アメリカ映画、ジョー・ライト監督作品。 北欧の山の中に父と二人きりで暮らす少女ハンナ。 父に鍛えられて戦闘能力に秀でた彼女は、やがて旅立つ準備をするが、何者かに襲われて、気がつくと地中の施設にいた。 そこから脱出した彼女は地上に出るが、場所はモロッコ。 クルマで旅行中の一家と知り合った彼女を、何者かが執拗に付け狙う。 そして父をあらかじめ取り決めておいたベルリンで出会った彼女は、自分の出自を知る・・・・。 大筋としてはヒロインの出生の秘密と、彼女を付け狙う何者かの戦闘が見どころなのではあるが、どちらかというと知り合った一家と旅をするロードムービーとして見たほうが面白いのではないかと思う。

134.「パレルモ・シューティング」 10/15、シネモンド(金沢)。 評価★★★   独仏伊合作、ヴィム・ヴェンダース監督作品、2008年。 ドイツ人のカメラマンが同居していた女性との関係や仕事のことに悩み、イタリアの町パレルモに旅をする。 そこでも死神に矢で射掛けられるという体験をするが、現地の女性 (ジョヴァンナ・メッゾジョルノ) と知り合い、しだいに生きる意欲を取り戻していく、というようなお話。 このイタリア人女性役がとても魅力的で、癒し系の美女であり、キャスティングはなかなかいいんじゃないかと思った。 死神との哲学的な会話は面白くないけど、ドイツ人がイタリアで癒される物語だと受け取れば、まあまあの出来だろう。 前半ではカメラの被写体としてミラ・ジョヴォヴィチが本人役で出てきて、当時の彼女は妊娠しており、大きなお腹をかかえてヌードを披露している。

133.「サンザシの樹の下で」 10/12、Tジョイ新潟万代。 評価★★★☆ 中国映画、チャン・イーモウ監督作品。 文化大革命時代の中国を背景に、町の学校から農村に派遣された女の子が青年と出会い恋に陥るが、時代の制約から交際を秘密にせざるを得ず、という、実話に基づく映画。 少女の家庭は、父親が右派扱いされて牢獄に入れられ、そのため肩身の狭い貧しい暮らしを強いられている。 少女は教員になるためにも進んで重労働を担当したりして非難を受けないように気を遣って暮らしている。 そんな彼女に、比較的裕福な青年は陰ながら様々な援助をする。 しかし・・・・。 文革当時の中国のきわめて不自由な様子がよく伝わってくるが、同時にそんな中で純愛を貫こうとする二人の姿が印象的だ。

132.「探偵はBARにいる」 10/10、UCI新潟。 評価★★☆ 橋本一監督作品。 札幌を舞台に、夜BARで飲んでいてそこにかかってくる電話で依頼を受ける探偵 (大泉洋) が、女からの依頼で複雑な事件に巻き込まれていく様子を描いている。 設定や展開はまあまあかなと思うけど、進行にスムーズさを欠いており、細かく見ていくとアラも目立ち、間延びしている感じもあり、いちおうヒット作らしいのだけれど、あまり評価する気にならない。 でも続編製作決定だって。 うーん、邦画の質は、というか邦画を見る人間の鑑賞能力は、落ちっぱなしかなあ。 

131.「夜明けの街で」 10/8、UCI新潟。 評価★★ 東野圭吾原作、若松節朗監督作品。 妻子もちの中年男 (岸谷五朗) が、会社の派遣社員である若い女 (深田恭子) と不倫するお話。 そこに、その女の身近なところで起こった殺人事件が影を落としているという設定。 ところがこの殺人事件と不倫の関係が非常にいい加減で、また殺人事件自体の謎も浅く、なんかうまくできていないという印象がある。 原作は未読だが、原作と映画はかなり違うようなので、原作が好きな人は見ないほうがいいかも。 当方は深田恭子が不倫でどんなシーンを見せてくれるかという下心(?)もあって見たのだが、あまりたいしたことはありません。 横浜の夜景なんかは美しく撮れてるけどね。

130.「スーパー!」 10/7、シネ・ウインド。 評価★★★ アメリカ映画、ジェームズ・ガン監督作品。 麻薬を使って妻を町のジゴロに奪われた冴えない中年男 (レイン・ウィルソン) が、一念発起してスーパー・ヒーローのコスチューム姿になり、町なかで起こる不正に介入し、妻をも取り戻そうとする、というお話。 少し前にヒットした 『キック・アス』 にちょっと似ているのだが、内容的にはこちらのほうが暗いというか、ヒーローが全然笑わない中年男であり、どこか堅苦しい感じが抜けないし、途中から一緒にスーパー・ヒロインになる若い女 (エレン・ペイジ) は性格がはちゃめちゃで、正義の味方というよりちょっと狂っているようでもあり、作品の結末もすっきりせず、かなりの問題作だと思う。 問題作とは、芸術の別名かもしれないのだが。

129、「海洋天堂」 10/4、シネ・ウインド。 評価★★★☆ 中国映画、シュエ・シャオルー監督作品。 自閉症の21歳になる息子と二人暮らしの中年男 (ジェット・リー)。 妻に死なれたあとは男手ひとつでわが子を育ててきたが、ガンで余命いくばくもないと知り、自分が死んだら息子はどうなるのかと案じて、収容してくれる施設を探したり、日常生活の必要事をなるべく自分で済ませられるようにと色々なことを教え込んだりする。 彼は水族館に勤務しているが、息子は泳ぎが得意で、魚や水生生物がいる水槽内を好んで泳ぎ回る。 また、二人が住む近所には何かと親切にしてくれる若い女性が住んでおり、息子も一時期水族館に来ていた芸人たちの一人である少女に好意を寄せたりする・・・・・。 自閉症の映画というと、ダスティン・ホフマンとトム・クルーズが共演した 『レインマン』 が有名だが、本作品もそれに劣らず自閉症の青年の描写に時間をさいており、また辛抱強く息子に接する父の姿が印象的。 ただ、二人の女性 (ジュー・ユアンユアン、グイ・ルンメイ、いずれも魅力的) や、その他父子を囲む人々はみな 「いい人」 で、あえて言えばそこが作品の力をわずかに弱めているような気がする。

128.「アジョシ」 10/4、Tジョイ新潟万代。 評価★★★★ 韓国映画、イ・ジョンボム監督作品。 主人公の青年 (ウォンビン) は雑居ビル内で質屋を営んでいる。 そのビルで隣りに母娘が住んでおり、10歳くらいの娘 (キム・セロン) はよく彼のところに遊びに来る。 母親に邪険にされがちだからだ。 ある日、その母親が非合法の麻薬取引にまきこまれ、娘と一緒に何者かに拉致されてしまう。 それまで自分を頼ってくる娘には必ずしも優しい態度をとってこなかった青年は、一転して娘を探すために必死の努力を始める。 実は彼には人に言えない過去が・・・・。 というような筋書きだが、アクションや暴力シーンには少なからず迫力があり、また主演のウォンビンはちょっとキムタクに似ていて必ずしもアクション物のヒーローのような容貌ではないが、かえってそこに独特の味が出ている。 かなりグロいところもあるが、この迫力や展開の面白さは買いであろう。 

127.「僕たちは世界を変えることができない。」 10/1、Tジョイ新潟万代。 評価★★★   深作健太監督作品。 実話をもとにした映画。 医大生がふと目にしたチラシをきっかけにカンボジアに小学校の校舎を建てるため仲間と一緒に150万円をためようと努力する、という筋書き。 運動を始めた頃はカンボジアのことを何も知らず、行ったこともなかったが、その後実際に現地に旅行して、その実態や歴史を知るところが、ドキュメンタリー的で面白い。 ただ、若者たちの運動のほうは、イマイチ説得力が弱く、映画としての出来の悪さが、カンボジアの実態を紹介する部分でどうにか救われているような感じがある。

126.「とある飛空士への追憶」 10/1、WMC新潟。 評価★★★☆ 犬村小六のライトノベルが原作、宍戸淳監督作品、アニメ。 海を挟んで二大国家が戦闘を繰り広げている異世界が舞台。 一方の国の離島に住む貴族のお姫様が、本国の王子様と結婚することに。 しかし戦況が悪化し、結婚式がなかなか挙げられない。 ついに、お姫様を小型飛行機で本国に運ぶ極秘作戦がたてられた。 その飛行機の操縦に抜擢されたのは、操縦の腕前は抜群ながら、軍内では差別されている混血児の青年であった。 彼はお姫様を乗せて飛行を開始するが、極秘作戦のはずが情報が洩れており、敵国の襲撃が・・・・・・。 けれん味がない、素直な作りのアニメで、貴族のお姫様と差別されている混血児の青年が数日一緒に過ごすので、「ローマの休日」 的な風味もあるし、悪くない出来だと思う。

125.「蛍火の杜へ」 10/1、WMC新潟南。 評価★★★ 緑川ゆきのマンガが原作、大森貴弘監督作品、アニメ。 祖父の住む田舎の杜に迷い込んでしまった幼い少女が、狐の面をかぶった青年に助けられる。 しかし青年は人間ではなく、人間に触れられると消滅してしまう存在であった。 少女は夏休みごとに祖父の住む田舎に出かけて杜に通い、徐々に成長し、最初に会ったときといつまでも変わらない青年と愛し合うようになるが、二人は触れ合うことができない。 やがて・・・・。 44分という短編アニメであるが、変にひねったところがなくて、短時間ながら夢の世界に遊ぶことができる。 ただし短編だから満腹感みたいなものは求めないほうがいい。 なおこのアニメは新潟ではWMC新潟南でしか上映していないが、WMC新潟南のサイトは本作品の料金について何も記しておらず、いつでも千円であることが分からないようになっているのは、不親切。 また、予告編はないが、その点についてのサイトの時間表示も不正確。 注意して欲しい。

124.「モテキ」 9/30、WMC新潟。 評価★★☆ 大根仁監督作品。 サブカルにどっぷりつかった冴えない青年 (森山未来) が、それでもHP立ち上げ業務の会社に勤めているうちに、なぜか突然モテるようになり・・・・という話のはずなんだが、実際には2人にしかモテておらず、残りの2人は脇役扱い。 羊頭狗肉じゃないか。 ただし、女優4人のなかでメインになる長澤まさみは、頑張ってきわどいシーンもこなしているので、彼女のファンにはいいかも。 実は長澤まさみをヒロインとする物語、という見方もできそう。

123.「親愛なるきみへ」 9/30、WMC新潟。 評価★★★ アメリカ映画、ラッセ・ハルストレム監督作品。 ふとしたきっかけで知り合い愛し合いようになった兵役中の青年 (チャニング・テイタム) と女子大生 (アマンダ・サイフリッド)。 一緒になるためにも兵役の期限が切れたら除隊する約束をする。 ところが途中で9・11が。 青年が所属する部隊は海外にいたが、兵役義務を自主的に延長することになり、青年もそれに同調せざるを得ない。 それでも二人は手紙を欠かさずやりとりし、遠距離恋愛を続けていたが、途中から彼女の手紙は途絶え、やがて別れの手紙が。 その後戦闘で重傷を負った青年は回復後に帰国する。 そこで知った彼女の身の振り方とは・・・・・。 前半は普通の恋愛ドラマだが、後半になるとちょっとひねって意外な展開がある。 ただし、それを素直に受け取れるかどうかは、微妙。 あまり表情を変えない大柄なチャニング・テイタムが、なかなかいいと思う。

122.「アギーレ 神の怒り」 9/26、下高井戸シネマ。 評価★★★ ドイツ映画、ヴェルナー・ヘルツォーク監督作品、1972年。 16世紀の南米が舞台。 アンデス山脈側から、エル・ドラド (黄金郷) を求めてアマゾン川の支流に下っていったスペイン探検隊の運命を扱っている。 最初は山奥の険しい道を、婦人も同伴しながら進み、やがていかだをこしらえてアマゾン川の支流に入るのだが、食料の欠乏、内輪もめ、現地人の襲撃などから崩壊していく様子がリアルに描かれている。 一般には副監督ながら実権を掌握していく狂気じみたアギーレを演じるクラウス・キンスキーが評価されているらしいが、私にはアマゾン川支流の景観や、ふたり登場する女優の美貌などが気に入った。

121.「家族X」 9/26、ユーロスペース(渋谷)。 評価★★ 吉田光希監督作品。 現代家族の問題点を映画化した、というつもりのようだけど、どうも目新しくない。 ヒロインの南果歩は専業主婦やっていてだんだんおかしくなってくるって設定なんだけど、今どき学校出た息子がいて家にばかりこもっている主婦ってそんなにいないと思うし、息子のアルバイト暮らしにしても夫の会社での居づらさにしても、さほど新しい感じがしない。 誰でもある程度知っている事柄を映像化してみました、ってだけ。 ダメだよ、これじゃあ。 南果歩様が主演しているから見たのに、こんな駄作では果歩様がかわいそう・・・

120.「くの一忍法 観音開き」 9/25、銀座シネパトス。 評価★★★ 1976年、皆川隆之監督作品。 某藩から幕府に送られる資金が途中で何者かに奪われ、それを探っていた伊賀忍者も消息を絶った。 そこで新たに送られたのが3人のくの一。 ・・・・というようなお話だけど、作りはあまりシビアではなく、くの一が女の子ならではの武器を使いながら真相に迫るのだけれど、お色気シーンあり、恋はご法度なのに命を救われた真田藩士とラブラブの関係になってしまったりと、結構いい加減。 だけどエンタメと割り切ってうるさいことを言わずに若い女の子たちの色気と奮闘ぶりを楽しめば、それなりの作品でしょう。 なお、フィルムがかなり痛んでいて、途中が飛び飛びになっていた。 これ1本で1200円は、ちと高いかな。

119.「砂の上の植物群」 9/25、シネマ・ヴェーラ(渋谷)。 評価★★★ 1964年、吉行淳之介原作、中平康監督作品。 中年男 (仲谷昇) がふとしたきっかけで知り合いセックスもした女高生 (西尾三枝子) から、姉を誘惑してひどい目にあわせて欲しいと頼まれる。 そこでその姉 (稲野和子) の勤めるバーに出かけて親密になるが、他方で彼はかつて放蕩児だった父が現在の自分の妻 (島崎雪子) と関係を持っていたのではないかと疑っており、また父には隠し子がいたらしいことを行きつけの理髪師から聞かされる。 そしてその隠し子がもしかしたら・・・・・というふうな筋書きだけど、作りがかなり現代芸術風というかモダニズムに染まっていて、途中で現代絵画が頻繁に出てくるし、使われているオルガン音楽なども意味ありげで、筋書きよりはそういう作り自体を味わうべき映画なんだろうけど、逆にいうとそういうモダニズムみたいなものは古めかしさを感じさせもするので、単純にいろんな女と関係している中年男、という見方でもいいんじゃないだろうか。

118.「黒い賭博師」 9/25、シネマ・ヴェーラ(渋谷)。 評価★★★☆  1965年、中平康監督作品。 小林旭が賭博師・氷室に扮している。 色々な賭博シーンがあり、賭博の相手もさまざまで、女とのお色気シーンも忘れず、オープン車でかっこよく賭博場に乗り込むとか、カーチェイスになってしまうとか、娯楽の要素が十二分に盛り込まれていて、よくできたエンタメだと思う。 時間も1時間半に収まっているし、こういう豪華で収まりのいいエンタメ、最近の日本映画では作れなくなっていますよね。 ダラダラ2時間続いて退屈するエンタメばっかりの映画界は猛省してほしい。

117.「新・女囚さそり 特殊房X」 9/24、銀座シネパトス。 評価★★★ 1977年、小平裕監督作品。 ヒロインは夏樹陽子。 ヒロインはかつて看護婦だったが、恋人である医師が院長の不正を暴こうとして逆に謀殺され、その怨みをはらそうとするものの陰謀で刑務所に入れられてしまう。 いったん脱獄したが、今は国会議員となっている院長の暗殺には失敗して刑務所に逆戻り。 そこで他の女囚たちから猛烈なイジメに会うシーンがなかなかすごい。 そのあと色々あって、刑務所の実質的なドンと一緒に逃亡するはめになる。 ここで二人は手錠でお互いが繋がれたままで逃亡するんだが、このシーンが壮絶きわまりない。 ヒロインの夏樹は美しいけど、表情をあまりに変えないせいでちょっと色気を欠いている。 その辺に一工夫ほしい。

116.「紅の流れ星」 9/24、浅草新劇場。 評価★★★ 1967年、舛田利雄監督作品。 主人公であるやくざの青年 (渡哲也) は東京で対立する組のボスを撃ち殺し、神戸に逃亡する。 そこでのらくらしながら過ごしていたが、東京から来た殺し屋 (宍戸錠) に狙われてもいる。 やがて東京から来た女 (浅丘ルリ子) に惚れて、殺し屋を殺したあと、彼女と二人でマニラに逃亡しようとするが・・・・。 若い渡哲也ののらくらした様子が見ものだろうか。 近代的なアンニュイと絶望感の融合? あとは、浅丘に惚れて言い寄るあたりのテクニックが、映画チックだけどちょいと面白いかな。

115.「男はつらいよ 寅次郎恋歌」 9/24、浅草新劇場。 評価★★☆ 山田洋次監督の有名シリーズ第8作、1971年。 今回は柴又に喫茶店を開いた子連れの未亡人という設定の池内淳子がマドンナ役。 このほか、さくらの夫・博の実母がなくなり、岡山で隠居生活を送っていた老父をどうするかという話も出てくる。 途中まではなかなか面白いのだけれど、池内淳子は喫茶店を開くに当たって借金をしており、その条件のことで貸主とごたごたが生じる。 むろん、ビンボーな寅さんにはどうすることもできないわけで、それもあって寅さんは早々に彼女への想いを断つべく柴又を後にするのだけれど、池内淳子のかかえる借金はどうなるのかが未解決なままなのである。 これって、脚本の不備じゃないんだろうか。 いちおう解決の見通しくらいは終わりまでにつけてもらわないと、何となく納得できない心境で映画館をあとにすることになってしまいます。

114.「若親分を消せ」 9/24、浅草新劇場。 評価★★★ 中西忠三監督作品、1967年。 「若親分」 シリーズの中の一作らしいのだが、他のシリーズ作品は未見である。 この映画では主人公 (市川雷蔵) が出獄して板前として再出発するが、地元のヤクザ・グループが主人公の恩義のある人や店に難癖をつけてくる。 さらに、彼が世話になっている店のおかみの息子が、海軍兵学校に通っている (戦前の話なのです) のだが、恋人 (柴田美保子) とデートしているところをヤクザ・グループに絡まれて連れ去られてしまう。 また、この町の芸者には、かつて海軍で改革派の先頭に立ちながら挫折して命を絶った中佐のお嬢さん (藤村志保) がいる。 主人公はやがてそうした苦境をすべて好転させるべく動き出す・・・・。 結局、このシリーズはもともと海軍将校ながらわけあって実家のヤクザのあとを継いでいる主人公、という設定が面白い、らしい。 こちらはこのシリーズを初めて見たので、終盤近くまでそのあたりが分からなかった(笑)。 元海軍将校という経歴が、水戸黄門の葵の印籠みたいに利く場面がある。 あと、久しぶりで柴田美保子の姿を見たけれど、彼女ってこんな平凡な容姿だっけ、と今さらのように思った。 記憶では、美人と言うほどじゃないけど、少しだけきれいなお姉さん、というイメージだったのだが。

113.「ハウス・メイド」 9/22、TOHOシネマズ・シャンテ(日比谷)。 評価★★☆ 韓国映画、イム・サンス監督作品。 1960年に作られた韓国映画 『下女』 のリメイクだそうである。 原作は見ていないけど、こちらは時代設定は現代になっているので、ヒロインがメイドとして勤務するお金持ちの屋敷もかなり西洋化が進んでいて、主人は赤ワインに凝っているし、ピアノでベートーヴェンのテンペスト・ソナタを弾いたりするし、スマートな金満家なのだ。 やがて、奥様の妊娠で主人はメイドに手を出して・・・・・ということになるんだけど、この辺の悲惨さというか、女の側はあくまで被害者です、という印象が、どうも薄いのである。 ヒロインは主人を拒まない。 といって誘っているというほどでもないのだが、彼女の態度は曖昧で、そのせいで作品のコンセプトがどの辺にあるのかがよく分からなくなるのである。 主人夫妻とメイドのいろんな格差がくっきり出ていればいいんだろうけど、時代が現代のせいか、あんまりそういう部分が浮き出てはこない。 うーん、リメイクすべき作品だったのだろうか。

112.「あなたの初恋探します」 9/20、Tジョイ新潟万代。 評価★★★ 韓国映画、チャン・ユジョン監督作品。 旅行会社を首になった青年(コン・ユ)が、初恋の相手を探すという新商売を始める。 そこに申し込んだのがミュージカルの舞台監督としてばりばり働いている女性ソ・ジウ(イム・スジョン)、というより、その父親。 父は娘の結婚相手にと魅力的な機長を紹介したのに娘が断ってしまい、これは初恋の相手が忘れられないからだとふんで、ならば初恋の相手を探し出して感情を清算したほうがいいと考えたのだった。 その初恋の相手とは、10年前にインド旅行をしたときに偶然出合った韓国人男性。 さて、その男性は見つかるのか、見つかったあとはどうなるのか・・・・・というのが表向きの筋なんだけど、それと並んで大事なのは、ヒロインの仕事ぶりだとか、仕事に忙殺されていて男に対して殺伐たる態度をとるようになっているとか (ちょっと 『猟奇的な彼女』 的なテイスト)、そして彼女の初恋の相手を探すべく奮闘する青年の影が・・・・というとだいたい見当がつくでしょう。 最後のまとめ方がいささか強引だけど、まあまあ楽しめるラブコメかな。 それにしても、東京で封切られてから3ヵ月、すでにDVDが出てる頃になってやっと上映という新潟市の映画状況の悲惨さを、何とかして欲しい。

111.「テンペスト」 9/19、シネ・ウインド。 評価★★☆ アメリカ映画、ジュリー・テイモア監督作品。 いわずと知れたシェイクスピア最後の劇作を映画化したもの。 ただし、原作の主人公プロスペロがプロスペラという女性 (ヘレン・ミレン) になっているところがちょっとした趣向か。 だけど、見ていて、シェイクスピアの演劇作品をわざわざ映画にして見せる意義がどこにあるのか、よく分からなかった。 映画らしい技術は使われているけれど、それで良くなったかというとむしろ逆で、映画としてみるといささかトロくて、大げさで、リアリティがなくて、あまり面白いとはいえない代物になっているんじゃないか。 その辺、どうせならもっと思い切って映画チックに原作を改変してしまったほうがよかったと思うんだけどね。 中途半端はいけません。

110.「日輪の遺産」 9/18、UCI新潟。 評価★★★  浅田次郎原作、佐々部清監督作品。 太平洋戦争末期、すでに日本の降伏が目前に迫っていた頃、戦後の日本を復興させるための秘密資金を隠す指令が軍隊上層部から発せられる。 その指令をうけた陸大卒のエリート少佐 (堺雅人) と、東大卒の優秀な主計中尉 (福士誠治)、そして足を負傷して満洲から帰国した曹長 (中村獅童) が、女学校の生徒たちを労働力に用いて行うというお話。 彼らは任務を完遂するが、やがて上層部から最後の指令が来て、悲劇が・・・・・。 話としては面白いのだが、最初と最後に二重の枠がはめられているのが、ややわずらわしいし、最後に余計なものを入れすぎて締めくくりとしてしまりがなく、残念無念。 佐々部監督って、私はあんまり買わないんだけど、今回も素材が良くて作りが悪いという印象だった。  

109.「人生万歳!」 9/15、シネ・ウインド。 評価★★★ アメリカ映画、ウッディ・アレン監督作品。 かつてはノーベル物理学賞候補にもなったが、今はニューヨークで平凡かつ地味な暮らしをしている老人ボリス (ラリー・デヴィッド)。 厭世的な皮肉屋である。 そこに南部から家出してきた若い娘メロディ (エヴァン・レイチェル・ウッド) がころがりこんでくる。 しぶしぶ部屋に泊めてやったボリスだが、天真爛漫な彼女に惹かれていき・・・・。 かなり 「ありえない」 筋書きのコメディだが、基本的にこれはニューヨークに住むインテリの世界観を自虐的に(?)おちょくった、しかし根本的なところではユーモアによってその世界観を救っている映画だと思う。 私はウッディ・アレンはさほど好きではないが、この映画についていえば、まあまあといったところだろうか。

108.「イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ」 9/15、シネ・ウインド。 評価★★★☆ 英米合作、バンクシー監督作品。 いわゆるストリート・アートとそれを作るアーティストを写したドキュメンタリー。 といっても、ストリート・アート自体が軽犯罪すれすれの行為なので、見ていてなかなかスリリングである。 私がストリート・アートにうといせいもあって、なるほど、こういうものがあるのか、こうやって作るのか、こうやって警官から逃れるのか・・・・など、飽きずに見ることができた。 かつては一過性の、すぐに消されたり撤去されたりするものだったストリート・アートも、現代では保存されたり、高値で取引されたりしているそうである。 現代アートも行き着くところまで来たということなのだろうか。

107.「ナチス、偽りの楽園 ハリウッドに行かなかった天才」 9/10、シネ・ウインド。 評価★★★★ 2003年、アメリカ映画、マルコム・クラーク+スチュアート・サンダー監督作品。 クルト・ゲロンという実在のユダヤ系ドイツ人の運命をたどったドキュメンタリー。 20年代のベルリンで舞台や映画に大活躍し、やがて監督としても重きをなすようになる。 富も獲得して優雅な暮らしを送っていた。 しかし、33年にナチスの政権が成立。 フランスやオランダに移って映画や舞台の仕事を続けるが、羽振りは悪くなる。 この時期、ハリウッドから、或いはナチス政権のドイツを離れてハリウッドに渡ったユダヤ系ドイツ人の映画関係者から、ハリウッドに来ないかと何度か誘われるのだが、政治的先見性に欠けていたゲロンはそれに応じず、収容所に入れられる直前になってハリウッドに渡ろうとするが失敗、結局テレージエンシュタットのユダヤ人収容所に入れられてしまい、終戦まぎわ、そこからガス室に送られてしまう。 当時テレージエンシュタットには外国からユダヤ人虐待の疑惑がかけられており、そのため赤十字社が査察に入るが、ナチスは査察用に急遽様々な粉飾をおこない、査察の係員は見事にだまされてしまう。 クルト・ゲロンという舞台人・映画人を知るためにも、ナチスの蛮行を改めて知るためにも、そしてそれ以外にも色々考えるためにも、貴重な映画だと思う。

106.「七つまでは神のうち」 9/9、WMC新潟南。 評価★★ 三宅隆太監督作品。 実は予備知識がほとんどないまま見たのだが、そしてジャンルとしてはサスペンスとなっているけど、ちょっとホラーっぽい作品である。 最初はいくつかの話が脈絡なしに続くので 「はあ?」 なんだけど、だんだんそれぞれのお話の相互関連が分かってきて、最後で完全に腑に落ちる構成である。 ただ、それで本当の面白みが出ているかというと、全体が分かってみれば底が浅い感じがするし、だから何なのと言いたくなってしまうわけで、もう少し何か欲しいなという気持ちで映画館を後にしたのであった。

105.「レベッカ」 9/9、Tジョイ新潟万代。 評価★★★☆   アメリカ映画、1940年のヒッチコック監督作品、モノクロ。 有名な映画だけど、見たのは初めて。 若いアメリカ娘が、英国の上流紳士とリゾート地で知り合い、求婚されて、彼の住むお城で暮らし始めるというお話。 行ってみたら、前妻で事故死したレベッカに仕えていた侍女だとか、前妻の影が濃く残っていて、また中流育ちの新妻――彼女の名は出てこない。演じているのはジョーン・フォンテインだけど――には上流の暮らしがなかなか身につかず苦労する、という筋書き。 後半、意外な展開が待っているけど、それを別にすれば、身分違いの結婚によって若い妻が苦労しましたという物語で、それなりに面白く見ることができる。 ヒロインのジョーン・フォンティンも美しいし、英国上流紳士を演じるローレンス・オリヴィエもカッコいい。

104.「キッズ・オールライト」 9/8、シネ・ウインド。 評価★★☆ アメリカ映画、リサ・チョロデンコ監督作品。 レズのカップルが他人からもらいうけた精子でそれぞれ女の子と男の子を生み、4人で暮らしている。 しかしミドルティーンに達した男の子が、まもなく大学に進む姉に、精子の主に会いたいと言い出し、二人はこっそり調査をしてやがて探し当てる。 健康食品素材を売りにしたレストランを経営する父親(?)は、自分の精子で生まれた二人とウマが合い、やがてその交際はレズの両親に知られるところとなる。 両親も含めて交際が始まり、最初はうまくいっていたのだが・・・・。 監督兼脚本家が実際にレズで、精子提供を受けて子供を作っているそうで、そのせいかレズのカップルが、多少の問題はあるものの、やや優等生的に描かれているのが気になる。 それにもまして優等生なのが二人の子供で、筋書き自体は結構面白いのだが、人物造型が浅いために、結局はレズカップルの宣伝のために作られた映画ではないかという気がしてくる。 特に最後がご都合主義的に過ぎて、作品全体の出来を損なっているのが残念。

103.「木洩れ日の家で」 9/8、シネ・ウインド。 評価★★★ ポーランド映画、2007年、ドロタ・ケンジェジャフスカ監督作品、モノクロ。 夫に先立たれ一人息子は結婚して別居している老婦人の暮らしを追った映画。 主演はダヌタ・シャフラルスカだが、撮影当時91歳だったそうで、まあお年のわりには元気だと思うけど、顔はさすがにしわだらけ。 こういう言い方をすると顰蹙を買いそうだけど、やたらアップが多い映画で、しわだらけの老婦人の顔をアップでずっと見せられるのは、正直、うんざりだった。 この映画でいいのは、ヒロインと同居している犬である。 フィラデルフィアって名なんだけど非常な名演で、この犬がいたから救われたけど、じゃなかったら退屈してしまったことだろう。

102.「甘い生活」 9/2、Tジョイ新潟万代。 評価★★★☆ イタリア・フランス合作、フェデリコ・フェリーニ監督の1960年の作品。 有名な映画だが、見たのは初めて。 マルチェロ・マストロヤンニ演じるゴシップ記者が、上流婦人(アヌーク・エーメ)と一夜をともにしたり、妻に自殺未遂されたり、イタリアを訪れたハリウッドの美人スターに振り回されたり、田舎から出てきた父親をキャバレーで遊ばせたり、幸福そうな友人宅で楽しい一晩を過ごしたと思ったらその友人は・・・・というような、当時のローマで退廃的な暮らしを営む人々の姿を描いたもの、らしい。 はっきりした筋書きはないのだが、見ていて結構面白いのは、当時のローマの上流、或いは中の上くらいの人々の遊びや暮らしだとか、邸宅だとか、風俗だとかが、今の目で見ると新鮮というか、興味深く思えるからだろう。 最後に出てくる公爵の長年使っていない城の中なんか、一見の価値がある。 あと、ハリウッドの美人女優役で出てくるアニタ・エクバーグの魅力が圧倒的。 さすがのアヌーク・エーメも負けている感じだ。

101.「君を想って海をゆく」 8/29、シネ・ウインド。 評価★★★☆ フランス映画、フィリップ・リオレ監督作品。 かつて国際的な水泳選手で現在は水泳コーチを職業にしている男が、不法入国者であるクルド人の少年と知り合う。 少年は恋人であるクルド人少女を追ってトラックの荷台に隠れて英国に密入国しようとしたが失敗し、ドーバー海峡を泳いで渡ろうと考え、そのために水泳コーチを依頼してきたのだ。 妻とは離婚の話が進んでいる男は、少年を家に泊めてやったりして、親身に指導する。 他方でアパートの隣人からは不法入国のクルド人をかくまっているとして警察に密告される。 そして・・・・。 下↓の 『ビューティフル』 と同じく難民問題を扱っているが、筋書きや設定はきわめて分かりやすく、特に少年と少女の関係などちょっと恥ずかしくなるくらい古典的でセンチメンタルだが、難民というテーマをはっきり浮き上がらせるためには効果的かも。 感動したり泣けたりという点では 『ビューティフル』 より上かもしれない。 ただし芸術度では劣る気がする。

100.「BIUTIFUL ビューティフル」 8/26、UCI新潟。 評価★★★☆ スペイン・メキシコ合作、アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督作品。 スペインはバルセロナで暮らす中年男(ハビエル・バルデム)を中心としたお話。 病気の妻と別れて子供ふたりを養っている彼は、中国やアフリカからの移民に仕事を斡旋して暮らしている。 その移民たちもきつい肉体労働だとか、違法な偽ブランド品だとかを売って、何とかかんとか暮らす毎日。 警察に検挙されたり、ピンはねにあったりする。 また主人公の別れた妻はヨリを戻したがっているが、安心して子供を任せられる状態にはなっていない。 そんな中、男はガンで余命わずかと知らされる。 しかも、善意で移民たちに差し入れた暖房器具がもとで彼らが何人も中毒死してしまう。 まだ小さい子供たちを抱えて余命が限られ、しかも過失とはいえ多数の人間を殺してしまい、妻は当てにならず・・・・男は追い詰められている。 ・・・・実に救いのない話で、しかも話の展開が必ずしも分かりやすくないし、2時間半もあるので見るのに辛抱が必要だけど、移民問題を抱えるバルセロナの下層の人々の救いのない日常には相当の迫力がある。 こういうのを見ると、甘っちょろい日本映画なんか見たくなくなっちゃう。

99.「うさぎドロップ」 8/21、UCI新潟。 評価★★ SABU監督作品。 二十代後半の独身サラリーマン (松山ケンイチ) が祖父の葬式に出たら、祖父には隠し子である6歳の女の子 (芦田愛菜) がいると知り、親や親戚が誰も引き取ろうとしない中、ついカッコつけて引き取ると言ってしまい、慣れない子育てをするというお話。 うーん・・・・お話としてあんまり面白くないし、説得的でもないのがどうにもね。 まず、こういう場合、引き取るのが嫌でも息子 (松山ケンイチ) が引き取ると言い出したら母親 (風吹ジュン) がしぶしぶ引き取るものじゃないだろうか。 それから、育児のために社内の第一線の仕事から退いて単純作業場に移るんだけど、ああいうことをすると給与が減ったりしませんか? 給与が減ると保育園の費用だって負担になりませんか? (この映画にはお金の話が出てこないんだよね、不思議にも。) それから、なぜ主人公は遠距離通勤を続けているのだろうか? 保育園に通うのが大変ならもっと近くのアパートにでも引っ越せばいいと思うんですけどね。 ・・・・てなことを書くと、そんなこと言ったら話が成り立たないと言われるかも知れないけど、成り立たない話をなんで強引に映画にしなきゃいけないだよ!と叫びたくなる。 つまり、ヘタクソなんだろうな、作り方が。 原作がか、映画監督がかは知らないが。 

98.「悲しみのミルク」 8/16、シネ・ウインド。 評価★★★☆ ペルー映画、クラウディア・リョサ監督作品。 2009年ベルリン国際映画祭で最高賞を獲得した作品。 母を失い、おじの家で暮らしていたヒロインが、お金を稼ぐために裕福な女性ピアニストの家のメイドとなる。 そこでの体験と、男の暴力から身を守るために膣内にじゃがいもを入れていたりするヒロインの、南米的な (と言っていいのかどうか) 先進国の常識から微妙にはずれた神話的な存在感が、独特な語法で語られていく。 私もあんまり読んでいないけど、南米文学に見られる神話性と、現代性への背理とが、映像世界を通じてたくみに表現されているように思われた。 ヒロインのマガリ・ソリエルにも独特の魅力がある。

97.「イヴ・サンローラン」 8/15、UCI新潟。 評価★★★ フランス映画、ピエール・トレトン監督作品。 ファッション・デザイナーとして一世を風靡したイヴ・サン=ローランを取り上げたドキュメンタリー映画。 主として、彼と同居していた――映画ではあまりはっきり言われていないが同性愛関係ということらしい――ピエール・ベルジェの語りをもとに、サン=ローランの半生が描かれている。 サン=ローランは線が細くて女性的な容姿だが、実際に神経の細い人だったようだ。 その彼が当初はクリスティアン・ディオールの後継者として若くして脚光を浴び、その後アルジェリア独立戦争で出征したけれど体を壊して途中脱落し、そのせいもあってフランス・ファッション界からほされかけたが――実に平均的なフランス人は愛国的なのだ、日本の右翼も顔負けなほど (むかし、私が学生だった頃、ドイツ人教師が言っていたっけ。「フランスにおいては共産党すら愛国的だ」 と)――アメリカ人の投資によって支えられて (ここが面白いところじゃないかな)、今度は独立したブランドとして栄光を獲得する。 しかし第一線での仕事を続けるのは非常に神経を疲労させるので、マラケシュに別邸を購入したりと、色々気晴らしの手段を講じていたことも分かる。

96.「アバター」 8/14、シネ・ウインド。 評価★★★☆ 和田篤司監督作品。 ケータイのアバター (自分のキャラクターたる画像) に、色々な手段でポイントをためて似合いの服 (っていってもネット上でですが) を獲得していくゲームにはまった女子高校生。 しかし偶然希少価値のある服装を当てたところから、当初はクラスのボス少女にいびられていたのが、逆転して自分がクラスのボスとなる。 そしてさらに、二人の間には実は幼少期からの因縁があって、その復讐のためにヒロインは・・・・・というような、当世風のネット空間と現実の交錯のお話ではあるけれど、脚本はそれなりによくできていて、ヒロインの橋本愛も可愛いし、一見の価値ありだと思う。

95.「魔法少女を忘れない」 8/12、シネ・ウインド。 評価★★★☆ 堀禎一監督作品。 ある日、男子高校生の家に魔法少女が妹としてやってくる。 その日から彼女は同じ高校に通い、人気を博するが、魔法少女であるがゆえに忘却されるという運命にあった・・・・。 というような筋書きを読んでも 「はあ?」 かもしれない。 実際、映画を見ていて理性的に納得のいく筋書きではないのだが、なぜかこれが心の琴線に触れるのである。 いや、映画を見ても 「はあ?」 な人もいるだろうけど、少なくも私は非常に納得してしまった。 映画ってこういう風に作るものじゃないだろうか。 ヒロインの魔法少女を演じる谷内里早も、準ヒロインとして出てくる森田涼花も、いずれも可愛い。 私の好みから言うと森田のほうかな。 ともあれ、美少女の躍動する映画としてだけ見ても楽しいと思うな。

94.「ツリー・オブ・ライフ」 8/12、UCI新潟。 評価★★  アメリカ映画、テレンス・マリック監督作品。 1950年代のアメリカを舞台に、家父長的な父(ブラッド・ビット)と忍従的な優しい母の子として育った少年の物語がメインで、その少年が成長して熟年を迎えて過去を回想しつつ、太古の地球や彼岸の世界を想起して生命の連鎖を感じる、というようなお話なんだけど・・・うーん、私はその連鎖の部分に納得がいきませんでした。 普通に、1950年代のアメリカ家族のお話だけにしておいてダメなのかなあ、という印象。 カンヌ映画祭で最高賞っていうけど、映画祭もアテにならないからね。

93.「やぎの冒険」 8/11、シネ・ウインド。 評価★★ 仲村颯悟監督作品。 ちなみに監督は沖縄の中学生。 筋書きは、那覇に暮らす少年が、事情があって沖縄の田舎に住む祖父母宅に一時期逗留することになる。 ところが祖父母宅に二匹いたヤギのうち一匹がある日姿を消した。 祖父に聞くと、売ったのだという。 ヤギを探して海岸に出た少年は、ヤギがつぶされて肉にされる現場を見てショックを受ける。 やがて、残っていた一匹も売られることになるが、そのときヤギが逃げ出してしまい・・・・。 沖縄の風景などはそれなりだけど、筋書き自体はとりたてて新しくもなく、面白くもない代物で、なんでこういう映画がウインドまで来てしまうのか、ちょっと疑問を覚えました。

92.「モールス」 8/8、UCI新潟。 評価★★★☆ アメリカ映画、マット・リーヴス監督作品。 スウェーデン映画 『ぼくのエリ』 のリメイク版。 私は 『ぼくのエリ』 はあんまり買えない映画だという評価だが、このリメイク版は成功していると思う。 筋書きがよくまとまり、構成が緊密で、またテーマである人間の少年とヴァンパイアの少女との不可思議な恋愛関係が、なかなかたくみに描かれており、音楽の使い方も見事で、一見の価値のある作品になっている。 ハリウッドのリメイクなんて、と日ごろは思っていた私だけど、場合によってはリメイクのほうがいいこともあるのだと見直しました。 

91.「エリックを探して」 8/4、シネ・ウインド。 評価★★★ 英仏伊西ベルギー合作。 ケン・ローチ監督作品。 英国マンチェスターに住む中年郵便局員のエリックは、愛する最初の妻と別れ、二度目の妻の遺した連れ子二人と暮らす毎日。 そんな冴えない彼に、ある日奇跡のような出来事が起こる。 彼が崇拝するサッカー選手のエリック・カントナが現れて、人生へのアドバイスを与えてくれるようになったのだ。 そのおかげで郵便局員のエリックは最初の妻とよりを戻すが、息子二人は英国ヤクザと不本意な付き合いを強いられており、やがて魔の手が主人公にも伸びてくる。 さて、打開策はあるのか・・・・・? 他愛もないおとぎ話みたいな映画だけど、見ていて退屈しないし、俺も頑張ろうかなという気持ちも湧いてこないでもない。 特にサッカー好きの人にはいいかもしれない。

90.「別れの曲 ショパンを愛した二人の女性」 8/4、シネ・ウインド。 評価★★★☆ 1934年にドイツで作られたモノクロ映画。 ゲツァ・フォン・ボルヴァリー監督作品。 ショパンが故国ポーランドの革命に心を残しながらも、その才能を惜しむ音楽教授や友人らの勧めで恋人コンスタンツァとも別れて、花の都パリに出て、やがてその才能を認められ、女流作家サンドと恋仲になるまでを描いている。 ショパンの映画と言うと、こないだ 『ショパン 愛と哀しみの旋律』 が公開されたけど、はっきり言って面白くなかった。 事実に忠実ではあるかもしれないが、面白くないのだ。 人はなぜ映画を見るのだろうか。 天才作曲家ショパンに関する細かい事実を知りたいからだろうか。 違うだろう。 ウソでもいいから、フィクションでいいから、ショパンらしい物語性を帯びた映画で1時間半の時間を夢の世界に遊びたいのである。 その意味で、戦前に作られたこの映画はよくできている。 逆に言えば、今どきの芸術家映画はどうも問題が多いということでもあるのだが。

89.「台北の朝、僕は恋をする」 7/29、シネ・ウインド。 評価★★☆ 台湾・米合作。 製作と総指揮がヴィム・ベンダースとメイリーン・チュウ、監督がアーヴィン・チェン。 台北に暮らす青年が主人公。 恋人がフランスに旅立ってしまい、自分もその後を追おうとするが、旅費の工面のために不動産屋からカネを借りたため、変な物品の運搬を頼まれてしまい、そこから厄介な状況に・・・・・というような筋書き。 なんだけど、この筋書き自体はどうってことなくて、たまたま主人公が書店勤務の女の子と知り合いになり、その子と一緒に危険な立ち回りを演じるところがミソ。 というか、この書店勤務の女の子スージーを演じるアンバー・クォ (郭采潔) が非常に可愛い。 この映画は彼女を見るためにあり、それ以外はどうでもよろしい、と言っていいくらい。 彼女が他の映画にも出てくれることを望む。

88.「心中天使」 7/27、シネ・ウインド。 評価★★☆ 一尾直樹監督作品。 ピアニストである若い女性 (尾野真千子)、離婚歴のある若いサラリーマン (郭智博)、高校生 (菊里ひかり) の3人は、お互い知り合いでも何でもないが、ある日同時に奇妙な感覚に襲われ、失神してしまう。 その日以来、三人はしばしば不思議な予感のようなものに襲われ、何かを忘れているように感じられてくる。 そして・・・・・。 というような筋書きなのだが、現実から少し遊離した不思議感を出したかったのだろうと思うけど、必ずしも成功していない。 また、最後での筋書きの展開は、とってつけたようで、観客を納得させるところまでいかないだろう。 それと、3人の主人公の中でも中心になるのは尾野真千子だが、彼女にはこういう不思議感を出さなくてはならない役は合っていないと思う。 しっかり母さん、といった容姿ですからね。 その点、高校生の役の菊里ひかりは、私はこの映画で初めて見たけれど、美形だしなかなかいいんじゃないだろうか。 今後が期待される。

87.「コクリコ坂から」 7/22、UCI新潟。 評価★★★ ジブリの最新アニメ。 宮崎駿原作、宮崎吾朗監督作品。 昭和30年代後半の横浜を舞台に、下宿屋をきりもりしながら高校に通うヒロインと、その高校で伝統あるクラブ活動の建物を残す運動にうちこむ男子高校生たちの活動、そしてヒロインと男子高校生のうちの一人との恋を描いている。 物語は比較的単純で、途中色々あるけどめでたしめでたしで終わるようにできている。 ほめるほどの傑作ではないが、くさすほどの駄作でもない。 ほどほどの出来でせう。 

86.「小川の辺(ほとり)」 7/12、Tジョイ新潟万代。 評価★★★☆ 藤沢周平原作、篠原哲雄監督作品。 藩の農政に対して直截な物言いで諫言を行い、ために藩主から白眼視されて、挙句の果てに脱藩した武士。 その武士を追って斬れとの命令が主人公 (東山紀之) に下る。 藩命とあれば従わなければならないが、くだんの武士とはかつて御前試合で1勝1敗で引き分けた前歴があり、加えてその妻は自分の妹であった。 妹は父から剣を教えられそれなりの腕前である。 夫が討たれるとなれば兄に対してであっても刀を抜いてくる可能性がある・・・・・。 こうした難しい状況の中で、主人公は小さいときから兄弟同然にして育った目下の若者を供にして、藩命を果たすべく旅に出る。 この映画はその旅の模様と、主人公が藩命を果たす様子、そして・・・・・という或る意味過酷な物語を、非常に淡々と描いている。 起伏は大きくないし、派手なところもないが、静かな物語の進行を楽しめる人には悪くない作品だと思う。 ただし、妹役の菊地凛子は、あまり適役とは言えない。 

85.「星を追う子ども」 7/8、Tジョイ新潟万代。 評価★★★★ 新海誠監督によるアニメ。 新海監督というと、これまでは詩的な叙情性に満ちた表現だとか、少年の少女に対する憧れだとか、どちらかというと筋書きよりは詩情で勝負していたという印象だった。 しかしこのアニメでは、異世界に旅をして死者を甦らせようとする人物たちを主人公として、かなり筋書きの展開に重きをおいて作られている。 といっても絵が無視されているわけでもなく、昭和30年代を基調にしたらしい最初のあたりの風景や街や学校の描写などにもそれなりに魅力がある。 ヒロインの少女と、産休の担任の代わりとしてやってくる中年男性教師の異世界への旅を、素直に楽しむべき作品だ。

84.「ロックアウト」 7/7、シネ・ウインド。 評価★★★ 高橋康進監督作品。 安月給の作業場で働いている男が、突然解雇を宣告され、また親からはカネを無心され、恋人はなぜか急によそよそしくなり、そうした状況のなかでクルマに乗って実家のある東北地方に向かう途中、栃木県のスーパーで迷子の男の子を拾ってしまい、その子供を家に届けようと必死になるが、やがて母親は見つかったものの、逆に誘拐の嫌疑をかけられてしまい・・・・・といったお話。 カネをかけてないと分かる映画ではあるけど、主人公のやるせない心情や、それでもふと迷子の男の子に親切にしてしまったり、しかしそうした行為が誤解を招いてしまったりといった筋書きはよくできていて、映像的にもとっぴさはない代わりに堅実に展開されていると思う。 大げさにほめるほどではないが、意外な小佳作。

83.「《ゲキ×シネ》 薔薇とサムライ」 7/5、Tジョイ新潟万代。 評価★★★★ 舞台演劇をそのまま撮影して映画にした 「ゲキ×シネ」 シリーズの一作。 女ながら17世紀ヨーロッパで海賊として活動するアンヌ (天海祐希) が、ふとしたことから或る国の世継ぎと判明し、そこになぜか日本の石川五右衛門 (古田新太) がからみ、その他いろいろな勢力がからまりあって、意外な (でもないか) 結末へとなだれ込んでいく大衆演劇的な芝居である。 途中休憩をはさんで3時間半にもなる長丁場の作品だけど、退屈はしない。 登場人物も多彩だし、その歌や踊りを存分に楽しめるので、前売り2000円、当日券2500円でも決して高くない。 

82.「亡命 outside the great wall」 7/1、シネ・ウインド。 評価★★★ 日本映画、翰光監督作品。 中国からアメリカやヨーロッパに亡命している人々の活動や意見を追ったドキュメンタリーである。 共産主義政権で言論の自由がいまだに存在しない中国を追われて異国で暮らす人々のさまざまな表情が興味深い。 文革当時、つるし上げられた人間の肉を食らうことまでなされた、という証言にはいささかショックを受けた。 経済力が向上している最近の中国だが、いまだに言論の自由という点では後進国並み。 はたして亡命中国人たちの希望がかなう日は来るのかどうか。 なお、亡命した中国人が、キリスト教精神にイカれているシーンがあって、故国の頑迷固陋さと比較されていたが、クリスチャンだって 「文明化の過程」 をへて今のように寛容になったわけで、昔から寛容だったわけではない。 その辺の洞察がちょっと引っかかった。

81.「アンダルシア 女神の報復」 7/1、UCI新潟。 評価★★★ 西谷弘監督作品。 先に同じく外交官役の織田裕二主演で映画化された 『アマルフィ』 の続編。 今回はスペインを舞台に、観光的な要素も含めながら銀行のマネーロンダリングが絡む犯罪行為を織田が追うという筋書き。 これに、キャリア警察官ながら内部告発をしたためにエリートコースをはずれて国際警察に回されたという刑事 (伊藤英明) や、外国銀行勤務の女性 (黒木メイサ) がからむ。 しかし、謎解きの興味も、観光的な要素も、第一作と比べると劣るような気がする。 でもまあ、ほどほどには楽しめるかな。

80.「東京公園」 6/24、WMC新潟南。 評価★★☆ 青山真治監督作品。 カメラを趣味にする大学生 (三浦春馬) が、歯科医から自分の夫人が公園を散策するのを写真で追ってくれという奇妙な依頼を受けるところから話が始まる。 最初は面白そうに思えたのだけれど、話が次第に大学生とその家族 (父母は再婚者同士) や、大学生と元ガールフレンド (栄倉奈々) の関係などに移っていき、最初に提示された謎はきわめて安易な形で解決へと導かれてしまう。 主人公と家族や元ガールフレンドの関係にしても、どこか浅い。 期待はずれの一作であった。

79.「レイチェル・カーソンの感性の森」 6/24、シネ・ウインド。 評価★★☆ アメリカ映画、クリストファー・モンジャー監督作品。 『沈黙の春』 で有名な学者レイチェル・カーソンの半生を、彼女役の女優 (カイウラニ・リー) が語るという形式で作られた1時間弱ほどの映画。 最初は作家になりたかったという彼女が、ひょんなことから生態学に進んでいく様子や、家族との関係、みずからの養子などについて語られている。 『沈黙の春』 発表後に各方面から受けた圧力についての話も出てくる。 ただし、彼女が語るという形式の映画だから、彼女に対する根本的な批判、つまりDDTを禁止したためにマラリヤを媒介する蚊が蔓延して多数の人命が奪われた、という批判には全然触れられていない。 その点で物足りなさを残す出来栄えであろう。 

78.「阪急電車 片道15分の奇跡」 6/20、WMC新潟。 評価★★★ 三宅喜重監督作品。 阪急今津線を舞台に、そこで見られる人間模様を追った映画。 婚約者がいたものの、会社の後輩である女性に奪われてしまい、報復としてその結婚式に花嫁衣裳を着て出席するOL (中谷美紀) を初め、老婦人と孫娘、中年主婦、大学生、受験生、小学生など、さまざまな年齢層の人々(主に女性) が悩みや葛藤をかかえながら生きていく様子が描かれている。 特に驚くようなところはないけれど、まあ見ていて悪い気持ちになる映画ではないし、ほどほどの出来でしょう。 阪急と関西学院のコマーシャルじみたところがあるのが、ちょっと何だけれども。

77.「トスカーナの贋作」 6./18、シネ・ウインド。 評価★★☆   仏伊合作、アッバス・キアロスタミ監督作品。 英国の評論家である中年男性 (ウィリアム・シメル) がイタリアで自著についての講演を行う。 その後、会場に聞きに来ていたフランス出身で今はイタリアに住む、男の子一人がいる中年女性 (ジュリエット・ビノシュ) に案内されてトスカナを見物するが、レストランで夫婦に間違えられたことから、二人は夫婦のふりをしているうちに、倦怠期にある中年夫婦の会話を本気で交わし始め・・・・。 イランの名監督として知られるキアロスタミがヨーロッパを舞台に、ヨーロッパ人を俳優として作った映画。 趣向は面白いのだが、何と言うのか、純文学的に過ぎて、もう少し通俗的に作ったほうが面白かったのではないかと思った。 何しろ、中年男女の会話ばっかりで、トスカナの風景もあまり訴えてこないし (そのぶん、リアリスティックなのかもしれないが)、期待はずれという印象であった。

76.「奇跡」 6/17、Tジョイ新潟万代。 評価★★☆ 是枝裕和作品。 九州新幹線が全通するときに、その一番列車同士のすれ違いの瞬間に願をかければ願い事がかなうと聞いた二人の兄弟。 実は二人は福岡と鹿児島に別れて暮らしていた。 父母が別居していたからだ。 そこで兄弟は・・・・というようなお話。 二人を中心として子供の世界、そして二人の周辺の大人の世界が淡々として描かれている。 見ていて、率直なところ、退屈だった。 話が散漫で、展開がトロイというか、あちこちに飛ぶので、眠くなるのである。 是枝監督の子供を描いた作としては、『誰も知らない』 は傑作だったけれど、これはあまり買えないと思う。 ただ、子供が登場する映画は無条件に好きという――女性には少なくない――タイプの映画ファンにはいいかもしれない。

75.「イリュージョニスト」 6/17、UCI新潟。 評価★★★ 英仏合作、シルヴァン・ショメ監督作品で、アニメ。 1950年代のパリなどを舞台に、初老の手品師が或る僻地の町で何も知らぬ若い娘と出会い、いろいろあって彼女を連れて旅することになるというお話。 会話を極度に少なくして、絵でストーリーを展開する手法がとられている。 日本のアニメとは雰囲気や絵柄がかなり異なっているけれど、50年代のヨーロッパの街並みなどを再現しているところや、おとぎ話風のストーリーをじっくり展開しているところは、それなりに買える作品だ。

74.「シルビアのいる街で」 6/11、シネ・ウインド。 評価★★★ スペイン・フランス合作、ホセ・ルイス・ゲリン監督作品。 ドイツに程近いフランスの都市ストラスブールを舞台に、青年が或る若い女性のあとを追うという物語。 ぶっちゃけて言えばストーカーのお話なのだけれど、そこに至るまでのカフェでの青年の様子だとか、女性の後を追う中での都市の景観だとか、そして女性役のピラール・ロペス・デ・アジャラの美しさだとか、なかなか見どころの多い映画である。 デ・アジャラは1978年生まれのスペイン女優で、これまでも 『女王フアナ』(2001年) で見ているはずだが、記憶に残らなかった。 今回はその美貌と魅力をいかんなく発揮している。 ストーカー青年を演じるクザヴィエ・ラフィットもなかなか美男だから、結ばれるのかと思ったら、電車の中で会話を交わしただけで別れてしまう。 言うならば一期一会のお話でもあるわけで、こういうの、私は好きですね。

73.「somewhere」 6/10、Tジョイ新潟万代。 評価★★☆ アメリカ映画、ソフィア・コッポラ監督作品。 ハリウッドの有名男優を主人公に、その日常をのらりくらりと描いている。 妻とは別居中で、娘と付き合う時間が長く、その娘を伴ってイタリアを訪問して大歓迎されたりする様子を、ソフィア・コッポラ特有の無作為的作為(?)で追っている。 娘役が、有名な子役のダコタ・ファニングの妹のエル・ファニングで、これがなかなか可愛い。 だけど、それ以外に見どころがあるかどうかは、疑問。 私はソフィア・コッポラの映画を見て感心したことがないのだが、彼女のだらだらした作風が好きな人には悪くないのかも。

72.「手塚治虫のブッダ 赤い砂漠よ!美しく」 6/5、WMC新潟。 評価★★☆ 森下孝三監督作品。 日曜日の家族サービスで、女房・娘と一緒に見に行きました。 私は手塚治虫の原作を読んでいないのであるが、手塚作品らしさもあるとはいえ、どうも子供だまし的な印象が強い。 古代インドの差別と偏見に満ちた社会のなかで、王子に生まれた少年シッダールタと、逆に最下層に生まれた少年がそれぞれに育っていく物語だけれど、筋書きのご都合主義や、ステレオタイプな人間関係からして、せいぜい中学生くらいまでしか楽しめない作りだと思った。 絵柄もどちらかというと大雑把。 なお、このアニメでは王子が王家を出るところまでしか描いていない。 悟りを開くまではいかないのである。 あと、王様 (シッダールタの父) の声優が棒読みで、観世清和という人だけど、能の世界では有名なのかもしれないけど場違いで、完全にミスキャストというか、なんでこんなのを引っ張ってきたのかなと疑問を感じた。

71.「劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ」 6/4、シネ・ウインド。 評価★★★☆ 入江悠監督作品。 ロックにうとい私は、神聖かまってちゃんというグループの音楽を聴いたことはもとより、その存在すら知らなかったのであるが、この映画はそういう音楽の好みを別にして、結構面白いと思う。 世間に売り出そうとする会社の思惑と、音楽家本人たちの意向のズレが、ユーモラスに描かれているのをはじめ、それと微妙にからめながら、母子家庭の母親と幼稚園児それぞれの表情だとか、将棋のプロ棋士をめざす女子高校生の事情だとかが出てきていて、これまたそれなりに面白いのである。 ただし、女子高校生の父が将棋好きなのに――父が長男に将棋を教え長男が妹に教えたという設定――「女が将棋のプロになれるか」 なんてセリフを吐くのは、いささか杜撰ではあるけど、まあご愛嬌ということで。 女子高校生役の二階堂ふみ、そして母子家庭の母役の森下くるみ、この二人の女優も魅力的。

70.「軽蔑」 6/4、UCI新潟。 評価★★★ 中上健次原作、広木隆一監督作品。 紀伊半島の町の裕福な家庭に育ったボンボンが、新宿でヤバイ行為をしでかして東京にいられなくなり、ヌードダンサーを連れて故郷に帰りそこで暮らそうとするけど、父親からは白眼視され、また地道に働くことにも慣れていないので生活もうまくいかず、挙句の果てに地元のやくざといざこざを起こして・・・・というようなお話。 私は原作は読んでいないのだけれど、金持ちの浮ついた若者が滅亡に向かうお話として、まあそれなりに良くできていると思いました。 ただし、全然共感はできないけどね。 恋人役の鈴木杏が大胆なシーンを披露しているのは見どころかな。  

69.「少女たちの羅針盤」 6/3、UCI新潟。 評価★★☆ 長崎俊一監督作品。 高校の演劇部を飛び出して自分たちだけ4人で演劇グループを組織し、街路で芝居を始めてやがて人気を獲得していく少女たちの物語が、ミステリーと絡めて語られるという趣向である。 思うんだけど、このミステリーの部分が薄っぺらで、かえって逆効果になっている。 ミステリーは捨てて、少女たち4人のお芝居との取り組みだけで映画にしていたら、もっと充実した作品になっただろうと、惜しい気がした。 でも、原作が福山市のミステリー賞かなんかを受賞した小説なので、勝手にミステリー部分を削るわけにもいかなかったんだろうなあ。 その点では、映画に向かない小説を映画にしなければならなかった監督に同情します。

68.「マイ・バックページ」 6/1、UCI新潟。 評価★★☆ 山下敦弘監督作品。 かつて朝日新聞社に勤務して過激派を取材し、事実上過激派を支援する行為をして犯罪に加担したということで、裁判で有罪になり朝日新聞社もクビになった川本三郎の、自伝的な本を原作にした映画である。 そしてこの事件を映画として描いている。 1970年前後の風俗はよく再現されていると思うが、何と言うのかな、あの時代が持っていた切迫した雰囲気が出せていないのである。 左翼的で観念的で政治的であったあの時代の若者たちの体臭や、その観念が街なかに液体のごとくにあふれ出していくような空気がスクリーンからは伝わってこない。 どこかのほほんとした作りで、いくら事件を綿密に再現してもこれじゃあ・・・・と思ってしまいました。

67.「八日目の蝉」 5/30、WMC新潟。 評価★★ 成島出監督作品。 角田光代の小説が原作で、TVドラマとしてもヒットした作品だそうである。 ・・・・だけど、これって、既婚者の愛人だった女性が、自分は妊娠中絶を強いられて生めない体になり、そのためもあって正妻が生んで間もない赤ん坊を誘拐して育てるってお話ですよね。 正妻からすればいい迷惑、いや、極悪の犯罪行為。 だけど、どういうわけか映画は誘拐されて育てられた少女の視点と、誘拐した女の視点からだけ語られている。 犯罪行為を問い詰める視点はない。 他人の赤ん坊を誘拐した女がいかに苦労して逃避行のうちに育てたか、って話が、「泣ける話」 として展開されている。 思うに、これってトンデモな映画なんじゃない? こんな犯罪容認映画を見て 「泣ける」 とか 「感動した」 なんて言っている奴は、どこかおかしいというか、泣けりゃ何でも許しちゃうんだろうな。 スターリンだろうがヒトラーだろうが、泣ける行為をしていれば許しちゃうんだろうな。 日本人って、いつからこんなに変になったの? 恐ろしい国に私は住んでいるのだ、と気づかされました、はい。

66.「ブラックスワン」 5/29、WMC新潟。 評価★★★☆ アメリカ映画、ダーレン・アロノフスキー監督作品。 母と二人暮らしのバレリーナ(ナタリー・ポートマン)が、新演出の『白鳥の湖』のプリマに抜擢されるが、白鳥役では文句なしだが黒鳥役では表現力不足と監督から指摘され、表現力を高めようと努力するうちに・・・・・。 ヒロインのナタリー・ポートマンがアカデミー賞主演女優賞をとったので話題の映画だけど、たしかに彼女の痛々しいまでの演技は見ものだと思う。 作品自体はやや自閉症的な感じで、現実とヒロインの心理が入り組んで不分明になるところがミソなんだろうけれど、もう一段の工夫がほしかった気がする。 しかし、ナタリーがセクシーなシーンを演じているので――セックスをすればセクシーになるわけではない――平均を上回る出来と見ておきたい。

65.「パイレーツ・オブ・カリビアン 生命の泉」 5/27、UCI新潟。 評価★★☆   アメリカ映画、ロブ・マーシャル監督作品。 このシリーズも、前作あたりから新鮮味や面白みが減退してきて、今回はどうしようかなと思っていたのだけれど、たまたま 『少女たちの羅針盤』 を見るつもりでシネコンに足を運んだら、予告編なしなのですでに始まってますと言われ、それじゃあというので、上映開始時刻が15分遅いこの作品を見たのであるが、うーん、どうかなというのが率直な印象。 色々な趣向を盛り込んではいるけれど、なんか紋切り型で意外性がなく、筋書きの進行もだらけていてごちゃごちゃしているし、もし次作があってももう見ないでおこうかなという気持ちになってしまいました。 ただ、人魚が出てくるのがちょっと面白いかな。 美人人魚がもう少し活躍していれば、点数も上がったかも。

64.「クレアモントホテル」 5/27、シネ・ウインド。 評価★★★★    英米合作、ダン・アイルランド監督作品、2005年製作。 スコットランドからロンドンに出てきた老婦人が長期宿泊するのがタイトルのホテル。 ロンドンに孫が一人いるのだが、なかなか連絡が取れない。 ホテルには老人が多く、彼女の孫についても何やかやとうわさが飛ぶ。 ある日、老婦人は同宿の婦人に頼まれて図書館に本を借りに行った帰り、ころんでしまう。 そのとき飛び出てきて助けてくれた青年を、彼女は行きがかり上、孫だとホテルの人々に言ってしまう。 そして彼女と青年のあいだには奇妙な友情が・・・・。 筋書き的には地味なんだけど、結構面白く、細部もウィットに富んでおり、なかなかよくできている。 英国的な、大上段に振りかぶらないけど堅実な作りには脱帽。 若者向けではないかもしれないが、映画を見慣れた中年かそれ以上の年配の方には満足できる作品だと確信する。

63.「ジュリエットからの手紙」 5/20、WMC新潟南。 評価★★★ アメリカ映画、ゲイリー・ウィニック監督作品。 シェイクスピアの有名な 『ロミオとジュリエット』 の舞台であるイタリアのヴェロナ。 そこには世界中の女性から恋の悩みを訴える手紙が届く 「ジュリエットの生家」 があり、手紙に 「ジュリエットからの返事」 を書くという女たちがいた。 NYに住むジャーナリスト志望の若い女性は、イタリア・レストランを開業しようとしている恋人と一緒にこの町を訪れ、たまたまこの生家の存在を知るのだが、50年前に出された手紙を発見し、それを書いた英国婦人に返事を出すことに・・・・。 と、なかなかアイデア的には優れた映画である。 で、当初はそういうわけで結構面白いし、イタリアの風景など楽しめていいのだが、後半の、老婦人のかつての恋人探しの話になると、かなり単調で、もう一工夫か二工夫欲しいと言いたくなる。 その点が惜しまれる作品。 なお、私が見たMWC新潟南での上映はブルーレイによるもので、そのせいか画面がやや暗かった。 やっぱりフィルムでの上映が望ましい。

62.「バスキアのすべて」 5/17、シネ・ウインド。 評価★★★ タムラ・デイヴィス監督作品。 現代アートで名をなし、若くして逝ったバスキアを取り上げたドキュメンタリー映画。 バスキア自身の映像と、彼の周辺にいた恋人、友人、関係者などへの取材から構成されている。 私は現代アートのことは分からないし、バスキアの作品がそんなにいいとも思えないのだけれども、アートの世界で名を上げることがある意味、危険であるということも含めて、こういう世界の内実をのぞき見る面白さを感じた。 デュシャンとの関係についても触れられている。 

61.「わたしを離さないで」 5/14、UCI新潟。 評価★★★ 英米合作、マーク・ロマネク監督作品。 日系の英国人作家カズオ・イシグロの小説が原作だが、私は原作は未読。 寄宿制度の学校で育つ子供たち。 一見すると普通の学校のように見えるが、彼らには親がいなかった。 彼らの秘密とは・・・・・。 作品がある程度進むとこの学校の秘密が分かるのだが、この映画はむしろそういう条件の中で生きていく子供たち、長じて青年たちの様子を丁寧に描くところに本領がある。 ネタバレになるので詳しくは書けないが、反ヒューマニスティックとも思えるテーマを扱いながら、いたずらにお涙頂戴ものにせず、また騒々しい設定もつつしんで、あくまで静かに物語を進行させているところを買うべきであろう。

60.「彼女が消えた浜辺」 5/13、シネ・ウインド。 評価★★★ イラン映画、アスガー・ファルハディ監督作品。 第59回ベルリン国際映画祭で最優秀監督賞を受賞した作品。 テヘランに住む友人たち数人が自動車に分乗してカスピ海沿岸の避暑地に遊びに行く。 その中にエリという若い女性が加わっていた。 彼女は保母であったが、子供をその保育園に通わせている若い母から誘われて参加したのだった。 ところが途中でエリは行方不明になってしまう。 果たして彼女は・・・・・というような、ミステリー風の映画。 ただし、謎解きは推理小説的には進まず、むしろ彼女を誘った側の事情や彼女が抱えていた事情などの、心理的な領域に進んでいく。 日本人としては、イラン人の最近の風俗だとか、カスピ海沿岸の風景――世界最大の湖だけあって海と変わらないですね――、また美形が多いイラン人女性 (それとも映画だから美形が多いのかな) だとかが見どころ。 ミステリー映画としてみると、やや足りないような。

59.「180°SOUTH」 5/13、シネ・ウインド。 評価★★ アメリカ映画、クリス・マロイ監督作品。 ある青年が南米パタゴニアに旅行するというドキュメンタリー。 途中で色々なことが起こったり、色々な人々との出会いがあったりする。 しかし私の見るところでは、先進国の冒険家にありがちな単純な自然賛美があったり、さらには南米の自然を守れという運動に一方的に加担してプロパガンダを行っているなど、政治的に見るとかなり問題が多いというか、そういう複雑なこと――例えば途上国の自然を守れと先進国の人間が叫ぶのは、いつまでも途上国でいろと言っているのに等しいのではないかというような――を考える能力が製作側に欠けているからだろう。 子供は感心するかも知れないが、大人が見るには物足りない。

58.「トゥルー・グリット」 5/10、Tジョイ新潟万代。 評価★★★☆ アメリカ映画、コーエン兄弟監督作品。 『勇気ある追跡』 という作品のリメイクだそうだが、私は前作は見ていない。 父をならず者に殺された少女が、凄腕ながら一癖ある保安官を雇ってならず者を追跡するというお話。 少女の硬質で直情径行な性格と、一筋縄はいかない保安官のやりとりや行動が見もの。 結末にもちょっと苦味があって、お伽噺に終わっていないところがなかなかいい。 ただ私の趣味からすると、もう少し少女の少女性を別な形で出してほしかったという気がした。

57.「SRサイタマノラッパー」 5/10、シネ・ウインド。 評価★☆ 2008年、入江悠監督作品。 プロじゃない人たちの製作でそれなりに注目された映画。 新潟市でもこのほど上映されたので見てみたけど、やっぱりシロウトの映画じゃないかな。 資金不足による制約は仕方がないと思うけど、落ちこぼれの若者の心情とか行動とかをそれだけ映しても説得的ではないので、彼らの親とか実家がどうなっているのかをちゃんと脚本に組み込まないとダメじゃないか。 でもそのことに気づいていないんだな。 落ちこぼれを客観視する作業ができていないんじゃ、他人に見せる作品にはならないでしょ。

56.「まほろ駅前多田便利軒」 4/29、UCI新潟。 評価★★★ 大森立嗣監督作品。 首都圏の某市で便利屋をやっている男 (瑛太) と、その前にふらりと現れた旧友 (松田龍平) の、友情めいた物語。 といっても、あまりきっちりしたストーリーはなく、いわゆる 「ゆるい」 映画であるが、テーマ的には実は一貫したものがあって、それが徐々に分かってくるようになっている。 行き当たりばったり的な便利屋の仕事も、どこかでお互いつながっている。 ゆるいお話が好きな人にはよさそう。 私には、テーマの切実さがイマイチ不足しているような気がしたのだが。

55.「ハーブ&ドロシー」 4/27、シネ・ウインド。 評価★★★☆ アメリカ映画、佐々木芽生監督作品。 現代美術のコレクターとして有名なヴォーゲル夫妻の軌跡を追ったドキュメンタリー。 ごく普通の勤め人で金持ちでもなんでもない夫妻は、安く買える現代美術をひたすら買い集めてきた。 そしてコレクションは最終的には米国ナショナル・ギャレリーに寄贈された。 この映画では夫妻の普段の暮らしぶりや、美術作品への嗅覚、作品を買われたアーティストの側の見解などが紹介されている。 正直言って私は現代アートのことは分からず、この映画で紹介されている夫妻のコレクションを見てもぴんと来ないのであるが、こういう生き方をしてきた夫婦を捉えたドキュメンタリーとしてはかなり面白い。 独自の価値観を貫き通す二人の生き方は、現代アート自体には興味がない人間をも惹きつける魅力を持っているということだろう。

54.「英国王のスピーチ」 4/25、UCI新潟。 評価★★★ 英・豪合作、トム・フーバー監督作品。 アカデミー賞受賞作品。 英国王ジョージ6世 (現女王エリザベス2世の父) の実話を元にしている。 本来兄が王位につくところ、既婚婦人との恋愛、彼女の離婚による結婚という前代未聞の醜聞で、代わって王位についた次男が、しかし生来の内気から来る吃音で人前での演説ができないことに悩み、幾度かの治療の試みに挫折したあと、或る専門医にかかるというお話。 そこでの涙ぐましい努力、国王としてのプライドと医師の前の患者としての立場との相克、ヒトラーが政権をとって緊迫感を増すヨーロッパ情勢などが映し出されている。 悪い作品ではないが、賞を取るほどすごい傑作なのかというと、ちょっと疑問。 英国映画としては、こないだ上京して見た 『アメイジング・グレイス』 のほうが格段に優れていると思うけど、新潟では 『英国王のスピーチ』 は2館で上映されているのに、『アメイジング・グレイス』 はいまだに上映の見通しが立っていない。 こういう状況が私にはひたすら情けない。 新潟の映画ファンよ、立ち上がれ!

53.「アンチクライスト」 4/22、シネ・ウインド。 評価★★☆ 仏・独などヨーロッパ6カ国合作、ラース・フォン・トリアー監督作品。 セックスをしている間に幼い子供が窓から転落死してしまった夫婦。 妻は精神を病んでしまう。 夫はなんとか妻を治そうとし、セラピーを兼ねて山の中の小屋に二人で出かける。 そこで・・・・というような筋書きなのだが、たぶん人間の心理の内奥と、自然の中の暮らしの神秘性を結び付けようとしている作品なのだろう。 そういう製作者の意図は分からないでもないが、それが成功しているかどうかは疑問。 最後にタルコフスキーへの献辞が掲げられているが、タルコフスキーみたいな天才の真似を常人がしてはいけませんよ。

52.「抱きたいカンケイ」 4/22、Tジョイ新潟万代。 評価★☆ アメリカ映画、アイヴァン・ライトマン監督作品。 セックスフレンドに過ぎなかった若い男女 (アシュトン・カッチャー、ナタリー・ポートマン) が真の恋愛関係になる、というお話なんだけど、リアリティがぜんぜん感じられない。 この映画、まじめに作られているのだろうか。 冗談半分で作ってるんじゃないかって気が、見ていてしてくるのである。 そうじゃなければ、ハリウッドの質もそうとうに低下しているのだろうな。 ナタリー・ポートマンももう少し出る映画を選びなさいって、と言いたくなっちゃうくらいの駄作。

51.「名探偵コナン 沈黙の15分」 4/20、WMC新潟。 評価★★☆   静野孔文監督作品。 コナン・シリーズ第15作目の今回は、新潟県のスキー場を舞台に、東京と新設ダムに水没した村とをめぐって犯罪と冒険が繰り広げられる。 ただ、今回はコナンのアクションが多く、アニメだから仕方がないけど、ちょっと表現のデフォルメが過ぎていて、ミステリーとしての妙味があまり出ていない。 途中の展開も精緻さに欠けており、このシリーズとしては出来はイマイチと言うべきであろう。

50.「エクスペリメント」 4/16、UCI新潟。 評価★★☆ アメリカ映画、ポール・シェアリング監督作品。 一般人からアルバイトを募って、看守役と囚人役に分け、2週間閉じ込めておいたらどうなるかの実験をする、というお話。 というと、映画が好きな人は、そりゃ 『エス』 じゃないか、というだろう。 そう、あれと基本的に同じ、というか、実際にアメリカの大学で行われた実験をもとにした映画だから、同じになるのは当たり前なのだ。 で、『エス』 がどうだったか記憶があいまいなのであるが、この映画についてみれば、不十分な印象が残った。 たしかに一般人がアルバイトで看守役と囚人役に分かれただけで、看守役は実際以上に残酷になって・・・・という筋書きには迫力がある。 しかしこの映画では、そういう設定を活かすために色々小細工が施されていて、そこがかえって作品を陳腐なものにしていると感じられた。 また、実験をする側の姿があまり見えず、後半でも本来ならとうにストップがかかっていいはずなのにかからないのはなぜか、分からない。 この映画は単にアルバイトに雇われた側だけでなく、雇った側の人間がどうであったかをも映さなければ不十分であろう。 そこが製作側にわかっていなかったのが、イタイ。

49.「ヤコブへの手紙」 4/16、シネ・ウインド。 評価★★★ フィンランド映画、クラウス・ハロ監督作品。 僻地に暮らす盲目の牧師。 悩みを書き綴った手紙をもらってそれに返信を送るのが生きがいだが、それまで手紙を読んでもらっていた人が都合でいなくなり、代わりに殺人で服役中ながら恩赦を受けて出てきた中年女性を採用する。 彼女は面倒くさいと思いながら牧師の依頼に応えるが、やがて・・・・・・というようなお話。 後半、もう少しひねった展開になるのかと期待したらそうでもなく、よく言えば素直な、悪く言えば型にはまった映画になっていた。 悪い作品ではないけれど、私のように、特に宗教がらみではあんまり物事を素直には受け取らない人間には、ちょっと物足りない感じも残りました。

48.「戦火の中へ」 4/13、WMC新潟。 評価★★★☆ 韓国映画、イ・ジェハン監督作品。 朝鮮戦争を材料にしている。 北朝鮮から侵攻されてあっというまに追い詰められた韓国軍。 国連軍の介入を受けてようやく盛り返すのだが、これはその直前の、プサンとその周辺地域にまで後退した韓国軍が、わけあって学徒兵だけで校舎を死守しなければならなくなったという実話に基づき、映画的な脚色を加えてできた作品である。 学徒兵たちが内部にいさかいを抱えながらも北朝鮮軍に対して必死で戦うシーンの迫力、そして北朝鮮軍を率いる少佐も、映画だからだと思うけど、一筋縄ではいかない癖のある人物で、かなり存在感があって、見ていて面白い。 朝鮮戦争の挿話を知るためにも、また映画ならではの楽しみを得るという意味でも、一見の価値のある作品だと思う。

47.「ヘヴンズ・ストーリー」 4/12、シネ・ウインド。 評価★★☆ 瀬々敬久監督作品。 4時間以上かかる長尺の作品だけど、そんなに長くする必然性を感じなかった。 しかもこれだけ長い作品にしても、説明だとか観客に 「たしかにそうだよな」 と納得させる深度が足りていない。 もっと長くすれば足りるというのではなく、作り方が下手だから足りないのだ。 上手な監督ならせいぜい2時間半でこれよりマシな作品を作るだろう。 自分の家族を殺した犯人を赦すかどうかなどの深刻なテーマが盛り込まれているようでありながら、どこかうまくいっていない。 あと、団地を映すのがこの映画の目的のひとつらしいけど、そこのところもテーマとうまくつながっていない感じ。

46.「シリアスマン」 3/30、ヒューマントラストシネマ有楽町。 評価★★★ アメリカ映画、コーエン兄弟監督作品。 1950年代頃のアメリカを舞台に、ユダヤ人の大学教授が次々と色々な苦難に巻き込まれていくというお話。 出来の悪いコリア系学生からは成績を変えてくれとワイロを使われ、隣人からは境界線を無視され、妻からは好きな人ができたと離婚を突きつけられ、子供たちは言うことをきかず、実兄が居候を決め込んでいるし・・・・・という具合。 さらに、この映画ではユダヤ人同士の付き合いや宗教的なコミュニティも描かれていて、ふうん、ユダヤ人ってこういうふうに生きているのか、と勉強になる。 ただ、冒頭に古めかしいイディッシュ語での寸劇が入っており、その不条理性からして、全体が不条理映画というふうにも受け取れる。 

45.「アメイジング・グレイス」 3/30、銀座テアトルシネマ。 評価★★★★ 英国映画、マイケル・アプテッド監督作品。 18〜19世紀の英国を舞台に、当時合法とされていた奴隷貿易を廃止させるための法案成立に命をかけた政治家の活動を描いている。 当時の英国議会の様子だとか、主人公のプライヴェートな生活だとか、色々映画として面白い側面も盛り込まれており、主人公の妻になる役のロモラ・ガライも私好みで (笑) 魅力的だし、全体の脚本も入念に作られていて、秀作と言える映画になっていると思う。 新潟でもぜひ上映してほしい。 

44.「女忍 KUNOICHI」 3/29、シアターN(渋谷)。 評価★★★ 千葉誠治監督作品。 タイトルどおり、くのいちのお話なんだけど、ヒロインを演じる武田梨奈のアクションを見せるのが狙いの作品らしい。 その意味では悪くない映画だし、脚本もちょっとひねってあって退屈しないから、マイナーなわりにはよくできていると言えるかもしれない。 ただ、筋書きやメインになるシーンからすると、くのいちの 「女」 としての部分に焦点を当ててほしいと思っている私みたいな中年男からすると、ちょっと物足りない。 マゾっ気のある男の子には、お勧めできるかも。

43.「神々と男たち」 3/29、シネスイッチ銀座。 評価★★★ フランス映画、グザヴィエ・ボヴォワ監督作品。 1990年代に実際に起こった事件をもとにしている。 アルジェリアで修道院を開いているフランス人修道士たち。 布教は禁じられているが、医療や福祉活動を通して地元の人々に親しまれている。 しかしイスラム原理主義者が台頭し、付近で虐殺事件が起こった。 修道院にも原理主義者が押しかける事件が起こる。 撤退すべきか、残るべきか、修道士たちは悩む・・・・。 修道士たちの日常が淡々とつづられているが、そしてその中にはモノトーンな聖歌を歌うシーンも繰り返されているが、作品のクライマックスで、彼らはいわば最後の晩餐を行い、ラジカセでチャイコフスキーの 「白鳥の湖」 でも最も有名な 「情景」 を流す。 ここんとこが、それまで禁欲的であった彼らが感覚的な贅沢を土壇場で味わうといった趣きがあって、なんと言おうか、ちょっと卑猥な印象があった。 

42.「さくら、さくら ―サムライ化学者高峰譲吉の生涯―」 3/29、銀座シネパトス。 評価★★★ 市川徹監督作品。 高峰譲吉の生涯を、きわめて分かりやすく説明的に映画化した作品。 小学生でもよく分かる、というような映画だから、芸術性を求めてはいけません。 だけど、明治の頃の日本人がいかにがむしゃらに研究して世界的な成果を出していたかが分かる。 今の日本人も見習うべきかも。 譲吉の奥さんはアメリカ人だが、昨今のアメリカ女性と違って良妻賢母だったようだ。 昔はよかったなあ(笑)。

41.「アレクサンドリア」 3/29、丸の内ピカデリー(有楽町)。 評価★★★☆ スペイン映画、アレハンドロ・アメナーバル監督作品。 紀元4世紀の古代都市アレクサンドリアを舞台に、勢力を伸ばしてきたキリスト教徒が、学問に打ち込むヒロイン・ヒュパティアらを迫害し、図書館を破壊する様を描いている。 この映画の見どころは、まず古代都市アレクサンドリアを再現しているところ。 単にCG技術の駆使だけでなく、最新の学問的成果も活かされているそうな。 また、キリスト教徒の野蛮さがはっきりと描かれているのもいい。 今でこそキリスト教は平和主義だが、古代から中世にかけては権力と組んで暴力により布教をしていたのがキリスト教だったという実態がよく分かる。 ただ、全体的な物語構成で言うと、やや食い足りないというか、もう少し脚本がよくできていれば文句なしなんだが、と思ってしまう。 しかし映画の視覚的な楽しみは非常に豊富で、そこを買うべき映画。

40.「SP 革命編」 3/26、UCI新潟。 評価★★★ 波多野貴文監督作品。 前作 「SP 野望編」 の続編。 前作はアクションはともかく、それ以外の中身が希薄で物足りないと思った記憶があるけど、今回の後編はいよいよ日本に革命がもたらされるという筋書きで、そのやり方や、参加者間の思惑の違いなどがそれなりに描かれていて、まあまあ悪くなく、大人が見てもだいたい満足できる出来かなという感じだった。 ただ、最後があんまりすっきりせず、まだ何か残っていて、案外このあと 「フィナーレ編」 が作られたりするんじゃないか、という気もしましたけど。

39.「海炭市叙景」 3/23、シネ・ウインド。 評価★★ 熊切和嘉監督作品。 現代の函館市を舞台に、いくつかの物語が描かれている。 うまくいっていない家族や孤独な人物などの物語である。 楽しいお話は出てこない。 そのこと自体はいいんだけど、なんか全体としてしょぼいというか、なぜ函館を舞台にこういう映画を作らなきゃならないのか、よく分からない。 また函館をわざわざ海炭と名づける理由も分からない。 海はいいけど、炭って、むかし石炭を掘っていたからかもしれないが、この映画にはそういう話はまったく出てこないのだ。 一人暮らしの老婆の話だけはリアリティがあって見られるが、あとはアマチュアの映画みたいで、買えない。

38.「ランウェイ☆ビート」 3/21、UCI新潟。 評価★★★☆ 大谷健太郎監督作品。 ビートってのは、主人公の少年が美糸 (びいと) という名なので(!)、あだ名がビートだという設定。 変わった名だと思うだろうけど、父が有名なファッションデザイナーで、祖父も地方でテイラーをやっているところから付けられた名だ。 そのビート君が転校した東京の高校で、生徒たちが協力して文化祭でファッションショーをやろうという話が出て、というのがこの映画のメイン。 いったん、高校自体が廃校になるということで挫折するのだが、しかし・・・・。 筋書きにはご都合主義的な甘さもあるが、クラスメート同士の恋やトラブル、また全員で一つのものを作り上げていこうという熱意、そして主人公の少年と父との関係などが、それなりに良く描かれていて、平均以上の出来になっていると思う。

37.「ツーリスト」 3/20、WMC新潟。 評価★★☆ アメリカ映画、フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク監督作品。 主演ふたりがアンジェリーナ・ジョリーとジョニー・デップという夢のような取り合わせで、舞台はヴェニスなので、観客の期待をいやが上にも高める映画だけれど・・・・うーん、出来はイマイチですね。 出だしのあたりは快調なんだけど、ヴェニスに着いてからは平凡で、アクション・シーンも大したことないし、筋書きの工夫だとか意外性も足りない感じだし、せっかく大物二人を主人公にした割りにはラブラブなシーンもあまりないし・・・・・とにかく、期待を裏切る作品でありました。 昔作られた映画のリメイクらしいけど、そちらは私は見ていない。

36.「リトル・ランボーズ」 3/17、シネ・ウインド。 評価★★★ 英仏合作、ガース・ジェニングス監督作品。 英国を舞台に、父を亡くし、母と妹、それに体の不自由な祖母と暮らす少年が、ふとしたことから不良少年と知り合い、その映画作りに協力する、というお話。 作ろうとする映画が、シルベスター・スタローン主演の有名な映画 『ランボー』 に刺激されているというところが、タイトルの由来。 ただし、同時に二人の少年の家庭環境描写も、この映画のもう一つの重要な側面である。 主人公の家庭には、ピューリタン的でやたら規則にやかましい教会の男が、夫を亡くして精神的な支柱を失っている少年の母に近づいてくるし、不良少年はやはり父がいないが、母が恋人を追ってスペインに行ってしまい、兄と二人暮らしをしている。 現代的な家庭事情という深刻な問題が、少年たちの一見他愛のない映画作りと交錯して、特に後半はなかなか見せる映画になっている。 ただし、不良少年の性格付けは、私から見ると少しご都合主義的すぎるようにも思われる。 不良って、もう少しワルなんじゃないかなあ。 

35.「ヒアアフター」 3/7、UCI新潟。 評価★★★☆ アメリカ映画、クリント・イーストウッド監督作品。 冒頭に津波シーンがあるというので、今回の東日本大震災 (3/11) のあと急遽上映が取りやめになってしまった映画。 予告編でも津波シーンが出てきていたので、パニック映画かと思う人もいるだろうが、そうではない。 津波シーンは、それによって臨死体験をするフランス女性 (セシル・ドゥ・フランス) を描くための導入部分である。 それから、手を合わせると相手の過去を知ることができる超能力の持ち主であるアメリカ人男性 (マット・デイモン) と、双子の兄を事故で失った英国人少年――この3人が主人公である。 この映画の主題は超能力や死後の世界ではない。 超能力や死後の世界は、3人の主人公が互いに知り合うための道具、といったらいいだろう。 では何が主題なのか、ということは各自がこの映画を見て確認して欲しい。 話の展開は丁寧で、決してセンセーショナルでもなければ、「あちら」 系でもない。 上映中止がかえすがえすも残念な作品。

34.「シングル・マン」 3/4、Tジョイ新潟万代。 評価★★★ アメリカ映画、トム・フォード監督作品。 1960年代初頭、英国人ながらアメリカの大学で教鞭をとる中年男 (コリン・ファース) が、恋人たる男を交通事故で失って――つまりゲイである――死を決意した一日を描いている。 その一日で色々なことが起こるのだが、それを丹念に描いている。 ただし、個々の出来事の意味づけは必ずしも分かりやすいわけではない。 意味はあるはずなのだが、一見すると日本の私小説みたいに 「あるがまま」 に描いているような感じで、予備知識がないとよく分からなかったり展開に必ずしも納得できないかも知れない。 あらかじめ作品サイトなどで筋書きを知ってから見た方がいいと思う。 

33.「ブロンド少女は過激に美しく」 3/4、シネ・ウインド。 評価★★ ポルトガル・フランス・スペイン合作、マノエル・デ・オリヴィエラ監督作品。 監督が100歳の時に撮影した映画、というのが売り。 筋書きは、叔父の経営する店の二階で事務的な仕事をしている青年が、通りの向かい側の窓辺に現れる美少女に恋をする、というもの。 ただし、私の見るところ、監督の年齢的な衰えは隠せず、展開は不十分だし、最後はあっけない。 むしろ、リスボンの街の様子だとか室内調度なんかが、見ていて面白い。

32.「蒼穹のファフナー HEAVEN AND EARTH」 3/1、WMC新潟南。 評価★★☆ 鈴木利正監督作品。 最近のアニメはどうなっているのかな、という興味から見てみたのだが、うーん、あまり感心しなかった。 もともとテレビアニメで、それを2時間弱に縮めているので、それを見ていない私には基本的な設定や人物の関係やよく分からなかったこともあるけれど、満足できなかった原因はもっと別のところにあって、内容的にガンダムもどきとエヴァンゲリオンもどき、それに童心主義 (?) みたいなものがアマルガムになってできているアニメで、この作品ならではの独自性というか、何か新しいものが提示されているというふうには思われなかったことが大きいと思う。 

31.「太平洋の奇跡 ―フォックスと呼ばれた男―」 3/1、WMC新潟。 評価★★★ 平山秀幸監督作品。 第二次世界大戦末期、サイパン島で物量的に圧倒的に優勢なアメリカ軍の攻撃にあいながら、ゲリラ的攻撃でアメリカ軍を苦しめ、島に残っていた日本の民間人をも守った大場大尉 (竹野内豊) の物語。 実際にあった話で、副題の 「フォックス」 とは大場大尉らの戦術に手を焼いたアメリカ軍が彼につけたあだ名である。 劣性の戦況でいかに戦い、いかに生きていくか、そして8月15日以降にいかにアメリカ軍に投降するか、そうしたところが丹念に描かれている。 悪くない映画だと思う。 ただ、大場大尉がアメリカ軍からフォックスと言われたということがこの映画のミソなわりには、その辺の描写はやや物足りない。 また主演の竹野内豊にヒーローとしての風格が足りないのも残念である。 作り方とキャスティング次第でもっといい作品になっただろうと惜しまれる。 

30.「恋とニュースのつくり方」 2/28、UCI新潟。 評価★★☆ アメリカ映画、ロジャー・ミッシェル監督作品。 テレビ局に勤めるヒロイン (レイチェル・マクアダムス) は一所懸命に仕事をしていたが運悪くいきなり首にされてしまう。 色々あたってみてかろうじて他のテレビ局に採用された彼女は、早朝のニュース番組の製作を担当することに。 しかしこの番組は他局の同じ時間帯のニュースに押されて視聴率は最低であった。 一計を案じた彼女は、かつて自分も尊敬していた伝説的な老キャスター (ハリソン・フォード) を採用する。 彼もわけあって現在は昔の職を失っていたからだ。 しかし採用された彼は頑固で、なかなか彼女の思い通りに仕事をしてくれず・・・・・。 タイトルには恋とニュースと両方出ていて、たしかにヒロインは恋もするのだが、内容的にはテレビ局のプロデューサーとしての仕事をいかにこなすかに重点がおかれている。 ただ、それで面白いかというと、どうもハリウッドのこの手の映画にありがちな作りで、落としどころも見えてしまい、新鮮味が感じられない。 女性と仕事を描いた映画なら型にはまったものでも好き、という人にはいいかも知れない。

29.「酔いがさめたら、うちに帰ろう。」 2/28、UCI新潟。 評価★★★ 東陽一監督作品。 アルコール依存症 (昔で言うアル中) になってしまった主人公 (浅野忠信) が実母 (香山美子) や元妻 (永作博美) や子供たちに見守られながら、病院で治療を続けるというお話。 アルコール依存症患者がどういうふうに治療を受けるのか、病院内の人間関係はどうか、医者や看護婦の様子、などなど、それなりに面白い映画になっている。 しかしワタシ的には離婚したのにダメ夫を見捨てずに暖かく見守っているマンガ家である元妻を演じる永作博美の魅力が一番心に残った。 こういうチャーミングな奥さんがいたら男も長生きするだろうなあ、と思うんだけど、映画の中ではダメ夫は長生きしないんだよなあ。 でも永作さんは生き残るから、いいか(笑)。

28.「その街のこども 劇場版」 2/24、シネ・ウインド。 評価★★★ 井上剛監督作品。 阪神淡路大震災から15年。 たまたま子供時代に震災を経験して、今は首都圏に住んでいる二人 (佐藤江利子、森山未来) が新神戸駅で出会い――というか、実際は森山が新幹線でサトエリを見かけて、本当は広島まで行くはずだったのが下心を起こして新神戸で降りてしまうのだが――復興した神戸の街を徘徊するというお話。 筋書き的にはどうってこともなく淡々とした映画で、特に震災の被害を詳しく振り返ったりするというのでもなく、震災で亡くなった人々をいかに追悼するかということを個人的に何となく考えながら夜の街を歩いていくというだけのお話。 しかし特にサトエリの表情が非常に多彩で、人間、生きていく上ではこういう時間も必要だよな、という気持ちがしてくるのが不思議。

27.「脱獄広島殺人囚」 2/21、浅草名画座。 評価★★   1974年製作、中島貞夫監督作品。 敗戦直後の混乱期に犯罪を犯して刑務所入りした主人公 (松方弘樹) が、脱獄を繰り返してはまた刑務所に戻るというお話。 というとちょっと 『網走番外地』 みたいだが、違うのは主人公には犯罪をやむを得ず犯してしまうという必然性がなくて、脱獄の苦労だとか、シャバに出てから奥さんや妹を頼っていったりする経緯が描かれているところが特徴と言えば特徴なのかな。 でも、今見てみてもあんまり面白いとは思えない。

26.「緋牡丹博徒 二代目襲名」 2/21、浅草名画座。 評価★★★ 1969年制作、小澤茂弘監督作品。 藤純子主演の有名シリーズの第4作目。 今回のお竜さん (藤純子) は九州に帰って親分の二代目を襲名し、おりから石炭の積み出しのために筑豊本線が建設されている現場に責任を負う。 ところが、それまで石炭運搬の主流だった船の乗組員たちが、失業をおそれて妨害にやってくる。 お竜さんは、これからは鉄道の時代であることを説きながらも、失業問題をも解決しようと一計を案じる。 時代が今と異なるとはいえ、産業構造の変化による失業問題が前面に出ているのはなかなかリアルで、その解決に乗り出すお竜さんの姿はさしずめ今なら若くて美人の地方首長か会社社長といったところか。 いずれにせよ今の時代に見ても十分楽しめる作品だ。 高倉健が準主役で出ている。

25.「この首一万石」 2/21、浅草名画座。 評価★★☆ 1963年制作、伊藤大輔監督作品。 時代劇だが、戦前に作られた映画のリメイクであるらしい。 町人である若者 (大川橋蔵) には恋人 (江利チエミ) がいるが、彼女の父は侍の家柄にこだわり、町人には娘はやれないとはねつける。 たまたまその頃、遠隔地への行列にカネがかかることから、節約のために町人を雇って侍のなりをさせて行列を作ろうともくろむ弱小大名家に若者は雇われて、東海道を下る。 ところが途中で色々あって本物の侍を名乗らされることになるのだが、実はそれは切腹させる人員を確保するためであった。 しかし若者はそれを知らずに・・・・・。 武士道批判というテーマが込められているようだ。 ただ、これだけ見ると、そういうテーマは分かるけど、同時に喜劇的なお話として楽しめるという側面もあり、色々な見方ができる映画だと思う。 ただ、今から見るとテンポがゆっくりめで、そこが物足りない。

24.「冷たい熱帯魚」 2/21、テアトル新宿。 評価★★★★ 園子温監督作品。 あまり大きくない熱帯魚店を営む夫婦。 妻は後妻で、先妻が生んだ高校生の娘とはうまくいっていない。 その娘がスーパーで万引きをしてしまう。 怒りまくる店長に対して夫婦が平謝りに謝っていると、たまたま店内でこの様子を見ていた男が声を掛けてくる。 彼は近くで大規模な熱帯魚店を経営していた。 彼のとりなしで娘を赦してもらった夫婦は、彼に言われるままに娘を相手の店で働かせることにし、また彼と付き合い始めるのだが、実はその男は飛んでもない人間で・・・・・。 この飛んでもない男を演じるでんでんが、すごい好演。 またその夫人 (愛人?) 役の黒沢あすかが魅力的。 そして筋書きも・・・・・うーん、すごい。 流血描写が多いので、デートには向かないから、カップルではなく1人で行きましょう。 新潟でも上映して欲しい、と思ったら、ユナイテッドシネマ新潟で3月下旬から上映だとか。 新潟の映画ファンはお見逃しなく! 

23.「愛する人」 2/20、TOHOシネマズ・シャンテ(日比谷)。 評価★★★ アメリカ・スペイン合作、ロドリゴ・ガルシア監督作品。 ミドルティーンのときに子を生んだ経験を持つ中年女性 (アネット・ベニング)。 今は老いた母と二人暮らしだが、昔生んだ娘のことが気になっている。 一方、その娘 (ナオミ・ワッツ) は成長して腕利きの弁護士になり、順調にキャリアを積み上げている。 しかし避妊手術をしたはずが、妊娠してしまい、予定していた人生行路に狂いが生じて・・・・。 一方で未婚の母の連鎖を、他方で現代アメリカにおける養子事情を描いている。 面白くなくはないけど、すごく充実した作品かというと、ちょっと首をひねる。 母と娘それぞれの事情、そしてもう1人、子供に恵まれず養子を欲しがっている女性の物語が盛り込まれていて、この3人の人生模様の描写がやや急ぎ足になっているし、脚本も十分に練れていない。 惜しいと思うが、けなすほどひどい作品でもないかな。

22.「シチリア! シチリア!」 2/20、角川シネマ新宿。 評価★★★ イタリア映画、ジュゼッペ・トルナトーレ監督作品。 シチリアの小さな町バーリアを舞台に、第二次大戦の頃から戦後にかけてこの町に生まれ育った少年が、やがて長じて政治に目覚め共産党に入党して政治活動を行い、また見初めた美女と結婚してたくさんの子供を設ける様子が描かれている。 ただし、シチリアに生まれ育った男の一代記なのではなく、人間が生きるということは実に短くはかないことなのだ、という達観した視点によって作品は支えられており、人の一生とは言うならば一瞬の夢のようなものだという哲学が、作品の最初と最後によって見事に示されている。 そうした独特の味わいがこの映画を平凡な人生描写から救っている。

21.「サラエボ 希望の街角」 2/19、岩波ホール(神保町)。 評価★★☆ ボスニア・ヘルツェゴビナ=オーストリー=独=クロアチア合作、ヤスミラ・ジュバニッチ監督作品。 先に 『サラエボの花』 で注目された女性監督の映画である。 今回はサラエボに暮らすイスラム教徒の若いカップルが、イスラム原理主義と接触を持ち、そのために男の方が原理主義的な考え方に染まってしまい、ヒロインとの間に亀裂が生じるというお話である。 うーん・・・・監督の共感は原理主義を嫌い世俗主義的な生き方をしているヒロインのほうに向けられているわけだけど、原理主義を批判するだけでは問題は解決しないんじゃないか。 原理主義者たちにももう少し内在的な光を当てていかないと、この種の映画は説得性を持たないプロパガンダに堕してしまう。 この映画も、まあサラエボの風俗描写には面白いところもあるけど、あまり厚みのない出来に終わったような気がする。

20.「白いリボン」 2/18、シネマ・ベティ(横浜・黄金町)。 評価★★★★ ドイツ・オーストリー・仏・伊合作、ミヒャエル・ハネケ監督作品。 2009年カンヌ映画祭パルムドール受賞作。 第一次世界大戦前夜の北ドイツの田舎を舞台に、そこで断続的に起こる傷害事件を軸として、旧弊な田舎村の人間関係や、地主である男爵、医師、牧師などのエリート層の実態を描いている。 最初にカラーで撮影してからモノクロ化したという画面が独特の味を持っており、大戦直前の雰囲気や、窮屈な道徳観の中でうごめいている村人たちの様子が、何とも言えない感覚を観客に呼び起こす。 映画というジャンルならではの表現が存分に活かされた作品。 新潟でも上映して欲しい。 ワタシは、新潟に来るかどうか分からないし、東京での上映も終わってしまっていたので、横浜まで見に行きました。

19.「モンローのような女」 2/17、神保町シアター。 評価★☆ 1963年製作、渋谷実監督作品。 貧しい踏切番の父と暮らす女高生が、学校を辞めてモデルになるが、なかなか脱ぐ決心がつかず、また男たちから誘惑されたり、親戚の若者の悩みに付き合ったりと色々あった末に、ついに脱ぐ決心をするまでのお話。 この映画のために一般公募されて採用された真理明美が主演。 タイトルからしても鳴り物入りという感じだが、今の時代に見てみると大して面白くもないし、ヒロインにもさほど魅力を感じない。 それに最後に脱ぐはずなのに、脱ぐシーンは映していないし。 どうしようもない映画じゃないだろうか。 それにしてもこの頃の東京は、踏切が完全にオートメ化されていなくて、踏切番がちゃんといたんだなあ、と変なところに感心してしまいました。

18.「デザート・フラワー」 2/15、WMC新潟南。 評価★★★★   独・オーストリー・仏合作、シェリー・ホーマン監督作品。 ソマリア出身の女の子が、地元で金持ち中年男の三番目の夫人にされそうになって逃げ出し、つてをたどって英国に渡り、ついにそこでモデルとして栄光をつかむまでの実話をもとにした映画。 そこに、FGM (女性器切除) の問題が絡んでくる。 つまりヒロインは幼いときに女性器切除を受けており、そのために心身共に傷を負い、モデルとして有名になってからはその廃止に乗り出すのである。 ただし、映画はその問題に特化しているわけではなく、英国でのソマリア人の処遇だとか、パスポートだとか、難民がヨーロッパで出会いがちな色々な問題を盛り込んでおり、充実した作品となっている。 お薦めだが、新潟での上映期間が短かったのは残念。

17.「洋菓子店コアンドル」 2/15、WMC新潟南。 評価★★☆ 深川栄洋監督作品。 田舎 (鹿児島) 出身の女の子 (蒼井優) が、ボーイフレンドを追って上京してきて、彼が勤めたはずの洋菓子店を訪れると、彼はすでに辞めており、色々な事情から彼女自身がそこで働くことに。 そして甘い物作りの腕を磨いていく・・・・・というようなお話。 この手の筋書きはありがちで斬新さを感じないし、途中の設定や脇役も特に目を惹くところがなく、きわめて凡庸な映画と言うしかない。 ま、甘い物が好きな人には楽しめるかも。

16.「ばかもの」 2/13、WMC新潟。 評価★★☆ 金子修介監督作品。 高崎市の大学生 (成宮寛貴) が、年長の女性 (内田有紀) と恋仲になるが、やがて彼女は別の男と結婚。 大学を出た主人公は地元で就職し、別の女と関係ができるけど、最初の女性に教えられたアルコールの味にのめりこみ、やがてアルコール依存症になってしまう。 挙げ句の果てに病院入りして治療をして・・・・というようなお話なんだけど、見ていてどこか焦点の定まらない感じが残った。 どうも主人公に共感できないのだ。 彼を取り巻く人々は善意の人ばっかりで、彼のダメさ加減が目立つ。 こういう若者は軍隊に入れて鍛えろ、というような単純な暴論を吐いてしまいたくなる映画なのだ。

15.「冬の小鳥」 2/11、シネ・ウインド。 評価★★★★   韓国・フランス合作、ウニー・ルコント監督作品。 1970年代半ばの韓国で、母を亡くし父が別の女性と再婚したためにキリスト教系の孤児院に入れられた少女のお話。 孤児院と言ってもあまりどぎつい描写はなくて、淡々と物語が進んでいく。 子供同士の人間関係、保護司との関係、また外部から養子を求めてやってくる外国人たちの様子などが興味深い。 養子になることに積極的な子もいれば、この映画のヒロインのように抵抗がある子もいる。 最後にヒロインはフランスにもらわれていくのだが、パリ空港のロビーを1人で歩くヒロインの姿が何とも言えず悲しい。 決して涙をあおるような作りではないのに、静かな悲しさが込められている秀作である。 

14.「ジーン・ワルツ」 2/6、WMC新潟。 評価★★ 大谷健太郎監督作品。 産婦人科医として大学病院を辞めて自分の理想とする医療を行おうとする女性医師 (菅野美穂) と、大学内で改革を目指す男性医師 (田辺誠一) を中心とする物語。 前半はよかった。 現代の産婦人科医療に伴う問題が、様々な事件や大学病院内部の人間関係を通して描かれていて、後半への期待が高まっていった。 しかし後半は完全に腰砕けである。 母性の素晴らしさを単純に讃えるだけで、前半に出てきた諸問題はまったくと言っていいほど解決されないままに放り出されている。 こんなに無責任な脚本も珍しい。 脚本を書いた奴は映画界追放!

13.「白夜行」 2/1、WMC新潟南。 評価★★★☆ 東野圭吾原作、深川栄洋監督作品。 質屋の亭主が一種の密室状態で殺された。 この事件を担当した刑事が、いったんは迷宮入りした事件をしつこく追い続ける様子と、事件の関係者のその後の人生が合わせて描かれている。 多数の人物が入り組んでいて複雑に見えるが、展開が早くて、観客の興味をそらすことなく映画は進んでいく。 ヒロインの堀北真希はややイメージが合わない感じだが、脇役陣が充実しており、見ていて飽きない。 日本的なウェットさがあまり感じられないのもいい。 2時間半の長尺作品だが、ミステリーが好きな人には勧められる映画だ。 

12.「完全なる報復」 1/30、WMC新潟。 評価★★★☆ アメリカ映画、F・ゲイリー・グレイ監督作品。 凶悪犯2人に妻と娘を殺された男。 しかし警察の証拠集めの方法に違法があったという理由で検察は犯人の1人と司法取引を行った結果、1人だけが死刑、もう1人は軽い刑で済んだ。 この結果に納得しない主人公は、死刑を免れた犯人を殺そうともくろむばかりでなく・・・・・・。 司法制度の論理と、一般人の正義感との間にある隔たりという問題を、エンタメの形で映画化した作品としてなかなか面白い。 趣向はずいぶん違うけれど日本映画 『それでもボクはやってない』 などにも通じる味があって、一見に値する。

11.「ルンバ!」 1/28、シネ・ウインド。 評価★★★ 2008年のベルギー+フランス映画。 10と同じく、ドミニク・アベル+フィオナ・ゴードン+ブルーノ・ロミが監督+主演の喜劇。 ダンス愛好家の教員夫妻が、ダンス大会で優勝した後、自動車事故に会い、夫は記憶喪失、妻は片足切断の憂き目を見る。 そのあとに起こる色々な事件を喜劇として描いている。 ネタはやはり古典的。 しかし片足切断、つまり身障者となった妻が、それでも教室で普通に教えようとして四苦八苦するところが喜劇的に捉えられているあたりに、ちょっと新鮮味を感じた。 今の日本だと、こういう身障者ネタってタブーなんじゃないかな。 群盲象を撫でる、なんて諺も事実上使えないくらいだからね。 

10.「アイス・バーグ」 1/28、シネ・ウインド。 評価★★★ 2006年のベルギー+フランス映画。 ドミニク・アベル+フィオナ・ゴードン+ブルーノ・ロミが監督+主演の喜劇。 最初にエスキモーみたいな女が現れて話が始まるけど、その後一転して西洋人のドタバタ風喜劇になる。 誤って冷凍室に閉じ込められた女性が、それを機に夫や子供と別れて氷山をめざすが・・・・。 映像自体が小さな世界めいていて、無論オカネをかけないからだろうけれど、映像そのものにコミカルな味があるところがまあ買いかも知れない。 笑いのネタ自体はさほど新しいとは思えない。

9.「グリーン・ホーネット」 1/24、UCI新潟。 評価★★☆ 米国映画、ミシェル・ゴンドリー監督作品。 新聞社主である主人公が、アジア系の助手の援助で正義の味方「グリーン・ホーネット」として活躍する、というお話。 うーん・・・・コメディだからだろうけど、お話が非常に荒っぽくて、なおかつ主人公がろくに活躍しないのになぜか助手は助手、グリーンホーネットはグリーンホーネットと見分けられてしまうのが不思議。 父から新聞社を引き継いだお坊ちゃんが好き勝手なことをやってます、というお話にしか見えないところが、どうもね。

8.「ソーシャル・ネットワーク」 1/20、WMC新潟。 評価★★★ 米国映画、デイビッド・フィンチャー監督作品。 フェイスブックを発案して企業化した実在の人物にまつわる話を映画化したもの。 名門ハーヴァード大学の学生が、パソコンに精通している強みを活かしてフェイスブックを作り上げて行く様子を、様々な人物との関係を通して描いている。 オタクっぽい主人公の性格が変わっていて見どころだが、全体が映画として面白いかというとちょっと微妙。 パソコンでのファイル製作とか、その企業化に際しての問題点などはわりに地味なので、映像化してもあまり映えないように思う。 

7.「クロッシング」 1/17、UCI新潟。 評価★★★ アメリカ映画、アントワン・フークア監督作品。 同じタイトルの、北朝鮮の内実を暴いた韓国映画とは別なので、注意を。 これは、アメリカの下級警察官3人 (リチャード・ギア、イーサン・ホーク、ドン・チードル) を主人公に、彼らが様々な制約やしがらみのなかで生きていて、やがて偶然同じ犯罪現場で遭遇する、というか、そこに行ってしまうまでを描いている。 リチャード・ギアは定年退職を間近に控えた事なかれ主義の警官、イーサン・ホークは病弱の妻と複数の子供を抱え、何とか環境の良い新居に移りたいのだがカネがない刑事、ドン・チードルはギャングたち一味に仲間を装って入り込んでいる捜査官、という設定。 それぞれ上役や新人との軋轢や、家族のごたごた、潜入したギャングとの人間関係などの悩みを持っている。 悪くはない映画だが、やや冗長だったり、描写が鮮明さを欠いたりしているのが惜しい。

6.「マザー・ウォーター」 1/14、UCI新潟。 評価★★★ 松本佳奈監督作品。 小林聡美やもたいまさこが出ているとなると、何となく雰囲気の予想がついてしまうのだが、実際予想にたがわず 『かもめ食堂』 とよく似たお話で、舞台が京都であるところだけが違っているという感じかな。 小林聡美はウィスキーしか出さない酒場 (こんなところに客が来るかなあ) のマダム、小泉今日子はカフェのマダム、市川実日子は豆腐屋をやってるマダム (というには若すぎるか)、という設定で、もたいまさこがそういう店に出かけていって食ったり飲んだり、そしてマダムたちもお互いの店に出かけていって食ったり飲んだり、或いは自宅でご馳走しあったり、ゆったりと川をながめたり、というような映画。 雰囲気で見せる作品で、例えばウィスキーだけの酒場で果たして食っていけるのか、なんて考えたりしちゃいけない映画、なんだろうなあ。

5.「小さな村の小さなダンサー」 1/15、シネ・ウインド。 評価★★★★ オーストラリア映画、ブルース・ベレスフォード監督作品。 とはいっても、実在の中国人バレエ・ダンサーの自叙伝をもとに、中国の僻地で生まれた少年が、ふとしたきっかけで都会に出てバレエを学び、さらに米国人に認められてアメリカに留学し、そこで栄光をつかむまでを描いている。 原題は"MAO'S LAST DANCER"で、つまりまだ文化大革命の余波と毛沢東崇拝の風潮が強く残っていた70年代初頭の中国で物語は始まる。 アメリカに渡った主人公はそこでの言論の自由に驚くと同時に、中国領事からは祖国に忠実であれと圧力をかけられる。 最終的にはアメリカ人のガールフレンドと結婚してアメリカの永住権をとろうとするのだが、そこで中国側から強烈な締め付けがくる。 ここで主人公の周囲にいる米国人たちが中国領事たちに毅然とした対応をとるところが、なかなかいい。 日本の政治家も見習ってほしいものだ。 全体としては成功譚だから、物語的にはまあ安心して見られるし、バレエ・シーンも結構あるので、そちらに趣味のある人にも勧められる作品である。

4.「キック・アス」 1/10、Tジョイ新潟万代。 評価★★★ 米英合作、マシュー・ボーン監督作品。 原作はアメリカのコミックだそうである。 平凡な高校生がスーパーヒーローになりたくてコスチュームを着てキック・アス(Kick ass)を名乗るけど、最初はさんざんで、アウトローにナイフで刺されて病院にかつぎこまれたりする。 ところがそこにバットマン風の男とそのローティーンの娘という、本物のスーパーヒーローが現れる。 かれらは街を牛耳る悪人を倒そうとしているのだが・・・・。 うーむ、今どきはスーパー・ヒーローものはパロディでないと成り立たないと感じさせる映画。 日本で言えば 「ゼブラーマン」 みたいなものかな。 しかしゼブラーマンと違ってアメリカらしく、あくまで明るく楽しく前向きに (?) お話は進む。 多分、この映画の一番の見どころは、ローティーンの少女ヒットガールが大の男を次々殺す (気絶させる、なんて優しさは彼女にはない) シーンだろう。 アメリカ人も日本人並みに戦闘美少女に目覚めたのかなあとも思うが、ヒットガールを演じる女の子はまだ性的特徴が全然出ていないので、ロリコン趣味というより、幼女趣味の人にはいいかも知れない (笑)。

3.「マルドゥック・スクランブル 圧縮」 1/10、Tジョイ新潟万代。 評価★★ 工藤進監督作品。 原作はSF小説だそうで (私は未読)、そのアニメ化。 ただし3回に分けて上映されるそう。 1時間ちょっとしか上映時間がなく、おまけに1000円デーに見に行ったのになぜかこれだけ特別上映だからと1200円とられた。 短いくせに特別料金とは何事ぞ、と思ったけど、見てみてもあんまり感心しなかった。 戦闘美少女もので、ヒロインのヌードがあったりするのは悪くないけど、設定だとか展開だとかに特段の新しさがあるわけでもなく、今どきこの種のサイバーパンクものでアニメを作るならもう少しやり方ってものがあるだろうと首をひねりました。 1本1時間で作って3回に分けるようなセコイ真似はやめてほしい。 

2.「アヒルの子」 1/5、シネ・ウインド。 評価★★☆  小野さやか監督作品。 2005年制作。 監督が20歳のころの作品で自分と家族の関係をテーマにした一種のドキュメンタリー、というか監督の自分探しみたいな映画である。 小さいときにヤマギシ会の幼稚園に1年間預けられた監督は、自分が親から捨てられたという感覚から逃れられないでいた。 加えて子供時代に長兄から性的な虐待も受けていた。 そのトラウマから心理的に不安定になっている監督が、親や長兄、さらにはヤマギシ会で一緒に預けられていたかつての同級生やヤマギシ会関係者をインタビューしたりして自分の過去を探していく、という筋書きである。 ・・・・・監督ご本人には深刻な問題だったのかもしれないけど、率直に言ってこういう心理学的な自分探しに私はあんまり同情しない人間なのである。 作中、監督の姉が、誰だって心の傷やトラウマを抱えながらそれを大げさに騒がずに生きている、というセリフを語るけど、きわめてまともで、ここで結論が出てるんじゃないかと思いました。

1.「相棒 劇場版U 警視庁占拠!特命係の一番長い夜」 1/3、UCI新潟。 評価★★★☆ 和泉聖治監督作品。 警視庁の部長級会議の席に何者かが拳銃を持って押し入り、部長たちを人質にとった。 彼の狙いは何なのか? またこの事件にともなう警視庁内部の不可解な動きは? というようなお話で、推理物としてはそれなりによく出来ていると思う。 ただし、私としては、その裏に感じられる奇妙なイデオロギーが見終えた後に鼻についた。 脚本を書いた人間は国際的な常識や感覚に欠けているのではないかと思う。

 

 

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